JP6392109B2 - 蛍光ダイヤモンド及びその製造方法 - Google Patents

蛍光ダイヤモンド及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6392109B2
JP6392109B2 JP2014259175A JP2014259175A JP6392109B2 JP 6392109 B2 JP6392109 B2 JP 6392109B2 JP 2014259175 A JP2014259175 A JP 2014259175A JP 2014259175 A JP2014259175 A JP 2014259175A JP 6392109 B2 JP6392109 B2 JP 6392109B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
diamond
fluorescent
sample
fluorescence
germanium
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014259175A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016117852A (ja
Inventor
信治 長町
信治 長町
俊郎 犬伏
俊郎 犬伏
波多野 睦子
睦子 波多野
孝之 岩崎
孝之 岩崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shiga University of Medical Science NUC
Tokyo Institute of Technology NUC
Original Assignee
Shiga University of Medical Science NUC
Tokyo Institute of Technology NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shiga University of Medical Science NUC, Tokyo Institute of Technology NUC filed Critical Shiga University of Medical Science NUC
Priority to JP2014259175A priority Critical patent/JP6392109B2/ja
Publication of JP2016117852A publication Critical patent/JP2016117852A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6392109B2 publication Critical patent/JP6392109B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Luminescent Compositions (AREA)

Description

本発明は、Ge発光センターを含有する蛍光ダイヤモンド、及びその製造方法に関する。
これまでに、ダイヤモンド内に発光センターを形成させる試みが各種行われている。例えば、従来から、ダイヤモンドの真空熱処理により、不純物として含まれる窒素原子と、炭素原子が欠落した空孔とを適切な位置関係で結合させることによって、発光センター(NVセンター)を形成できることが知られている(特許文献1)。 これらの蛍光ダイヤモンドは、退色や明滅がなく、比較的長波長であること等から、生体イメージング用の蛍光分子プローブとして用いることが提案されている(特許文献1〜2)。特に、NVセンターについては、磁気共鳴によって蛍光発光量が変化することが知られており、これを利用して、光検出磁気共鳴法(ODMR法)用の蛍光分子プローブとして用いることが提案されている(特許文献1、3)。さらに、NVセンターに光を照射すると返ってくる波長の異なる光の強度からスピンの状態を読み出せることが知られており、これを利用して、量子コンピュータのプロセッサの一部となる量子レジスタとして用いることが提案されている。
国際公開第2014/058012号 特開2012−082103号公報 特開2011−180570号公報
J. P. Goss, P. R. Briddon, M. J. Rayson, S. J. Sque, and R. Jones: Phys. Rev. B 72 (2005) 035214.
