JP2011191058A - 水中探知装置および水中探知方法 - Google Patents

水中探知装置および水中探知方法 Download PDF

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Abstract

【課題】雑音成分のレベルによる影響を抑圧して、より確実な探知画像を形成する。
【解決手段】ビーム形成前処理部13は、各送受波器からの受波信号に対してTVG処理等のプレ増幅処理を行う。受信ビーム形成部14は、プレ増幅処理後の受波信号を用いて、所望の方向を最大感度方向とする受信ビーム信号を形成する。雑音計測部31は、エコー成分を含まない受波信号から雑音成分レベルを検出する。補正ゲイン決定部32は、雑音成分レベルと、ビーム形成前処理部13のダイナミックレンジの最大値と、TVG処理のゲインとに基づいて、追加ゲインを算出する。補正ゲイン決定部32は、ビーム形成後処理部16のデフォルトのゲインと追加ゲインとを加算して補正ゲイン係数を設定し、ビーム形成後処理部16へ与える。ビーム形成後処理部16は、与えられた補正ゲイン係数で受信ビーム信号を増幅する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、水中に超音波を送信し、対象物での反射エコーを受信することで、水中探知を行う水中探知装置および水中探知方法に関するものである。
従来、水中に超音波を送信し、対象物からの反射エコーを受信して、水中の探知画像を形成する魚群探知機やスキャニングソナー等の水中探知装置が、例えば、特許文献1に示すように各種考案されている。
このような水中探知装置は、一般的に次に示す反射エコーから処理で探知画像を形成する。超音波の反射エコー信号を受波し、電気信号に変換して、受波信号を生成する。ビーム形成前処理として、受波信号に対してフィルタ処理や増幅処理を施す。ビーム形成前処理後の受波信号を用いて、位相合成方式により受信ビーム信号を形成する。受信ビーム信号の雑音成分をフィルタ処理し、表示用の増幅を行う。表示用の増幅処理を行った受信ビームに基づいて探知画像を形成する。
特開2007−64768号公報
上述のような従来の水中探知装置では、送受波器が目的とするエコー信号のみでなく各種の雑音も受波してしまう。したがって、受波信号には、エコー信号と雑音成分とが含まれる。このような雑音成分には、いろいろな要因によるものが含まれるが、主なものとして、自船が航行する際に発生する自船航行雑音がある。
このような雑音成分が目的とするエコー信号よりも大きい場合には、当該エコー信号を十分に増幅できなくなるという問題が生じる。
具体的には、次のような内容によるものである。図1は従来の問題を説明する為の図であり、図1(A)はエコー信号のレベルが雑音成分のレベルよりも高い場合を示し、図1(B)はエコー信号のレベルが雑音成分のレベルよりも低い場合を示す。
受波信号は、信号レベルが低い信号である。このため、受信ビームを形成するには、ビーム形成前処理として、受波信号を或程度の信号レベルまで増幅しなければならない。この時、増幅率が大きい、つまり、ビーム形成前処理時に受波信号の振幅成分をダイナミックレンジの最大値まで増幅すると、反射エコー信号が飽和し、大小の振幅がダイナミックレンジ最大値に等しくなり、大小の振幅情報が失われる。しかし、このような増幅処理では、位相情報を残しており、当該位相情報により受信ビームを形成することができる。そして、このような増幅処理を行うことで、信号レベルの大小にあわせてゲインを調整しなくても、適度な信号出力になる。このため、通常、ビーム形成前処理時には、位相情報を残しつつ飽和レベルまで受波信号を増幅している。
ここで、図1(A)に示すように、SNが高く、反射エコー信号のレベルが雑音成分のレベルよりも高ければ、増幅率は反射エコー信号のレベルで決まる。これにより、受波信号を飽和レベルまで増幅することで、反射エコー信号も当該レベルまで十分に増幅できる。
一方、図1(B)に示すように、SNが低く、反射エコー信号よりも雑音成分が高いと、増幅率は雑音成分のレベルで決まる。したがって、受波信号を飽和レベルまで増幅しても、目的とする反射エコー信号を十分に増幅できず、信号レベルが不足する。このため、ビーム化して雑音成分を除去した後の受信ビーム信号、すなわち探知画像の形成に利用する信号においても、信号レベルが低いままとなる。これにより、対象物の正確な表示ができない可能性もあった。
また、このような雑音成分が高い状況では、雑音成分のレベルの変化に応じて、反射エコー信号の増幅率が変化してしまう。これにより、探知性能が雑音成分のレベルによる影響を受けていた。
本発明の目的は、雑音成分のレベルによる影響を抑圧して、より確実な探知画像を形成できる水中探知装置および水中探知方法を実現することにある。
この発明は、水中に送信された超音波が対象物で反射して得られるエコーを受波して探知画像を形成する水中探知装置に関するものである。水中探知装置は、ビーム形成前処理部、受信ビーム形成部、補正ゲイン決定部、および、ビーム形成後処理部を備える。ビーム形成前処理部は、受波信号を増幅処理する。受信ビーム形成部は、増幅処理された受波信号から受信ビーム信号を形成する。補正ゲイン決定部は、受波信号に含まれる雑音成分のレベルに基づいて、ビーム形成後処理部へ与える補正ゲインを決定する。ビーム形成後処理部は、補正ゲインを用いて受信ビーム信号を増幅処理する。
上述の課題に示すように、受波信号の雑音成分のレベルが高く、ビーム形成前処理部では雑音成分が飽和レベルに達してしまい、目的のエコー信号が十分に増幅されず、ゲイン不足となる。
