JP2011191252A - 金属の表面品質評価方法および金属の表面品質評価装置 - Google Patents

金属の表面品質評価方法および金属の表面品質評価装置 Download PDF

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哲也 岸口
Takashi Ohira
尚 大平
Shigehiko Yamana
成彦 山名
Masashi Torii
正志 鳥井
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Abstract

【課題】表面に形成された酸化被膜の厚さの分布を考慮して金属の品質を自動的に評価することができる金属の表面品質評価方法を提供する。
【解決手段】金属の表面品質評価方法は、被検体の表面の画像を撮像し、画像に含まれる複数の画素における色成分情報を求める撮像工程S1と、予め測定された金属の表面の画像に含まれる画素における色成分情報による色空間上での位置の軌跡、および、金属の表面における色成分情報を求めた位置での酸化被膜の厚さ、の対応関係と、色成分情報の色空間上での位置と、を比較して、画素に対応する酸化被膜の厚さを求める膜厚決定工程S2と、複数の酸化被膜の厚さに対する特定特徴量を求める特徴量決定工程S3と、予め測定された良品/不良品となる金属の特徴量と、特徴量決定工程で求められた特定特徴量とを機械学習により比較して、被検体が良品か不良品かを評価する良品評価工程S4と、を備える。
【選択図】図5

Description

本発明は、表面に形成された酸化被膜により金属の品質を評価する金属の表面品質評価方法および金属の表面品質評価装置に関する。
従来、一般的に、金属を加熱することにより表面に酸化被膜が形成され、その酸化被膜によって金属の表面の色調(テンパーカラー)が変化することが知られている。この性質を利用して、金属の表面に一定の厚さの酸化被膜を意図的に形成させることで、金属の表面に酸化被膜の厚さに対応した色を付けた製品が供給されている。この製品では、酸化被膜による色を均一にするため、酸化被膜の厚さを高精度に均一にすることが求められている。
また、配管の敷設工事では、工場で製作された鋼管を現地で溶接することで、配管の長さを延長している。敷設に使用する鋼管で腐食性のガスの輸送を目的とするものには、ステンレスを中心とする耐食性の鋼管が使用されているが、現地での敷設工事時に行う溶接により溶接部の表面に酸化被膜が形成されると、耐食性が悪くなる。
以上のような酸化被膜に対する品質評価方法として、目視判断による外観検査が行われているが、検査時の判定基準が作業者に依存するため、定量評価や検査速度の高速化が困難となっている。このことから、金属の外観検査の自動化が進められており、たとえば、特許文献1に記載された鋼帯の酸化膜厚測定方法や、特許文献2に記載された外観検査方法が知られている。
特許文献1の鋼帯の酸化膜厚測定方法は、ランプから照射され鋼帯表面で反射された反射光を受光センサーで受光し、この受光した光の明度と色相をカラーセンサーで測定することで金属表面の酸化被膜の厚さを推定するものである。
また、特許文献2に記載された外観検査方法は、金属表面の注目範囲について、黄銅色部分のエネルギー、エントロピー、均一性、および累計条件による水平累積分布を特徴量としたサポートベクターマシーン手法により検査を行うものである
特開平4−43905号公報 特開2009−103498号公報
しかしながら、特許文献1に記載の鋼帯の酸化膜厚測定方法では、鋼帯表面からの反射光を表面の部分ごとに分けて受光していない。このため、1つの鋼帯内での酸化被膜の厚さの分布を求めることができず、目視検査で行っているような、金属全体としての色斑等を考慮した品質を良品、不良品として判定することができないという問題がある。
