JP2011185839A - マイクロ流体デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】マイクロ流体デバイスの流路を目詰まりさせることなく、試料の分析や回収が可能なマイクロ流体デバイスを提供する。
【解決手段】液体導入部3及び分離回収部5を有するマイクロ流路2を具備し、磁性担体を用いて目的物質を回収するためのマイクロ流路デバイスであって、磁性担体を分離回収部に導入する磁気分離機構11及びマイクロ流路若しくはデバイス全体を超音波振動させる超音波振動機構14を備えたマイクロ流体デバイス。
【選択図】図2

Description

本発明は、マイクロ流体デバイスに関する。
マイクロチップデバイスの微細流路を用いた溶媒抽出技術に関する研究は、比界面積がマクロな系に比べて大きいという利点があることから、近年盛んに行われている。また、流体力学によると、微細流路を流れる液体はレイノルズ数が小さくなり、流れと同じ方向に並行な2層流が形成されやすい。このような微細流路内の2層流は重力の影響をほとんど受けないために比重の異なる、混ざり合わない2種類(例えば水とエーテル)の液体を横方向に接触させて同方向に流すと、左右に分離された2層流が形成される。この時、例えばエーテル中に大量の疎水性夾雑物質と微量の親水性物質(有益物質)が溶解していれば、この有益物質は溶媒の流れに乗りながらエーテル層から水層に界面を移動する。そして、下流で水層とエーテル層を分岐させる流路を設けておけば、有益物質を抽出することが可能になる。
このように、マイクロ流体デバイスは、少量の試料を用いて有用物質を効率良く回収できるものの、流路自体が微小であるので、溶液中に異物や粒子、磁性担体等が存在すると、微細流路の壁面に付着しやすく目詰まりを起こしやすい。特に、磁性担体を使用するマイクロ流体デバイスにおいては、そもそも磁性担体が流路内を流れるため流路内の目詰まりの頻度が高かった。
従来のマイクロ流路の洗浄方法として、マイクロ流体デバイス本体を超音波洗浄装置内の有機溶媒、酸、アルカリ等の洗浄溶液に微細流路部分を浸して当該流路内に超音波振動を与えたり、またマイクロ流体デバイスの微細流路内にシリンジ等で洗浄溶液を送液することにより圧をかけながら当該流路内を洗浄するのが一般的である。
例えば、特許文献1には、マイクロ流路を流れる移動相溶媒に電気分解を施すマイクロ流路デバイスが提案され、流路内に気泡を発生させることでマイクロ流路内を洗浄し、目詰まりを抑える方法が知られている。
また、非特許文献1には、デバイス本体に直接PZT(Pb(ZrTi)O3:チタン酸ジルコン酸鉛)板を貼り付けるマイクロミキサーを有するマイクロ流体デバイスが提案され、このマイクロミキサーにより高出力の超音波振動がデバイスに与えられ、流路内にキャビテーションを発生させ、流体を攪拌する方法が知られている。
しかしながら、洗浄液やこれと超音波による洗浄方法では、デバイス自体を溶液に浸すため、磁気発生部品等が侵食される恐れやオーバーホールする必要があると云う問題がある。
また、超音波振動や電気分解による流路内の洗浄方法では、気泡を発生させるため、試料の分析中や回収中には適用できず、また改めてデバイスの調整が必要となる場合があると云う問題がある。
また、非特許文献2には、デバイス本体に直接PZT板を貼り付けたマイクロ流体デバイスが提案され、この貼り付けたPZTにより定在波の節をマイクロ流路内の中心線上に発生させ、この流路の中心線上に粒子を集めつつ、この粒子を含んだ状態の移動相溶媒を、左流路、直進流路及び右流路と云う3分岐流路を設けたうちの直進流路に進行させて、直進させた移動相溶媒を回収する方法が知られているが、この方法は磁性担体を用いて目的物質を分離・回収するものではない。
特開2007−326181号公報
Z Yang, "Ultrasonic micromixer for microfluidic systems," Sensors and Actuators A: Physical 93, no. 3 (10, 2001): 266-272. Andreas Nilsson et al., "Acoustic control of suspended particles in micro fluidic chips," Lab on a Chip 4, no. 2 (2004): 131-135.
