JP2011178229A - 自動二輪車の後輪 - Google Patents

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Masayuki Tsutsui
正行 筒井
Yasuhiro Azuma
保寛 東
Junji Konaka
淳二 湖中
Masahiro Kaneshige
雅博 金重
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Abstract

【課題】本発明は、部品点数の増加を抑えつつ車輪の振動を緩和することができる自動二輪車の後輪を提供することを課題とする。
【解決手段】自動二輪車の後輪25に、ホイールハブ91に開口する複数のダンパー室108と、ダンパー室108の各々に収納されるダンパーラバー111と、2個のダンパーラバー111の間に挿入される爪131を有しダンパー室108の開口を覆いエンジンに回転駆動されるドリブンフランジ112と、が備えられている。ドリブンフランジ112には、複数の爪131が備えられ、これらの爪131は、各々、放射状に延出されている縦爪部133と、この縦爪部133と交差する方向に延出されている横爪部132とから形成されている。
【選択図】図6

Description

本発明は、自動二輪車の後輪の改良に関する。
自動二輪車では、駆動源であるエンジンの動力が駆動輪である後輪に伝達されるが、加速時や減速時等に、エンジンのトルク変動が後輪に伝達されることがある。このトルク変動を緩和するため、ダンパーが装備されている自動二輪車がある(例えば、特許文献1(図2)参照。)。
特許文献1の図2に示されるように、後輪のホイールハブ(28)(括弧付き数字は、特許文献1記載の符号を示す。以下同じ。)にダンパー室(35)が形成され、このダンパー室(35)にダンパーラバー(36)が配置され、このダンパーラバー(36)に爪(29a)を有するドリブンフランジ(29)が挿入される。このドリブンフランジ(29)は、エンジンで駆動される。
ところで、特許文献1の技術では、ドリブンフランジ(29)の外周に金属リング(40)を介して環状の弾性体(41)が嵌入され、この環状の弾性体(41)の外周面に後輪のホイールハブ(28)の内周面が対向配置されている。ダンパーラバー(36)に加えて、ドリブンフランジ(29)の外周面とホイールハブ(28)の内周面の間に環状の弾性体(41)を介在させたので、後輪に生ずる振動を緩和させることができる。
すなわち、ダンパーラバー(36)及び弾性体(41)により後輪の振動を緩和することで乗り心地の向上を図るというものである。
しかしながら、特許文献1の技術では、ダンパーラバー(36)とは別個に弾性体(41)が必要となり、部品点数が増加するという課題がある。
特許第4042944号公報
本発明は、部品点数の増加を抑えつつ車輪の振動を緩和することができる自動二輪車の後輪を提供することを課題とする。
請求項1に係る発明は、後輪のホイールハブの外側面に開口し、環状に配置されている複数のダンパー室と、これらの複数のダンパー室の各々に収納される複数のダンパーラバーと、複数のダンパーラバーの間に挿入される爪を有しダンパー室の開口を覆いエンジンに接続されてこのエンジンに回転駆動されるドリブンフランジと、が備えられ、ダンパーラバーでドリブンフランジとホイールハブとを弾性的に接続するようにした自動二輪車の後輪において、爪は、車軸を中心として放射状に延出されている縦爪部と、この縦爪部と交差する方向に延出されている横爪部と、とから形成され、爪を挟んで隣り合うダンパーラバーで横爪部を挟むようにしたことを特徴とする。
請求項2に係る発明では、横爪部は、周方向に延出され、縦爪部は、横爪部の一端から径方向外側に延出される第1縦爪部と、横爪部の他端から径方向内側に延出される第2縦爪部と、からなり、車軸方向に見たとき、爪は、クランク形状を呈することを特徴とする。
請求項3に係る発明では、ダンパー室は、ホイールハブに、車軸が貫通する車軸穴を中心に同心円状に形成された内周壁及び外周壁と、放射状に延出され内周壁と外周壁との間をつなぐ隔壁と、により形成され、ダンパーラバーは、車軸方向から見たとき、略L字状を呈し、隔壁を挟んで隣接する2つのダンパーラバーは、連結部を介して一体に連結され、一方のダンパーラバーの一辺が、横爪部に径方向内側から当接することを特徴とする。
