JP2011178132A - 液体噴射ヘッド、液体噴射ヘッドユニット及び液体噴射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】小液滴の被噴射媒体への着弾を抑制すると共に、小液滴による液体噴射不良を抑制して、印刷品質を向上することができる液体噴射ヘッド、液体噴射ヘッドユニット及び液体噴射装置を提供する。
【解決手段】液体を噴射するノズル開口11を有するヘッド本体10と、前記ノズル開口11が開口する液体噴射面12の周囲に、前記液体の噴射方向に突出して設けられたカバー20と、該カバー20内に前記液体噴射面12から離れた位置に設けられて、前記ノズル開口11に相対向する領域に開口が設けられた整流板30と、前記液体噴射面12と前記整流板30との間に当該液体噴射面12の面方向に沿って気流を発生させる気流発生手段40と、を具備し、前記整流板30が、前記液体噴射面12に対して傾斜して設けられている。
【選択図】 図2
【解決手段】液体を噴射するノズル開口11を有するヘッド本体10と、前記ノズル開口11が開口する液体噴射面12の周囲に、前記液体の噴射方向に突出して設けられたカバー20と、該カバー20内に前記液体噴射面12から離れた位置に設けられて、前記ノズル開口11に相対向する領域に開口が設けられた整流板30と、前記液体噴射面12と前記整流板30との間に当該液体噴射面12の面方向に沿って気流を発生させる気流発生手段40と、を具備し、前記整流板30が、前記液体噴射面12に対して傾斜して設けられている。
【選択図】 図2
Description
本発明は、ノズル開口から液体を噴射する液体噴射ヘッド、液体噴射ヘッドユニット及び液体噴射装置に関する。
インクジェット式記録ヘッドやプロッター等のインクジェット式記録装置に代表される液体噴射装置は、カートリッジやタンク等の液体貯留手段に貯留されたインクなどの液体を液滴(インク滴)として吐出可能な液体噴射ヘッド(以下、記録ヘッドとも言う)を具備する。
液体噴射装置には、紙などの記録シート等である被噴射媒体に対して液体噴射ヘッドを走査方向に移動させながら印刷を行うシリアル型の液体噴射装置と、被記録媒体の幅に亘ってノズル開口が設けられた液体噴射ヘッドを固定し、被記録媒体を搬送するだけで印刷を行うライン型の液体噴射装置とが実用化されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、シリアル型及びライン型の何れの液体噴射装置であっても、被噴射媒体と液体噴射ヘッドとが相対的に移動されるため、この相対移動によって気流が発生し、ノズル開口からインクを吐出した際に主滴(メイン液滴)から分離した小液滴(ミストやサテライト滴と呼称されるもの)が発生し、小液滴が気流の流れによって被噴射媒体の主滴とは別の位置に付着することによって印刷品質が低下してしまう。また、小液滴がノズル開口の液体のメニスカスに付着してメニスカスを破壊してしまい、ノズル開口から液滴を正常に吐出することができなくなる。
このような問題を解決するために、記録ヘッドのインクを吐出する液体噴射面側に、ノズル開口から被噴射媒体近傍までを覆うフードを設け、被噴射媒体と記録ヘッドとの相対的な移動によって発生した気流によって小液滴が主滴とは異なる位置に着弾するのを抑制するようにした描画ヘッド装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、特許文献2のように、記録ヘッドにフードを設けただけでは、逆にフードによって巻き込まれた乱気流が発生し、小液滴が被噴射媒体の主滴とは異なる位置に着弾し、印刷品質が低下してしまうと共に、メニスカスの破壊が発生してしまうという問題がある。
このような問題は、特に記録ヘッドと被噴射媒体との相対的な移動速度を高速化して、高速印刷を行う場合に顕著に表れるものである。
また、このような問題はインクを吐出するインクジェット式記録ヘッドだけではなく、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドにおいても同様に存在する。
本発明はこのような事情に鑑み、小液滴の被噴射媒体への着弾を抑制すると共に、小液滴による液体噴射不良を抑制して、印刷品質を向上することができる液体噴射ヘッド、液体噴射ヘッドユニット及び液体噴射装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の態様は、液体を噴射するノズル開口を有するヘッド本体と、前記ノズル開口が開口する液体噴射面の周囲に、前記液体の噴射方向に突出して設けられたカバーと、該カバー内に前記液体噴射面から離れた位置に設けられて、前記ノズル開口に相対向する領域に開口が設けられた整流板と、前記液体噴射面と前記整流板との間に当該液体噴射面の面方向に沿って気流を発生させる気流発生手段と、を具備し、前記整流板が、前記液体噴射面に対して傾斜して設けられていることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる態様では、ノズル開口から噴射された液滴の主滴が気流によって吐出方向と交差する方向に移動されることなく、直進して被噴射媒体に着弾すると共に、主滴から分離した小液滴が気流によって移動されることによって、整流板に着弾して、小液滴が被噴射媒体に着弾したり、ノズル開口のメニスカスに付着するのを抑制することができる。また、カバーを設けることによって、被噴射媒体と液体噴射ヘッドとの相対移動による気流や、外部の気流などがカバーによって遮蔽されて、液体噴射面の近傍に気流発生手段による気流とは異なる気流が発生するのを抑制することができ、主滴の着弾位置ずれを抑制することができる。さらに、整流板に付着した液体を整流板を傾斜させることで、カバー内壁面側に移動させることができるため、開口部が液体によって閉塞されるのを抑制することができる。