本発明は、斯かる従来の問題と実状に鑑み、磁性担体を使用するマイクロ流体デバイスであって、マイクロ流体デバイスの流路を目詰まりさせることなく、試料の分析や回収が可能なマイクロ流体デバイスを提供することに関する。
本発明は、以下の(1)〜(8)に係わるものである。
(1) 液体導入部及び分離回収部を有するマイクロ流路を具備し、磁性担体を用いて目的物質を回収するためのマイクロ流体デバイスであって、磁性担体を分離回収部に導入する磁気分離機構及びマイクロ流路若しくはデバイス全体を超音波振動させる超音波振動機構を備えたマイクロ流体デバイス。
(2) 多層流の実現を補助するための機構を備えたものである上記(1)のマイクロ流体デバイス。
(3) 前記超音波振動機構が、超音波振動の周波数を中周波帯〜高周波帯に制御する制御部を有する上記(1)又は(2)のマイクロ流体デバイス。
(4) 前記磁気分離機構が、磁力のオンオフを断続的又は非断続的に行う制御部を有する上記(1)〜(3)の何れか1つのマイクロ流体デバイス。
(5) 液体導入部及び分離回収部を有するマイクロ流路、磁性担体を分離回収部に導入する磁気分離機構及び磁性担体を超音波振動させる超音波振動機構を備えたマイクロ流体デバイスを用いた目的物質の回収方法であって、分離回収部において、超音波振動を与えながら、かつ磁性担体を磁気分離することを特徴とする目的物質の回収方法。
(6) 中周波帯〜高周波帯の超音波振動を付与する上記(5)の方法。
(7) 磁力をオンオフすることにより磁気分離する上記(5)又は(6)の方法。
(8) 磁力がオフのときに、中周波帯〜高周波帯の超音波振動を付与する上記(7)の方法。
本発明によれば、磁性担体を使用するマイクロ流体デバイスの流路内の目詰まり、特に分析や回収中に発生し易い目詰まりを抑制することができる。これによって、洗浄溶液にデバイス自体を浸す機会が少なくなるので、洗浄溶液による当該マイクロ流体デバイスの腐食や損傷も低減できる。しかも、磁性担体に吸着する目的物質を効率良く回収することもできる。
本発明のマイクロ流体デバイスの断面図 本発明のマイクロ流体デバイスの概念図 本発明のマイクロ流体デバイスの液体導入部の例示図 液−液分離を補助するための温度制御機構を設けた流路断面図 本発明のマイクロ流体デバイスの分離・回収部近傍の断面図 本発明のマイクロ流体デバイスを備えた液体クロマトグラフ−質量分析装置の概略図 本発明のマイクロ流体デバイスを備えた分離回収装置の概略図
図1に示すように、本発明のマイクロ流体デバイス1は、液体導入部3、流路4及び分離回収部5を有するマイクロ流路2と、磁気分離機構11と、超音波振動機構14とを備えるものである。また、液体導入部3には、液体導入口19が備えられており、分離回収部5には、液体流出口20が備えられている。
本発明のマイクロ流体デバイス1について、図2に示す概念図と共に以下に説明する。
本発明のマイクロ流体デバイス1は、マイクロ空間である微細流路2(以下、「マイクロ流路2」とも云う)を具備した、微量物質の抽出、分離、精製等を行うための三次元構造体である。
当該マイクロ流路は、マイクロメートルサイズの幅・高さ・直径を有し、液体を流すことが可能な通路であればよく、例えば、幅・深さ・直径は、それぞれ20〜1,000μm程度であればよく、幅100〜300μm、高さ50〜150μm、直径100〜500μmであるのが好ましい。
本発明のマイクロ流体デバイスにおける上記マイクロ流路2には、流体を導入する液体導入部3、流路4及び磁性担体を分離・回収する分離・回収部5が具備されている。
本発明のマイクロ流路における流体を導入する液体導入部3は、1種以上の流体をデバイスのマイクロ流路内の流路4へ導くためのものであって、一箇所であっても、複数であってもよい。
すなわち、流体の導入は、1種又は2種以上の液体を混合させたものを、デバイス内の1つの流路に導くこと、又は1種の液体をデバイス内の複数の流路に別々に導くか、或いは2種以上の液体をそれぞれ単独のまま及び/若しくは混合させて、デバイス内の複数の流路に別々に導き、流路4に導入される前に合流させることの何れでもよい。
デバイスに使用できる流体としては、極性溶媒、無極性溶媒又はこれらの混合溶媒の何れでもよく、例えば、水とメタノールやエタノールとの混合液体等が挙げられる。
多層流を形成可能な2種以上の流体とは、基本的に混ざり難い2種以上の液体同士、例えば極性溶媒と無極性溶媒との組み合わせ、より具体的には、水又はアセトニトリルに対してシクロヘキサン;水に対してヘキサン、酢酸エチル、ベンゼン、トルエン、クロロホルム、ジクロロメタン等が挙げられる。
上記導入された流体(以下、「移動相溶媒」とも云う)中には、目的物質を吸着するための磁性担体及び試料が含まれている。磁性担体を含む流体は、マイクロ流路へ導入する前に試料を含む流体と混合されていてもよいが、目的物質が含有される試料を含む流体や極性溶媒・非極性溶媒の液体と別々に存在し、これらが液体導入部の流路内に導入後に混合・分散されてもよい。