請求項4に係る発明では、隔壁を挟んで隣接する1つのダンパーラバーは、互いに異形状であることを特徴とする。
請求項5に係る発明では、ダンパーラバーは、隔壁と当接する側の面と、爪と当接する側の面とに肉抜部を備えていることを特徴とする。
請求項1に係る発明では、ドリブンフランジに備えられホイールハブへ駆動力を伝達する爪は、車軸を中心として放射状に延出されている縦爪部と、この縦爪部と交差する方向に延出されている横爪部と、から構成される。そして、爪を挟んで隣り合うダンパーラバーで横爪部を挟み込んだ。かかる構成によれば、加速時又は減速時において、横爪部とダンパーラバーが摺接することで、後輪の周方向に起こる振動を収束させ易くなる。
このように、後輪の周方向に起こる振動を収束させ易くする部材を別途用いることなく、ダンパーラバーで収束させたので、部品点数の増加を抑えつつ車輪の周方向の振動を緩和することができる。
請求項2に係る発明では、ドリブンフランジの爪に、周方向に延びている横爪部が設けられている。そのため、車輪の周方向に振動が生じたときに、横爪部とダンパーラバーとの摺接方向と、後輪の振動方向は一致するので、後輪の周方向の振動を効果的に減衰させることができる。加えて、横爪部の両端から縦爪部を延出させることで、ダンパーラバーと縦爪部との間の接触面積を増やすことができる。接触面積が増えると、周方向でダンパーラバーに加わる圧力を下げることができる。ダンパーラバーに加わる圧力が下がれば、ダンパーラバーの耐久性を高めることができる。
請求項3に係る発明では、ダンパーラバーは、車軸方向から見たとき、略L字状を呈し、隔壁を挟んで隣接する2つのダンパーラバーは、連結部を介して一体に連結され、一方のダンパーラバーの一辺が、横爪部に径方向内側から当接する。
ダンパーラバーをドリブンフランジの爪に組付け後に運ぶ際に、ダンパーラバーの一辺が横爪部に径方向内側に引っ掛かるので、ドリブンフランジからダンパーラバーが落下し難くなり、持ち運びを容易にすることができる。したがって、ダンパー室の組付けに係る生産性を高めることができる。
請求項4に係る発明では、連結部を介して一体に連結された2つのダンパーラバーは、互いに異形状となっているので、組付けの際に、誤った方向で組付けられることが防止される。
請求項5に係る発明では、ダンパーラバーは、隔壁と当接する側の面と、爪と当接する側の面とに肉抜部を備えているので、隔壁側の面若しくはリブ側の面から力がダンパーラバーに加わったときに、ダンパーラバーは変形し易くなる。ダンパーラバーが変形し易くなれば、加速時や減速時などのトルク変動に対する衝撃吸収作用を向上させることができる。
本発明に係る自動二輪車の左側面図である。 自動二輪車の要部左側面図である。 自動二輪車の後輪の要部断面図である。 ホイールハブにホイールダンパーとドリブンフランジとが組付可能に設けられていることを説明する分解斜視図(ホイールハブを左から見たとき)である。 ホイールハブにホイールダンパーとドリブンフランジとが組付可能に設けられていることを説明する分解斜視図(ホイールハブを右から見たとき)である。 ホイールダンパーの取付構造を説明する断面図である。 図6の作用説明図(エンジンブレーキ状態)である。 図6の作用説明図(加速時又はリヤブレーキ作動時)である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。図中および実施例において、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」は、各々、自動二輪車に乗車する運転者から見た方向を示す。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1に示されているように、自動二輪車10は、車体フレーム11が、ヘッドパイプ12と、このヘッドパイプ12から車両後方へ斜め下方へ延びている1本のメインフレーム13と、このメインフレーム13の後部に下方へ向けて延出固着される左右一対のピボットプレート14と、メインフレーム13の後部でピボットプレート14の固着位置の前方から車両後方へ斜め上向きに延出された後、中間部で略水平に延出され後端部に至る左右一対のシートレール15と、ピボットプレート14とシートレール15の間に渡される左右一対の補強フレーム16と、から構成されている鞍乗り型車両である。
