JP4874751B2 - Mr画像法に利用する生体標識用ナノダイヤモンド - Google Patents

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Description

本発明は、分子イメージングで用いられる分子・細胞認識用のナノダイヤモンド標識剤に関するものである。
磁気共鳴装置(MRI)やX線CT装置、あるいはPET(陽電子断層撮影装置)等の画像診断装置は、今日の医療現場では欠かすことのできない診断の道具になっている。これらの診断装置による画像は、病変部を表示し、診断の確定を補助することはもとより、治療計画の立案や、治療効果の判定、予後の観察にも役立っている。
例えばPETを用いれば、生体内の特定の分子に標識を結合させることで、限られた生体内分子の画像を得ることができる。しかしながら、この方法(PET法)では、放射線源を体内に導入し、そこらから発する放射線を体外で検出し画像化していることから、体内での放射線被爆を抑制するために、半減期が短い放射性同位元素を用いなければならない。その結果、体内に放射性標識が滞留する時間は短く、短時間に引き起こされる生体現象しか計測できない。また、放射線被爆のため、何度も計測を繰り返すことができない。その上、PETは標識からの信号のみで画像を構築するために、人体の形態学的な画像が得られず、MRIやX線CTなどの形態学的画像とコンピュータ・グラフィックスにより融合させることで初めて、臨床診断が可能になるといった不具合がある。
一方、MRIは、X線CTや前述のPETなどに比べて、放射線を用いないことから安全な画像診断法として定着しており、このことから、長期間にわたって繰り返し、継続的に検査ができるという点で、このMRIが有する欠点、すなわち信号検出の感度が悪く測定に時間を要するという欠点をはるかに凌いで、治療効果の判定などにはきわめて有効である。しかしながら、MRIを用いた画像診断法は、もっぱら病変部の形状を計測するという、形態学的な診断が主流を占め、「分子イメージング」と呼ばれる、生体内の細胞内の分子の挙動までを、画像化して明らかにする機能診断はきわめて困難である。したがって、従来、機能診断する場合は、生検と呼ばれ、体内から組織の一部を取り出し、体外で検査する手法を併用するようにしている。
とはいえ、MRIで分子イメージングが全く不可能、というわけではない。一例を挙げれば、磁性粒子をデキストラン、または、その誘導体で被覆して、MRI用常磁性標識剤として利用した例が知られている(例えば特許文献1)。
しかしながら、デキストラン被覆の磁性粒子は、体内循環系(血中)に長く滞留することができず、肝臓や脾臓の細胞に急速に取り込まれてしまうため、測定に時間を要するMRIでは、磁性粒子の投与タイミング等を含めた測定操作手順が非常に難しくなる。
さらに、磁性粒子を構成する金属元素は、体内で強い毒性を示すものが多いところ、デキストランによる被覆剤は血中で解離しやすく、加熱滅菌の操作による安定性や体内での経時的安定性に乏しいために、MRIの安全性という大きな利点が相殺されてしまう。
(国際公開第95/31220号パンフレット)
そこで本発明は、MRI法の有する安全性や精密な形態学的画像を得られるという利点を損なうことなく、いわゆる分子イメージング機能を付加して機能診断を的確に行えるようにするためのMR造影剤を提供すること等をその主たる所期課題としたものである。
すなわち本発明に係るMR造影剤は、ナノダイヤモンドに所定の磁性元素をイオン注入してなる磁性ナノダイヤモンドを有効成分として含んだものであることを特徴とする。
このようなMR造影剤であれば、生物体内に導入して、その磁気的効果をMR画像法で検出し、磁性ナノダイヤモンドの体内における部位を体外から特定することができるので、MR画像法による形態学的な画像を得ながら同時に分子イメージングが可能になる。
しかも、ナノダイヤモンドは、化学的な安定性では他の化学物質を凌駕しており、生体内での分解が抑制されるうえ、物理的にも非常に安定(例えば壊れない)ので、その内部にイオン注入された磁性元素を確実にコーティングして極めて安全性の高い標識剤を構成することができる。また、安定していることから、物理的信号強度の現弱が少ないという利点も得ることができる。
つまり、本MR造影剤は、化学的に安定で生体内では分解されず、しかも長時間体内に留まることのできる、MR画像診断法にとって理想的なものとなる。
