JP2011174442A - エンジンのバルブタイミング制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 エンジンの燃費の向上を図りながら、エンジンの燃焼や運転安定性が悪化する事態を抑制することができるようにする。
【解決手段】 エンジン負荷演算手段42によって演算されたエンジン負荷TQが低中トルク閾値TQth2以上の場合、吸気行程中に第1排気弁28Rおよび第1吸気弁27Fがともに閉弁する(ネガティブオーバラップ期間が設定される)ように吸気弁制御機構32および排気弁制御機構33を制御するバルブ制御手段43を有するように構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車に用いて好適な、エンジンのバルブタイミング制御装置に関するものである。
近年、吸気効率の向上、排気ガス中のNOxや未燃のHCの低減、および、排気再循環ガス(Exhaust Gas Recirculation Gas、以下、EGRガスとも言う)の導入等を目的として、吸気弁や排気弁のバルブリフト特性を可変とする可変動弁機構付きのエンジンが実用化されている。なお、このような技術を開示する文献としては、例えば、以下の特許文献1が挙げられる。
この特許文献1においては、エンジンの高負荷時に、吸気弁および排気弁が共に開いている期間(いわゆる、バルブオーバラップ期間)を設けるようになっている。
特開2009−138655号公報
しかしながら、エンジンの負荷は一定ではなく、時々刻々と変化しており、単に、エンジンの高負荷時にバルブオーバラップ期間を設定しただけでは、エンジンの燃焼や運転安定性が悪化する事態を招いてしまう。
本発明はこのような課題に鑑み案出されたもので、エンジンの燃費の向上を図りながら、エンジンの燃焼や運転安定性が悪化する事態を抑制することができる、エンジンのバルブタイミング制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明のエンジンのバルブタイミング制御装置は、一気筒に対して、第1吸気弁と第1排気弁とが設けられたエンジンのバルブタイミングを制御する装置であって、該第1吸気弁のバルブ位相を変更する吸気弁制御機構と、該第1排気弁のバルブ位相を変更する排気弁制御機構と、該エンジンの負荷を演算するエンジン負荷演算手段と、該吸気弁制御機構および該排気弁制御機構を制御するバルブ制御手段とを備え、該バルブ制御手段は、該エンジン負荷演算手段によって演算された該エンジン負荷が低中トルク閾値以上の場合、吸気行程中に該第1排気弁および該第1吸気弁がともに閉弁するように該吸気弁制御機構および該排気弁制御機構を制御することを特徴としている。
また、該バルブ制御手段は、該エンジン負荷演算手段によって演算された該エンジン負荷が該低中トルク閾値以上の場合、該エンジン負荷が該低中トルク閾値よりも低い場合よりも、該第1吸気弁の開弁時期を吸気行程中で遅角させるように該吸気弁制御機構を制御することも特徴としている。
また、該バルブ制御手段は、該エンジン負荷演算手段によって演算された該エンジン負荷が該低中トルク閾値以上の場合、該第1排気弁の閉弁時期を排気上死点または吸気行程中となるように該排気弁制御機構を制御することも特徴としている。
また、該エンジンの該一気筒に対して第2吸気弁と第2排気弁とがさらに備えられ、該吸気弁制御機構は、該第1吸気弁および該第2吸気弁のバルブ位相を変更し、該排気弁制御機構は、該第1排気弁および該第2排気弁のバルブ位相を変更し、該バルブ制御手段は、該エンジン負荷演算手段によって演算された該エンジン負荷が該低中トルク閾値以上の場合、吸気行程中に該第1吸気弁,該第2吸気弁,該第1排気弁および該第2排気弁がすべて閉弁するように該吸気弁制御機構および該排気弁制御機構を制御することも特徴としている。
また、該バルブ制御手段は、該エンジン負荷演算手段によって演算された該エンジン負荷が該低中トルク閾値以上の場合、該エンジン負荷が該低中トルク閾値よりも低い場合よりも、該第1吸気弁の開弁時期および該第2吸気弁の開弁時期を吸気行程中で遅角させるように該吸気弁制御機構を制御することも特徴としている。
また、該バルブ制御手段は、該エンジン負荷演算手段によって演算された該エンジン負荷が該低中トルク閾値以上の場合、該第1排気弁の閉弁時期および該第2排気弁の閉弁時期を排気上死点または吸気行程中となるように該排気弁制御機構を制御することも特徴としている。
また、該バルブ制御手段は、該エンジン負荷演算手段によって演算された該エンジン負荷が該低中トルク閾値よりも低い状態と該低中トルク閾値よりも高い中高トルク閾値以上との間で変化した場合、吸気行程中に該第1吸気弁および該第1排気弁がともに閉弁するように該吸気弁制御機構および該排気弁制御機構を制御し、その後、該第1吸気弁および該第1排気弁がともに開弁するように該吸気弁制御機構および該排気弁制御機構を制御することも特徴としている。
また、該バルブ制御手段は、該エンジン負荷演算手段によって演算された該エンジン負荷が該低中トルク閾値よりも低い状態と該低中トルク閾値よりも高い該中高トルク閾値以上との間で変化した場合、吸気行程中に該第1吸気弁および該第1排気弁がともに閉弁するように該吸気弁制御機構および該排気弁制御機構を制御し、その後、該第1吸気弁の開弁時期を進角させるように該吸気弁制御機構を制御することも特徴としている。
また、該バルブ制御手段は、該エンジン負荷演算手段によって演算された該エンジン負荷が該低中トルク閾値よりも低い状態と該低中トルク閾値よりも高い該中高トルク閾値以上との間で変化した場合、吸気行程中に該第1吸気弁および該第1排気弁がともに閉弁するように該吸気弁制御機構および該排気弁制御機構を制御し、その後、該第1排気弁の閉弁時期を遅角させるように該排気弁制御機構を制御することも特徴としている。
また、該バルブ制御手段は、該エンジン負荷演算手段によって演算された該エンジン負荷が該低中トルク閾値よりも低い状態と該低中トルク閾値よりも高い中高トルク閾値以上との間で変化した場合、吸気行程中に該第1吸気弁,該第2吸気弁,該第1排気弁および該第2排気弁がすべて閉弁するように該吸気弁制御機構および該排気弁制御機構を制御し、その後、該第1吸気弁および該第2吸気弁の少なくとも1つと、該第1排気弁および該第2排気弁の少なくとも1つとがともに開弁するように該吸気弁制御機構および該排気弁制御機構を制御することも特徴としている。
また、該バルブ制御手段は、該エンジン負荷演算手段によって演算された該エンジン負荷が該低中トルク閾値よりも低い状態と該低中トルク閾値よりも高い該中高トルク閾値以上との間で変化した場合、吸気行程中に該第1吸気弁,該第2吸気弁,該第1排気弁および該第2排気弁がすべて閉弁するように該吸気弁制御機構および該排気弁制御機構を制御し、その後、該第1吸気弁および該第2吸気弁のうち進角している方の開弁時期を進角させるように該吸気弁制御機構を制御することも特徴としている。
また、該バルブ制御手段は、該エンジン負荷演算手段によって演算された該エンジン負荷が該低中トルク閾値よりも低い状態と該低中トルク閾値よりも高い該中高トルク閾値以上との間で変化した場合、吸気行程中に該第1吸気弁,該第2吸気弁,該第1排気弁および該第2排気弁がすべて閉弁するように該吸気弁制御機構および該排気弁制御機構を制御し、その後、該第1排気弁および該第2排気弁のうち遅角している方の閉弁時期を遅角させるように該排気弁制御機構を制御することも特徴としている。
本発明のエンジンのバルブタイミング制御装置によればエンジンの燃費の向上を図りながら、エンジンの負荷や回転数が過渡的に変化する状況下においても、エンジンの燃焼性や運転安定性が悪化する事態を抑制することができる。
