JP2011179352A - 可変動弁機構を備えた内燃機関 - Google Patents

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Abstract

【課題】可変動弁機構を備えた内燃機関において、バルブ駆動の切り替え時に移動する部材の移動を検出するスイッチの耐久性を向上させて検出精度を良好に保つ。
【解決手段】ロッカーアームシャフト14の移動を検出するスイッチ100が、ロッカーアームシャフト14の移動に応じて押圧又は解放されるものであり、このスイッチ100をその押圧方向がロッカーアームシャフト14の移動方向と直交するように配置し、ロッカーアームシャフト14にはスイッチ100を押圧するためのセンシングシャフト98を連設し、このセンシングシャフト98に、ロッカーアームシャフト14の移動方向に対して傾斜したスイッチ押圧面(外テーパ面99e)を設けた。
【選択図】図14

Description

この発明は、可変動弁機構を備えた内燃機関に関する。
特許文献1には、可変動弁機構を備えた内燃機関において、バルブ駆動が低速側にあるか高速側にあるかを、低速側ロッカーアームと高速側ロッカーアームとを連動結合する切り替えピン(切り替え部材)の移動により検知する点が開示されている。これは、切り替えピンの移動検出スイッチ(押圧スイッチ)を、切り替えピンの移動方向(軸方向)先端側に配置し、該スイッチを切り替えピンの移動によりその移動方向で直接押圧又は解放してON/OFFさせるものである。
実公平6−43445号公報
ところで、バルブ駆動の切り替え時には切り替え部材が高速で移動することから、上記従来の技術のように切り替え部材の移動方向先端側にスイッチを配置すると、切り替え部材とスイッチとの衝突が発生し、接点の磨耗等を発生させて検出精度を低下させる虞がある。
そこでこの発明は、可変動弁機構を備えた内燃機関において、バルブ駆動の切り替え時に移動する部材の移動を検出するスイッチの耐久性を向上させて検出精度を良好に保つことを目的とする。
上記課題の解決手段として、請求項1に記載した発明は、カム(例えば実施例の第一カム15a,16a及び第二カム15b,16b)による機関弁(例えば実施例の吸気及び排気バルブ6,7)の駆動特性を変化せしめる可変動弁機構(例えば実施例の動弁機構5)を備えた内燃機関(例えば実施例のエンジン1)において、前記可変動弁機構は、前記機関弁の駆動特性を切り替える切り替え機構(例えば実施例のロッカーアーム移動機構21,22)と、この切り替え機構に作動力を蓄力させるべく作動源(例えば実施例の油圧アクチュエータ85)からの力を受けて移動する切り替え部材(例えば実施例のロッカーアームシャフト14,18)と、この切り替え部材の移動を検出する検出手段(例えば実施例のスイッチ100)とを備え、前記検出手段は、前記切り替え部材の移動に応じて押圧又は解放されるスイッチで構成され、このスイッチをその押圧方向が前記切り替え部材の移動方向と直交するように配置し、前記切り替え部材には前記スイッチを押圧するための押圧部材(例えば実施例のセンシングシャフト98)を設け、この押圧部材に、前記切り替え部材の移動方向に対して傾斜したスイッチ押圧面(例えば実施例の外テーパ面99e)を設けたことを特徴とする。
請求項2に記載した発明は、当該内燃機関は並列多気筒エンジンであり、前記切り替え部材は、当該内燃機関のシリンダ配列方向に沿って延びると共に、前記シリンダ配列方向を移動方向とするようにシリンダヘッド(例えば実施例のシリンダヘッド2)に配置され、前記スイッチは、前記切り替え部材の移動方向先端に設けた前記押圧部材に臨むように、前記シリンダヘッドに配置されることを特徴とする。
請求項3に記載した発明は、前記可変動弁機構は、一機関弁(例えば実施例の吸気及び排気バルブ6,7)と第一及び第二カム(例えば実施例の第一カム15a,16a及び第二カム15b,16b)との間にロッカーアーム(例えば実施例のロッカーアーム13,17)を配置し、該ロッカーアームを揺動可能に支持するロッカーアームシャフト(例えば実施例のロッカーアームシャフト14,18)の軸方向移動に応じて、前記ロッカーアームをロッカーアームシャフト上で軸方向にスライド移動させることで、該ロッカーアームを各カムの何れか一方に択一的に係合させることにより、前記機関弁の作動を切り替えるものであり、前記スイッチは、前記切り替え部材であるロッカーアームシャフトの移動方向先端に設けた前記押圧部材に臨むように配置されることを特徴とする。
請求項4に記載した発明は、前記ロッカーアームシャフトには、前記機関弁の作動特性を変化させるべく前記ロッカーアームを移動せしめる方向に付勢する付勢手段(例えば実施例の第一スプリング23)と、この付勢手段の端部を保持するスプリングリテーナ(例えば実施例の第一スプリング受けカラー25)とが装着され、前記押圧部材が前記スプリングリテーナの端部に固定されることを特徴とする。
請求項5に記載した発明は、前記スイッチの前記押圧部材との接触点(例えば実施例の接触点t1)が、前記スイッチの中心線(例えば実施例の軸線C9)上からずれた位置に設定されることを特徴とする。
請求項6に記載した発明は、前記押圧部材のスイッチ押圧面が、前記スイッチの中心線との直交面に対して傾斜することを特徴とする。
請求項7に記載した発明は、前記押圧部材のスイッチ押圧面が、前記スイッチ側から見て凹状のR曲面にて構成されることを特徴とする。
請求項8に記載した発明は、前記シリンダヘッドの前記押圧部材の移動方向外側に臨む外壁(例えば実施例の外壁W)に開口(例えば実施例の開口104a)が形成され、この開口を閉塞する蓋部材(例えば実施例の蓋部材104)が前記シリンダヘッドに着脱可能に取り付けられることを特徴とする。
請求項1に記載した発明によれば、押圧部材の傾斜面(スイッチ押圧面)によりスイッチを押圧可能とすることで、該スイッチを押圧部材の移動方向と直交するように配置することができ、機関弁の駆動特性の切り替え時に押圧部材がスイッチに接触する際の前記移動方向での衝突がなくなるため、スイッチの磨耗を抑えて検出精度を高めることができる。
請求項2に記載した発明によれば、スイッチがシリンダヘッドの中央寄りを避けた端部に配置されることとなり、周辺部品との干渉を抑止できると共に、熱の影響の低減及びメンテナンス性の向上を図ることができる。
請求項3に記載した発明によれば、ロッカーアームシャフトを軸方向移動させる可変動弁機構において、ロッカーアームシャフト(切り替え部材)の軸方向移動によりON/OFFされるようにスイッチを配置することとなり、回転が伴う部材にスイッチを接触させる場合と比べて、スイッチの磨耗を抑えて検出精度を良好に維持できる。
