JP2011193761A - 酸性水中油型乳化食品用増粘剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】糊化澱粉、多糖類及び乾燥卵白等の増粘素材を使用せず、口中でのもたつき感や重い食感といった不快な食感を感じることのない、酸性水中油型乳化食品用増粘剤、該増粘剤を含有させた酸性水中油型乳化食品の製造方法及び該方法により得られる酸性水中油型乳化食品を提供する。
【解決手段】卵黄を主要な乳化剤とする酸性水中油型乳化食品用の増粘剤であって、有機酸ナトリウム塩、アミノ酸ナトリウム塩、核酸ナトリウム塩及びリン酸ナトリウム塩の群より選ばれる1種以上を有効成分とする酸性水中油型乳化食品用増粘剤を提供する。油相原料と卵黄を主要な乳化剤として含有する水相原料が乳化されてなる酸性水中油型乳化食品を製造するにあたり、油相原料を65〜85質量%及び水相原料を35〜15質量%の割合で用いると共に、前記の酸性水中油型乳化食品用増粘剤を0.1〜1.5質量%含有させることを特徴とする酸性水中油型乳化食品の製造方法を提供する。
【選択図】なし
【解決手段】卵黄を主要な乳化剤とする酸性水中油型乳化食品用の増粘剤であって、有機酸ナトリウム塩、アミノ酸ナトリウム塩、核酸ナトリウム塩及びリン酸ナトリウム塩の群より選ばれる1種以上を有効成分とする酸性水中油型乳化食品用増粘剤を提供する。油相原料と卵黄を主要な乳化剤として含有する水相原料が乳化されてなる酸性水中油型乳化食品を製造するにあたり、油相原料を65〜85質量%及び水相原料を35〜15質量%の割合で用いると共に、前記の酸性水中油型乳化食品用増粘剤を0.1〜1.5質量%含有させることを特徴とする酸性水中油型乳化食品の製造方法を提供する。
【選択図】なし
Description
本発明は、酸性水中油型乳化食品用増粘剤及び該増粘剤を含有する水中油型乳化食品の製造方法に関し、詳しくは、卵黄を主要な乳化剤とする酸性水中油型乳化食品用増粘剤、該増粘剤を含有させた酸性水中油型乳化食品の製造方法と、該方法により得られる酸性水中油型乳化食品とに関する。
マヨネーズや半固体状ドレッシング類は栄養価が高く美味しい食品であるが、これらゲル状食品自体の美味しさを決める要因の中でテクスチャー(食品の組織、更に食感を意味する)が風味と並んで重要であることが広く認められている。( Food Technology17(1),1963、 第55回日本食品科学工学会 公開シンポジウム「食品ハイドロコロイドの視点から」西成勝好, 2008)
マヨネーズや半固体状ドレッシング類などのゲル状食品のテクスチャーを表現する、代表的な物性値の一つとして粘度が挙げられるが、日本農林規格(JAS)によるとマヨネーズや半固体状ドレッシング類の粘度は30Pa・s以上であることが規定されている。 30Pa・s以上といった粘度は、マヨネーズや半固体状ドレッシング類の好ましいテクスチャーを維持するために必要な粘度と考えることもできそうである。
しかしながら、マヨネーズや半固体状ドレッシング類にとって、粘度が高ければ高い程良いかというとそうではなく、好ましいテクスチャーを示す粘度は300Pa・s付近の粘度が上限と考えられる。粘度があまりに高くなり過ぎると口中でのもたつき感や重い食感を感じ、好ましいテクスチャーとは言えなくなるからである。このような極端な粘度付近のマヨネーズや半固体状ドレッシング類は兎も角、通常、粘度が40〜200Pa・sで、もたつき感や重い食感のないものがより美味しく感じられる。
