JP2011180353A - プロジェクタ - Google Patents
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Abstract
【課題】プロジェクタにおいて、カラーホイールからの光の側方への反射を防止し、光の有効利用をする。
【解決手段】カラーホイール5に、凹部21を形成し、凹部21内に樹脂223と、蛍光体221との混合物を充填する。蛍光体221は樹脂223よりも比重が重いため、蛍光体221は底部に沈降し、樹脂223の層と分離する。上記混合物に光学的に透明なフィラー(微粒子)SiO2、Al2O3、熱伝導性の高いフィラーYAG、SiO2、Al2O3、Ag等を混合すれば、光の利用効率や、熱伝導性はさらによくなる。
【選択図】図1
【解決手段】カラーホイール5に、凹部21を形成し、凹部21内に樹脂223と、蛍光体221との混合物を充填する。蛍光体221は樹脂223よりも比重が重いため、蛍光体221は底部に沈降し、樹脂223の層と分離する。上記混合物に光学的に透明なフィラー(微粒子)SiO2、Al2O3、熱伝導性の高いフィラーYAG、SiO2、Al2O3、Ag等を混合すれば、光の利用効率や、熱伝導性はさらによくなる。
【選択図】図1
Description
本発明は、画像を投射表示するプロジェクタ(投写型表示装置)に関し、特に蛍光体層をカラーホイール本体に形成された凹部内に形成したカラーホイールを備えるプロジェクタに関するものである。
ホームシアター、プレゼンテーション等で使用される、表示画像を投写光学系により拡大投影し、大画面の表示画像を得るプロジェクタ(投射型画像表示装置)が商品化されている。このようなプロジェクタには、光源から出射された光を照明光として、デジタルマイクロミラーデバイス、液晶表示素子等の空間光変調器を使用する電気光学装置を介してスクリーンに画像を表示するものがある。上記プロジェクタには、光源として、高圧水銀ランプやキセノンランプを用いたものもあるが、それらは水銀の含有や、発熱量の問題から好ましくない。そのため近年では、発光ダイオード(LED)やレーザを使用したプロジェクタが考案されている。
例えば、LEDとレーザを使用するものとして、米国で開催された家電製品のトレードショーであるInternational CES(Consumer Electronics Show)(2010年)で展示発表されたカシオ計算機株式会社のプロジェクタがある。ここでは、赤色光源としてLED,青色光源として青色レーザ、緑色光源として青色レーザの位相と波長を変換したものを利用している(以下、この種のプロジェクタを「ハイブリッド型」という。)。
上記ハイブリッド型プロジェクタの色合成の方式について、その模式図を図4に示す。図4において、プロジェクタ100は、青色光源1、赤色光源2、カラーホイール5、ダイクロイックミラー3,8、レンズ4,9、ミラー6,7、空間光変調器としてのデジタルマイクロミラーデバイス10、投影光学系11、スクリーン12を備えている。青色光源1から出射される青色光(B)は、青色光を透過するダイクロイックミラー3、レンズ4を通過し、カラーホイール5に照射される。カラーホイール5は本体が金属製円盤であって、その円周方向の一部に緑色光(G)を発する蛍光体(以下、「緑蛍光体」という)が形成されている。青色光は、緑蛍光体が設けられていない部分(カラーホイール本体の円周方向の切り欠き部分)を通過し、ダイクロイックミラー8を透過し、レンズ9により集光されてデジタルマイクロミラーデバイス10に達する。
カラーホイール5から反射された一部の青色光は、青色光源1側に戻る。そして、青色光が上記緑蛍光体に照射されると緑色光が発光され、この緑色光は、レンズ4を通って緑色光を反射するダイクロイックミラー3により反射され、さらにミラー6,7と、ダイクロイックミラー8で反射され、レンズ9により集光されてデジタルマイクロミラーデバイス10に達する。
また、赤色光源2からの赤色光(R)は、ダイクロイックミラー3を通過し、ミラー6,7に反射されてダイクロイックミラー8に反射され、レンズ9により集光されてデジタルマイクロミラーデバイス10に達する。
デジタルマイクロミラーデバイス10に入射する青色光(B)、緑色光(G)、赤色光(R)の3原色は、入射光の切り替えを同期させて、それぞれの色の画像として時系列的に処理され、投影光学系11を介して、スクリーン12に画像が投写される。
デジタルマイクロミラーデバイス10に入射する青色光(B)、緑色光(G)、赤色光(R)の3原色は、入射光の切り替えを同期させて、それぞれの色の画像として時系列的に処理され、投影光学系11を介して、スクリーン12に画像が投写される。
