JP2011182842A - 洗浄箸、及び箸頭部の保護加工方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、1)箸素材1の端部から一定距離位置に一定の溝幅を有する周囲溝13を形成して細柱部11とする周囲溝形成工程、 2)該周囲溝13に合成樹脂材Rを充填する充填工程、3)該周囲溝幅の中間位置にて箸素材1を切断する切断工程、4)切断した頭端面に合成樹脂材Rを盛付けする盛付け工程、よりなるので、細柱部11の長さが大きくでき、どぶ付け方法を採用する必要がない。支持するために必要な把持部1Aを確保できる。このような工程を経て保護加工された洗浄箸Aは、洗浄耐久性に非常に優れたものとなる。
【選択図】図1
Description
更にその洗浄箸の箸頭部の保護加工方法に関する。
そして、我が国はその割り箸用の木材の多くを外国からの輸入によって賄っている。
しかし近年、環境保護の観点から、割り箸の原料となる木材の輸出を制限する動きも現れ始めており、今後、割り箸の生産量は減少していく可能性がある。
このような洗浄箸としては、プラスチック製(特許文献1参照)や木製のものがあるが、洗浄箸が木製の場合には、該洗浄箸に防水性を付与する必要がある。
そのため、洗浄箸の表面が合成樹脂等の樹脂によって被覆された木製箸が数多く製造されている。
木製の洗浄箸では、樹脂が剥がれ落ちてくると、樹脂が剥がれた箇所から水が洗浄箸に染み込み、その部分が膨張、或いは軟化する。
その結果、洗浄箸から剛性が失われ使いにくくなる。
先端部を曲面にする方法としては、図19(A)に示すように、洗浄箸の箸本体100の先端部を丸く加工して、その表面に樹脂膜101を形成する方法がある。
しかし樹脂膜101は先端部の周囲に沿って薄くしか付与されないため、図19(B)に示すように、先端部の樹脂膜101から樹脂が剥がれ落ち、一部地肌101Aが露出する。
しかし、このように形成された樹脂塊Rは、図20(B)に示すように、箸本体100の軸方向の引っ張り力が加わると、樹脂塊R全体が、先端面12Aから一挙に離脱してしまう傾向がある。
さらに、図20(C)に示すように、樹脂塊Rに先端面12Aと平行な方向の力が加わった場合も、剪断力により樹脂塊Rは先端面12Aから一挙に離脱してしまう傾向がある。
上述したように、従来の洗浄箸において、箸本体の先端部に付与された樹脂の耐久性は、必ずしも満足できるものではなかった。
このような箸は耐久性の観点では極めて優れたものである。
しかし箸の端部にこのような樹脂部を形成する際、その小突起が長い場合、いわゆる、どぶ付けによる方法では表面張力が十分効かず樹脂材Rの盛り付けができない。
また、箸の頭部には、箸素材1に乾燥や塗布加工を行う上で把持代(箸の乾燥や塗料の塗布の際、工具で箸を垂直に把持しておくための把持領域に相当し最終的には除去される)が必要であるが、このような把持代があると、先述したどぶ付けの方法は不可能である。
すなわち、頭部への樹脂部の形成が簡単に行える洗浄箸、及びその箸頭部の保護加工方法を提供することを目的とする。
また、支持するために必要な把持部1Aを確保できる。
また箸としては、樹脂部が細柱部の周囲に樹脂が厚く付着することで形成されるので、樹脂と箸本体との接触面積が大きくなり先端部から極めて離脱しにくい。
樹脂部に箸本体の軸方向の力や軸方向と垂直方向の力(すなわち剪断力)が加わったとしても、細柱部が支持力を発揮し、樹脂部の先端面からの離脱を防止する。
すなわち、本発明に係る洗浄箸は洗浄耐久性に非常に優れたものとなる。
以下、図面を用いて本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る洗浄箸を示した概略図である。
図1に示すように、本実施形態に係る洗浄箸Aは、木製の箸本体1Bと、樹脂部2とからなる。
樹脂部2は、細柱部11の周囲に合成樹脂材Rがほぼドーム状に固まって形成された樹脂の塊である。
細柱部11の周囲に合成樹脂材Rをドーム状に形成する方法については後で詳しく述べる。
その結果、樹脂部2は箸本体1Bの頭端部から離脱しにくくなるのである。
また箸本体1Bの角は、樹脂部2によってカバーされ端面から内側になるため洗浄の際、端同士衝突しても保護される。
図2に示すように、樹脂部2は細柱部11を覆うように形成されるため、樹脂部2は様々な方向から加わる力に対して、強い固定力を発揮し、その結果、樹脂部2は頭端部から非常に離脱しにくい。
