JP2011178668A - Mri造影剤 - Google Patents

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貴 中川
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Abstract

【課題】化学的・物理的安定性に加えて、優れた血中滞留性及び臓器・組織特異性を発現可能なMRI造影剤を提供する。
【解決手段】ナノダイヤモンド粒子に磁性元素をイオン注入してなる磁性ナノダイヤモンド粒子に、貴金属ナノ粒子が担持されてなる複合磁性粒子を含有するようにした。
【選択図】図1

Description

この発明は、化学的・物理的安定性に加えて、分子・細胞ラベリングが可能であり、また、優れた血中滞留性及び臓器・組織特異性を発現可能なMRI造影剤に関するものである。
従来、がん病変の診断及び治療方針の決定に必要な情報を視覚的に読み取ることが可能な画像診断技術として、磁気共鳴現象を利用したMRI(磁気共鳴画像)法が知られている。MRI法においては、がんを始めとする特定の組織をより鮮明に造影するために、ガドリニウム製剤や鉄製剤等の造影剤が使用されることが多い。ガドリニウム造影剤の多くは、主に血流造影剤として利用され、脳血流造影による脳腫瘍の診断等の特殊なケースを除いては、がん診断には利用されない。また、がん診断用造影剤として販売されている唯一のガドリニウム造影剤であるEOB・プリモビスト(登録商標)や、がん診断用酸化鉄ナノ粒子製剤は、肝臓に積極的に取り込まれることにより腫瘍を発見しようとするものであるため、肝がん以外には適用できないという問題点を有している。
近時、化学的に安定なナノダイヤモンド粒子に磁性元素をイオン注入してなる磁性ナノダイヤモンド粒子をMRI造影剤に活用する試みがなされている(特許文献1)。ナノダイヤモンドは、化学的に安定で生体内での分解が起こりにくいうえ、物理的にも非常に安定であるので、従来では毒性が高いとして用いることのできなかった元素を含むほとんどの磁性元素を内部に保持して、極めて安全性の高いMRI造影剤を構成することができる。
しかしながら、当該MRI造影剤は、生理的塩濃度での分散性が充分でなく、生体に適用しようとした場合、血液中で凝集して1μm以上の粒子径の二次粒子を形成するので、肝臓を始め、脾臓、マクロファージに貪食されやすく、血中滞留性が充分でない。このため、肝臓以外の臓器・組織に取り込ませて、これを造影することは難しい。
したがって、MRI法による腫瘍造影法をより汎用性の高いがん診断技術として発展させるために、血中滞留性に優れ、かつ、肝腫瘍のみならず種々の臓器・組織に対して適用できるMRI造影剤の開発が望まれている。
特開2008−79824
そこで本発明は、化学的・物理的安定性に加えて、血中滞留性及び臓器・組織特異性を発現可能なMRI造影剤を提供すべく図ったものである。
本発明者は、鋭意検討の結果、磁性ナノダイヤモンド粒子の磁気緩和性を損なうことなしに、磁性ナノダイヤモンド粒子に貴金属ナノ粒子を担持させることに成功した。更に、本発明者は、当該貴金属ナノ粒子を、磁性ナノダイヤモンド粒子に機能性物質を結合するための「足場」として利用して、貴金属ナノ粒子を介して磁性ナノダイヤモンド粒子に、種々の高分子化合物や生体由来の標的物質に特異的に結合する物質を固定することに成功し、これにより、磁性ナノダイヤモンド粒子を含有するMRI造影剤に、血中滞留性や臓器・組織特異性を付与することに成功した。本発明はこれらの知見に基づき完成に至ったものである。
すなわち本発明に係るMRI造影剤は、ナノダイヤモンド粒子に磁性元素をイオン注入してなる磁性ナノダイヤモンド粒子に、貴金属ナノ粒子が担持されてなる複合磁性粒子を含有することを特徴とする。
前記貴金属ナノ粒子は、金ナノ粒子であることが好ましい。
前記貴金属ナノ粒子には、高分子化合物が結合していてもよい。
前記高分子化合物は、ポリエチレングリコールであることが好ましい。