マヨネーズや半固体状ドレッシング類など、一定配合の酸性水中油型乳化食品の粘度を増加させる場合、多糖類や澱粉類等の増粘素材を使用する方法が従来から知られている。例えば、糊化澱粉をドレッシングなどの食品用の増粘剤として用いる技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。又、多糖類であるキサンタンガムを用いて乳化食品の粘度を増加させる技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。更に、原料の一部として乾燥卵白を用いた高粘度水中油型乳化食品に関する技術が開示されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、多糖類や糊化澱粉を使用して酸性水中油型乳化食品の粘度を増加させる場合、口中での不快なもたつき感や重い食感を感じるといった問題点があった。又、乾燥卵白を用いた高粘度水中油型乳化食品では、攪拌等のせん断力(shear)を与えた場合、急激な粘度低下(shear thinning)や水分離を起こすといった問題点がった。
本発明の目的は、上記従来の問題点を解決し、糊化澱粉、多糖類及び乾燥卵白等の増粘素材を使用せず、口中でのもたつき感や重い食感といった不快な食感を感じることのない、酸性水中油型乳化食品用増粘剤、該増粘剤を含有させた酸性水中油型乳化食品の製造方法及び該方法により得られる酸性水中油型乳化食品を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、驚くべきことに、有機酸ナトリウム塩、アミノ酸ナトリウム塩、核酸ナトリウム塩及びリン酸ナトリウム塩の群より選ばれる1種以上を酸性水中油型乳化食品に含有させることにより、酸性水中油型乳化食品の粘度を増加させることを見出し、この知見に基づいて、本発明を完成するに至った。尚、有機酸ナトリウム塩、アミノ酸ナトリウム塩、核酸ナトリウム塩及びリン酸ナトリウム塩が酸性水中油型用増粘剤として用いられることは、これまでに全く知られていなかった。
即ち、本発明(1)は、卵黄を主要な乳化剤とする酸性水中油型乳化食品に用いる増粘剤であって、有機酸ナトリウム塩、アミノ酸ナトリウム塩、核酸ナトリウム塩及びリン酸ナトリウム塩の群より選ばれる1種以上を有効成分とする酸性水中油型乳化食品用増粘剤を提供するものである。
次に、本発明(2)は、油相原料と卵黄を主要な乳化剤として含有する水相原料が乳化されてなる酸性水中油型乳化食品を製造するにあたり、油相原料を65〜85質量%及び水相原料を35〜15質量%の割合で用いると共に、本発明(1)に記載の酸性水中油型乳化食品用増粘剤を0.1〜1.5質量%含有させることを特徴とする酸性水中油型乳化食品の製造方法を提供するものである。
更に、有機酸ナトリウム塩が、酢酸ナトリウムおよび/又はクエン酸三ナトリウムであることを特徴とする本発明(1)記載の酸性水中油型乳化食品用増粘剤を提供するものである。
更に、アミノ酸ナトリウム塩が、グルタミン酸ナトリウムであることを特徴とする本発明(1)記載の酸性水中油型乳化食品用増粘剤を提供するものである。
更に、有機酸ナトリウム塩が、酢酸ナトリウムおよび/又はクエン酸三ナトリウムであることを特徴とする本発明(1)記載の酸性水中油型乳化食品用増粘剤を提供するものである。
更に、アミノ酸ナトリウム塩が、グルタミン酸ナトリウムであることを特徴とする本発明(1)記載の酸性水中油型乳化食品用増粘剤を提供するものである。
更に、本発明(3)は、本発明(2)に記載の製造方法により得られる酸性水中油型乳化食品を提供するものである。
本発明によれば、有機酸ナトリウム塩、アミノ酸ナトリウム塩、核酸ナトリウム塩及びリン酸ナトリウム塩の群より選ばれる1種以上を一定配合の酸性水中油型乳化食品に含有させることによって、粘度の増加した酸性水中油型乳化食品が提供される。 しかも、本発明によれば、多糖類であるキサンタンガムや糊化澱粉の添加により増粘する方法にみられる、口中でのもたつき感や重い食感といった不快な食感を感じたり、又、乾燥卵白を使用した高粘度水中油型乳化食品の技術に見られる、攪拌等のせん断力を与えた場合、急激な粘度低下や水分離を起こしたりするといった問題点もない。よって、食品工業分野において有用である。
本発明の酸性水中油型乳化食品とは、水相原料と油相原料とが主に卵黄により乳化されたものをいい、代表的なものとしてマヨネーズや半固体状ドレッシング類などが挙げられる。