請求項4に記載した発明によれば、押圧部材をロッカーアームシャフトに直接固定する場合と比べて、ロッカーアームシャフトに比して短いスプリングリテーナに押圧部材を固定することで、押圧部材の交換を容易に行うことができる。
請求項5に記載した発明によれば、スイッチにおける押圧部材との接触点をスイッチ先端から外してその側方から押圧部材に接触するようにしたので、尖端形状をなすスイッチ先端での磨耗の進行を抑制できる。
請求項6に記載した発明によれば、押圧部材のスイッチ押圧面に対してスイッチ先端の接触を外すようにしたので、尖端形状をなすスイッチ先端での磨耗の進行を抑制できる。
請求項7に記載した発明によれば、凹状のR曲面にスイッチ先端を接触させることにより、スイッチ先端をR曲面状に形成してこれをスイッチ押圧面に沿わせれば、スイッチ押圧面とスイッチ先端とを点接触ではなく面接触させることができ、磨耗の進行を抑制すると共に偏磨耗も防止できる。
請求項8に記載した発明によれば、蓋部材を取り外すことのみで押圧部材周辺にアクセス可能となり、メンテナンス性を向上できる。
この発明の実施例におけるエンジンの左側面図である。 上記エンジンの可変動弁システムの構成図である。 上記エンジンの動弁機構の要部の平面図であり、(a)は低速側カムでの作動位置にある状態を、(b)は高速側カムでの作動位置にある状態をそれぞれ示す。 上記動弁機構のロッカーアームシャフトの軸線に沿う断面図であり、(a)は低速側カムでの作動位置にある状態を、(b)は高速側カムでの作動位置にある状態をそれぞれ示す。 上記動弁機構のロッカーアームの側面図である。 上記ロッカーアームの平面図である。 図6のA−A断面図である。 上記エンジンのシリンダ周りの右側面図である。 上記シリンダの右側部周りの左右方向に沿う断面図である。 上記シリンダの右側部に取り付く油圧アクチュエータのカバーの右側面図である。 図10のB−B断面図である。 図10のC−C断面図である。 上記エンジンのシリンダヘッドの左側面図である。 上記シリンダヘッドの左側部の上面図である。 上記エンジンのカムシャフトの平面図である。 上記カムシャフトの軸線に沿う断面図である。 上記エンジンのプラグホール周りの左右方向に沿う断面図である。 (a)は上記カムシャフトの左端部に固定されたセンシングシャフト周りの平面図、(b)は(a)の変形例の平面図である。
以下、この発明の実施例について図面を参照して説明する。なお、以下の説明における前後左右等の向きは、特に記載が無ければ車両における向きと同一とする。また、図中矢印FRは車両前方を、矢印LHは車両左方を、矢印UPは車両上方をそれぞれ示す。
図1は、例えば自動二輪車等の小型車両の原動機に用いられる四ストロークDOHC並列四気筒エンジン(内燃機関、以下、単にエンジンという)1の左側面図である。すなわち、エンジン1は、クランクシャフト10の回転中心軸線(クランク軸線)C1を車幅方向(左右方向)に沿わせ、クランクケース20の前部上側にはシリンダ30を前傾姿勢(上部が前側に位置するように傾斜した姿勢)で立設してなる。なお、図中符号C2はシリンダ30の起立方向に沿う軸線(シリンダ軸線)を示す。
シリンダ30は、クランクケース20上に起立するシリンダ本体30aと、該シリンダ本体30a上に連なるシリンダヘッド2と、該シリンダヘッド2の上方を覆うヘッドカバー3とを主になる。
シリンダ本体30a内には前記クランク軸線C1に沿って並ぶように各気筒に対応するシリンダボア30bが形成され、該各シリンダボア30b内にそれぞれピストン40が往復動可能に嵌装される。これら各ピストン40の往復動がコネクティングロッド40aを介してクランクシャフト10の回転動に変換され、クランクケース20後部内に収容されたクラッチ28及びトランスミッション(変速機)29を介してエンジン外部に回転動力が出力される。
なお、図中符号4はシリンダヘッド2及びヘッドカバー3が形成する動弁室を、符号5は動弁室4内に収容されて吸排気バルブ6,7を駆動する動弁機構を、符号8,9はシリンダヘッド2の前後に形成される吸排気ポートを、符号11,12は吸気側及び排気側カムシャフトを、符号48はシリンダヘッド2の後部に接続されるスロットルボディを、符号49はシリンダヘッド2の前部に接続される排気管をそれぞれ示す。
ここで、後に詳述するが、動弁機構5は、各バルブ6,7の開閉作動に用いるカムを高速側又は低速側に切り替え可能な可変動弁機構として構成される。この動弁機構5は、カムの切り替えのない通常の動弁機構と比べて動弁室4の容積を拡大させるため、シリンダヘッド2の後部におけるスロットルボディ48の接続面2aは、通常の動弁機構を収容する場合の接続面(図中符号2a’で示す)と比べて、その上部を後方に位置させるように変化する。この接続面2aの変化は、スロットルボディ48とシリンダヘッド2との間に介設される例えばゴム等の弾性体からなる接続管としてのインシュレータ48aの形状変更により吸収しており、可変動弁機構か否かによるスロットルボディ48等の吸気系部品周りのレイアウト変更等を抑えている。
図2を併せて参照し、吸排気ポート8,9は、それぞれ一気筒毎に一対の燃焼室側開口を形成し、該各燃料室側開口がそれぞれ一対の吸排気バルブ6,7により開閉される。すなわち、エンジン1は四バルブ式であり、気筒毎にそれぞれ左右一対の吸排気バルブ6,7を有する。
一気筒分の左右一対の吸気バルブ6は、気筒毎に設けられた吸気側ロッカーアーム13を介して吸気側カムシャフト11のカム11Aに押圧されて開閉作動する。同様に、一気筒分の左右一対の排気バルブ7は、気筒毎に設けられた排気側ロッカーアーム17を介して排気側カムシャフト12のカム12Aに押圧されて開閉作動する。
吸気側ロッカーアーム13は、吸気バルブ6のステム先端部の後方において吸気側カムシャフト11と平行に配設された吸気側ロッカーアームシャフト14に、その軸回りに揺動可能かつ軸方向にスライド移動可能に支持される。同様に、排気側ロッカーアーム17は、排気バルブ7のステム先端部の前方において排気側カムシャフト12と平行に配設された排気側ロッカーアームシャフト18に、その軸回りに揺動可能かつ軸方向にスライド移動可能に支持される。なお、図中符号C3,C4は各カムシャフト11,12の中心軸線(カム軸線)を、符号C5,C6は各ロッカーアームシャフト14,18の中心軸線(ロッカー軸線)をそれぞれ示す。
以下、図3〜7を参照し、動弁機構5における一気筒分の吸気側を例に説明するが、特に記載がなければ他の気筒の吸気側及び各気筒の排気側も同様の構成を有するものとする。