このような課題を解決するため、この構成では、雑音成分のレベルと飽和レベルとに基づいて補正ゲインを設定する。ビーム形成後処理部では、この補正ゲインを用いることで、ビーム形成前処理部での目的とするエコー信号の不足したゲインを、補うように増幅処理を行う。これにより、探知画像として利用する際には、目的のエコー信号は、雑音成分のレベルに影響を受けることなく、所望の増幅処理を受けたものと同じになる。
また、この発明の水中探知装置のビーム形成前処理部は、一つの受波信号を構成する時系列に列ぶ信号に、時系列で変化させたゲイン係数を乗算することで、受波信号を増幅する。補正ゲイン決定部は、時系列で変化させたゲイン係数と雑音成分のレベルと飽和レベルとに基づいて、補正ゲインを構成する時系列の補正ゲイン係数を設定する。
この構成では、上述の補正ゲインの具体的内容を示している。具体的には、ビーム形成前処理部で、時系列で変化させたゲイン係数による処理(以下、「TVG処理」と称する。)を行う場合を示す。
また、この発明の水中探知装置の補正ゲイン決定部は、時系列で変化させたゲイン係数から飽和レベルと雑音成分のレベルとの差を減じた減算値を、補正ゲイン係数に設定する。
この構成では、上述のTVG処理を用いる場合のより具体的な補正ゲインの決定内容を示している。TVG処理では、雑音成分のレベルがエコー信号のレベルより高く、雑音成分のレベルと飽和レベルとの差(以下、「飽和マージン」と称する。)が、TVG処理によるゲインよりも小さくなると、エコー信号に対するゲイン不足が生じる。そして、このTVG処理のゲインから飽和マージンを減算した減算値が不足するゲイン量に相当する。したがって、この不足するゲイン量を補うように補正ゲインを決定すれば、本来、ビーム形成前処理部でTVG処理により得られたはずのゲインを、ビーム形成後処理部にてエコー信号へ与えることができる。
また、この発明の水中探知装置の補正ゲイン決定部は、時系列で変化させたゲイン係数から飽和レベルと雑音成分のレベルとの差で減じた減算値が零よりも大きい場合に、当該減算値に基づく補正ゲイン係数を設定する。
この構成では、上述のTVG処理に対する補正ゲインの決定の内容をさらに具体的に示している。上述のように、飽和マージンに対してTVG処理のゲインが高ければ、ビーム形成前処理部でのゲイン不足が生じるが、逆に飽和マージンに対してTVG処理のゲインが低ければ、ゲイン不足は生じない。したがって、飽和マージンに対してTVG処理のゲインが低い場合には、ビーム形成後処理部に与えるゲインの補正を行わず、飽和マージンに対してTVG処理のゲインが高い場合にのみゲインの補正を行う。これにより、探知画像形成時において、元のTVG処理に、より近いゲイン補正が可能となる。
また、この発明の水中探知装置の補正ゲイン決定部は、雑音成分のレベルを、受信ビームの方位毎に取得し、該方位毎に前記補正ゲイン係数を決定する。
この構成では、上述の補正ゲイン係数の決定内容を、さらに具体的に示している。このように、受信ビームの方位毎に補正ゲイン係数を決定することで、上述のゲイン不足が方位毎に異なっていても、正確なゲイン補正が可能になる。
また、この発明の水中探知装置の補正ゲイン決定部は、ゲインの基本方位特性を記憶しており、雑音成分のレベルに応じて、基本方位特性をレベル方向にオフセットさせることで、補正ゲインを決定する。
この構成では、雑音成分のレベルの方位特性が予め把握できる状況において、ビーム形成後処理部でのゲインの基本方位特性を記憶しておく。そして、雑音成分のレベルに応じて、ゲインの基本方位特性をレベル方向に沿ってオフセットして補正すれば、雑音成分のレベルに応じた補正ゲインが設定される。これにより、ビーム形成後処理部では、雑音成分のレベルに応じた受信ビーム信号の増幅が可能になる。
また、この発明の水中探知装置の補正ゲイン決定部は、オフセット処理を用いる場合に、特定の一方位の雑音成分のレベルを用いて、補正ゲインを決定する。
この構成では、上述のオフセット処理の基準の決定に対する具体的内容を示している。上述のように、ゲインの基本方位特性は予め決まっているので、特定の一方位の雑音成分のレベルさえ得られれば、当該特定の一方位に対する雑音成分の基準レベルと比較することでオフセット処理は可能である。そして、このように一方位だけにすることで、雑音成分のレベルの計測やオフセット処理が簡素化され、補正ゲインの決定処理全体を簡素化することができる。
また、この発明の水中探知装置で設定する特定の一方位は、送受波器を基準にした船尾方向である。
この構成では、上述の特定の一方位を船尾方向としている。航行中の船舶では、船尾に備えられたスクリューによる自船航行雑音のレベルが高い。また、スクリューが発する雑音を直接計測することにより、船体の動揺に対して安定な計測が行える。したがって、当該船尾方向を特定の一方位とし、各方位の補正ゲインを基本方位特性に基づき決定することにより、補正ゲインの決定を安定して行える。
また、この発明の水中探知装置は、雑音成分のレベルを計測する雑音計測部を備える。この雑音計測部は、帯域通過フィルタ、雑音信号形成部、およびレベル算出部を備える。
帯域通過フィルタは、ビーム形成前処理部で処理する受信ビーム信号の形成用の周波数帯域とは異なる周波数帯域を通過帯域とする。雑音信号生成部は、帯域通過フィルタによるフィルタ処理後の信号から雑音信号を形成する。レベル算出部は、雑音信号のレベルを計測して雑音成分のレベルを算出する。