上記目的物質とは、試料から回収又は除去したい物質であり、この成分としては、特に限定されず、例えば、塩類等の無機成分;有機成分;不溶性の細胞や細菌、赤血球等の血液成分等の生体成分等が挙げられる。当該塩類としては、例えば、リン酸、過塩素酸、塩素、アルキルスルホン酸及び/又はこれらの塩等が挙げられ、一般的な各種液体クロマトグラフに用いられる緩衝液の塩でもよい。また、当該有機成分としては、リン酸ペプチド等が挙げられる。
また、上記試料には、上記目的物質以外にも親水性や疎水性の有用な物質が含まれており、本発明のマイクロ流体デバイスを用いることによってこの有用物質を効率良く回収することもできる。
上記磁性担体とは、磁性体を核としてこの表面に目的物質を結合又は吸着させ得る機能性成分を有するものであり、例えば表面を機能性成分で被覆した磁性粒子が挙げられる。
上記磁性体としては、例えば、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化コバルト等が挙げられる。
また、上記機能性成分としては、目的物質と吸着又は結合できる成分であればよく、例えば、オクタデシル基等の疎水性官能基を有する化合物;シリカゲル、ジルコニア、合成ポリマー、チタニア、ヒドロキシアパタイト等の多孔質性化合物や塩類吸着化合物;イオン交換樹脂;目的抗原と反応し結合する抗体等が挙げられる。このうち、酸化鉄とシリカゲルやチタニア;酸化鉄と抗体との複合磁性担体が好ましい。
上記磁性担体の最大長径は、特に限定されないが、撹拌や送液のし易さから、0.01〜50μmとするのが好ましく、より0.1〜5μmの粒子とするのが好ましい。
液体導入部3を、図2及び図3に例示するが、特にこれに限定されるものではない。
図2に、合流・流入する2つの流体を混合分散させる混合手段23と、当該混合手段23から混合分散液が流入する流路33と、当該流路33と連結する単数の液体導入部(液体導入部3)を示す。以下に、流体の導入の動作について説明する。
図2に示すように、マイクロ流体デバイスには、流路31から磁性担体を含む液体と、流路32から試料を含む液体とが混合手段23に流入する。これらの液体を混合することによって試料中の目的物質が磁性担体に吸着されると共に、混合・分散状態とする。当該混合手段23によって目的物質が吸着された磁性担体を含む混合・分散の移動相溶媒となり、当該移動相溶媒が流路33を経て液体導入流路3に流入し、次いで流路4に流入する。
また、図3に、流体を合流させるための複数の流路を有する液体導入部を示す。この複数の流路の構造としては、二又のY字状(図3(A)参照)や三又状(図3(B)参照)等の多分岐が挙げられる。この多分岐の流路は収束して1つの流路となり、流路4に繋がる。以下に、流体の導入の動作について説明する。
図3(A)に示すように、液体導入流路3a(液体導入部3)に磁性担体を含む液体が導入され、また、液体導入流路3b(液体導入部3)に試料を含む溶液及び/又は試料を含む液体と磁性担体を含む液体の混合分散液が導入される。これら液体が当該液体導入部3で混合・分散し、次いで磁性担体を含む移動相溶媒が流路4に流入する。
また、図3(B)に示すように、液体導入流路3a(液体導入部3)に磁性担体を含む液体が導入され、液体導入流路3b(液体導入部3)に試料を含む溶液及び/又は試料を含む液体と磁性担体を含む液体の混合分散液が導入され、また液体導入流路3c(液体導入部3)に極性溶媒及び/又は無極性溶媒が導入される。これら液体が当該液体導入部3で合流し、混合・分散し、次いで磁性担体を含む移動相溶媒が流路4に流入する。
尚、液体導入の流路が4以上有り、多分岐の流路となっている場合でも、少なくとも複数の流路の1つに磁性担体を含む液体、これと同じ又は別の流路に試料を含む液体とが収束して混合・分散液となり、磁性担体及び試料等を含む移動相溶媒が流路4に流入する。
本発明の流路4の長さは、流体の導入量によって適宜調整するのが好ましい。
上記流路4を通過する際に、多層流を形成可能な液体を用いた場合、混合・分散された移動相溶媒が多層流となって、各層の液体に溶解した有用物質の抽出が可能となる。この様な場合には、本発明のマイクロ流路における流路4、すなわち本発明のマイクロ流体デバイス1には、多層流の実現を補助するための機構(以下、「多層流実現補助機構」とも云う)が設けられているのが好ましい。
当該多層流実現補助機構としては、例えば、流路4に温度制御機構を設けること;流路4の流路内壁に充填剤を設けること;流路4の流路内壁に物理的構造を設けることが挙げられる。
上記温度制御機構は、例えば、特願2009−19950号記載の、流路内が流れ方向に直行する流路断面方向に異なる温度分布を形成するような温度制御機構(温度感受性液−液セパレータ機構)が挙げられる(図4参照)。
当該温度分布は、例えば、層流を流れ方向に対して上下に形成する場合には流路の上部と下部に、層流を流れ方向に対して左右に形成する場合には流路の左部と右部に形成され、上部下部又は左部右部をそれぞれ高温側(例えば、30〜50℃)と低温側(例えば、10〜30℃)に分けることが挙げられる。
斯かる高温側と低温側の温度差は、用いる液体の種類、組み合わせによっても異なるが、10℃以上であるのが好ましく、10〜25℃がより好ましく、15〜25℃であるのがより好ましい。