前記高分子化合物は、メルカプト基を介して前記貴金属ナノ粒子に結合してなることが好ましい。
前記高分子化合物は、水溶液中で酸性、塩基性又は中性を呈する官能基を有していてもよい。
前記貴金属ナノ粒子には、標的物質に対して特異的結合能を有する特異的結合物質が担持されていてもよい。なお、本発明において特異的結合物質とは、標的物質に対して特異的結合能を有するものであれば特に限定されないが、例えば、抗体とそれに対する抗原、リガンドとそれに対するレセプター、糖とそれに対するレクチン等が挙げられる。
このような本発明によれば、磁性粒子として化学的・物理的に安定なナノダイヤモンド粒子を用い、これに機能性物質を結合するための「足場」として利用できる貴金属ナノ粒子を担持して、当該貴金属ナノ粒子を介して磁性ナノダイヤモンド粒子に、種々の高分子化合物や生体由来の標的物質に特異的に結合する物質を固定することにより、化学的・物理的安定性に加えて、血中滞留性や臓器・組織特異性を付与したMRI造影剤を提供することができる。また、貴金属ナノ粒子の担持や高分子化合物等の結合によっても、磁性ナノダイヤモンド粒子の磁気緩和能は損なわれず、T1短縮能を発現することができる。
水中におけるAu/Mn−ND及び未修飾Mn−NDのT1−強調画像を示すMR画像である。 PEG−Au/NDの電子顕微鏡写真である。 PEG−Au/ND及び未修飾NDを各種分散媒に分散させた状態を示す写真である。 各種分散媒中におけるPEG−Au/ND及び未修飾NDの粒子サイズを動的光散乱法により測定した結果を示すグラフである。
以下に本発明を詳述する。
本発明に係るMRI造影剤は、磁性ナノダイヤモンド粒子に、貴金属ナノ粒子が担持されてなる複合磁性粒子を含有するものである。
<磁性ナノダイヤモンド粒子>
前記磁性ナノダイヤモンド粒子は、ナノダイヤモンド粒子に磁性元素をイオン注入することにより得られるものである。
前記ナノダイヤモンド粒子は、爆発法や高温高圧法を用いて製造することができる。当該ナノダイヤモンド粒子の平均粒子径(体積平均径)は、2〜100nmであることが好ましく、3〜30nmがより好ましく、4〜10nmが更に好ましい。なお、イオン注入後の磁性ナノダイヤモンド粒子の平均粒子径も、イオン注入前のものと同様である。100nm以上であると、長期間の分散安定性が低下し、2nm未満であると、製造が困難である。前記ナノダイヤモンド粒子の形状としては特に限定されず、例えば、真球状、板状、針状、紡錘状等が挙げられる。
前記磁性元素としては、例えば、Cr、Mo、W等の6族の元素;Mn、Tc、Re等の7族の元素;Fe、Ru、Os等の8族の元素;Co、Rh、Ir等の9族の元素;Ni、Pd、Pt等の10族の元素;Cu、Ag、Au等の11族の元素;Sc、ランタノイド等の3族の元素等が挙げられる。これらの元素は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
前記ナノダイヤモンド粒子に磁性元素をイオン注入する方法としては特に限定されず、公知の方法を適宜選択して使用することができるが、例えば、Si基板等の平面に塗布したナノダイヤモンド粒子にイオン注入する方法や、粉体のままで撹拌しながら注入を行う粉体注入用の治具を用いて注入する方法等を用いることができる。
イオン注入深度は浅いほうが、磁気反応性が高まるため、例えば1〜2nm程度が好ましいが、イオン注入エネルギをそれにあわせると通常のイオン注入のエネルギ(数10〜数100keV)よりもはるかに低く(数100〜2000eV程度)しなければならないために、イオンビームの発生と輸送が困難となる。したがって、例えば、中間物質をナノダイヤモンド粒子の前段に配置しておき、この中間物質を貫通してエネルギの小さくなったイオンをナノダイヤモンド粒子に照射することが好ましい。
このように磁性元素をイオン注入したナノダイヤモンド粒子を、引き続いて、約700〜900℃でアニールする。アニールすることにより、イオン注入によるダイヤモンドの表面欠陥を是正することができ、これにより、注入した磁性元素の固定の確実性を向上することができる。
