JP2011184142A - 基材成形装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】支持軸体が設けられた保持装置を搬送する際に保持装置が支持軸体の軸線を中心として揺動することを規制することができる技術を提供する。
【解決手段】植物性繊維と熱可塑性樹脂を含む材料からなる板状体Wを搬送し、所定の形状に成形する基材成形装置であって、板状体Wの上方に配置されたシャフト32を有し、このシャフト32に板状体Wの上端部を保持するクランプ34が設けられたハンガー30と、シャフト32を移動させることでハンガー30を搬送するハンガー受け渡し機構と、シャフト32がシャフト32の軸線を中心として回動することを規制する第1規制部39a及び第2規制部39bとを備える。
【選択図】図7

Description

本発明は、植物性繊維と熱可塑性樹脂を含む材料からなる板状体を搬送し、所定の形状に成形する基材成形装置に関する。
従来、ポリプロピレン樹脂繊維と植物性繊維とをほぼ同量配合したものをブレンダー工程、フォーマー工程を経てマット状に形成した後、プレス機により板状に形成した熱成形繊維板が知られている。植物性繊維としては、ケナフ繊維、ジュート繊維等が使用される。特に、ケナフ繊維を使用した場合には、ケナフは光合成により多くのCOを吸収するという性質をもち、成長が早いことから、地球環境保全にとって有効である。このような熱成形繊維板の製造方法が、例えば特許文献1に開示されている。なお、この熱成形繊維板のように、熱可塑性樹脂と植物性樹脂とを混合したものを加熱した後に、冷間プレス用の成形型にて所定の形状に成形して得られる成形体のことを、以下、基材と称する。
基材の成形工程において、シャフトが設けられたハンガーに板状体を吊り下げ、このハンガーを搬送する方法が知られている。図20は、従来の基材成形装置200におけるシャフト132が設けられたハンガー130の一例を示したものであり、板状体Wを吊り下げた状態のハンガー130を斜め前方から視た斜視図である。
ハンガー130は、図20に示すように、円筒状のシャフト132を備えている。シャフト132の下部には、板状体Wの上縁部を挟むための2つのクランプ134が取り付けられている。シャフト132の上部には、4つのローラ136が取り付けられている。このようなハンガー130を用いた基材の成形工程では、板状体Wを吊り下げた状態のハンガー130を搬送し、板状体Wの加熱工程及び成形工程を行う。成形工程が終了すると、ハンガー130から板状体Wが取り外され、板状体Wが取り外された状態のハンガー130が回収される。
特開2009−262431号公報
上記した従来の基材成形装置200では、例えば加熱工程から成形工程へ移行する際にハンガー130の乗継動作を行う場合がある。この乗継動作の際に、例えばシャフト132の両側部を下方からV字状の切欠部で軸支した状態で搬送することがある。しかしながら、ハンガー130のシャフト132は円筒状に形成されているため、このような状態でハンガー130を搬送すると、搬送時の慣性力や振動などによりハンガー130がシャフト132の軸線を中心として揺動する虞がある。この結果、ハンガー130に吊り下げられた板状体Wが落下したり、ハンガー130自体が落下したりする等の搬送不具合が発生し、基材成形装置200の稼働率が低下する虞がある。
本発明は、上記の課題に鑑みて創作されたものである。本発明は、支持軸体が設けられた保持装置を搬送する際に保持装置が支持軸体の軸線を中心として揺動することを規制することができる技術を提供する。
本明細書で開示される技術は、植物性繊維と熱可塑性樹脂を含む材料からなる板状体を搬送し、所定の形状に成形する基材成形装置であって、前記板状体の上方に配置された支持軸体を有し、この支持軸体に前記板状体の上端部を保持する保持部が設けられた保持装置と、前記支持軸体を移動させることで前記保持装置を搬送する搬送装置と、前記支持軸体が同支持軸体の軸線を中心として回動することを規制する規制部と、を備える基材成形装置に関する。
上記の基材成形装置によると、搬送装置に載置された保持装置の支持軸体が同支持軸体の軸線を中心として回動することを、規制部によって規制することができる。これにより、保持装置が支持軸体の軸線を中心として揺動することを規制することができる。この結果、搬送不具合が発生することを抑制することができ、基材成形装置の稼働率を向上させることができる。
