この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
本実施の形態では、まず、本発明におけるファンが適用される貫流ファンの構造について説明し、続いて、その貫流ファンが用いられる空気調和機(エアーコンディショナ)および貫流ファンの製造時に使用される成型用金型の構造について説明する。
[実施の形態1]
(貫流ファンの構造の説明)
図1は、この発明の実施の形態1における貫流ファンを示す側面図である。図2は、図1中のII−II線上に沿った貫流ファンを示す断面斜視図である。
図1および図2を参照して、本実施の形態における貫流ファン(クロスフローファン)100は、複数のファンブレード21を有する。貫流ファン100は、全体として略円筒形の外観を有し、複数のファンブレード21は、その略円筒形の周面に配置されている。貫流ファン100は、樹脂により一体に形成されている。貫流ファン100は、図中に示す仮想上の中心軸101を中心に、矢印103に示す方向に回転する。
貫流ファン100は、回転する複数のファンブレード21によって、回転軸である中心軸101に直交する方向に送風するファンである。貫流ファン100は、中心軸101の軸方向から見た場合に、中心軸101に対して一方の側の外側空間からファンの内側空間に空気を取り込み、さらに取り込んだ空気を中心軸101に対して他方の側の外側空間に送り出すファンである。貫流ファン100は、中心軸101に直交する平面内において中心軸101に交差する方向に流れる空気流れを形成する。貫流ファン100は、中心軸101に平行な平面状の吹き出し流れを形成する。
貫流ファン100は、家庭用の電気機器などのファンに適用される低レイノズル数領域の回転数で使用される。
貫流ファン100は、中心軸101の軸方向に並べられた複数の羽根車12が組み合わさって構成されている。各羽根車12において、複数のファンブレード21は中心軸101を中心に周方向に互いに間隔を隔てて設けられている。
貫流ファン100は、支持部としての外周枠13をさらに有する。外周枠13は、中心軸101を中心に環状に延在するリング形状を有する。外周枠13は、端面13aおよび端面13bを有する。端面13aは、中心軸101の軸方向に沿った一方の方向に面して形成されている。端面13bは、端面13aの裏側に配置され、中心軸101の軸方向に沿った他方の方向に面して形成されている。
外周枠13は、中心軸101の軸方向において隣り合う羽根車12間に介在するように設けられている。
互いに隣り合って配置された図1中の羽根車12Aおよび羽根車12Bに注目すると、羽根車12Aに設けられる複数のファンブレード21は、端面13a上に立設され、中心軸101の軸方向に沿って板状に延在するように形成されている。羽根車12Bに設けられる複数のファンブレード21は、端面13b上に立設され、中心軸101の軸方向に沿って板状に延在するように形成されている。
図2中には、貫流ファン100の回転軸である中心軸101に直交する平面で切断した場合のファンブレード21の翼断面が示されている。
ファンブレード21は、内周側翼先端部28および外周側翼先端部29を有する。内周側翼先端部28は、ファンブレード21の内周側の端部に配置されている。外周側翼先端部29は、ファンブレード21の外周側の端部に配置されている。ファンブレード21は、内周側翼先端部28から外周側翼先端部29に向けて中心軸101を中心とする周方向に傾斜して形成されている。ファンブレード21は、内周側翼先端部28から外周側翼先端部29に向けて貫流ファン100の回転方向に傾斜して形成されている。
ファンブレード21には、正圧面25および負圧面24からなる翼面23が形成されている。正圧面25は、貫流ファン100の回転方向の側に配置され、負圧面24は、正圧面25の裏側に配置されている。貫流ファン100の回転時、翼面23上で空気流れが発生するのに伴って、正圧面25で相対的に大きく、負圧面24で相対的に小さくなる圧力分布が生じる。ファンブレード21は、正圧面25側が凹となり、負圧面24側が凸となるように、内周側翼先端部28と外周側翼先端部29との間で全体的に曲がった形状を有する。
ファンブレード21は、中心軸101の軸方向におけるいずれの位置で切断されても同一の翼断面を有するように形成されている。ファンブレード21は、内周側翼先端部28と外周側翼先端部29との間で薄肉の翼断面を有するように形成されている。ファンブレード21は、内周側翼先端部28と外周側翼先端部29との間でほぼ一定の厚み(正圧面25と負圧面24との間の長さ)を有するように形成されている。
本実施の形態における貫流ファン100においては、各ファンブレード21の形状および配置が、複数のファンブレード21間で「外周側翼先端角」および「内周側翼先端角」が所定の関係を満たすように決定されている。まず、貫流ファン100の構造を説明するに当たって用いられる「外周側翼先端角」および「内周側翼先端角」の各用語の意味について説明する。
図3は、「外周側翼先端角」および「内周側翼先端角」を示す図である。図3を参照して、図中には、ファンブレード21の翼断面の厚み方向(正圧面25と負圧面24とを結ぶ方向)における中心線106が示されている。中心線106は、ファンブレード21の翼断面を正圧面25側と負圧面24側とに分けるように翼断面中を延びている。ファンブレード21は、中心線106が外周側翼先端部29に交わる位置に外縁部27を有し、中心線106が内周側翼先端部28に交わる位置に内縁部26を有する。中心線106は、外縁部27と内縁部26との間で連続的に延びている。
