JP2011190515A - 金属回収方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】低品位の原鉱もしくは精鉱、または製鉄所固体廃材料に含まれる金属を、低コストで、高速、高効率で浸出させて回収する方法、特に、ヒープをそのまま処理できる方法を提供する。
【解決手段】(1)特定金属を含む固体廃材料等を、非撹拌状態で存在させ、(2)鉄還元菌、3価鉄イオン、電子供与体およびpH緩衝剤を含み、25℃のpHが7.0以下の処理液を、前記固体廃材料等が低pHから高pHの状態を有するように添加して前記固体廃材料等に接触させ、(3)前記固体廃材料等から特定金属成分を前記処理液中に浸出させ、(4)前記特定金属が浸出した処理液を高pH側へ流出させ、特定金属を回収する、固体廃材料等からの金属回収方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、有価金属を含む低品位の原鉱もしくは精鉱、または製鉄所固体廃棄物からの金属回収方法に関する。
低品位の原鉱もしくは精鉱、または製鉄所固体廃棄物から特定の有価金属を回収することは、従来、コスト的な理由から困難であった。
しかし、近年、金属資源の枯渇や取引価格の上昇等により、このようなものから有価金属を回収することが必要とされるようになってきた。
鉱物からの金属浸出・回収方法としては、鉱物に含まれる金属を酸またはアルカリを用いて溶解し、処理液中に浸出して、選択中和することによって回収する方法がある。
低品位鉱物から有価金属を回収する場合、コスト的見地から、硫酸等の酸を用いて対象鉱物から金属を浸出し、回収する方法を採用することが一般的である。
また、鉱物からの金属浸出方法としては、微生物を用いる方法もある。
微生物を用いて鉱物から金属を浸出する方法は、生物浸出法(バイオリーチング)といわれ、エネルギー消費がより少なく、環境に対するリスクがより低いことが特徴である。
バイオリーチングは、金属浸出率の向上と低コスト化も可能であると考えられ、低品位鉱物から金属を浸出する有効な手段として注目されている。
例えば、特許文献1には、鉄還元菌を作用させ、3価鉄を2価鉄に還元し、前記2価鉄を用いて、金属酸化物および金属水酸化物からなる群に含まれる金属を浸出させ、浸出液と残渣を生成し、前記浸出液と残渣とを分離し、所望の金属を回収する金属回収方法が記載されている。
特許文献1に記載の金属浸出方法は、浸出処理培地と、鉄還元菌と、金属酸化物または金属水酸化物とを、反応器に入れて行うものである(段落0026)。より具体的には、バッチ式の撹拌型反応器を用い、金属酸化物や金属酸化物が沈降しないように培地を撹拌しながら、浸出処理中の最大pHが、8.5以下、好ましくは中性(例えばpH7.5以下)になるようにして金属を浸出する(段落0024、0027、実施例)。すなわち、全体を好ましい特定のpH範囲として金属の浸出を行う技術である。
特開2007−113116号公報
本発明者が検討したところでは、低品位の原鉱もしくは精鉱、または製鉄所固体廃材料(以下、「固体廃材料等」ということがある。)は塩基性成分を含有することが多いため、固体廃材料等に特許文献1に記載の方法を適用すると、金属イオンの浸出と同時にカルシウム、マグネシウム、マンガン等の塩基性の金属が溶出し、金属イオンの浸出が進行するに従い、処理液(培地)のpHが高くなる。
処理液(培地)のpHが高くなると、鉄還元菌による鉄イオンの酸化還元反応の反応速度が低下し、金属の浸出も抑制されるという問題が生じる。さらに、高pH(例えば、pH8以上)では、金属水酸化物の沈殿が生じやすくなるため、残渣と処理液との分離が困難となる問題が生じうる。
そのため、固体廃材料等に特許文献1に記載の方法を適用する場合、pHを特定範囲(例えば、pH6〜8)に維持するよう、容器内で処理液(培地)を撹拌しながら、酸またはpH調整液を添加することが必要である。
ところが、固体廃材料等は、通常、製鉄所内にヒープと呼ばれる野積みの山となって保管されているものであり、特定のバッチ式や連続式の反応容器内でpHを最適範囲として、工業的規模で特定金属を浸出しようとすると、大容量の反応容器や攪拌装置等が必要となり、コスト高になって現実的ではない。
また、固体廃材料等から回収しようとする特定金属は、主として、コバルト、ニッケル、マンガン、亜鉛、鉛等のベースメタル(卑金属)であり、価格が安く、しかも、固体廃材料等の単位質量あたりの含有量が多くない。そのため、大量の固体廃材料等から、高速、高効率で浸出させて回収するのでなければ、コスト高になって現実的ではない。
従って、この固体廃材料等の山(ヒープ)から、特定金属を低コストで、高速、高効率で浸出させて回収する方法が望まれている。