本発明で使用される有機酸ナトリウム塩としては、クエン酸三ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、酢酸ナトリウムなどが挙げられる。アミノ酸ナトリウム塩としては、L−アスパラギン酸ナトリウム、L−グルタミン酸ナトリウムなどが挙げられる。又、核酸ナトリウム塩としては、5’―イノシン酸二ナトリウム、5’―ウリジル酸二ナトリウム及び5’―グアニル酸二ナトリウムなどが挙げられる。更に、リン酸ナトリウム塩としては、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウムなどが挙げられる。 尚、上記の塩類には、ナトリウム塩の他にも、カリウム塩やカルシウム塩があるが、カリウム塩では味覚的に苦味を有するものがあること、又、カルシウム塩では使用品目や使用量等に制限があることなどから、ナトリウム塩が好適に使用される理由である。
本発明で使用される有機酸ナトリウム塩、アミノ酸ナトリウム塩、核酸ナトリウム塩及びリン酸ナトリウム塩は、酸性水中油型乳化食品中に0.1〜1.5質量%含有させることが好ましく、更に0.2〜1.0質量%がより好ましい。 酸性水中油型乳化食品中への添加量が0.1質量%未満では、酸性水中油型乳化食品への増粘効果が期待できず、一方、添加量が1.5質量%を超えると酸性水中油型乳化食品の風味バランスが崩れる恐れがあるため、何れも好ましくない。
本発明の酸性水中油型乳化食品において、有機酸ナトリウム塩、アミノ酸ナトリウム塩、核酸ナトリウム塩及びリン酸ナトリウム塩以外の水相原料については、一般にマヨネーズやドレッシング類の製造に際して使用される原料や、その配合割合に準じて決定すればよく、特に制限されない。通常用いられる水相原料の例としては、水の他に、卵黄、卵白、大豆蛋白、乳蛋白、食塩、食酢、酸味料、乳化剤、糖類、澱粉、かんきつ類の果汁、ガム類、着香料、着色料などがある。
ここで、卵黄を乳化剤として使用することが必須であるが、卵黄としては通常の未変性状態の卵黄液や乾燥卵黄等であればよく、特別な制限はない。例えば、割卵した後、卵白を分離して得られる卵黄液やスプレー乾燥などによる卵黄粉末などが一般的なものであり、必要に応じて、これらを水で希釈したり、或いは水戻ししたりしたものであってもよい。使用される卵黄量は、生卵黄として通常2〜10質量%が好ましく、更に4〜7質量%がより好ましい。2質量%未満の使用量では、本発明の増粘剤の効果が期待できない恐れがあり、一方、10質量%を越えると高油分の際に転相する恐れがあるため、何れも好ましくない。
又、油相原料としては、通常、食品に添加可能な親油性の物質であれば、特に制限が無く、例えば動植物油や、親油性のある香辛料等が挙げられる。植物油としては、常温で液体の菜種油、大豆油、べに花油、ひまわり油、とうもろこし油、しそ油、ごま油等、及び魚油、牛脂、豚脂等の動物油脂が挙げられ、これらを単独で、又は2種以上混合して使用することができる。
本発明の酸性水中油型乳化食品の油相原料と水相原料との割合については、油相原料65〜85質量%に対して、水相原料35〜15質量%が好ましく、更に70〜80質量%がより好ましい。ここで、油相原料の割合が65質量%未満、水相原料が35質量%を超えると、水相の割合が多くなり過ぎ、酸性水中油型乳化食品の粘度が十分に増加しないこと、一方、油相原料の割合が85質量%を超え、水相原料15質量%未満であると、粘度が増加し過ぎて、調製時に転相し易くなるので、何れも好ましくない。
本発明における酸性水中油型乳化食品の製造方法は、既知の手法により行えばよく、例えば、有機酸ナトリウム塩、アミノ酸ナトリウム塩、核酸ナトリウム塩及びリン酸ナトリウム塩の1種以上とそれ以外の水相原料を溶解した後、これに油相原料を加えて、一般的な攪拌機、例えば市販の万能混合攪拌機などにより予備乳化し、次いで、コロイドミル等の乳化機により仕上げ乳化を行う方法により、目的とする酸性水中油型乳化食品を製造することができる。
