JP2011183434A - レーザ加工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】レーザ光を用いてガラス基板を分断する加工方法において、基板の内部にわたって加熱できるとともに、基板裏側の構造物に対する損傷を防止する。
【解決手段】この加工方法は、レーザ光を照射して脆性材料基板を分断する方法であって、第1及び第2工程を含んでいる。第1工程は、分断予定ラインに沿ってITO膜12が形成されたガラス基板3,4を準備する。第2工程は、ガラス基板3,4のITO膜12が形成された面と逆側の面において、ガラス基板3,4に対する透過率が20%以上90%以下となるような波長が2.6μm以上4.5μm以下のレーザ光を分断予定ラインに沿って照射する。
【選択図】図4
【解決手段】この加工方法は、レーザ光を照射して脆性材料基板を分断する方法であって、第1及び第2工程を含んでいる。第1工程は、分断予定ラインに沿ってITO膜12が形成されたガラス基板3,4を準備する。第2工程は、ガラス基板3,4のITO膜12が形成された面と逆側の面において、ガラス基板3,4に対する透過率が20%以上90%以下となるような波長が2.6μm以上4.5μm以下のレーザ光を分断予定ラインに沿って照射する。
【選択図】図4
Description
本発明は、レーザ加工方法、特に、レーザ光を照射して脆性材料基板を分断するレーザ加工方法に関する。
例えばLCD基板として使用されるガラス基板を分断する場合、ダイヤモンド工具等のようなメカニカルツールによって分断する方法と、レーザ光を照射して分断する方法とが提案されている。
レーザ光を照射してガラス基板を分断する方法は、特許文献1に示されている。ここでは、レーザ光をガラス基板表面に照射し、それによって発生する熱応力で基板にクラックを発生させ、さらにこのクラックを分断予定ラインに沿って進展させるものである。このような従来の分断方法に用いられるレーザ光としては、一般的にCO2レーザが用いられる。このCo2レーザは基板表面で吸収されて基板表面が加熱される。そして、加熱された部分にノズルにより冷却水を噴射してクラックを生じさせる。
特許文献1に示されたようなレーザ光によるガラス基板分断方法では、ガラス基板の表面部分は加熱されるが、深さ方向において十分に加熱することは困難である。したがって、基板の表面近傍のみを中心にクラックが進展し、深さ方向にはクラックが進展しにくい。このため、高精度の分断を行うことが困難である。
そこで、ガラス基板に対して透過率の高いレーザ光をガラス基板に照射し、基板内部まで加熱することが考えられる。例えば、波長が2.7μmのEr(エルビューム)ファイバレーザを板厚0.7mmのガラス基板に照射すると、透過率は75%となる。この例において反射率を5%とすると、基板に吸収されるレーザ光は20%程度となり、残りの80%のレーザ光は基板を透過し、基板の加熱に寄与しないことになる。しかも、基板を透過したレーザ光は基板裏側の加工テーブルや他の構造物を加熱することになり、これらに損傷を与えることになる。
本発明の課題は、レーザ光を用いて脆性材料基板を分断する加工方法において、基板の内部にわたって加熱できるとともに、基板裏側の構造物に対する損傷を防止することにある。
請求項1に係るレーザ加工方法は、レーザ光を照射して脆性材料基板を分断する方法であって、以下の工程を含んでいる。
第1工程:少なくとも分断予定ラインに沿って透明導電膜が形成された脆性材料基板を準備する。
第2工程:脆性材料基板の透明導電膜が形成された面と逆側の面において、脆性材料基板に対する透過率が20%以上90%以下となるような波長が2.6μm以上4.5μm以下のレーザ光を分断予定ラインに沿って照射する。
この加工方法では、透過率が20%以上90%以下となるような波長が2.6μm以上4.5μm以下のレーザ光を基板に照射することにより、基板表面だけでなく、内部にわたって加熱される。また、基板の裏面に到達したレーザ光は、透明導電膜によって反射されるので、この反射されたレーザ光によっても基板が加熱される。
ここでは、基板を透過するレーザ光及び透明導電膜で反射したレーザ光によって基板内部が加熱されるので、基板表面のみではなく、深さ方向においても十分に加熱される。また、効率よく基板内部を加熱することができる。しかも、レーザ光は基板裏面の透明導電膜で反射されるので、基板を透過するレーザ光は弱くなり、基板裏側の構造物が損傷されるのを抑えることができる。