車体前部には、ヘッドパイプ12に回動自在に支持される操向ハンドル18が設けられ、この操向ハンドル18から下方へフロントフォーク21が延設され、このフロントフォーク21の下端部に前輪22が支持されている。
車体中央部に配置されているピボットプレート14には、ピボット軸23が設けられ、このピボット軸23からスイングアーム24が車両後方へ延出され、スイングアーム24の後端部に後輪25が支持されている。スイングアーム24の後部とシートレール15の間には左右一対のリヤクッションユニット26が介在されている。
左右一対のシートレール15の間に収納部28が配置され、この収納部28の上方に、乗員が着座する乗員シート31が配置されている。
図2に示されているように、メインフレーム13は、下方に凸状に曲げられる屈曲部33と、この屈曲部33より前側を構成する前フレーム部34と、屈曲部33よりも後側を構成する後フレーム部35とが一体に形成されている部材である。
屈曲部33及び後フレーム部35の下部には、左右一対のエンジンハンガ37が取付けられ、これらのエンジンハンガ37に締結部材38を介してエンジン41の上部が取付けられると共に、ピボットプレート14にエンジン41の後部が取付けられている。
以下、駆動源としてのエンジン41を含むパワーユニット42の構造等について説明する。
エンジン41は、クランクケース44と、このクランクケース44の前端部に水平に近い状態まで前傾させて取付けたシリンダ部45と、を備え、クランクケース44の右側部にベルト式無段変速機46が付設されている。
シリンダ部45は、クランクケース44の前端部に取付けられたシリンダブロック48と、このシリンダブロック48の前端部に取付けられたシリンダヘッド49と、このシリンダヘッド49の前端部を塞ぐヘッドカバー51と、からなる。図中、52はシリンダ部に設けられているシリンダ軸線、59はACGカバー、60はドライブスプロケット77を覆うスプロケットカバーである。
クランクケース44は、その内部に配置されたクランクシャフト53を支持し、前部上部にスタータモータ54が取付けられている。スタータモータ54の上方に屈曲部33が設けられている。シリンダヘッド49は、下部に排気装置56が取付けられている。
クランクケース44とシリンダブロック48との結合部57の上方にメインフレームの屈曲部33が位置する。そして、屈曲部33及び結合部57の前方では、メインフレーム13と、シリンダブロック48、シリンダヘッド49、ヘッドカバー51とは、前方に行くに従い、これらの間の空間58が広がるように傾斜している。それによって、吸気装置やエンジン補機類は配置し易くなる。
ベルト式無段変速機65は、エンジン41のクランクシャフト53に取付けられた駆動プーリ61と、後輪(図1、符号25)側に連結された従動軸62に取付けられた従動プーリ63と、これらの駆動プーリ61及び従動プーリ63のそれぞれに掛けられたベルト64と、これらの駆動プーリ61、従動プーリ63及びベルト64を覆う変速機カバー65とを備え、変速機カバー65は、前下がりに傾斜した状態でクランクケース44の右側に設けられている。
駆動プーリ61及び従動プーリ63は、いずれも、固定半体と可動半体とからなり、遠心力により外方に移動するウエイトローラの作用により、各々のプーリの可動半体が軸方向に移動してりベルト64の巻き掛け径を変化させ、クランク軸53と従動プーリ63の従動軸62との回転比を自動的に変化させるようにした。
エンジンのクランク軸53は、上述したように、ベルト式無段変速機65に接続され、このベルト式無段変速機65は、エンジンの後部に内蔵される動力伝達機構66に接続され、この動力伝達機構66は後輪25に接続されている。