また、図中には、外縁部27における中心線106に対する接線337と、内縁部26における中心線106に対する接線339とが示されている。図中に示す例では、中心線106が外縁部27および内縁部26において湾曲しているが、直線状に延びている場合、接線337および接線339は、それぞれ、外縁部27および内縁部26における中心線106に重なることになる。
さらに図中には、貫流ファン100の回転中心である中心軸101と、外縁部27とを通る直線336が示され、貫流ファン100の回転中心である中心軸101と、内縁部26とを通る直線338が示されている。
この場合に、直線336と接線337とがなす角度βが、外周側翼先端角であり、直線338と接線339とがなす角度γが、内周側翼先端角である。外周側翼先端角は、中心軸101と外縁部27とを通る直線336を基準に、外縁部27において外周側翼先端部29がなす角度を意味する。内周側翼先端角は、中心軸101と内縁部26とを通る直線338を基準に、内縁部26において内周側翼先端部28がなす角度を意味する。図中に示す外周側翼先端角βおよび内周側翼先端角γは、90°よりも小さい。
図4は、図1中の貫流ファンにおいて、ファンブレードの形状および配置を示す断面図である。図4を参照して、本実施の形態における貫流ファン100においては、複数のファンブレード21が、複数種類のファンブレード21A,21B,21C,21D,21E,21F,21Gから構成されている。ファンブレード21A〜21Gは、互いに異なる形状の翼断面を有する。ファンブレード21A〜21Gの各ファンブレードは、複数ずつ設けられている。
図5は、ファンブレードの翼断面を拡大して示す断面図である。図中には、代表的に、図4中のファンブレード21Dの翼断面が示されている。図6は、図4中に示す複数種類のファンブレードを互いに重ねた状態を示す図である。
図4から図6を参照して、複数のファンブレード21は、各ファンブレード21の外周側翼先端角βが複数のファンブレード21間において互いに等しくなり、かつ各ファンブレード21の内周側翼先端角γが複数のファンブレード21間において互いに等しくなるように設けられている。図4中に示す範囲でいえば、ファンブレード21A〜21Gの外周側翼先端角βは、互いに等しくなり、ファンブレード21A〜21Gの内周側翼先端角γは、互いに等しくなる。
さらに、複数のファンブレード21は、ファンの回転軸である中心軸101を中心に回転させ、1つのファンブレード21に重ねた場合に、内縁部26および外縁部27のいずれか一方が互いに一致して配置され、内縁部26および外縁部27のいずれか他方が互いにずれて配置されるファンブレード21A〜21Gを含む。
本実施の形態では、図6中に示すようにファンブレード21A〜21Gを中心軸101を中心に回転させた場合に、各ファンブレードの内縁部26がファンブレード21A〜21G間で互いに一致し、各ファンブレード21の外縁部27がファンブレード21A〜21G間で互いにずれる。図6中において、外周側翼先端部29側のファンブレード21の翼断面は、互いに位置ずれして配置され、内周側翼先端部28側のファンブレード21の翼断面は、互いに重なり合って配置される。
ファンブレード21は、ファンブレード21の翼断面の中心線106が内縁部26と外縁部27との間の複数箇所で屈曲する屈曲部41を有する。本実施の形態では、ファンブレード21が内縁部26と外縁部27との間の2箇所で屈曲部41を有する。ファンブレード21は、外縁部27に隣り合う位置に屈曲部41qを有し、内縁部26および外縁部27の間の翼中央部に屈曲部41pを有する。屈曲部41qにおいて、中心線106は屈曲角度θqだけ折れ曲がり、屈曲部41pにおいて、中心線106は屈曲角度θpだけ折れ曲がる。
ファンブレード21A〜21Gは、各ファンブレード間で屈曲角度θqおよび屈曲角度θpが互いに異なるように形成されている。
より具体的には、ファンブレード21Aでは、屈曲部41qが負圧面24側で凸となり、正圧面25側で凹となるように形成されている(θq<180°)。ファンブレード21B,21C,21D,21E,21F,21Gとなるに従って、屈曲角度θqが徐々に大きくなり、ファンブレード21Gでは、屈曲部41qが正圧面25側で凸となり、負圧面24側で凹となるように形成されている(θq>180°)。ファンブレード21Aから、ファンブレード21B,21C,21D,21E,21F,21Gとなるに従って、屈曲角度θqが大きくなるのに伴い、屈曲部41pにおける屈曲角度θpが徐々に小さくなる。この際、屈曲部41pは、内周側翼先端部28側でファンブレード21A〜21Gの翼断面が重なった状態を維持するように屈曲角度θpを変化させる。
これにより、ファンブレード21の形状は、屈曲部41pの位置を固定したまま外周側翼先端部29側の翼断面がその厚み方向に変位するように変化する。結果、ファンブレード21A〜21G間で外周側翼先端角βおよび内周側翼先端角γのそれぞれが互いに等しくなり、かつ、外縁部27が互いに位置ずれする構成が得られる。