そこで、本発明は、低品位の原鉱もしくは精鉱、または製鉄所固体廃材料に含まれる金属を、低コストで、高速、高効率で浸出させて回収する方法、特に、ヒープをそのまま処理できる方法を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、鉄還元菌等を含む特定の処理液が通過できる空隙が生じるように固体廃材料等の粒を立体的に積み重ねて配置し、処理液の流れる向きに低pHから高pHの状態を有するpH勾配を形成させるように処理液を流入させ、その空隙に処理液を通過させ、処理液と固体廃材料とを接触させ、固体廃材料等から処理液中に特定金属を浸出させ、処理液(浸出液)を高pH側から流出させると、特定金属を低コストで、高速、高効率で浸出させて回収できることを知得した。
また、本発明者は、流出させた処理液(浸出液)を、鉄還元菌等を補充して再生し、pH勾配の低pH側から流入させ、高pH側から流出させ、これを繰り返すと、流出させた処理液(浸出液)中の特定金属の濃度が上昇すること、およびpH勾配が徐々に緩やかになっていくことから、より低コストで、より高効率で特定金属を浸出させて回収できることを知得した。
さらに、本発明者は、これらの方法を用いて、ヒープをそのまま処理できることを知得した。
すなわち、本発明は以下に掲げるものである。
[01](1)特定金属を含む固体廃材料等を、非撹拌状態で存在させ、
(2)鉄還元菌、3価鉄イオン、電子供与体およびpH緩衝剤を含み、25℃のpHが7.0以下の処理液を、前記固体廃材料等が低pHから高pHの状態を有するように添加して前記固体廃材料等に接触させ、
(3)前記固体廃材料等から特定金属成分を前記処理液中に浸出させ、
(4)前記特定金属が浸出した処理液を高pH側へ流出させ、
特定金属を回収する、固体廃材料等からの金属回収方法。
[02]さらに、前記工程(4)の後に、
(5)流出させた処理液に、鉄還元菌、3価鉄イオン、電子供与体、酸、アルカリおよびpH緩衝剤からなる群から選択される少なくとも一つを添加し、
前記工程(2)〜(4)を少なくとも1回繰り返す、または
前記工程(2)〜(5)を少なくとも1回繰り返し、その後さらに前記工程(2)〜(4)を少なくとも1回繰り返す、
[01]に記載の金属回収方法。
[03]前記工程(3)が嫌気条件で行われる工程である、[01]または[02]に記載の金属回収方法。
[04]前記特定金属が、コバルト、ニッケル、マンガン、亜鉛および鉛からなる群から選ばれる1種以上の金属である、[01]〜[03]のいずれかに記載の金属回収方法。
[05]前記固体廃材料等が、低品位鉱石、金属含有ダスト、金属含有スラグおよび金属含有スラッジからなる群から選択される少なくとも一つである、[01]〜[04]のいずれかに記載の金属回収方法。
本発明によれば、低品位の原鉱もしくは精鉱、または製鉄所固体廃材料に含まれる金属を、低コストで、高速、高効率で浸出させて回収する方法、特にヒープがそのまま処理できる方法を提供することができる。
本発明の金属回収方法のフローを説明する模式図である。 本発明の金属回収方法の実験室モデルを示す模式図である。 処理液の初期pHとMn回収率との関係を示すグラフである。
以下に、本発明を詳細に説明する。
[金属回収方法]
本発明は、(1)特定金属を含む固体廃材料等を、非撹拌状態で存在させ、(2)鉄還元菌、3価鉄イオン、電子供与体およびpH緩衝剤を含み、25℃のpHが7.0以下の処理液を、前記固体廃材料等が低pHから高pHの状態を有するように添加して前記固体廃材料等に接触させ、(3)前記固体廃材料等から特定金属成分を前記処理液中に浸出させ、(4)前記特定金属が浸出した処理液を高pH側へ流出させ、特定金属を回収する、固体廃材料等からの金属回収方法である。
〈工程(1)〉
工程(1)は、特定金属を含む固体廃材料等を、非撹拌状態で存在させる工程である。
「特定金属」および「固体廃材料等」については、後述する。
「非撹拌状態で存在させ」とは、上記固体廃材料等をそれ自体は流動性のない状態で存在させることをいう。具体的には、例えば、上記固体廃材料等を積み重ねてヒープとした状態または処理槽、プール、タンク、カラムのような定型性を有する場所もしくは容器等に充填した状態で存在させること等をいう。ただし、上記固体廃材料等の攪拌された状態が生じることを全く許容しないわけではなく、その後、撹拌された状態より長期に非撹拌状態が生じていればよい。例えば、原料のヒープ積み時、ヒープのメンテナンス時、ヒープからの処理した材料の切り出し時、ヒープの異動時等に生じる上記固体廃材料等の攪拌は、本発明の「非攪拌状態」に含まれる。
〈工程(2)〉
工程(2)は、鉄還元菌、3価鉄イオン、電子供与体およびpH緩衝剤を含み、25℃のpHが7.0以下の処理液を、前記固体廃材料等が低pHから高pHの状態を有するように添加して前記固体廃材料等に接触させる工程である。
「鉄還元菌」、「3価鉄イオン」、「電子供与体」、「pH緩衝剤」および「pH」については後述する。
「前記固体廃材料等が低pHから高pHの状態を有するように添加して」とは、上記非撹拌状態で存在させた固体廃材料等の内部を、上記処理液が通過するように、上記固体廃材料等に添加することを意味する。上記固体廃材料等は、上記処理液を流入および流出させると、処理液の流路に沿ってpH勾配が形成されるためである。処理液を流入および流出させると、流入側が低pH側、流出側が高pH側となるため、繰り返し流入する場合は、処理液を低pH側から添加する。