ロッカーアーム13におけるロッカーアームシャフト14を挿通する円筒状の基部(シャフト挿通ボス)13aからは、吸気バルブ6のステム先端部に向けてアーム部13bが延出する。アーム部13bの先端部上側には、カムシャフト11のカム11Aを摺接させるカム摺接部13cが設けられ、アーム部13bの先端部下側には、ステム先端部に当接してこれを下方に押圧するバルブ押圧部13dが設けられる。
ロッカーアーム13は、ロッカーアームシャフト14にその軸回り(ロッカー軸線C5中心)で揺動可能かつ軸方向(ロッカー軸線C5に沿う方向、以下、軸C5方向ということがある)で移動可能に支持される。ロッカーアーム13は、左右吸気バルブ6に渡るように左右方向で幅広かつ一体に設けられる。ロッカーアーム13のカム摺接部13c及びバルブ押圧部13dは、それぞれ左右に離間して一対に設けられる。
ここで、ロッカーアーム13の左右には、カム摺接部13cとバルブ押圧部13dとの間にて軸方向視逆台形状をなす逆台形状部13eが設けられる。これら左右逆台形状部13eにおける対応する気筒の外側に位置する部位には、該気筒外側に向けて開放する凹部13fが形成される。逆台形状部13eは、その前後に軸方向視で逆台形状部13eの内側に凸の円弧状をなす前後壁13gを有すると共に、対応する気筒の内側に位置する部位に軸方向と略直交する厚板状をなす内側壁13hを有する。
左右のカム摺接部13c及びバルブ押圧部13dと基部13aとの間には、前記アーム部13bが上面視略V状をなすように設けられ、このアーム部13bの左右先端が、左右のカム摺接部13c、バルブ押圧部13d及び逆台形状部13eに一体に接続される。このとき、アーム部13bの左右先端が逆台形状部13eの内側壁13hに連続的に連なることで、逆台形状部13eに凹部13fを設けながらもロッカーアーム13先端側の強度剛性が良好に確保される。
そして、エンジン1の運転時には、各カムシャフト11,12がクランクシャフト10と連係して回転駆動し、各カム11A,12Aの外周パターンに応じて各ロッカーアーム13,17を適宜揺動させることで、該各ロッカーアーム13,17が吸排気バルブ6,7をそれぞれ押圧し、該吸排気バルブ6,7を適宜往復動させて吸排気ポート8,9の燃料室側開口を開閉させる。
ここで、前述のように、動弁機構5は、各バルブ6,7のバルブ開閉タイミングやリフト量を変化可能な可変動弁機構として構成される。動弁機構5を含む可変動弁システムは、例えばエンジン回転数が9000rpm未満の低速回転域では各カムシャフト11,12における低速回転用のカムを用いて各バルブ6,7を開閉作動させると共に、エンジン回転数が9000rpm以上の高速回転域では各カムシャフト11,12における高速回転用のカムを用いて各バルブ6,7を開閉作動させる。
カムシャフト11のカム11Aは、前記低速回転域用の左右第一カム15a,16a、及び高速回転域用の左右第二カム15b,16bからなる。すなわち、カムシャフト11は、一気筒当たりに左右第一カム15a,16a及び左右第二カム15b,16bの計四つのカムを有する。
左右第一カム15a,16aは互いに同一形状とされ、左右第二カム15b,16bは互いに同一形状とされる。左第一カム15aと左第二カム15bとは気筒左側において互いに左右方向(カム軸方向)で隣接し、右第一カム16aと右第二カム16bとは気筒右側において互いに左右方向(カム軸方向)で隣接する。
ロッカーアーム13は、エンジン1の運転停止時及び低速回転域での運転時には前記軸C5方向で左方への移動限界位置にあり(図3(a)、図4(a)参照)、この状態において、ロッカーアーム13の左右カム摺接部13cは、それぞれ左右第一カム15a,16aの下方においてその外周面(カム面)に摺接可能な位置に配置され、左右バルブ押圧部13dは、その右側部で左右吸気バルブ6のステム先端部を押圧可能な位置(第一作動位置)に配置される。このとき、ロッカーアーム13が低速用の左右第一カム15a,16aにより揺動して吸気バルブ6を開閉作動させる。
一方、ロッカーアーム13は、エンジン1の高速回転域での運転時には前記軸C5方向で右方への移動限界位置にあり(図3(b)、図4(b)参照)、この状態において、ロッカーアーム13の左右カム摺接部13cは、それぞれ左右第二カム15b,16bの下方においてその外周面(カム面)に摺接可能な位置に配置され、左右バルブ押圧部13dは、その左側部で左右吸気バルブ6のステム先端部を押圧可能な位置(第二作動位置)に配置される。このとき、ロッカーアーム13が高速用の左右第二カム15b,16bにより揺動して吸気バルブ6を開閉作動させる。
図4を参照し、動弁機構5は、エンジン回転数に応じて第一及び第二ロッカーアーム移動機構21,22にロッカーアーム13を前記軸C5方向で移動させる力を蓄え、該力によってロッカーアーム13を前記第一作動位置及び第二作動位置の何れかに移動させることで、吸気バルブ6の開閉作動に左右第一カム15a,16a及び左右第二カム15b,16bの何れかを選択的に用いることを可能とする。
ロッカーアーム13の軸方向移動(カムの切り替え)は、各ロッカーアーム移動機構21,22及び移動規制機構31、並びにシリンダヘッド2の右側部に配置された油圧アクチュエータ85(図2,8,9参照)の協働により行われる。すなわち、前記移動規制機構31によりロッカーアーム13の前記軸C5方向での移動を規制した状態で、ロッカーアームシャフト14を軸C5方向で移動させ、各ロッカーアーム移動機構21,22の何れかにロッカーアーム13の移動に必要な力を蓄えた後、移動規制機構31によるロッカーアーム13の移動規制を解除し、該ロッカーアーム13を軸C5方向で移動させることで、その作動に用いるカムを切り替える。
第一ロッカーアーム移動機構21は、ロッカーアーム13の基部13aの左方に位置して該基部13aの左端部に前記第一作動位置側(低速回転側)から第二作動位置側(高速回転側)への力を付与する第一スプリング23と、該第一スプリング23の左方に位置してロッカーアームシャフト14の外周に固定的に支持される第一スプリング受けカラー25とを有する。
同様に、第二ロッカーアーム移動機構22は、ロッカーアーム13の基部13aの右方に位置して該基部13aの右端部に前記第二作動位置側から第一作動位置側への力を付与する第二スプリング24と、該第二スプリング24の右方に位置してロッカーアームシャフト14の外周に固定的に支持される第二スプリング受けカラー26とを有する。
ロッカーアームシャフト14は、その軸方向で移動可能にシリンダヘッド2に支持され、該ロッカーアームシャフト14が前記油圧アクチュエータ85の作動等により軸方向で移動することで、各ロッカーアーム移動機構21,22の何れかにロッカーアーム13を移動させる力が蓄力される。