上記温度制御は、例えば高温側に加温媒体、低温側に冷却媒体を設けることによって行われ、具体的には、層流を流路断面の上下方向に形成する場合には上下の基板、層流を当該流路断面の左右方向に形成する場合には左右の基板のそれぞれに加温媒体、冷却媒体を設ければよい。
当該加温媒体としては、ロッドヒーター、シートヒーター、ペルチェモジュール等が挙げられる。また、当該冷却媒体としては、冷媒導入装置、ペルチェモジュール等が挙げられる。
斯かる温度制御媒体の設置部位は、その機能に応じて基板の内部又は表面の何れでもよく、また複数設置してもよい。例えば、流路の流れ方向に対して直列に2箇所温度制御媒体を配置して、下流側のみ制御あるいは両方制御という切り替えを行うことも可能であり、このような制御を行うことにより広範な液体導入量に対して対応が可能となる。また、導入する液体の流速に応じて加温・冷却を行うことにより、所望の流速範囲、例えば、1〜200μL/minで液−液分離を行うことが可能となる。
尚、上記温度分布が外気温の影響を受け難いように、デバイス全体は断熱材で覆うのが好ましい。
図4に、上記温度制御機構を設けた流路4の断面図を示す。上記温度制御機構として、流路4の上部4aの上方に加温媒体8及び流路4の上部4bの下方に冷却媒体9が備えられ、加温媒体8によって流路4の上部4aが高温となるのに対し、冷却媒体9によって流路4の下部4bが低温となり、これによって液−液分離が良好になる。このとき、基板同士の間に断熱材10を設けるのが好ましい。
また、上記流路4の流路内壁の充填剤としては、多層流の実現を補助するための充填剤、例えば、シリカゲル、ジルコニア、合成ポリマー等の微小担体が挙げられ、また、当該微小担体の表面又は細孔内が温度感受性物質で修飾されていてもよい。
当該温度感受性物質としては、例えば、温度感受性高分子(ポリ−N−イソプロピルアクリルアミド誘導体)や親水性高分子(ポリエチレングリコール誘導体)の共重合体又は温度応答性キトサン等を用いることができる。
また、上記流路4の流路内壁の物理的構造としては、液−液界面を安定して分離させるため、上流から下流方向に沿って適宜配置された単数又は複数のエッジ等が挙げられる。例えば、図4に示すように、流路内に略水平にかつ対向する2つのエッジが設けられ、これらは上流から下流に向かう毎に少しずつ中心方向に長さを増す構造を有する。
本発明のマイクロ流路における分離・回収部5の構造は、流路下流で流路を分岐させる
流路を有し、この分岐された流路のうち、少なくとも1つは、磁性担体を回収するための磁性担体回収流路5aとなる。
尚、多層流を形成させる場合には、上記分離・回収部5の構造は、各層の液体を分離・回収できる構造であればよい。
上記分離・回収部5の分岐構造としては、二又のY字状や三又状等の多分岐が挙げられる。図5に、これらを例示するが、特にこれらに限定されるものではない。
本発明に用いられる磁気分離機構11には、磁石12が備えられており、当該磁石としては、電磁石及び/又は永久磁石が挙げられる。当該永久磁石としては、ネオジム磁石、サマリウムコバルト磁石等が挙げられる。以下に、磁気分離機構の動作について説明する。
上記磁気分離機構11は、これに備えた磁石の磁力によって、磁性担体を引き付け、磁気担体回収流路5aに導入する。このとき、必要に応じて磁力を制御する制御部(磁力制御部)を設けても良く、この制御部が、磁石の磁力を断続的に又は非断続的にオンオフして制御することで、後述する超音波振動との相乗効果により磁性担体の流路壁面の付着防止がより強まると共に磁性担体が効率よく回収できる。
ここで、磁力のオンオフには、磁力の「有」と「無」の繰り返しのみならず、磁力の強さの「強」と「弱」の繰り返しが含まれる。
上記磁力のオンオフは、電磁石や永久磁石の磁石12の位置を調整して行うか、或いは電磁石12aの電流をオンオフすることにより行う。
当該磁石12の位置を調整するとは、例えば、磁性担体自体や分離・回収部5(特に磁性担体回収流路5a)から磁石を遠ざけたり近づけたりして行う。すなわち、例えばカム機構(図5(A))、ベルト機構(図5(B))、スライダクランク機構、リンク機構、流体(伝導)機構等の可動機構との併用により、可動式磁石13とする。
また、電磁石の電流をオンオフにするとは、例えば、流路付近に配置した単数又は複数の電磁石を同時又は別々にオンオフを行ってもよく、また複数の電磁石をレール状に配置し、順次オンオフを繰り返し行ってもよい。
上記オンオフに切り替える幅は、流体の流速や流路幅にもよるが、高速であるのが望ましい。切り替え幅の制御が容易な点から、電磁石を用いるのが好ましく、そのときの電流のオンオフの周期は10Hz乃至それ以上とするのが好ましく、5〜40Hzとするのがより好ましく、更に10〜20Hzとするのが好ましい。
磁力の強さ(磁束密度)は、吸着磁性担体や磁性担体を引き付けることができれば特に限定されないが、100〜1000mTとするのが好ましく、300〜500mTとするのがより好ましい。