前記搬送装置は、前記支持軸体の両側部を軸支する一対の軸受け部を有し、両軸受け部に前記支持軸体を軸支した状態で前記保持装置を搬送するようになっており、前記規制部は、前記軸受け部から側方に張り出すフランジ部と、前記支持軸体の両側部に設けられ、前記フランジ部に対して面当たり可能な第1当接部とにより構成され、前記フランジ部と前記当接部とが当接することにより、前記保持装置によって吊り下げられた状態の前記板状体が前記支持軸体の軸線を中心として揺動することを規制してもよい。
この構成によると、フランジ部と第1当接部とが当接することにより、支持軸体が同支持軸体の軸線を中心として回動することが規制される。これにより、保持装置によって吊り下げられた状態の板状体が支持軸体の軸線を中心として揺動することを規制することができ、板状体の落下等の搬送不具合を抑制することができる。
前記搬送装置は、前記支持軸体と交差する方向に延びて前記支持軸体を支持する複数の搬送レールを備え、この搬送レールに沿って前記支持軸体を搬送することにより前記保持装置を回収可能とされており、前記規制部が前記搬送レールに対してその搬送レールの長手方向に沿って当接する第2当接部を備えて構成されることにより、前記支持軸体の回動が規制されていてもよい。
この構成によると、第2当接部が搬送レールの長手方向に沿って当接することにより、当接部と連接している支持軸体が同支持軸体の軸線を中心として回動することが規制される。これにより、保持装置を回収する際に保持装置が落下する等の搬送不具合を抑制することができる。
本明細書で開示される技術によると、支持軸体が設けられた保持装置を搬送する際に、保持装置が支持軸体の軸線を中心として揺動することを規制することができる。
基材Kの製造方法のフローチャートを示す。 板状体Wを予備成形するための予備成形型10の断面図であり、予備成形型10が閉じる前の状態を示す。 板状体Wを予備成形するための予備成形型10の断面図であり、予備成形型10が閉じた後の状態を示す。 予備成形体W1を本成形するための本成形型20の断面図であり、本成形型20が閉じる前の状態でかつ予備成形型がセット中心に導入された状態を示す。 予備成形体W1を本成形するための本成形型20の断面図であり、本成形型20が閉じる前の状態でかつ予備成形型が成形中心側に配置された状態を示す。 予備成形体W1を本成形するための本成形型20の断面図であり、本成形型20が閉じた後の状態を示す。 板状体Wがハンガー30に吊り下げられた状態を斜め前方から視た斜視図を示す。 板状体Wがハンガー30に吊り下げられた状態を側方から視た側面図を示す。 基材成形装置100の全体を模式的に表した平面図を示す。 ハンガー回収装置70を除いた基材成形装置100の斜視図を示す。 ハンガー回収装置70を除いた基材成形装置100の平面図を示す。 ハンガー受け渡し機構80a(80b)のアーム81を側方から視た側面図を示す。 ハンガー受け渡し機構80a(80b)のアーム81を正面側から視た正面図を示す。 ハンガー30を載置した状態のハンガー受け渡し機構80a(80b)のアーム81を側方から視た側面図を示す。 ハンガー30を載置した状態のハンガー受け渡し機構80a(80b)のアーム81を正面側から視た正面図を示す。 ハンガー回収装置70を上方から視た平面図を示す。 ハンガー回収装置70を側方から視た側面図を示す。 ハンガー回収装置70の搬送レールに載置されたハンガー30の一部を正面側から視た正面図を示す。 ハンガー回収装置70の搬送レールに載置されたハンガー30の一部を斜め前方から視た斜視図を示す。 従来の基材成形装置200におけるハンガー130を斜め前方から視た斜視図を示す。
図面を参照して実施形態を説明する。図1は、基材Kの製造方法を示すフローチャートである。図1に示すように、基材Kを製造するためには、植物性繊維と熱可塑性樹脂を混合した材料からなる板状体Wを加熱した後に(予備加熱工程)、加熱した板状体Wをさらに加熱し(本加熱工程)、加熱した板状体Wを予備成形体W1に予備成形し(予備成形工程)、予備成形体W1を基材Kに本成形する(本成形工程)。これにより、所定の形状に成形された基材Kを得ることができる。
板状体Wに含まれる植物性繊維とは、植物由来の繊維材料のことである。このような繊維材料は、例えば、綿、麻、サイザル、ジュート、ケナフなどから採取することが可能である。この中では、特にケナフが好ましい。ケナフは、成長が早くしかもCOを多く吸収することから、地球環境保全にとって有効だからである。また、ケナフの靭皮からは比較的長くて丈夫な繊維を採取することが可能だからである。