「前記固体廃材料等に接触させる」とは、上記処理液中で生成される2価鉄イオンを上記固体廃材料等に含まれる特定金属成分と反応させるため、上記処理液と上記固体廃材料等を接触させることを意味する。
低pHから高pHの状態であるpH勾配中で処理液を固体材料等と接触させるので、処理液のpH変動に対して、広いpH範囲中の最適範囲を常にどこかの場所で接触させることができる。また、鉄還元菌の種類や特性によって最適pHの変動が起こっても、常にどこかの場所では最適pH条件とすることができる。
〈工程(3)〉
工程(3)は、上記固体廃材料等から特定金属成分を上記処理液中に浸出させる工程である。
「特定金属」については後述する。
「特定金属成分」とは、上記固体材料に含まれる上記特定金属をいう。
「浸出させ」とは、上記特定金属成分を、特定金属を還元剤である2価鉄イオンを用いて還元し、イオンまたは錯イオンとして可溶化し、上記処理液中に溶出することをいう。
還元剤である2価鉄イオンは、鉄還元菌が3価鉄イオンを還元することによって供給される。
通性嫌気性細菌では、電子受容体として酸素を利用することもできるため、2価鉄イオンの再生効率の観点から、本工程は嫌気条件下で行うことが好ましい。なお、本工程において、嫌気度を調整するための積極的操作は不要である。鉄還元細菌として通性嫌気性細菌を使用するのであれば、その通性嫌気性細菌が酸素を消費し尽くして自然と嫌気条件が実現されることが期待できるからである。また、偏性嫌気性菌を使用する場合には、処理液中に通性嫌気性細菌を共存させることが望ましい。当該通性嫌気性細菌が酸素を消費するため、嫌気条件が維持されるからである。
従来の鉄酸化細菌を利用するヒープリーチングでは、ヒープ内部に酸素を供給する必要があった。鉄酸化細菌は電子供与体として2価鉄イオンを用い、電子受容体として酸素を用いるためである。しかし、本発明の方法では、ヒープ内部に酸素を供給する必要がないのは当然であるが、窒素等を吹き込んで嫌気環境を維持しなくともよい。
〈工程(4)〉
工程(4)は、上記特定金属が浸出した処理液を高pH側へ流出させる工程である。
「高pH側へ流出させ」とは、上記処理液を上記非撹拌状態で存在させた固体廃材料等に流入および流出させると、処理液の流路に沿ってpH勾配が形成されるが、この高pH側から処理液を流出させることをいう。
〈工程(5)〉
上記工程(4)の後に、流出させた処理液に、鉄還元菌、3価鉄イオン、電子供与体、酸、アルカリ、pH調整剤およびpH緩衝剤からなる群から選択される少なくとも一つを添加する工程(5)をさらに含むことができる。
本工程によって、処理液が再生される。
ここで、再生とは、固体廃材料等との接触によって処理液状態が変動した場合に、鉄還元菌、3価鉄イオン、電子供与体、酸、アルカリ、pH調整剤およびpH緩衝剤からなる群から選択される少なくとも一つを添加することによって、処理液状態をもとの最適範囲とする、または最適範囲に近づけることをいう。
〈浸出サイクル〉
上記工程(4)の後、上記工程(2)〜(4)を少なくとも1回繰り返すことによって、または上記工程(5)によって処理液を再生した後、上記工程(2)〜(4)を少なくとも1回繰り返す、もしくは上記工程(2)〜(5)を少なくとも1回繰り返し、その後さらに上記工程(2)〜(4)を少なくとも1回繰り返すことによって、処理液に含まれる特定金属の濃度を高くすることができる。
繰返し回数は特に限定されないが、所定の時間が経過するまで、または処理液中の特定金属の濃度が所望の値になるまで繰り返すことが好ましい。
〈金属回収〉
上記工程(4)の後に、特定金属またはそのイオン、錯イオンもしくは錯体を分離する工程をさらに含むことができる。
分離方法は特に限定されず、溶媒抽出法、膜分離法、イオン交換法、その他公知の方法を用いて行うことができる。
なお、流出させた処理液のpHが高い場合、例えば8.5以上の場合には、特定金属を分離する前にpHを下げることが好ましい。流出させた処理液のpHが高すぎると、金属水酸化物の沈殿が生じやすいからである。
[固体廃材料等]
本発明の金属回収方法に係る固体廃材料等とは、低品位の原鉱もしくは精鉱、または製鉄所固体廃材料をいう。
上記低品位の原鉱とは、下記特定金属の含有量が、従来の精錬方法等によっては、コスト的に見合わない程度に低いものをいう。
上記低品位の精鉱とは、原鉱を選鉱したものであって、下記特定金属含有量が、従来の精錬方法等によっては、コスト的に見合わない程度に低いものをいう。
上記製鉄所固体廃材料とは、製鉄所の各工程で生成する、スラグ、スラッジ、ダスト、その他製鉄所副生成物や廃棄物等であって、下記特定金属を含有するものをいう。