ロッカーアームシャフト14及び各スプリング受けカラー25,26は、エンジン1における運転停止時及び低速回転域を維持しての運転時(低速運転時)には、その軸方向で左方への移動限界位置にある(図4(a)参照)。このとき、ロッカーアーム13は前記第一作動位置にあり、このロッカーアーム13の基部13aと前記各スプリング受けカラー25,26との間に、各スプリング23,24がそれぞれ縮設される。
一方、ロッカーアームシャフト14及び各スプリング受けカラー25,26は、エンジン1における高速回転域を維持しての運転時(高速運転時)には、その軸方向で右方への移動限界位置にある(図4(b)参照)。このとき、ロッカーアーム13は前記第二作動位置にあり、このロッカーアーム13の基部13aと前記各スプリング受けカラー25,26との間にも、前記同様に各スプリング23,24がそれぞれ縮設される。
そして、ロッカーアーム13を各作動位置の一方から他方へ移動させるときには、移動規制機構31のトリガーアーム33を用いてロッカーアーム13の前記軸C5方向での移動を規制した状態で、ロッカーアームシャフト14及び各スプリング受けカラー25,26をシリンダヘッド2に対して軸C5方向で一体に移動させ、各スプリング23,24間に所定の弾性力差を生じさせ、この弾性力差(各スプリング23,24の何れかに蓄力した弾性力)を用いて、ロッカーアーム13を各作動位置の一方から他方へ移動させる。
図4を参照し、移動規制機構31は、シリンダヘッド2にロッカーアームシャフト14と平行な支持軸に揺動可能かつ軸方向移動不能に支持されるトリガーアーム33と、該トリガーアーム33の左右一対の係合爪34,35を選択的に係合させるべくロッカーアーム13の基部13aに左右に並んで形成される三つの係合溝36a,36b,36cと、ロッカーアーム13の基部13a及びロッカーアームシャフト14を前記軸C5方向と直交する方向(軸C5直交方向)で上下に貫通するトリガーピン37とを主になる。
トリガーアーム33は、ロッカーアーム13が各作動位置の何れかにあるときには、左右係合爪34,35を各係合溝36a,36b,36cの何れかに係合させ、ロッカーアーム13の前記軸C5方向でのスライド移動を不能とする。一方、トリガーアーム33がロッカーアーム13と反対側(離反する側)に揺動して左右係合爪34,35の各係合溝36a,36b,36cとの係合を解除することで、前記軸C5方向でのスライド移動を可能とする。
ロッカーアームシャフト14における基部13a内に挿通される部位の上部外周には、軸C5方向で所定長さに渡る切り欠き凹部41が設けられる。また、ロッカーアームシャフト14には、該ロッカーアームシャフト14を前記軸C5直交方向で上下に貫通する軸C5方向に沿って長いスリット状の貫通孔42が、切り欠き凹部41よりも軸C5方向で長い範囲に渡って設けられる。この貫通孔42に、前記トリガーピン37が上方から挿通されて軸C5方向で移動可能に保持される。
トリガーアーム33は、ロッカーアーム13が前記各作動位置の何れかにある状態から、移動規制機構31によりロッカーアーム13の前記軸C5方向での移動を規制した状態で、油圧アクチュエータ85の作動によりロッカーアームシャフト14が軸C5方向で移動した際に、前記切り欠き凹部41との協働により前記軸C5直交方向で上方へ移動する。これにより、トリガーピン37がロッカーアームシャフト14のスライドに応じて前記中央係合溝36b内に出没する。
中央係合溝36bには、トリガーアーム33の左右係合爪34,35の何れかが上方から入り込むように係合しており、この状態でトリガーピン37が上昇することで、トリガーアーム33が中央係合溝36bひいてはロッカーアーム13との係合を解除する側に所定量揺動する。この後にロッカーアーム13が揺動することで、該揺動のタイミングに応じてトリガーアーム33のロッカーアーム13への係合が解除され、該ロッカーアーム13が前記各作動位置の一方から他方へ移動可能となる。
図8,9を参照し、油圧アクチュエータ85は、シリンダヘッド2右側部のアクチュエータ取り付け部85aに取り付けられるもので、各ロッカーアームシャフト14,18と軸方向を平行にする油圧シリンダ86を、各ロッカーアームシャフト14,18の間においてシリンダヘッド2右側内のカムチェーン室51を左右に横断させるように配設してなる。
油圧シリンダ86内のプランジャ87の両側面からは、各ロッカーアームシャフト14,18の右端部に向けて前後一対の操作子88が延出し、これら各操作子88が各ロッカーアームシャフト14,18の右端部にそれぞれ係合する。これにより、プランジャ87の左右ストロークに伴い、各ロッカーアームシャフト14,18が軸C5方向で同時に移動する。
図1,2を併せて参照し、エンジン1の下部には、オイルパン71内に貯留されたエンジンオイルを圧送するオイルポンプ72が設けられ、該オイルポンプ72から圧送されたエンジンオイルが、リリーフバルブ73及びメインオイルフィルタ74を経てオイルギャラリー75に供給されると共に、該オイルギャラリー75から主にクランクケース20内及びシリンダヘッド2内の各部に供給される。
オイルギャラリー75は、クランクシャフト10のほぼ真下において気筒配列方向(左右方向)に沿って延びる。オイルポンプ72からオイルギャラリー75に至る油路には、油圧センサー76及び油温センサー77がそれぞれ配設される。各センサー76,77からの検出信号は、エンジン全体の運転を制御するECU78に入力される。
オイルギャラリー75の右端部にはオイル供給孔75aが設けられ、該オイル供給孔75aから油圧アクチュエータ85のスプールバルブ81に向けてオイル通路79が延びる。スプールバルブ81はECU78により作動制御され、各種車両情報に応じて各バルブ6,7の開閉作動に用いるカムを切り替えるべく油圧経路を切り替える。ECU78には、車速センサー91からの車速情報、スロットルセンサー92からのスロットル開度情報、クランクセンサー93からのクランク回転数(エンジン回転数)情報、及びニュートラルセンサー94又はクラッチセンサー95からのニュートラル情報が入力される。
スプールバルブ81は、オイル通路79からの油圧を二つの連結油路82a,82bを介して油圧シリンダ86両側の各油室83a,83bに選択的に供給可能とする。このスプールバルブ81を介して油圧シリンダ86両側の各油室83a,83bにオイルポンプ72からの油圧を選択的に供給することで、プランジャ87がストロークして各ロッカーアームシャフト14,18を同時に軸方向移動させる。なお、図2中符号84はスプールバルブ81からオイルパン71への戻り油路を示す。
図15,16を参照し、カムシャフト11は、一気筒当たりの左右第一カム15a,16a及び左右第二カム15b,16bを形成するカム山形成部11bの両側に、それぞれシリンダヘッド2及び不図示のカムホルダに回転可能に支持されるジャーナル部27a〜27eを有する。以下、各ジャーナル部27a〜27eを右側(カムチェーン室51側)から順に第一〜第五ジャーナル部という。カムシャフト11は、内部に油路(シャフト内油路)44を有する中空状とされる。