板状体Wに含まれる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ乳酸(PLA)等を用いることができる。この中では、特にポリプロピレンが好ましい。
板状体Wを製造するためには、植物性繊維と熱可塑性樹脂を混合した材料を混綿させることでマット状とした後に、得られたマット体を熱圧プレスによって板状に成形する。これにより、所定の厚みを有する板状体Wを製造することができる。このような板状体Wの製造方法は、例えば、特開2001−179716号公報、特開2002−371455号公報等に開示されている。なお、板状体Wは、「熱成形用繊維板」、「プレボード」などの別の名称で呼ばれる場合がある。
板状体Wを加熱することによって、当該板状体Wに含まれる熱可塑性樹脂を溶融させることができる。例えば、板状体Wに含まれる熱可塑性樹脂がポリプロピレンである場合には、ポリプロピレンの融点は160℃〜170℃であるため、板状体Wをこれ以上の温度(例えば200℃)に加熱することで当該板状体Wに含まれる熱可塑性樹脂を溶融させることができる。
図2、図3は、板状体Wを予備成形するための予備成形型10の断面図である。図2に示すように、予備成形型10は、一対の金型12、14を有している。このうち一方の金型12は、中央部分が凹んだ形状を有しており、他方の金型14は、中央部分が突出した形状を有している。一対の金型12、14は、型面同士が互いに対向するようにして左右に配置されている。そして、金型12、14の型面間に板状体Wが上下方向に吊り下げられた状態で配置される。図3に示すように、予備成形型10を構成するこれら一対の金型12、14は、例えば金型12を金型14側に移動させ型閉じすることで上下方向に吊り下げられた状態の板状体Wを表裏両面からプレスすることが可能となっている。これにより、板状体Wは、予備成形体W1に成形される。
図4、図5、図6は、板状体Wを本成形するための本成形型20の断面図である。図4に示すように、本成形型20は、一対の金型22、24を有している。このうち一方の金型22は、中央部分が凹んだ形状を有しており、他方の金型24は、中央部分が突出した形状を有している。一対の金型22、24は、型面22a、24a同士が互いに対向するようにして左右に配置されている。図4において両型面22a、24aの中心に配置された予備成形体W1の位置を以下「セット中心」という。
図5に示すように、予備成形体W1は、両金型22、24によって行われるプレス加工に先立って、予め他方の金型24の型面24a側(成形中心側)に配置される。次に図6に示すように、本成形型20を構成するこれら一対の金型22、24は、例えば金型22を金型24側に移動させ型閉じすることで上下方向に吊り下げられた状態の板状体Wを表裏両面からプレスすることが可能となっている。
予備成形体W1を本成形するための本成形型20は、冷間プレス用の成形型が用いられる。ここでいう「冷間プレス」とは、本成形型20の型面を積極的に加熱しないで行うプレス成形のことを意味するが、加工熱や摩擦熱などによって本成形型20の型面22a、24aがある程度加熱される場合も含まれる。加熱した板状体Wを本成形型20(冷間プレス型)でプレスすることによって、板状体Wに含まれている熱可塑性樹脂が冷却されて固化する。これにより、所定形状に成形された基材Kを得ることができる(図6参照)。図6において両型面22a、24aの中心に配置された基材Kの位置を以下「成形中心」という。
このようにして得られた基材Kは、軽量でかつ強度が高いことから、車両用内装材の基材として用いることができる。例えば、基材Kは、ドアトリム、インストルメントパネル、シートバックボード、パーティションボード、コンソールボックス、ピラーガーニッシュ、クォータトリムなどに用いることができる。
図2と図4を比較すればわかるように、予備成形型10を構成する一対の金型12、14のクリアランスCL1は、本成形型20を構成する一対の金型22、24のクリアランスCL2よりも大きく設定されている。例えば、CL2が5mmである場合には、クリアランスCL1がそれよりも大きい10mmに設定されている。したがって、板状体Wを一回で基材Kに成形するのではなく、まず、板状体Wを予備成形体W1に成形し、次に、この予備成形体W1を基材Kに成形することにより、段階的に(2段階で)成形することが可能となっている。