この構成では、上述の補正ゲイン係数の決定の際に必要となる雑音成分のレベルの具体的計測内容を示している。この構成を用いることで、探知用の受波信号の周波数帯域成分を用いることなく、雑音成分のレベルを計測できる。これにより、別の雑音計測用のマイク等を用いることなく、探知用の超音波を送受波しながら、雑音成分のレベルを計測できる。また、この構成を用いることで、方位別に雑音成分のレベルを計測することができる。
また、この発明の水中探知装置の帯域通過フィルタは、受信ビーム信号の形成用の周波数帯域の高周波側を通過帯域とする第1の帯域通過フィルタと、受信ビーム信号の形成用の周波数帯域の低周波側を通過帯域とする第2の帯域通過フィルタとを備える。雑音信号形成部は、第1の帯域通過フィルタによるフィルタ処理後の信号と、第2の帯域通過フィルタによるフィルタ処理後の信号とのそれぞれで指向性付き雑音信号を形成する。レベル算出部は、それぞれのフィルタ処理後の雑音信号を用いて雑音成分のレベルを算出する。
この構成では、上述の雑音成分のレベルの計測構成を、より具体的に示している。このような構成とすることで、ホワイトノイズのみでなく、受波信号に比較的近い周波数の雑音成分のレベルを計測することができる。
また、この発明の水中探知装置の雑音信号生成部は、該帯域通過フィルタによるフィルタ処理後の信号から受信ビームと同じ指向性からなる指向性付き雑音信号を形成する。
この構成では、具体的な雑音信号として、指向性付きの雑音信号を用いる場合を示している。
この発明によれば、雑音成分のレベルに起因する目的のエコー信号のゲイン不足を解消して、より確実な探知画像を形成できる。
従来の問題を説明する為の図である。 第1の実施形態の水中探知装置1の構成を示すブロック図である。 第1の実施形態における補正ゲイン係数の決定方法を説明するための図である。 第1の実施形態における補正ゲイン係数の決定方法を説明するための図である。 雑音レベルが変化した際の補正ゲイン係数の変化を説明する図である。 第2の実施形態で利用しメモリに記憶された補正ゲイン係数の基本特性を示す図である。 実測雑音成分レベルと雑音成分基本レベルとに基づく補正ゲイン係数のオフセットを示す図である。 第3の実施形態に係る雑音計測部31の具体的構成を示すブロック図である。 ビーム形成前処理部13に備えられた帯域通過フィルタの通過特性と、帯域通過フィルタ311H,311Lの通過特性とを示す図である。
本発明の第1の実施形態に係る水中探知装置について、図を参照して説明する。 まず、本実施形態の水中探知装置1の概略構成を示す。図2は、本実施形態の水中探知装置1の構成を示すブロック図である。
送受波部10は、複数の送受波器が所定パターンで配列されている。例えば、送受波部10は、円筒形の筐体を備える。筐体の表面には、複数の超音波振動子が、円筒の延びる方向および円周方向に沿って配列形成されている。これら超音波振動子が送受波器となる。
送受波部10には、送受切替器11が接続されている。送受切替器11は、送信制御部12からの送信制御信号を送受波部10へ出力し、送受波部10からの受波信号をビーム形成前処理部13および雑音計測部31へ出力する。
送受波部10の各送受波器には、送受切替器11を介して、送信制御部12から送信制御信号が与えられる。送信制御部12は、複数の送受波器から送波する超音波パルスにより、所定の送信ビームが形成されるように、各送受波器に与える送信制御信号を設定する。
送受波部10の各送受波器は、当該送信制御信号により駆動され、それぞれに超音波パルスを水中へ送波する。送受波部10の各送受波器は、超音波パルスが魚群や海底等の対象物に反射したエコーを受波し、電気信号に変換して受波信号として出力する。各受波信号は、送受切替器11を介してビーム形成前処理部13へ入力される。
ビーム形成前処理部13は、各受波信号に対して、処理レートを低減させる時間軸上での間引き処理や、受信ビーム形成を行うための前処理となるフィルタ処理や増幅処理を行う。具体的には、ビーム形成前処理部13は、所定のサンプリングレートで、受波信号をサンプリングした後、次に示す構成による前処理を行う。ビーム形成前処理部13は、受波信号の周波数帯域を通過帯域とする帯域通過フィルタと、フィルタ処理後の受波信号を増幅するプレ増幅部とを備える。帯域通過フィルタを用いて受波信号をフィルタ処理することで、通過帯域外の周波数の雑音成分を所定レベル抑圧することができる。プレ増幅部は、時系列に増幅率を変化させながら受波信号を増幅するTVG(Time Variable Gain)処理を含むプレ増幅処理を行う。
ここで、TVG処理をより具体的に説明する。受波信号は、送波タイミングを基準として、順次継続的に送受波器で受波される信号である。したがって、同じ方位すなわち一つの受波信号内であっても、送受波器に近い対象物で反射されたエコーは、早いタイミングで現れる。一方、送受波器から遠い対象物で反射されたエコーは、距離に応じて遅延したタイミングで現れる。すなわち、一つの受波信号内において、送受波器から対象物までの距離に応じた時間遅延で、対象物のエコーが現れる。
また、送波される超音波およびそのエコーは水中で距離に応じて減衰する。したがって、送受波器から対象物までの距離に応じて、同じ対象物であっても、距離が遠い程、エコーレベルが小さくなっていく。
TVG処理では、一つの受波信号に対して、基準タイミングからの時間経過量に応じて、図3に示すように振幅の増幅率を変化させる。図3は、TVG処理の時間軸におけるゲイン特性を示す図である。このように、距離に応じた基準タイミングからの時間に応じて、距離減衰量(例えば、1/(距離の4乗))に応じた増幅率を設定する。これにより、上述の距離減衰を補正する。