シャフト内油路44には、第一ジャーナル部27aの軸受けから該第一ジャーナル部27aに形成された油溝44a及び油孔44bを介して、前記オイルギャラリー75から圧送されたエンジンオイルが供給される。
第二〜第五ジャーナル部27b〜27eには、それぞれジャーナル油孔54a〜54dが穿設され、該各ジャーナル油孔54a〜54dを介して、カムシャフト11内のエンジンオイルが各ジャーナル部27b〜27eの周面に供給される。一方、左右第一カム15a,16a及び左右第二カム15b,16bの内、高速側カムである左右第二カム15b,16bには、それぞれカム油孔55a〜55dが穿設され、該カム油孔55a〜55dを介して、カムシャフト11内のエンジンオイルが左右第二カム15b,16bのカム面に供給されると共に、隣接する左右第一カム15a,16aのカム面にも併せて供給される。
なお、カムシャフト11外に流出したエンジンオイルは、各カム15a,16a,15b,16bの回転等に伴い適宜跳ね上げられて動弁室4内の他の給油箇所にも供給される。シリンダヘッド2内に供給されたエンジンオイルは、シリンダ30右側のカムチェーン室51を経てオイルパン71に戻される。
図8を併せて参照し、各カムシャフト11,12の右端部には、比較的大径のカムドリブンスプロケット52aが固定されると共に、クランクシャフト10の右側部には、比較的小径のカムドライブスプロケット52bが一体に設けられ、これら各スプロケット52a,52bに無端状のカムチェーン53が巻き掛けられて、各カムシャフト11,12がクランクシャフト10と連係して駆動する。
なお、図8中符号53aはカムチェーン室51の前側にてカムチェーン53の張り側に前方(外周側)から摺接してその進行方向を案内するカムチェーンガイドを、符号53bはカムチェーン室51の後側にてカムチェーン53の弛み側に後方(外周側)から摺接してその進行方向を案内すると共に適正な張力を付与する(弛みを除去する)テンショナアーム(カムチェーンテンショナ)をそれぞれ示す。
そして、図8,9に示すように、シリンダヘッド2における各ロッカーアームシャフト14,18の右端部が臨む右側部には、前記油圧アクチュエータ85が配設される。
図10〜12を併せて参照し、油圧アクチュエータ85は、有底円筒状の前記油圧シリンダ86と、該油圧シリンダ86内に同軸かつストローク可能に収容される前記プランジャ87と、油圧シリンダ86の開口側を閉塞する板状のカバー86aと、該カバー86aの一側に一体的に設けられるスプールバルブ81とを有してなる。
カバー86aの外周部は、油圧シリンダ86の開口側に形成されたフランジ部86cと共にシリンダヘッド2右側部の前記取り付け部85aの外周にエンジン外側からボルト締結等により着脱可能に固定される。このとき、油圧シリンダ86の大部分がシリンダヘッド2内に入り込み、油圧シリンダ86のシリンダヘッド2外側方(エンジン外側)への突出が抑えられる。
油圧シリンダ86は、その軸中心(軸線C7)がエンジン側面視でシリンダ軸線C2に近接するように配置される。一方、スプールバルブ81は上下に延びる円筒状の外観をなし、その軸中心(軸線C8)が油圧シリンダ86の軸線C7と直交すると共にシリンダ軸線C2と略平行となるように配置される。
スプールバルブ81の下部を構成するケーシング81aは、カバー86a(又はフランジ部86c)の一側に一体形成され、このケーシング81a内には、油圧経路を切り替え可能なバルブ体(不図示)が作動可能に収容される。一方、スプールバルブ81の上部は、前記バルブ体を作動させて油圧経路を切り替えるソレノイド81bで構成される。
スプールバルブ81は、エンジン側面視で油圧シリンダ86の前方かつ該油圧シリンダ86を避けた位置に配置される。これにより、スプールバルブ81のシリンダヘッド2外側(エンジン外側)への突出が抑えられる。
ここで、カバー86aの外周部と油圧シリンダ86のフランジ部86cとの接続面(合わせ面)86bは、油圧アクチュエータ85(油圧シリンダ86)とシリンダヘッド2(アクチュエータ取り付け部85a)との接続面でもあり、左右方向と略直交する平面とされる。この接続面86bにて、シリンダ30内をスプールバルブ81に向けて延びるオイル通路79と、ケーシング81aの前部内に形成されるケーシング内油路89とが、互いに接続されて連通する。すなわち、ケーシング81aとシリンダヘッド2とは接続面86b上で接続される。
ケーシング81a内には、前記軸線C8に沿う円筒状のバルブ挿通孔81cが形成され、このバルブ挿通孔81cの前方にずれた位置に、前記ケーシング内油路89が形成される。ケーシング内油路89は、接続面86bからその面直方向で所定深さの円孔状の凹部89aを形成した後、やや前方に傾斜しつつケーシング81a外側へ延びる傾斜油路89bを形成する。この傾斜油路89bの後縁部が、バルブ挿通孔81cの前縁部を切り欠くように交差し、もってケーシング内油路89とバルブ挿通孔81cとが互いに連通する。
接続面86bよりも油圧発生源であるオイルポンプ72側のオイル通路79、及び接続面86bよりも油圧供給先である油圧アクチュエータ85側のケーシング内油路89を通じて、バルブ挿通孔81cに至るエンジンオイルは、バルブ挿通孔81c内に収容された不図示のバルブ体を介して、油圧シリンダ86及びカバー86aに形成されたフィード側の連結油路(以下、フィード油路ということがある)82a又はリターン側の連結油路(以下、リターン油路ということがある)82bの何れかに導かれる。
各連結油路82a,82bは、油圧シリンダ86内にプランジャ87を挟んで形成されたフィード側の油室(フィード油室)82a又はリターン側の油室(リターン油室)82bの何れかに開口し、該各油室83a,83bの一方に油圧を供給することで、プランジャ87を右方(高速側)又は左方(低速側)に移動させて、各バルブ6,7の開閉作動に用いるカムを高速側又は低速側に切り替える。
フィード油路82aは、油圧シリンダ86の軸方向視でプランジャ87よりも下方かつ前側にてカバー86a内をケーシング81a側から後方へ延びた後、油圧シリンダ86の下端に沿ってその底部側へ延び、さらに油圧シリンダ86の底部に沿って上方へ屈曲して延びた後、油圧シリンダ86のフィード油室83a側に屈曲して開口する。
一方、リターン油路82bは、カバー86a内をフィード油路82aの上方にてケーシング81a側から後方へ延びた後、油圧シリンダ86のリターン油室83b側に屈曲して開口する。カバー86a内において、リターン油路82bの前端はフィード油路82aの前端の直上に位置し、リターン油路82bの後端はフィード油路82aの後端よりも前方にて終端する。