屈曲部41による屈曲構造によってファンブレード21の強度を向上させることができる。この結果、貫流ファン100が薄肉の翼断面を有する樹脂製ファンであるにもかかわらず、ファンの強度に対する信頼性を向上させることができる。また、強度を向上させた分だけファンブレード21を薄肉化することも可能となる。これにより、貫流ファン100を軽量化したり、低コスト化したりすることができる。
なお、本実施の形態では、屈曲部41は、角部をなすように折れ曲がって形成されているが、丸みを帯びるように折れ曲がって形成されてもよい。この場合、ファンブレード21の翼断面は、屈曲部41においてS字をなすように延伸する。また、屈曲部41が角部をなす場合であっても、ファンブレード21を樹脂成型用の金型から抜き取る工程を考慮して、屈曲部41は多少の丸みを有してもよい。
図7は、図1中の貫流ファンにおいて、ファンブレードの配列を模式的に示す図である。図7を参照して、ファンブレード21A,21B,21C,21D,21E,21F,21Gは、中心軸101を中心とする周方向において不規則(ランダム)な順番で並ぶように配列されている。すなわち、ファンブレード21A〜21Eが、規則性を持った順番(たとえば、ファンブレード21A→21B→21C→21D→21E→21F→21G→21A→21B→21C→21D→21E→21F→21G→21A→21B…といった順番)で繰り返し並ばないように配列されている。
図7中に示す例では、中心軸101を中心にその時計回り方向に、ファンブレード21C,21G,21E,21A,21D,21F,21B,21A,21B,21C,21D,21E,21F,21G,21B,21D,21G,21F,21A,21C,21Eが順に並んでいる。
なお、上記の例では、7種類のファンブレード21A〜21Gを1セットと考えて、ファンブレード21A〜21Gの並びが異なる複数のセットを順に配置する構成としたが、これに限られず、たとえば、ファンブレード21A〜21Gの各ファンブレードを複数ずつ準備し、その中から適当なファンブレードを選択して順に並べる構成としてもよい。また、全体として規則性を持たずにファンブレード21A〜21Gが配列されれば、特定種類のファンブレードが連続して並んでもよい。また、貫流ファン100に使用されるファンブレード21A〜21Gの各ファンブレードの数は、全てが同じでなくてもよい。また、貫流ファン100に使用されるファンブレード21の全てが、互いに異なる翼断面形状を有してもよい。使用されるファンブレード21の種類の数は、好ましくは3種類以上であり、より好ましくは4種類以上である。
図1および図7を参照して、複数のファンブレード21は、隣接するファンブレード21間のピッチ(図7中において、隣接するファンブレード21間で中心軸101と内縁部26とを通る直線がなす角度η)がランダムとなるように配列されている。このようなランダムピッチは、たとえば、複数のファンブレード21を乱数正規分布に従って不等間隔に配置することにより実現される。
複数の羽根車12は、ファンブレード21の配列が互いに同一となるように形成されている。すなわち、各羽根車12において、複数のファンブレード21を配列する間隔と、その間隔で配列されるファンブレード21の順番とは、複数の羽根車12間で同一である。
なお、複数のファンブレード21は、ランダムピッチに限られず、等ピッチに配列されてもよい。
複数の羽根車12は、中心軸101の軸方向から見た場合に隣接する羽根車12間でずらし角度Tが生じるように積層されている。たとえば、挙げる順に隣り合って配置された図1中の羽根車12A、羽根車12Bおよび羽根車12Cに注目すると、羽根車12Bは、羽根車12Aに対して、羽根車12Aおよび羽根車12Bの全てのファンブレード21が中心軸101の軸方向において重なる位置から、中心軸101を中心にずらし角度Tだけずれるように積層されている。さらに、羽根車12Cは、羽根車12Bに対して、羽根車12Bおよび羽根車12Cの全てのファンブレード21が中心軸101の軸方向において重なる位置から、中心軸101を中心にずらし角度T(羽根車12Aから見れば2T)だけずれるように積層されている。
以上に説明した、この発明の実施の形態1における貫流ファン100の構造についてまとめて説明すると、本実施の形態におけるファンとしての貫流ファン100は、周方向に互いに間隔を隔てて配列される複数の羽根部としてのファンブレード21を備える。ファンブレード21には、ファンの回転方向の側に配置される正圧面25と、正圧面25の裏側に配置される負圧面24とからなる翼面23が形成される。ファンブレード21は、ファンの回転軸としての中心軸101に直交する平面により切断された場合に、正圧面25と負圧面24との間の中心線106が内周側の翼先端としての内周側翼先端部28に交わる内縁部26と、中心線106が外周側の翼先端としての外周側翼先端部29に交わる外縁部27とを有する。ファンの回転に伴って、翼面23上には内縁部26と外縁部27との間を流れる流体流れとしての空気流れが発生する。
