JP2011178688A - 安定性の改善された殺虫剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】
安定性が低い様々な殺虫活性成分に適用可能な安定剤、及びそれを配合することにより、特に水を多く含有する製剤における安定性に優れた殺虫剤組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】
金属キレーション剤を添加することにより様々な殺虫活性成分の分解が抑制され、着色を防止し、さらには乳化・分散状態を安定化することができる。その結果、殺虫剤組成物を長期間にわたり、効力を持続したままの状態で保管することができる。
【選択図】 なし
安定性が低い様々な殺虫活性成分に適用可能な安定剤、及びそれを配合することにより、特に水を多く含有する製剤における安定性に優れた殺虫剤組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】
金属キレーション剤を添加することにより様々な殺虫活性成分の分解が抑制され、着色を防止し、さらには乳化・分散状態を安定化することができる。その結果、殺虫剤組成物を長期間にわたり、効力を持続したままの状態で保管することができる。
【選択図】 なし
Description
本発明は、安定性が低い様々な殺虫活性成分に適用可能な安定剤、及びそれを配合してなる安定性に優れた殺虫剤組成物に関する。
殺虫活性成分には有機リン系化合物、カーバメート系化合物、ピレスロイド系化合物、ピレスロイド様化合物、ネオニコチノイド(クロロニコチニル)系化合物、昆虫成長阻害剤等があり、農薬や環境管理用薬剤、家庭用殺虫剤等として広く一般に使用されている。
これらの殺虫活性成分を含む殺虫剤組成物としては、従来から、油剤、乳剤、懸濁剤、エマルジョン剤、粉剤、粒剤、水和剤等が使用されてきた。近年は、環境への負荷軽減のために、水を主溶剤とするエマルジョン剤やマイクロエマルジョン剤、フロアブル剤、サスポエマルジョン剤が広く普及している。
しかしながら、水を多く含有するするこれらの製剤型では、殺虫活性成分が特に分解反応を受けやすく、安定性が低下することが大きな問題であった。
しかしながら、水を多く含有するするこれらの製剤型では、殺虫活性成分が特に分解反応を受けやすく、安定性が低下することが大きな問題であった。
従来、殺虫剤組成物の保存期間の延長や、施用後の有効期間の延長を目的とした、様々な安定化法が採られている。一般的にはBHAやBHTのような酸化防止剤や、ベンゾフェノン系やベンゾトリアゾール系、フェノール系の紫外線吸収剤等の安定剤を配合することにより、殺虫活性成分の分解を抑制するなどであるが、それ以外にも様々な方法が報告されている。
例えば、有機リン系化合物のジメソエートの安定性を向上させるために無水マレイン酸を添加する方法、シクロプロペン脂肪酸を添加する方法、ピレスロイド系化合物のレスメトリンの安定性を向上させるためにリノレン酸油、トール油、キリ油あるいは炭酸ナトリウム、炭酸カリウムを添加する方法などである。
しかしながら、これらの安定化法は特定の組合せにのみ有効なものであり、様々な種類の殺虫活性成分に適用できるものではなかった。
一方、分解しやすい殺虫活性成分を微少なマイクロカプセルに封入することにより、光や酸化などによる分解を抑制し、その有効期間を持続させた殺虫剤組成物も既に市販されている。
例えば、有機リン系化合物のジメソエートの安定性を向上させるために無水マレイン酸を添加する方法、シクロプロペン脂肪酸を添加する方法、ピレスロイド系化合物のレスメトリンの安定性を向上させるためにリノレン酸油、トール油、キリ油あるいは炭酸ナトリウム、炭酸カリウムを添加する方法などである。
しかしながら、これらの安定化法は特定の組合せにのみ有効なものであり、様々な種類の殺虫活性成分に適用できるものではなかった。
一方、分解しやすい殺虫活性成分を微少なマイクロカプセルに封入することにより、光や酸化などによる分解を抑制し、その有効期間を持続させた殺虫剤組成物も既に市販されている。
本発明の目的は、安定性が低い様々な殺虫活性成分に適用可能な安定剤、及びそれにより安定性に優れた殺虫剤組成物を提供することにある。
本発明者は、かかる現状に鑑み安定な殺虫剤組成物を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、金属キレーション剤(キレート剤)を添加することにより様々な殺虫活性成分の分解が抑制され、着色を防止し、さらには乳化・分散状態を安定化することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、殺虫活性成分の安定剤としての金属キレーション剤、及びそれを配合してなる安定性に優れた殺虫剤組成物である。
すなわち本発明は、殺虫活性成分の安定剤としての金属キレーション剤、及びそれを配合してなる安定性に優れた殺虫剤組成物である。
本発明の安定化法を用いることにより、種々の殺虫活性成分を含む殺虫剤組成物を長期間にわたり、効果的な状態で保管することができる。