なお、磁性ナノダイヤモンド粒子に蛍光性を与えれば、MRIと同時に他の測定装置による検出が可能となるので、診断の精度や質、時間を大幅に改善することができるようになる。そのためには、例えば、前記ナノダイヤモンド粒子に更にプロトンやユーロピウムをイオン注入したり、更に蛍光物質を結合させたり、前記磁性元素そのものに所定の電磁波に対する蛍光性を有するものを用いたりすればよい。このようにプロトンや蛍光物質等をイオン注入する場合は、アニール工程前に行うことが好ましい。
<貴金属ナノ粒子>
前記貴金属ナノ粒子としては、例えば、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、レニウム(Re)等からなるナノ粒子が挙げられる。なかでも、生体内での化学的安定性や、後述する高分子化合物との結合の安定性等の観点から、金ナノ粒子が好ましい。
前記貴金属ナノ粒子の平均粒子径は、例えば1〜20nm程度であり、好ましくは1〜10nm程度、より好ましくは1〜5nm程度である。このような粒子径であれば、磁性ナノダイヤモンド粒子に良好に担持でき、かつ、磁性ナノダイヤモンド粒子に機能性物質を結合するための「足場」として充分な表面積が確保できる。なお、当該平均粒子径は電子顕微鏡観察により測定した値である。
<貴金属ナノ粒子の磁性ナノダイヤモンド粒子への担持>
前記貴金属ナノ粒子の前記磁性ナノダイヤモンド粒子への担持は、貴金属イオン含有液又は貴金属錯体含有液に、前記磁性ナノダイヤモンド粒子を分散して、放射線、電子線又は超音波を照射することによりなし得る。なお、これらの放射線等の射出によっても、磁性ナノダイヤモンド粒子の磁気緩和能は損なわれない。
前記貴金属イオン含有液は、貴金属イオンを含む水溶液又はアルコール溶液であり、溶媒中で貴金属イオンを遊離する化合物を、例えば、水;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール;含水アルコール;塩酸、硫酸、硝酸等の酸等に溶解させることにより調製することができる。なお、前記酸はアルコール等の有機物を含んでいてもよい。前記溶媒中で貴金属イオンを遊離する化合物としては、貴金属の硝酸塩、塩化物、酢酸塩、クエン酸塩、硫酸塩、炭酸塩、酸化物、水酸化物等が挙げられる。前記貴金属が金である場合は、なかでもHAuCl4が好ましい。
前記貴金属錯体含有液としては、前記貴金属イオンに適当な配位子が配位した化合物が、水、前記各種アルコール、含水アルコール等に溶解した溶液が挙げられる。前記配位子は、非共有電子対又は負電荷を持っているものであれば特に限定されず、公知のものから適宜選択することができ、例えば、F、Cl、Br、I等のハロゲン化物イオン、シアン化物イオン、アンモニア、ピリジン等の単座配位子;エチレンジアミン、アセチルアセトンイオン等の二座配位子;エチレンジアミンテトラ酢酸イオン等の六座配位子等が挙げられる。
前記貴金属イオン含有液又は前記貴金属錯体含有液中の貴金属濃度としては特に限定されないが、1μM〜1M程度であるのが好ましく、より好ましくは0.1〜10mM程度である。貴金属濃度が高すぎると、得られる貴金属ナノ粒子のサイズが大きくなりすぎたり、貴金属単独の粒子が多量に生成したりすることがある。逆に、貴金属濃度が低すぎると、所望の複合磁性粒子が得られにくくなる。
前記貴金属イオン含有液又は前記貴金属錯体含有液には、更に必要に応じて適宜添加剤を添加してもよい。当該添加剤としては、例えば、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子化合物;界面活性剤;アルコール類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類;アルキレングリコール、ポリアルキレングリコール、これらのモノアルキルエーテル又はジアルキルエーテル、グリセリン等のポリオール類;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、グリコール酸等のカルボン酸類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類等の各種の水混和性有機溶媒等が挙げられる。これらの添加剤は、貴金属イオンの還元反応速度を促進し、生成する貴金属ナノ粒子の大きさを調整するのに有効な場合がある。
