JP2011177656A - 樹木枝由来吸着性材料およびその製造方法 - Google Patents

樹木枝由来吸着性材料およびその製造方法 Download PDF

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【課題】 樹木枝を原料として用いることで製造プロセスを軽減でき、それにより低コスト化を実現でき、なおかつ活性炭と同等の特性を備えた、樹木枝由来吸着性材料およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】 吸着性材料は樹木枝を原料とし、これを炭素化処理するだけで得られ、賦活処理を行う必要がない。得られる吸着性材料は、BET法により77Kにて炭素化物を粉砕せずに測定した比表面積が活性炭の比表面積以上である。また、酢酸水溶液蒸気吸着試験による酢酸除去性能が活性炭よりも高い。なお樹木枝として、リンゴ剪定枝を用いることができる。
【選択図】 図3

Description

本発明は樹木枝由来吸着性材料およびその製造方法に係り、特に、活性炭と同等の特性の実現を可能とする、樹木枝由来吸着性材料およびその製造方法に関する。
近年、地球温暖化の防止、循環型社会の形成および資源の有効活用などを背景として、様々な環境対策が取り組まれている。中でもバイオマスに関しては、「バイオマス・ニッポン総合戦略」の策定によって、リサイクル等の有効活用法が推進されている。その一つとして、種々のバイオマスに適応可能な炭素化処理が注目されている(参考文献1)が、処理後の用途として、多孔質炭素質吸着剤である活性炭への利用はその価値を高めると考えられ、環境と経済の両立を実現する可能性を有するものと期待されている。
<参考文献1:吉仲賢晴,福原知子,長谷川貴洋,岩崎 訓,安部郁夫:ファカルタ材からの炭素系吸着剤の製造とトリクロロエチレン除去への応用,廃棄物学会論文誌,Vol.19,No.5,pp.340(2008)>
一般に活性炭は、ヤシガラや木材等を、炭素化・賦活の二段階処理して製造され、具体的な用途としては、分離プロセス、精製、触媒、溶剤回収における利用等がある。活性炭は高比表面積であって、かつ多くの細孔を有した多機能材料であるが、その製造には従来、多段階のプロセスを必要としているのが現状である。
賦活のプロセスとしては、〈1〉炭素化によって得られた炭素質(以下:炭素化物)を熱処理する過程でガス等を注入するガス賦活法、〈2〉出発原料または炭素化物に塩化亜鉛等を含浸後、熱処理する薬品賦活法 の二つが一般的である。ガス賦活法は、炭素化された原料を高温で水蒸気、炭酸ガス、酸素、その他の酸化ガス等と接触反応させて微細な多孔質炭素質吸着剤をつくる方法であり、水蒸気賦活は750℃、炭酸ガス賦活は850℃よりも高い温度条件で進行するとされている。一方、薬品賦活法は、原料に塩化亜鉛等を含浸して焼成することで炭素質を侵食して脱水酸化、炭素化温度を低下させ、吸着機能を発現させる方法であり、賦活温度は400〜700℃とされている。
一方、木材中の微量な金属および非金属元素(以下、微量元素)は、シュウ酸塩、炭酸塩またはその他の塩として存在していると考えられている。これらは、炭素化時に〈1〉炭酸塩に含まれる炭酸ガスと炭素化物が反応、〈2〉微量元素が炭素化物を侵食して脱水酸化、の賦活効果を与える可能性が想定される。仮に、これらの処理と同等の効果の得られる微量元素が原料中に自然の状態で含有されていれば、賦活プロセスを省略し、炭素化のみによって高比表面積の炭素化物を得ることが可能であると考えられる。