かかる態様では、ノズル開口から噴射された液滴の主滴が気流によって吐出方向と交差する方向に移動されることなく、直進して被噴射媒体に着弾すると共に、主滴から分離した小液滴が気流によって移動されることによって、整流板に着弾して、小液滴が被噴射媒体に着弾したり、ノズル開口のメニスカスに付着するのを抑制することができる。また、カバーを設けることによって、被噴射媒体と液体噴射ヘッドとの相対移動による気流や、外部の気流などがカバーによって遮蔽されて、液体噴射面の近傍に気流発生手段による気流とは異なる気流が発生するのを抑制することができ、主滴の着弾位置ずれを抑制することができる。さらに、整流板に付着した液体を整流板を傾斜させることで、カバー内壁面側に移動させることができるため、開口部が液体によって閉塞されるのを抑制することができる。
ここで、前記整流板は、一方向にスリットが並設された複数の開口形成部材を有し、当該開口形成部材が液体の噴射方向に一定の間隔を開けて、前記スリットの方向が交差するように配置されていることが好ましい。これによれば、スリットを交差させて開口部を形成するため、1つの開口形成部材に形成されたスリットを開口部よりも大きい開口とすることができ、開口形成部材に付着した液体によってスリット(開口)が閉塞されるのをさらに低減することができる。
また、前記整流板は、中央部が、端部よりも液体噴射面側に突出して設けられていることが好ましい。これによれば、液体の吐出方向において、整流板が占める幅を小さくすることができるため、液体噴射面と被噴射媒体との距離を短くして印刷特性を向上することができる。
また、前記整流板は、少なくとも表面が撥水性を有する材料で形成されていることが好ましい。これによれば、整流板に付着した液体の移動をさらに容易にすることができる。
また、前記ヘッド本体を複数具備し、前記カバーが複数の前記ヘッド本体の周囲に亘って連続して設けられていることが好ましい。これによれば、部品点数を減少させて、コストを低減することができる。
また、前記整流板が、メッシュ状の材料からなることが好ましい。これによれば、コストを低減することができる。
また、前記気流発生手段が、湿気を帯びた気体の気流を発生させることが好ましい。これによれば、気流発生手段の発生した気流によって、ノズル開口近傍の液体の乾燥が促進されるのを抑制して、液体の乾燥・硬化による吐出不良を低減することができる。
さらに、本発明の他の態様は、上記態様の液体噴射ヘッドを2以上具備することを特徴とする液体噴射ヘッドユニットにある。
かかる態様では、多ノズル化したヘッドユニットを容易に形成することができる。
かかる態様では、多ノズル化したヘッドユニットを容易に形成することができる。
また、本発明の他の態様は、上記態様の液体噴射ヘッド又は液体噴射ヘッドユニットを具備することを特徴とする液体噴射装置にある。
かかる態様では、印刷品質を向上して高速印刷が可能な液体噴射装置を実現できる。
かかる態様では、印刷品質を向上して高速印刷が可能な液体噴射装置を実現できる。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドを示す斜視図であり、図2は、インクジェット式記録ヘッドの底面図及び要部断面図である。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドを示す斜視図であり、図2は、インクジェット式記録ヘッドの底面図及び要部断面図である。
図1に示すように、本実施形態の液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッド1(以下、記録ヘッド1とも言う)は、ヘッド本体10と、ヘッド本体10の液体噴射面12を覆うカバー20と、カバー20に固定された整流板30と、気流発生手段40と、を具備する。
ヘッド本体10には、液体としてインクを吐出する複数のノズル開口11が一方面に開口して設けられている。このノズル開口11が開口する面が液体としてインクを吐出する液体噴射面12となっている。
また、ヘッド本体10は、内部にノズル開口11と連通する流路13が設けられており、図示しない圧力発生手段によって流路13内のインクに圧力変化を生じさせることでノズル開口11からインク滴を吐出する。なお、流路13内に圧力変化を生じさせる圧力発生手段としては、例えば、電気機械変換機能を呈する圧電材料を有する圧電素子を用いた圧電アクチュエーターや、流路13内に発熱素子を配置して、発熱素子の発熱で発生するバブルによってノズル開口11からインク滴を吐出するものや、振動板と電極との間に静電気を発生させて、静電気力によって振動板を変形させて流路13内に圧力変化を生じさせてノズル開口11からインク滴を吐出させるいわゆる静電式アクチュエーターなどを用いることができる。
ヘッド本体10の液体噴射面12側の側面には、カバー20が設けられている。カバー20は、記録ヘッド1の液体噴射面12を囲み、インクの吐出方向に向かって突出するように設けられている。本実施形態のカバー20は、開口が矩形状となる四角筒状の部材からなり、一方の開口にヘッド本体10の液体噴射面12側を挿入して固定することで、ヘッド本体10と一体化されている。このようなカバー20は、液体噴射面12から被記録媒体近傍まで液体噴射面12に相対向してインクが吐出される飛翔領域を覆うことで、飛翔領域に外部の気流の影響が及ぶのを抑制する。
このため、カバー20は、記録ヘッド1をインクジェット式記録装置に搭載した際に、被噴射媒体にできるだけ近接する長さで設けるのが好ましい。
また、カバー20の内部には、整流板30が固定されている。整流板30は、液体噴射面12に相対向して、液体噴射面12から離れた位置に設けられた板状部材からなる。