上記磁気分離機構11の設置部位は、その機能に応じて基板の内部又は表面の何れでもよく、複数設置してもよいが、設置位置は、磁性担体を回収するため、上記マイクロ流路における分離・回収部5付近であり、当該分離・回収部5の各流路断面の全方向、例えば、上下左右方向の何れか1方向に又は2以上の方向に配置する。この設置位置は、好ましくは上記マイクロ流路の分岐付近に、より好ましくは当該分岐の手前から磁性担体回収流路5aに沿って行う。このとき、当該磁性分離機構11は、他方の磁性担体を回収しない流路5bとは、離れた位置に配置するのが好ましい。
また、本発明に用いる超音波振動機構14は、超音波振動子を備えており、当該振動子には、圧電セラミック素子及びそれを利用したランジュバン型振動子、圧電薄膜素子、圧電高分子膜素子等が挙げられる。以下に、超音波振動機構の動作について説明する。
上記超音波振動機構14は、これに備えた超音波振動子の振動によって、超音波振動をデバイス全体又はマイクロ流路2、特に分離・回収部5に、断続的に又は非断続的に与える。これにより、マイクロ流路内に存在する異物や粒子及び磁性担体、特に磁性担体が、マイクロ流路壁面に付着するか或いは流路を閉塞させるのを防止すると共に、上述した磁気分離機構11と協働することによって、磁性担体が磁性担体回収流路5aを経て効率良く回収される。このとき、必要に応じて超音波振動子を制御する制御部(超音波振動制御部)を設けても良く、この超音波振動制御部は、上記磁力分離機構11の磁力制御部と協働して磁力分離機構11を制御するのが好ましい。この際、超音波振動は、上述の如く電磁石の磁力をオンオフ、特にオフのときに与えるが、効率良く、流路内の目詰まりを防止又は解消できるので、好ましい。
上記制御部による超音波振動の周波数は、流路内の流体のキャビテーションを起こさなければ100kHz未満でもよいが、デバイス、特に流路壁面の振動の位相を異にするため、好ましくは100kHz以上の中周波帯〜高周波帯とする。目的物質が生体成分の場合には、ダメージを少なくするため、高周波帯が好ましい。
ここで、一般的に、中周波帯は、100〜500kHzと云われており、高周波帯は500kHz以上と云われているが、本発明の超音波振動の周波数として、好ましくは、100〜1000kHzである。
超音波振動の強度に関しても、同様にキャビテーションを起こさない程度とする。キャビテーションを起こさない超音波振動の強度の閾値は超音波振動の周波数の上昇と共に向上するが、目安として超音波振動の強度は、超音波振動の周波数20kHzで0.3W/cm2程度まで、また超音波振動の周波数100kHzで1W/cm2までとするのが好ましい。また、超音波振動の周波数100kHz以上ではキャビテーションを起こさない超音波振動の強度の閾値は飛躍的に上昇するため、超音波振動の強度を上げることができる。このとき超音波振動の周波数100〜1000kHzの場合には、0.05〜100W/cm2とするのが好ましい。
上記超音波振動機構14の設置部位は、その機能に応じて基板の内部又は表面の何れでもよく、複数設置してもよいが、前記マイクロ流路の周辺に1基又は2基以上配置するのが好ましい。図5に、この例示をするが、特にこれに限定されるものではない。
当該超音波振動機構14の配置は、マイクロ流路の流路断面の全方向、好ましくは下左右方向の何れか1方向又は2以上の方向、より好ましくは上方向及び/又は下方向とすればよい。更に好ましくは、磁性担体回収流路の閉塞を防ぐために、前記磁気分離機構11の上方向又は下方向かつ磁性担体回収流路5a付近に配置する。
尚、前記マイクロ流路の作製は、例えば、流路となる溝部を有する上下又は左右の2つの基板を接合することによって作成することができ、流路は両基板の接合面に設けられた溝部が合わさることで形成される。
当該基板の材質としては、例えばステンレス、ハステロイ、チタン、アルミニウム、真鍮、金、白金などの金属、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のテフロン(登録商標)、ダイフロン、PEEなどの合成樹脂、硼珪酸ガラス、ソーダライムガラス、アルミノ硼珪酸ガラス、石英ガラス等などのガラスを用いることができるが、熱伝導率が高く、耐久性、対薬品性に優れる点から金属を用いるのが好ましく、加工性、耐久性の点からステンレスを用いるのがより好ましい。また、ステンレス基材の流路部に金などをメッキしてもよい。
当該基板の材質は、同一のものでも良いが、異なる材質のものを自由に組み合わせてもよい。
多層流の実現を補助するために温度制御を行う場合には、異なる材質の基板を接合するのが好ましく、例えば、高温側の基板に金、アルミニウム等を用い、低温側の基板にステンレス等を用いることが挙げられる。
また、基板の接合は、微細流路内の洗浄を考慮すると、分解ができる状態で接合することが好ましいが、ガラスやセラミック等の脆性材質の場合には、接着剤等により接合するのが望ましい。基板の接合に際しては、テフロン(登録商標)製等の断熱シートを間に挟み込むのが好ましい。
斯かる基板において流路となる溝部は、その表面を、粒子の吸着を防ぐために、耐溶媒性があり、摩擦係数の低いポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等で、及び/又は温度感受性物質でコーティングする等して改質するのが望ましい。