このようにして製造された酸性水中油型乳化食品の粘度を増加させる場合、通常、多糖類や蛋白などの高分子を水和させてハイドロコロイドとしたり、糖質等を添加して固形分を増加したり、又、油相原料を増加させる方法等が従来から知られているが、本発明の増粘剤による方法は全く知られていない。
本発明では、卵黄を主な乳化剤とする酸性水中油型乳化食品に、有機酸ナトリウム塩、アミノ酸ナトリウム塩、核酸ナトリウム塩及びリン酸ナトリウム塩の1種以上を含有させることにより粘度が増加する機構は明らかではないが、これらの塩類と卵黄との間に相互作用が生じ、卵黄の乳化力が影響を受けるなどした結果、粘度が増加した酸性水中油型乳化食品が得られるものと推測される。
次に、本発明を実施例等により詳しく説明するが、本発明はこれらによって何ら制限されるものではない。
実施例1〜15
(1)酸性水中油型乳化食品の調製
表1に示す配合組成の原料を水中油型に乳化し、実施例1〜15の酸性水中油型乳化食品を調製した。即ち、水相原料である卵黄、食塩、食酢及び水、並びに酸性水中油型乳化食品用増粘剤である酢酸ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸二ナトリウム及びリン酸三ナトリウムを混合・溶解して水相を調製し、この水相に油相原料として菜種油を加え、ホバルト・ミキサー(ホバルト社製)にて予備乳化した。次いで、コロイドミル(クリアランス:4/1,000インチ、回転数:3,000rpm)により、仕上げ乳化を行って、実施例1〜15の酸性水中油型乳化食品を調製した。尚、比較対照例として、上記酸性水中油型乳化食品用増粘剤を使用せず、その代わりに水を使用したこと以外は、実施例1〜15と同様にして比較対照例の酸性水中油型乳化食品を調製した。
実施例1〜15
(1)酸性水中油型乳化食品の調製
表1に示す配合組成の原料を水中油型に乳化し、実施例1〜15の酸性水中油型乳化食品を調製した。即ち、水相原料である卵黄、食塩、食酢及び水、並びに酸性水中油型乳化食品用増粘剤である酢酸ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸二ナトリウム及びリン酸三ナトリウムを混合・溶解して水相を調製し、この水相に油相原料として菜種油を加え、ホバルト・ミキサー(ホバルト社製)にて予備乳化した。次いで、コロイドミル(クリアランス:4/1,000インチ、回転数:3,000rpm)により、仕上げ乳化を行って、実施例1〜15の酸性水中油型乳化食品を調製した。尚、比較対照例として、上記酸性水中油型乳化食品用増粘剤を使用せず、その代わりに水を使用したこと以外は、実施例1〜15と同様にして比較対照例の酸性水中油型乳化食品を調製した。
(2)酸性水中油型乳化食品の粘度測定
上記(1)で得られた実施例1〜15の酸性水中油型乳化食品の粘度(Pa・s)を次のような条件で測定した。即ち、上記(1)で得られた酸性水中油型乳化食品を約200mlの容器に充填し、24℃で1日保管した後、ブルックフィールド粘度計を用い、スピンドル:T−C、回転数:5rpmの条件により測定した。尚、比較対照例の酸性水中油型乳化食品の粘度を1として、実施例1〜15の酸性水中油型乳化食品の相対粘度を算出し、下記に示す3段階の評価により相対粘度を評価した。ここで、相対粘度が1.4未満では、粘度が増加したとは言い難く、相対粘度が1.4を超え2.0未満では、粘度の増加がやや良好、更に、相対粘度が2.0を超えると、粘度の増加が良好とした。結果を表1に示す。
〔相対粘度の評価〕
・相対粘度が2.0を超えるもの : 良好
・相対粘度が1.4を超え、2.0未満のもの : やや良好
・相対粘度が1.4未満のもの : 不良