本実施形態の整流板30は、液体噴射面12に対して傾斜した状態で固定されている。すなわち、整流板30の面方向は、液体噴射面12の面方向とは交差する方向となるようにカバー20の内部に固定されている。本実施形態では、整流板30を、液体噴射面12に対してノズル開口11の並設方向に向かって傾斜させるようにした。すなわち、整流板30と液体噴射面12との間隔は、ノズル開口11の並設方向に向かって徐々に広がるように整流板30を傾斜させている。
整流板30には、各ノズル開口11に相対向する領域に、ノズル開口11から吐出されたインク滴(主滴)が通過可能な大きさの開口31が設けられている。ここで、ノズル開口11に相対向して主滴が通過可能な開口31とは、例えば、各ノズル開口11毎に独立して設けられた開口31であってもよく、また、2以上のノズル開口11からなるノズル開口群に対応して設けられた開口31であってもよい。すなわち、1つの開口31が、ノズル開口11毎に設けられていても、また、1つの開口31が複数のノズル開口11に共通して設けられていてもよい。
また、整流板30は、開口31以外の領域が全て閉塞されていてもよく、また、ノズル開口11に相対向する領域以外にも他の開口が設けられていてもよい。ノズル開口11に相対向する領域以外に他の開口が設けられた整流板30としては、例えば、金属、樹脂、繊維、不織布、紙等を格子状にすることで開口31がマス目状に設けられたメッシュ部材が挙げられる。なお、メッシュ部材の開口31のピッチ(間隔)は、ノズル開口11のピッチの整数倍とすれば、開口31を全てのノズル開口11に相対向させることができる。また、メッシュ部材の開口31の大きさ及びピッチは、上述のように、1つの開口31が各ノズル開口11に相対向するように設けられていてもよく、また、1つの開口31が複数のノズル開口11に相対向するように設けられていてもよい。
なお、整流板30の材料としては、特に限定されず、例えば、金属材料、樹脂材料、繊維、不織布、紙等を用いることができる。本実施形態の整流板30は、液体噴射面12に対して傾斜して設けられることで、整流板30に付着したインクをカバー20の内壁面側に移動させるため、整流板30としては、吸水性を有さない材料であるのが好ましい。また、整流板30に付着したインクがカバー20の内壁面側に移動しやすいように、整流板30の表面には、撥水性を有する膜を形成するのが好ましい。撥水性を有する膜としては、例えば、フッ素樹脂等が挙げられる。
このような整流板30は、上述のように液体噴射面12と所定の距離だけ離れた位置に配置されている。これにより、整流板30と液体噴射面12との間には、小液滴を移動させるための空間32が画成されている。
また、整流板30は、上述のように液体噴射面12に対して傾斜して設けられている。ここで、本実施形態の記録ヘッド1は、液体噴射面12を鉛直方向下側に向けてインク滴を吐出するものである。したがって、整流板30は、水平方向(鉛直方向に直交する)に対して傾斜して設けられている。
なお、整流板30は、液体噴射面12と被記録媒体との間において、液体噴射面12近傍に設けられているのが好ましい。これは、ノズル開口11から吐出された主滴は、ノズル開口11から離れるに従い、吐出方向のずれや気流の影響を多く受けることによって、ノズル開口11とはずれた位置に着弾する虞があるため、液体噴射面12から整流板30が離れていると、その誤差が増大することによって、主滴が整流板30の開口31を通過できなくなる虞があるからである。したがって、整流板30を液体噴射面12の近傍に設けることで、ノズル開口11から吐出された主滴が開口31を通過し易くすることができる。本実施形態では、整流板30の液体噴射面12と最も近い部分の間隔を1mm程度とした。
また、整流板30と液体噴射面12との間の空間32は、ノズル開口11の並設方向の両側のカバー20の側面に互いに相対向するように設けられた一対の連通孔21によって外部と連通している。本実施形態では、整流板30が液体噴射面12に対して傾斜して設けられているため、整流板30と液体噴射面12との間隔も傾斜方向に向かって徐々に大きくなる。したがって、本実施形態では、一対の連通孔21を、整流板30と液体噴射面12との間隔に対応して異なる大きさで設けるようにした。すなわち、連通孔21は、整流板30と液体噴射面12との間の空間32を最も広く外部と連通できる大きさで設けるようにした。
気流発生手段40は、液体噴射面12と整流板30との間の空間32に、液体噴射面12の面方向に沿って気流を発生させるものである。本実施形態では、送風機からなる気流発生手段40をカバー20の外周の一方の連通孔21が開口する場所に設けるようにした。
これにより、気流発生手段40からは、一方の連通孔21を介してカバー20の内部に気体が送風され、液体噴射面12と整流板30との間の空間32内にノズル開口11の並設方向に向かって液体噴射面12及びカバー20の面方向に沿って気流を発生させる。そして、気流発生手段40から送風された気体は、他方の連通孔21からカバー20の外部に排出されることで、気体がカバー20に当接することによって乱気流が発生するのを抑制している。
なお、気流発生手段40は、送風機に限定されず、例えば、吸引ポンプ等であってもよい。
なお、気流発生手段40は、送風機に限定されず、例えば、吸引ポンプ等であってもよい。
このような気流発生手段40が発生させる気流は、詳しくは後述するが、ノズル開口11から吐出されたインク滴の主滴が気流の影響を受けずに直進し、主滴から分離した小液滴が気流の影響を受けて移動する流速である。ちなみに、主滴の大きさ(質量)や、小液滴の大きさ(質量)は、圧力発生手段の性能や、吐出するインク滴の重量や速度を規定する駆動波形などの影響で変化するため、これらに応じて適宜決定すればよい。
このような記録ヘッド1のインク滴の吐出について図3を参照して説明する。なお、図3は、インクジェット式記録ヘッドのインク滴の吐出状態を示す要部断面図である。