ここで、ケーシング内油路89の接続面86bに臨む端部(凹部89a)には、油圧アクチュエータ85用のオイルフィルタ96が保持される。オイルフィルタ96は、凹部89aと同軸をなす円筒状のフィルタ本体96aと、該フィルタ本体96aの接続面86b側の端部の外周に設けられるフィルタフランジ96bとを一体に有する。フィルタ本体96aは、凹部89a内に接続面86b側から嵌入され、フィルタフランジ96bは、凹部89aの接続面86b側に形成された浅い段差状の座刳り部89c内に接続面86b側から嵌入される。
この状態で、油圧シリンダ86及びカバー86aをシリンダヘッド2のアクチュエータ取り付け部85aに締結固定することで、フィルタフランジ96bが接続面86bにてアクチュエータ取り付け部85aとケーシング81aとに挟圧され、オイルフィルタ96がケーシング内油路89の端部にて固定的に保持されると共に、フィルタフランジ96bをシール部材としてオイル通路79とケーシング内油路89とが油密に接続される。また、シリンダヘッド2からケーシング81aを取り外すのみで、スプールバルブ81と共にオイルフィルタ96をシリンダヘッド2に対して着脱可能である。なお、フィルタ本体96aの接続面86bと反対側の外周は凹部89a内への挿入を容易にするべくテーパ状に形成される。
図13,14を参照し、ロッカーアームシャフト14の左端部には、第一ロッカーアーム移動機構21の第一スプリング受けカラー25が固定される。この第一スプリング受けカラー25の左側部には、左方(シリンダ30外側)に向けて円錐台状に突出するボス部97が形成される。ボス部97の中心には、ロッカーアームシャフト14と同軸のネジ孔が形成され、該ネジ孔に可変動弁機構5の作動状態検出用のセンシングシャフト98が螺着、固定される。
センシングシャフト98は、ロッカーアームシャフト14と同軸の略円柱状のもので、シリンダヘッド2の左端部後側に取り付けられたスイッチ100の押圧部(検出部)101を外周面に接触させるシャフト本体99と、該シャフト本体99からボス部97側に突出してボス部97のネジ孔に螺着されるネジ軸98aとを一体に有する。
シャフト本体99は、ボス部97の先端に当接する円板状のワッシャ部99aと、該ワッシャ部99aよりも小径をなしてその左方に延出する縮径部99bと、該縮径部99bよりも大径をなしてその先端に設けられる円板状の拡径部99cとを一体に有する。縮径部99bの両端部外周には、それぞれワッシャ部99a及び拡径部99cの外周に向けて滑らかに拡径する内外テーパ面99d,99eが形成される。
シリンダヘッド2の左端部後側には、シリンダ軸線C2と略平行な平面状をなすスイッチ取り付け面102が形成されると共に、シリンダ軸線C2と略直交する方向に沿うスイッチ取り付け孔103が穿設される。スイッチ取り付け孔103は、シリンダ30後方から動弁室4まで貫通するネジ孔であり、該スイッチ取り付け孔103に前記スイッチ100が螺着、固定される。
スイッチ100はスイッチ取り付け孔103と同軸の略円柱状のもので、シリンダ30外側に突出して電気配線が接続される本体部100aと、該本体部100aの一端から突出してスイッチ取り付け孔103に螺着されるネジ軸部100bとを一体に有する。
ネジ軸部100b内には、これと同軸の円棒状のプランジャ100cが軸方向で往復動可能に挿通保持される。プランジャ100cの先端部はネジ軸部100bの先端から突出し、該先端部が半球状の先端面を有する押圧部101とされる。プランジャ100cはネジ軸部100bの先端から押圧部101を突出させる側に付勢され、この押圧部101がネジ軸部100bから突出した状態ではスイッチ100が例えばOFF状態となり、押圧部101がネジ軸部100b側に押し込まれた状態ではスイッチ100が例えばON状態となる。
スイッチ100をシリンダヘッド2に取り付けた状態において、押圧部101はセンシングシャフト98のシャフト本体99の外周面に後方から当接する。そして、ロッカーアームシャフト14が左方への移動限界位置(低速側の作動位置)にあるときには、押圧部101が縮径部99bの中間部における軸方向と平行な平坦部に当接し、この状態でスイッチ100が前記OFF状態となる。
一方、ロッカーアームシャフト14が右方への移動限界位置(高速側の作動位置)に移動すると、押圧部101が縮径部99bの外テーパ面99eに乗り上がり、この状態でスイッチ100が前記ON状態となる。このとき、押圧部101の先端面が半球状であることから、押圧部101のセンシングシャフト98に対する摺動がスムーズである。
図18(a)を参照し、シリンダヘッド2の外壁W(左側壁)の後側におけるロッカーアームシャフト14(センシングシャフト98)の左側方に臨む部位には開口104aが形成され、この開口104aが外壁Wにその外側方から締結固定される蓋部材104により閉塞される。この蓋部材104を着脱することによって、ヘッドカバー3等を取り外すことなくセンシングシャフト98周りのメンテナンスが可能となる。
スイッチ100(プランジャ100c)におけるセンシングシャフト98の外テーパ面99eとの接触点t1は、スイッチ100の中心軸線C9上にある先端t0からずれた位置に設定される。外テーパ面99eは、軸線C5方向に対して傾斜すると共に軸線C9との直交面に対しても傾斜する。外テーパ面99eは、軸線C5に対する傾斜角度θが例えば約30°の断面直線状の傾斜面とされ、この外テーパ面99eと接触するプランジャ100cの先端部の磨耗も同様の傾斜角度で生じることとなる。このため、前記磨耗によるスイッチ100の押圧量の変化は比較的小さくなる。
ここで、図18(b)に示す変形例のように、外テーパ面99eをスイッチ100側から見て凹状のR曲面状に形成するようにしてもよい。この場合、半球状のプランジャ100cの先端R形状と外テーパ面100eとを互いに整合するようにすれば、外テーパ面100eとスイッチ先端とを点接触ではなく面接触とすることが可能である。
なお、この実施例では吸気側にのみセンシングシャフト98及びスイッチ100等を設けた構成としているが、これらを吸気側及び排気側の少なくとも一方に設けた構成であればよい。
ここで、再度図15,16を参照し、シリンダヘッド2内の各部の潤滑は、前記オイルポンプ72から圧送されたエンジンオイルが、各カムシャフト11,12のシャフト内油路44に至り、該シャフト内油路44からシャフト外周へ略放射状に延びる各ジャーナル油孔54a〜54d及びカム油孔55a〜55dを介して各摺動部に供給されることでなされる。なお、この実施例では、カム山高さが大きく潤滑条件の厳しい高速側の第二カム15b,16bにのみカム油孔55a〜55dを穿設している。