なお、ビーム形成前処理部13のプレ増幅部は、このようなTVG処理を行う際に、受波信号が、当該プレ増幅部のダイナミックレンジの最大値に達しても、位相情報は保持されるように増幅処理が行われる。
受信ビーム形成部14は、前処理された各受波信号を用いて、既知の位相合成方式によるマルチビーム形成処理を行う。これにより、受信ビーム形成部14は、それぞれに所望とする方位を最大感度方向とする複数の受信ビーム信号を形成する。形成された複数の受信ビーム信号は、フィルタ処理部15へ出力される。
フィルタ処理部15は、各受信ビーム信号をフィルタ処理することで、受信ビーム信号に含まれる雑音成分を抑圧する。フィルタ処理後の受信ビーム信号は、ビーム形成後処理部16へ出力される。
このような受信ビーム信号の形成処理とともに、本実施形態の水中探知装置1では、受波信号に基づいて雑音計測を行い、当該雑音成分のレベルに応じた補正ゲインを決定する。
雑音計測部31は、具体的な雑音計測方法の例は後述する実施形態で示すが、各受波信号に基づいて雑音成分のレベルを計測する。この際、雑音計測部31は、少なくとも受信ビーム形成部14で生成される複数の受信ビーム信号の最大感度方位(以下、「受信ビームの方位」と称する。)毎に、雑音成分レベルを計測する。計測された雑音成分レベルは、補正ゲイン決定部32へ与えられる。
補正ゲイン決定部32は、計測された雑音成分のレベルと、上述のビーム形成前処理部13のゲイン特性とに基づいて、補正ゲイン係数を決定する。決定した補正ゲイン係数は、ビーム形成後処理部16へ与えられる。
図4は、補正ゲイン係数の決定方法を説明するための図である。図4(A)は、雑音成分レベルが十分に低い場合のTVG特性とビーム形成前処理部13のプレ増幅部のダイナミックレンジとの関係を示す図である。図4(B)は、雑音成分レベルが高い場合のTVG特性とビーム形成前処理部13のプレ増幅部のダイナミックレンジとの関係、および、実際のプレ増幅部による増幅特性を示す図である。図4(C)は、雑音成分レベルが高い図4(B)の場合におけるビーム形成後処理部16での補正ゲイン特性を示す図である。図4(D)は本実施形態の補正ゲインを用いた場合のエコーの増幅の状態を示す図である。なお、図4(D)では、飽和レベルまでの増幅処理を行った場合を示している。
補正ゲイン決定部32は、雑音成分レベルを取得すると、ビーム形成前処理部13のダイナミックレンジの最大値との差分である飽和マージンを算出する。
(飽和マージン)=(ダイナミックレンジmax)−(雑音成分レベル)
この際、補正ゲイン決定部32は、計測した雑音成分レベル毎、すなわち各方位の雑音成分レベル毎に、飽和マージンを算出する。
補正ゲイン決定部32は、ビーム形成前処理部13のTVG特性による距離位置毎(時間軸のサンプリングされた位置毎)におけるゲインを予め記憶している。
補正ゲイン決定部32は、TVG特性を構成する各ゲインと飽和マージンとの差分値を追加ゲインとして算出する。
(追加ゲイン)=(TVG特性のゲイン)−(飽和マージン)
ここで、図4(A)に示すように、雑音成分レベルが十分に低ければ、飽和マージンが大きくなる。そして、図4(A)に示すように、飽和マージンが時間軸上で常にTVG特性のゲインよりも大きければ、追加ゲインは「0」未満となる。この場合、雑音成分レベルによるビーム形成前処理部13でのゲイン不足は生じず、受波信号は、時間軸上の全サンプルにおいてTVGが有効に効いている。したがって、追加ゲインは「0」とする。これにより、不必要なゲインの追加を行わない。
この場合、補正ゲイン決定部32は、予め設定したデフォルトのゲインのみによる補正ゲイン係数をビーム形成後処理部16へ与える。なお、デフォルトのゲインは、探知画像の形成用に、受信ビーム信号のレベルを底上げするためのものであり、例えば距離(時間)によらず一定であり、外部からの設定も可能である。
一方、図4(B)に示すように、雑音成分レベルが高くなると、飽和マージングが小さくなる。この場合、受波信号における所定時間位置(距離位置)までは、飽和マージンがTVG特性のゲインよりも大きいが、当該時間位置以降は、飽和マージンがTVG特性のゲインよりも小さくなる。この場合、ビーム形成前処理部13では、ダイナミックレンジmaxで振幅レベルが規制され、予め設定したTVG特性通りの増幅を行うことができなくなる。これにより、図4(B)の太実線に示すような実際のゲイン特性となる。この結果、所定時間位置以降に、ゲイン不足領域が発生し、時間位置毎に個別の不足ゲインが生じる。そして、この不足ゲインが追加ゲインと同じレベルとなる。
補正ゲイン決定部32は、上述の算出処理により、追加ゲインが「0」より大きい範囲に対しては、当該算出された追加ゲインを、予め設定したデフォルトのゲインに加算することで、補正ゲイン係数を決定する。
(補正ゲイン係数)=(デフォルトのゲイン)+(追加ゲイン)
一方、補正ゲイン決定部32は、上述の算出処理により、追加ゲインが「0」以下範囲に対しては、予め設定したデフォルトのゲインのみで補正ゲイン係数を決定する。
(補正ゲイン係数)=(デフォルトのゲイン)
補正ゲイン決定部32は、決定した補正ゲイン係数を、ビーム形成後処理部16へ与える。
ビーム形成後処理部16は、補正ゲイン決定部32からの補正ゲイン係数に基づいて、受信ビーム信号を増幅処理し、表示制御部17へ出力する。この際、受信ビーム信号は、ビーム形成時やフィルタ処理部15のフィルタ処理により雑音成分が抑圧されているので、エコー成分のみが有効に増幅される。表示処理部17は、ビーム形成後処理部16にて増幅処理された受信ビーム信号に基づいて表示画像を形成し、表示器等へ出力する。