そのような原料の候補として、幹の7〜10倍程度の微量元素を含有している木材の「枝」がある。従来、シダレヤナギ(非特許文献1)、ケヤキ・サクラ(非特許文献2)等の「枝」を原料として、比表面積1000m/gの活性炭が得られたとする報告がある。また、竹炭の低温空気酸化によって得る多孔質竹炭の比表面積に微量元素が関与しているとする報告(非特許文献3)がある。
安部郁夫,岩崎訓,住野健一,川口雅之:シダレヤナギからの木炭および活性炭の製造とその特性,科学と工業,Vol.77,No. 9, pp.478-484(2003) 石田哲夫,川村和弘,湯川茂夫,三沢隆弘,飯田雅敏:せん定枝の炭化による有効利用の研究,川崎市公害研究所年報,No.28 ,pp.29-34(2001) 山下範之,町田 基,相川正美,立本英機:低温空気酸化による多孔質竹炭の調製,木材学会誌,Vol.55,No.5,pp.299-304(2009)
さて上述のとおり、活性炭は高比表面積かつ細孔の多い多機能材料であるが、その製造には多段階のプロセスを要する。バイオマス原料の特性等を活用してかかるプロセスの一部を省略あるいは改良することにより、従来の活性炭と同等の機能を低価格で製造・提供することができれば、環境・経済性両面においてメリットが大きい。
上述非特許文献1、2は、シダレヤナギやケヤキ等の「枝」を原料として、一般的な活性炭を上回る1000m/gもの比表面積の活性炭を得る技術を開示しているが、これらはいずれも賦活処理を施したものであり、微量元素の効果のみで1000m/gあるいはそれを超える比表面積を発現させたものではない。また非特許文献3が開示する多孔質竹炭技術は、一般的な活性炭の比表面積800〜2000m/g(参考文献2)よりも低い463m/gであり、従来の活性炭と比肩し得る比表面積を備えた炭素化物は得られていないのが現状である。
<参考文献2:吉田弘之他:多孔質吸着材ハンドブック,フジテクノシステム,p84(2005)>
本発明が解決しようとする課題は、かかる従来技術の問題点を踏まえ、樹木枝を原料として用いることで製造プロセスを軽減でき、それにより低コスト化を実現でき、なおかつ活性炭と同等の特性を備えた、樹木枝由来吸着性材料およびその製造方法を提供することである。
さて、国内のリンゴ生産量の約半分を産する青森県では、リンゴ園管理において切られた枝(以下「リンゴ剪定枝」)が廃材として大量に産出され、その有効利用が求められている。本願発明者は、このリンゴ剪定枝を新規な活性炭の原料とすることを着想し、リンゴ剪定枝から調製した炭素化物の炭素化物収率や比表面積、酢酸除去特性に及ぼす炭素化温度の影響の検討等を通して、従来の活性炭と同等、あるいはそれを超える比表面積や酢酸除去特性を備えた炭素化物調製が可能であることを見出し、これにより上述課題を解決できるとの結論に至り、本発明の完成に至った。すなわち、上記課題を解決するための手段として本願で特許請求される発明、もしくは少なくとも開示される発明は、以下の通りである。
〔1〕 樹木枝が賦活処理されることなく炭素化処理されてなる、吸着性材料。
〔2〕 BET法により77Kにて炭素化物を粉砕せずに測定した比表面積が600m/g以上であることを特徴とする、〔1〕に記載の吸着性材料。
〔3〕 BET法により77Kにて炭素化物を粉砕せずに測定した比表面積が活性炭の比表面積以上であることを特徴とする、〔1〕に記載の吸着性材料。
〔4〕 酢酸水溶液蒸気吸着試験による酢酸除去性能が活性炭よりも高いことを特徴とする、〔1〕ないし〔3〕のいずれかに記載の吸着性材料。
〔5〕 前記樹木枝はリンゴの枝であることを特徴とする、〔1〕ないし〔4〕のいずれかに記載の吸着吸着性材料。