さらに、本成形工程でセット中心に導入された予備成形体W1を成形中心側に移動させて本成形することにより、両金型22、24を型閉じする途中で予備成形体W1がロックされることを回避し、プレス加工後に基材Kの中央部分が引き延ばされて薄肉となることを規制できる。
図7は、板状体Wを吊り下げた状態で保持するためのハンガー30の斜視図である。図8は、ハンガー30の側面図である。
図7に示すように、ハンガー30には、鉄やアルミニウムなどの金属製の円筒状部材からなるシャフト32が設けられている。シャフト32の長さは、板状体Wの横幅よりも大きく形成されている。シャフト32の下部には、板状体Wの上縁部を挟むための2つのクランプ34が取り付けられている。シャフト32の上部には、後述するスライドレール62に載置されるローラ36が取り付けられている。シャフト32の両端には一対の取付部材38,38が設けられており、ローラ36は、この取付部材38を介してシャフト32の上部にそれぞれ取り付けられている。なお、ローラ36は、取付部材38の表面と裏面にそれぞれ取り付けられている。従って、ハンガー30には、4つのローラ36が取り付けられている。クランプ34及び取付部材38は、シャフト32を上下に貫通するボルト(図示しない)によって連結されている。
シャフト32の両側部であって取付部材38の外側には、鉄やアルミニウムなどの金属製の矩形状部材からなる第1当接部39aが設けられている。第1当接部39aは2つの小片部材から構成されている。2つの小片部材はボルト(図示しない)によって連結されており、1つの第1当接部39aをなしている。また、2つの小片部材は、シャフト32をその上下から挟持しており、これにより第1当接部39aはシャフト32の周縁に固定されている。従って、第1当接部39aの中心にはシャフト32が貫通している。第1当接部39aの底面39a1は、ハンガー30に板状体Wが吊り下げられた状態において水平となるような形状で形成されている。
取付部材38の内側には、矩形状の第2当接部39bが設けられている。第2当接部39bは、水平方向に向かってシャフト32と直交する方向に延びる形状を成している。第2当接部39bの中心にはシャフト32が貫通しており、第2当接部39bは、ボルト留め等の適当な固定手段(図示しない)によってシャフト32の周縁に沿って固定されている。
図8に示すように、第2当接部39bは、シャフト32と直交する水平方向の両側面39b1がローラ36の先端36aより前に出ている。また、クランプ34は、鉄やアルミニウムなどの金属製の板状部材からなる一対の挟持部材を有している。両挟持部材は、ヒンジ35を支点としてその下端部を開閉させることで板状体Wの上縁部を挟むことができるように構成されている。すなわち、両挟持部材の一方は、同他方に対して板状体Wの上縁部を保持する閉じ位置と板状体Wの上縁部を解除する開き位置との間を開閉可能とされている。両挟持部材の上端部間には、ばね部材37が取り付けられており、このばね部材37によって両挟持部材の下端部がヒンジ35を支点として閉じる方向に付勢されている。両挟持部材の下端部の内面側には、板状体Wが下方に落ちることを規制するための滑り止め用の溝部が形成されている。
図9は、基材Kを成形するための基材成形装置100の全体を模式的に表した平面図である。図9に示すように、基材成形装置100は、板状体Wを加熱する加熱装置と、板状体Wを基材Kに成形する成形装置と、ハンガー回収装置70とを備えている。加熱装置は、予備加熱装置50と本加熱装置40とから構成されている。予備加熱装置50と本加熱装置40は、基材成形装置100の入口側からこの順に配置されており、本加熱装置40は、予備加熱装置50と平面視略垂直かつ略水平に配置されている。すなわち、予備加熱装置50と本加熱装置40は、平面視略L字状に直交する配置で連結されている。板状体Wは、予備加熱装置50で約170℃に加熱され、加熱状態のまま本加熱装置40に投入される。
ハンガー回収装置70は、基材Kの成形後に、基材Kから取り外された空き状態のハンガー30を回収するための装置である。空き状態のハンガー30は、図示しない移送機構によってハンガー回収装置70の搬入部70Aまで搬送され、回収部70Bで回収される。以上のように、基材Kの成形工程は、図9の矢印方向に従ってハンガー30を搬送しながら行われる。なお、ハンガー回収装置70の構成については、後で詳しく説明する。
図10は、ハンガー回収装置70を省略して簡易的に示した基材成形装置100の斜視図である。図11は、ハンガー回収装置70を省略して簡易的に示した基材成形装置100の平面図である。