これまで、各種蛍光ダイヤモンドが報告されているものの、その蛍光波長の範囲は比較的広かった。例えば、NVセンターは発光強度はそこそこ強いものが得られているが蛍光の波長分布はZPL(Zero Phonon Line:励起された準位から電子が低エネルギーの準位に遷移するときにそのエネルギーがすべて蛍光に与えられる)ピークよりも複数のサブサンド(一部のエネルギーがフォノンに与えられた長波長側のブロードな分布のピーク)の強度のほうが大きく、幅の広い波長帯を占めてしまう。このため、多波長(複数の発光センター)の利用には不利なものであった。例えば異なる蛍光波長ピークを有する蛍光ダイヤモンドを併用して、複数の生体内分子の蛍光イメージングを行おうとしても、ピーク以外の蛍光波長の範囲が重複してしまうので、生体内分子の区別が困難であることが想定されていた。理想的には狭い波長分布で強い発光が得られれば容易に多波長の利用ができるために、通信に利用するのであろうが生体からの蛍光発光を計測するのであろうが有利である。
そこで、本発明は、蛍光波長範囲がより狭い蛍光ダイヤモンドを提供することを課題とする。更には、蛍光強度がより強い蛍光ダイヤモンドを提供することを課題とする。
本発明者等は、鋭意研究を進めた結果、Geイオンを注入して得られる、Ge発光センターを含有する蛍光ダイヤモンドが、従来の蛍光ダイヤモンドよりも、蛍光波長範囲がより狭く、且つ蛍光強度がより高いことを見出した。この知見に基づいてさらに研究を進めた結果、本発明が完成した。
即ち、本発明は、下記の態様を包含する。
項1. Ge発光センターを含有する蛍光ダイヤモンド。
項2. Geのダイヤモンド中の濃度が1×1013/cm〜1×1022/cmである、項1に記載の蛍光ダイヤモンド。
項3. 薄膜状又はシート状である、項1又は2に記載の蛍光ダイヤモンド。
項4. 厚さが0.01mm以上である、項1〜3のいずれか一項に記載の蛍光ダイヤモンド。
項5. ダイヤモンド表面から5nmから500nmにGeの濃度がピークを持つ、項1〜4のいずれかに記載の蛍光ダイヤモンド。
項6. ゲルマニウムが格子間位置に存在し、その両隣の格子位置に2つの空孔が配置されている構造を有する、項1〜5のいずれかに記載の蛍光ダイヤモンド。
項7. (a)ダイヤモンドにGeイオンを注入する工程、及び
(b)工程(a)で得られたダイヤモンド、700℃以上で加熱する工程、
を含む、Geイオン発光センターを含有する蛍光ダイヤモンドの製造方法。
項8. 前記工程(a)におけるGeイオンの注入密度が、1×10/cm〜1×1017/cmである、項7に記載の製造方法。
項9. 前記工程(b)における加熱温度が800℃以上である、項7又は8に記載の製造方法。
項10. 前記ダイヤモンドがCVD法で合成されたダイヤモンド、IIa型の天然ダイヤモンド、及びEL規格のダイヤモンドからなる群より選択される少なくとも1種である、項7〜9のいずれか一項に記載の製造方法。
本発明によれば、蛍光波長範囲がより狭く、また蛍光強度がより強い蛍光ダイヤモンドを提供することができる。これにより、異なる蛍光波長ピークを有する蛍光ダイヤモンドを蛍光分子プローブとして用いることにより、複数の生体内分子をより明確に区別することが可能になる。
試験例1で測定された、実施例1の試料ダイヤモンドの発光特性を示す。 試験例1で測定された、実施例2の試料ダイヤモンドの発光特性を示す。 試験例1で測定された、実施例3の試料ダイヤモンドの発光特性を示す。 試験例1で測定された、実施例4の試料ダイヤモンドの発光特性を示す。 試験例1で測定された、比較例1の試料ダイヤモンドの発光特性を示す。 試験例1で測定された、比較例2の試料ダイヤモンドの発光特性を示す。 試験例1で測定された、比較例3の試料ダイヤモンドの発光特性を示す。 試験例1で測定された、実施例7の試料ダイヤモンドの発光特性を示す。 試験例2で測定された、実施例5及び6の試料ダイヤモンドの発光特性を示す。 第一原理計算によるダイヤモンド中のゲルマニウム発光センターの安定構造図。白丸が炭素原子、黒丸がゲルマニウム原子を示している。 ダイオード構造による発光デバイスの回路図を示す。
1.蛍光ダイヤモンド
本発明は、Ge発光センターを含有する蛍光ダイヤモンド(以下、「本発明の蛍光ダイヤモンド」と示す場合もある)に関する。
Ge発光センターは、Ge原子(又はイオン)を含む、ダイヤモンド格子構造中の格子欠陥であって、励起光に対して蛍光を発する。このため、本発明の蛍光ダイヤモンドは、Ge発光センターを含有するが故に、励起光に対して蛍光を発することができる。
励起光の波長範囲は、より確実に蛍光を生じさせることができるという観点から、例えば300〜600nm、好ましくは350〜600nm、より好ましくは400〜600nm、よりさらに好ましくは450〜600nm、よりさらに好ましくは450nm〜550nmであることができる。
上記励起光により、本発明のGe発光センターから生じる蛍光波長のピークは、約602nmである。