本発明において用いられる金属キレーション剤としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、ヒドロキサム酸、リンゴ酸、クエン酸、グルコン酸、サリチル酸等のカルボン酸類及びこれらの塩、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラアミン六酢酸、プロパンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸等のアミノカルボン酸類及びこれらの塩、フィチン酸、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸、ニトリロトリスメチレンホスホン酸等のホスホン酸類及びこれらの塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの金属キレーション剤は一種を単独に用いても二種以上を併用してもよい。
本発明における殺虫剤組成物中の金属キレーション剤の濃度は、殺虫剤組成物の剤型や安定化しようとする殺虫活性成分により変わりうるが、通常は0.001〜10重量%、より好ましくは0.05〜5重量%である。
本発明において安定化しようとする殺虫活性成分としては、ジクロルボス、ダイアジノン、フェニトロチオン、フェンチオン、トリクロルホン、プロペタンホス、ピリダフェンチオン、テメホス等の有機リン系殺虫剤、プロポキスル、フェノブカルブ、カルバリル、メソミル等のカーバメート系殺虫剤、天然ピレトリン抽出物、フェノトリン、ペルメトリン、アレスリン、フタルスリン、レスメトリン、シフェノトリン、プラレトリン、エムペンスリン、イミプロトリン、トラロメトリン等のピレスロイド系殺虫剤、エトフェンプロックス、シラフルオフェン等のピレスロイド様殺虫剤、アセタミプリド、イミダクロプリド、クロチアニジン、ジノテフラン、チアメトキサム等のネオニコチノイド系殺虫剤、メトプレン、ピリプロキシフェン、ジフルベンズロン、ヘキサフルムロン、クロルフルアズロン等の昆虫成長制御剤、クロルフェナピル等のフェニルピロール系殺虫剤、フィプロニル等のフェニルピラゾール系殺虫剤、ヒドラメチルノン等のアミジノヒドラゾン系殺虫剤、ピペロニルブトキサイド、イソボルニルチオシアノアセテート、オクタクロロジプロピルエーテル等の共力剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの殺虫活性成分は一種を単独に用いても二種以上を併用してもよい。
本発明における殺虫剤組成物としては、様々な製剤型が考えられる。例えば、油剤、乳剤、エマルジョン剤、マイクロエマルジョン剤、フロアブル剤、サスポエマルジョン剤、粉剤、粒剤、水和剤、錠剤、マイクロカプセル剤、エアゾール剤、くん煙剤等が挙げられが、エマルジョン剤、マイクロエマルジョン剤、フロアブル剤、サスポエマルジョン剤がより好ましい。
本発明における殺虫剤組成物は、製剤型に応じて他の添加剤、例えば、酸化防止剤や紫外線吸収剤のような他の安定剤、増粘剤、防腐剤、防錆剤、消泡剤、pH調整剤等を添加してもよい。
次に、本発明の実施例及び比較例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
フェニトロチオン5.0重量部、サニマールSFT(界面活性剤、日本乳化剤株式会社製)5.0重量部、ソフトアルキルベンゼン(三菱化学株式会社製)1.5重量部を均一に混合し、マグネティックスターラーにて撹拌させながら水88.2重量部を徐々に加えて微黄白色のエマルジョン液を得た。ここにキレストB(エチレンジアミン四酢酸ニナトリウム、キレスト株式会社製)0.1重量部、プロキセルGXL(1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン液、アーチ・ケミカルズ製)0.2重量部を加えて均一に溶解し、実施例1とした。pHを測定した結果、3.2であった。
フェニトロチオン5.0重量部、サニマールSFT(界面活性剤、日本乳化剤株式会社製)5.0重量部、ソフトアルキルベンゼン(三菱化学株式会社製)1.5重量部を均一に混合し、マグネティックスターラーにて撹拌させながら水88.2重量部を徐々に加えて微黄白色のエマルジョン液を得た。ここにキレストB(エチレンジアミン四酢酸ニナトリウム、キレスト株式会社製)0.1重量部、プロキセルGXL(1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン液、アーチ・ケミカルズ製)0.2重量部を加えて均一に溶解し、実施例1とした。pHを測定した結果、3.2であった。
(実施例2)
ピロサイド50(50%ピレトリン溶液、MGK製)8.0重量部、ソルポールSM−100PM(界面活性剤、東邦化学工業株式会社製)8.0重量部を均一に混合し、マグネティックスターラーにて撹拌させながら水83.7重量部を徐々に加えて淡黄色透明のマイクロエマルジョン液を得た。ここにキレストB0.1重量部、プロキセルGXL0.2重量部を加えて均一に溶解して、微黄白色のエマルジョン液を得、これを実施例2とした。pHを測定した結果、2.0であった。