請求項2に係るレーザ加工方法は、請求項1の加工方法において、第2工程において、より好ましくはレーザ光の波長は2.6μm以上3.0μm以下である。
ここでは、波長が2.6μm以上3.0μm以下のレーザ光は、より基板に吸収され、効率良く基板内部を加熱することができる。
請求項3に係るレーザ加工方法は、請求項1又は2の加工方法において、透明導電膜は、脆性材料基板に透明電極を形成する際に同時に形成される。
脆性材料基板の一面には、一般的に透明電極が形成される場合が多い。そこで、そのような場合には、第2工程における透明導電膜の形成は、この透明電極の形成と同じ工程で同時に形成することができる。
請求項4に係るレーザ加工方法は、請求項1から3のいずれかの加工方法において、第2工程でレーザ光が照射された部分を冷却する第3工程をさらに含む。
この場合は、基板を分断する速度を速くすることができる。
以上のような本発明では、基板裏側の構造物の損傷を抑えながら、基板内部を効率よく加熱することができる。
[ウェハの構成]
図1は、本発明の一実施形態による加工方法によって分断される半導体ウェハを示している。このウェハ1は、液晶表示装置用の複数の表示パネル2が区画して形成されたものである。図1のII−II線断面図である図2で示すように、ウェハ1は、対向して配置された第1ガラス基板3と第2ガラス基板4とを有している。
図1は、本発明の一実施形態による加工方法によって分断される半導体ウェハを示している。このウェハ1は、液晶表示装置用の複数の表示パネル2が区画して形成されたものである。図1のII−II線断面図である図2で示すように、ウェハ1は、対向して配置された第1ガラス基板3と第2ガラス基板4とを有している。
以上のようなウェハ1の区画領域を分断することによって、1つの表示パネル2が切り出される。1つの表示パネル2の拡大図を図3に示す。この図3で示すように、第2ガラス基板4上には素子5が形成されており、第1ガラス基板3と第2ガラス基板4とはシール部材6を介して接着され、両ガラス基板3,4間の隙間は密封されている。そして、この密封された両ガラス基板3,4間の隙間に液晶7が充填されている。
各ガラス基板3,4には、分断予定ライン10が設けられている。分断予定ライン10は、各表示パネル2を切り出すためのラインである。この分断予定ライン10に沿ってレーザ光を走査することによって、各表示パネル2が分断される。
また、各ガラス基板3,4のレーザ光が入射する面とは逆側の面において、分断予定ライン10に沿った領域(図3の領域A)にはITO膜(透明導電膜)が形成されている。このITO膜は、各ガラス基板3,4に透明電極を形成する際に、同じ工程で同時に形成されるものである。
[分断方法]
次に、各ガラス基板3,4の分断方法について説明する。
次に、各ガラス基板3,4の分断方法について説明する。
まず、分断予定ライン10に沿った領域にITO膜12(図4参照)が形成されたガラス基板3,4を用意する。このITO膜12は、各ガラス基板3,4の透明電極と同材料である。したがって、前述のように、各ガラス基板3,4に透明電極を形成する際に、同じ工程で同時に形成することができる。
次に、波長が2.7μmのEr(エルビューム)ファイバレーザによって、第1ガラス基板3の表面(図3において上方で、ITO膜12が形成された面の反対面)からレーザ光Lを照射する。そして、このレーザ光Lを分断予定ラインに沿って走査する。また、図4に示すように、レーザ光Lの走査に追従させて、ノズルから冷却水Wを分断予定ラインに沿って噴射する。なお、この冷却水の噴射は特に必要なものではない。
以上のようにして第1ガラス基板3を分断予定ラインに沿って分断した後、ウェハ1を反転して第2ガラス基板4を上方に位置させる。そして、第1ガラス基板3を分断した工程と同様の工程によって第2ガラス基板4を分断予定ラインに沿って分断していく。
<ITO膜及びレーザ光>
各ガラス基板3,4の一面に形成されるITO膜12の反射率を図5に示している。なお、図5に示す特性は、ガラス基板上に0.4μmのITO膜を形成し、レーザ光を入射した場合の測定結果によって得られたものである。また、図6に、板厚が0.7mmの無アルカリガラスに対してレーザ光の波長を変えた場合の透過率の変化を示している。