図3(a)に示すように、気流発生手段40によって液体噴射面12と整流板30との間の空間32に気流を発生させた状態で、図示しない圧力発生手段によって流路13内に圧力変化を生じさせてインク滴の吐出を開始する。これにより、ノズル開口11からメニスカスが柱状に盛り上がり、図3(b)に示すように、柱状の一部が切り離されることでインク滴Aがノズル開口11から吐出される。このとき、インク滴Aは尾部を引き延ばす形で飛翔し、図3(c)に示すように、インク滴Aの尾部の一部が引きちぎられることで、主滴B(メイン液滴)と、小液滴C(サテライト滴)とに分離する。また、小液滴Cは、図3(b)において、柱状の一部が切り離されてインク滴Aが分離した際にも発生するものである。
このように吐出された主滴Bは、図3(d)に示すように、小液滴Cに比べて質量が大きいことから、気流によって流されることがなく、メッシュ状の整流板30の開口31を通過する。開口31を通過した主滴Bは被噴射媒体の所望の位置に着弾する。これに対して、小液滴Cは、主滴Bに比べて質量が小さいことから、気流によって整流板30の開口31が設けられていない領域に移動され、整流板30上に着弾する。これにより、小液滴Cは、被噴射媒体に着弾することがなく、また飛翔した小液滴Cが乱気流によって浮遊してノズル開口11のメニスカスに付着してメニスカスを破壊するのを抑制することができる。したがって、小液滴Cの影響による印刷品質の低下を抑制して、印刷品質を向上することができる。
また、小液滴Cの被噴射媒体への着弾を抑制することができることから、インク滴A(主滴B)の飛翔速度を高めることができる。ちなみに、インク滴Aの飛翔速度を高めると、尾部が長くなり、切り離される小液滴Cが多く発生するが、本実施形態では、小液滴Cが多く発生したとしても、小液滴Cを整流板30に着弾させて被噴射媒体に着弾するのを抑制することができるため、インク滴A(主滴B)の飛翔速度を高めることができる。
さらに、小液滴Cの被噴射媒体への着弾を抑制することができることから、被噴射媒体と記録ヘッド1との相対的な移動速度を高めて、高速度印刷が実現できる。ちなみに、被噴射媒体と記録ヘッド1との相対的な移動速度を高めると、乱気流が発生し、小液滴Cの発生や着弾位置ズレが多く発生するが、本実施形態では、小液滴Cを整流板30に着弾させることで、高速度印刷を実現できる。
また、図4(a)〜図4(b)に示すように、整流板30に付着した小液滴Cは、整流板30が液体噴射面12(水平方向)に対して傾斜して設けられているため、傾斜方向に向かって寄せ集まる。これにより、整流板30の開口31にインクが付着し、インクの表面張力によって開口31が閉塞するのを抑制することができる。ちなみに、整流板30にインクが付着すると、インクの表面張力によって開口31にメニスカスが形成され、開口31が閉塞されてしまう。このように開口31がインクによって閉塞されると、開口31を主滴Bが通過できずに、着弾することができない。本実施形態では、整流板30に付着したインクをカバー20の内壁面側に移動させて、主滴Bが通過する開口31がインクによって閉塞されるのを抑制することができるため、整流板30の開口31に主滴Bを確実に通過させることができ、印刷不良が発生するのを抑制することができる。
このような記録ヘッド1は、複数個が一体的に固定されてヘッドユニットを構成する。ここで、本実施形態のヘッドユニットについて図5を参照して説明する。
図示するように、ヘッドユニット100は、複数の記録ヘッド1と、複数の記録ヘッド1が固定されるベースプレート110と、を有する。
ベースプレート110は、ステンレス鋼等の板状部材からなり、各記録ヘッド1の液体噴射面12側が挿入される保持孔111を有する。保持孔111は、記録ヘッド1の液体噴射面12側の外周よりも若干広い開口面積を有し、ベースプレート110の保持孔111内に記録ヘッド1の液体噴射面12とは反対側が挿入されて記録ヘッド1の外周に設けられたフランジ部14がベースプレート110の一方面にネジ等を介して固定されている。
本実施形態では、複数の記録ヘッド1は、ノズル開口11の並設方向である第1の方向Yに向かって並設されている。また、第1の方向Yに並設された複数の記録ヘッド1で構成される列は、ノズル開口11が並設された方向(第1の方向Y)とは交差する方向(第2の方向X)に並んで2列設けられている。これら第2の方向Xに並設されたに記録ヘッド1の2列は、互いに第2の方向Xに向かって若干ずらした位置に配置されている。すなわち、記録ヘッド1の2列は、記録ヘッド1が千鳥状に配置されるようにヘッドグループを構成している。そして、1つのヘッドグループにおいて、隣り合う記録ヘッド1は、一方の記録ヘッド1のノズル列の端部のノズル開口11と、他方の記録ヘッド1のノズル列の端部のノズル開口11とが、ノズル開口11の並設方向(第1の方向Y)で同一位置となるように設けられている。これにより、2列の記録ヘッド1によって、被噴射媒体の搬送方向とは交差する幅方向に亘って全ての領域で印刷を行うことができる。本実施形態では、ヘッドユニット100に4個のインクジェット式記録ヘッド1で構成されるヘッドグループを2つ設けるようにした。
このようなヘッドユニット100は、インクジェット式記録装置200に搭載される。ここで、インクジェット式記録装置について図6を参照して説明する。
本実施形態の液体噴射装置の一例であるインクジェット式記録装置200は、ヘッドユニット100(記録ヘッド1)が固定されて、被噴射媒体である紙などの記録シートSを搬送することで印刷を行う、所謂ライン式記録装置である。具体的には、インクジェット式記録装置200は、装置本体201と、複数の記録ヘッド1を具備すると共に装置本体201に固定されたヘッドユニット100と、記録シートSを搬送する搬送手段202と、ヘッドユニット100の相対向する記録シートSの印刷面とは反対の裏面側を支持するプラテン203とを具備する。
ヘッドユニット100は、記録ヘッド1のノズル開口11の並設方向(第1の方向Y)が記録シートSの搬送方向と交差する方向となるように装置本体201に固定されている。