前記貴金属イオン含有液又は貴金属錯体含有液中への前記磁性ナノダイヤモンド粒子の添加量は、例えば0.001〜1重量%程度である。
前記磁性ナノダイヤモンド粒子を分散させた前記貴金属イオン含有液又は貴金属錯体含有液に、超音波を照射するには、例えば、周波数10kHz〜10MHz、出力1W以上の条件下で照射を行う。当該照射は、例えばアルゴン(Ar)等の不活性ガス置換雰囲気中で行うことが好ましい。前記貴金属が金である場合、好ましい照射条件は、例えば、周波数200kHz、出力200W、照射時間30分間程度である。
前記磁性ナノダイヤモンド粒子を分散させた前記貴金属イオン含有液又は貴金属錯体含有液に照射する電離放射線としては、直接(一次)電離放射線と間接(二次)電離放射線とが挙げられ、直接電離放射線とは電子、陽子、α粒子等の荷電粒子線であり、間接電離放射線とはγ線(電磁波)、X線、中性子線等の非荷電粒子線である。これらの電離放射線の波長は、例えば1nm未満であり、好ましくは0.1nm以下、より好ましくは0.01nm以下である。波長が短いほど、大きさが均一で微細な貴金属ナノ粒子が短時間で生成する傾向がある。
前記磁性ナノダイヤモンド粒子を分散させた前記貴金属イオン含有液又は貴金属錯体含有液に、電離放射線を照射する際の吸収線量は、例えば1J/kg以上であり、好ましくは1〜1,000,000J/kgである。特に、電離放射線としてγ線を利用する場合、γ線照射は、線量1Gy以上の条件で実施するのが好ましい。前記貴金属が金である場合、好ましいγ線照射条件は、例えば、放射線源としてコバルト60γ線源(γ線光量子のエネルギー:1.25MeV)を用いて、線量率約3kGy/h、照射時間3時間程度である。
前記磁性ナノダイヤモンド粒子を分散させた前記貴金属イオン含有液又は貴金属錯体含有液に、電子線を照射するには、直線加速器によることが好ましい。前記貴金属が金である場合、好ましい電子線照射条件は、例えば、電子線加速器による電子線(エネルギー10MeV)を、1MGy/hで20秒程度の照射とすればよい。
なお、電離放射線や電子線の照射は、磁性ナノダイヤモンド粒子の分散状態を維持するために、溶液を攪拌しながら行うのが好ましいが、超音波照射の場合には、超音波の照射自体が攪拌効果を有するので、攪拌操作は不要である。本発明では電離放射線や電子線の照射と超音波照射とを併用してもよく、併用により、超音波照射の攪拌効果によって良好な分散状態を有する複合磁性粒子を得やすくなる。
前記磁性ナノダイヤモンド粒子への前記貴金属ナノ粒子の担持量は、例えば、磁性ナノダイヤモンド粒子の粒子径が100nm以下である場合は、磁性ナノダイヤモンド粒子に対する貴金属ナノ粒子の重量比(貴金属ナノ粒子:磁性ナノダイヤモンド粒子)で、1:1〜10:1程度であることが好ましい。このような担持量であれば、貴金属ナノ粒子を磁性ナノダイヤモンド粒子に機能性物質を結合するための「足場」として用いて、複合磁性粒子に血中滞留性や臓器・組織特異性を付与することができる。
<高分子化合物>
本発明で用いられる複合磁性粒子は、前記貴金属ナノ粒子を介して高分子化合物を結合させることができる。前記高分子化合物として疎水性ポリマーを用いることにより、前記複合磁性粒子に、脂肪組織等への親和性を付与することができ、一方、前記高分子化合物として親水性ポリマーを用いることにより、前記複合磁性粒子に、水溶液や血液中における良好な分散性を付与することができる。また、前記高分子化合物として、親水性セグメントと疎水性セグメントとからなるブロック共重合体を用いてもよい。