上記励起光により生じる蛍光の波長範囲は、例えば1〜100nm、好ましくは1〜50nm、より好ましくは2〜20nm、よりさらに好ましくは3〜10nmであることができる。なお、「励起光により生じる蛍光の波長範囲」とは、蛍光強度が、蛍光波長のピークの蛍光強度に対して1/2である蛍光の、波長範囲を意味する。
本発明の蛍光ダイヤモンドの形状は、特に限定されない。形状としては、例えば、薄膜、シート、粒子等が挙げられる。サイズは、形状に応じて異なるが、例えば薄膜又はシートである場合は、厚さ100nm〜10mm、幅1μm〜102mm、長さ1μm〜102mm程度であることができ、例えば粒子である場合は、平均粒子径が1nm〜10mmであることができる。生体に導入する蛍光分子プローブとして用いる場合は、より小さいサイズの粒子、例えば平均粒子径が1〜100nm程度の粒子であることが好ましい。
本発明の蛍光ダイヤモンド中のGeの濃度は、例えば1×1012/cm〜1×1022/cmであることができる。
限定的な解釈を望むものではないが、ダイヤモンド中に導入されたゲルマニウムは空孔と複合構造を形成することにより発光すると考えられる。図10は、ダイヤモンドを構成する炭素原子214個とゲルマニウム原子1個を使用した第一原理計算によって得られたゲルマニウム‐空孔の安定構造である。ゲルマニウムが格子間位置に存在し、その両隣の格子位置に2つの空孔が配置されている構造である。非特許文献1においても同様の構造を取ることが計算により示されており、本発明のように発光を示すことが予見されている。
2.蛍光ダイヤモンドの製造方法
2−1.イオン注入法
本発明の蛍光ダイヤモンドは、(a)ダイヤモンドにGeイオンを注入する工程、及び(b)工程(a)で得られたダイヤモンドを、700℃以上で加熱する工程、を含む製造方法(以下、「本発明の製造方法」と示す場合もある)によって製造することができる。
原料であるダイヤモンドは、天然又は合成のいずれでもよいが、Geイオン注入でより効率的に発光センターを生成させるには、不純物がより少なく、結晶性のより良いダイヤモンドであることが望ましい。合成ダイヤモンドとしては、CVD法、高温高圧法、爆発法等で合成されたダイヤモンドが知られているが、より確実に本発明の蛍光ダイヤモンドを製造できるという観点からは、CVD法(特にプラズマCVD法)で合成されたダイヤモンドが好ましい。また、天然ダイヤモンドとしては、IIa型のダイヤモンドが好ましい。ダイヤモンドの規格としては、EL規格であることが好ましい。
原料であるダイヤモンドの形状、サイズは、得ようとする蛍光ダイヤモンドの所望の形状及びサイズ(上記「1.蛍光ダイヤモンド」)に応じて、適宜選択すればよい。例えば、薄膜又はシート状の蛍光ダイヤモンドを得たい場合は、原料として薄膜又はシート状のダイヤモンドを用いればよい。また、粒子状のダイヤモンドを得たい場合は、原料として粒子状のダイヤモンドを用いて粒子状のダイヤモンドを得ることもできるし、原料として薄膜又はシート状のダイヤモンドを用いてイオン注入を行い、その後破砕することにより粒子状のダイヤモンドを得ることもできる。後者の場合、より粒子径の小さいダイヤモンドを得ようとする場合は、原料ダイヤモンドとしてより薄いものを用いることが望ましい。
Geイオンは、特に限定されず、Ge及びGe2+のいずれでもよい。
本発明の製造方法において、より確実に本発明の蛍光ダイヤモンドを製造できるという観点からは、注入するイオンはGeイオンのみであることが好ましい。その他のイオンが注入されることにより、Ge発光センターの形成が阻害されることが考えられるからである。
Geイオンの注入は、原料ダイヤモンドをイオン注入装置の試料台(例えばシリコン基板)上にセットし、後述する所定の条件下で行うことができる。イオン注入装置は、試料台上の対象物にイオンビームを走査させながら照射することにより対象物にイオンを注入するものであり、バッチ式又は枚葉式のいずれであってもよい。原料ダイヤモンドを試料台へセットする方法は、特に限定されないが、例えば、試料台上にCVD法などで薄膜状のダイヤモンドを形成する方法、薄膜状のダイヤモンドを試料台上に機械的に固定する方法、粒子状ダイヤモンドを試料台上に塗布する方法等が挙げられる。
Geイオンの注入密度は、蛍光波長範囲がより狭く、また蛍光強度がより強い蛍光ダイヤモンドを製造できるという観点から、例えば1×10/cm〜1×1017/cm、好ましくは1×1012/cm〜1×1017/cm、より好ましくは1×1013/cm〜1×1017/cmであることができる。
Geイオンの加速エネルギーは、特に限定されない。加速エネルギーは、例えば5〜1000kev程度であることができる。
また、深さ方向に一定の濃度分布を実現するという観点から、加速エネルギーと注入密度を変えて、複数回、注入操作を行うことが望ましい。
工程(a)を経て得られたダイヤモンドは、700℃以上で加熱される(アニールステップ(工程b))。