搬送手段202は、ヘッドユニット100に対して記録シートSの搬送方向の両側に設けられた第1の搬送手段204と、第2の搬送手段205とを具備する。
第1の搬送手段204は、駆動ローラー204aと、従動ローラー204bと、これら駆動ローラー204a及び従動ローラー204bに巻回された搬送ベルト204cとで構成されている。また、第2の搬送手段205は、第1の搬送手段204と同様に駆動ローラー205a、従動ローラー205b及び搬送ベルト205cで構成されている。
これらの第1の搬送手段204及び第2の搬送手段205のそれぞれの駆動ローラー204a、205aには、図示しない駆動モーター等の駆動手段が接続されており、駆動手段の駆動力によって搬送ベルト204c、205cが回転駆動することで、記録シートSをヘッドユニット100の上流及び下流側で搬送する。
なお、本実施形態では、駆動ローラー204a、205a、従動ローラー204b、205b及び搬送ベルト204c、205cで構成される第1の搬送手段204及び第2の搬送手段205を例示したが、記録シートSを搬送ベルト204c、205c上に保持させる保持手段をさらに設けてもよい。保持手段としては、例えば、記録シートSの外周面を帯電させる帯電手段を設け、この帯電手段によって帯電した記録シートSを誘電分極の作用により搬送ベルト204c、205c上に吸着させるようにしてもよい。また、保持手段として、搬送ベルト204c、205c上に押えローラーを設け、押えローラーと搬送ベルト204c、205cとの間で記録シートSを挟持させるようにしてもよい。
プラテン203は、第1の搬送手段204と第2の搬送手段205との間に、ヘッドユニット100に相対向して設けられた断面が矩形状を有する金属又は樹脂等からなる。プラテン203は、第1の搬送手段204及び第2の搬送手段205によって搬送された記録シートSを、ヘッドユニット100に相対向する位置で支持する。
なお、プラテン203には、搬送された記録シートSをプラテン203上で吸着する吸着手段が設けられていてもよい。吸着手段としては、例えば、記録シートSを吸引することで吸引吸着するものや、静電気力で記録シートSを静電吸着するもの等が挙げられる。
また、ヘッドユニット100の各記録ヘッド1には、図示していないが、インクが貯留されたインクタンクやインクカートリッジなどのインク貯留手段がインクを供給可能に接続されている。インク貯留手段は、例えば、ヘッドユニット100上に保持されていても、また、装置本体201内のヘッドユニット100とは異なる位置に保持されていてもよい。
このようなインクジェット式記録装置200では、搬送手段204によって記録シートSが搬送され、ヘッドユニット100によってプラテン203上で支持された記録シートSに印刷が実行される。印刷された記録シートSは、搬送手段202によって搬送される。
このようなインクジェット式記録装置200では、記録ヘッド1に液体噴射面12を覆うカバー20が設けられているため、記録シートSの搬送時の気流が液体噴射面12近傍に発生するのを抑制することができる。
また、整流板30は、記録シートSの搬送領域と液体噴射面12とを遮蔽するように設けられているため、整流板30によっても記録シートS側からの気流が遮蔽されて、液体噴射面12近傍の気流の発生を抑制することができる。
そして、このように液体噴射面12と整流板30との間の空間32に記録シートSの搬送による気流の影響を抑制して、気流発生手段40による気流のみで小液滴Cの着弾位置を制御することができるため、小液滴Cを整流板30により確実に着弾させることができる。
なお、本実施形態では、複数の記録ヘッド1を有するヘッドユニット100をインクジェット式記録装置200に搭載するようにしたが、特にこれに限定されず、単数又は複数の記録ヘッド1を直接インクジェット式記録装置200に搭載してもよい。また、インクジェット式記録装置200に複数のヘッドユニット100を搭載してもよい。
なお、本実施形態では、整流板30を液体噴射面12に対してノズル開口11の並設方向に向かって傾斜させるようにしたが、整流板30は、液体噴射面12に対して傾斜していれば良いため、その形状や傾斜方向は特に限定されるものではない。例えば、整流板30は、ノズル開口11の並設方向と交差する方向に傾斜していてもよい。また、例えば、整流板は、中央部が液体噴射面12側に突出するように屈曲することで傾斜してもよい。このような例を図7に示す。なお、図7は、本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの変形例を示す要部断面図である。
図7に示すように、インクジェット式記録ヘッド1Aは、ヘッド本体10、カバー20、整流板30A及び気流発生手段40を具備し、整流板30Aは、ノズル開口11の並設方向において、その中央部がノズル開口11側に突出するように屈曲された板状部材からなる。すなわち、整流板30Aは、整流板30Aと液体噴射面12との間隔がノズル開口11の並設方向において、中央部に向かって徐々に狭くなるように設けられている。このような整流板30Aであっても、上述した整流板30と同様に、整流板30Aに付着したインクを自重によりカバー20の内壁面側に移動させることができる。また、整流板30Aを屈曲させた板状部材とすることで、インクの噴射方向において整流板30Aが占める空間の領域を整流板30に比べて減少させることができる。これにより、液体噴射面12と記録シートSとの距離を短くすることができ、印刷品質を向上することができる。
(実施形態2)