また、特許文献2に記載の外観検査方法では、ターミナルの品質を評価するのに、ターミナルの表面の生じた酸化被膜厚さを評価していない。酸化被膜厚さは評価の重要な要素なので、評価の精度が向上しない恐れがある。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、表面に形成された酸化被膜の厚さの分布を考慮して金属の品質を自動的に評価することができる金属の表面品質評価方法および金属の表面品質評価装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の金属の表面品質評価方法は、金属である被検体の表面に形成された酸化被膜により前記被検体の品質を評価する金属の表面品質評価方法であって、前記被検体の表面の画像を撮像し、前記画像に含まれる複数の画素における色成分情報を求める撮像工程と、予め測定された前記金属の表面の前記画像に含まれる画素における色成分情報による色空間上での位置の軌跡、および、前記金属の表面における前記色成分情報を求めた位置での酸化被膜の厚さ、の対応関係と、前記撮像工程で測定した前記画素における色成分情報の前記色空間上での位置と、を比較して、それぞれの前記画素に対応する前記酸化被膜の厚さを求める膜厚決定工程と、前記膜厚決定工程で求められたそれぞれの前記酸化被膜の厚さから、複数の前記酸化被膜の厚さに対する最大値、最小値、平均値、分散、標準偏差、中央値、分位点、平均情報量、コントラストおよびエネルギーである特徴量のうち少なくとも一つである特定特徴量を求める特徴量決定工程と、予め測定された良品となる前記金属の前記特徴量および不良品となる前記金属の前記特徴量と、前記特徴量決定工程で求められた前記特定特徴量と、を機械学習により比較して、前記被検体が良品か不良品かを評価する良品評価工程と、を備えることを特徴としている。
なお、ここで言う機械学習とは、人間が自然に行っている学習能力と同様の機能をコンピュータで実現させるための公知の技術・手法のことを意味する。
また、上記の金属の表面品質評価装置において、金属である被検体の表面に形成された酸化被膜により前記被検体の品質を評価する金属の表面品質評価装置であって、前記被検体の表面の画像を撮像し、前記画像に含まれる複数の画素における色成分情報を求める撮像手段と、予め測定された前記金属の表面の前記画像に含まれる画素における色成分情報による色空間上での位置の軌跡、および、前記金属の表面における前記色成分情報を求めた位置での酸化被膜の厚さ、の対応関係を記憶する情報記憶手段と、予め測定された良品となる前記金属の、最大値、最小値、平均値、分散、標準偏差、中央値、分位点、平均情報量、コントラストおよびエネルギーである特徴量、および不良品となる前記金属の前記特徴量を記憶する特徴情報記憶手段と、前記情報記憶手段に記憶された前記色空間上での前記軌跡と前記酸化被膜の厚さとの対応関係と、それぞれの前記画素における色成分情報と、を比較して、それぞれの前記画素に対応する前記酸化被膜の厚さを求める被膜厚さ演算処理手段と、前記被膜厚さ演算処理手段で求められたそれぞれの前記酸化被膜の厚さから、前記酸化被膜の厚さに対する前記特徴量のうち少なくとも一つである特定特徴量を求める特徴量演算処理手段と、前記特徴情報記憶手段に記憶された良品および不良品となる前記金属の前記特徴量と、求められた前記特定特徴量と、を機械学習により比較して、前記被検体が良品か不良品かを評価する評価演算処理手段と、を備えることがより好ましい。
この発明によれば、予め測定された色空間上での色成分情報の軌跡と酸化被膜の厚さとの対応関係を用いて、撮像した画像のそれぞれの画素における色成分情報から酸化被膜の厚さを求める。そして、被検体の酸化被膜の厚さに関する特徴量という最大10種類の値を用いて、機械学習により被検体が良品か不良品かを評価する。
最大値、最小値、平均値、分散、標準偏差、中央値、分位点、平均情報量、コントラストおよびエネルギーである特徴量のうち少なくとも一つである特定特徴量を用いて被検体を評価するので、たとえば、被膜の面積や被膜厚さの広がり方などのような酸化被膜の厚さの分布を考慮しながら、従来の評価方法に比べて、より人間の目視検査に近い評価を自動的に行うことができる。
また、前記色成分情報は、RGB表色系の要素R、G、Bの色成分で示される情報であることがより好ましい。
また、前記特定特徴量が、平均値および分散であることがより好ましい。
また、前記特定特徴量が、最大値、平均値および分散であることがより好ましい。
また、前記特定特徴量が、最大値、最小値、平均値および分散のうちのいずれか1つであることがより好ましい。
また、前記撮像工程では、前記画像に含まれる二次元状に配列されたそれぞれの画素における色成分情報を求めることがより好ましい。この発明によれば、取得する酸化被膜の厚さの分布のデータ量を増やして被検体の表面を精度良く評価することができる。