固体廃材料等は、粒子径を小さくして、処理液との接触表面積を大きくすることが好ましい。粒子径は特に限定されないが、0.5mm〜10cmが好ましく、0.5mm〜5cmがより好ましく、0.5mm〜3cmがさらに好ましい。この範囲内であると、処理液が粒子と粒子との空隙を容易に流れることができ、接触表面積も確保することができる。粒子径が10cmを超えると、比表面積が小さくなって、接触表面積が低下するため、浸出速度・浸出効率が低下する。また、粒子径が0.5mm未満となると、処理液が流れにくくなるため、浸出速度・浸出効率が低下する。
粒子径を小さくする方法としては、ジョーククラッシャ、転動ミル等を用いて破砕する方法を用いることができる。固体廃材料等の粒子径が上記範囲内である場合は、さらに破砕しなくてもよい。
[特定金属]
本発明の金属回収方法に係る特定金属とは、上記固体廃材料等に含まれる、回収しようとする金属である。
上記特定金属は、特に限定されないが、例えば、コバルト、ニッケル、マンガン、亜鉛および鉛からなる群から選ばれる少なくとも1つである。
なお、上記特定金属は、上記固体廃材料等には、主として酸化物または水酸化物の状態で含まれると考えられる。
また、上記特定金属の上記固体廃材料等に含まれる状態での酸化数は、特定金属の種類およびその特定金属を含む化合物の種類に依存する。例えば、特定金属がマンガンである場合には、化合物中のマンガンの酸化数は+2〜+7までとりうるが、二酸化マンガンとして含有される場合には、マンガンの酸化数は+4である。
[処理液]
本発明の金属回収方法に使用する処理液(以下、単に「処理液」という。)は、鉄還元菌、3価の鉄イオン、電子供与体およびpH緩衝剤を含み、25℃におけるpHが7.0以下のものである。
以下、上記処理液の構成要件について詳細に説明する。
《鉄還元菌》
処理液に含む鉄還元菌は、鉄を還元しうる細菌または古細菌であれば、特に限定されない。
鉄還元細菌としては、例えば、Geobacter metallireducensLovley et al.(ATCC 53774, DSM 7210)、Desulfomonas palmitatis Coates et al.(ATCC 51701, DSM 12931)、Desulfuromusa kysingii Liesack & Finster(DSM 7343)、Pelobacter venetianusSchink & Stieb(DSM 2395)、Shewanella algae Shimidu et al. 1990(NBRC 103173, IAM 14159, ATCC 51181)、Ferrimonas balearicaRossello-Mora et al.(DSM 9799)、Aeromonas hydrophila subsp. hydrophila (Chester) Stanier(DSM 30014)、Sulfurospirillum barnesii Stolz et al.(ATCC 700032, DSM 10660)、Wolinella succinogenes (Wolin et al.) Tanner et al.(DSM 1740, ATCC 29543)、Desulfovibrio desulfuricans subsp. desulfuricans(Beijerinck) Kluyver & van Niel(DSM 642, ATCC 29577)、Geothrix fermentans Coates et al.(ATCC 700665)、Deferribacter thermophilus Greene et al.(DSM 14813)、Thermotoga maritime Stetter & Huber(DSM 3109)等を挙げることができる。
また、鉄還元古細菌としては、例えば、Archaeoglobus fulgidusStetter(ATCC 49558, DSM 4304)、Pyrococcus furiosus Fiala & Setter(ATCC 49587, DSM 3638)、Pyrodictium abyssi Pley and Stetter(ATCC 49828, DSM 6158)、Methanothermococcus thermolithotrophicus(Huber et al.) Whitman(DSM 2095, JCM 10549, ATCC 35097)等を挙げることができる。
ここで、上記括弧内には菌株番号を記載しているが、これに限定されるものではない。
また、上記菌種のシノニム等は上記菌種と同等のものであり、上記菌株が属する菌種も上記菌種と同等のものである。
なお、本明細書においては、属名(アクロニムを含む。)および種小名によって菌種を特定する場合がある。
上記において、菌株保存機関・施設の名称は、それぞれ、以下のものを表す。
ATCC:American Type Culture Collection, Manassas, VA, USA
DSM:Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH (DSMZ), Braunschweig, Germany