長期間の分散安定性を考慮すれば、磁性ナノダイヤモンドの体積平均粒子径は100nm以下が好ましく、製造容易性を考慮すれば、2nm以上であることが望ましい。
上述したように、本発明に係る磁性ナノダイヤモンドは、その化学的かつ物理的構造上、非常に高い安全性を担保できるため、従来では毒性が高いとして用いることのできなかった元素を含むほとんどの金属元素を、磁性元素としてを用いることができる。具体的には、マンガン族(第7族:Mn、Tc、Re)、鉄族(第8族:Fe、Ru、Os)、コバルト族(第9族:Co、Rh、Ir)、ニッケル族(第10族:Ni、Pd、Pt)、銅族(第11族:Cu、Ag、Au)、希土類元素(Sc、Ir、ランタノイド)のうちのいずれかであればよい。特に十分な信号強度を得るためには、常磁性体が好ましい。また元素を複数含有させるようにしてもよい。
磁性ナノダイヤモンドに蛍光性を与えれば、MRIと同時に他の測定装置による検出が可能となるので、診断の精度や質、時間を大幅に改善することができるようになる。そのためには、例えば前記ナノダイヤモンドにプロトンをさらにイオン注入したり、蛍光物質をさらに結合させたり、あるいは前記磁性元素そのものに所定の電磁波に対する蛍光性を有したものを用いたりすればよい。
その他、ナノダイヤモンドに付与する物理的性質は、前述した光学的な特性としての蛍光特性のみならず、複数の物理的性質、例えば電気的な特性としての導電性、さらには、熱伝導性などの性能を同時に付与して、多次元的な生体解析の標識剤として利用できるようにすれば、種々の診断等への利用可能性がより高くなる。
生体への適用を考えた具体的実施態様としては、この磁性ナノダイヤモンドに生体への適合性、即ち、水への親和性を与える必要がある。そのためには、例えば、前記磁性ナノダイヤモンドの表面に官能基を化学修飾することが好ましい。
このような磁性ナノダイヤモンドを製造するには、少なくともナノダイヤモンドに所定の磁性元素をイオン注入する磁性付加ステップが必要である。イオン注入によれば、ナノダイヤモンドのような粉体であってもその改変操作が容易にできる。
その後、前記磁性付加ステップでイオン注入されたナノダイヤモンドをアニールするアニールステップを行えば、イオン注入時の結晶の損傷をこのアニールにより回復させることができる。したがって、磁性元素のみならず、プロトンや蛍光物質等をイオン注入する場合も、このアニールステップ前に行うことが望ましい。
一方、官能基で表面を化学修飾する場合は、このアニールステップの後に行うことが好適である。アニールにより磁性ナノダイヤモンドの表面状態が改善されて化学修飾をより確実に行えるうえ、仮に、アニールよりも先に表面を化学修飾すると、その後のアニールで、表面官能基が変質、欠損してしまうなどといった不具合が生じ得るからである。
上述したナノダイヤモンドにイオンビームを注入する場合に好適に用いることのできる治具としては、ナノ粒子を収容する凹部を有したケーシングと、前記凹部の開口を覆うメッシュとを備え、当該凹部に収容したナノ粒子に前記開口を通じてイオンビームを照射するように構成しているナノ粉体イオン注入用治具を挙げることができる。
ナノ粉体は、その微小な大きさからただでさえ飛散しやすいが、イオン注入によって生じるチャージアップ現象により、さらにその現象が助長されてしまうところ、かかる治具を用いれば、メッシュを通してイオン注入をおこなうようにしているため、イオンビームの一部がメッシュに当たって、その際発生する二次電子によりナノ粉体に蓄積される電荷が打ち消され、チャージアップという不具合を簡単な機構で解決できる。
ケーシングやメッシュがイオンビームでスパッタリングされ、それによりナノ粒子が汚染されるのを防止するには、前記ケーシングの少なくとも凹部を形成している部位と前記メッシュとが、ナノ粒子を構成している元素と同一の元素で構成されているものが好ましい。
例えば前記ナノ粒子がダイヤモンドの場合は、前記ケーシングがグラファイト製のものであり、前記メッシュがカーボン製のものを挙げることができる。
効率的にイオン注入を行うには、前記凹部が、奥に行くほど径が徐々に小さくなるコーン状のものであり、そのイオンビーム導入口である開口径が、イオンビームの径とほぼ同サイズに設定されているものが好適である。
本発明の磁性を強化・付与したナノダイヤモンドは、化学的な安定性では他の化学物質を凌駕、生体内での分解が抑制される。このナノダイヤモンドに生体への適合性、即ち、水への親和性を与えることで、化学的に安定で、生体内では分解されない、MR画像診断法の磁気的な標識として用いることができ、その標識の物理的信号強度の現弱が少ないという利点がある。