上記(1)で得られた実施例1〜15の酸性水中油型乳化食品の粘度(Pa・s)を次のような条件で測定した。即ち、上記(1)で得られた酸性水中油型乳化食品を約200mlの容器に充填し、24℃で1日保管した後、ブルックフィールド粘度計を用い、スピンドル:T−C、回転数:5rpmの条件により測定した。尚、比較対照例の酸性水中油型乳化食品の粘度を1として、実施例1〜15の酸性水中油型乳化食品の相対粘度を算出し、下記に示す3段階の評価により相対粘度を評価した。ここで、相対粘度が1.4未満では、粘度が増加したとは言い難く、相対粘度が1.4を超え2.0未満では、粘度の増加がやや良好、更に、相対粘度が2.0を超えると、粘度の増加が良好とした。結果を表1に示す。
〔相対粘度の評価〕
・相対粘度が2.0を超えるもの : 良好
・相対粘度が1.4を超え、2.0未満のもの : やや良好
・相対粘度が1.4未満のもの : 不良
(3)酸性水中油型乳化食品の食感の評価
上記(1)で得られた酸性水中油型乳化食品の食感の評価を、次の3段階で評価した。結果を表1に示す。
〔食感の評価〕
・口中でもたつき感がなく、容易に分散する : 良好
・口中でもたつき感がややあり、やや分散し難い : やや不良
・口中でもたつき感があり、分散し難い : 不良
上記(1)で得られた酸性水中油型乳化食品の食感の評価を、次の3段階で評価した。結果を表1に示す。
〔食感の評価〕
・口中でもたつき感がなく、容易に分散する : 良好
・口中でもたつき感がややあり、やや分散し難い : やや不良
・口中でもたつき感があり、分散し難い : 不良
(4)酸性水中油型乳化食品の粘度及び食感の総合評価
上記(1)で得られた酸性水中油型乳化食品の粘度評価及び食感評価結果より、以下のようにして総合評価を行った。結果を表1に示す。
〔総合評価〕
・粘度及び食感の評価共に良好なもの : 良好
・粘度及び食感の評価が良好とやや良好 : やや良好
との組み合わせのもの
・粘度又は食感の評価が不良なもの : 不良
又はやや不良なもの
上記(1)で得られた酸性水中油型乳化食品の粘度評価及び食感評価結果より、以下のようにして総合評価を行った。結果を表1に示す。
〔総合評価〕
・粘度及び食感の評価共に良好なもの : 良好
・粘度及び食感の評価が良好とやや良好 : やや良好
との組み合わせのもの
・粘度又は食感の評価が不良なもの : 不良
又はやや不良なもの
表1の結果より、次のようなことがわかる。
本発明の酸性水中油型乳化食品用増粘剤である酢酸ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸二ナトリウム及びリン酸三ナトリウムを0.1〜1.0質量%含有させた実施例1〜15の酸性水中油型乳化食品の相対粘度は、何れも1.4〜2.4の値を示しており、粘度の評価として“やや良好〜良好”な結果が得られた。この結果より、本発明の酸性水中油型乳化食品用増粘剤は、増粘剤として適合性のあることがわかる。
本発明の酸性水中油型乳化食品用増粘剤である酢酸ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸二ナトリウム及びリン酸三ナトリウムを0.1〜1.0質量%含有させた実施例1〜15の酸性水中油型乳化食品の相対粘度は、何れも1.4〜2.4の値を示しており、粘度の評価として“やや良好〜良好”な結果が得られた。この結果より、本発明の酸性水中油型乳化食品用増粘剤は、増粘剤として適合性のあることがわかる。
又、実施例1〜15の酸性水中油型乳化食品の食感の評価は、全て“良好”な結果が得られており、本発明の増粘剤を酸性水中油型乳化食品に使用しても、口中でもたつくといった不快な食感を感じないことがわかる。
更に、実施例1〜15の酸性水中油型乳化食品の粘度と食感の総合評価は、“やや良好〜良好”な結果であり、本発明の酸性水中油型乳化食品用増粘剤である、酢酸ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸二ナトリウム及びリン酸三ナトリウムは、増粘剤として有効なことが理解される。