また、前記撮像工程では、前記画像に含まれる一次元状に配列されたそれぞれの画素における色成分情報を求めることがより好ましい。この発明によれば、取得する酸化被膜の厚さの分布のデータ量を抑え、被検体の表面をより高速に評価することができる。
また、前記機械学習が、サポートベクターマシーン手法であることがより好ましい。この発明によれば、被検体が良品か不良品かの判断が難しい場合であっても、より正確かつ安定性(ロバスト性)を高めて評価することができる。
また、前記被検体の撮像される表面の範囲を、前記撮像手段から前記表面の範囲に向かう方向回りの全周から照明する照明手段をさらに備えることがより好ましい。この発明によれば、被検体の表面に生じる影を低減させ、被検体の表面を安定して撮像することができる。
本発明の金属の表面品質評価方法および金属の表面品質評価装置によれば、表面に形成された酸化被膜の厚さの分布を考慮して金属の品質を自動的に評価することができる。
本発明の実施形態の評価装置の一部を破断して模式的に示した全体図である。 同評価装置の撮像素子の底面図である。 RGB表色系による色空間上での、画素における色成分情報と酸化被膜の厚さとの対応関係を示す説明図である。 各画素の色成分情報から求めた被検体の酸化被膜の厚さを説明する図である。 同評価装置を用いた金属の表面品質評価方法を示すフローチャートである。 本発明の実施形態の変形例の評価装置で各画素の色成分情報から求めた酸化被膜の厚さを説明する図である。
以下、本発明に係る金属の表面品質評価装置(以下、「評価装置」と称する。)の実施形態を、図1から図6を参照しながら説明する。この評価装置は、鉄鋼などの金属である被検体の表面に形成された酸化被膜により被検体の品質を評価する装置である。
鉄鋼は、製鋼時の熱処理や配管敷設時の溶接などの加熱処理が行われる際に、表面に酸化被膜が形成される。この酸化被膜に光が入射して反射すると、光が干渉してテンパーカラーと呼ばれる干渉色が生じる。鉄鋼の干渉色は、酸化被膜の厚さが厚くなるにつれて、一般的に、原色(銀色)、黄色、褐色、紫色、青色の順で変化していくことが知られている。干渉色の変化の仕方は金属の種類により異なる場合があるが、同一の種類の金属においては、酸化被膜の厚さが厚くなるときの干渉色の変化の様子は一定している。
このように、予め、所望の金属の酸化被膜の厚さと干渉色との関係を測定しておけば、その金属において、干渉色から酸化被膜の厚さを求めることができる。本実施形態の評価装置は、被検体の表面の品質を評価するのに、上記の酸化被膜の厚さと干渉色との関係を利用している。
以下の実施形態では、金属が鉄鋼である場合を例にとって説明するが、金属は鉄鋼に限ることなく、銅やアルミニウムなどでもよい。
図1に示すように、本実施形態の評価装置1は、被検体Wの表面W1に照明光L1を発する照明手段2と、表面W1で反射した照明光L1を受光することにより被検体Wの表面W1の画像を撮像してRGB表色系における色成分情報を求める撮像手段3と、予め測定された被検体Wの干渉色(色成分情報)と酸化被膜の厚さとの対応関係を記憶する情報記憶手段4と、予め測定された被検体Wの後述する特徴量を記憶する特徴情報記憶手段5と、被検体Wを評価する演算処理手段6と、演算処理手段6の評価結果を表示する入出力手段7とを備えている。
演算処理手段6は、撮像手段3、情報記憶手段4、特徴情報記憶手段5、入出力手段7とそれぞれ電気的に接続されている。また、入出力手段7は、情報記憶手段4および特徴情報記憶手段5とそれぞれ電気的に接続されている。
被検体Wは、上面が平坦状に形成された検査ステージ10上に載置されている。
照明手段2は、ガラス等の光を透過する材料で略円筒状に形成された導光板11と、円板状に形成され導光板11の上面に取り付けられた第一の光源12と、円筒状に形成され導光板11の外周面に取り付けられた第二の光源13とを有して構成されている。
導光板11は、検査ステージ10の上方に、自身の軸線C1が検査ステージ10の上面の法線と平行になるように配置されている。導光板11の貫通孔11aの下部には、上方に向かうほど縮径する傾斜面11bが形成されている。
第一の光源12の中央部には貫通孔12aが形成されていて、貫通孔12aは、導光板11の貫通孔11aと連通している。