以下に本発明の実施形態を説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限られないのは言うまでもなく、その趣旨を逸脱しない範囲での変形が可能である。
まず、爆発法や高温高圧法を用いて、ナノダイヤモンドを製造する。このときのナノダイヤモンドの体積平均粒子径は2−100nmであることが好ましく、3−30nmがより好ましく、4−10nmがさらに好ましい。
次にこのナノダイヤモンドに磁性元素をイオン化して加速し、注入することによって磁性ナノダイヤモンドを生成する。粉体であるナノダイヤモンドにイオン注入をおこなうには、Si基板等の平面状にナノダイヤモンドを塗布して注入する方法と、粉体のままで撹拌しながら注入をおこなう粉体注入用の治具を用いて注入する二通りの方法がある。
ところで、従来直径mm程度の粒体、せいぜい直径μm程度の粉体の注入であったのに対して、この場合は、その径が非常に小さくなりかつ微量であるので、何らかの工夫が必要となる。ここでは、後述の実施例で詳細を述べるが、ナノダイヤモンドと同一元素(C)で構成したケーシングの凹部にナノダイヤモンドを入れ、かつその凹部の開口を、やはり同一元素(C)で構成したメッシュで覆うことによって、微量のナノダイヤモンドに対してチャージアップ現象による飛散を防止しながら効率よくイオン注入できるようにしている。
イオン注入深度は浅いほうが、磁気反応性が高まるため好ましく、せいぜい1〜2nm程度でよい。しかしながら、イオン注入エネルギをそれにあわせると通常のイオン注入のエネルギ(数10〜数100keV)よりもはるかに低く(数100〜2000eV程度)しなければならないために、イオンビームの発生と輸送が困難となる。したがって、例えば、中間物質をナノダイヤモンドの前段に配置しておき、この中間物質を貫通してエネルギの小さくなったイオンをナノダイヤモンドに照射するような構成にすることが望ましい。
磁性元素としては、マンガン族(第7族:Mn、Tc、Re)、鉄族(第8族:Fe、Ru、Os)、コバルト族(第9族:Co、Rh、Ir)、ニッケル族(第10族:Ni、Pd、Pt)、銅族(第11族:Cu、Ag、Au)、希土類元素等が挙げられる。
このようにナノダイヤモンドに磁性元素をイオン注入した後、所定条件でアニールする。アニールは、イオン注入によるダイヤモンドの表面欠陥を是正することで、注入した磁性元素の固定や後述する表面修飾の確実性を向上させるために行う。アニール温度は約700℃〜900℃くらいがよい。
磁性ナノダイヤモンドの体積平均粒子径は、前述したように、2−100nmであることが好ましく、3−30nmがより好ましく、4−10nmがさらに好ましい。100nm以下であると、長期間の分散安定性が向上する。形状としては、特に制限はなく、真球状、板状、針状、紡錘状、等が上げられる。
磁性ナノダイヤモンドは、生体で使用する場合、特別な保護膜は必要としないが、生体への親和性の付与と水への分散性の向上のために、さらには、抗体や色素などの生体マーカー分子および、細胞膜透過ペプチドや生体分子認識部位との結合のために、ナノダイヤモンド表面に官能基を導入する。その官能基(a)は、アセチル基、ヒドロシル基、アミノ基、スルホン酸基、カルボキシル基、水酸基、シアノ基、シアノメチル基等が好ましい。
磁性ナノダイヤモンドの表面化学修飾の後、限外ろ過や遠心分離などの公知の手段を用いて、未反応の化学物質を分離し、ナノダイヤモンドの粒子径を均一にする。この磁性ナノダイヤモンドの体積平均粒子径は好ましくは、3−110nmであり、より好ましくは、4−30nmである。
磁性ナノダイヤモンドは、固体状態のときには静電的に凝集するなどしてナノ状態を保ちにくい。その結果、後述する水性溶剤に分散させてMR造影剤を作る際に、非常に取り扱いにくいものとなる。こういった現象を防止し、固体状態での分散を維持してその後の取り扱い等を容易化するため、静電反発の大きい官能基(b)を表面に持つことが望ましい。具体的には、官能基(b)はアルキルアンモニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアルキルアンモニウム塩、テトラアルキルアンモニウム塩、ピリジニウム基等を例示することができる。
アルキル基Rは炭素1−4のアルキル基として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