比較例1
実施例1において、酢酸ナトリウムの代わりにキサンタンガムを0.4質量%使用し、全体が100.0質量%となるように水で調整したこと以外は、実施例1と同様にして酸性水中油型乳化食品を調製し粘度と食感を評価し、更に総合評価を行った。 結果を表2に示す。
実施例1において、酢酸ナトリウムの代わりにキサンタンガムを0.4質量%使用し、全体が100.0質量%となるように水で調整したこと以外は、実施例1と同様にして酸性水中油型乳化食品を調製し粘度と食感を評価し、更に総合評価を行った。 結果を表2に示す。
比較例2
実施例1において、酢酸ナトリウムの代わりに化工澱粉(ミラシック606:ステリー社製)を2.0質量%使用し、全体が100.0質量%となるように水で調整したこと以外は、実施例1と同様にして酸性水中油型乳化食品を調製し粘度と食感を評価し、更に総合評価を行った。結果を表2に示す。
実施例1において、酢酸ナトリウムの代わりに化工澱粉(ミラシック606:ステリー社製)を2.0質量%使用し、全体が100.0質量%となるように水で調整したこと以外は、実施例1と同様にして酸性水中油型乳化食品を調製し粘度と食感を評価し、更に総合評価を行った。結果を表2に示す。
比較例3
実施例1において、酢酸ナトリウムの代わりに生卵白を10.0質量%使用し、全体が100.0質量%となるように水で調整したこと以外は、実施例1と同様にして酸性水中油型乳化食品を調製し、粘度と食感を評価し、更に総合評価を行った。結果を表2に示す。
実施例1において、酢酸ナトリウムの代わりに生卵白を10.0質量%使用し、全体が100.0質量%となるように水で調整したこと以外は、実施例1と同様にして酸性水中油型乳化食品を調製し、粘度と食感を評価し、更に総合評価を行った。結果を表2に示す。
表2の結果より、次のようなことがわかる。
本発明の酸性水中油型乳化食品用増粘剤を用いず、その代わりに従来の増粘素材であるキサンタンガム、化工澱粉及び卵白を用いた、比較例1〜3の酸性水中油型乳化食品の相対粘度は4.3〜5.8であり、粘度の評価としては何れも“良好”なものであった。
本発明の酸性水中油型乳化食品用増粘剤を用いず、その代わりに従来の増粘素材であるキサンタンガム、化工澱粉及び卵白を用いた、比較例1〜3の酸性水中油型乳化食品の相対粘度は4.3〜5.8であり、粘度の評価としては何れも“良好”なものであった。
しかしながら、比較例1〜3の酸性水中油型乳化食品の食感については、何れも“やや不良〜不良”の評価結果であり、粘度と食感を合わせた総合評価は何れも“不良”な結果が得られた。
これらの結果より、従来の増粘素材であるキサンタンガム、加工澱粉及び卵白は当然ながら増粘効果はあるものの、これらを用いた酸性水中油型乳化食品では、口中でもたつくといった食感上の問題点のあることが理解される。
Claims (5)
- 卵黄を主要な乳化剤とする酸性水中油型乳化食品に用いる増粘剤であって、有機酸ナトリウム塩、アミノ酸ナトリウム塩、核酸ナトリウム塩及びリン酸ナトリウム塩の群より選ばれる1種以上を有効成分とする酸性水中油型乳化食品用増粘剤。
- 油相原料と、卵黄を主要な乳化剤として含有する水相原料が乳化されてなる酸性水中油型乳化食品を製造するにあたり、油相原料を65〜85質量%及び水相原料を35〜15質量%の割合で用いると共に、請求項1記載の酸性水中油型乳化食品用増粘剤を0.1〜1.5質量%含有させることを特徴とする酸性水中油型乳化食品の製造方法。
- 請求項2記載の製造方法により得られる酸性水中油型乳化食品。
- 有機酸ナトリウム塩が、酢酸ナトリウムおよび/又はクエン酸三ナトリウムであることを特徴とする請求項1記載の酸性水中油型乳化食品用増粘剤。
- アミノ酸ナトリウム塩が、グルタミン酸ナトリウムであることを特徴とする請求項1記載の酸性水中油型乳化食品用増粘剤。
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