〔6〕 賦活処理が不要である程度に灰分を含有する樹木枝を、賦活処理することなく炭素化処理する、吸着性材料の製造方法。
〔7〕 前記炭素化処理は800℃以上にてなされることを特徴とする、〔6〕に記載の吸着性材料の製造方法。
〔8〕 前記炭素化処理は900℃以上にてなされることを特徴とする、〔6〕に記載の吸着性材料の製造方法。
〔9〕 前記樹木枝はリンゴの枝であることを特徴とする、〔6〕ないし〔8〕のいずれかに記載の吸着性材料の製造方法。
本発明の樹木枝由来吸着性材料およびその製造方法は上述のように構成されるため、これによれば、樹木枝を原料として用いて従来よりも製造プロセスを軽減でき、それにより低コスト化を実現でき、なおかつ活性炭と同等あるいはそれを超える特性の吸着性材料を得ることができる。
実施例に後述するように、原料樹木として特にリンゴ剪定枝を用いる本発明吸着性材料(炭素化物)の比表面積は、炭素化温度800℃で調製する場合は696m/g、900℃では1066m/gもの高い値を示し、特に900℃では活性炭よりも大きい比表面積の吸着性材料を得ることができる。また酢酸除去率も、炭素化温度900℃で調製する場合、活性炭よりも高い性能を得られる。つまりリンゴ剪定枝を原料として用いる本発明によれば、活性炭よりも大きい比表面積と高い酢酸除去性能を有する吸着性材料を得ることができる。
本実施例における炭素化温度と炭素化物収率との関係を示すグラフである。 本実施例における炭素化温度と比表面積との関係を示すグラフである。 本実施例における試験回数と酢酸除去率との関係を示すグラフである。
本発明について、さらに詳細に説明する。
本発明吸着性材料は樹木枝を原料とし、これを炭素化処理するだけで得られるものであり、従来のような賦活処理を行う必要がないことを、主たる構成とする。実施例に後述するように本吸着性材料は、BET法により77Kにて炭素化物を粉砕せずに測定した比表面積が600m/g以上、またはさらには活性炭の比表面積以上である。また、酢酸水溶液蒸気吸着試験による酢酸除去性能も、活性炭よりも高い。
特に本発明では、樹木枝としてリンゴの枝を用いることができる。たとえばリンゴ栽培において大量に産出される廃材であるリンゴ剪定枝を用いることにより、廃棄物処理・有効利用にもなるという利点がある。もっとも本発明をこれに限定せず、他の樹木枝を用いることとしてもよい。要するに樹木枝は、賦活処理が不要である程度に灰分を含有するものであれば、本発明の原料として用いることができる。
なお原料樹木枝の炭素化処理は、800℃以上にて行うこと、さらに好適には900℃以上にて行うことが望ましい。900℃以上とすることにより、活性炭に近似・同等ないしはそれを超える吸着性材料としての特性を確実に発現できるからである。
以下、本発明を実施例によってさらに説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。なお本実施例は、本発明に至る実験および考察経過を示すものである。
1.実験方法
1.1炭素化物の調製
炭素化物の原料としては、リンゴ剪定枝をハンマークラッシャーでチップ化し、ふるいにかけた2〜4mmのものを用いた。炭素化は、炭化賦活炉(ウエーブ二十一社製、T−2000L)を用いて、80℃、10時間乾燥したチップを2Lキルン容器に100g投入し、窒素ガス1L/minを流通させながら、昇温速度5℃/min、最高到達温度600℃、700℃、800℃、900℃、保持時間1時間の条件で行った。
リンゴ剪定枝の各炭素化温度での炭素化物収率YCa(%)は、炭素化後の試料の質量:W(g)および炭素化前の原料の質量:W(g)、から以下の(1)式より求めた。