動力伝達機構66は、従動プーリ63の軸部である従動軸62に接続された図示せぬ遠心クラッチの出力軸に連結される第1駆動ギヤ71と、この第1駆動ギヤ71と噛み合う第1従動ギヤ72と、この第1従動ギヤ72が固着されている中間軸73と、この中間軸73に固着されている第2駆動ギヤ74と、この第2駆動ギヤ74と噛み合う第2従動ギヤ75と、この第2従動ギヤ75が固着されているドライブ軸76と、このドライブ軸76に固着されているドライブスプロケット77と、後輪(図1、符号25)に設けたドリブンスプロケット(図1、符号78)と、ドライブスプロケット77とドリブンスプロケット78との間に巻き掛けたチェーン68と、からなる。上記構成により、エンジン41の駆動力は、ベルト式無段変速機65、動力伝達機構66の順に伝達され後輪25に伝達される。
図1に戻って、吸気装置55は、シリンダヘッド49に吸気管81を介して取付けられたスロットルボディ82と、このスロットルボディ82にコネクティングチューブ83を介して取付けられたエアクリーナ84とからなり、エアクリーナ84は、その上端部がメインフレーム13の前フレーム部34に取付けられている。
排気装置56は、シリンダヘッド49に取付けられた排気管86と、この排気管86の後端に接続され車両後方へ延ばされている消音器87とからなる。
図3に示されているように、左右のスイングアーム24L、24Rの後端部に、後輪車軸88が渡され、この後輪車軸88に後輪25が設けられている。
後輪25は、ホイールハブ91と、このホイールハブ91から放射状に延びている複数のスポーク部92と、これらの複数のスポーク部92の外方に渡されタイヤ93が装着されるリム部94とを備える。
ホイールハブ91の車幅方向左側には、ドライブフランジ112が設けられ、ホイールハブ91の車幅方向右側には、ブレーキパネル119が設けられている。
ホイールハブ91は、中心に車軸穴96が形成されている。同様に、ドライブフランジ112の中心に穴112hが形成され、ブレーキパネル119の中心に穴119hが形成されている。ドライブフランジの穴112hには、左のベアリング97Lが配置され、車軸穴96の車幅方向右側には、右のベアリング97Rが配置され、これら左右のベアリング97L、97Rの間で、車軸穴96の車幅方向左側には、サブベアリング98が配置され、これらのベアリング97L、97R、98に後輪車軸88が通されている。
左ベアリング97Lとサブベアリング98の間に第1中間カラー101が介在され、サブベアリング98と右ベアリング97Rとの間に第2中間カラー102が介在され、左スイングアーム24と左ベアリング97Rの間に左のカラー103が配置され、右スイングアーム24とホイールハブ91の右側面91aの間に右のカラー104が配置され、これらのカラー101〜104によりホイールハブ91とベアリング97L、97R、98の車幅方向の移動が規制される。
ホイールハブ91の左外側面に、左凹部107が形成され、この左凹部107がダンパー室108とされている。ダンパー室108にダンパーラバー111が挿入され、ダンパーラバー111の外方がドリブンフランジ112によって覆われている。ドリブンフランジ112には、エンジン(図2、符号41)に回転駆動されるドリブンスプロケット78が締結部材113によって取付けられている。
ホイールハブ91の右外側面に、右凹部117が形成され、この右凹部117に後輪ブレーキ118が収容されている。後輪ブレーキ118はドラムブレーキであり、ブレーキパネル119を貫通する回動軸121に取付けられたレバー部材122を回動させることでブレーキが作用する。
以下、後輪25のダンパー機構について詳細に説明する。
図4に示されているように、後輪25のホイールハブ91の左外側面91Lに左凹部107が開口し、この左凹部107をダンパー室108とし、このダンパー室108は、ホイールハブ91に、車軸としての後輪車軸(図3、符号88)が貫通する車軸穴96を中心に同心円状に形成された内周壁125及び外周壁126と、放射状に延出され内周壁125と外周壁126との間をつなぐ4つの隔壁127と、により形成されている。
ダンパー室108内に、4つのダンパーラバー111が設けられ、これらの4つのダンパーラバー111の外方に、ドリブンフランジ112が設けられている。
図5及び図6に示されているように、後輪25のホイールハブ91のダンパー室108に、4つのダンパーラバー111がセットされ、これらのダンパーラバー111の間に、4つの爪131が挿入されるようにドリブンフランジ112が取付けられる。