ファンの回転中心である中心軸101および外縁部27を通る直線336と、外縁部27における中心線106の接線337とがなす角度を外周側翼先端角βと規定する。ファンの回転中心である中心軸101および内縁部26を通る直線338と、内縁部26における中心線106の接線339とがなす角度を内周側翼先端角γと規定する。この場合に、複数のファンブレード21は、外周側翼先端角βおよび内周側翼先端角γのそれぞれが複数のファンブレード21間において互いに等しくなるように設けられる。複数のファンブレード21は、ファンの回転軸である中心軸101を中心に回転させ、1つのファンブレード21に重ねた場合に、内縁部26および外縁部27のいずれか一方としての内縁部26が互いに一致して配置され、内縁部26および外縁部27のいずれか他方としての外縁部27が互いにずれて配置される第1羽根部および第2羽根部としてのファンブレード21A〜21Gを含む。
(空気調和機および成型用金型の構造の説明)
図8は、図1中の貫流ファンが用いられる空気調和機を示す断面図である。図8を参照して、空気調和機210は、室内に設置され、室内側熱交換器229が設けられる室内機220と、室外に設置され、室外側熱交換器および圧縮機が設けられる図示しない室外機とから構成されている。室内機220および室外機は、室内側熱交換器229と室外側熱交換器との間で冷媒ガスを循環させるための配管により接続されている。
室内機220は、送風機215を有する。送風機215は、貫流ファン100と、貫流ファン100を回転させるための図示しない駆動モータと、貫流ファン100の回転に伴って、所定の気流を発生させるためのケーシング222とから構成されている。
ケーシング222は、キャビネット222Aおよびフロントパネル222Bを有する。キャビネット222Aは、室内の壁面に支持されており、フロントパネル222Bは、キャビネット222Aに着脱自在に取り付けられている。フロントパネル222Bの下端部とキャビネット222Aの下端部との間隙には、吹き出し口225が形成されている。吹き出し口225は、室内機220の幅方向に延びる略矩形に形成され、前方下方に臨んで設けられている。フロントパネル222Bの上面には、格子状の吸い込み口224が形成されている。
フロントパネル222Bに対向する位置には、吸い込み口224から吸い込まれた空気に含まれる塵埃を捕集・除去するためのエアフィルタ228が設けられている。フロントパネル222Bとエアフィルタ228との間に形成される空間には、図示しないエアフィルタ清掃装置が設けられている。エアフィルタ清掃装置によって、エアフィルタ228に蓄積した塵埃が自動的に除去される。
ケーシング222の内部には、吸い込み口224から吹き出し口225に向けて空気が流通する送風通路226が形成されている。吹き出し口225には、左右方向の吹き出し角度を変更可能な縦ルーバ232と、上下方向の吹き出し角度を、前方上方、水平方向、前方下方および真下方向に変更可能な複数の横ルーバ231とが設けられている。
送風通路226の経路上における、貫流ファン100とエアフィルタ228との間には、室内側熱交換器229が配置されている。室内側熱交換器229は、上下方向に複数段、かつ前後方向に複数列に並設される蛇行した図示しない冷媒管を有する。室内側熱交換器229は、屋外に設置される室外機の圧縮機に接続されており、圧縮機の駆動によって冷凍サイクルが運転される。冷凍サイクルの運転によって、冷房運転時には室内側熱交換器229が周囲温度よりも低温に冷却され、暖房運転時には室内側熱交換器229が周囲温度よりも高温に加熱される。
図9は、図8中の空気調和機の吹き出し口近傍を拡大して示す断面図である。図8および図9を参照して、ケーシング222は、前方壁部251および後方壁部252を有する。前方壁部251および後方壁部252は、互いに間隔を隔てて向い合って配置されている。
送風通路226の経路上には、前方壁部251と後方壁部252との間に位置するように貫流ファン100が配置されている。前方壁部251には、貫流ファン100の外周面に向けて突出し、貫流ファン100と前方壁部251との隙間を微小とする突出部253が形成されている。後方壁部252には、貫流ファン100の外周面に向けて突出し、貫流ファン100と後方壁部252との隙間を微小とする突出部254が形成されている。
ケーシング222は、上側ガイド部256および下側ガイド部257を有する。送風通路226は、貫流ファン100よりも空気流れの下流側において、上側ガイド部256および下側ガイド部257によって規定されている。
上側ガイド部256および下側ガイド部257は、それぞれ、前方壁部251および後方壁部252から連なり、吹き出し口225に向けて延在している。上側ガイド部256および下側ガイド部257は、貫流ファン100によって送り出された空気を、上側ガイド部256が内周側となり、下側ガイド部257が外周側となるように湾曲させ、前方下方へと案内するように形成されている。上側ガイド部256および下側ガイド部257は、貫流ファン100から吹き出し口225に向かうほど、送風通路226の断面積が拡大するように形成されている。
本実施の形態では、前方壁部251および上側ガイド部256がフロントパネル222Bに一体に形成されている。後方壁部252および下側ガイド部257がキャビネット222Aに一体に形成されている。
図10は、図8中の空気調和機の吹き出し口近傍に生じる空気流れを示す断面図である。図8から図10を参照して、送風通路226上の経路上には、貫流ファン100よりも空気流れの上流側に位置して上流側外側空間246が形成され、貫流ファン100の内側(周方向に配列された複数のファンブレード21の内周側)に位置して内側空間247が形成され、貫流ファン100よりも空気流れの下流側に位置して下流側外側空間248が形成されている。