本発明の一実施形態に係るエンジンのバルブタイミング制御装置の全体構成を示す模式的なブロック図である。 本発明の一実施形態に係るエンジンのバルブタイミング制御装置が適用されたエンジンの燃焼室を模式的に示す上面図である。 本発明の一実施形態に係るエンジンのバルブタイミング制御装置が適用されたエンジンのバルブ位相の目標値を示す、模式的なバルブリフト特性線であって、(A)がアイドル時,(B)が低回転低負荷時,(C)が低回転高負荷時,(D)が高回転高負荷時,(E)が低高回転中負荷または高回転低負荷時を示す。 本発明の一実施形態に係るエンジンのバルブタイミング制御装置で用いられるバルブタイミングマップを示す模式図である。 本発明の一実施形態に係るエンジンのバルブタイミング制御装置が適用された、エンジンのバルブ位相を示す模式的なバルブリフト特性線であって、エンジンが「低回転低負荷」状態にある場合を示す。 本発明の一実施形態に係るエンジンのバルブタイミング制御装置が適用された、エンジンのバルブ位相を示す模式的なバルブリフト特性線であって、エンジンの運転状態が、「低回転低負荷」から「低回転高負荷」に移行する場合、または、「低回転高負荷」から「低回転低負荷」に移行する場合を示す。 本発明の一実施形態に係るエンジンのバルブタイミング制御装置が適用された、エンジンのバルブ位相を示す模式的なバルブリフト特性線であって、エンジンの運転状態が「低回転低負荷」から「低回転高負荷」へ移行し終わった場合を示す。 本発明の一実施形態に係るエンジンのバルブタイミング制御装置が適用された、エンジンのバルブ位相を示す模式的なバルブリフト特性線であって、エンジンの運転状態が、「低回転低負荷」から「高回転高負荷」に移行する場合、または、「高回転高負荷」から「低回転低負荷」に移行する場合を示す。 本発明の一実施形態に係るエンジンのバルブタイミング制御装置が適用された、エンジンのバルブ位相を示す模式的なバルブリフト特性線であって、エンジンの運転状態が、「低回転低負荷」から「高回転高負荷」へ移行し終わった場合を示す。 本発明の一実施形態に係るエンジンのバルブタイミング制御装置が適用された、エンジンのバルブ位相を示す模式的なバルブリフト特性線であって、エンジンの運転状態が、「低高回転中負荷または高回転低負荷」にある場合を示す。 本発明の一実施形態に係るエンジンのバルブタイミング制御装置において、エンジンの運転状態を判定する制御を示す模式的なフローチャートである。 本発明の一実施形態に係るエンジンのバルブタイミング制御装置において、エンジンの運転状態が「低回転低負荷」である場合のバルブタイミング制御を示す模式的なフローチャートである。 本発明の一実施形態に係るエンジンのバルブタイミング制御装置において、エンジンの運転状態が「低回転低負荷」である場合に、燃焼室内で生じるスワール流を示す模式的な上面図である。 本発明の一実施形態に係るエンジンのバルブタイミング制御装置において、エンジンの運転状態が「低回転低負荷」である場合に、燃焼室内で生じるスワール流を示す模式的な側面図である。 本発明の一実施形態に係るエンジンのバルブタイミング制御装置において、エンジンの運転状態が、「低回転低負荷」である場合に、燃焼室内で生じるスワール流を示す模式的な上面図あって、吸気行程中期を示す。 本発明の一実施形態に係るエンジンのバルブタイミング制御装置において、エンジンの運転状態が「低回転低負荷」である場合に、燃焼室内で生じるスワール流を示す模式的な側面図である。 本発明の一実施形態に係るエンジンのバルブタイミング制御装置において、エンジンの運転状態が、「低回転低負荷」である場合に、燃焼室内で生じるスワール流を示す模式的な側面図あって、圧縮行程終期を示す。 本発明の一実施形態に係るエンジンのバルブタイミング制御装置において、エンジンの運転状態が、「低回転低負荷」から「低回転高負荷」または「高回転高負荷」へ移行する場合のバルブタイミング制御を示す模式的なフローチャートである。 本発明の一実施形態に係るエンジンのバルブタイミング制御装置において、エンジンの運転状態が、「低回転高負荷」または「高回転高負荷」から「低回転低負荷」へ移行する場合のバルブタイミング制御を示す模式的なフローチャートである。 本発明の一実施形態に係るエンジンのバルブタイミング制御装置において、エンジンの運転状態が、「低高回転中負荷または高回転低負荷」である場合のバルブタイミング制御を示す模式的なフローチャートである。 本発明の一実施形態の変形例に係るエンジンのバルブタイミング制御装置が適用された、エンジンのバルブ位相を示す模式的なバルブリフト特性線であって、エンジンが「低回転低負荷」状態にある場合を示す。
図1に示す符号11はエンジンであり、ここではガソリンエンジン(エンジン)を例示する。なお、このエンジン11は多気筒エンジンであるものの、説明の都合上、ここでは1つのシリンダ14のみを示す。
また、このエンジン11は、シリンダヘッド12とシリンダブロック13とを主に有している。
シリンダ14内にはピストン15が設けられ、このシリンダ14内を往復運動するようになっている。
また、このピストン15の上方には、燃焼室16が形成されている。この燃焼室16は、シリンダヘッド12の下面に形成されたペントルーフ17(図2参照)と、シリンダ14と、ピストン15の頂面15aとによって囲まれた空間である。
また、シリンダヘッド12には、その先端が燃焼室16内に突出した点火プラグ18が設けられている。
シリンダヘッド12に形成された吸気ポート19には、インジェクタ21が設けられている。また、この吸気ポート19には、吸気マニホールド22が接続されている。
また、シリンダヘッド12に形成された排気ポート23には、排気マニホールド24が接続されている。
また、吸気マニホールド22の上流端にはスロットルバルブ25が設けられている。このスロットルバルブ25の開度θTは、スロットルバルブ開度センサ26によって検出されるようになっている。なお、このスロットルバルブ開度θTは、後述するECU(Electric Control Unit)40によって読み込まれるようになっている。
また、このエンジン11には、クランクシャフト(図示略)の角度θCLを検出するクランクシャフト角度センサ(図示略)が設けられている。なお、このクランクシャフト角度センサによる検出結果θCLも、後述するECU40によって読み込まれるようになっている。
また、図2に示すように、シリンダヘッド12のペントルーフ17の吸気側壁部17aには、燃焼室16に対して吸気ポート19,19を開閉する一組の吸気弁27F,27Rが設けられている。また、ペントルーフ17の排気側壁部17bには、燃焼室16に対して排気ポート23,23を開閉する一組の排気弁28F,28Rが設けられている。
つまり、ペントルーフ17の吸気側壁部17aには、エンジン11の前方側に配設された前方吸気弁(第1吸気弁)27Fと、エンジン11の後方側に配設された後方吸気弁(第2吸気弁)27Rとが並んで設けられている。
一方、ペントルーフ17の排気側壁部17bには、エンジン11の前方側に配設された前方排気弁(第2排気弁)28Fと、エンジン11の後方側に配設された後方排気弁(第1排気弁)28Rとが並んで設けられている。
また、前方吸気弁27Fと前方排気弁28Fとは互いに対向して配設されている。また、後方吸気弁27Rと後方排気弁28Rとは互いに対向して配設されている。