第一の光源12は、下面から下方に向けて照明光L1を発するように構成されている。第一の光源12から発せられた照明光L1は、導光板11の傾斜面11bで屈折された後で被検体Wの表面W1で反射され、貫通孔11a、12a内を通って撮像手段3により撮像される。
同様に、第二の光源13は、内周面から軸線C1側に向けて照明光L1を発するように構成されている。第二の光源13から発せられた照明光L1は、導光板11の傾斜面11bで屈折された後で被検体Wの表面W1で反射され、貫通孔11a、12a内を通って撮像手段3により撮像される。
このように、照明手段2は、撮像手段3から被検体Wの表面W1の撮像される範囲に向かう軸線C1回りの全周から被検体Wを照明するように構成されている。
また、照明手段2、撮像手段3および検査ステージ10は、不図示の固定具により一体に固定されている。検査ステージ10上で被検体Wを移動させることで、撮像手段3は、被検体Wの表面W1を全体にわたり撮像することができる。
撮像手段3は、略円筒状に形成され、導光板11の軸線C1と同軸上であって導光板11の上方に配置されたケーシング14と、ケーシング14内に収容された撮像素子15とを有している。撮像素子15の下面15aは受光面となっていて、下面15aは、導光板11の軸線C1上であって、検査ステージ10の上面に対して平行となるように配置されている。
図2に示すように、撮像素子15の下面15aには、下面15aに平行な第一の軸線Xに平行にm個、下面15aに平行であって第一の軸線Xに直交する第二の軸線Yに平行にn個、合計m×n個の撮像部16が並べて配置されている。本実施形態では、撮像手段3で撮像したときに、1つの撮像部16は、画像に含まれる1つの画素に対応するRGB表色系の要素R(赤色)、G(緑色)、B(青色)の色成分で示される情報である色成分情報を求める。色成分情報は、画素の、RGB表色系のR成分、G成分およびB成分の輝度値であり、各成分の輝度値は0以上の値をとり、R成分、G成分およびB成分の輝度値が大きくなるほど白色に近づく。
このように構成された撮像素子15は、一度の撮像で、m×n個の撮像部16に対応するm×n個の画素による画像を得ることができる。
図1に示すように、演算処理手段6は、酸化被膜の厚さを求める被膜厚さ演算処理手段19と、特徴量を求める特徴量演算処理手段20と、被検体Wが良品か不良品かを評価する評価演算処理手段21とを備えて構成されている。
なお、ここで言う特徴量とは、複数の酸化被膜の厚さに対する最大値、最小値、平均値、分散、標準偏差、中央値、分位点、平均情報量、コントラストおよびエネルギーのことを意味する。このうち、平均値、分散、標準偏差、平均情報量、コントラストおよびエネルギーは、(1)〜(6)式により定められる。
また、ここで言う分位点とは、第1四分位点、第3四分位点などを意味する。
たとえば、平均値は、被検体Wの表面W1での標準的な酸化被膜の厚さを示しており、分散、標準偏差、平均情報量は酸化被膜の厚さの均一さを示している。
Figure 2011191252
入出力手段7は、演算処理手段6の評価結果を表示する液晶ディスプレイなどの表示部7aと、情報記憶手段4および特徴情報記憶手段5に所定の情報を入力するキーボードなどの入力部7bを有している。
次に、以上のように構成された評価装置1において、情報記憶手段4に被検体Wの色成分情報と酸化被膜の厚さとの対応関係を、特徴情報記憶手段5に鉄鋼の特徴量を記憶させる手順について説明する。
予め鉄鋼で形成された実験サンプル(被検体W)に様々な厚さの酸化被膜を形成させ、この実験サンプルを評価装置1の検査ステージ10上に載置する。続いて、照明手段2から照明光L1を発し、実験サンプルの表面で反射した照明光L1の画像を撮像手段3で撮像し、画像に含まれるそれぞれの画素におけるR成分、G成分およびB成分の輝度値を測定する。さらに、超音波膜厚計や電磁膜厚計により、各成分の輝度値を求めた位置での実験サンプルの酸化被膜の厚さを測定する。
そして、対応させて求めた各成分の輝度値と酸化被膜の厚さを、入力部7bから入力して、各成分の輝度値と酸化被膜の厚さとの対応関係である色成分情報・被膜厚さ対応関係を情報記憶手段4に記憶させておく。すると、情報記憶手段4には、図3に示すように、R成分、G成分およびB成分の輝度値を直交座標系の3軸とするRGB表色系の色空間上での、色成分情報による位置J1の軌跡Kが記憶される。