貫流ファン100の回転時、突出部253,254を境にして送風通路226の上流側領域241には、上流側外側空間246からファンブレード21の翼面23上を通って内側空間247に向かう空気流れ261が形成され、突出部253,254を境にして送風通路226の下流側領域242には、内側空間247からファンブレード21の翼面23上を通って下流側外側空間248に向かう空気流れ261が形成される。このとき、前方壁部251に隣接する位置には、空気流れの強制渦262が形成される。
なお、本実施の形態では、空気調和機を例に挙げて説明したが、この他に、たとえば、空気清浄機や加湿機、冷却装置、換気装置などの流体を送り出す装置に、本発明における貫流ファンを適用することが可能である。
図11は、図1中の貫流ファンの製造時に用いられる成型用金型を示す断面図である。図11を参照して、成型用金型110は、固定側金型114および可動側金型112を有する。固定側金型114および可動側金型112により、貫流ファン100と略同一形状であって、流動性の樹脂が注入されるキャビティ116が規定されている。
成型用金型110には、キャビティ116に注入された樹脂の流動性を高めるための図示しないヒータが設けられてもよい。このようなヒータの設置は、たとえば、ガラス繊維入りのAS(アクリロニトリルおよびスチレンの共重合化合物)樹脂のような強度を増加させた合成樹脂を用いる場合に特に有効である。
なお、後述する実施の形態3における遠心ファン10も、図11中の成型用金型110と同様の構造を有する金型により製造される。
(作用、効果の詳細な説明)
続いて、本実施の形態における貫流ファン100によって奏される作用、効果を、貫流ファン100を空気調和機に適用した場合を想定して説明する。
図12は、図1中の貫流ファンによって奏される作用、効果を説明するための図である。図中には、図8に対応する空気調和機の断面が示されている。
図12を参照して、ファンブレード21の外周側翼先端部29側で発生する現象について説明する。貫流ファン100の回転に伴い、各ファンブレード21の外周側翼先端部29が次々に通過することによって、ケーシング222とファンブレード21との接近箇所306(ケーシング222の前方壁部251とファンブレード21とが対峙する空間)において周期的な圧力変動が生じる。この周期的な圧力変動は、羽根通過音と呼ばれる狭帯域騒音を発生させる原因となっている。
これに対して、本実施の形態における貫流ファン100においては、複数のファンブレード21が、複数のファンブレード21を中心軸101を中心に回転させ、重ねた場合に外縁部27が互いにずれて配置されるファンブレード21A〜21Gにより構成されている。これにより、各ファンブレード21の外周側翼先端部29が通過する周期をより積極的にファンブレード21A〜21G間でずらすことができる。結果、圧力変動の周期が揃いにくくなるため、狭帯域騒音を低減させることができる。
一方、このように各ファンブレードによって外周側翼先端部29の位置が異なるファンブレード21A〜21Gを用いた場合、隣接するファンブレード21間における空気流れが複数のファンブレード21間で異なることとなる。この場合、全てのファンブレード21間を最適な空気通路として設定することが難しくなり、一部のファンブレード21間で空気流れの剥離や縮流が発生するおそれが生じる。
これに対して、本実施の形態における貫流ファン100においては、複数のファンブレード21が、外周側翼先端角βおよび内周側翼先端角γのそれぞれが複数のファンブレード21間で互いに等しくなるように設けられる。このような構成によれば、隣接するファンブレード21間において空気が翼面23上に流入する方向および空気が翼面23上から流出する方向を、複数のファンブレード21間で均一化することができる。これにより、隣接するファンブレード21間における空気流れの向きが内縁部26と外縁部27との間で著しく変化することを防止し、上記の空気流れの剥離や縮流の発生を効果的に抑制することができる。また、本実施の形態においては、複数のファンブレード21間で外周側翼先端部29側の翼断面が積極的に位置ずれして配置される一方、内周側翼先端部28側の翼断面は一定の位置に配置されるため、たとえば、図7中の角度ηを隣接するファンブレード21間ごとに小さく設定することができる。これにより、内縁部26側の翼間隔を最適な間隔に近づけることが可能となり、一部のファンブレード21間で発生し得る空気流れの剥離や縮流を効果的に抑制することができる。特に、図7中の角度ηが全てのファンブレード21間で同じ(すなわち、内縁部26の位置が等ピッチ)である場合、内縁部26側の翼間隔を最適な間隔に設定することができる。これにより、内縁部26側におけるファンブレード21間での空気流れの剥離や縮流を好適に抑制することができる。結果、貫流ファン100の送風能力を向上させることができる。
このように構成された、この発明の実施の形態1における貫流ファン100によれば、貫流ファン100の送風能力を向上させるとともに、ファンブレード21の回転に伴って発生する狭帯域騒音を低減させることができる。また、このような貫流ファン100を用いた空気調和機210によれば、駆動モータの消費電力を低減させ、省エネルギ化に貢献可能な空気調和機210を実現することができる。また、静粛性能に優れた空気調和機210を実現することができる。