Ca = W/W×100 (1)
また、リンゴ剪定枝の灰分YAsh(%)は、剪定枝1gを磁性皿に入れ、110℃、24時間乾燥後の質量:W(%)、および加熱炉で800℃、2時間加熱後の質量:W(%)、から以下の(2)式より求めた。

Ash = W/W×100 (2)

さらに、エネルギー分散形蛍光X線分析装置(島津製作所社製、Rayny EDX−800HS)を用いて灰の成分を測定した。
1.2比表面積および酢酸除去率の評価
比表面積は、比表面積測定装置(島津製作所社製、フローソーブII)を用いて、BET法により77Kにて炭素化物を粉砕せずに測定を行った。酢酸除去性能の評価は、酢酸水溶液の蒸気吸着試験を行った。酢酸除去率R(%)は、105℃、24時間乾燥した炭素化物等0.03gをそれぞれ直径95mmのシャーレに広げ、3Lデシケーター中にセット後、蒸留水で30倍希釈の酢酸(関東化学社製)20μLを滴下、25℃、4時間放置し、酢酸用検知管(ガステック社製、酢酸用81)を用いて測定した値:A(ppm)および同時に行ったブランク試験を測定した値:A(ppm)、から、以下の(3)式より求めた。

R = A/A×100 (3)
同サンプルを繰り返し用いて、酢酸水溶液滴下より検知管での測定を12回まで行った。また比較用として、ふるいにかけた0.5〜1mmの活性炭(クラレケミカル社製、クラレコールGG)を用いて、リンゴ剪定枝より調製した炭素化物と同様の方法にて比表面積および酢酸除去率の測定を行った。
2.結果および考察
2.1炭素化温度と炭素化物収率との関係
図1は、本実施例における炭素化温度と炭素化物収率との関係を示すグラフである。なおグラフ中には、吉仲らの研究データ(前掲参考文献1)も参考として挿入した。広葉樹のファルカタ材および針葉樹のアカマツ材は炭素化温度が高くなるにしたがって炭素化物収率が若干低くなるものの、600〜900℃の範囲でそれぞれ22%および19%前後であり、炭素化温度による大きな違いは確認されなかった。
それに対してリンゴ剪定枝は、600℃でファルカタ材およびアカマツ材の炭素化物収率よりも高かったが、炭素化温度が高くなるにしたがって急激に低くなり、800℃で18.5%、900℃で8.4%を示し、特に900℃では各参考データよりも低い炭素化物収率を示す原料であることがわかった。また、リンゴ剪定枝の灰分は2.1%であった。従来の研究においては、スギやブナ等多くの木材の灰分は0.3〜0.6程度(参考文献3)とされていることから、リンゴ剪定枝は木材の中でも特に灰分を多く含むものであることがわかった。
<参考文献3:原口隆英他:木材の化学,文永堂出版,p4(1985)>
表1に、リンゴ剪定枝の灰分中に含まれている元素とそれらの比率を示した。リンゴ剪定枝に含まれる微量元素の中ではCaが90%近くを占めて最も多く、次いでP、Kの順であった。木材の微量元素は、シュウ酸塩、炭酸塩またはその他の塩として存在していること(参考文献4)から、剪定前のリンゴの枝には、シュウ酸カルシウム、炭酸カルシウム等のカルシウム塩が最も多く存在していると推察された。
<参考文献4:山下範之,町田 基,相川正美,立本英機:低温空気酸化による多孔質竹炭の調製,木材学会誌,Vol.55,No.5,pp.299-304(2009)>
Figure 2011177656
2.2炭素化温度と比表面積との関係
図2は、本実施例における炭素化温度と比表面積との関係を示すグラフである。ファカルタ材およびアカマツ材は、炭素化温度600〜900℃の範囲で全てが比表面積300〜500m/gの範囲内であり、炭素化温度による大きな違いは確認されなかった。一方リンゴ剪定枝は、600℃、700℃においてはファカルタ材やアカマツ材の比表面積に近かったものの、炭素化温度が高くなるにしたがって比表面積が急激に大きくなり、800℃では696m/g、900℃では1066m/gであった。一方、活性炭の比表面積は994m/gであった。したがって、900℃で処理した本実施例炭素化物の比表面積は活性炭よりも大きくなることがわかった。
図1および図2より、リンゴ剪定枝から調製した炭素化物はファカルタ材やアカマツ材と異なって、炭素化温度800℃以上で急激に炭素化物収率が低下し、また比表面積が大きくなることより、この温度域において、比表面積を増大させる何らかの反応が起こったものと考えられた。