さらに、図1に示すように、このエンジン11には、吸気側VVT機構(バルブ制御機構,吸気弁制御機構)32および排気側VVT機構(バルブ制御機構,排気弁制御機構)33が設けられている。なお、VVTは、Variable Valve Timing(可変バルブタイミング)の略称である。
前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rは、図1に示す、吸気カムシャフト29に形成された前方吸気カム(図示略)および後方吸気カム(図示略)の動きにそれぞれ追従して開閉する機械式の弁である。同様に、前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rは、排気カムシャフト31に形成された前方排気カム(図示略)および後方吸気カム(図示略)の動きにそれぞれ追従して開閉する機械式の弁である。
これらのうち、前方吸気カムは、吸気カムシャフト29に切り出し加工で形成された固定カムであり、一方、後方吸気カムは、吸気カムシャフト29に回転可能に外嵌した可動カムである。
また、前方排気カムおよび後方排気カムは、ともに、排気カムシャフト31に切り出し加工で形成された固定カムである。
そして、吸気側VVT機構32は、固定の前方吸気カムと可動の後方吸気カムとの相対位相を変更するとともに、クランクシャフト(図示略)と吸気カムシャフト29との相対角度を変更することで、前方吸気弁27Fのバルブ位相と、後方吸気弁27Rのバルブ位相とを変更できるようになっている。
また、排気側VVT機構33は、クランクシャフト(図示略)と排気カムシャフト31との相対角度を変更することで、前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rのバルブ位相を変更できるようになっている。
なお、本実施形態において、吸気側VVT機構32のうちクランクシャフト(図示略)と吸気カムシャフト29との相対角度を変更する機構、および、排気側VVT機構33のうちクランクシャフト(図示略)と排気カムシャフト31との相対角度を変更する機構は、特許第3498784号公報に開示された技術が適用されている。
そして、図1に示すように、このエンジン11には、ECU40が設けられている。このECU40は、いずれも図示しない、CPU(Central Processing Unit)およびメモリを有する電子制御ユニットである。
また、このECU40のメモリには、いずれもソフトウェアプログラムとして、エンジン回転数演算部(エンジン回転数演算手段)41,エンジン負荷演算部(エンジン負荷演算手段)42,VVTコントローラ(バルブ制御手段)43および目標タイミング設定部(目標タイミング設定手段)44が記録されている。さらに、このECU40のメモリには、図4を用いて後述するバルブタイミングマップ45も記録されている。
これらのうち、エンジン回転数演算部41は、クランクシャフト角度センサ(図示略)から読み込んだクランクシャフト角度θCLに基づいて、エンジン11の回転数NEを演算するものである。
エンジン負荷演算部42は、スロットルバルブ開度センサ26から読み込んだスロットルバルブ開度θTに基づいて、エンジン11の負荷を示すパラメータとしてエンジントルク(エンジン負荷)TQを演算するものである。
VVTコントローラ43は、吸気側VVT機構32を制御することで、前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rのバルブ位相を、それぞれ独立して変更するものである。また、このVVTコントローラ43は、排気側VVT機構33を制御することで、前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rのバルブ位相をともに変更するものである。
目標タイミング設定部44は、図3に示すように、前方吸気弁27Fの開弁時期IOF,後方吸気弁27Rの開弁時期IOR,前方排気弁28Fの閉弁時期ECFおよび後方排気弁28Rの閉弁時期ECRの各目標値(目標第1吸気開弁時期,目標第2吸気開弁時期,目標第2排気閉弁時期,目標第1排気閉弁時期)を設定するものである。
ここで、図4に示すバルブタイミングマップ45について説明する。
このバルブタイミングマップ45の縦軸には、エンジン11の負荷を示すパラメータとして、エンジントルクTQが規定されるとともに、アイドルトルク閾値TQth1,低中トルク閾値TQth2および中高トルク閾値TQth3が規定されている。なお、エンジントルクTQは、上述のとおり、エンジン負荷演算部42によって演算されるようになっている。
また、上記のアイドルトルク閾値TQth1,低中トルク閾値TQth2および中高トルク閾値TQth3は、以下の式(1)が成立するように設定されている。
TQth1<TQth2<TQth3 ・・・(1)
なお、目標タイミング設定部44は、エンジントルクTQが、アイドルトルク閾値TQth1未満であれば、エンジン11はアイドル負荷状態にあると判定するようになっている。また、目標タイミング設定部44は、エンジントルクTQが、アイドルトルク閾値TQth1以上で且つ低中トルク閾値TQth2未満であれば、エンジン11は低負荷状態にあると判定するようになっている。また、目標タイミング設定部44は、エンジントルクTQが、低中トルク閾値TQth2以上で且つ中高トルク閾値TQth3未満であれば、エンジン11は中負荷状態にあると判定するようになっている。また、目標タイミング設定部44は、エンジントルクTQが、中高トルク閾値TQth3以上であれば、エンジン11は高負荷状態にあると判定するようになっている。
一方、このバルブタイミングマップ45の横軸には、エンジン11の運転速度を示すパラメータとしてエンジン回転数NEが規定されるとともに、アイドル回転数閾値NEth1,低高回転数閾値NEth2が規定されている。なお、目標タイミング設定部44は、エンジン回転数NEが、アイドル回転数閾値NEth1未満であれば、エンジン11はアイドル回転状態にあると判定するようになっている。また、目標タイミング設定部44は、エンジン回転数NEが、アイドル回転数閾値NEth1以上であり且つ低高回転数閾値NEth2未満であれば、エンジン11は低回転状態にあると判定するようになっている。また、目標タイミング設定部44は、エンジン回転数NEが、低高回転数閾値NEth2以上であれば、エンジン11は高回転状態にあると判定するようになっている。
また、このバルブタイミングマップ45には、A領域(アイドル領域)45A,B領域(低回転低負荷領域)45B,C領域(低回転高負荷領域)45C,D領域(高回転高負荷領域)45DおよびE領域(低高回転中負荷または高回転低負荷領域)45Eがそれぞれ規定されている。詳細には、A領域45Aは、エンジントルクTQが、アイドルトルク閾値TQth1である点と、エンジン回転数NEが、アイドル回転数閾値NEth1である点とを結ぶ曲線で囲まれる領域である。また、B領域45Bは、エンジントルクTQが、低中トルク閾値TQth2である点と、エンジン回転数NEが、低高回転数閾値NEth2である点とを結ぶ曲線で囲まれる領域のうち、A領域45A以外の領域である。また、E領域45Eは、エンジン回転数NEに関わらず、エンジントルクTQが、中高トルク閾値TQth3未満である領域のうち、A領域45AおよびB領域45B以外の領域である。また、C領域45Cは、エンジントルクTQが、中高トルク閾値TQth3以上であり、且つ、エンジン回転数NEが、低高回転数閾値NEth2未満である領域である。また、D領域45Dは、エンジントルクTQが、中高トルク閾値TQth3以上であり、エンジン回転数NEが、低高回転数閾値NEth2以上である領域である。