このようなプロジェクタにおいて使用されるカラーホイールの製造では、形成される蛍光体層の画定手段として、マスク治具が使用されている(例えば、特許文献1参照)。
上記ハイブリッド型のようなプロジェクタでは、青色光は金属製のカラーホイールの切り欠き部を透過するとともに、青色光がカラーホイールに形成された緑色蛍光体に入射し、緑色光を出射する。しかし、カラーホイール本体から青色光源側への青色光の反射もあり、青色光が有効に利用されていない。
また、使用されるカラーホイールに形成される蛍光体は、微粒子からなるものと考えられるため、例えば、図5、図6に示す蛍光体層Fに入射された光により、図5に示すようにレンズ4によりカラーホイール5の蛍光体層Fに集光され、蛍光体層Fから発光する光は、矢印のように拡散光を含んでいるため、光学系からはずれる拡散光は戻りきらず、迷光となり有効に利用されていない。
また、使用されるカラーホイールに形成される蛍光体は、微粒子からなるものと考えられるため、例えば、図5、図6に示す蛍光体層Fに入射された光により、図5に示すようにレンズ4によりカラーホイール5の蛍光体層Fに集光され、蛍光体層Fから発光する光は、矢印のように拡散光を含んでいるため、光学系からはずれる拡散光は戻りきらず、迷光となり有効に利用されていない。
このようなことが生じる原因は、カラーホイールを構成する金属板に蛍光体を塗布する工程で、型内に蛍光体物質が塗布されてから治具がはずされた後に、樹脂に粘性があるため、図5に示すようにレンズ形状となること、及び蛍光体(粒子による拡散)による影響と考えられる。
また、光源として従来のランプよりも発熱量の少ない発光ダイオードを使用するものであっても、プロジェクタは、温度上昇に対応するため、冷却ファンや温度センサを備えているのが一般的であり、また、カラーホイール自体も発熱体となっている。
また、蛍光体は、熱によって発光効率が低下するため、光の利用効率を高めつつ、熱を逃す必要がある。そのためには、蛍光体に集光する光を拡散して、できるだけ多くの蛍光体を構成する蛍光体の微粒子に光を当てて、1個あたりの蛍光体が吸収するエネルギーを低減することが必要である。
また、光源として従来のランプよりも発熱量の少ない発光ダイオードを使用するものであっても、プロジェクタは、温度上昇に対応するため、冷却ファンや温度センサを備えているのが一般的であり、また、カラーホイール自体も発熱体となっている。
また、蛍光体は、熱によって発光効率が低下するため、光の利用効率を高めつつ、熱を逃す必要がある。そのためには、蛍光体に集光する光を拡散して、できるだけ多くの蛍光体を構成する蛍光体の微粒子に光を当てて、1個あたりの蛍光体が吸収するエネルギーを低減することが必要である。
本発明は、上記のような問題に鑑みなされたものであって、従来のプロジェクタにおいて、光源からの光がカラーホイールの蛍光体に照射されたとき、蛍光体から発せられる光のうち、迷光となるような拡散光をできるだけ少なくし、光源からの光を有効に利用するとともに、蛍光体層からの熱放散も考慮したプロジェクタを提供するものである。
上記課題を達成するために、請求項1に記載のプロジェクタは、光源と、カラーホイールと、集光レンズと、空間光変調器と、投写光学系とを少なくとも備えるプロジェクタであって、前記カラーホイールは、カラーホイール本体と蛍光体層を含み、前記蛍光体層は、カラーホイール本体に形成された凹部に設けられることを特徴とする。
また、請求項2の発明は、請求項1に記載のプロジェクタにおいて、前記凹部は、平凹面形状とされていることを特徴とする。
また、請求項3に記載のプロジェクタは、請求項1又は2に記載のプロジェクタにおいて、前記凹部内の蛍光体層は、表面にある樹脂層と底部にある蛍光体物質層の2層構造からなることを特徴とする。
また、請求項4の発明は、請求項3に記載のプロジェクタにおいて、前記樹脂層の表面が、粗面化されていることを特徴とする。
また、請求項5の発明は、請求項4に記載のプロジェクタにおいて、前記樹脂層には、熱伝導性の高いフィラーを混合物として含むことを特徴とする。
本願請求項1乃至5に係る発明によれば、カラーホイールの凹部に充填された蛍光体は、入射する青色光に対し緑色光を効率よく発光し、従来よりも発光効率の高いプロジェクタを得ることができる。また、カラーホイールに形成された蛍光体層からの発熱量を少なくすることもできる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は、カラーホイール5の蛍光体層22に、青色光Bが集光レンズ4により入射する様子を模式的に示している。カラーホイール5には、凹部21が形成されており、蛍光体層22が形成される。これを部分的拡大図である図2で説明すれば、凹部21には、蛍光体層22が充填される。蛍光体221と樹脂(例えば、シリコーン樹脂)223は、充填後、時間が経過すると、表面には樹脂が集まり、比重の重い蛍光体221は凹部21の底部の方にたまり、蛍光体と樹脂とがほぼ二層になる。