[実施の形態2]
本実施の形態では、図4中に示す複数種類のファンブレード21の各種変形例について説明する。
図13は、図4中の複数種類のファンブレードの第1変形例を示す断面図である。図13を参照して、複数のファンブレード21は、複数種類のファンブレード21A,21B,21C,21D,21E,21F,21Gから構成されている。
図14は、図13中のファンブレードの翼断面を拡大して示す断面図である。図中には、代表的に、図13中のファンブレード21Dの翼断面が示されている。図15は、図13中に示す複数種類のファンブレードを互いに重ねた状態を示す図である。
図13から図15を参照して、本変形例においても、複数のファンブレード21は、各ファンブレード21の外周側翼先端角βが複数のファンブレード21間において互いに等しくなり、かつ各ファンブレード21の内周側翼先端角γが複数のファンブレード21間において互いに等しくなるように設けられている。図13中に示す範囲でいえば、ファンブレード21A〜21Gの外周側翼先端角βは、互いに等しくなり、ファンブレード21A〜21Gの内周側翼先端角γは、互いに等しくなる。
さらに、図15中に示すようにファンブレード21A〜21Gを中心軸101を中心に回転させた場合に、各ファンブレードの外縁部27がファンブレード21A〜21G間で互いに一致し、各ファンブレード21の内縁部26がファンブレード21A〜21G間で互いにずれる。図15中において、内周側翼先端部28側のファンブレード21の翼断面は、互いに位置ずれして配置され、外周側翼先端部29側のファンブレード21の翼断面は、互いに重なり合って配置される。
ファンブレード21は、内縁部26と外縁部27との間の2箇所で屈曲部41を有する。本変形例では、ファンブレード21は、内縁部26に隣り合う位置に屈曲部41rを有し、内縁部26および外縁部27の間の翼中央部に屈曲部41pを有する。屈曲部41rにおいて、中心線106は屈曲角度θrだけ折れ曲がり、屈曲部41pにおいて、中心線106は屈曲角度θpだけ折れ曲がる。
ファンブレード21A〜21Gは、各ファンブレード間で屈曲角度θrおよび屈曲角度θpが互いに異なるように形成されている。
より具体的には、ファンブレード21Aでは、屈曲部41rが負圧面24側で凸となり、正圧面25側で凹となるように形成されている(θr<180°)。ファンブレード21B,21C,21D,21E,21F,21Gとなるに従って、屈曲角度θrが徐々に大きくなり、ファンブレード21Gでは、屈曲部41rが正圧面25側で凸となり、負圧面24側で凹となるように形成されている(θr>180°)。ファンブレード21Aから、ファンブレード21B,21C,21D,21E,21F,21Gとなるに従って、屈曲角度θrが大きくなるのに伴い、屈曲部41pにおける屈曲角度θpが徐々に小さくなる。この際、屈曲部41pは、外周側翼先端部29側でファンブレード21A〜21Gの翼断面が重なった状態を維持するように屈曲角度θpを変化させる。
これにより、ファンブレード21の形状は、屈曲部41pの位置を固定したまま内周側翼先端部28側の翼断面がその厚み方向に変位するように変化する。結果、ファンブレード21A〜21G間で外周側翼先端角βおよび内周側翼先端角γのそれぞれが互いに等しくなり、かつ、内縁部26が互いに位置ずれする構成が得られる。
本変形例においても、図7を参照して説明したように、ファンブレード21A,21B,21C,21D,21E,21F,21Gは、中心軸101を中心とする周方向において不規則(ランダム)な順番で並ぶように配列される。さらに、複数のファンブレード21は、隣接するファンブレード21間のピッチがランダムとなるように配列されている。この際、隣接するファンブレード21間のピッチは、隣接するファンブレード21間で中心軸101と外縁部27とを通る直線がなす角度によって表わされる。
図12を参照して、ファンブレード21の内周側翼先端部28側で発生する現象について説明する。図10を参照して説明したように、内周側翼先端部28側では、ファンブレード21の回転に伴って強制渦262が発生する。強制渦262が形成される領域の中心部分307において、各ファンブレード21の内周側翼先端部28が次々に通過すると、強制渦262と内周側翼先端部28との干渉によって周期的な圧力変動が生じる。これにより、外周側翼先端部29側と同じように、狭帯域騒音が発生するという問題が生じる。
これに対して、本変形例における貫流ファンにおいては、複数のファンブレード21が、複数のファンブレード21を中心軸101を中心に回転させ、重ねた場合に内縁部26が互いにずれて配置されるファンブレード21A〜21Gにより構成されている。これにより、各ファンブレード21の内周側翼先端部28が通過する周期をより積極的にファンブレード21A〜21G間でずらすことができる。結果、圧力変動の周期が揃いにくくなるため、狭帯域騒音を低減させることができる。