図8は、本発明の実施形態2に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの要部断面図であり、図9は、整流板の斜視図であり、図10は、インクジェット式記録ヘッドの底面図である。なお、上述した実施形態1と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図8は、本発明の実施形態2に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの要部断面図であり、図9は、整流板の斜視図であり、図10は、インクジェット式記録ヘッドの底面図である。なお、上述した実施形態1と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図示するように、本実施形態のインクジェット式記録ヘッド1B(以下、記録ヘッド1Bとも言う)は、ヘッド本体10と、カバー20と、整流板30Bと、気流発生手段40と、を具備する。
整流板30Bは、長方形状の開口であるスリット33、34が複数並設された複数の開口形成部材35、36で構成されており、開口形成部材35、36は、互いにスリット33、34の並設方向が交差する向きで、インクの噴射方向で互いに離れた位置に設けられている。本実施形態では、2枚の開口形成部材35、36を設けた。
また、図8に示すように、液体噴射面12に近い一方の開口形成部材35は、スリット33の長手方向がノズル開口11の並設方向と同じ方向となるように、すなわち、スリット33の並設方向がノズル開口11の並設方向と直交する方向となるように配置されている。
また、液体噴射面12からは遠い他方の開口形成部材36は、スリット34の長手方向がノズル開口11の並設方向と交差する方向となるように、すなわち、スリット34の並設方向がノズル開口11の並設方向と同じ方向となるように配置されている。
このように配置した2枚の開口形成部材35、36は、図10に示すように、鉛直方向下側から見ると、2枚の開口形成部材35、36のスリット33、34が互いに交差するように配置されるため、2つの開口形成部材35、36の各スリット33、34が重なる位置だけが開口する。この各スリット33、34が重なることで露出した部分を本実施形態の開口31Aとしている。
また、整流板30Bを構成する各開口形成部材35、36は、それぞれ液体噴射面12に対して傾斜して設けられている。本実施形態では、開口形成部材35は、ノズル開口11の並設方向に傾斜し、開口形成部材36は、ノズル開口11の並設方向と直交する方向に傾斜するようにした。ここで、上述のように、開口形成部材35は、ノズル開口11の並設方向がスリット33の長手方向となるように配置されており、このスリット33の長手方向に傾斜して設けられているため、隣り合うスリット33の間に付着したインクは、スリット33を横断することなく、スリット33の長手方向に沿ってその自重により容易に移動させることができる。同様に、開口形成部材36は、スリット34の長手方向に沿って傾斜するように配置されているため、開口形成部材36に付着したインクは、スリット34の長手方向に沿ってその自重により容易に移動させることができる。
これにより、スリット33、34によって画成された開口31Aには、インクが付着することによるメニスカスが形成され難く、さらに吐出不良(着弾不良)を抑制することができる。すなわち、整流板30Bへのインクの付着は、実際には、開口形成部材35、36への付着であるため、各開口形成部材35、36に形成されたスリット33、34を塞がなければ、開口31Aを塞ぐことにならない。スリット33、34は、上述した実施形態1の開口31と同じ幅であるが、開口31よりも長いものであるため、上述した実施形態1の開口31に比べて、スリット33、34にメニスカスが形成されて、開口31Aが閉塞されるのが抑制される。
なお、本実施形態では、整流板30Bとして、それぞれ単一方向に傾斜する開口形成部材35、36を設けるようにしたが、開口形成部材35、36の傾斜方向は特にこれに限定されるものではない。ここで、開口形成部材の他の例を図に示す。なお、図11及び図12は、本発明の実施形態2に係るインクジェット式記録ヘッドの変形例を示す要部断面図である。
図11に示すように、インクジェット式記録ヘッド1C(以下、記録ヘッド1Cとも言う)は、ヘッド本体10と、カバー20と、整流板30Cと、気流発生手段40と、を具備し、整流板30Cは、2枚の開口形成部材35A、36Aで構成されている。
開口形成部材35A、36Aには、上述した開口形成部材35、36と同様に、それぞれスリット33、34が設けられている。また、開口形成部材35A、36Aは、それぞれスリット33、34の並設方向の中央部側が液体噴射面12側に突出するように屈曲して設けられている。このような開口形成部材35A、36Aであっても、付着したインクをカバー20の内壁面側に移動させることができる。また、開口形成部材35A、36Aを屈曲させた板状部材とすることで、インクの噴射方向において整流板30Cが占める空間の領域を整流板30Bに比べて減少させることができる。これにより、液体噴射面12と記録シートSとの距離を短くすることができ、印刷品質を向上することができる。
また、図12に示すように、インクジェット式記録ヘッド1D(以下、記録ヘッド1Dとも言う)は、ヘッド本体10と、カバー20と、整流板30Dと、気流発生手段40と、を具備し、整流板30Dは、2枚の開口形成部材35B、36Aで構成されている。
液体噴射面12側に設けられた開口形成部材35Bは、スリット33の並設方向の中央部が液体噴射面12側に向かって突出するように屈曲して設けられていると共に、スリット33の長手方向の中央部も液体噴射面12側に向かって屈曲して設けられている。すなわち、開口形成部材35Bは、開口形成部材36Aの屈曲により突出した形状に沿って屈曲しており、開口形成部材35Bと開口形成部材36Aとの間隔をさらに狭めることができる。
なお、上述した例では、気流発生手段40が、開口形成部材35、35A、35Bと、液体噴射面12との間に気流を発生させるようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、気流発生手段が、開口形成部材35、35A、35Bと、開口形成部材36、36Aとの間の空間にも気流を発生させるようにしてもよい。すなわち、連通孔21を液体噴射面12から液体噴射面12とは反対側の開口形成部材36、36Aの上面側まで開口させるようにしてもよい。