このようにして形成した本実施形態の磁性ナノダイヤモンドは、MR造影剤として、必要に応じて、常法により医薬品として許容される任意の添加剤と混合し、任意の形態の造影剤とすることができるが、好ましくは生理学的に許容される水性溶剤溶解・分散させ、溶液形態の造影剤とする。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、もちろん本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(磁性ナノダイヤモンドの作製)
ナノダイヤモンドにマンガンのイオン注入を行った。ここでは、平均径4nmのナノダイヤモンドに、イオン注入装置を用いてエネルギ100keVのMnイオンを1.0x10^17/cmの量、注入した。
ここでは、特に図1、図2に示すような、ナノ粉体イオン注入用治具1を用いることとした。このナノ粉体イオン注入用治具1は、ナノダイヤモンドNDを収容するための凹部2を有したグラファイト製のケーシング3と、前記凹部2の開口を覆うカーボン製のメッシュ4とを備えている。
前記凹部2は、イオン導入口である開口径が、イオンビームIBのサイズ程度の大きさを有し、奥に行くほど径が徐々に小さくなるコーン状のものである。かかる凹部2にナノダイヤモンドNDを入れることにより、微量であってもイオンを効率よく注入することができる。
また、単純にナノダイヤモンドにイオンを注入すると、そのイオンによって電荷が堆積し(チャージアップ現象)静電的な斥力のためにナノダイヤモンドが飛散してしまうという不具合がある。しかしながら、この治具1では電荷を緩和するためのカーボン製のメッシュ4を前記凹部2の上にかぶせ、当該メッシュ4を通してイオン注入をおこなうようにしているため、イオンビームIBの一部がメッシュ4に当たって、その際発生する二次電子によりナノダイヤモンドNDに蓄積される正の電荷が打ち消され、チャージアップという不具合を簡単な機構で解決できる。
このときにメッシュ4より少量の炭素の原子がスパッタリングされるが、ナノダイヤモンドNDにとっては同種元素であり、汚染とはならない。凹部2の壁面にビームが当たった場合もスパッタされて炭素原子が出るが、同様に汚染とはならない。
なお、この治具1は、ナノダイヤモンドに限られず、他の元素で構成されたナノ粉体にイオンを注入するときに用いることもできる。その場合、ナノ粉体の構成元素と同じ元素でケーシング及びメッシュが構成されていることが望ましい。
(磁性ナノダイヤモンドのアニーリング)
磁性ナノダイヤモンドを窒素雰囲気下、約800℃で所定時間加熱し、アニーリングを行った。
(磁性ナノダイヤモンドの体積平均粒子径の測定法)
磁性ナノダイヤモンドの測定は、動的光散乱粒径測定装置(堀場製作所製LB550)を用いて、各実施例の磁性ナノダイヤモンドを測定用セルに封入し、測定を行った。
(磁性ナノダイヤモンドの表面化学修飾)
磁性ナノダイヤモンドの生体への適合性を得る目的で、水媒質への親和性高める官能基(a)であるアミノ基を表面に導入した。
(磁性ナノダイヤモンドの表面化学修飾)
磁性ナノダイヤモンドの固体での分散性も担保する目的で、官能基(b)であるメチルアンモニウム塩を表面に導入した。
そして、アニーリングとアミノ化による表面修飾で磁性ナノダイヤモンドを得た。
この磁性ナノダイヤモンドを沈殿防止のための寒天培地に分散させ、7テスラMRI装置で、T−強調画像,T−強調画像を計測し、MR画像における造影効果を評価した。
図3にその結果を示す。Mnイオンをドープした粒子径4nmのナノダイヤモンド(Mn-ND4)によるMR画像を、イオン注入前のナノダイヤモンド(ND4)と共通の培地であるアガロース(1% agarose)とともに示した。Mnイオンを注入したナノダイヤモンドは、T-強調画像(左側)では培地のみ、及び、未注入のナノダイヤモンドに比べ、高信号(白色)を示し、T-強調画像(右側)では低信号(黒色)を示した。これは常磁性の造影剤による典型的なMR画像の造影効果であり、ナノダイヤモンドがイオン注入によりMR造影剤として機能することを明示している。
なお、このときの詳細な実験条件は以下の通りである。
サンプル調整: 1%アガロース2mlにND4を10mgを分散させた。
使用機種: Varian社製 INOVA 300 (7テスラ)
T1-強調画像撮像: 繰返時間:300ms; エコー時間:30ms;
積算回数:4回; データサイズ: 512x256
T2-強調画像撮像: 繰返時間:3000ms; エコー時間:100ms;
積算回数:4回; データサイズ: 512x256