加熱は、通常、真空中で行われるが、酸素分圧が十分に低ければ、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うことも可能である。真空とは、大気圧未満であれば特に限定されず、例えば10Pa未満、より好ましくは10−2Pa未満、よりさらに好ましくは10−5Pa未満であることができる。
アニールステップの加熱温度は、蛍光波長範囲がより狭く、また蛍光強度がより強い蛍光ダイヤモンドを製造できるという観点から、例えば700〜1400℃、好ましくは750〜1400℃、より好ましくは800〜1400℃であることができる。このアニールステップが無いと、蛍光を発しない或いは極めて弱い蛍光を発するダイヤモンドしか得られない。このことから、このアニールステップにより、イオン注入されたGeが発光センターを形成することが示唆される。限定的な解釈を望むものではないが、このアニールステップにより、ダイヤモンド中の空孔(ベイカンシー)と注入されたGeとが適切な位置関係で結合し、Ge発光センターを形成すると考えられる。
アニールステップの後は、空気酸化処理を行うことが望ましい。空気酸化処理は、アニールステップを経たダイヤモンドを大気中で300〜500℃に加熱して空気酸化する工程である。具体的には、例えばアニールステップ終了後、一旦、電気炉の温度を室温に戻した後に真空を解除して、ポンプで空気を供給しながら、温度を300〜500℃に上げることにより行うことができる。空気酸化処理には、アニールステップにより損傷を受けてグラファイト化及び/又は無定形炭素化した部分を酸化させて、COとして取り除く作用がある。この空気酸化処理によって、蛍光ダイヤモンドの蛍光強度をより高めることができる。
2−2.CVD合成法
本発明の蛍光ダイヤモンドは、ダイヤモンドの化学気相合成(CVD)時にゲルマニウム源を導入することによっても製造することができる。真空チャンバー中に導入されたゲルマニウムをダイヤモンド合成のためのプラズマにより分解することにより、ダイヤモンド薄膜中にゲルマニウム発光センターを形成させることができる。ゲルマニウムはバルク固体、微粒子、ガスにより供給することができる。
3.蛍光ダイヤモンドの用途
本発明の蛍光ダイヤモンドは、ナノ粒子化することにより、ポリグリセリン等により表面修飾して、蛍光分子プローブ、造影剤等に利用することができる。これらは、非経口投与及び経口投与のいずれにも適用できる。
非経口投与する場合、造影剤は、注射剤等の製造に用いられる溶剤、懸濁化剤等の公知の添加剤をさらに含有していてもよい。添加剤としては、例えば、水、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ベンジルアルコール、オレイン酸エチル、レシチン等が挙げられる。これら添加剤は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて使用できる。
経口投与する場合、単独で又は薬学的に許容される担体と複合して投与する。具体的に、造影剤を、例えば顆粒剤、細粒剤、散剤、錠剤、硬シロップ剤、軟カプセル剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤、リポソーム、液剤等の剤形にして経口投与する。顆粒剤、細粒剤、散剤及び錠剤の剤形にする際、賦形剤を用いてもよい。賦形剤としては、例えば乳糖、ショ糖、デンプン、タルク、セルロース、デキストリン、カオリン、炭酸カルシウム等が挙げられる。これら賦形剤は一種単独で又は二種以上を組み合わせて使用できる。乳剤、シロップ剤、懸濁剤及び液剤の剤形にする際、一般的に用いられる不活性な希釈剤を用いてもよい。希釈剤としては、例えば植物油等が挙げられる。造影剤は、さらに公知の添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、例えば湿潤剤、懸濁補助剤、甘味剤、芳香剤、着色剤、保存剤等が挙げられる。これら添加剤は一種単独で又は二種以上を組み合わせて使用できる。また、乳剤等の剤形にしたものをゼラチンのような吸収されうる物質のカプセル中に含ませてもよい。
蛍光分子プローブ又は造影剤を投与する際の投与量は、特に限定されないが、一回の診断につき成人当たり0.1mg〜10g程度であることができる。
さらに、本発明の蛍光ダイヤモンドは、量子コンピュータのプロセッサの一部となる量子レジスタや、ダイヤモンドデバイスとして用いることができる可能性もある。
本発明の蛍光ダイヤモンドは、量子通信の発光源や各種センサとして用いることができる可能性を有している。本発明の蛍光ダイヤモンドは、NVセンターに比べ、サイドバンドよりもZPLが強く光り、さらにスペクトル半値幅も小さいという特長を有している。このため、安定した発光源として期待できる。発光デバイスとして、光励起に加え、図11のようなダイオード構造による発光も可能であると考えられる。Ge発光センターを含む中間層に注入されたキャリアがGeVの準位で再結合することにより本発明の発光を示す。