(実施形態3)
図13は、本発明の実施形態3に係るヘッドユニットの底面図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図13は、本発明の実施形態3に係るヘッドユニットの底面図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図13に示すように、本実施形態のヘッドユニット100Aには、複数の記録ヘッド1Eと、ベースプレート110と、を具備する。
ベースプレート110の保持孔111のそれぞれには、ヘッド本体10が固定されている。本実施形態では、上述した実施形態1と同様に、千鳥状に配置されたヘッド本体10(2列のヘッド本体10)を有するヘッドグループ2を2つ設けるようにした。このヘッドグループ2が、本実施形態では、1つの記録ヘッド1Eとしている。
また、第2の方向Xに並設された2列のヘッド本体10からなる各ヘッドグループ2は、共通のカバー20Aで覆われている。
カバー20Aは、1つの記録ヘッド1E毎に設けられたものであり、複数のヘッド本体10の並設方向(ノズル開口11の並設方向と同じ方向)に亘って連続して設けられた一対の板状部材からなる。本実施形態では、カバー20Aは、各記録ヘッド1E(ヘッドグループ2)の第2の方向Xの両側に設けられている。
また、ヘッドユニット100Aの各記録ヘッド1E(ヘッドグループ2)には、各ヘッド本体10に共通する1枚の整流板30Eが設けられている。
整流板30Eは、複数のヘッド本体10の液体噴射面12に相対向して、液体噴射面12に対して傾斜して設けられたものである。なお、整流板30Eの開口31は、上述した実施形態1と同様に、全てのヘッド本体10のノズル開口11に相対向する位置に設けられている。
また、各記録ヘッド1E(ヘッドグループ2)には、送風機からなる気流発生手段40Aが設けられており、複数のヘッド本体10の液体噴射面12と整流板30Eとの間に亘って気流を発生させる。
このような構成では、上述した実施形態1、2のように、各ヘッド本体10毎にカバー20、整流板30〜30D及び気流発生手段40を設ける必要がなく、部品点数を減らしてコストを低減することができる。
また、本実施形態では、記録ヘッド1E(ヘッドグループ2)毎にカバー20A、整流板30E及び気流発生手段40Aを設けるようにしたが、特にこれに限定されず、複数のヘッドグループ2に共通するカバー、整流板及び気流発生手段を設けるようにしてもよい。この場合には、ヘッドユニット100A自体を記録ヘッドとすることができる。
(他の実施形態)
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明の基本的な構成は上述したものに限定されるものではない。
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明の基本的な構成は上述したものに限定されるものではない。
例えば、上述した各実施形態の整流板30〜30Eでは、整流板30〜30Eを傾斜させることで、整流板30〜30Eに付着したインクをカバー20、20Aの内壁面側に移動させることができるが、カバー20、20Aの少なくとも整流板30〜30Eを保持する領域に、移動されたインクを吸水する吸水部材やインクを受ける空間を画成する樋部等を設けるようにしてもよい。このような例を図14に示す。なお、図14は、本発明の他の実施形態に係る記録ヘッドの変形例を示す要部断面図である。
図14(a)に示すように、インクジェット式記録ヘッド1F(以下、記録ヘッド1Fとも言う)は、ヘッド本体10と、カバー20と、整流板30と、気流発生手段40と、吸水部材50と、を有する。
吸水部材50は、記録ヘッド1Fのカバー20の整流板30を保持する領域に設けられており、多孔質材料等の吸水性を有する部材からなる。このようにカバー20の内壁面に吸水部材50を設けることで、整流板30によって移動されたインクを吸水部材50で吸水保持することができ、カバー20の内壁面に付着したインクが被噴射媒体である記録シートS上に落下して付着するのを抑制することができる。もちろん、吸水部材50は、カバー20の内壁面の全ての面に設けるようにしてもよい。
また、図14(b)に示すように、インクジェット式記録ヘッド1G(以下、記録ヘッド1Gとも言う)は、ヘッド本体10と、カバー20と、整流板30と、気流発生手段40と、樋部60と、を有する。
樋部60は、カバー20の内面の整流板30よりも被噴射媒体側(液体噴射面12とは反対側)に受けとなる空間が画成されるように液体噴射面12に相対向する領域に向かって突出して設けられている。また、樋部60は、カバー20の内壁面に液体噴射面12の周囲に亘って連続して設けられている。このようにカバー20に樋部60を設けることによって、整流板30によって移動されたインクを樋部60で保持することができ、カバー20の内壁面に付着したインクが被噴射媒体である記録シートS上に落下して付着するのを抑制することができる。
なお、図14に示す例は、実施形態1の変形例であるが、勿論、上述した実施形態2〜3についても同様に吸水部材50や樋部60を設けてもよい。
また、例えば、上述した例では、整流板30〜30Eとして、メッシュ状の材料を用いるようにしたが、上述したように整流板30〜30Eの材料や形状等は特にこれに限定されるものではない。ここで、整流板のその他の例を図15に示す。なお、図15は、他の実施形態に係る整流板の変形例を示すインクジェット式記録ヘッドの底面図である。