薬品賦活の処理温度は400〜700℃であるのに対して、ガス賦活では水蒸気750℃、炭酸ガス850℃以上の温度条件で進行する(参考文献5)とされていることから、リンゴ剪定枝から調製した炭素化物の比表面積が800℃以上で増大した機作は次のように考えられる。すなわち、炭素化処理過程において500℃の温度域を経ることにより、リンゴ剪定枝中のシュウ酸塩が炭酸塩(前掲参考文献4)に、具体的には主として炭酸カルシウムに変化する。
<参考文献5:真田雄三,鈴木基之,藤元 薫:新版活性炭 基礎と応用,講談社 サイエンティフィック,pp.47-54(1992)>
次いで、新たに生成した炭酸カルシウムと、炭素化処理以前からリンゴ剪定枝中に存在していた炭酸カルシウム等とが、800℃以降の温度域において炭酸ガスを発生する。この炭酸ガスが、被処理物(リンゴ剪定枝を原料とした炭素化物)に対して炭酸ガス賦活を与える、というものである。
2.3 炭素化温度と酢酸除去率との関係
図3は、本実施例における試験回数と酢酸除去率との関係を示すグラフである。酢酸除去率は、試験回数が多くなるにしがって低くなる傾向を示した。試験回数12回目での酢酸除去率は、炭素化温度600℃、700℃では15%以下、炭素化温度800℃では24%であったのに対し、900℃では56%であった。本実施例炭素化物の酢酸除去性能は、炭素化温度600℃、700℃では活性炭よりも低かったが、800℃でほぼ同程度、900℃では活性炭よりも高く、かつ持続性にも優れていることがわかった。
炭素化温度900℃で調製した本実施例炭素化物における酢酸除去性能およびその持続性の高さは、上述の比表面積における差以上に、従来の活性炭に優るものである。これは、リンゴ剪定枝から調製した炭素化物が酢酸水溶液の蒸気等気相に適した細孔をより多く有すること、また酢酸水溶液の蒸気と炭酸カルシウムより変化した酸化カルシウム等を含有する灰分が中和反応を起こしたこと等が考えられる。
本実施例実験結果から、リンゴ剪定枝を炭素化温度900℃以上で炭素化処理することによって、活性炭よりも大きい比表面積と高い酢酸除去性能ならびにその持続性を備えた炭素化物(吸着性材料)を得られることがわかった。また、賦活プロセス省略可能な吸着性材料の原料として、リンゴ剪定枝が好適であることがわかった。
本発明の樹木枝由来吸着性材料およびその製造方法によれば、樹木枝を原料として用いて製造プロセス軽減と低コスト化を実現でき、さらに、少なくとも比表面積と酢酸除去性能の点で活性炭と同等あるいはそれを超える特性の吸着性材料を得ることができる。つまり本発明によれば、バイオマス原料の特性を活用して従来の活性炭製造プロセスを軽減しつつ、活性炭と同等以上の機能を提供することができるため、環境・経済性両面においてメリットが大きい。
また、原料としてリンゴ剪定枝を用いる本発明の実施は、廃棄物として大量に産出されるリンゴ剪定枝の有効利用につながるという利点もあり、関連する産業分野において、利用性の高い発明である。

Claims (9)

  1. 樹木枝が賦活処理されることなく炭素化処理されてなる、吸着性材料。
  2. BET法により77Kにて炭素化物を粉砕せずに測定した比表面積が600m/g以上であることを特徴とする、請求項1に記載の吸着性材料。
  3. BET法により77Kにて炭素化物を粉砕せずに測定した比表面積が活性炭の比表面積以上であることを特徴とする、請求項1に記載の吸着性材料。
  4. 酢酸水溶液蒸気吸着試験による酢酸除去性能が活性炭よりも高いことを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の吸着性材料。
  5. 前記樹木枝はリンゴの枝であることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載の吸着吸着性材料。
  6. 賦活処理が不要である程度に灰分を含有する樹木枝を、賦活処理することなく炭素化処理する、吸着性材料の製造方法。
  7. 前記炭素化処理は800℃以上にてなされることを特徴とする、請求項6に記載の吸着性材料の製造方法。
  8. 前記炭素化処理は900℃以上にてなされることを特徴とする、請求項6に記載の吸着性材料の製造方法。
  9. 前記樹木枝はリンゴの枝であることを特徴とする、請求項6ないし8のいずれかに記載の吸着性材料の製造方法。

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