前記親水性ポリマーとしては特に限定されないが、例えば、ポリメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール;ポリビニルアルコール;ポリビニルピロリドン;ポリメタクリル酸等が挙げられる。なかでも、生体適合性が良好である点から、ポリエチレングリコール(以下、PEGともいう。)が好適に用いられる。これらポリアルキレングリコールが結合した複合磁性粒子は、高イオン濃度や高濃度タンパク質の水溶液中でも塩析・凝集しない優れた分散性を発現することができる。
前記ポリアルキレングリコールの分子量は、例えば2000〜30万程度であり、好ましくは2000〜20万程度、より好ましくは5000〜15万程度である。このような分子量であれば、前記複合磁性粒子の二次粒子径を、肝臓、脾臓、腎臓、マクロファージ等に取り込まれにくい50〜100nmにすることができるので、優れた血中滞留性を付与することができる。このため、所期の臓器・組織への取り込み効率を向上することもできる。
前記高分子化合物は、水溶液中で酸性、塩基性又は中性を呈する官能基を有していてもよい。このようなものであれば、血液中で正若しくは負に帯電する又は帯電しないことにより、前記複合磁性粒子に臓器・組織ごとに異なる親和性を付与することができ、所望の臓器・組織に選択的に取り込ませることが可能となる。
前記酸性を呈する官能基としては、例えば、カルボキシル基、ヒドロキシル基、スルホン酸基等が挙げられる。
前記塩基性を呈する官能基としては、例えば、アミノ基等が挙げられる。
前記中性を呈する官能基としては、例えば、NHS基(N−ヒドロキシスクシンイミドエステル基)、チオール基、アセチル基、シアノメチル基、シアノ基等が挙げられる。
前記貴金属ナノ粒子に高分子化合物を結合させる方法としては特に限定されないが、例えば、高分子化合物に貴金属に配位可能な官能基を導入し、当該官能基を有する前記高分子化合物を、貴金属ナノ粒子が担持された前記磁性ナノダイヤモンド粒子を含有する溶液に対して過剰量添加し、これらを室温でインキュベーションすることにより、前記貴金属ナノ粒子に高分子化合物を結合させることができる。なお、前記貴金属ナノ粒子が担持された前記磁性ナノダイヤモンド粒子を含有する溶液としては、放射線等を照射した溶液をそのまま使用してもよいし、得られた複合磁性粒子を分離してから、蒸留水等に再懸濁させた溶液であってもよい。
前記貴金属ナノ粒子が金ナノ粒子である場合、前記インキュベーションの条件は、16〜25℃程度で1時間程度が好ましい。このような条件下であれば反応が充分に進行し目的の複合磁性粒子の収量も充分となる。
前記貴金属に配位可能な官能基としては、例えば、メルカプト基、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、イミノ基、エーテル結合(エーテル基)、カルボン酸残基(カルボキシラート)、リン酸残基、スルフィド残基等が挙げられる。これらのなかでも、金と強い結合を形成することができることより、メルカプト基が好適である。
前記貴金属に配位可能な官能基は、前記高分子化合物の末端又は内部にあれば、その部位や数は特に限定されないが、末端に結合していることが好ましい。一方、前記貴金属に配位可能な官能基が前記高分子化合物の内部に1個以上存在している場合は、前記高分子化合物は分子が折れ曲がった状態で前記複合磁性粒子に結合するため、前記複合磁性粒子から伸びる前記高分子化合物の鎖の本数が多くなる。そしてこの場合、前記高分子化合物を、後述する特異的結合物質のリンカーとして用いれば、より多くの特異的結合物質を前記複合磁性粒子に担持させることができる。