その結果、軸方向(長さ方向)の引っ張り力に対する固定力は、本実施形態に係る洗浄箸Aの樹脂部2の方が、従来の洗浄箸に形成される樹脂塊Rよりも大きくなる。
従って、樹脂部2の方が頭端面12から離脱しにくいのである。
すなわち前述した図20(B)に示すような離脱は起きない。
そして、洗浄箸Aとしては、加工性、耐久性等の点から特に鉄木(ウリン)を用いることが好ましい。
図3に示すように、細柱部11は箸本体の頭端面12に起立して形成されており、細柱部11の直径D1は先端面の直径D2よりも短く設定され、その結果、断面積は箸本体1Bの頭端面12の面積よりも小さくなっている。
細柱部11の断面積は、剪断支持力の観点から、箸本体1Bの先端面の面積の5%以上であることが好ましい。
細柱部11が形成される位置は、頭端面12の中央に形成されることが好ましい。
溝幅を大きくすると細柱部11の長さは大きくなり、逆に溝幅を小さくすると細柱部11の長さは小さくなる。
同様に周囲溝13を形成する際の溝深さの調整により、細柱部の太さを変更することができる。
図4に示すように、細柱部11の断面の形状に制限はなく、図4(A)に示すような矩形であってもよく、図4(B)に示すような角形(ここでは三角柱)でもよい。
しかし後述するように、細柱部の形成の仕方の観点から、断面は円形がより好ましい。
スリット溝Pに合成樹脂材Rが入り込み抜け止めとなる。
図6は、箸頭部の保護加工方法の一例を示す工程図である。
箸頭部の保護加工方法は、1)箸素材1の端部から一定距離位置に一定の溝幅を有する周囲溝13を形成する周囲溝形成工程→2)該周囲溝13に合成樹脂材Rを充填する充填工程→3)該周囲溝13幅の中間位置にて箸素材1を切断する切断工程→4)切断した端部に合成樹脂材Rを盛付けする盛付け工程と各工程を経て達成される。
周囲溝形成工程においては、箸本体1Aより長い箸素材1に周囲溝13を形成する。
ここで箸素材1とは、洗浄箸である箸本体1Aの出発材料となるもので、図7の側面図で示すように箸本体1Aよりも把持部1Aの領域だけ長さが大きい。
この把持部1Aは頭端部の端面から一定の距離の領域部分Lを云う。
この把持部1Aは、先述したように箸素材1を工具で把持する部分で把持された箸素材1は、工具で把持された状態で塗料が塗られ、或いは大気中で乾燥される。
例えば把持部1Aを工具で把持して回転させて切削刃(いわゆるバイト)で削ることにより、箸素材1の外周面が縮径されて細柱部11となる。
具体的には図8に示すように、箸素材1を一定の回転速度で回転させ、切削刃M(或いは研磨刃)を箸素材1の回転軸に対して垂直方向に移動調整し切削或いは研磨加工する。
この充填工程においては、前の周囲溝形成工程で形成された箸素材1の周囲溝13に合成樹脂材Rが充填される。
図10は、箸素材1において周囲溝13に合成樹脂材Rが充填され樹脂部2が形成された後の状態を示し、(A)は側面図であり(B)は一部断面図である。
この合成樹脂材Rの充填は、例えばヘラや刷毛を使って行われる。
或いは、公知の塗料槽を備えたしごき塗り塗布器具(特許文献3参照)を使う方法も採用される。
この場合は、しごき塗り塗布器具に設けたしごきゴム部材の穴部から箸素材を挿入し、その後引き抜くことにより周囲溝13に合成樹脂材Rを充填することができる。
凹凸のない模様入り塗箸を製造することができる。
この場合、丁度、箸素材1の外周と充填された合成樹脂材Rの外周とが面一となるようにする。
充填した後は、暫く放置して乾燥することで合成樹脂材Rは硬化する。
合成樹脂材Rが付与された箸素材1を乾燥させることで、合成樹脂材Rは周囲の木地組織まで入り込みながら硬化する。
この切断工程においては、箸素材1を周囲溝13に充填された樹脂部2の部分にて切断する。
この場合、周囲溝13の溝幅Wの中間の位置において箸素材1を切断する。
この切断は例えば回転鋸により容易に行うことができる。
ここで中間の位置とは、必ずしも真ん中であるとは限らず、一方に偏った位置でもよい。
因みに、真ん中の位置である場合は、この切断により、把持部1Aが除去されると共に合成樹脂材Rの樹脂部2も細柱部11も半分となる。
また、(C)は頭端部の平面図である。
この切断により箸素材1は箸本体1Bと把持部1Aに分断されるが、この箸本体1Bは、最終的には製品となるものであり、把持部1Aは廃棄される。
箸本体1Bの頭端部を見ると図11(C)で示されるように、中心部に箸本体1Bの地肌が小円となって露出し、その周囲に合成樹脂材Rで形成された樹脂部2がドーナツ状に見える。