上記凹部の溝は、プレス、エッチング、成型等によって作製できる。溝の深さは、0.05〜1mm程度である。
凹部21は、平凹面形状(すり鉢形状)とされているので、充填された蛍光体層22に青色光が入射すると、蛍光体より発光された緑色光は、蛍光体により拡散されるが、平凹面形状により比較的、中央に散乱光が集まり、集光レンズ4から外れる光が少なくなる。
図1は、カラーホイール5の蛍光体層22に、青色光Bが集光レンズ4により入射する様子を模式的に示している。カラーホイール5には、凹部21が形成されており、蛍光体層22が形成される。これを部分的拡大図である図2で説明すれば、凹部21には、蛍光体層22が充填される。蛍光体221と樹脂(例えば、シリコーン樹脂)223は、充填後、時間が経過すると、表面には樹脂が集まり、比重の重い蛍光体221は凹部21の底部の方にたまり、蛍光体と樹脂とがほぼ二層になる。
上記凹部の溝は、プレス、エッチング、成型等によって作製できる。溝の深さは、0.05〜1mm程度である。
凹部21は、平凹面形状(すり鉢形状)とされているので、充填された蛍光体層22に青色光が入射すると、蛍光体より発光された緑色光は、蛍光体により拡散されるが、平凹面形状により比較的、中央に散乱光が集まり、集光レンズ4から外れる光が少なくなる。
そして、図3のように、樹脂223の表面を粗面化処理すると、図1のものより入射光の効率が向上する。
また、樹脂で蛍光体を固める場合、樹脂は粘性が低いため広がるが、この構造によれば、レンズ形状内に樹脂が入るため、樹脂が広がることができず、蛍光体層として特性のバラツキを抑えることが可能となる。また、樹脂中に分散されている蛍光体を凹部の底部に貯めるためには、自然沈降でも可能であるが、凹部に樹脂と蛍光体の混合物を塗布した後、遠心分離機等にかけることによって蛍光体がレンズ形状の底に溜めるようにすれば、蛍光体量のバラツキ(蛍光体の凹部内での拡散状態のバラツキ)を低減することが可能となる。また、凹部の底部に蛍光体が集合するために、蛍光体とカラーホイールとの距離が近くなるため、蛍光体の放熱性も向上する。
さらに、光拡散手法としては、光学的に透明なフィラー(微粒子)を入れる方法によってもよい。上記フィラーとしては、一般的にはSiO2、Al2O3が考えられる。また、蛍光体自体をフィラーとして利用することができる。
また、カラーホイール本体が、金属板である場合には、熱を逃がす方法として、フィラーを熱伝導性の高いものにすれば熱を逃がすことが可能となる。一般的にYAG、SiO2、Al2O3の熱伝導率は、それぞれ13、10、30W/mKであるため、これらのフィラーの充填率を高くすることで光拡散と熱伝導を促すことができる。
さらに、熱伝導性の高いAgフィラーは、放熱性が高く、光を反射するため、使用することが可能である。また、上記の記載の蛍光体とフィラーを沈降させれば放熱性は更にあがる。
また、カラーホイール本体が、金属板である場合には、熱を逃がす方法として、フィラーを熱伝導性の高いものにすれば熱を逃がすことが可能となる。一般的にYAG、SiO2、Al2O3の熱伝導率は、それぞれ13、10、30W/mKであるため、これらのフィラーの充填率を高くすることで光拡散と熱伝導を促すことができる。
さらに、熱伝導性の高いAgフィラーは、放熱性が高く、光を反射するため、使用することが可能である。また、上記の記載の蛍光体とフィラーを沈降させれば放熱性は更にあがる。
5:カラーホイール、21:凹部、221:蛍光体、223:樹脂、224:粗面化された部分
Claims (5)
- 光源と、カラーホイールと、集光レンズと、空間光変調器と、投写光学系とを少なくとも備えるプロジェクタであって、
前記カラーホイールは、カラーホイール本体と蛍光体層を含み、
前記蛍光体層は、カラーホイール本体に形成された凹部内に設けられることを特徴とするプロジェクタ。 - 前記凹部は、平凹面形状とされていることを特徴とする請求項1に記載のプロジェクタ。
- 前記凹部内の蛍光体層は、表面にある樹脂層と底部にある蛍光体物質層の2層構造からなることを特徴とする請求項1又は2に記載のプロジェクタ。
- 前記樹脂層の表面が、粗面化されていることを特徴とする請求項3に記載のプロジェクタ。
- 前記樹脂層には、熱伝導性の高いフィラーを混合物として含むことを特徴とする請求項4に記載のプロジェクタ。
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