NBRC:NITE Biological Resource Center, Chiba, Japan
[(独)製品評価技術基盤機構生物遺伝資源部門(NITEバイオロジカルリソースセンター)]
JCM, IAM:Japan Collection of Microorganisms, RIKEN, Saitama, Japan
[(独)理化学研究所バイオリソースセンター微生物材料開発室(JCM)]
上記処理液に含む鉄還元菌としては、屋外での取扱い易さの観点から、通性嫌気性細菌であることが好ましい。例えば、上記した菌種のうち、鉄還元細菌として記載されるものを挙げることができる。
また、上記処理液に含む鉄還元菌としては、屋外での取扱い易さの観点から、常温域で生育するものが好ましい。例えば、上記した菌種のうち、鉄還元細菌として記載されるもの(Geothrix fermentansおよびThermotoga maritimeを除く。)を挙げることができる。
上記処理液に含む鉄還元菌としては、Geobacter metallireducensまたはShewanella algaeが好ましく、Shewanella algaeがより好ましい。
上記処理液中に含む鉄還元菌の数は、特に限定されないが、浸出速度・浸出効率をより高くする観点から、調整時または再生時に、初期値として、1.0×1013個/m以上含むことが好ましく、1.0×1013〜1.0×1015個/m含むことがより好ましく、5.0×1013〜2.0×1014個/m含むことがさらに好ましい。
鉄還元菌による3価鉄イオンの還元、特定金属の還元および2価鉄イオンの再生について例示により説明する。
鉄還元菌は、電子供与体からの電子(e)を用いて、3価鉄イオン(Fe3+)を直接還元し、2価鉄イオン(Fe2+)を生成する。
Fe3+ + e → Fe2+ (i)
生成したFe2+によって、特定金属(M(+m))を還元し、Mn+イオンを生成する(+mは酸化数である)。
(m−n)Fe2+ + M → (m−n)Fe3+ + Mn+ (ii)
再度Fe3+を還元し、Fe2+を再生する。
Fe3+ + e → Fe2+ (i)
上記式(i)および(ii)を繰り返すことによって、特定金属は処理液中に浸出させられる。
《3価鉄イオン》
上記処理液に含む3価鉄イオンは、特に限定されない。
上記3価鉄イオンは水溶性の3価鉄塩として処理液に添加することが好ましい。
水溶性の3価鉄塩は、無機酸塩または有機酸塩であることが好ましい。
上記無機酸塩としては、例えば、塩化鉄(III)、硝酸鉄(III)、硫酸鉄(III)、クエン酸鉄(III)等を挙げることができる。
上記有機酸塩としては、例えば、クエン酸鉄(III)、ギ酸鉄(III)、酢酸鉄(III)等を挙げることができる。
上記処理液に含む3価鉄イオンの濃度は特に限定されないが、浸出速度・浸出効率をより高くする観点から、調整時または再生時に、初期値として、10mol/m以上含むことが好ましくは、10〜200mol/m含むことがより好ましく、25〜100mol/m含むことがさらに好ましい。
《電子供与体》
上記処理液に含む電子供与体は、上記鉄還元菌に対応して適宜選択することができる。
例えば、鉄還元菌がG. metallireducensまたはS. algaeである場合には、電子供与体として有機物を使用することができる。
上記有機物としては、例えば、炭素数1〜7の有機物[カルボン酸塩(脂式カルボン酸塩(脂肪酸塩):蟻酸塩、酢酸塩等、芳香族カルボン酸塩:安息香酸塩等、オキソカルボン酸塩:ピルビン酸塩等、その他のカルボン酸塩:乳酸塩等)、アルコール(エタノール等)、不飽和芳香族(トルエンフェノール等)]等を挙げることができる。
また、上記有機物としては、炭素、水素、酸素のほか、例えば、窒素、イオウ、その他の元素を含むものであってもよいことはいうまでもない。
また、上記有機物としては、水溶性または水分散性のものに限定されず、水溶性でも水分散性でもない有機物の微粒子として含んでもよい。
上記処理液に含む電子供与体の濃度は、特に限定されないが、100mol/m以上含有することが好ましい。
《pH緩衝剤》
上記処理液に含むpH緩衝剤は、中性pH域で緩衝能を有するものであれば、特に限定されない。
上記pH緩衝剤としては、例えば、酢酸/酢酸ナトリウム、クエン酸/クエン酸ナトリウム、乳酸/乳酸ナトリウム、リン酸/リン酸ナトリウム、酒石酸/酒石酸ナトリウム、N−(2−アセトアミノ)−2−アミノエタンスルホン酸、N−(2−アセトアミノ)イミノ二酢酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン、2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]エタンスルホン酸、2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]エタンスルホン酸ナトリウム、2−モルホリノエタンスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−モルホリノプロパンスルホン酸、ピペラジン−1,4−ビス(2−エタンスルホン酸)、ピペラジン−1,4ビス(2−ヒドロキシ−3−プロパンスルホン酸)等を挙げることができる。