そして、エンジン回転数演算部41によって演算されたエンジン回転数NEと、エンジン負荷演算部42によって演算されたエンジントルクTQとによって定まるエンジン11の運転点が、バルブタイミングマップ45に規定されたA領域45A内に存する場合、目標タイミング設定部44は、エンジン11が「アイドル」状態にあると判定するようになっている。
また、エンジン11の運転点が、バルブタイミングマップ45に規定されるB領域45B内に存する場合、目標タイミング設定部44は、エンジン11が「低回転低負荷」状態にあると判定するようになっている。
また、エンジン11の運転点が、バルブタイミングマップ45に規定されるC領域45C内に存する場合、目標タイミング設定部44は、エンジン11が「低回転高負荷」状態にあると判定するようになっている。
また、エンジン11の運転点が、バルブタイミングマップ45に規定されるD領域45D内に存する場合、目標タイミング設定部44は、エンジン11が「高回転高負荷」状態にあると判定するようになっている。
また、エンジン11の運転点が、バルブタイミングマップ45に規定されるE領域45E内に存する場合、目標タイミング設定部44は、エンジン11が「低高回転中負荷または高回転低負荷」状態にあると判定するようになっている。
そして、この目標タイミング設定部44は、エンジン11の運転状態が「アイドル」であると判定した場合、前方吸気弁27F,後方吸気弁27R,前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rの各バルブ位相の目標値を、図3(A)に示すように設定するものである。
つまり、エンジン11の運転状態が「アイドル」である場合、目標タイミング設定部44は、前方排気弁28Fについて、その開弁時期EOFが膨張行程中となり、且つ、その閉弁時期ECFが排気行程中となるように、バルブ位相の目標値を設定するようになっている。
また、エンジン11の運転状態が「アイドル」である場合、目標タイミング設定部44は、後方排気弁28Rのバルブ位相の目標値を、前方排気弁28Fのバルブ位相の目標値よりも所定角度(例えば、約10〜80度)遅角させて設定するようになっている。つまり、目標タイミング設定部44は、後方排気弁28Rについて、その開弁時期EORが膨張行程中となり、且つ、その閉弁時期ECRが吸気行程の上死点(TDC;Top Dead Center)となるように、バルブ位相の目標値を設定するようになっている。
また、エンジン11の運転状態が「アイドル」である場合、目標タイミング設定部44は、前方吸気弁27Fについて、その開弁時期IOFが吸気行程TDCとなり、且つ、その閉弁時期ICFが圧縮行程中となるように、バルブ位相の目標値を設定するようになっている。
また、エンジン11の運転状態が「アイドル」である場合、目標タイミング設定部44は、後方吸気弁27Rのバルブ位相の目標値を、前方吸気弁27Fのバルブ位相の目標値よりも所定角度(例えば、約10〜80度)遅角させて設定するようになっている。つまり、目標タイミング設定部44は、後方吸気弁27Rについて、その開弁時期IORが吸気行程中となり、且つ、その閉弁時期ICRが圧縮行程中となるように、バルブ位相の目標値を設定するようになっている。
このように、目標タイミング設定部44は、エンジン11の運転状態が「アイドル」である場合、前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rの少なくとも1つと、前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rの少なくとも1つとが、ともに開く期間(バルブオーバラップ期間)も、前方排気弁28F,後方排気弁28R,前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rが、全て閉じる期間(ネガティブバルブオーバラップ期間)も、ゼロとなるように、前方吸気弁27F,後方吸気弁27R,前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rの各バルブ位相を設定するようになっている。
また、この目標タイミング設定部44は、エンジン11の運転状態が「低回転低負荷」にあると判定した場合、前方吸気弁27F,後方吸気弁27R,前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rの各バルブ位相の目標値を、図3(B)に示すように設定するようになっている。
つまり、目標タイミング設定部44は、エンジン11の運転状態が、「低回転低負荷」である場合、前方排気弁28Fについて、その開弁時期EOFが膨張行程中となり、且つ、その閉弁時期ECFが吸気行程TDCとなるように、バルブ位相の目標値を設定するようになっている。
また、目標タイミング設定部44は、エンジン11の運転状態が、「低回転低負荷」である場合、後方排気弁28Rのバルブ位相の目標値を、前方排気弁28Fのバルブ位相の目標値よりも所定角度(例えば、約10〜80度)遅角させて設定するようになっている。つまり、目標タイミング設定部44は、後方排気弁28Rについて、その開弁時期EORが膨張行程中となり、且つ、閉弁時期ECRが吸気行程中となるように、バルブ位相の目標値を設定するようになっている。
また、目標タイミング設定部44は、エンジン11の運転状態が、「低回転低負荷」である場合、前方吸気弁27Fについて、その開弁時期IOFが吸気行程中となり、且つ、閉弁時期ICFが圧縮行程中となるように、バルブ位相の目標値を設定するようになっている。
また、目標タイミング設定部44は、エンジン11の運転状態が、「低回転低負荷」である場合、後方吸気弁27Rのバルブ位相の目標値を、前方吸気弁27Fのバルブ位相の目標値よりも所定角度(例えば、約10〜80度)遅角させて設定するようになっている。つまり、目標タイミング設定部44は、後方吸気弁27Rについて、その開弁時期IORが吸気行程中となり、且つ、その閉弁時期ICRが圧縮行程中となるように、バルブ位相の目標値を設定するようになっている。
このように、目標タイミング設定部44は、エンジン11の運転状態が「低回転低負荷」である場合は、「アイドル」にある場合と同様に、前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rの少なくとも1つと、前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rの少なくとも1つとが、ともに開く期間(バルブオーバラップ期間)も、前方排気弁28F,後方排気弁28R,前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rが、全て閉じる期間(ネガティブバルブオーバラップ期間)も、ゼロとなるように、前方吸気弁27F,後方吸気弁27R,前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rの各バルブ位相の目標値を設定するようになっている。
したがって、エンジン11の運転状態が、「アイドル」である場合も、「低回転低負荷」である場合も、ともに、前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rのうち遅角している方(本実施形態の場合は、後方排気弁28R)の閉弁時期ECRと、前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rのうち進角している方(本実施形態の場合は、前方吸気弁27F)の開弁時期IOFとを一致させるように、目標タイミング設定部44は、各バルブ位相の目標値を設定するようになっている。