本発明のマイクロチックデバイスの動作の一例について、図2及び図1を参照して以下に説明する。
図2に示すように、一方の流路32から目的物質を含む試料を含む流体と、他方の流路32から磁性担体を含む流体とが混合手段23に流入し、これらの流体が混合・分散されて、磁性担体に試料中の目的物質が吸着されて、試料と担体を含む分散流体(移動相溶媒)となる。
その後、流路33を経て当該分散流体が、流体導入口19(図示せず)次いでマイクロ流路2の液体導入部3に導入される。導入された分散流体は、流路4に移動し、分離・回収部5に移動する。多層流が形成可能な液体を用いた場合には、流路4において、上流から下流方向に流れる際に多層流となり、多層流の状態で分離・回収部5に移動する。
このとき、超音波振動機構14は、制御部にて超音波振動子(超音波振動の周波数)を制御して連続的又は非連続的に流路内の流体がキャビテーションを起こさない程度にデバイス全体又はマイクロ流路2に超音波振動を与えつつ、磁性担体を含む移動相溶媒が分離・回収部5の分岐に移動したときに、磁力分離機構11は、制御部にて磁石の磁力の調整、好ましくは磁力のオンオフをして、磁性担体を磁性担体回収流路5aに流入させ、磁性担体が含まれる液体を流出口20(図示せず)から回収する。他方の回収流路で目的物質を除去した試料が含まれる流体を流出口20から回収する。
このとき、当初の試料中に目的物質以外で有用物質が含まれている場合には、回収流路の流出口20から流出した流体に含まれている有用物質を分析したり、またこの有用物質が含まれている流体を回収すればよい。この際に、多層流を形成させた場合には、液−液分離により有用物質の回収が行い易い。
図5の磁気分離機構11と超音波振動機構14とを備えたマイクロ流体デバイスの例示を説明する。尚、磁気分離機構11と超音波振動機構14には、上述のように、それぞれを制御する制御部を設けてもよいし、これら機構を1つで制御する制御部を何れかの機構又は新たに磁気分離・超音波振動制御部として設けてもよい。
図5(A)に示すように、磁気分離機構11には、カム機構によって磁石が上下運動する可動式磁石13が備えられており、これにより磁力の強弱が生じ、このときの超音波振動により流路の目詰まりを防止しつつ磁性担体を回収する。
図5(B)に示すように、ベルト機構(ドライブシャフトと複数の磁石を配置したベルト)によって磁石が一周又は平行移動する可動式磁石13を有する磁気分離機構11と、複数の超音波振動機構14が備えられている。磁気分離機構11により磁力の強弱が生じると共に、効率良く磁性担体を磁性担体回収流路5aに流入させる。このように磁性担体を回収しつつ、超音波振動機構14にて磁力の強弱、特に磁力の弱が生じた際にデバイス全体又はマイクロ流路2に超音波振動を与えて流路の目詰まりを防止する。特に、複数の超音波振動子(図示せず)を協働させることにより、流体の乱れを少なくしつつ、所望の箇所、特に磁性担体回収流路5aの流路の目詰まりを防止する。
図5(C)に示すように、分離・回収部を三又分岐状とし、流路上部に電磁石12aを備えた磁気分離機構11、その上に超音波振動機構14が備えられ、流路下部に永久磁石12bを備えた磁気分離機構11、その下に超音波振動機構14が備えられている。
各磁性担体回収流路5aに、流路目詰まり防止用の磁気分離機構及び超音波振動機構が備えられているので、個別に磁力の強さや超音波振動を調整することで、各流路の目詰まりを効率良く防止できる。
図5(D)に示すように、流路の上部に超音波振動機構14、その流路の下部に磁気分離機構11が備えられており、超音波振動とも相俟って流路の下方向に磁性流体を集め、磁性流体回収流路5aから回収する。
本発明のマイクロチップデバイスは、脱塩装置として試料中の目的物質を効率良く回収することができるので、分析装置(例えばLC―MS装置、NMR装置、IR装置、UV装置等)に組み合わせることができ、また試料中の目的物質が吸着された磁性担体を効率良く回収することができるので、回収装置や分離装置と組み合わせることができる。
例えば、図6に示すように、本発明のマイクロ流体デバイス1を液体クロマトグラフと質量分析計との間に配置すればよい。尚、このマイクロ流体デバイス1は、多層流を形成させると共に多層流実現補助機構を備えるのが、目的物質の回収ロスを少なく感度良く分析できるので、望ましい。
具体的には、LC−MS装置30には、ポンプ21a及びカラム21bを有し、塩類を緩衝液に用いる液体クロマトグラフ21(例えば、高速液体クロマトグラフ);磁性担体(図示せず)を撹拌しながら磁性担体を含む溶液を移送する手段22;磁性担体を含む溶液と、液体クロマトグラフで分離された塩類を含む試料溶液とが移送され、これを混合し、混合・分散液としてマイクロ流体デバイスに供給する混合手段23;供給された混合・分散液を導入し、磁気分離機構11及び超音波振動機構14の協働により、磁性担体を回収すると共に塩類を除去した試料溶液を質量分析計24に供給するマイクロ流体デバイス2及び当塩類が除去された試料溶液を測定する質量分析計24、を備えている。