なお、軌跡Kは一定の幅を有しているので、本実施形態では後の計算の便宜のため、軌跡Kの中心軸線C2を算出し、中心軸線C2上における、銀色、黄色、褐色、紫色および青色のそれぞれの干渉色に対応する各位置P1〜P5を求めておく。
また、予め、様々な厚さと様々な分布の酸化被膜を形成させた実験サンプル(被検体W)を品質評価に熟練した作業者に見てもらい、実験サンプルが良品か不良品かを分類しておく。そして、各実験サンプルの表面の画像を評価装置1の撮像手段3で撮像し、画像に含まれる複数の画素における色成分情報を測定して、被膜厚さ演算処理手段19により、情報記憶手段4に記憶された色成分情報・被膜厚さ対応関係から、図4に示すように、各画素における酸化被膜の厚さLを求めさせる。
さらに、特徴量演算処理手段20により、それぞれの酸化被膜の厚さLから、前記特徴量である最大値、最小値、平均値、分散、標準偏差、中央値、分位点、平均情報量、コントラストおよびエネルギーを求めさせる。
そして、実験サンプルの良品/不良品と特徴量とを対応させた良品特徴量対応関係を、特徴情報記憶手段5に記憶させておく。
評価演算処理手段21は、機械学習の一種である公知のサポートベクターマシーン手法により、特徴情報記憶手段5に記憶された良品特徴量対応関係を、良品と不良品との間のマージン(距離)が最大となるように変換する。
次に、以上のように構成された評価装置1を用いた本実施形態の金属の表面品質評価方法について説明する。以下では、特徴量演算処理手段20が求める特定特徴量が、平均値および分散である場合を例にとって説明する。なお、被検体Wの酸化膜の厚さの分布を考慮して品質を評価するために、特定特徴量に分散および標準偏差の少なくとも一つが含まれていることが好ましい。
まず、使用者は、図5に示す撮像工程(S1)において、検査ステージ10上に被検体Wを載置し、照明手段2で照明光L1を被検体Wに照射させる。そして、撮像手段3により被検体Wの表面W1の画像を撮像させ、画像に含まれる二次元状に配列された複数の画素において、それぞれの画素の色成分情報、すなわち、RGB表色系における各成分の輝度情報を求めさせる。
次に、膜厚決定工程(S2)において、演算処理手段6の被膜厚さ演算処理手段19は、図3に示すように、撮像工程(S1)で測定した画素における色成分情報の色空間上での位置J2と、情報記憶手段4に記憶された色成分情報・被膜厚さ対応関係とを比較して、それぞれの画素に対応する酸化被膜の厚さを求める。このとき、たとえば、色空間上での位置J2から最も近い軌跡Kの中心線C2上の点である位置P3を算出することで、撮像工程(S1)で測定した画素に対応する酸化被膜の厚さを求めてもよい。
続いて、特徴量決定工程(S3)において、特徴量演算処理手段20は、膜厚決定工程(S2)で求められたそれぞれの酸化被膜の厚さから、複数の酸化被膜の厚さに対する特徴量のうち、前述の(1)式および(2)式により平均値および分散を求める。
次に、良品評価工程(S4)において、評価演算処理手段21は、サポートベクターマシーン手法によりマージンが最大となるように変換した良品特徴量対応関係と、特徴量決定工程(S3)で求められた特定特徴量とを比較して、被検体Wが良品か不良品かを評価する。
評価演算処理手段21が評価した被検体Wの結果は、表示部7aに送られて表示される。
なお、被検体Wの評価結果を表す音を、表示部7aから鳴らしてもよい。また、被検体Wが良品である場合には、検査結果を保存することにより、被検体Wの表面品質を保証するデータとして提示することができる。
以上説明したように、本実施形態の評価装置1および金属の表面品質評価方法によれば、予め測定された色成分情報・被膜厚さ対応関係を用いて、被検体Wを撮像した画像のそれぞれの画素における色成分情報から酸化被膜の厚さを求める。そして、被検体Wの酸化被膜の厚さに関する特徴量という最大10種類の値を用いて、サポートベクターマシーン手法により被検体Wが良品か不良品かを評価する。
最大値、最小値、平均値、分散、標準偏差、中央値、分位点、平均情報量、コントラストおよびエネルギーである特徴量のうち少なくとも一つである特定特徴量を用いて被検体Wを評価するので、たとえば、被膜の面積や被膜厚さの広がり方などのような酸化被膜の厚さの分布を考慮しながら、従来の評価方法に比べて、より人間の目視検査に近い評価を自動的に行うことができる。
たとえば、酸化被膜の厚さの平均値が互いに等しくても、酸化被膜が厚い部分がある範囲に集中している被検体と、酸化被膜が厚い部分が複数の範囲に分散している被検体とでは、複数の範囲に分散している方が良品となりやすい。