前記高分子化合物として親水性ポリマーが結合している前記複合磁性粒子の一次粒子の平均粒子径は、10〜150nm程度が好ましい。更に分子・細胞ラベリング剤として用いる場合は、10〜20nm程度がより好ましい。一方、血中造影剤として用いる場合は、30〜150nm程度がより好ましく、30〜80nm程度が更に好ましい。また、前記高分子化合物が結合した前記複合磁性粒子は凝集している場合もあるが、その二次粒子の平均粒子径は、分子・細胞ラベリング剤として用いる場合は、10〜100nm程度が好ましく、10〜50nm程度がより好ましく、10〜30nm程度が更に好ましい。一方、血中造影剤として用いる場合は、50〜150nm程度が好ましく、50〜100nm程度がより好ましく、50〜80nm程度が更に好ましい。ここで、一次粒子とは1粒の磁性ナノダイヤモンド粒子に1粒の貴金属ナノ粒子が担持されてなる粒子のことを意味し、二次粒子とは当該一次粒子が複数個、凝集したものを意味する。このような粒子径であれば、分子・細胞ラベリング剤としては、内在性の生物学的現象を阻害する可能性が低くなる。一方、血中造影剤としては、肝臓、脾臓、マクロファージ等に取り込まれにくい、優れた血中滞留性を発現することができ、このため、所期の臓器・組織への取り込み効率を向上することもできる。なお、これら粒子径は動的光散乱法又は電子顕微鏡観察により測定した値である。
<特異的結合物質>
本発明で用いられる複合磁性粒子は、前記貴金属ナノ粒子を介して、所定の標的物質に対する特異的結合物質を担持させることも可能である。前記特異的結合物質としては特に限定されず、例えば、所定の抗原と特異的に結合する抗体、所定の糖に特異的に結合するレクチン、所定のレセプターに特異的に結合するリガンド等が挙げられる。このような特異的結合物質が貴金属ナノ粒子に担持されていることにより、前記複合磁性粒子に、臓器・組織特異性を付与することができる。
前記特異的結合物質としてより具体的には、例えば、観察対象の臓器が肝臓であれば、LDL受容体等が挙げられ、観察対象の組織ががん組織であれば、RGDペプチド、各種がん特異的抗体、アプタマー分子等が挙げられる。
前記貴金属ナノ粒子に前記特異的結合物質を担持するには、前記貴金属ナノ粒子と前記特異的結合物質との物理的吸着力、化学的吸着力、化学結合力等を利用して直接的に結合させてもよいが、リンカーを介して間接的に結合させてもよい。リンカーを介して間接的に結合させる場合、前記リンカーとしては上記の各種高分子化合物を用いることができる。なお、分散性の観点からは、PEG等の親水性ポリマーからなるリンカーを介して結合していることが好ましい。また、この際、リンカーと特異的結合物質との結合は、上記の水溶液中で酸性、塩基性又は中性を呈する官能基を介して行われてもよい。
<MRI造影剤>
本発明に係るMRI造影剤は、前記複合磁性粒子を、例えば、生理食塩水のような溶液に懸濁させることにより得られる。この際の溶液中の複合磁性粒子の濃度は、例えば1〜50重量%程度である。本発明で用いられる複合磁性粒子に親水性ポリマーが結合している場合、本発明に係るMRI造影剤に分散剤を配合しなくてもよく、安全性の高い製剤とすることができる。
本発明に係るMRI造影剤を人体へ投与する場合は、従来のMRI造影剤の投与方法と同様に、そのまま、又はブドウ糖注射液等に用時混合して静脈注射可能な塩濃度に調整した上で、静脈注射や点滴等により投与すればよい。また投与量も市販鉄製MRI用造影剤と同程度とすればよい。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
<磁性ナノダイヤモンド粒子の作製>
爆発法を用いて製造した平均粒子径4nmのナノダイヤモンド粒子に、イオン注入装置を用いてマンガンのイオン注入を行った。ここでは、ナノダイヤモンド粒子にエネルギ100keVのMnイオンを1.0×1016/cm注入した。イオン注入後、窒素雰囲気下で、ナノダイヤモンド粒子を約700℃で所定時間加熱してアニーリングを行った後、425℃で所定時間空気酸化を行い、磁性ナノダイヤモンド粒子を作製した。
<Au/Mn−NDの作製>
得られた磁性ナノダイヤモンド粒子(以下、Mn−NDという。)を、反応バッファー(0.5mM HAuCl、4.125mM 2−プロパノール、10g/L ポリビニルアルコール(PVA))中に0.1g/Lになるように懸濁し、ガラスバイアルへ移した。その後、バイアルに対し、加速器電子線からの電子線(加速電圧4.8MeV)を表面線量6kGyとなるよう照射し、Mn−ND表面に金ナノ粒子を析出させて、Au/Mn−NDを作製した。