そして、シャフト内油路44のオイル注入側(給油上流側)の例えば三気筒分(三つ)のカム油孔55a〜55cは、シャフト外周側(カム面側)ほどオイル注入側に位置するようにシャフト軸方向で傾斜するように穿設される。なお、オイル注入側と反対側の例えば一気筒分(一つ)のカム油孔55dは、シャフト径方向と略平行に穿設されている。
これにより、オイル注入側のカム油孔55a〜55cを通じてカム面に供給されるエンジンオイルには、オイル注入側と反対側のカム油孔55dを通じてカム面に供給されるエンジンオイルに比べて若干の流動抵抗が与えられることとなる。このため、シャフト内油路44における油圧を確保し易い給油上流側と油圧が低下し易い給油下流側との間で油圧の均等化が図られる。
なお、エンジンオイルに流動抵抗を与えるカム油孔の数は三つに限らず、エンジン1の潤滑状況や気筒数等に応じて適宜変更可能であることはいうまでもない。また、流動抵抗を与えるカム油孔がシャフト外周側ほどオイル給油側と反対側(給油下流側)に位置するようにシャフト軸方向で傾斜させてもよく、かつシャフト軸方向のみの傾斜に限らずシャフト周方向でも傾斜させるようにしてもよい。
ところで、動弁室4内にて各気筒の上方に設けられる円筒状のプラグ挿通部56は、シリンダヘッド2及びヘッドカバー3に対して別体かつ着脱可能にフローティング支持された円筒状の筒部材57で構成される。筒部材57は、その下部がシリンダヘッド2に螺着固定された点火プラグPの周囲に段差状に拡径形成された円孔状の下保持孔57a内に挿通保持されると共に、上部が点火プラグPの上方にてヘッドカバー3に形成された円孔状の上保持孔57b内に挿通保持される。
下保持孔57aの上部内周には、筒部材57の下部外周に装着されたリング状の下シール部材58aが密接すると共に、上保持孔57bの下部内周には、筒部材57の上部外周に装着されたリング状の上シール部材58bが密接する。これにより、プラグ挿通部56周りの油密性が確保されると共に、ヘッドカバー3及び筒部材57を取り外すことで、各気筒の上方にてシリンダヘッド2上方に開放する比較的大きな空間が形成され、バルブクリアランスの調整等のメンテナンス性を向上させる。
以上説明したように、上記実施例における可変動弁機構を備えたエンジン1は、第一カム15a,16a及び第二カム15b,16bによる吸気及び排気バルブ6,7の駆動特性を変化せしめる動弁機構5を備えたものにおいて、前記動弁機構5は、前記吸気及び排気バルブ6,7の駆動特性を切り替えるロッカーアーム移動機構21,22と、このロッカーアーム移動機構21,22に作動力を蓄力させるべく油圧アクチュエータ85からの力を受けて移動するロッカーアームシャフト14,18と、これらロッカーアームシャフト14,18の少なくとも一方の移動を検出するスイッチ100とを備え、前記スイッチ100が、前記ロッカーアームシャフト14,18の移動に応じて押圧又は解放されるものであり、このスイッチ100をその押圧方向が前記ロッカーアームシャフト14,18の移動方向と直交するように配置し、前記ロッカーアームシャフト14,18には前記スイッチ100を押圧するためのセンシングシャフト98を連設し、このセンシングシャフト98に、前記ロッカーアームシャフト14,18の移動方向に対して傾斜したスイッチ押圧面(外テーパ面99e)を設けたものである。
この構成によれば、センシングシャフト98の外テーパ面99eによりスイッチ100を押圧可能とすることで、該スイッチ100をセンシングシャフト98の移動方向と直交するように配置することができ、各バルブ6,7の駆動特性の切り替え時にセンシングシャフト98がスイッチ100に接触する際の前記移動方向での衝突がなくなるため、スイッチ100の磨耗を抑えて検出精度を高めることができる。
また、上記エンジン1は、当該エンジン1が並列多気筒エンジンであり、前記ロッカーアームシャフト14,18が、当該エンジン1のシリンダ配列方向に沿って延びると共に、前記シリンダ配列方向を移動方向とするようにシリンダヘッド2に配置され、前記スイッチ100が、前記ロッカーアームシャフト14,18の移動方向先端に設けた前記センシングシャフト98に臨むように、前記シリンダヘッド2に配置されることで、スイッチ100がシリンダヘッドの中央寄りを避けた端部に配置されることとなり、周辺部品との干渉を抑止できると共に、熱の影響の低減及びメンテナンス性の向上を図ることができる。
また、上記エンジン1は、前記動弁機構5が、吸気バルブ6又は排気バルブ7と第一カム15a,16a及び第二カム15b,16bとの間にロッカーアーム13,17を配置し、該ロッカーアーム13,17を揺動可能に支持するロッカーアームシャフト14,18の軸方向移動に応じて、前記ロッカーアーム13,17をロッカーアームシャフト14,18上で軸方向にスライド移動させることで、該ロッカーアーム13,17を第一カム15a,16a及び第二カム15b,16bの何れか一方に択一的に係合させることにより、前記吸気及び排気バルブ6,7の作動を切り替えるものであり、前記スイッチ100が、前記ロッカーアームシャフト14,18の移動方向先端に設けた前記センシングシャフト98に臨むように配置されることで、ロッカーアームシャフト14,18の軸方向移動によりON/OFFされるようにスイッチ100を配置することとなり、回転が伴う部材にスイッチ100を接触させる場合と比べて、スイッチ100の磨耗を抑えて検出精度を良好に維持できる。
また、上記エンジン1は、前記ロッカーアームシャフト14,18には、前記吸気及び排気バルブ6,7の作動特性を変化させるべく前記ロッカーアーム13,17を移動せしめる方向に付勢する第一スプリング23と、この第一スプリング23の端部を保持する第一スプリング受けカラー25とが装着され、前記センシングシャフト98が前記第一スプリング受けカラー25の端部に固定されることで、センシングシャフト98をロッカーアームシャフト14,18に直接固定する場合と比べて、ロッカーアームシャフト14,18に比して短い第一スプリング受けカラー25にセンシングシャフト98を固定することができ、センシングシャフト98の交換を容易に行うことができる。
また、上記エンジン1は、前記スイッチ100の前記センシングシャフト98との接触点t1が、前記スイッチ100の中心軸線C9上からずれた位置に設定されることで、スイッチ100におけるセンシングシャフト98との接触点t1をスイッチ先端から外してその側方からセンシングシャフト98に接触するようにでき、尖端形状をなすスイッチ先端での磨耗の進行を抑制できる。