図10に示すように、本加熱装置40は、板状体Wをその内部に通過させることで均一に加熱することのできる熱風循環式の加熱炉42と、その加熱炉42の内部において板状体Wを搬送することのできる搬送装置44とを備えている。加熱炉42の内部温度は例えば200℃(本発明の「所定の温度」の一例)に設定されており、予め170℃付近に加熱された板状体Wを200℃に加熱し保持することにより、当該板状体Wに含まれる熱可塑性樹脂の溶融状態を維持させることが可能となっている。
搬送装置44は、並列に配置された2台のチェーンコンベヤ46a、46bによって構成されており、この2台のチェーンコンベヤ46a、46bは同期して駆動されている。この2台のチェーンコンベヤ46a、46bの上面には、前述したハンガー30を構成するシャフト32の両端部が載置される。これにより、搬送装置44は、ハンガー30によって吊り下げられた状態で保持される板状体Wを加熱炉42の内部で搬送することができるようになっている。
加熱炉42の内部には、板状体Wを予備成形するための予備成形型10が設置されている。搬送装置44と予備成形型10は、加熱炉42の内部においてオフセット位置に設置されている。ここでいう「オフセット位置」とは、「互いの中心軸が離れた位置」という意味であり、具体的には、搬送装置44の中心軸P1と、予備成形型10の中心軸P2が水平方向に離れた位置という意味である。
予備成形型10の下方には、本成形型20が設置されている。予備成形型10と本成形型20は、オフセット位置に配置されている。ここでいう「オフセット位置」とは、「互いの中心軸が離れた位置」という意味であり、具体的には、予備成形型10の中心軸P2と、本成形型20の中心軸P3が上下方向に離れた位置という意味である。
なお、加熱炉42の略後半部は、平面視において略L字形(図10参照)に形成されており、オフセット位置に配置された搬送装置44と予備成形型10をともに収容できるようになっている。本成形型20は、予備成形型10の下方であって、かつ、加熱炉42の外部に設置されている。
図10及び図11に示すように、基材成形装置100は、ハンガー30に取り付けられたローラ36を回転可能に載置することが可能な第1スライドレール58aと、第2スライドレール58bとを備えている。第1スライドレール58aは、搬送装置44の手前側において搬送装置44と平面視略垂直かつ略水平に配置され、予備加熱装置50の搬入部50Aから本加熱装置40の搬入部40A(搬送装置44の手前側)まで延設されている。第2スライドレール58bは、搬送装置44の奥側において搬送装置44と平面視略垂直かつ略水平に配置され、搬送装置44の終端部40Bから予備成形型10まで延設されている。ハンガー30のローラ36(図7及び図8参照)が第1スライドレール58aに載置される際には、取付部材38の手前側(図8の左側)に取り付けられている2つのローラ36のみが載置される。ハンガー30のローラ36が第2スライドレール58bに載置される際には、取付部材38の奥側(図8の右側)に取り付けられている2つのローラ36のみが載置される。各スライドレール58a,58bに載置されたローラ36は各スライドレール58a,58bの頂点部(図示しない)に深く嵌り込むため、スライドレール58a,58bから外れにくい。このため、このように2つのローラ36のみが載置された状態でも、ハンガー30を第1スライドレール58aや第2スライドレール58bに沿って安定して搬送させることができる。
第1スライドレール58aや第2スライドレール58bの近傍には、図示しない水平方向移動機構がそれぞれ設けられている。水平方向移動機構は、第1スライドレール58aや第2スライドレール58bに載置されているハンガー30を水平方向に移動させることが可能である。このため、第1スライドレール58aに載置されたハンガー30を、水平方向移動機構によって予備加熱装置50の搬入部50Aから本加熱装置40の搬入部40Aまで移送することが可能となっている。さらに、第2スライドレール58bに載置されたハンガー30を、水平方向移動機構によって搬送装置44の終端部40Bから予備成形型10まで移送することが可能となっている。