外周側翼先端部29側および内周側翼先端部28側の双方とも、翼先端の通過に伴う圧力変動に起因するという点では、騒音が発生するメカニズムは共通である。しかしながら、強制渦262および内周側翼先端部28間では、強制渦262の中心位置がある程度柔軟に移動する。このため、中心部分307で発生する圧力変動は小さくなり、狭帯域騒音に対する影響は小さくなる。これに対して、ケーシング222とファンブレード21との接近箇所306では、両者の相対的位置が変化することがない。このため、接近箇所306で発生する圧力変動は大きくなり、狭帯域騒音に対する影響は大きくなる。
図16は、図4中の複数種類のファンブレードの第2変形例を示す断面図である。図16は、実施の形態1における図6に対応する図である。
図16を参照して、本変形例では、ファンブレード21が、内縁部26と外縁部27との間の3箇所で屈曲部41を有する。ファンブレード21は、外縁部27に隣り合う位置に屈曲部41qを有し、内縁部26および外縁部27の間の翼中央部に屈曲部41pを有し、内縁部26に隣り合う位置に屈曲部41rを有する。
実施の形態1と同様に、ファンブレード21A〜21Gは、各ファンブレード間で屈曲角度θqおよび屈曲角度θp(図5を参照のこと)が互いに異なるように形成されており、これにより、ファンブレード21A〜21G間で外周側翼先端角βおよび内周側翼先端角γのそれぞれが互いに等しくなり、かつ、外縁部27が互いに位置ずれする構成を実現している。
但し、屈曲角度θqは、ファンブレード21A〜21Gのいずれにおいても180°よりも小さい角度であり、屈曲角度θpは、ファンブレード21A〜21Gのいずれにおいても180°よりも大きい角度である。一方、θpおよびθqと同様に屈曲部41rの屈曲角度θrを規定した場合に、屈曲角度θrは、ファンブレード21A〜21G間で互いに同一である。屈曲角度θrは、180°よりも小さい角度である。
このような構成により、本変形例では、ファンブレード21A〜21Gが略W字状の翼断面形状を有する。ファンブレード21A〜21Gは、翼面23の正圧面25に凹部57が形成され、翼面23の負圧面24に凹部56が形成される翼断面を有する。
貫流ファン100の回転時に、翼面23上を通過する空気流れが、隣接するファンブレード21間に発生する。この際、翼面23に形成された凹部56,57に空気流れの渦(2次流れ)が生成されることによって、翼面23上を通過する空気流れ(主流)は、凹部56,57に生じた渦の外側に沿って流れる。これにより、ファンブレード21は、薄肉の翼断面を有するにもかかわらず、渦が形成された凹部56,57の深さの分だけ翼断面が厚肉化された厚肉翼のような挙動を示す。この結果、凹部56,57が形成された近傍において生じる揚力を大幅に増大させることができる。
このように構成された、この発明の実施の形態2における貫流ファンによれば、実施の形態1に記載の効果を同様に得ることができる。
[実施の形態3]
本実施の形態では、まず、本発明におけるファンが適用される遠心ファンの構造について説明し、続いて、その遠心ファンが用いられる送風機および空気清浄機の構造について説明する。なお、本実施の形態における遠心ファンは、実施の形態1における貫流ファン100と比較して、部分的に同様の構造を備える。以下、重複する構造についてはその説明を繰り返さない。
(遠心ファンの構造の説明)
図17は、この発明の実施の形態3における遠心ファンを示す斜視図である。図17を参照して、本実施の形態における遠心ファン10は、複数のファンブレード21を有する。遠心ファン10は、全体として略円筒形の外観を有し、複数のファンブレード21は、その略円筒形の周面に配置されている。遠心ファン10は、樹脂により一体に形成されている。遠心ファン10は、図17中に示す仮想上の中心軸101を中心に、矢印103に示す方向に回転する。
遠心ファン10は、回転する複数のファンブレード21によって、内周側から取り込んだ空気を外周側に送り出すファンである。遠心ファン10は、遠心力を利用して、ファンの回転中心側からその半径方向に空気を送り出すファンである。遠心ファン10は、シロッコファンである。遠心ファン10は、家庭用の電気機器などのファンに適用される低レイノズル数領域の回転数で使用される。
遠心ファン10は、支持部としての外周枠13をさらに有する。外周枠13は、中心軸101を中心に環状に延在して形成されている。外周枠13は、中心軸101の軸方向に距離を隔てた位置にそれぞれ配置されている。一方の外周枠13には、ディスク部14を介して、遠心ファン10を駆動モータに連結するためのボス部16が一体に形成されている。
複数のファンブレード21は、中心軸101を中心とする周方向に互いに間隔を隔てて配列されている。複数のファンブレード21は、中心軸101の軸方向における両端において、外周枠13によって支持されている。ファンブレード21は、一方の外周枠13上に立設され、他方の外周枠13に向けて中心軸101の軸方向に沿って延びるように形成されている。
複数のファンブレード21は、図4中に示す複数種類のファンブレード21A〜21Gから構成されており、実施の形態1において説明したファンブレード21と同様の構造(各ファンブレード21の外周側翼先端角βが複数のファンブレード21間において互いに等しくなり、かつ各ファンブレード21の内周側翼先端角γが複数のファンブレード21間において互いに等しくなる構造、ファンブレード21A〜21Gを中心軸101を中心に回転させた場合に、各ファンブレードの内縁部26がファンブレード21A〜21G間で互いに一致し、各ファンブレード21の外縁部27がファンブレード21A〜21G間で互いにずれる構造、ファンブレード21A〜21Gが不規則な順番で配列される構造)を有する。