また、蛍光ダイヤモンドからの発光強度は、Ge発光センターが置かれている環境によって変化することが考えられ、圧力センサ、温度センサ、磁気センサ、歪みセンサ、電界センサなど様々なセンサへの応用が期待できる。NVセンターのような電荷不安定性がない場合、安定に動作する高感度センサとして用いられる可能性がある。
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1
多結晶CVD合成ダイヤモンド(エレメントシックス社製、両面研磨、EL規格)(長さ:5mm、幅:5mm、厚さ:0.3mm)に対して、低エネルギー集束イオンビーム装置(株式会社島津製作所製)を用いて、Ge2+を、室温下、40kevの加速エネルギーで、1×1014/cmの注入密度になるように注入した。Ge2+注入後、真空中、800℃で30分間、加熱処理(アニール処理)して、試料ダイヤモンドを得た。
実施例2
注入密度が1×1013/cmである以外は、実施例1と同様に試料ダイヤモンドを得た。
実施例3
アニール処理の温度が700℃である以外は、実施例1と同様に試料ダイヤモンドを得た。
実施例4
注入密度が1×1013/cmであり、且つアニール温度が700℃である以外は、実施例1と同様に試料ダイヤモンドを得た。
実施例5
単結晶CVD合成ダイヤモンド(エレメントシックス社製、Electronic Grade, EL SC Plate)(長さ:2mm、幅:2mm、厚さ:0.5mm)に対して、イオン注入装置(株式会社日新イオン機器製、NI-20)を用いて、74Ge2+を、室温下、260kevの加速エネルギーで、5.9×1013/cmの注入密度になるように注入した。74Ge2+注入後、真空中、800℃で30分間、加熱処理(アニール処理)して、試料ダイヤモンドを得た。
実施例6
注入イオンが70Ge2+である以外は、実施例5と同様に資料ダイヤモンドを得た。
実施例7
単結晶高温高圧合成ダイヤモンド(住友電工社製、Ib基板、長さ:2mm、幅:2mm、厚さ:0.5mm)および固体ゲルマニウムを、プラズマCVD装置(アリオス社製)を用いて、水素・メタンガスプラズマに曝すことにより、ダイヤモンド中にゲルマニウム発光センターを形成した。
比較例1
アニール処理及び空気酸化処理を行わない以外は、実施例1と同様に試料ダイヤモンドを得た。
比較例2
アニール処理及び空気酸化処理を行わず、且つ注入密度が1×1013/cmである以外は、実施例1と同様に試料ダイヤモンドを得た。
比較例3
単結晶合成ダイヤモンド(マイクロダイヤモント社製、MSYミクロンダイヤモンドパウダー(MSY0-0.05))(粒径範囲:0〜0.05μm)を試料台に塗布し、低エネルギー集束イオンビーム装置(株式会社島津製作所製)を用いて、Si2+を、室温下、40kevの加速エネルギーで、1×1012/cmの注入密度になるように注入した。Si2+注入後、真空中、800℃で30分間、加熱処理(アニール処理)した。その後、470℃で2時間、空気酸化処理を行って、試料ダイヤモンドを得た。
試験例1:試料ダイヤモンドの発光特性の評価
顕微ラマン分光測定装置(堀場製作所製)を用いて、試料ダイヤモンド(実施例1〜4及び7並びに比較例1〜3)に対して励起光(実施例1〜4及び7並びに比較例1〜2は波長488nm、比較例3は波長633nm)を照射し、その発光特性を測定した。測定結果を図1〜8に示す。
図1〜4及び8より明らかなように、実施例1〜4及び7の試料ダイヤモンドは、励起光に対して、極狭い波長範囲の光を発した。特に実施例1〜2の試料ダイヤモンドは、極めて強い光を発した。具体的には、例えば実施例1の試料ダイヤモンドは、蛍光波長のピークは602nmであり、602nmの蛍光強度に対して1/2の蛍光強度である蛍光の波長範囲は約4〜7nmであった。これらのことから、実施例1〜4の試料ダイヤモンドには、発光センターが含まれていることが示唆された。一方、図5〜7に示されるように、比較例1〜3の試料ダイヤモンドは、励起光に対して、ほとんど光を発しなかった。
試験例2:Geの同位体効果の評価
顕微フォトルミネッセンス装置(HORIBA JOBIN YVON社製)を用いて、低温環境(10K)において、試料ダイヤモンド(実施例5及び6)に対して励起光(532nm)を照射し、その発光特性を測定した。測定結果を図9に示す。 図9より明らかなように、異なるゲルマニウム同位体をイオン注入した試料(実施例5及び6)において、ピークシフトが観察された。このことから、蛍光ダイヤモンドはゲルマニウム起因の構造により形成されていることが分かった。