上記pH緩衝剤としては、上記電子供与体としても機能しうるのを使用することができる。例えば、鉄還元菌がS. algaeである場合には、乳酸/乳酸ナトリウム等は、pH緩衝剤として機能しうると同時に電子供与体としても機能しうる。
上記pH緩衝剤としては、また、上記固体廃材料等から浸出させた特定金属と錯体を形成しうるものを使用することができる。例えば、特定金属がマンガンである場合には、クエン酸/クエン酸ナトリウム等は、Mn2+と錯体を形成しうる。
上記pH緩衝剤は、本発明の目的を害せず、かつ、pH緩衝作用を損なわない範囲で、1種類を単独でまたは2種類以上を組み合わせて、任意の含有量で、使用することができる。
《酸、アルカリ、pH調整剤》
上記処理液には、酸、アルカリ、pH調整剤からなる群から選ばれる一つ以上を添加してpHを調整することができる。
上記酸は特に限定されない。例えば、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸、ギ酸、酢酸、乳酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸等の有機酸を使用することができる。
上記アルカリは特に限定されない。例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、これらの水溶液等を使用することができる。
上記pH調整剤は特に限定されない。例えば、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等を使用することができる。
《pH》
上記処理液のpHは、25℃でのpHが7.0以下であれば、特に限定されない。
上記処理液の調製時または再生時のpHは、好ましくは7.0未満、より好ましくは5.0以上7.0未満、さらに好ましくは5.5以上7.0未満である。
本発明の金属回収方法で使用する鉄還元菌は、菌種または菌株によって若干の相違はあるものの、生育至適pHが中性pH域にあり、また、処理液と固体廃材料等とが接触すると、処理液のpHが上昇するため、初期pHを低くしておくことが好ましいが、pHが低すぎても鉄還元菌の細胞に不可逆的な障害を与えるおそれがあるからである。
上記pH範囲の根拠について、以下に説明する。
本発明者は、S. algaeを用いて、処理液pHとマンガン浸出率との関係を検討した。詳細には以下の通りである。
バッチ式の撹拌容器に、スラグまたはダストと、液体培地および鉄還元細菌S. algae(NBRC 103173株)からなる処理液とを入れ、この混合液の初期pHを5.5、6.0、7.0、8.0に調整したものと、調整しなかったものを準備した。
混合液の温度を約30℃に維持し、pHをモニタして、初期pHから0.4以上ずれないようにpH調整を行い、窒素ガスのバブリングと撹拌を24時間継続し、Mn浸出を行った。
その後、Mn濃度測定用試料を採取し、Mn濃度を測定してMn浸出率を算出した。
第1表に、この実験の条件および結果を示す。また、第1表に示すpHとMn抽出率(%)との関係をグラフにしたものを図3に示す。
・ダスト(化学組成例:Ca 22質量%,Mn 18質量%,Si 15質量%)
・スラグ(化学組成例:Ca 22質量%、Mn 68質量%,Fe 3質量%)
・改変クエン酸第二鉄培地(ATCC 1931)
[クエン酸鉄(III)・3水和物 16.7g、ペプトン 0.5g、KCl 0.1g、NHCl 1.5g、NaHPO 0.6g、ウォルフェのミネラル溶液 10cm、およびウォルフェのビタミン溶液 10cmを含有する。pH7.0に調整後、窒素バブリングをして溶存酸素を減少させ、高圧蒸気滅菌(120℃、15分)をした。]
ダストを用いた場合、第1表の1〜5に示すように、pH6.0、7.0、8.0に調整した場合は、24時間の浸出で、それぞれ、ダストに含まれるMnの約58%、約65%、約50%が浸出した。pH5.5に調整した場合および調整しなかった場合(pH9.2)では、それぞれ、Mnの約27%、約22%が浸出した。pH6.0〜8.0に調整したものに比べ、明らかにMn浸出率が低かった。
スラグを用いた場合、第1表の6〜10に示すように、pH6.0、7.0、8.0に調整した場合は、24時間の浸出で、それぞれ、ダストに含まれるMnの約37%、約43%、約34%が浸出した。pH5.5に調整した場合および調整しなかった場合(pH8.5)では、それぞれ、Mnの約17%、約10%が浸出した。pH6.0〜8.0に調整したものに比べ、明らかにMn浸出率が低かった。
以上の検討から、中性pH域を至適pH域とする鉄還元菌では、pH6.0〜8.0が鉄還元作用を発揮するのに適していると結論付けることができた。