液体クロマトグラフ21から塩類と有用物質とを含む試料溶液が、また磁性担体供給手段から磁性担体溶液が、混合手段23に流入する。混合手段23は、導入したこれらの溶液を混合しつつ、混合・分散状態とし、試料中の塩類を磁性担体に吸着させて、マイクロ流体デバイス1のマイクロ流路2に移送する。移送された磁気担体を含む溶液は、流体導入部3次いで流路4に流入する。当該溶液中の塩類が吸着された磁性担体は、液体と共に、流れ方向の下流で分岐している分離・回収部5の流路5aを経て回収される。このとき、磁気分離機構11と超音波振動機構14とが協働し、流路内の目詰まりを防止しつつ、磁性担体を磁性担体回収流路5aに導く。他方で、磁性担体が除去された試料溶液、すなわち塩類が除去された有用物質を含む試料溶液は、分離・回収部5bを経て回収された後、質量分析計に供給される。質量分析計は、供給された試料溶液の測定を行う。
従来、特に液体クロマトグラフ・質量分析装置において、液体クロマトグラフで分離された試料中の脱塩処理に手間がかかっているが、上述のように液体クロマトグラフと質量分析計との間に本発明のマイクロ流体デバイスを脱塩装置として用いることにより、試料から塩類を効率よく除去できるので、試料中の有用物質を高感度に質量分析を行うことができる。
また、例えば、図7に示すように、有用物質や目的物質を回収するため、本発明のマイクロ流体デバイス1を用いる。尚、このマイクロ流体デバイス1は、多層流を形成させると共に多層流実現補助機構を設けてもよい。
具体的には、回収分離装置40は、上記LC−MS装置30の質量分析計24を、回収手段27に代え、また液体クロマトグラフ21を試料供給手段26に代えたものである。当該回収手段27は、有用物質、磁性担体や廃液等を回収するための、フラクションや回収ボトル等を備えたものであればよい。また、この磁性担体に吸着されている目的物質を磁性担体から分離し、目的物質単独を回収できる分離回収装置を備えていてもよい。
尚、試料供給手段26は作業操作が簡便なので有利であるが、試料中の成分を予め分離精製した後にマイクロ流体デバイスで分離するのが望ましい場合には液体クロマトグラフ21に代えてもよい。
試料供給手段26から目的物質を含む試料溶液を混合手段23に流入させ、また磁性担体供給手段から磁性担体溶液を混合手段23に流入させ、これら溶液を混合・分散状態とし、マイクロ流体デバイス1に移送し、マイクロ流路2を経て目的物質が吸着した磁性担体を回収手段27にて回収する。当該磁性担体がマイクロ流路2を経る際に、磁気分離機構11と超音波振動機構14とが協働し、流路内の目詰まりを防止しつつ、磁性担体及び吸着磁性担体を磁性担体回収流路5aに導く。
これによって、試料中の微量成分、例えば生体成分を効率良く回収できたり、試料中の不要な成分、例えば不溶性の細胞等を効率良く除去することができる。
以下に具体的な実施例を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
〔実施例1〕
(1)構成
図6に、本発明のマイクロ流体デバイスを備えた液体クロマトグラフ−質量分析装置30を示す。
具体的には、質量分析計24で測定する試料を分離する高速液体クロマトグラフ(HPLC)21と、チタニアをコートした磁性微粒子(0.5〜5μm程度)を含む溶媒液を供給するスターラー付きシリンジポンプ22と、HPLC21から送られるリン酸等の塩を含む試料溶液及びシリンジポンプ22から送られる磁性微粒子溶媒液を混合分散液とし、マイクロ流体デバイスに流入させるダイナミックミキサー23と、導入した混合分散液をリン酸等の塩を除去した試料溶液とリン酸を吸着した磁性微粒子とに分離するマイクロ流体デバイス1と、当該試料溶液中の有用物質の質量を測定する質量分析計(MS)24とを備えた装置である。
ここで、磁性微粒子溶媒液は、HPLC21で用いられる溶液との混合で多層流を実現させるための水やエタノール等の極性溶媒と、ヘキサン等の非極性溶媒と、チタニア粒子3%(w/v)程度とを分散させたものである。
また、マイクロ流体デバイス1には、ランジュバン型超音波振動子14と電磁石11と、これを制御する制御部(図示せず)とが備えられている。
(2)動作
従来のHPLCとMSを直接繋いたHPLC−MS装置では、HPLC分離の際に使用した移動相溶媒にリン酸を含むため、試料中の有用物質(測定したい物質)を質量分析した場合には、含まれるリン酸がイオン化を妨害するため、質量分析することが困難であった。
本発明のLC−MS装置30において、まず、HPLC21にてリン酸緩衝液を用いて分離された試料溶液と、スターラー付きシリンジポンプ22より磁性微粒子を撹拌しながら送液されたチタニア微粒子分散液とが、ダイナミックミキサー23内に供給される。これら溶液は、ダイナミックミキサー23にて混合され、混合分散液状態となり、溶液中のリン酸はチタニア微粒子に吸着される。次に、この混合分散液は、マイクロ流体デバイス1の導入部3に導入され、流路4を経て多層流となり、多層流中のリン酸吸着のチタニア微粒子は流路の分岐付近で電磁石11により引き付けられ、当該磁性微粒子と水・エタノール等溶液は磁石に近い側のチャネル(磁性担体回収流路)5aに流入する。このとき、電磁石11(磁束密度400mT)は、制御部によって制御され、10〜20Hz(Duty90%)程度でon/offする。かつ、超音波振動子(周波数200kHz,強度0.5W/cm2程度)がデバイス全体又はマイクロ流路2を適宜振動させ、粒子の壁面への吸着による流路の閉塞を防ぐ。