Claims (10)

  1. Ge発光センターを含有する蛍光ダイヤモンド。
  2. Geのダイヤモンド中の濃度が1×1013/cm〜1×1022/cmである、請求項1に記載の蛍光ダイヤモンド。
  3. 薄膜状又はシート状である、請求項1又は2に記載の蛍光ダイヤモンド。
  4. 厚さが0.01mm以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の蛍光ダイヤモンド。
  5. ダイヤモンド表面から5nmから500nmにGeの濃度がピークを持つ、請求項1〜4のいずれかに記載の蛍光ダイヤモンド。
  6. ゲルマニウムが格子間位置に存在し、その両隣の格子位置に2つの空孔が配置されている構造を有する、請求項1〜5のいずれかに記載の蛍光ダイヤモンド。
  7. (a)ダイヤモンドにGeイオンを注入する工程、及び
    (b)工程(a)で得られたダイヤモンド、700℃以上で加熱する工程、
    を含む、Geイオン発光センターを含有する蛍光ダイヤモンドの製造方法。
  8. 前記工程(a)におけるGeイオンの注入密度が、1×10/cm〜1×1017/cmである、請求項7に記載の製造方法。
  9. 前記工程(b)における加熱温度が800℃以上である、請求項7又は8に記載の製造方法。
  10. 前記ダイヤモンドがCVD法で合成されたダイヤモンド、IIa型の天然ダイヤモンド、及びEL規格のダイヤモンドからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項7〜9のいずれか一項に記載の製造方法。
JP2014259175A 2014-12-22 2014-12-22 蛍光ダイヤモンド及びその製造方法 Active JP6392109B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014259175A JP6392109B2 (ja) 2014-12-22 2014-12-22 蛍光ダイヤモンド及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014259175A JP6392109B2 (ja) 2014-12-22 2014-12-22 蛍光ダイヤモンド及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016117852A JP2016117852A (ja) 2016-06-30
JP6392109B2 true JP6392109B2 (ja) 2018-09-19