但し、本実施の形態における遠心ファン10においては、複数のファンブレード21が等間隔に配列されている点が、実施の形態1における貫流ファン100と異なる。
(送風機および空気清浄機の構造の説明)
図18は、図17中の遠心ファンを用いた送風機を示す断面図である。図19は、図18中のXIX−XIX線上に沿った送風機を示す断面図である。図18および図19を参照して、送風機120は、外装ケーシング126内に、駆動モータ128と、遠心ファン10と、ケーシング129とを有する。
駆動モータ128の出力軸は、遠心ファン10と一体に成型されたボス部16に連結されている。ケーシング129は、誘導壁129aを有する。誘導壁129aは、遠心ファン10の外周上に配置される略3/4円弧によって形成されている。誘導壁129aは、ファンブレード21の回転により発生する気流をファンブレード21の回転方向に誘導しつつ、気流の速度を増大させる。
ケーシング129には、吸い込み部130および吹き出し部127が形成されている。吸い込み部130は、中心軸101の延長上に位置して形成されている。吹き出し部127は、誘導壁129aの一部から誘導壁129aの接線方向の一方に開放されて形成されている。吹き出し部127は、誘導壁129aの一部から誘導壁129aの接線方向の一方に突出する角筒形状をなしている。
駆動モータ128の駆動により、遠心ファン10が矢印103に示す方向に回転する。このとき、空気が吸い込み部130からケーシング129内に取り込まれ、遠心ファン10の内周側空間131から外周側空間132へと送り出される。外周側空間132に送り出された空気は、矢印104に示す方向に沿って周方向に流れ、吹き出し部127を通じて外部に送風される。
図20は、図17中の遠心ファンを用いた空気清浄機を示す断面図である。図20を参照して、空気清浄機140は、ハウジング144と、送風機150と、ダクト145と、(HEPA:High Efficiency Particulate Air Filter)フィルタ141とを有する。
ハウジング144は、後壁144aおよび天壁144bを有する。ハウジング144には、空気清浄機140が設置された室内の空気を吸い込むための吸い込み口142が形成されている。吸い込み口142は、後壁144aに形成されている。ハウジング144には、さらに、清浄空気を室内に向けて放出する吹き出し口143が形成されている。吹き出し口143は、天壁144bに形成されている。一般的に、空気清浄機140は、後壁144aを室内の壁に対向させるようにして壁際に設置される。
フィルタ141は、ハウジング144の内部において、吸い込み口142と向い合って配置されている。吸い込み口142を通じてハウジング144内部に導入された空気は、
フィルタ141を通過する。これにより、空気中の異物が除去される。
送風機150は、室内の空気をハウジング144内部に吸引するとともに、フィルタ141により清浄された空気を、吹き出し口143を通じて室内に送り出すために設けられている。送風機150は、遠心ファン10と、ケーシング152と、駆動モータ151とを有する。ケーシング152は、誘導壁152aを有する。ケーシング152には、吸い込み部153および吹き出し部154が形成されている。
ダクト145は、送風機150の上方に設けられ、清浄空気をケーシング152から吹き出し口143に導く導風路として設けられている。ダクト145は、その下端が吹き出し部154に連なり、その上端が開放された角筒形をなす形状を有する。ダクト145は、吹き出し部154から吹き出された清浄空気を、吹き出し口143に向けて層流に誘導するように形成されている。
このような構成を備える空気清浄機140においては、送風機150の駆動により、ファンブレード21が回転し、室内の空気が吸い込み口142からハウジング144内に吸い込まれる。このとき、吸い込み口142および吹き出し口143間に空気流れが発生し、吸い込まれた空気に含まれる塵埃等の異物は、フィルタ141により除去される。
フィルタ141を通過して得られた清浄空気は、ケーシング152内部に吸い込まれる。この際、ケーシング152内に吸い込まれた清浄空気は、ファンブレード21周りの誘導壁152aによって層流となる。層流とされた空気は、誘導壁152aに沿って吹き出し部154に誘導され、吹き出し部154からダクト145内に送風される。空気は、吹き出し口143から外部空間に向けて放出される。
なお、本実施の形態では、空気清浄機を例に挙げて説明したが、この他に、たとえば、空気調和機(エアーコンディショナ)や加湿機、冷却装置、換気装置などの流体を送り出す装置に、本発明における遠心ファンを適用することが可能である。
このように構成された、この発明の実施の形態3における遠心ファン10および空気清浄機140によれば、実施の形態1に記載の効果を同様に得ることができる。
以上に説明した実施の形態1から3に記載のファンの構造を適宜組み合わせて新たなファンを構成してもよい。たとえば、実施の形態2において説明したファンブレードを用いて、実施の形態3における遠心ファン10を構成してもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。