ピロサイド50(50%ピレトリン溶液、MGK製)8.0重量部、ソルポールSM−100PM(界面活性剤、東邦化学工業株式会社製)8.0重量部を均一に混合し、マグネティックスターラーにて撹拌させながら水83.7重量部を徐々に加えて淡黄色透明のマイクロエマルジョン液を得た。ここにキレストB0.1重量部、プロキセルGXL0.2重量部を加えて均一に溶解して、微黄白色のエマルジョン液を得、これを実施例2とした。pHを測定した結果、2.0であった。
(比較例1)
フェニトロチオン5.0重量部、サニマールSFT5.0重量部、ソフトアルキルベンゼン1.5重量部を均一に混合し、マグネティックスターラーにて撹拌させながら水88.3重量部を徐々に加えて微黄白色のエマルジョン液を得た。ここにプロキセルGXL0.2重量部を加えて均一に溶解し、さらに酢酸(和光純薬株式会社製)を微量加えてpH5.9に調整し、比較例1とした。
フェニトロチオン5.0重量部、サニマールSFT5.0重量部、ソフトアルキルベンゼン1.5重量部を均一に混合し、マグネティックスターラーにて撹拌させながら水88.3重量部を徐々に加えて微黄白色のエマルジョン液を得た。ここにプロキセルGXL0.2重量部を加えて均一に溶解し、さらに酢酸(和光純薬株式会社製)を微量加えてpH5.9に調整し、比較例1とした。
(比較例2)
ピロサイド508.0重量部、ソルポールSM−100PM8.0重量部を均一に混合し、マグネティックスターラーにて撹拌させながら水83.8重量部を徐々に加えて淡黄色透明のマイクロエマルジョン液を得た。プロキセルGXL0.2重量部を加えて均一に溶解し、さらに酢酸を微量加えてpH2.0に調整し、比較例2とした。
ピロサイド508.0重量部、ソルポールSM−100PM8.0重量部を均一に混合し、マグネティックスターラーにて撹拌させながら水83.8重量部を徐々に加えて淡黄色透明のマイクロエマルジョン液を得た。プロキセルGXL0.2重量部を加えて均一に溶解し、さらに酢酸を微量加えてpH2.0に調整し、比較例2とした。
(試験例1)
実施例1、2及び比較例1、2の各製剤をガラス製のマヨネーズ瓶に入れて、50℃の恒温槽に1ヶ月間保存し、外観の変化を確認した。その結果を表1に示す。また、フェニトロチオンはガスクロマトグラフィーにて、ピレトリンは高速液体クロマトグラフィーにて分析して、下記式により各殺虫活性成分の分解率を求めた。その結果を表2に示す。
分解率(%)=(保存前の含有量−保存後の含有量)/保存前の含有量×100
実施例1、2及び比較例1、2の各製剤をガラス製のマヨネーズ瓶に入れて、50℃の恒温槽に1ヶ月間保存し、外観の変化を確認した。その結果を表1に示す。また、フェニトロチオンはガスクロマトグラフィーにて、ピレトリンは高速液体クロマトグラフィーにて分析して、下記式により各殺虫活性成分の分解率を求めた。その結果を表2に示す。
分解率(%)=(保存前の含有量−保存後の含有量)/保存前の含有量×100
本発明の安定化剤は、様々な殺虫活性成分の安定性の向上に効果を示し、殺虫剤組成物の安定性の改善に用いることができる。
Claims (3)
- 金属キレーション剤を含有することを特徴とする保存安定性の改善された殺虫剤組成物。
- 製剤型が、エマルジョン剤、マイクロエマルジョン剤、フロアブル剤及びサスポエマルジョン剤から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の殺虫剤組成物。
- 金属キレーション剤が、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、ヒドロキサム酸、リンゴ酸、クエン酸、グルコン酸、サリチル酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラアミン六酢酸、プロパンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、フィチン酸、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸、ニトリロトリスメチレンホスホン酸及びこれらの塩からなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載の殺虫剤組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010042593A JP2011178688A (ja) | 2010-02-26 | 2010-02-26 | 安定性の改善された殺虫剤組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP (1) | JP2011178688A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2016093299A1 (ja) * | 2014-12-10 | 2016-06-16 | 千寿製薬株式会社 | 水性液剤 |
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2010
- 2010-02-26 JP JP2010042593A patent/JP2011178688A/ja active Pending
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