ドリブンフランジ112の内側面112bで、且つ、車幅方向内側に向けて4つの爪131が立設されている。これらの4つの爪131は、ホイールハブ91にドリブンフランジ112を組付けたときに、隣接するダンパーラバー111の間に挿入される。
図6に示されているように、ドリブンフランジ112に設けられている4つの爪131は、各々、車軸穴96を中心として放射状に延出されている縦爪部133と、この縦爪部133と交差する方向に延出されている横爪部132と、から形成されている。詳細には、横爪部132は、周方向に延出され、縦爪部133は、横爪部の一端132aから径方向外側に延出される第1縦爪部134と、横爪部の他端132bから径方向内側に延出される第2縦爪部135と、からなり、車軸方向に見たとき、爪131は、クランク形状を呈している。このような同一形状の爪131が、ドリブンフランジ112の内側面112bに立設されている。
ダンパーラバー111は、第1ラバー部141と第2ラバー部142と、これらの第1ラバー部141と第2ラバー部142の間を隔壁127を跨ぐようにして連結している連結部137と、からなる。第1ラバー部141と第2ラバー部142は、連結部137を介して一体に連結されている。そして、第1ラバー部141と第2ラバー部142は、各々のラバー部が、隔壁127を挟んで隣接する2つのダンパー室108に跨るようにセットされている。
1つのダンパー室108には、2つのダンパーラバー、すなわち、第1ラバー部141と別のダンパーラバー111を構成する第2ラバー部142とが収容されている。
1セットのダンパーラバー111を構成する第1ラバー部141と第2ラバー部142は、各々、車軸方向から見たとき、略L字状を呈する。このようなダンパーラバー111が4セット用いられている。
但し、各ダンパーラバー111に設けられている第1ラバー部141と第2ラバー部142とは、互いに異形状である。
第1ラバー部141は、車軸方向から見たとき、その側面が、第1縦爪部134に当接する第1面151と、横爪部132に当接する第2面152と、第2縦爪部135に当接し第1肉抜部146が形成されている第3面153と、内周壁125に沿って延びている第4面154と、隔壁127と当接し第2肉抜部147が形成されている第5面155と、外周壁126に当接する第6面156と、から形成されている部材である。
また、第2ラバー部142は、車軸方向から見たとき、その側面が、隔壁127と当接し第3肉抜部148が形成されている第7面157と、内周壁125に当接する第8面158と、次の第2縦爪部135と当接する第9面159と、次の横爪部132と当接する第10面160と、次の第1縦爪部134と当接し第4肉抜部149が形成されている第11面161と、外周壁126に当接する第12面162と、から形成されている部材である。
ダンパーラバー111は、各々、隔壁127と当接する側の面としての第5面155及び第7面157に、各々、第2肉抜部147及び第3肉抜部148を備え、爪131と当接する側の面としての第3面153及び第11面161に、各々、第1肉抜部146及び第4肉抜部149を備えている。加えて、一方のダンパーラバーの一辺としての第10面160が、横爪部132に径方向内側から当接するようにした。
すなわち、ホイールハブの左外側面に、環状に配置されている4つのダンパー室108が形成され、これらの4つのダンパー室108に、ダンパーラバーとしての第1ラバー部141と第2ラバー部142とが収納され、ダンパーラバー141、142(第1ラバー部141と他のダンパーラバーを形成している第2ラバー142)の間に挿入される爪131を有しダンパー室108の開口を覆うドリブンフランジが備えられている。
以上に述べた自動二輪車の後輪の作用を次に述べる。
図7には、ホイールハブ91がドリブンフランジ112よりも図矢印a方向に速く回転しようとするとき、隔壁127に第5面155が押圧されるに伴って、ドリブンフランジ112に設けられている縦爪部133がダンパーラバー111の第1面151並びに第3面153を押圧する状態が示されている。