また、上記エンジン1は、前記センシングシャフト98の外テーパ面99eが、前記スイッチ100の中心軸線C9との直交面に対して傾斜することで、センシングシャフト98の外テーパ面99eに対してスイッチ先端の接触を外すことができ、尖端形状をなすスイッチ先端での磨耗の進行を抑制できる。
また、上記エンジン1は、前記センシングシャフト98の外テーパ面99eが、前記スイッチ100側から見て凹状のR曲面にて構成されることで、凹状のR曲面にスイッチ先端を接触させることにより、スイッチ先端をR曲面状に形成してこれを外テーパ面99eに沿わせれば、外テーパ面99eとスイッチ先端とを点接触ではなく面接触させることができ、磨耗の進行を抑制すると共に偏磨耗も防止できる。
また、上記エンジン1は、前記シリンダヘッド2の前記センシングシャフト98の移動方向外側に臨む外壁Wに開口104aが形成され、この開口104aを閉塞する蓋部材104が前記シリンダヘッド2に着脱可能に取り付けられることで、蓋部材104を取り外すことのみでセンシングシャフト98周辺にアクセス可能となり、メンテナンス性を向上できる。
なお、この発明は上記実施例に限られるものではなく、例えば、四気筒以外の並列複数気筒エンジン、V型又は水平対向等の複数気筒エンジン、単気筒エンジン、クランク軸を車両前後方向に沿わせた縦置きエンジン等、各種形式のレシプロエンジンに適用してもよい。
そして、上記実施例における構成はこの発明の一例であり、自動二輪車に限らず三輪、四輪の各種車両のエンジンにも適用できることはもちろん、当該発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることはいうまでもない。
1 エンジン(内燃機関)
2 シリンダヘッド
5 動弁機構(可変動弁機構)
6 吸気バルブ(機関弁)
7 排気バルブ(機関弁)
13,17 ロッカーアーム
14,18 ロッカーアームシャフト(切り替え部材)
15a,16a 第一カム(カム)
15b,16b 第二カム(カム)
21 第一ロッカーアーム移動機構(切り替え機構)
22 第二ロッカーアーム移動機構(切り替え機構)
23 第一スプリング(付勢手段)
25 第一スプリング受けカラー(スプリングリテーナ)
85 油圧アクチュエータ(作動源)
98 センシングシャフト(押圧部材)
99e 外テーパ面(スイッチ押圧面)
100 スイッチ(検出手段)
t1 接触点
C9 中心軸線(中心線)
W 外壁
104 蓋部材
104a 開口

Claims (8)

  1. カム(15a,16a,15b,16b)による機関弁(6,7)の駆動特性を変化せしめる可変動弁機構(5)を備えた内燃機関(1)において、
    前記可変動弁機構(5)は、前記機関弁(6,7)の駆動特性を切り替える切り替え機構(21,22)と、この切り替え機構(21,22)に作動力を蓄力させるべく作動源(85)からの力を受けて移動する切り替え部材(14,18)と、この切り替え部材(14,18)の移動を検出する検出手段(100)とを備え、
    前記検出手段(100)は、前記切り替え部材(14,18)の移動に応じて押圧又は解放されるスイッチ(100)で構成され、このスイッチ(100)をその押圧方向が前記切り替え部材(14,18)の移動方向と直交するように配置し、前記切り替え部材(14,18)には前記スイッチ(100)を押圧するための押圧部材(99)を設け、この押圧部材(99)に、前記切り替え部材(14,18)の移動方向に対して傾斜したスイッチ押圧面(99e)を設けたことを特徴とする可変動弁機構を備えた内燃機関。
  2. 当該内燃機関(1)は並列多気筒エンジンであり、前記切り替え部材(14,18)は、当該内燃機関(1)のシリンダ配列方向に沿って延びると共に、前記シリンダ配列方向を移動方向とするようにシリンダヘッド(2)に配置され、
    前記スイッチ(100)は、前記切り替え部材(14,18)の移動方向先端に設けた前記押圧部材(99)に臨むように、前記シリンダヘッド(2)に配置されることを特徴とする請求項1に記載の可変動弁機構を備えた内燃機関。
  3. 前記可変動弁機構(5)は、一機関弁(6,7)と第一及び第二カム(15a,16a,15b,16b)との間にロッカーアーム(13,17)を配置し、該ロッカーアーム(13,17)を揺動可能に支持するロッカーアームシャフト(14,18)の軸方向移動に応じて、前記ロッカーアーム(13,17)をロッカーアームシャフト(14,18)上で軸方向にスライド移動させることで、該ロッカーアーム(13,17)を各カム(15a,16a,15b,16b)の何れか一方に択一的に係合させることにより、前記機関弁(6,7)の作動を切り替えるものであり、
    前記スイッチ(100)は、前記切り替え部材(14,18)であるロッカーアームシャフト(14,18)の移動方向先端に設けた前記押圧部材(99)に臨むように配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の可変動弁機構を備えた内燃機関。
  4. 前記ロッカーアームシャフト(14,18)には、前記機関弁(6,7)の作動特性を変化させるべく前記ロッカーアーム(13,17)を移動せしめる方向に付勢する付勢手段(23)と、この付勢手段(23)の端部を保持するスプリングリテーナ(25)とが装着され、前記押圧部材(99)が前記スプリングリテーナ(25)の端部に固定されることを特徴とする請求項3に記載の可変動弁機構を備えた内燃機関。
  5. 前記スイッチ(100)の前記押圧部材(99)との接触点(t1)が、前記スイッチ(100)の中心線(C9)上からずれた位置に設定されることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の可変動弁機構を備えた内燃機関。
  6. 前記押圧部材(99)のスイッチ押圧面(99e)が、前記スイッチ(100)の中心線(C9)との直交面に対して傾斜することを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の可変動弁機構を備えた内燃機関。
  7. 前記押圧部材(99)のスイッチ押圧面(99e)が、前記スイッチ(100)側から見て凹状のR曲面にて構成されることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の可変動弁機構を備えた内燃機関。
  8. 前記シリンダヘッド(2)の前記押圧部材(99)の移動方向外側に臨む外壁(W)に開口(104a)が形成され、この開口(104a)を閉塞する蓋部材(104)が前記シリンダヘッド(2)に着脱可能に取り付けられることを特徴とする請求項2に記載の可変動弁機構を備えた内燃機関。
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