そして、上述のように追加ゲインが施された補正ゲイン係数を用いて、ビーム形成後処理部16が受信ビーム信号を増幅することで、図4(D)に示すように、ビーム形成前処理部13で十分に増幅されなかったエコーが、ビーム形成後処理部16により十分なレベル(図4(D)では飽和レベル)にまで増幅される。これにより、受波信号の雑音成分レベルが高くても、対象物のエコーを、より確実に探知画像化し、表示できる。
なお、上述の説明では、一つの方位についてのみ示しているが、このような補正ゲイン係数の決定処理は、受信ビーム信号の方位毎に行うことが望ましい。これにより、方位毎、受信ビーム信号毎に、最適な補正ゲイン係数が設定される。この結果、全ての方位に対して、対象物のエコーを、より確実に探知画像化して表示できる。
また、このように受信ビーム信号毎に補正ゲイン係数を形成することが望ましいが、雑音成分レベルを全方位で平均化したり、最小値を採用したり、最大値を採用する等の代表値化してもよい。この場合、当該代表値による補正ゲイン係数を、全方位に採用する。これにより、補正ゲイン係数の設定を簡素化することができる。また、方位を船首方向領域、船側方向領域、船尾方向領域に分類し、領域毎に雑音成分レベルおよび補正ゲイン係数を設定してもよい。
また、上述の説明では、TVG特性のゲインが常に飽和マージンより小さい場合と、TVG特性のゲインが時間軸上の途中点(成長開始点)から飽和マージンよりも大きくなる一例のみを示した。ここで、継続的に雑音成分レベルを計測した場合には、低速航行から高速航行へ推移した場合等のように、雑音成分レベルが変動することが当然にあり得る。しかしながら、本実施形態の構成および処理を用いると、このように雑音成分レベルの変動に応じて、図5(A),(B)に示すように、前記途中点(成長開始点)が時間軸上で移動し、ゲイン不足領域の不足ゲイン(追加ゲイン)も変動に応答してレベル変化する。図5は雑音レベルが変化した際の補正ゲイン係数の変化を説明する図であり、図5(A)は雑音成分レベルが相対的に高い状態を示し、図5(B)は雑音成分レベルが相対的に低い状態を示す。
これにより、雑音成分レベルが変化するような状況であっても、当該変化の影響を抑圧して、常に受信ビーム信号を必要十分に増幅することができる。
次に、第2の実施形態に係る水中探知装置について、図を参照して説明する。
本実施形態の水中探知装置は、第1の実施形態に示した水中探知装置に対して、補正ゲイン係数の決定方法が異なる。本実施形態の水中探知装置は、補正ゲイン決定部32以外の構成および処理は第1の実施形態の水中探知装置と同じである。従って、補正ゲイン決定部32の処理およびこれに関連する箇所のみを説明する。
一般に、雑音成分の方位特性は、送受波部10の配置環境に応じて或程度定まる。したがって、ビーム形成前処理部13のプレ増幅部で増幅される受波信号のうち、雑音成分の影響を大きく受ける方位と、受け難い方位とが存在し、方位毎にエコーに対するプレ増幅部の増幅処理の効き方が異なる。例えば、船舶の船体中央の船底に送受波部10を設置した場合で船舶が航行中の場合、水平面領域では、当該送受波部10を基準にして船尾方向の雑音成分のレベルが高く、船側方向を介して船首方向に向かうに従って、雑音成分のレベルが低くなる。また、垂直面領域では、自船近傍の水平面付近での雑音成分のレベルが高く、送受波部10に対して鉛直下方向に向かうに従って、雑音成分のレベルが低くなる。これらは、自船のスクリューによる航行雑音によるものである。そして、航行速度が速くなれば、速度に応じて雑音成分のレベルが高くなり、航行速度が遅くなれば、速度に応じて雑音成分のレベルも低くなる。
このように雑音成分のレベルが方位毎に変化すれば、方位毎で、上述の第1の実施形態に示したような雑音成分レベルによるエコーのゲイン不足が生じる。
本実施形態では、このような雑音成分の方位特性を利用して、計測した雑音成分のレベルから、ゲインの方位特性をオフセット処理して、ビーム形成後処理部16の補正ゲイン係数を設定する。具体的には、以下に示す方法を用いる。なお、以下では水平面での探知画像を形成する水平モードの場合を例に示すが、鉛直方向断面の探知画像を形成する垂直モードや、水平方向や垂直方向に対して所定の角度で交わる斜断面の探知画像を形成するモードにも、以下の概念を適用することができる。
雑音計測部31は、受波信号に基づいて、船尾方向の雑音成分レベルを計測する。雑音計測部31は、各送受波器の配置と船首方向(船尾方向)との関係から、予め船尾方向に最大収音感度を有するような送受波器の組合せおよびビーム形成方法を記憶しておく。そして、雑音計測部31は、当該組合せの送受波器からの受波信号を用いて、設定した重み付け加算法やビーム形成方法で、指向性付き雑音信号を形成することで、船尾方向の雑音成分レベルを計測する。なお、ここでは、船尾方向の雑音成分レベルを計測する例を示したが、他の方位の雑音レベルを計測してもよい。ただし、船尾方向の雑音成分レベルは自船の航行雑音が支配的であり、他の方位よりも、より安定した雑音成分レベルを計測することができる。また、船体の動揺に対して安定な雑音成分計測が可能になる。
補正ゲイン決定部32は、補正ゲイン係数の基本特性を記憶するメモリを備えている。図6は、本実施形態で利用しメモリに記憶された補正ゲイン係数の基本特性を示す図である。
メモリに記憶される補正ゲイン係数は、図6に示すように方位特性を有するものであり、各ゲインは、予め設定した所定の航行速度(雑音成分レベル)でのゲイン値を示す。
補正ゲイン決定部32は、雑音計測部31からの船尾方向の雑音成分レベル(実測雑音成分レベル)と、予め記憶された補正ゲイン係数の基本特性に対応する雑音成分レベル(雑音成分基準レベル)とを比較する。