この盛付け工程においては、前記切断工程より切断された頭端部の端面に箸本体1Bの木面が露出するので、この部分に更に合成樹脂材Rを盛り付けして覆うのである。
これにより肉盛部21が形成される。
図12は、合成樹脂材R1を肉盛りした後の肉盛部21が形成された状態を示し、(A)は側面図であり、(B)は一部断面図である。
また(C)は平面図である。
この場合、この工程で使用する合成樹脂材R1と前の充填工程で使用した合成樹脂材Rとは、同じ樹脂材を使うことが好ましい。
塗られた合成樹脂材Rは、表面張力により曲面(弧状)に形成される。
このように樹脂部は肉盛部21により半径状の樹脂部2となる。
以上のような処理加工により、箸の頭端部が合成樹脂材Rで覆われて保護される状態となる。
箸材質(木等)の部分が角部に位置しないので、洗浄により相互に衝突しても傷まない。
なお、盛付け工程を経た後は、必要に応じて、更に塗布処理、装飾処理、仕上げ処置等が行われる。
本実施の形態は、上述した第1の実施の形態の充填工程において、硬化前の流動性のある合成樹脂材Rを充填するのではなく、既に硬化した合成樹脂材Rを周囲溝13に嵌入することにより充填するものである。
従って、合成樹脂材Rは分割片2Aとして作成しておき、この分割片2Aを周囲溝13に押入れて固定する手法をとる。
この場合、接着剤を使うことが好ましい。
分割片2Aは既に乾燥硬化したものを使うので、第1の実施の形態のように、合成樹脂材R1を硬化する必要がなく、乾燥させる時間が不要となるメリットがある。
分割片2Aは、弧状の1対の分割片2Aを使って嵌合させているが、分割片2Aを3つ以上とすることも可能である。
この場合も、分割片2Aはコ字状の1対の分割片2Aを使って嵌合させているが、分割片2Aを3つ以上とすることも可能である。
これらの分割片2Aは箸素材1の中心に向かって押し込むことで容易に周囲溝13に嵌り込む。
ところで、箸素材1の断面形状が円形の例で説明したが、長円状、或いは角形状とすることも可能である。
(A)は、箸素材断面形状が矩形、細柱部の形状が円柱の場合、(B)は、箸素材断面形状が矩形、細柱部の形状も矩形の場合、(C)は、(B)の場合において分割片が4つの場合を示す。
例えば、樹脂部のドーム状とは、丸屋根状、半球状等を含むものである。
また、ドーム状の樹脂部は、例えば、箸の頭端部だけでなく、箸本体の先端部に突設された細柱部の周囲にも形成するようにしてもよい(図18参照)。
その場合は、細柱部11を縮径する方法としてプレス機を使った圧縮成形も採用可能である。
また、製造工程の際、乾燥が行われるが、この乾燥は室温乾燥だけでなく積極的な乾燥室での乾燥等、適宜採用が可能である。
また、合成樹脂材Rを充填する充填工程で使用される樹脂は、塗料、合成樹脂、漆、膠等から適宜選択されて用いられる。
B…研磨手段
R…合成樹脂材(樹脂塊)
R1…合成樹脂材
M…切削刃(研磨刃)
P…スリット溝
W…溝幅
1…箸素材
1A…把持部
1B…箸本体
11…細柱部
12…頭端面
12A…先端面
13…周囲溝
2…樹脂部
21…肉盛部
2A…分割片
100…箸本体
101…樹脂膜
101A…一部地肌
Claims (6)
- 1)箸素材の端部から一定距離位置に一定の溝幅を有する周囲溝を形成して細柱部とする周囲溝形成工程、
2)該周囲溝に合成樹脂材Rを充填する充填工程
3)該周囲溝幅の中間位置にて箸素材を切断する切断工程、
4)切断した頭端面に合成樹脂材を盛付けする盛付け工程、
とよりなる箸頭部の保護加工方法。 - 周囲溝形成工程において細柱部が円柱であることを特徴とする請求項1記載の箸頭部の保護加工方法。
- 周囲溝形成工程において細柱部が角柱であることを特徴とする請求項1記載の箸頭部の保護加工方法。
- 充填工程において固形の合成樹脂材を押し込んで充填することを特徴とする請求項1記載の箸頭部の保護加工方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載の保護加工方法によって製造された洗浄耐久性を有する洗浄箸であって、木製の箸本体の頭端面に突設された細柱部の周囲にドーム状の樹脂部が形成されていることを特徴とする洗浄箸。
- 木製の箸本体の先端面に突設された細柱部の周囲にドーム状の樹脂部が形成されていることを特徴とする特徴とする請求項5記載の洗浄箸。
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