<Au/Mn−NDの造影剤としての適性評価>
作製したAu/Mn−ND及び未修飾Mn−NDを、各々超純水(Milli−Q water)中に100μg/mLの濃度で懸濁し、下記の条件下において、NRI測定装置を用いてT1−強調画像を計測し、MR画像における造影効果を評価した。得られた画像を図1に示す。
MRI測定装置:DSファーマバイオメディカル社製、MRminiSA
繰返時間:500ms
エコー時間:9ms
積算回数:3回
データサイズ:128×336
図1に示すように、Au/Mn−NDは未修飾Mn−NDと同じ濃度で同等のT1短縮能を示した。このことから、Auの担持によっても、Mn−NDの磁気緩和能は損なわれず、得られたAu/Mn−NDはMRI造影剤として有効に機能しうることが示された。
以下の試験においては、Mn−NDに代えて、Mnがイオン注入されていないNDを使用したが、Mn−NDもNDと同様な物性を示すことが予想される。
<PEG−Au/NDの作製>
金ナノ粒子担持ND(以下、Au/NDという。)を遠心操作により沈殿させ、上清を除去した。沈殿に対し、モル比でAu/ND:PEG=1:10となるようにSH修飾PEG(PEG−SH,分子量5kDa,日本油脂社製)を添加した後、水浴型超音波照射装置(ブランソン社製)にて超音波を5分照射することにより粒子を分散させて、Au/NDの金ナノ粒子にPEGを結合させた。
作製したPEG−Au/ND溶液を、1,000倍量の超純水(Milli−Q water)に対し、Spectra/Por(登録商標)透析膜(分画分子量1,000kDa,スペクトラム・ラボラトリーズ社製)で2回透析を行うことにより、未反応のPEG−SHを除去した。精製後のサンプルに対しては、室温でHITACHI H−8100(日立製作所社製)による電子顕微鏡観察を行った。得られた電子顕微鏡写真を図2に示す。図2より、NDとAuが複合化していることが確認された。
<PEG−Au/NDの分散性評価>
作製したPEG−Au/ND及び未修飾NDを、各々超純水(Milli−Q water)、PBS、牛胎児血清(FCS)中に懸濁し、2時間室温で静置した。その後の外観を図3に示す。また、これらの粒子サイズを、Z−sizer 3000−HS(マルバーン社製)を用いた動的光散乱法により評価した。評価結果を図4に示す。なお、図4中、「nm」はピークトップの二次粒子径を示す。
図3に示すように、PEG−Au/ND群は、どのような溶液中でも高い透明度を維持していた。これに対してND群は、PBS中では沈澱し、FCS中に懸濁した場合は濁った溶液となった。また、図4に示すように、PEG−Au/ND群はどのような溶液中でも約100nmの二次粒子径を維持していた。一方、ND群はPBS及びFCS中では凝集している可能性が示唆された。
本発明に係るMRI造影剤は、化学的・物理的安定性に加えて、優れた血中滞留性や臓器・組織特異性を有するので、肝腫瘍以外の組織にも適用可能である。

Claims (7)

  1. ナノダイヤモンド粒子に磁性元素をイオン注入してなる磁性ナノダイヤモンド粒子に、貴金属ナノ粒子が担持されてなる複合磁性粒子を含有することを特徴とするMRI造影剤。
  2. 前記貴金属ナノ粒子が、金ナノ粒子である請求項1記載のMRI造影剤。
  3. 前記貴金属ナノ粒子に、高分子化合物が結合している請求項1又は2記載のMRI造影剤。
  4. 前記高分子化合物が、ポリエチレングリコールである請求項3記載のMRI造影剤。
  5. 前記高分子化合物が、メルカプト基を介して前記貴金属ナノ粒子に結合してなる請求項3又は4記載のMRI造影剤。
  6. 前記高分子化合物が、水溶液中で酸性、塩基性又は中性を呈する官能基を有している請求項3、4又は5記載のMRI造影剤。
  7. 前記貴金属ナノ粒子に、標的物質に対して特異的結合能を有する特異的結合物質が担持されている請求項1、2、3、4、5又は6記載のMRI造影剤。
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