縦爪部133と隔壁127の間にダンパーラバー111が配置されているので、ホイールハブ91がドリブンフランジ112に対して相対移動しようとするときに、後輪の周方向に生ずるショックや振動を緩和させることができる。実際の走行では、例えば、エンジンブレーキをかけたとき等に、後輪の周方向に生ずるショックや振動を緩和させることができる。
図8に示されているように、ドリブンフランジ112がホイールハブ91よりも図矢印a方向に速く回転しようとするとき、隔壁127に第7面157が押圧されるに伴って、ドリブンフランジ112に設けられている縦爪部133がダンパーラバー111の第9面159並びに第11面161を押圧する状態が示されている。
縦爪部133と隔壁127の間にダンパーラバー111が配置されているので、ドリブンフランジ112がホイールハブ91に対して相対移動しようとするときに、後輪の周方向に生ずるショックや振動を緩和させることができる。実際の走行では、例えば、加速時やリヤブレーキをかけたとき等に、後輪の周方向に生ずるショックや振動を緩和させることができる。
図6に戻って、爪131にホイールハブ91の周方向に延びている横爪部132が設けられている。また、横爪部の内周面163とホイールハブの内周壁125との間に、第2ラバー部142が配置されると共に、横爪部の外周面164とホイールハブの外周壁126との間に第1ラバー部141が配置されている。すなわち、爪131を挟んで隣り合うダンパーラバー111で横爪部132を挟むという構成にした。
ホイールハブの外周壁126と内周壁125の間にダンパーラバー111(第1ラバー部141、第2ラバー部142)を介在させると共に、第1ラバー部141と他のダンパーラバー111の第2ラバー部142とで横爪部132を挟んだので、ホイールハブ91に周方向の振動が生じたとき、後輪の周方向に生ずる振動を緩和(減衰)させることができる。
爪131を後輪車軸が通る車軸穴96を中心として放射状に延出されている縦爪部133とこの縦爪部133と交差する方向に延出されている横爪部132とから構成し、爪131を挟んで隣接するダンパーラバー111で横爪部132を挟んだので、横爪部132とダンパーラバー111が当接することで、後輪25の周方向の振動は減衰され易くなる。振動が減衰され易くなれば、乗り心地を高めることができる。
上記をまとめると次のように説明される。爪131を縦爪部133と横爪部132とから構成し、爪を挟んで隣接するダンパーラバー111で横爪部132を挟むことにより、後輪25の周方向の振動を減衰させる部材を別途用いることなく、ダンパーラバー111で振動を減衰させることができる。
したがって、本発明によれば、部品点数の増加を抑えつつ周方向の振動を緩和することを可能にする自動二輪車の後輪25が提供される。
さらに、横爪部132は、周方向に延出されているので、ドリブンフランジ112とホイールハブ91とが、加速時又は減速時に相対運動するとき、横爪部132とダンパーラバー111は周方向で摺接することとなり、後輪25の周方向の振動を効果的に減衰させることができる。加えて、横爪部の両端から縦爪部133を延出させることで、ダンパーラバー111と縦爪部133との間の接触面積を増やし、接触面積を増やすと、周方向でダンパーラバー111に加わる圧力を下げることができる。ダンパーラバー111に加わる圧力が下がれば、ダンパーラバー111の耐久性を高めることができる。
さらにまた、ダンパーラバー111は、隔壁127と当接する側の面としての第5面155及び第7面157と、爪131と当接する側の面としての第3面153及び第11面161とにそれぞれ、肉抜部146、147、148、149を備えているので、隔壁側の面である第5面155又は第7面157若しくは爪側の面である第3面153又は第11面161から力がダンパーラバー111に加わったときに、ダンパーラバー111は変形し易くなる。ダンパーラバー111が変形し易くなれば、加速時や減速時などのトルク変動に対する衝撃吸収作用を向上させることができる。
以下、ダンパーラバー組付け時の作用について説明する。
図4〜図6を参照して、ダンパーラバー111は、車軸方向から見たとき、略L字状を呈し、隔壁127を挟んで隣接する2つのダンパーラバー111は、連結部137を介して一体に連結され、一方のダンパーラバーとしての第2ラバー部142を構成する一辺としての第10面(図6、符号160)が、横爪部132に径方向内側から当接する。