しかしながら、目標タイミング設定部44は、前方吸気弁27F,後方吸気弁27R,前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rの各バルブ位相の目標値を、エンジン11の運転状態が「低回転低負荷」である場合は、「アイドル」である場合に比べて、より遅角させて設定するようになっている。
また、目標タイミング設定部44は、エンジン11の運転状態が「低回転高負荷」であると判定した場合、前方吸気弁27F,後方吸気弁27R,前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rの各バルブ位相の目標値を、図3(C)に示すように設定するようになっている。
つまり、目標タイミング設定部44は、エンジン11の運転状態が「低回転高負荷」である場合、前方排気弁28Fについて、その開弁時期EOFが膨張行程中となり、且つ、その閉弁時期ECFが排気行程中となるように、バルブ位相の目標値を設定するようになっている。
また、目標タイミング設定部44は、エンジン11の運転状態が「低回転高負荷」である場合、後方排気弁28Rのバルブ位相の目標値を、前方排気弁28Fのバルブ位相の目標値よりも所定角度(例えば、約10〜80度)遅角させて設定するようになっている。つまり、目標タイミング設定部44は、後方排気弁28Rについて、その開弁時期EORが膨張行程中となり、且つ、その閉弁時期ECRが吸気行程中となるように、バルブ位相の目標値を設定するようになっている。
また、目標タイミング設定部44は、エンジン11の運転状態が「低回転高負荷」である場合、前方吸気弁27Fについて、その吸気開弁時期IOFが排気行程中となり、且つ、閉弁時期ICFが圧縮行程中となるように、バルブ位相の目標値を設定するようになっている。
また、目標タイミング設定部44は、エンジン11の運転状態が「低回転高負荷」である場合、後方吸気弁27Rのバルブ位相の目標値を、前方吸気弁27Fのバルブ位相の目標値よりも所定角度(例えば、約10〜80度)遅角させて設定するようになっている。つまり、目標タイミング設定部44は、後方吸気弁27Rについて、その開弁時期IORが吸気行程TDCとなり、且つ、その閉弁時期ICRが圧縮行程中となるように、バルブ位相の目標値を設定するようになっている。
このように、目標タイミング設定部44は、エンジン11の運転状態が「低回転高負荷」である場合、前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rのうち遅角している方(本実施形態においては、後方排気弁28R)と、前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rのうち進角している方(本実施形態においては、前方吸気弁27F)とが、ともに開く期間(バルブオーバラップ期間)が、主に排気行程中に設定されるように、バルブ位相の目標値を設定するようになっている。
また、目標タイミング設定部44は、エンジン11の運転状態が「高回転高負荷」であると判定した場合、前方吸気弁27F,後方吸気弁27R,前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rの各バルブ位相の目標値を、図3(D)に示すように設定するようになっている。
つまり、目標タイミング設定部44は、エンジン11の運転状態が「高回転高負荷」である場合、前方排気弁28Fについて、その開弁時期EOFが膨張行程中となり、且つ、その閉弁時期ECFが排気行程中となるように、バルブ位相の目標値を設定するようになっている。
また、目標タイミング設定部44は、エンジン11の運転状態が「高回転高負荷」である場合、後方排気弁28Rのバルブ位相の目標値を、前方排気弁28Fのバルブ位相の目標値よりも所定角度(例えば、約10〜80度)遅角させて設定するようになっている。つまり、目標タイミング設定部44は、前方排気弁28Fについて、その開弁時期EORが膨張行程中となり、且つ、その閉弁時期ECRが吸気行程中となるように、バルブ位相の目標値を設定するようになっている。
また、目標タイミング設定部44は、エンジン11の運転状態が「高回転高負荷」である場合、前方吸気弁27Fについて、その前方吸気開弁時期IOFが吸気行程TDCとなり、且つ、その閉弁時期ICFが圧縮行程中となるように、バルブ位相の目標値を設定するようになっている。
また、エンジン11の運転状態が「高回転高負荷」である場合、後方吸気弁27Rのバルブ位相の目標値を、前方吸気弁27Fのバルブ位相の目標値よりも所定角度(例えば、約10〜80度)遅角させて設定するようになっている。つまり、目標タイミング設定部44は、後方吸気弁27Rについて、その開弁時期IORが吸気行程中となり、且つ、閉弁時期ICRが圧縮行程中となるように、バルブ位相の目標値を設定するようになっている。
このように、目標タイミング設定部44は、エンジン11の運転状態が「高回転高負荷」である場合、前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rのうち遅角している方(本実施形態においては、後方排気弁28R)と、前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rのうち進角している方(本実施形態においては、前方吸気弁27F)とが、ともに開く期間(バルブオーバラップ期間)が吸気行程中に設定されるように、バルブ位相の目標値を設定するようになっている。
なお、目標タイミング設定部44は、エンジン11の運転状態が、「高回転高負荷」にある場合(図3(D)参照)よりも、「低回転高負荷」にある場合(図3(C)参照)の方が、前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rについてのバルブ位相の目標値を、より進角させるようになっている。
また、目標タイミング設定部44は、エンジン11の運転状態が「低高回転中負荷または高回転低負荷」であると判定した場合、前方吸気弁27F,後方吸気弁27R,前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rの各バルブ位相の目標値を、図3(E)に示すように設定するものである。
つまり、目標タイミング設定部44は、エンジン11の運転状態が「低高回転中負荷または高回転低負荷」である場合、前方排気弁28Fについて、その開弁時期EOFが膨張行程中となり、且つ、その閉弁時期ECFが吸気行程TDCとなるように、バルブ位相の目標値を設定するようになっている。
また、目標タイミング設定部44は、エンジン11の運転状態が「低高回転中負荷または高回転低負荷」である場合、後方排気弁28Rのバルブ位相の目標値を、前方排気弁28Fのバルブ位相の目標値よりも所定角度(例えば、約10〜80度)遅角させて設定するようになっている。つまり、目標タイミング設定部44は、後方排気弁28Rについて、その開弁時期EORが膨張行程中となり、且つ、その閉弁時期ECRが吸気行程中となるように、バルブ位相の目標値を設定するようになっている。
また、目標タイミング設定部44は、エンジン11が低高回転中負荷または高回転低負荷状態にある場合、前方吸気弁27Fについて、その開弁時期IOFが吸気行程中となり、且つ、その閉弁時期ICFが圧縮行程中となるように、バルブ位相の目標値を設定するようになっている。