また、特定特徴量が、平均値および分散であるので、被検体Wの被膜厚さの分布を好適に評価することができる。具体的に説明すると、酸化被膜の厚さの分布は、平均値と分散の平方根である標準偏差を用いることで評価することができる。
たとえば、酸化被膜の厚さが平均値を中心として、平均値に対して標準偏差の3倍小さな値から平均値に対して標準偏差の3倍大きな値までの範囲(以下、「平均値に対して上下に標準偏差の3倍の範囲」と称する。)、すなわち、下記の(7)式の範囲内に存在する確率は約88%となることが一般的に知られている。
Figure 2011191252
同様に、酸化被膜の厚さが平均値に対して上下に標準偏差の2倍の範囲、平均値に対して上下に標準偏差の4倍の範囲に存在する確率はそれぞれ約75%、約94%となる。
このように、平均値および分散を特定特徴量とすることで、被検体Wの被膜厚さの分布を好適に評価することができる。
撮像工程(S1)では、画像に含まれる二次元状に配列されたそれぞれの画素における色成分情報を求めるため、取得する酸化被膜の厚さの分布のデータ量を増やして被検体Wの表面W1を精度良く評価することができる。
そして、機械学習がサポートベクターマシーン手法であるため、被検体Wが良品か不良品かの判断が難しい場合であっても、より正確かつ安定性を高めて評価することができる。
また、照明手段2を備えているので、被検体Wの表面W1に生じる影を低減させ、被検体Wの表面W1を安定して撮像し、被検体Wの干渉色を本来の色調を変化させることなく検出することができる。
さらに、照明手段2、撮像手段3および検査ステージ10は、固定具により一体に固定されているので、検査ステージ10上の被検体Wの表面W1を、より安定させた状態で照明手段2で照明して撮像手段3で撮像することができる。
そして、特徴量という最大10種類の値で被検体Wを評価するので、一般的に、画像に含まれる画素の数よりも小さい数で、被検体Wを高速に評価することができる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更等も含まれる。
たとえば、上記実施形態では、撮像工程(S1)において、画像に含まれる二次元状に配列された複数の画素における色成分情報を求めたが、図6に示すように、画像に含まれる一次元状に配列されたそれぞれの画素における色成分情報を求めるように構成してもよい。
このように構成することで、取得する酸化被膜の厚さの分布のデータ量を抑え、被検体Wの表面W1をより高速に評価することができる。
また、上記実施形態では、特定特徴量として平均値および分散を用いたが、特定特徴量として、最大値、平均値および分散を用いてもよい。上記実施形態の最大値、平均値に加えて最大値を用いることで、たとえば、局所的に酸化被膜の厚さが厚いところがある場合でも、酸化被膜の厚さの分布を好適に評価することができる。
また、上記実施形態では、特定特徴量として、最大値、最小値、平均値および分散のうちのいずれか1つを用いてもよい。
そして、上記実施形態では、色成分情報は、RGB表色系の要素R、G、Bの色成分で示される情報であるとした。しかし、色成分情報は、CIE L***表色系の要素L*、a*、b*の色成分で示される情報や、HSV表色系の要素H(色相)、S(彩度)、V(明度)の色成分で示される情報などでもよい。
さらに、上記実施形態では、機械学習としてサポートベクターマシーン手法を用いた。ただし、機械学習はサポートベクターマシーン手法に限定されず、ニューラルネットワークやk近傍識別器などの手法を用いてもよい。
また、外光などにより、検査ステージ10の上面に照射する光の強さが安定しているともに、検査ステージ10上に載置される被検体Wの表面W1に影が生じ難いと考えられる場合には、評価装置1には照明手段2は備えられていなくてもよい。
1 評価装置
2 照明手段
3 撮像手段
4 情報記憶手段
5 特徴情報記憶手段
19 被膜厚さ演算処理手段
20 特徴量演算処理手段
21 評価演算処理手段
K 軌跡
W 被検体
W1 表面

Claims (10)

  1. 金属である被検体の表面に形成された酸化被膜により前記被検体の品質を評価する金属の表面品質評価方法であって、
    前記被検体の表面の画像を撮像し、前記画像に含まれる複数の画素における色成分情報を求める撮像工程と、