各ガラス基板3,4の一面に形成されるITO膜12の反射率を図5に示している。なお、図5に示す特性は、ガラス基板上に0.4μmのITO膜を形成し、レーザ光を入射した場合の測定結果によって得られたものである。また、図6に、板厚が0.7mmの無アルカリガラスに対してレーザ光の波長を変えた場合の透過率の変化を示している。
まず、本実施形態の波長2.7μmのレーザ光をガラス基板に照射した場合、図6に示すようにガラス基板の厚さが0.7mmであるとすると、レーザ光のガラス基板透過率は76%である。なお、照射されたレーザ光の5%はガラス基板で反射される。したがって、ガラス基板にITO膜が形成されていない場合は、ガラス基板へのレーザ光の吸収率は19%となる。
一方、図5から明らかなように、波長が2.7μmのレーザ光では、ITO膜の反射率は約85%である。したがって、ガラス基板を透過したレーザ光の多くはITO膜で反射し、再度ガラス基板を透過することになる。このとき、レーザ光は、ガラス基板の表面から裏面に透過する際にガラス基板に吸収され、さらにITO膜で反射してガラス基板の裏面側から表面に透過する際に再度ガラス基板に吸収される。このため、レーザ光は効率よくガラス基板に吸収され、表面のみではなく基板内部においても効果的に加熱されることになる。結局、板厚が0.7mmの無アルカリガラスの場合は、反射したレーザ光の吸収を含めると、31.9%のレーザ光がガラス基板に吸収されることになる。したがって、ITO膜がない場合に比較して、約1.7倍の効率で加熱することができる。
この点について、以下により詳細に説明する。
まず、吸収率と透過率と反射率とを合計したものが100%である。すなわち、
吸収率+透過率+反射率=100%
である。ここで、ITO膜が形成されていない場合は、透過率は実測で76%、反射率は実測で5%であり、吸収率は(100−76−5=)19%となる。また、レーザ光が基板内を通過するとき、基板内部の表面側から(100−5=)95%のレーザ光が入射し、19%のレーザ光が吸収されているので、基板内部の表面側から裏面側に到達する間に、基板内部に入射したレーザ光の19%/95%=20%が吸収されることになる。
吸収率+透過率+反射率=100%
である。ここで、ITO膜が形成されていない場合は、透過率は実測で76%、反射率は実測で5%であり、吸収率は(100−76−5=)19%となる。また、レーザ光が基板内を通過するとき、基板内部の表面側から(100−5=)95%のレーザ光が入射し、19%のレーザ光が吸収されているので、基板内部の表面側から裏面側に到達する間に、基板内部に入射したレーザ光の19%/95%=20%が吸収されることになる。
一方、本実施形態のように、ITO膜を基板裏面に設けた場合、基板の裏面までレーザ光が通過する間に、前述のように、基板内で入射光の19%が吸収される。また、基板内を通過したレーザ光(入射光の76%)は、その85%(文献による反射率)が裏面に設けられたITO膜によって反射される。したがって、裏面からの反射光は入射光の76%×85%=64.5%になる。前述のように、基板内を通過するレーザ光は通過中に20%が吸収されるため、反射光の吸収は、入射光の64.5%×20%=12.9%になる。以上を足しあわせると、基板への吸収は入射光の19%+12.9%=31.9%になる。
以上から、本実施形態のように基板裏面にITO膜を形成した場合は、ITO膜がない場合の吸収率19%と比較すると、31.9%/19%=1.68倍の効率で加熱することができることになる。
しかも、レーザ光のITO膜透過率はほぼ「0」であるので、各ガラス基板3,4の下方に位置する構造物(この例ではシール部材)が熱損傷を受けるのを抑えることができる。
[特徴]
この実施形態では、ガラス基板に対して透過率の高いレーザ光を用いてガラス基板を加熱するので、基板表面だけではなく、基板内部をも加熱することができる。しかも分断予定ラインにおいて、レーザ光が入射する面の反対面には、レーザ光を反射させるITO膜12が設けられているので、ITO膜を反射したレーザ光が基板内部を加熱することになり、効率よく基板を内部まで加熱することができる。
この実施形態では、ガラス基板に対して透過率の高いレーザ光を用いてガラス基板を加熱するので、基板表面だけではなく、基板内部をも加熱することができる。しかも分断予定ラインにおいて、レーザ光が入射する面の反対面には、レーザ光を反射させるITO膜12が設けられているので、ITO膜を反射したレーザ光が基板内部を加熱することになり、効率よく基板を内部まで加熱することができる。