また、エンジン11が低高回転中負荷または高回転低負荷状態にある場合、目標タイミング設定部44は、後方吸気弁27Rのバルブ位相の目標値を、前方吸気弁27Fのバルブ位相の目標値よりも所定角度(例えば、約10〜80度)遅角化させて設定するようになっている。つまり、目標タイミング設定部44は、後方吸気弁27Rについて、その開弁時期IORが吸気行程中となり、且つ、閉弁時期ICRが圧縮行程中となるように、バルブ位相の目標値を設定するようになっている。
このように、目標タイミング設定部44は、エンジン11の運転状態が「低高回転中負荷または高回転低負荷」である場合、前方排気弁28F,後方排気弁28R,前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rが、全て閉じている期間(ネガティブバルブオーバラップ期間)が吸気行程中に設定されるように、バルブ位相の目標値を設定するようになっている。
ここで、VVTコントローラ43について、もう少し詳しく説明する。
このVVTコントローラ43は、エンジン11の運転点が、図4に示すバルブタイミングマップ45のB領域45Bに存する状態から、C領域45Cに存する状態へ移行している場合、即ち、エンジン11の運転状態が、「低回転低負荷」から「低回転高負荷」に移行している場合、以下に示す“負荷増大制御”を実行するようになっている。
同様に、このVVTコントローラ43は、エンジン11の運転点が、図4に示すバルブタイミングマップ45のB領域45Bに存する状態から、D領域45Dに存する状態へ移行している場合、即ち、エンジン11の運転状態が、「低回転低負荷」から「高回転高負荷」に移行している場合にも、“負荷増大制御”を実行するようになっている。
この負荷増大制御において、VVTコントローラ43は、まず、前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rのうち進角している方の開弁時期(本実施形態においては前方吸気弁27Fの開弁時期IOF(図5参照))を、前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rのうち遅角している方の閉弁時期(本実施形態においては後方排気弁28Rの閉弁時期ECR(図5参照))に対して一致させた状態を保持するようになっている。
なお、前方排気弁28Fまたは後方排気弁28Rのうち遅く閉じるものを「遅閉排気弁」といい、前方吸気弁27Fまたは後方吸気弁27Rのうち早く開くものを「早開吸気弁」という場合がある。
次に、図6または図8に示すように、この負荷増大制御において、VVTコントローラ43は、吸気側VVT機構32および排気側VVT機構33を制御することで、前方排気弁28Fのバルブ位相(第2排気弁バルブ位相)および後方排気弁28Rのバルブ位相(第1排気弁バルブ位相)と、前方吸気弁27Fのバルブ位相(第1吸気弁バルブ位相)および後方吸気弁27Rのバルブ位相(第2吸気弁バルブ位相)とを、同時に且つ同じ位相量だけ進角させるようになっている。
次に、この負荷増大制御において、VVTコントローラ43は、前方排気弁28Fの閉弁時期ECFが目標値に一致し且つ後方排気弁28Rの閉弁時期ECRが目標値に一致する、即ち、前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rの各バルブ位相の実際値が目標値に一致すると、排気側VVT機構33に対し、前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rのバルブ位相の進角を停止させるようになっている。
その後、図7または図9に示すように、この負荷増大制御において、VVTコントローラ43は、前方吸気弁27Fの開弁時期IOFおよび後方吸気弁27Rの開弁時期IORがそれぞれ目標値に一致するように、即ち、前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rの各バルブ位相の実際値が目標値に一致するように、前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rのバルブ位相をそれぞれ進角させるようになっている。
一方、このVVTコントローラ43は、エンジン11の運転点が、図4に示すバルブタイミングマップ45のC領域45Cに存する状態から、B領域45Bに存する状態へ移行している場合、即ち、エンジン11の運転状態が、「低回転高負荷」から「低回転低負荷」に移行している場合に、上述の負荷増大制御とは逆の制御である“負荷減少制御”を実行するようになっている。
つまり、この負荷減少制御において、VVTコントローラ43は、エンジン11の運転状態が「低回転高負荷」から「低回転低負荷」に移行する際に、前方吸気弁27F,後方吸気弁27R,前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rの各バルブ位相を、図7に示す状態から、図6に示す状態を経て、図5に示す状態になるように、吸気側VVT機構32および排気側VVT機構33を制御するようになっている。
より具体的に、この負荷減少制御において、VVTコントローラ43は、まず、吸気側VVT機構32を制御することで、図7に示す前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rのバルブ位相を維持したまま、前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rのうち進角している方の開弁時期(本実施形態においては、前方吸気弁27Fの開弁時期IOF)を、前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rのうち遅角している方の閉弁時期(本実施形態においては、後方排気弁28Rの閉弁時期ECR)に対して一致するまで、即ち、図6に示す状態になるまで、前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rのバルブ位相を遅角させるようになっている。
その後、この負荷減少制御において、VVTコントローラ43は、吸気側VVT機構32および排気側VVT機構33の双方を制御することで、前方吸気弁27F,後方吸気弁27R,前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rの各バルブ位相を、目標タイミング設定部44によって設定された、エンジン11の運転状態が「低回転低負荷」にある場合のバルブ位相の目標値(図3(B)および図5参照)に合致するように、同時に且つ同じ位相量だけ遅角させるようになっている。
このVVTコントローラ43は、エンジン11の運転点が、図4に示すバルブタイミングマップ45のD領域45Dに存する状態から、B領域45Bに存する状態へ移行している場合、即ち、エンジン11の運転状態が、「高回転高負荷」から「低回転低負荷」に移行している場合にも、上述の“負荷減少制御”を実行するようになっている。
つまり、この負荷減少制御において、VVTコントローラ43は、エンジン11の運転状態が「高回転高負荷」から「低回転低負荷」に移行する際に、前方吸気弁27F,後方吸気弁27R,前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rのバルブ位相を、図9に示す状態から、図8に示す状態を経て、図5に示す状態になるように、吸気側VVT機構32および排気側VVT機構33を制御するようになっている。