    予め測定された前記金属の表面の前記画像に含まれる画素における色成分情報による色空間上での位置の軌跡、および、前記金属の表面における前記色成分情報を求めた位置での酸化被膜の厚さ、の対応関係と、前記撮像工程で測定した前記画素における色成分情報の前記色空間上での位置と、を比較して、それぞれの前記画素に対応する前記酸化被膜の厚さを求める膜厚決定工程と、
    前記膜厚決定工程で求められたそれぞれの前記酸化被膜の厚さから、複数の前記酸化被膜の厚さに対する最大値、最小値、平均値、分散、標準偏差、中央値、分位点、平均情報量、コントラストおよびエネルギーである特徴量のうち少なくとも一つである特定特徴量を求める特徴量決定工程と、
    予め測定された良品となる前記金属の前記特徴量および不良品となる前記金属の前記特徴量と、前記特徴量決定工程で求められた前記特定特徴量と、を機械学習により比較して、前記被検体が良品か不良品かを評価する良品評価工程と、
    を備えることを特徴とする金属の表面品質評価方法。
  2. 前記色成分情報は、RGB表色系の要素R、G、Bの色成分で示される情報であることを特徴とする請求項1に記載の金属の表面品質評価方法。
  3. 前記特定特徴量が、平均値および分散であることを特徴とする請求項1または2に記載の金属の表面品質評価方法。
  4. 前記特定特徴量が、最大値、平均値および分散であることを特徴とする請求項1または2に記載の金属の表面品質評価方法。
  5. 前記特定特徴量が、最大値、最小値、平均値および分散のうちのいずれか1つであることを特徴とする請求項1または2に記載の金属の表面品質評価方法。
  6. 前記撮像工程では、前記画像に含まれる二次元状に配列されたそれぞれの画素における色成分情報を求めることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の金属の表面品質評価方法。
  7. 前記撮像工程では、前記画像に含まれる一次元状に配列されたそれぞれの画素における色成分情報を求めることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の金属の表面品質評価方法。
  8. 前記機械学習が、サポートベクターマシーン手法であることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の金属の表面品質評価方法。
  9. 金属である被検体の表面に形成された酸化被膜により前記被検体の品質を評価する金属の表面品質評価装置であって、
    前記被検体の表面の画像を撮像し、前記画像に含まれる複数の画素における色成分情報を求める撮像手段と、
    予め測定された前記金属の表面の前記画像に含まれる画素における色成分情報による色空間上での位置の軌跡、および、前記金属の表面における前記色成分情報を求めた位置での酸化被膜の厚さ、の対応関係を記憶する情報記憶手段と、
    予め測定された良品となる前記金属の、最大値、最小値、平均値、分散、標準偏差、中央値、分位点、平均情報量、コントラストおよびエネルギーである特徴量、および不良品となる前記金属の前記特徴量を記憶する特徴情報記憶手段と、
    前記情報記憶手段に記憶された前記色空間上での前記軌跡と前記酸化被膜の厚さとの対応関係と、それぞれの前記画素における色成分情報と、を比較して、それぞれの前記画素に対応する前記酸化被膜の厚さを求める被膜厚さ演算処理手段と、
    前記被膜厚さ演算処理手段で求められたそれぞれの前記酸化被膜の厚さから、前記酸化被膜の厚さに対する前記特徴量のうち少なくとも一つである特定特徴量を求める特徴量演算処理手段と、
    前記特徴情報記憶手段に記憶された良品および不良品となる前記金属の前記特徴量と、求められた前記特定特徴量と、を機械学習により比較して、前記被検体が良品か不良品かを評価する評価演算処理手段と、
    を備えることを特徴とする金属の表面品質評価装置。
  10. 前記被検体の表面の撮像される範囲に、前記撮像手段から前記表面の前記撮像される範囲に向かう方向回りの全周から照明光を発する照明手段をさらに備えることを特徴とする請求項9に記載の金属の表面品質評価装置。
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