従って、処理液のpHを上記のとおり7.0以下とすれば、固体廃材料等に処理液を接触させてpH勾配が形成されると、少なくともどこかがpH6.0〜8.0の範囲内に入ることになり、3価鉄の還元と特定金属の浸出が起こることとなる。
本発明を実施例に基づいて説明する。なお、本発明は以下に示す実施例に限定して解釈されるものではなく、本発明の要旨を変更しない限り、実施態様を変更することができる。
処理液1〜7を第2表に示す組成で調製した。第2表は1.0×10−3あたりの組成を示す。各処理液は1.0×10−1以上を調製した。
また、処理液1〜6のそれぞれと鉄還元菌を含まない点を除き同一組成の分散液1〜6および処理液7と同一組成の分散液7を調製した。
第2表において、鉄酸化細菌、ミネラル溶液およびビタミン溶液は、それぞれ、以下のものである。
・鉄還元菌
Shewanella algae NBRC 103173株(NITEバイオロジカルリソースセンター)
・ミネラル溶液
ウォルフェのミネラル・ソリューション(Wolfe’s Mineral Solution)
約500mLの水にニトリロ三酢酸を加え、水酸化カリウムでpHを6.5に調整して溶解させ、下記成分を所定量加え、最後に、全量を1000mLにフィルアップし、フィルター(孔径0.22μm)でフィルター滅菌して調製されるストック溶液である。
硫酸マグネシウム・7水和物 3.0g
硫酸マンガン・一水和物 0.5g
塩化ナトリウム 1.0g
硫酸第一鉄・7水和物 0.1g
塩化コバルト・6水和物 0.1g
塩化カルシウム(無水) 0.1g
硫酸亜鉛・7水和物 0.1g
硫酸銅・5水和物 0.01g
硫酸アルミニウムカリウム・12水和物 0.01g
ホウ酸 0.01g
モリブデン酸ナトリウム・2水和物 0.01g
・ビタミン溶液
ウォルフェのビタミン・ソリューション(Wolfe’s Vitamin Solution)
約800mLの水に下記成分を所定量加え、最後に、全量を1000mLにフィルアップし、フィルター(孔径0.22μm)でフィルター滅菌して調製されるストック溶液である。
ビオチン 2mg
葉酸 2mg
塩酸ピリドキシン 10mg
塩酸チアミン 5mg
リボフラビン 5mg
ニコチン酸 5mg
パントテン酸カルシウム 5mg
p−アミノ安息香酸 5mg
リポ酸 5mg
[実施例1]
製鉄所固体廃棄物として、製鉄所の精錬工程で発生した金属含有ダスト(Mn 69質量%、Fe 3質量%を含有する。以下、単に「ダスト」という。)を用いた。
以下の工程に従って、ダストからのマンガン(Mn)回収を行った。
(1)上記スラグ5.0kgを分散液1と混合してスラリーを調製し、図2に示すオープンカラム21に全量を充填した。
(2)処理液1の1.0×10−1を、オープンカラム上部のリザーバー部23を通じて、カラム充填部22に添加し、カラム下部の流出部24から流出させた。
(3)流出部24から流出させた処理液を処理液再生容器26に回収し、pHを初期pHに調整し、処理液を再生した。
(4)処理液再生容器26からポンプ27で処理液の1.0×10−1を汲みだし、オープンカラム上部のリザーバー部23を通じて、カラム充填部22に添加し、カラム下部の流出部24から流出させた。
(5)上記工程(3)および(4)を、24時間の間、繰り返した。
(6)その後、カラム株の流出部24から流出させた処理液を処理液回収容器25に回収した。
(7)回収した処理液からMnイオン濃度分析用サンプルを採取し、メンブレンフィルター(孔径0.45μm)でろ過し、ろ液中のMnイオン濃度を高周波誘導結合プラズマ発光分析装置を用いて分析し、Mn回収率を算出した。Mn回収率を第3表の実施例1のMn回収率の欄に示す。なお、すぐに分析しない場合には、ろ液を嫌気状態で保存した。
[実施例2]
処理液1の代わりに処理液2を、分散液1の代わりに分散液2を、それぞれ用いたほかは、実施例1と同様である。Mn回収率を第3表の実施例2のMn回収率の欄に示す。
[実施例3]
処理液1の代わりに処理液3を、分散液1の代わりに分散液3を、それぞれ用いたほかは、実施例1と同様である。Mn回収率を第3表の実施例3のMn回収率の欄に示す。
[実施例4]
処理液1の代わりに処理液6を、分散液1の代わりに分散液6を、それぞれ用いたほかは、実施例1と同様である。Mn回収率を第3表の実施例4のMn回収率の欄に示す。
[実施例5]
製鉄所固体廃棄物として、製鉄所の精錬工程で発生した金属含有スラグ(Ca 22質量%、Mn 18質量%、Si 15質量%を含有する。以下、単に「スラグ」という。)を用いたほかは、実施例1と同様である。Mn回収率を第3表の実施例5のMn回収率の欄に示す。
[実施例6]
処理液1の代わりに処理液2を、分散液1の代わりに分散液2を、それぞれ用いたほかは、実施例5と同様である。Mn回収率を第3表の実施例6のMn回収率の欄に示す。
[実施例7]
処理液1の代わりに処理液3を、分散液1の代わりに分散液3を、それぞれ用いたほかは、実施例5と同様である。Mn回収率を第3表の実施例7のMn回収率の欄に示す。