図15(a)に示すように、整流板30Fは、板状部材からなり、複数のノズル開口11に相対向する1つのスリット状の開口31Bが設けられている。このような整流板30Fでは、スリット状の開口31Bの長手方向に気流を発生させると、小液滴Cがスリット状の開口31Bを通過して被噴射媒体(記録シートS)に着弾してしまうため、スリット状の開口31Bの短手方向に沿って気流を発生させるようにすればよい。したがって、カバー20Bには、連通孔21Aをノズル開口11の並設方向と直交する側に設けるようにすればよい。
また、図15(b)に示すように、整流板30Gは、複数のノズル開口11に相対向する1つのスリット孔37を有し、スリット孔37内には開口31を有する整流板30が固定されている。すなわち、図15(b)に示す整流板30Gは、図15(a)に示す整流板30Fのスリット状の開口31Bの開口面積を広げ、その中に上述した実施形態1の整流板30を固定した構造を有する。このような整流板30Gでは、気流をノズル開口11の並設方向に沿って発生させても、また、ノズル開口11の並設方向とは交差する方向に沿って発生させてもよく、取り付け方向が制限されることがなくなる。
また、上述した各実施形態では、気流発生手段40、40Aを記録ヘッド1〜1Gに設けるようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、ヘッドユニット100、100A毎に1つの気流発生手段を設けてもよく、また、インクジェット式記録装置200に気流発生手段を設けるようにしてもよい。
また、上述した各実施形態の気流発生手段40、40Aとして、例えば、湿気を帯びた気体の気流を発生させるようにしてもよい。このように湿気を帯びた気流を発生させるには、加湿器等を設けるようにすればよい。このように、気流発生手段が湿気を帯びた気流を発生させることによって、気流発生手段の発生した気流によって、ノズル開口近傍の液体の乾燥が促進されるのを抑制して、液体の乾燥・硬化による吐出不良を低減することができる。
また、上述した各実施形態では、インクジェット式記録装置200として、記録ヘッド1〜1G(ヘッドユニット100)を固定し、記録シートSを搬送するだけで印刷を行う、所謂ライン型のインクジェット式記録装置200を例示したが、特にこれに限定されず、例えば、被噴射媒体に対して記録ヘッド1〜1G(ヘッドユニット100)を主走査方向に移動させながら印刷を行う、シリアル型のインクジェット式記録装置にも本発明を適用することができる。
なお、上記実施の形態においては、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを、また液体噴射装置の一例としてインクジェット式記録装置を挙げて説明したが、本発明は、広く液体噴射ヘッド及び液体噴射装置全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドや液体噴射装置にも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられ、かかる液体噴射ヘッドを備えた液体噴射装置にも適用できる。
A インク滴、 B 主滴、 C 小液滴、 1〜1G インクジェット式記録ヘッド(液体噴射ヘッド)、 2 ヘッドグループ、 10 ヘッド本体、 11 ノズル開口、 12 液体噴射面、 20、20A、20B カバー、 30〜30G 整流板、 31、31A、31B 開口、 33、34 スリット、 35、35A、35B、36、36A 開口形成部材、 40、40A 気流発生手段、 100、100A ヘッドユニット、 110 ベースプレート、 200 インクジェット式記録装置(液体噴射装置)
Claims (10)
- 液体を噴射するノズル開口を有するヘッド本体と、
前記ノズル開口が開口する液体噴射面の周囲に、前記液体の噴射方向に突出して設けられたカバーと、
該カバー内に前記液体噴射面から離れた位置に設けられて、前記ノズル開口に相対向する領域に開口が設けられた整流板と、
前記液体噴射面と前記整流板との間に当該液体噴射面の面方向に沿って気流を発生させる気流発生手段と、を具備し、
前記整流板が、前記液体噴射面に対して傾斜して設けられていることを特徴とする液体噴射ヘッド。 - 前記整流板は、一方向にスリットが並設された複数の開口形成部材を有し、当該開口形成部材が液体の噴射方向に一定の間隔を開けて、前記スリットの方向が交差するように配置されていることを特徴とする請求項1記載の液体噴射ヘッド。
- 前記整流板は、中央部が、端部よりも液体噴射面側に突出して設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体噴射ヘッド。
- 前記整流板は、少なくとも表面が撥水性を有する材料で形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。
- 前記ヘッド本体を複数具備し、前記カバーが複数の前記ヘッド本体の周囲に亘って連続して設けられていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。
- 前記整流板が、メッシュ状の材料からなることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。
- 前記気流発生手段が、湿気を帯びた気体の気流を発生させることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。
- 請求項1〜7の何れか一項に記載の液体噴射ヘッドを2以上具備することを特徴とする液体噴射ヘッドユニット。
- 請求項1〜7の何れか一項に記載の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置。
- 請求項8記載の液体噴射ヘッドユニットを具備することを特徴とする液体噴射装置。
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