また、基材成形装置100は、第1スライドレール58aから搬送装置44にハンガー30を受け渡すための第1ハンガー受け渡し機構80aと、搬送装置44から第2スライドレール58bにハンガー30を受け渡すための第2ハンガー受け渡し機構80bとを備えている。第1ハンガー受け渡し機構80a及び第2ハンガー受け渡し機構80bは、それぞれ2つのアーム81を備えており、この2つのアーム81によってハンガー30を構成するシャフト32の両端部を下方から持ち上げることが可能となっている。なお、第1ハンガー受け渡し機構80aと第2ハンガー受け渡し機構80bとは等しい構成で形成されているため、以下においては両ハンガー受け渡し機構80a,80bをまとめてハンガー受け渡し機構80a(80b)というものとし、個別の説明を省略する。
図12は、ハンガー受け渡し機構80a(80b)のアーム81を側方から視た側面図である。図13は、ハンガー受け渡し機構80a(80b)のアーム81を正面側から視た正面図である。図14は、ハンガー30を載置した状態のハンガー受け渡し機構80a(80b)のアーム81を側方から視た側面図である。図15は、ハンガー30を載置した状態のハンガー受け渡し機構80a(80b)のアーム81を正面側から視た正面図である。
図12及び図13に示すように、ハンガー受け渡し機構80a(80b)の一対のアーム81には、それぞれ軸受け部81aと、フランジ部81bとが設けられている。軸受け部81aには、上方に開口する凹部81a1が設けられている。凹部81a1は、シャフト32がほぼ適合して嵌り込む大きさで形成されており、この凹部81a1にシャフト32が嵌り込むことにより軸受け部81aにシャフト32が軸支される。これにより、ハンガー30を下方から支持した状態で、ハンガー30をアーム81に載置することができる。また、凹部81a1は、円弧状に湾曲した形状を成している。このため、図14及び図15に示すように、アーム81の軸受け部81aにシャフト32が軸支された状態では、シャフト32の周縁の略下側半分が軸受け部81aの凹部81a1と当接し、シャフト32が軸受け部81aから外れ難い構成となっている。
フランジ部81bは、板状を成しており、軸受け部81aの下端縁からシャフト32の端部側に向かって水平方向に張り出している。また、フランジ部81bは、シャフト32の両側部の下方に位置している。さらに、フランジ部81bの上下両面は、ハンガー30に板状体Wが吊り下げられた状態において水平姿勢となっている。従って、図14及び図15に示すように、アーム81の軸受け部81aにシャフト32が軸支された状態では、第1当接部39aの底面39a1とフランジ部81bの上面81b1とが略平行に対向し、当接する。このため、フランジ部81bと第1当接部39aとが当接することにより、シャフト32がシャフト32の軸線を中心として回動することが規制される。これにより、ハンガー30がシャフト32の軸線を中心として揺動することが規制され、ハンガー30によって吊り下げられた状態の板状体Wがシャフト32の軸線を中心として揺動することが規制される。
上述したように、本実施形態に係る基材成形装置100では、フランジ部81bと当接部39とが当接することにより、シャフト32がシャフト32の軸線を中心として回動することが規制される。これにより、ハンガー30によって吊り下げられた状態の板状体Wがシャフト32の軸線を中心として揺動することを規制することができる。この結果、板状体Wの落下等の搬送不具合を抑制することができ、基材成形装置100の稼働率を向上させることができる。
次に、ハンガー回収装置70の構成について、図16及び図17を参照しながら説明する。図16は、ハンガー回収装置70を上方から視た平面図である。図17は、ハンガー回収装置70を側方から視た側面図である。
ハンガー回収装置70は、図16及び図17に示すように、フレーム72と、回収されるハンガー30を搬送するための複数の搬送レール74とを備えている。フレーム72は、ハンガー回収装置70の外郭を構成しており、各搬送レール74を支持している。複数の搬送レール74は、円筒状を成す4本の第1搬送レール74aと、同じく円筒状を成す2本の第2搬送レール74bとから構成されており、それぞれハンガー回収装置70の搬入部70Aから回収部70Bに向かって延設されている。第1搬送レール74aは、ハンガー回収装置70の両側に2本ずつ配置されている。第2搬送レール74bは、第1搬送レール74aに並設され、第1搬送レール74aより内側に配置されている。回収されるハンガー30は、ハンガー30のシャフト32と各搬送レール74とが垂直に交差した状態で搬送レール74に載置される。