補正ゲイン決定部32は、実測雑音成分レベルと雑音成分基準レベルとの差分値に基づいて、オフセット値を算出する。この際、補正ゲイン決定部32は、実測雑音成分レベルが雑音成分基本レベルよりも大きければ((実測雑音成分レベル)>(雑音成分基本レベル))、差分値に応じた正値(>0)のオフセット値を算出する。一方、補正ゲイン決定部32は、実測雑音成分レベルが雑音成分基本レベルよりも小さければ((実測雑音成分レベル)<(雑音成分基本レベル))、差分値に応じた負値(<0)のオフセット値を算出する。
補正ゲイン決定部32は、当該オフセット値を、補正ゲイン係数の基本特性に加算することで、ビーム形成後処理部16へ与える補正ゲイン係数を、方位毎すなわち受信ビーム信号毎に決定する。図7(A)は、実測雑音成分レベルが雑音成分基本レベルよりも大きい場合の補正ゲイン係数のオフセットを示す図であり、図7(B)は実測雑音成分レベルが雑音成分基本レベルよりも大きい場合の補正ゲイン係数のオフセットを示す図である。
ビーム形成後処理部16は、与えられた補正ゲイン係数に基づいて、受信ビーム信号毎に増幅処理を行う。
このような構成および処理を用いることでも、雑音成分のレベルに応じた補正ゲイン係数が可能であり、ビーム形成前処理部13でのゲイン不足を、ビーム形成後処理部16で補うことができる。
なお、本実施形態の説明では、補正ゲイン係数の基本特性のみをメモリに記憶しておく例を示したが、予め船尾方向の雑音成分レベル毎に、補正ゲイン係数の方位特性を設定してメモリに記憶しておいてもよい。この場合、補正ゲイン決定部32は、実測雑音成分レベルと、メモリに記憶された補正ゲイン係数毎に関連付けされた雑音成分レベルとを比較し、最も差分の少ない補正ゲイン係数の方位特性を選択する。補正ゲイン決定部32は、選択した補正ゲイン係数をビーム形成後処理部16へ与える。このような方法を用いれば、単にゲインレベルのオフセットのみでなく、ゲインレベルの方位変化特性等を雑音成分レベル毎に異らせるような場合に有効である。また、これら雑音成分レベル毎の補正ゲイン係数を予め記憶しておけば、実測雑音成分レベルとの比較のみで、雑音成分レベル毎の補正ゲイン係数を読み出して、容易に設定することができる。
次に、第3の実施形態に係る水中探知装置について、図を参照して説明する。
上述の各実施形態では、雑音成分レベルに基づいて、ビーム形成後処理部16の補正ゲイン係数を適応処理している。このため、雑音成分レベルが状況に応じて確実且つ精度良く計測できることが望ましい。したがって、本実施形態では、上述の雑音計測部31の具体的構成および雑音成分レベルの具体的な計測方法について説明する。なお、水中探知装置における雑音計測部31以外の構成は、上述の第1の実施形態もしくは第2の実施形態に示した構成であるので、説明は省略する。図8は、雑音計測部31の具体的構成を示すブロック図である。
雑音計測部31は、帯域通過フィルタ311H,311L、指向性決定部312H,312L、実効値算出部313H,313L、および雑音成分レベル算出部314を備える。
帯域通過フィルタ311H,311Lは、各受波信号に対して帯域通過のフィルタ処理を行う。帯域通過フィルタ311H,311Lは、上述のビーム形成前処理部13で利用するエコーを含む周波数帯域とは異なる周波数帯域を通過帯域とする。
図9は、ビーム形成前処理部13に備えられた帯域通過フィルタの通過特性と、帯域通過フィルタ311H,311Lの通過特性とを示す図である。図9に示すように、例えば、帯域通過フィルタ311Hは、ビーム形成前処理部13に備えられた帯域通過フィルタの通過帯域よりも高周波数側に設定されている。帯域通過フィルタ311Hの通過帯域は、ビーム形成前処理部13に備えられた帯域通過フィルタの通過帯域と重ならないように設定されている。また、帯域通過フィルタ311Lは、ビーム形成前処理部13に備えられた帯域通過フィルタの通過帯域よりも低周波数側に設定されている。また、帯域通過フィルタ311Lの通過帯域は、ビーム形成前処理部13に備えられた帯域通過フィルタの通過帯域と重ならないように設定されている。このように通過帯域を設定することで、エコーの周波数帯域を含む受波信号によるビーム形成処理を行いながら、当該エコーの影響を受けることなく、雑音計測することができる。
指向性決定部312Hは、受波信号を帯域通過フィルタ311Hで帯域通過処理してなる雑音計測用信号を用いて、与えられた方位情報の示す方向が最大感度となるような指向性付き雑音信号を生成する。
指向性決定部312Lは、受波信号を帯域通過フィルタ311Lで帯域通過処理してなる雑音計測用信号を用いて、与えられた方位情報の示す所望の方向が最大感度となるような指向性付き雑音信号を生成する。
指向性決定部312H,312Lに与えられる方位情報は、例えば送受波部に対して船尾の方向を示すような一つの方位であってもよく、受信ビーム形成部14で形成する複数の受信ビームの最大感度の方位と同じ複数の方位であってもよい。
指向性の設定方法としては、例えば、重み付け加算法を用いることができる。重み付け加算法では、所望の方向に送受波面が向く送受波器からの雑音計測用信号に最も大きな重み付けを行い、送受波面が向く方向と所望の方向との成す角が大きくなるほど、それぞれの送受波器からの雑音計測用信号の重み付けを小さくしていく。そして、これらの重み付けを行った各雑音計測用信号を重み付け平均による加算処理する。これにより、ホワイトノイズのように位相を揃えられないような雑音成分であっても所望の方向に最大感度を有する指向性を設定することができる。