より具体的に、この負荷減少制御において、VVTコントローラ43は、まず、吸気側VVT機構32を制御することで、図9に示す前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rのバルブ位相を維持したまま、前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rのうち進角している方の開弁時期(本実施形態においては、前方吸気弁27Fの開弁時期IOF)を、前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rのうち遅角している方の閉弁時期(本実施形態においては、後方排気弁28Rの閉弁時期ECR)に対して一致するまで、即ち、図8に示す状態になるまで、前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rのバルブ位相を遅角させるようになっている。
その後、この負荷減少制御において、VVTコントローラ43は、吸気側VVT機構32および排気側VVT機構33の双方を制御することで、前方吸気弁27F,後方吸気弁27R,前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rの各バルブ位相を、目標タイミング設定部44によって設定された、エンジン11の運転状態が「低回転低負荷」にある場合のバルブ位相の目標値(図3(B)および図5参照)に合致するように、同時に且つ同じ位相量だけ遅角させるようになっている。
また、このVVTコントローラ43は、エンジン負荷演算部42によって演算されたエンジントルクTQが、低中トルク閾値TQth2以上で、且つ、低中トルク閾値TQth2よりも大きい中高トルク閾値TQth3未満の場合(いわゆる「中負荷」の場合)は、目標タイミング設定部44によって設定された、前方吸気弁27F,後方吸気弁27R,前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rの各バルブ位相(図3(E)参照)となるように、吸気側VVT機構32および排気側VVT機構33の双方を制御するようになっている。
本発明の一実施形態に係るエンジンのバルブタイミング制御装置は上述のように構成されているので、以下のような作用および効果を奏する。
まず、図11のフローチャートを用いて説明する。
ECU40が、スロットルバルブ開度センサ26によって検出されたスロットルバルブ開度θTおよびクランクシャフト角度センサ(図示略)によって検出されたクランクシャフト角度θCLを読み込む(ステップS11)。
次に、ステップS11で読み込まれたスロットルバルブ開度θTに基づいて、エンジン負荷演算部42が、エンジン11の負荷を示すパラメータであるエンジントルクTQを演算するとともに、ステップS11で読み込まれたクランクシャフト角度θCLに基づいて、エンジン回転数演算部41が、エンジン回転数NEを演算する。さらに、ここで得られた、エンジントルクTQとエンジン回転数NEとに基づいて、目標タイミング設定部44は、エンジン11の運転状態を判定する(ステップS12)。
つまり、このステップS12において、目標タイミング設定部44は、エンジン回転数演算部41によって演算されたエンジン回転数NEと、エンジン負荷演算部42によって演算されたエンジントルクTQとによって定まるエンジン11の運転点が、バルブタイミングマップ45に規定されるA領域45A内に存する場合、目標タイミング設定部44は、エンジン11が「アイドル」状態にあると判定する。
或いは、エンジン11の運転点が、バルブタイミングマップ45に規定されるB領域45B内に存する場合、目標タイミング設定部44は、エンジン11の運転状態が「低回転低負荷」にあると判定する。
或いは、エンジン11の運転点が、バルブタイミングマップ45に規定されるC領域45C内に存する場合、目標タイミング設定部44は、エンジン11の運転状態が「低回転高負荷」にあると判定する。
或いは、エンジン11の運転点が、バルブタイミングマップ45に規定されるD領域45D内に存する場合、目標タイミング設定部44は、エンジン11の運転状態が「高回転高負荷」にあると判定する。
或いは、エンジン11の運転点が、バルブタイミングマップ45に規定されるE領域45E内に存する場合、目標タイミング設定部44は、エンジン11の運転状態が「低高回転中負荷または高回転低負荷」にあると判定する。
上記のステップS12において、目標タイミング設定部44が、エンジン11が「アイドル」状態であると判定した場合、目標タイミング設定部44は、前方吸気弁27F,後方吸気弁27R,前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rの各バルブ位相の目標値を、図3(A)に示すように設定する。
つまり、目標タイミング設定部44は、エンジン11の運転状態が「アイドル」状態にある場合、後方排気弁28Rの閉弁時期ECRと、前方吸気弁27Fの開弁時期IOFとが、吸気行程TDCで一致するように各バルブ位相の目標値を設定する。
その後、VVTコントローラ43は、図3(A)に示す各バルブ位相の設定された目標値に対して、各バルブ位相の実際値が一致するように、吸気側VVT機構32と、排気側VVT機構33とを制御する。
そして、各バルブ位相の目標値と実際値とが一致すると、「アイドル」状態時の制御を終了する。
次に、上記のステップS12において、目標タイミング設定部44が、エンジン11が「低回転低負荷」状態であると判定した場合の制御を、図12を用いて説明する。
この場合、目標タイミング設定部44は、前方吸気弁27F,後方吸気弁27R,前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rの各バルブ位相の目標値を、図3(B)に示すように設定する(ステップS21)。
つまり、このとき、目標タイミング設定部44は、前方排気弁28Fについて、その開弁時期EOFが膨張行程中となり、且つ、その閉弁時期ECFが吸気行程TDCとなるように、バルブ位相の目標値を設定する。
また、目標タイミング設定部44は、後方排気弁28Rのバルブ位相の目標値を、前方排気弁28Fのバルブ位相の目標値よりも所定角度遅角させて設定する。つまり、目標タイミング設定部44は、後方排気弁28Rについて、その開弁時期EORが膨張行程中となり、且つ、閉弁時期ECRが吸気行程中となるように、バルブ位相の目標値を設定する。
また、目標タイミング設定部44は、前方吸気弁27Fについて、その開弁時期IOFが吸気行程中となり、且つ、閉弁時期ICFが圧縮行程中となるように、バルブ位相の目標値を設定する。
また、目標タイミング設定部44は、後方吸気弁27Rのバルブ位相の目標値を、前方吸気弁27Fのバルブ位相の目標値よりも所定角度遅角化させて設定する。つまり、目標タイミング設定部44は、後方吸気弁27Rについて、その開弁時期IORが吸気行程中となり、且つ、その閉弁時期ICRが圧縮行程中となるように、バルブ位相の目標値を設定する。
このように、目標タイミング設定部44は、エンジン11が低回転低負荷状態にある場合は、前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rの少なくとも1つと、前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rの少なくとも1つとが、ともに開く期間(バルブオーバラップ期間)も、前方排気弁28F,後方排気弁28R,前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rが、全て閉じる期間(ネガティブバルブオーバラップ期間)も、ゼロとなるように、前方吸気弁27F,後方吸気弁27R,前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rの各バルブ位相の目標値を設定する。