Family

ID=56243834

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014259175A Active JP6392109B2 (ja) 2014-12-22 2014-12-22 蛍光ダイヤモンド及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6392109B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20210395607A1 (en) 2018-10-31 2021-12-23 Daicel Corporation Fluorescent diamond and method for producing same
SG11202108007RA (en) * 2019-03-26 2021-08-30 Daicel Corp Heteroatom-doped nanodiamond
WO2023013659A1 (ja) * 2021-08-04 2023-02-09 株式会社ダイセル 異原子ドープナノダイヤモンド粒子及び異原子ドープナノダイヤモンド粒子の製造方法

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2614096B2 (ja) * 1988-12-27 1997-05-28 キヤノン株式会社 電界発光素子
JP4340881B2 (ja) * 2004-03-24 2009-10-07 住友電気工業株式会社 ダイヤモンドの製造方法
JP4874751B2 (ja) * 2006-09-27 2012-02-15 株式会社イオンテクノセンター Mr画像法に利用する生体標識用ナノダイヤモンド
JP2010013718A (ja) * 2008-07-07 2010-01-21 Shiga Univ Of Medical Science 微細粉末へのイオン注入方法
JP2012206863A (ja) * 2011-03-29 2012-10-25 Shiga Univ Of Medical Science 蛍光ナノダイヤモンド
JP2014095025A (ja) * 2012-11-08 2014-05-22 Osaka Univ ダイヤモンド複合粒子

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016117852A (ja) 2016-06-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8932554B2 (en) Method to produce light-emitting nano-particles of diamond
Cooper et al. Tunable photoluminescent core/shell Cu+-doped ZnSe/ZnS quantum dots codoped with Al3+, Ga3+, or In3+
JP2018115111A (ja) 量子撮像、感知、および情報処理デバイス用のダイヤモンド構成要素
JP6392109B2 (ja) 蛍光ダイヤモンド及びその製造方法
KR20110046390A (ko) 고체 상태 재료
Somogyi et al. Near-infrared luminescent cubic silicon carbide nanocrystals for in vivo biomarker applications: an ab initio study
JP4859173B2 (ja) 遠紫外高輝度発光する高純度六方晶窒化ホウ素単結晶粉末とその製造方法
Wang et al. Laser writing of color centers
Bogdanov et al. Highly intensive emission of the NV− centers in synthetic HPHT microdiamonds at low nitrogen doping
Lesik et al. Production of bulk NV centre arrays by shallow implantation and diamond CVD overgrowth
Boruah et al. Synthesis, characterization, properties, and novel applications of fluorescent nanodiamonds
Tallaire et al. Highly photostable NV centre ensembles in CVD diamond produced by using N2O as the doping gas
Hubáček et al. Advancement toward ultra-thick and bright InGaN/GaN structures with a high number of QWs
Schuller et al. Optical and structural properties of β-FeSi2 precipitate layers in silicon
Kim et al. Fabrication of silicon-vacancy color centers in nanodiamonds by using Si-ion implantation
CN113272404B (zh) 荧光金刚石及其制造方法
Song et al. Plasmon-enhanced photoluminescence of Si-V centers in diamond from a nanoassembled metal–diamond hybrid structure
Treussart et al. Photoluminescence of color centers in nanodiamonds
Popovic et al. Continuous wave laser for tailoring the photoluminescence of silicon nanoparticles produced by laser ablation in liquid
RU2448900C2 (ru) Способ получения алмазной структуры с азотно-вакансионными дефектами
Malykhin Formation and properties of luminescent centers in single-crystal diamond needles
Alberi et al. Localization behavior at bound Bi complex states in GaA s 1-x B ix
Lockwood Progress in light emission from silicon and germanium nanostructures
WO2024162167A1 (ja) ダイヤモンド半導体装置
US12012537B2 (en) Method of fluorescent nanodiamonds production

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20171201

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20171201

TRDD Decision of grant or rejection written
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180718

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180724

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180822

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6392109

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250