また、ガラス基板を透過するレーザ光を少なくできるので、ガラス基板のレーザ光入射側とは逆側にある構造物の熱損傷を避けることができる。
ITO膜は、ガラス基板に一般的に形成される透明電極と同じ材料であるので、透明電極を形成する工程と同じ工程で同時にITO膜を形成することができ、特に工程が増えるわけではない。
[他の実施形態]
本発明は以上のような実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形又は修正が可能である。
本発明は以上のような実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形又は修正が可能である。
前記実施形態では、レーザ光照射の後に加熱部を冷却するようにしたが、この冷却工程は必須ではない。
レーザ光の条件については前記実施形態に限定されない。図5及び図6から明らかなように、ITO膜は、レーザ光の波長が2μmより長い場合は反射率が80%以上であるため、それより長い波長であれば基板へのレーザ光の吸収を増加させることができる。一方で、波長が5μmを越えるような場合は、レーザ光はガラス基板を透過しないために、基板へのレーザ光の吸収が増加することはない。したがって、レーザ光としては、透過率が20%以上90%以下となるように、波長は2.6μm以上4.5μm以下のレーザ光を用いるのがよい。
1 ウェハ
2 表示パネル
3,4 ガラス基板
10 分断予定ライン
12 ITO膜
2 表示パネル
3,4 ガラス基板
10 分断予定ライン
12 ITO膜
Claims (4)
- レーザ光を照射して脆性材料基板を分断するレーザ加工方法であって、
少なくとも分断予定ラインに沿って透明導電膜が形成された脆性材料基板を準備する第1工程と、
前記脆性材料基板の前記透明導電膜が形成された面と逆側の面において、前記脆性材料基板に対する透過率が20%以上90%以下となるような波長が2.6μm以上4.5μm以下のレーザ光を分断予定ラインに沿って照射する第2工程と、
を含む、レーザ加工方法。 - 前記第2工程において、より好ましくはレーザ光の波長は2.6μm以上3.0μm以下である、請求項1に記載のレーザ加工方法。
- 前記透明導電膜は、脆性材料基板に透明電極を形成する際に同時に形成される、請求項1又は2に記載のレーザ加工方法。
- 前記第2工程でレーザ光が照射された部分を冷却する第3工程をさらに含む、請求項1から3のいずれかに記載のレーザ加工方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010051437A JP2011183434A (ja) | 2010-03-09 | 2010-03-09 | レーザ加工方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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ID=44790341
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JP2010051437A Pending JP2011183434A (ja) | 2010-03-09 | 2010-03-09 | レーザ加工方法 |
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JP (1) | JP2011183434A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2014010506A1 (ja) * | 2012-07-09 | 2014-01-16 | 旭硝子株式会社 | 膜付ガラス板の切断方法 |
JP2015069975A (ja) * | 2013-09-26 | 2015-04-13 | 株式会社ディスコ | 被加工物の加工方法 |
JP2016523713A (ja) * | 2013-09-25 | 2016-08-12 | エルジー・ケム・リミテッド | レーザカッティング装置及びそのカッティング方法 |
-
2010
- 2010-03-09 JP JP2010051437A patent/JP2011183434A/ja active Pending
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