また、指向性決定部312H,312Lに入力される雑音計測用信号は、それぞれ帯域通過フィルタ311H,311Lで帯域制限されている。したがって、これら雑音計測用信号を所定の周波数帯域幅を有する信号として、位相合成処理によりビーム化すれば、所望の方向に最大感度を有する指向性の指向性付き雑音信号を生成することができる。
実効値算出部313Hは、指向性決定部312Hから順に入力される指向性付き雑音信号を用いて、当該指向性付き雑音信号の実効値を算出する。
指向性付き雑音信号の実効値算出には、次の方法を用いるとよい。
(1)所定時間(例えば所定数のサンプリングタイミング間)内の指向性付き雑音信号の電力を加算し、平均値処理した後に平方根を算出する。指向性付き雑音信号の瞬時値をf(t)とし、実効値をVrmsとすると、次式で実現できる。
(2)まず、所定時間(例えば所定数のサンプリングタイミング間)内の指向性付き雑音信号の振幅を加算して、平均値処理する。当該平均値に基づいて実効値を近似計算する。指向性付き雑音信号の瞬時値をf(t)とし、実効値をVrmsとすると、次式で実現できる。
このように算出された指向性付き雑音信号の実効値は、雑音成分レベル算出部314へ入力される。
雑音成分レベル算出部314は、同じ方位に対する実効値算出部313Hからの指向性付き雑音信号の実効値と実効値算出部313Lからの指向性付き雑音信号の実効値とを用いて、当該方位の実効値の代表値を算出する。代表値としては、例えば、最小値、最大値、平均値があり、平均値であれば、相加平均や相乗平均のいずれを用いてもよい。
特に、最小値を用いる場合には、いずれかの帯域の雑音計測用信号(指向性付き雑音信号も同様)に突発的で瞬時的なノイズが含まれていても、当該突発的で瞬時的なノイズの影響を抑圧できる。
また、上述のようにビーム形成用の周波数帯域に対して、高周波数側と低周波数側とで雑音計測用信号を取得し、平均値を用いた場合であれば、船速の変化等により雑音成分の周波数分布特性が平坦でなくなっても、平均値処理することで、この影響を緩和できる。これにより、雑音計測用信号の二つの周波数帯域の中間に存在するビーム形成用の周波数帯域における雑音成分を、周波数分布特性の変化の影響を受けることなく、正確に算出できる。
雑音成分レベル算出部314は、指向性付き雑音信号の実効値の代表値を用いて、次式から単位周波数帯域(1Hz帯域幅)当たりの雑音成分レベルNL[dBμPa/(Hz)1/2]を算出する。次式において、Vrmst[V]は指向性付き雑音信号の実効値の代表値、DI[dB]は指向性利得、ME[dBV/dBμPa]は送受波器受波電圧感度、G[dB]は指向性付き雑音信号の実効値を算出するまでの系における受信ゲイン、B[Hz]は帯域通過フィルタ311H,311Lの帯域幅である。
NL=20・log(Vrmst)−10・log(B)+DI−G−ME
そして、雑音成分レベル算出部314は、算出された単位周波数当たりの雑音成分レベルNLに、ビーム形成前処理部13の帯域通過フィルタの周波数帯域幅を乗算することで、所望の方位の雑音成分レベルを算出する。算出された雑音成分レベルは、上述のように補正ゲイン決定部32へ出力される。
このような構成および処理を行うことで、所望の方位の雑音成分レベルを正確に算出することができる。これにより、上述の第1実施形態や第2実施形態に示したような補正ゲイン係数を、より正確に決定することができる。
また、このような構成とすることで、雑音成分レベルを計測するための個別の受波器、例えば無指向性ハイドロフォン等を備える必要が無い。
また、エコーを含む受波信号から受信ビーム信号を形成するのに平行して、雑音成分レベルを計測することができる。これにより、各受信ビーム信号の元となる受波信号の雑音成分レベルをリアルタイムに計測することができる。これにより、より実状に即した補正ゲイン係数を決定することができる。
なお、本実施形態では、指定された所望の方位の雑音成分レベルを算出する例を示している。しかしながら、全方位に対して一つの雑音成分レベルを設定する場合であれば、全方位における複数方位の雑音成分レベルを算出し、上述のような代表値処理を行った後に、補正ゲイン決定部32へ出力すればよい。
また、上述の第1の実施形態および第2の実施形態は個別に説明したが、これらの実施形態を組み合わせることもできる。これにより、距離方向のゲイン補正と方位方向のゲイン補正とを同時に行うことができる。
また、上述の第1、第2の実施形態では、ビーム形成後処理部16で増幅する際の補正ゲイン係数を、補正ゲイン決定部32で決定して、ビーム形成後処理部16へ与える例を示している。しかしながら、補正ゲイン決定部32では、追加ゲインのみを算出してビーム形成後処理部16に与え、ビーム形成後処理部16が、予め記憶しているデフォルトのゲインに対して追加ゲインを加算することで、補正ゲイン係数を決定し、増幅処理してもよい。
1−水中探知装置、10−送受波部、11−送受切替器、12−送信制御部、13−ビーム形成前処理部、14−受信ビーム形成部、15−フィルタ処理部、16−ビーム形成後処理部、17−表示制御部、311H,311L−帯域通過フィルタ、312H,312L−指向性決定部、313H,313L−実効値算出部、314−雑音成分レベル算出部

Claims (15)

  1. 水中に送信された超音波が対象物で反射して得られるエコーを受波して探知画像を形成する水中探知装置であって、
    受波信号を増幅処理するビーム形成前処理部と、
    前記増幅処理された受波信号から受信ビーム信号を形成する受信ビーム形成部と、
    前記受波信号に含まれる雑音成分のレベルに基づいて補正ゲインを決定する補正ゲイン決定部と、