この結果、磁性担体回収流路5aとは、異なる逆側のチャネル5bからは、リン酸等塩が除去された試料溶液(水・エタノール等溶液)が排出される。次いで、この試料溶液(ヘキサン等溶液)がMS装置24に流入し、当該試料中の有用物質をHPLC21からオンラインで分析をすることとなる。この試料には、リン酸の濃度が少なくなっているので、イオン化が妨害されることなく、質量分析を行うことができる。
〔実施例2〕
(1)構成
本マイクロ流路デバイス1は、磁力分離機構11の電磁石12aを永久磁石12b(磁束密度400mT)(ネオジウム磁石等)に代え、これに可動機構を付加し、可動式磁石13(図示せず)とした以外は、上記実施例1と同様のマイクロ流体デバイスの構成を有する。尚、装置の簡略化を図るため、可動式磁石13とせず、永久磁石12bでもよい。
目的物質(例えば回収又は除去したい不溶性の細胞、細菌等の生体成分)を含む試料溶液を供給する送液システム26(例えば、シリンジポンプ、ペリスタポンプ等)と、抗原抗体反応により特異的に試料中の目的物質と反応し、これを吸着できる磁性担体を含む溶媒液を供給するスターラー付きシリンジポンプ22と、送液システムから供給される試料溶液及びシリンジポンプから送られる磁性担体溶液を混合分散液とし、マイクロ流体デバイスに流入させるスタティックミキサー23と、導入した混合分散液から目的物質(抗原)を除去した試料溶液とこれを吸着した磁性担体とを分離するマイクロ流体デバイス1と、この流出した2溶液を回収する回収装置27とを備えた、分離回収装置40である。
(2)動作
抗原を含む試料溶液と、スターラー付きシリンジポンプ22より抗体を表面にコーティングした磁性粒子を撹拌しながら送液された微粒子分散液とが、スタティックミキサー23内に供給される。これら液体は、混合されて単一相流となるものである。
微粒子を含む分散液(水・エタノール溶液)と抗原を含む試料溶液(水溶液)は、当該ミキサー23にて混合され、混合分散液状態となり、溶液中の抗原は抗原抗体反応により磁性粒子に吸着される。次に、当該溶液は、マイクロ流体デバイスの導入部3に導入され、流路4を経て、溶液中の抗原吸着の磁性粒子は流路の分岐付近でチャネル(磁性体回収流路)5aに沿って駆動する永久磁石12bにより引き付けられ、このチャネル(磁性担体回収流路)5bに流入する。このとき、超音波振動子(周波数200kHz,強度0.5W/cm2程度)が、デバイス全体又はマイクロ流路2を適宜振動させ、粒子の壁面への吸着による流路の閉塞を防ぐ。
この結果、磁性担体回収流路5aからは、抗原が吸着された磁性粒子を含む溶液が回収され、一方これとは異なる逆側のチャネル5bからは、抗原が除去された試料溶液が回収される。
1 マイクロ流体デバイス
2 マイクロ流路
3 液体導入部
4 流路
5 分離・回収部
11 磁気分離機構
12 磁石
13 可動式磁石
14 超音波振動機構
21 液体クロマトグラフ
22 磁性担体供給手段
23 流体混合分散手段
24 質量分析計
25,27 回収手段
26 試料供給手段
30 LC−MS装置
40 分離回収装置

Claims (8)

  1. 液体導入部及び分離回収部を有するマイクロ流路を具備し、磁性担体を用いて目的物質を回収するためのマイクロ流体デバイスであって、磁性担体を分離回収部に導入する磁気分離機構及びマイクロ流路若しくはデバイス全体を超音波振動させる超音波振動機構を備えたマイクロ流体デバイス。
  2. 多層流の実現を補助するための機構を備えたものである請求項1記載のマイクロ流体デバイス。
  3. 前記超音波振動機構が、超音波振動の周波数を中周波帯〜高周波帯に制御する制御部を有する請求項1又は2記載のマイクロ流体デバイス。
  4. 前記磁気分離機構が、磁力のオンオフを断続的又は非断続的に行う制御部を有する請求項1〜3の何れか1項記載のマイクロ流体デバイス。
  5. 液体導入部及び分離回収部を有するマイクロ流路、磁性担体を分離回収部に導入する磁気分離機構及びマイクロ流路若しくはデバイス全体を超音波振動させる超音波振動機構を備えたマイクロ流体デバイスを用いた目的物質の回収方法であって、分離回収部において、超音波振動を与えながら、かつ磁性担体を磁気分離することを特徴とする目的物質の回収方法。
  6. 中周波帯〜高周波帯の超音波振動を付与する請求項5記載の方法。
  7. 磁力をオンオフすることにより磁気分離する請求項5又は6記載の方法。
  8. 磁力がオフのときに、中周波帯〜高周波帯の超音波振動を付与する請求項7記載の方法。
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