また、各搬送レール74は、図17に示すように、ハンガー回収装置70の搬入部70Aから回収部70Bに向かって下降する緩やかな傾斜がつけられた状態で、フレーム72に取り付けられている。このため、ハンガー回収装置70の搬入部70Aに位置する搬送レール74にハンガー30が載置されると、ハンガー30は、この傾斜によって搬入部70Aから回収部70Bに向かって滑り降りながら搬送レール74に沿って移動する。
図18は、ハンガー回収装置70の搬送レール74に載置されたハンガー30の一部を正面側から視た正面図である。具体的には、図18は、搬送レール74に載置されたハンガー30を図16及び図17の矢印A方向から視たときの、ハンガー30の右側部分を示している。図19は、ハンガー回収装置70の搬送レール74に載置されたハンガー30の一部を斜め前方から視た斜視図であり、図18に示した部分と対応する部分を示している。
搬送レール74にハンガー30が載置される際には、図18及び図19に示すように、ハンガー30のクランプ34がそれぞれ隣り合う2本の第1搬送レール74aの間に収容された状態でハンガー30が載置される。この状態では、ハンガー30がシャフト32の軸方向に沿って平行移動すると、クランプ34が第1搬送レール74aと当接する。このため、搬送レール74に載置されたハンガー30は、シャフト32の軸方向に沿って移動することが規制される。この結果、ハンガー30を搬送レール74に沿った方向に搬送することができる。また、搬送レール74に載置されたハンガー30が、搬送時の振動により落下することを防止することができる。これにより、搬送不具合が発生することを抑制することができる。
また、図18及び図19に示すように、搬送レール74にハンガー30が載置された状態では、ハンガー30の第2当接部39bと第2搬送レール74bとが、平行に対向した状態で当接する。この状態では、第2当接部39bが第2搬送レール74bの長手方向に沿って平行に延びており、かつ、シャフト32を中心とする搬送方向両側で第2当接部39bが第2搬送レール74bに当接しているため、シャフト32がシャフト32の軸線を中心として回動することが規制される。この結果、ハンガー30がシャフト32の軸線を中心として揺動することが規制される。このため、搬送レール74に載置されたハンガー30が、搬送時の慣性力や振動により落下等することを防止することができる。これにより、搬送不具合が発生することを抑制することができる。
上述したように、第1搬送レール74aは、ハンガー30を支持しながら第1搬送レール74aに沿ってハンガー30を搬送する役割を果たしており、第2搬送レール74bは、ハンガー30のシャフト32の軸線を中心とした揺動を規制する役割を果たしている。従って、第1搬送レール74aは第2搬送レール74bより高い強度で形成されている必要があり、第1搬送レール74aは第2搬送レール74bより大きな直径で形成されている。本実施形態では、第1搬送レール74aの直径は50mmであり、第2搬送レール74bの直径は15mmである。
搬送レール74に複数のハンガー30が載置された場合、隣り合うハンガー30が互いにシャフト32の軸線を中心として揺動することによりハンガー30同士が衝突し、シャフト32等が損傷することがある。上述したように、本実施形態の基材成形装置100では、搬送レール74に複数のハンガー30が載置された状態において、ハンガー30がシャフト32の軸線を中心として揺動することが規制される。このため、隣り合うハンガー30同士が衝突することを抑制することができ、シャフト32等が損傷することを防止することができる。
また、本実施形態の基材成形装置100では、上述したように、第2当接部39bは、シャフト32と直交する水平方向の両側面39b1がローラ36の先端36aより前に出ている。このため、搬送レール74に複数のハンガー30が載置された状態において隣り合うハンガー30同士が近接した場合に、隣り合うハンガー30の第2当接部39b同士が当接する(図16及び図17参照)。この結果、隣り合うハンガー30同士の間で、クランプ34同士あるいはローラ36同士の衝突が規制され、さらに隣り合うハンガー30同士を所定の間隔を空けて配置することができ、作業性を向上させることもできる。
実施形態の構成と本発明の構成との対応関係を記載しておく。ハンガー30が「保持装置」の一例である。また、ハンガー受け渡し機構80a(80b)及びハンガー回収装置70が「搬送装置」の一例である。第1当接部39aとフランジ部81bとの組み合わせ及び第2当接部39bが「規制部」の一例である。
上記の実施形態の変形例を以下に列挙する。