ダンパーラバー111をドリブンフランジの爪131に組付け後に運ぶ際に、ダンパーラバー111の第10面160が横爪部132に径方向内側から引っ掛かるので、ドリブンフランジ112からダンパーラバー111を落下し難くすることができ、持ち運びを容易にすることができる。したがって、ダンパー室108の組付けに係る生産性を高めることができる。
連結部137を介して一体に連結された2つのダンパーラバーとしての第1ラバー部141及び第2ラバー部142は、互いに異形状となっているので、組付けの際に、誤った方向で組付けられることが防止される。
尚、本発明は、実施の形態では自動二輪車に適用したが、三輪車にも適用可能であり、一般の車両に適用することは差し支えない。
本発明は、ホイールダンパーが備えられている自動二輪車のホイールに好適である。
10…自動二輪車、25…後輪、88…車軸(後輪車軸)、91…ホイールハブ。96…車軸穴、108…ダンパー室、111…ダンパーラバー、112…ドリブンフランジ、125…内周壁、126…外周壁、127…隔壁、131…爪、132…横爪部、133…縦爪部、134…第1縦爪部、135…第2縦爪部、137…連結部、146…肉抜部(第1肉抜部)、147…肉抜部(第2肉抜部)、148…肉抜部(第3肉抜部)、149…肉抜部(第4肉抜部)。

Claims (5)

  1. 後輪(25)のホイールハブ(91)の外側面に開口し、環状に配置されている複数のダンパー室(108)と、これらの複数のダンパー室(108)の各々に収納される複数のダンパーラバー(111)と、前記複数のダンパーラバー(111)の間に挿入される爪(131)を有し前記ダンパー室(108)の開口を覆いエンジン(41)に接続されてこのエンジン(41)に回転駆動されるドリブンフランジ(112)と、が備えられ、前記ダンパーラバー(111)で前記ドリブンフランジ(112)と前記ホイールハブ(91)とを弾性的に接続するようにした自動二輪車の後輪において、
    前記爪(131)は、車軸(88)を中心として放射状に延出されている縦爪部(133)と、この縦爪部(133)と交差する方向に延出されている横爪部(132)と、とから形成され、
    前記爪(131)を挟んで隣り合う前記ダンパーラバー(111)で前記横爪部(132)を挟むようにしたことを特徴とする自動二輪車の後輪。
  2. 前記横爪部(132)は、周方向に延出され、前記縦爪部(133)は、前記横爪部(132)の一端から径方向外側に延出される第1縦爪部(133)と、前記横爪部の他端から径方向内側に延出される第2縦爪部(133)と、からなり、車軸方向に見たとき、前記爪(131)は、クランク形状を呈することを特徴とする請求項1記載の自動二輪車の後輪。
  3. 前記ダンパー室(108)は、前記ホイールハブ(91)に、車軸(88)が貫通する車軸穴 を中心に同心円状に形成された内周壁(125)及び外周壁(126)と、放射状に延出され前記内周壁(125)と前記外周壁(126)との間をつなぐ隔壁(127)と、により形成され、
    前記ダンパーラバー(111)は、車軸方向から見たとき、略L字状を呈し、前記隔壁(127)を挟んで隣接する前記2つのダンパーラバー(141、142)は、連結部(137)を介して一体に連結され、一方のダンパーラバー(142)の一辺が、前記横爪部(132)に径方向内側から当接することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の自動二輪車の後輪。
  4. 前記隔壁(127)を挟んで隣接する1つのダンパーラバー(141、142)は、互いに異形状であることを特徴とする請求項3記載の自動二輪車の後輪。
  5. 前記ダンパーラバー(111)は、前記隔壁(127)と当接する側の面と、前記爪(131)と当接する側の面とに肉抜部(146、147、148、149)を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の自動二輪車の後輪。
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