一方、Mnイオン注入の効果は、ナノダイヤモンドのESR信号(図4)の広幅化や信号強度の低下にも現れる。ナノダイヤモンドの内部にMnイオンが注入され、元来存在する炭素ラジカルとの電子スピンによる磁気的相互作用が働くことを表している。
このときの詳細な実験条件は以下の通りである。
サンプル調整: ND4を10mgを粉体のまま試料管に挿入
使用機種: JEOL社製 JES-TE300 (X-band)
中心磁場: 336.5mT; マイクロ波出力: 4.0mW;
磁場掃引幅: 7.5mT; 磁場掃時間: 2 min;
変調幅: 0.02mT; 測定ゲイン: 4
最後に、かかるMR造影剤(Mn-ND4)をラットに対して投与して得られた安全性に関する実験結果を表1に示す。この実験結果からは、少なくとも生体に対して毒性はみられないようである。
本発明にかかる磁性ナノダイヤモンドは、MR画像法の標識剤として用いられ、生体内において化学的に安定で、生体への親和性も併せ持ち、長期間にわたって、体内で機能し、MRによる分子イメージングの細胞識別や遺伝子発現の検出能を向上させるとともに、再生医療やがん治療の効果を判定するための、低毒性のMR磁性標識剤として有用である。
本発明の一実施例におけるイオン注入用治具の縦断面図。 本発明の一実施例におけるイオン注入用治具の分解斜視図。 1%アガロースに包埋したMn2+イオンを注入したND4(10mg)とND4(10 mg)および1%アガロースのT1強調画像(左)とT2強調画像(右)。 ESR信号曲線(左図)、ピーク信号間の差(ΔH)とT2値の関係(右図) Mn-ND4-1; 2.5E16/cm2Mn-ND4-2;1E17/cm2。

Claims (15)

  1. ナノダイヤモンドに所定の磁性元素をイオン注入してなる磁性ナノダイヤモンドを有効成分として含んだMR造影剤。
  2. 磁性ナノダイヤモンドの体積平均粒子径が、2nmから100nmの範囲にある請求項1乃至3いずれか記載のMR造影剤。
  3. 前記磁性元素が、マンガン族、鉄族、コバルト族、ニッケル族、銅族、希土類元素のいずれかである請求項1又は2記載のMR造影剤。
  4. 前記磁性ナノダイヤモンドが、プロトンをさらにイオン注入してなるものである請求項1乃至3いずれかに記載のMR造影剤。
  5. 前記磁性ナノダイヤモンドが、蛍光物質をさらに結合させてなるものである請求項1乃至3いずれかに記載のMR造影剤。
  6. 前記磁性元素が、所定の電磁波に対する蛍光性を具備したものである請求項1乃至3いずれかに記載のMR造影剤。
  7. 前記磁性ナノダイヤモンドが、その表面に官能基を化学修飾してなるものである請求項1乃至6いずれかに記載のMR造影剤。
  8. ナノダイヤモンドに所定の磁性元素をイオン注入する磁性付加ステップを少なくとも有する、MR造影剤として用いる磁性ナノダイヤモンドの製造方法。
  9. 前記磁性付加ステップでイオン注入されたナノダイヤモンドをアニールするアニールステップをさらに有する、請求項8記載のMR造影剤として用いる磁性ナノダイヤモンドの製造方法。
  10. 前記アニールステップの後に、アニールされたナノダイヤモンドに官能基を化学修飾する表面修飾ステップをさらに有する、請求項9記載のMR造影剤として用いる磁性ナノダイヤモンドの製造方法。
  11. 前記アニールステップの前に、プロトン又は蛍光物質をイオン注入する蛍光性付加ステップをさらに有する、請求項9又は10記載のMR造影剤として用いる磁性ナノダイヤモンドの製造方法。
  12. ナノ粒子を収容する凹部を有したケーシングと、前記凹部の開口を覆うメッシュとを備え、当該凹部に収容したナノ粒子に前記開口を通じてイオンビームを照射するように構成しているナノ粉体イオン注入用治具。
  13. 前記ケーシングの少なくとも凹部を形成している部位と前記メッシュとが、ナノ粒子を構成している元素と同一の元素で構成されている請求項12記載のナノ粉体イオン注入用治具。
  14. 前記ナノ粒子がダイヤモンドであり、前記ケーシングがグラファイト製のものであり、前記メッシュがカーボン製のものである請求項12又は13記載のナノ粉体イオン注入用治具。
  15. 前記凹部が、奥に行くほど径が徐々に小さくなるコーン状のものであり、そのイオンビーム導入口である開口径が、イオンビームの径とほぼ同サイズに設定されている請求項12、13又は14記載のナノ粉体イオン注入用治具。
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