(1)ハンガー30に、第1当接部39aと第2当接部39bのいずれか一方のみが設けられている構成としてもよい。
(2)第2搬送レール74bが第1搬送レール74aの外側に並設され、第1当接部39aがシャフト32と直交する水平方向に長手状に延びており、第1当接部39aが、ハンガー受け渡し機構80a(80b)のフランジ部81bに当接する役割と、第2搬送レール74bに当接する役割との両者を兼ねてもよい。
(3)上記の実施形態では、アーム81の軸受け部81aにシャフト32が軸支された状態でフランジ部81bと第1当接部39aとが当接する構成としているが、シャフト32が軸支された状態からシャフト32がシャフト32の軸線を中心としてわずかに回動することによりフランジ部81bと第1当接部39aとが当接する構成としてもよい。
(4)上記の実施形態では、第2当接部39bの底面が、ハンガー30に板状体Wが吊り下げられた状態において水平となるような形状で形成されているが、この状態において第2搬送レール74bの傾きと平行となるような形状で形成されていてもよい。
(5)ハンガー30に3つ以上のクランプ34が取り付けられており、これらのクランプ34で板状体Wを挟持する構成としてもよい。また、ハンガー30に3つ以上の第2当接部39bが設けられている構成としてもよい。
(6)上記の実施形態以外でも、第1当接部39a、第2当接部39bの配置、形態及びフランジ部81bの配置、形態等は適宜に変更可能である。
(7)上記の実施形態では、予備成形工程と本成形工程とによって板状体を基材に成形しているが、板状体を一度で基材に成形してもよい。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
10:予備成形型、12、14、22、24:金型、20:本成形型、22a、24a:型面、30、130:ハンガー、32、132:シャフト、34、134:クランプ、35:ヒンジ、36、136:ローラ、36a:ローラ36の先端、37:ばね部材、38、138:取付部材、39a:第1当接部、39b:第2当接部、40:本加熱装置、40A、50A、70A:搬入部、40B:終端部、42:加熱炉、44:搬送装置、46a、46b:チェーンコンベヤ、50:予備加熱装置、58a:第1スライドレール、58b:第2スライドレール、66:ハンガー移送機構、70:ハンガー回収装置、70B:回収部、72:フレーム、74:搬送レール、74a:第1搬送レール、74b:第2搬送レール、80a:第1ハンガー受け渡し機構、80b:第2ハンガー受け渡し機構、81:アーム、81a:軸受け部、81a1:凹部、81b:フランジ部、100、200:基材成形装置

Claims (3)

  1. 植物性繊維と熱可塑性樹脂を含む材料からなる板状体を搬送し、所定の形状に成形する基材成形装置であって、
    前記板状体の上方に配置された支持軸体を有し、この支持軸体に前記板状体の上端部を保持する保持部が設けられた保持装置と、
    前記支持軸体を移動させることで前記保持装置を搬送する搬送装置と、
    前記支持軸体が同支持軸体の軸線を中心として回動することを規制する規制部と、
    を備えることを特徴とする基材成形装置。
  2. 前記搬送装置は、前記支持軸体の両側部を軸支する一対の軸受け部を有し、両軸受け部に前記支持軸体を軸支した状態で前記保持装置を搬送するようになっており、
    前記規制部は、前記軸受け部から側方に張り出すフランジ部と、前記支持軸体の両側部に設けられ、前記フランジ部に対して面当たり可能な第1当接部とにより構成され、前記フランジ部と前記第1当接部とが当接することにより、前記保持装置によって吊り下げられた状態の前記板状体が前記支持軸体の軸線を中心として揺動することを規制することを特徴とする請求項1に記載の基材成形装置。
  3. 前記搬送装置は、前記支持軸体と交差する方向に延びて前記支持軸体を支持する複数の搬送レールを備え、この搬送レールに沿って前記支持軸体を搬送することにより前記保持装置を回収可能とされており、
    前記規制部が前記搬送レールに対してその搬送レールの長手方向に沿って当接する第2当接部を備えて構成されることにより、前記支持軸体の回動が規制されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の基材成形装置。
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