[実施例8]
処理液1の代わりに処理液6を、分散液1の代わりに分散液6を、それぞれ用いたほかは、実施例5と同様である。Mn回収率を第3表の実施例8のMn回収率の欄に示す。
[比較例1]
処理液1の代わりに処理液4を、分散液1の代わりに分散液4を、それぞれ用いたほかは、実施例1と同様である。Mn回収率を第3表の比較例1のMn回収率の欄に示す。
[比較例2]
処理液1の代わりに処理液5を、分散液1の代わりに分散液5を、それぞれ用いたほかは、実施例1と同様である。Mn回収率を第3表の比較例2のMn回収率の欄に示す。
[比較例3]
処理液1の代わりに処理液7を、分散液1の代わりに分散液7を、それぞれ用いたほかは、実施例1と同様である。Mn回収率を第3表の比較例3のMn回収率の欄に示す。
[比較例4]
処理液1の代わりに処理液4を、分散液1の代わりに処理液4を、それぞれ用いたほかは、実施例5と同様である。Mn回収率を第3表の比較例4のMn回収率の欄に示す。
[比較例5]
処理液1の代わりに処理液5を、分散液1の代わりに分散液5を、それぞれ用いたほかは、実施例5と同様である。Mn回収率を第3表の比較例5のMn回収率の欄に示す。
[比較例6]
処理液1の代わりに処理液7を、分散液1の代わりに分散液7を、それぞれ用いたほかは、実施例5と同様である。Mn回収率を第3表の比較例6のMn回収率の欄に示す。
第1表に、各実施例および比較例で使用した処理液の組成およびpHの初期値(調製時のpH)を示す。Mn回収率を第3表の比較例7のMn回収率の欄に示す。
第3表に示す結果を説明する。
[実施例1〜8]
実施例1〜4はダストからMnを回収したものである。24時間の浸出時間で50%以上のMn回収率を達成することができ、満足できるものであった。従って、評価は「○」とした。
実施例1、2および3は、それぞれ、処理液の初期pHを5.5、6.0および6.8としたものである。
初期pHが低かったため、カラム中で、鉄還元細菌の好適なpH範囲にあるときが多く、50%以上のMn回収率を達成できたものと思われる。初期pHが5.5の実施例1についても、50%以上のMn回収率を達成できていることから、初期pHが低くてもカラム中のどこかでは好適なpH範囲となっていることがわかる。
実施例4は、実施例2の乳酸に代えてギ酸を電子供与体としたものである。乳酸の代わりにギ酸でも良好な回収率を達成することができることがわかる。
実施例5〜8はスラグからMnを回収したものである。24時間の浸出時間で50%以上のMn回収率を達成することができ、満足できるものであった。
「比較例1〜6」
比較例1、2、4および5は、処理液の初期pHが高いものである。カラム中で鉄還元菌の好適なpH範囲内にあることがほとんどないため、Mn浸出率が20%未満となったものと考えられる。
比較例3および6は、処理液の初期pHは低いが、鉄還元菌を含まないものである。Mn浸出率は10%未満と、ほとんど浸出されなかった。
以上より、比較例1〜6のMn浸出率は満足できるものではなく、「×」と評価した。
20 金属浸出実験装置
21 オープンカラム
22 カラム充填部
23 リザーバー部
24 流出部
25 処理液回収容器
26 処理液再生容器
27 ポンプ
28 三方コック

Claims (5)

  1. (1)特定金属を含む低品位の原鉱もしくは精鉱、または製鉄所固体廃材料(以下「固体廃材料等」という。)を、非撹拌状態で存在させ、
    (2)鉄還元菌、3価鉄イオン、電子供与体およびpH緩衝剤を含み、25℃のpHが7.0以下の処理液を、前記固体廃材料等が低pHから高pHの状態を有するように添加して前記固体廃材料等に接触させ、
    (3)前記固体廃材料等から特定金属成分を前記処理液中に浸出させ、
    (4)前記特定金属が浸出した処理液を高pH側へ流出させ、
    特定金属を回収する、固体廃材料等からの金属回収方法。
  2. さらに、前記工程(4)の後に、
    (5)流出させた処理液に、鉄還元菌、3価鉄イオン、電子供与体、酸、アルカリ、pH調整剤およびpH緩衝剤からなる群から選択される少なくとも一つを添加し、
    前記工程(2)〜(4)を少なくとも1回繰り返す、または
    前記工程(2)〜(5)を少なくとも1回繰り返し、その後さらに前記工程(2)〜(4)を少なくとも1回繰り返す、
    請求項1に記載の金属回収方法。
  3. 前記工程(3)が嫌気条件で行われる工程である、請求項1または2に記載の金属回収方法。
  4. 前記特定金属が、コバルト、ニッケル、マンガン、亜鉛および鉛からなる群から選ばれる1種以上の金属である、請求項1〜3のいずれかに記載の金属回収方法。
  5. 前記固体廃材料等が、低品位鉱石、金属含有ダスト、金属含有スラグおよび金属含有スラッジからなる群から選択される少なくとも一つである、請求項1〜4のいずれかに記載の金属回収方法。
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