    前記補正ゲインを用いて前記受信ビーム信号を増幅処理するビーム形成後処理部と、
    を備える、水中探知装置。
  2. 請求項1に記載の水中探知装置であって、
    前記ビーム形成前処理部は、一つの受波信号を構成する時系列に列ぶ信号に、時系列で変化させたゲイン係数を乗算することで、受波信号を増幅し、
    前記補正ゲイン決定部は、前記時系列で変化させたゲイン係数と前記雑音成分のレベルと飽和レベルとに基づいて、前記補正ゲインを構成する時系列の補正ゲイン係数を設定する、水中探知装置。
  3. 請求項2に記載の水中探知装置であって、
    前記補正ゲイン決定部は、前記時系列で変化させたゲイン係数から前記飽和レベルと前記雑音成分のレベルとの差を減じた減算値を、前記補正ゲイン係数に設定する、水中探知装置。
  4. 請求項3に記載の水中探知装置であって、
    前記補正ゲイン決定部は、前記時系列で変化させたゲイン係数から前記飽和レベルと前記雑音成分のレベルとの差を減じた減算値が零よりも大きい場合に、当該減算値に基づく前記補正ゲイン係数を設定する、水中探知装置。
  5. 請求項2乃至請求項3のいずれかに記載の水中探知装置であって、
    前記補正ゲイン決定部は、前記雑音成分のレベルを、前記受信ビームの方位毎に取得し、該方位毎に前記補正ゲイン係数を決定する、水中探知装置。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の水中探知装置であって、
    前記補正ゲイン決定部は、ゲインの基本方位特性を記憶しており、前記雑音成分のレベルに応じて、前記基本方位特性をレベル方向にオフセットさせることで、前記補正ゲインを決定する、水中探知装置。
  7. 請求項6に記載の水中探知装置であって、
    前記補正ゲイン決定部は、特定の一方位の雑音成分のレベルを用いて、前記補正ゲインを決定する、水中探知装置。
  8. 請求項7に記載の水中探知装置であって、
    該水中探知装置は、船舶に装備され、前記特定の一方位は、送受波器を基準にした船尾方向である、水中探知装置。
  9. 請求項1乃至請求項8の何れかに記載の水中探知装置であって、
    前記雑音成分のレベルを計測する雑音計測部を備え、
    該雑音計測部は、
    前記ビーム形成前処理部で処理する前記受信ビーム信号の形成用の周波数帯域とは異なる周波数帯域を通過帯域とする帯域通過フィルタと、
    該帯域通過フィルタによるフィルタ処理後の信号から雑音信号を形成する雑音信号形成部と、
    前記雑音信号のレベルを計測して前記雑音成分のレベルを算出するレベル算出部と、を備える、水中探知装置。
  10. 請求項9に記載の水中探知装置であって、
    前記帯域通過フィルタは、前記受信ビーム信号の形成用の周波数帯域の高周波側を通過帯域とする第1の帯域通過フィルタと、前記受信ビーム信号の形成用の周波数帯域の低周波側を通過帯域とする第2の帯域通過フィルタとを備え、
    前記雑音信号形成部は、前記第1の帯域通過フィルタによるフィルタ処理後の信号と、前記第2の帯域通過フィルタによるフィルタ処理後の信号とのそれぞれで雑音信号を形成し、
    前記レベル算出部は、それぞれのフィルタ処理後の雑音信号を用いて前記雑音成分のレベルを算出する、水中探知装置。
  11. 請求項9または請求項10に記載の水中探知装置であって、
    前記雑音信号形成部は、該帯域通過フィルタによるフィルタ処理後の信号から、前記受信ビームと同じ指向性からなる指向性付き雑音信号を形成する、水中探知装置。
  12. 水中に送信された超音波が対象物で反射して得られるエコーを受波して探知画像を形成する水中探知方法であって、
    受波信号を増幅処理するビーム形成前処理工程と、
    前記増幅処理された受波信号から受信ビーム信号を形成する受信ビーム形成工程と、
    前記受波信号に含まれる雑音成分のレベルに基づいて、補正ゲインを決定する補正ゲイン決定工程と、
    前記補正ゲインを用いて前記受信ビーム信号を増幅処理するビーム形成後処理工程と、
    を有する、水中探知方法。
  13. 請求項12に記載の水中探知方法であって、
    前記ビーム形成前処理工程では、一つの受波信号を構成する時系列に列ぶ信号に、時系列で変化させたゲイン係数を乗算することで、受波信号を増幅し、
    前記補正ゲイン決定工程では、前記時系列で変化させたゲイン係数と前記雑音成分のレベルと飽和レベルとに基づいて、前記補正ゲインを構成する時系列の補正ゲイン係数を設定する、水中探知方法。
  14. 請求項12または請求項13に記載の水中探知方法であって、
    前記補正ゲイン決定工程では、ゲインの基本方位特性を記憶しており、前記雑音成分のレベルに応じて、前記基本方位特性をレベル方向にオフセットさせることで、前記補正ゲインを決定する、水中探知方法。
  15. 請求項12乃至請求項14の何れかに記載の水中探知方法であって、
    前記雑音成分のレベルを計測する雑音計測工程を有し、
    該雑音計測工程では、
    前記ビーム形成前処理部で処理する前記受信ビーム信号の形成用の周波数帯域とは異なる周波数帯域を通過帯域処理する工程と、
    該帯域通過フィルタによるフィルタ処理後の信号から雑音信号を形成する工程と、
    前記雑音信号のレベルを計測して前記雑音成分のレベルを算出する工程と、を有する、水中探知方法。
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