したがって、ステップS21において、目標タイミング設定部44は、エンジン11の運転状態が「低回転低負荷」状態にある場合、後方排気弁28Rの閉弁時期ECRと、前方吸気弁27Fの開弁時期IOFとを一致させるように、各バルブ位相の目標値を設定する。
その後、VVTコントローラ43は、ステップS21で設定された図3(B)に示す各バルブ位相の目標値に対して、各バルブ位相の実際値が一致するように、吸気側VVT機構32と、排気側VVT機構33とを制御する(ステップS22)。
そして、各バルブ位相の目標値と実際値とが一致すると、「低回転低負荷」状態時の制御を終了する。
ここで、ステップS21およびS22の制御を行なったことによって燃焼室16内に生じる空気の流れについて、図13,図14,図15,図16および図17を主に用いて説明する。
まず、吸気行程初期においては、図13に示すように、前方排気弁28Fは閉じ、前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rもまた閉じている。一方、後方排気弁28Rは開いている。したがって、この時、図14に示すように、後方排気弁28Rを介して排気ポート23から燃焼室16内に排気の一部が排気再循環ガス(Exhaust Gas Recirculation Gas、EGRガスともいう)として流入し、この排気はピストン15の上部で、排気スワール流FEを形成する。なお、EGRガスには、吸気(新気)に比べ、多量の一酸化炭素や二酸化炭素等が含まれる。
そして、その後の吸気行程中期になると、図16に示すように、開いていた後方排気弁28Rは閉じ、このとき、前方排気弁28Fおよび後方吸気弁27Rも閉じている。一方、後方排気弁28Rと対角線上にある前方吸気弁27Fは開き始める(図5の吸気行程を参照)。これにより、図15に示すように、開いた前方吸気弁27F側の吸気ポート19から燃焼室16内に空気と燃料の混合された吸気が流入し、排気スワール流FEと同方向の流れである吸気スワール流FIが形成される。
この時、図16に示すように、シリンダ14内におけるピストン15の位置は吸気行程初期よりも下降しているため、ピストン15の下降とともに先に流入した排気も下降する。これにより、燃焼室16内の下層で排気スワール流FEが形成されるとともに、排気スワール流FEの上層で吸気スワール流FIが形成される。
その後、図17に示すように、ピストン15の位置が上昇し、吸気行程後の圧縮行程終期のTDC(即ち、膨張行程TDC)では、点火プラグ18近傍の上層に吸気スワール流FIが多く存在する状態が形成される。
次に、図11を用いて上述したステップS12において、目標タイミング設定部44が、エンジン11の運転状態は「低回転低負荷」から「低回転高負荷」または「高回転高負荷」へ移行していると判定した場合の制御を、図18のフローチャートを用いて説明する。
エンジン11の運転状態が、「低回転低負荷」から「低回転高負荷」へ移行している場合、目標タイミング設定部44は、前方吸気弁27F,後方吸気弁27R,前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rの各バルブ位相の目標値を、図3(C)に示すように設定する(ステップS31)。
つまり、このとき、目標タイミング設定部44は、前方排気弁28Fについて、その開弁時期EOFが膨張行程中となり、且つ、その閉弁時期ECFが排気行程中となるように、バルブ位相の目標値を設定する。
また、目標タイミング設定部44は、後方排気弁28Rのバルブ位相の目標値を、前方排気弁28Fのバルブ位相の目標値よりも所定角度遅角化させて設定する。つまり、目標タイミング設定部44は、後方排気弁28Rについて、その開弁時期EORが膨張行程中となり、且つ、閉弁時期ECRが吸気行程中となるように、バルブ位相の目標値を設定する。
また、目標タイミング設定部44は、前方吸気弁27Fについて、その開弁時期IOFが排気行程中となり、且つ、閉弁時期ICFが圧縮行程中となるように、バルブ位相の目標値を設定する。
また、目標タイミング設定部44は、後方吸気弁27Rのバルブ位相の目標値を、前方吸気弁27Fのバルブ位相の目標値よりも所定角度遅角化させて設定する。つまり、目標タイミング設定部44は、後方吸気弁27Rについて、その開弁時期IORが吸気行程TDCとなり、且つ、その閉弁時期ICRが圧縮行程中となるように、バルブ位相の目標値を設定する。
このように、ステップS31において、目標タイミング設定部44は、エンジン11の運転状態が「低回転低負荷」から「低回転高負荷」へ移行していると判定した場合には、後方排気弁28Rと前方吸気弁27Fとが、ともに開く期間(バルブオーバラップ期間)が主に排気行程中に設定されるように、バルブ位相の目標値を設定する。
次に、VVTコントローラ43は、ステップS31で設定された、図3(C)に示す各バルブ位相の目標値に対して実際値が一致するように、吸気側VVT機構32と排気側VVT機構33とを制御するが、まず前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rのバルブ位相のみを独立して変更する(ステップS32)。もっとも、本実施形態においては、図5に示すように、後方排気弁28Rの閉弁時期ECRと前方吸気弁27Fの開弁時期IOFとが既に一致しているため、このステップS32における前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rのいずれのバルブ位相変化量はゼロである。
そして、VVTコントローラ43は、前方吸気弁27Fの開弁時期IOFが、後方排気弁28Rの閉弁時期ECRに一致したか否かの判定を行なう(ステップS33)。
ここで、前方吸気弁27Fの開弁時期IOFが、後方排気弁28Rの閉弁時期ECRに一致した、と判定されるまで(ステップS33のNoルート)、VVTコントローラ43は、継続して前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rのバルブ位相を独立して変更する(ステップS32)。
一方、VVTコントローラ43は、前方吸気弁27Fの開弁時期IOFが、後方排気弁28Rの閉弁時期ECRに一致したと判定すると(ステップS33のYesルート)、前方吸気弁27Fの開弁時期IOFを、後方排気弁28Rの閉弁時期ECRに対して一致させた状態を保持したまま、吸気側VVT機構32および排気側VVT機構33を制御する。そして、VVTコントローラ43は、前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rの各バルブ位相と、前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rのバルブ位相とを、同時に且つ同じ位相量だけ進角させる(ステップS34;図6も併せて参照)。
その後、前方排気弁28Fの閉弁時期ECFが目標値に一致し且つ後方排気弁28Rの閉弁時期ECRが目標値に一致する(即ち、前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rの各バルブ位相の実際値が目標値に一致する)と(ステップS35のYesルート)、VVTコントローラ43は、排気側VVT機構33に対し、前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rのバルブ位相の進角を停止させる(ステップS36)。そして、図7に示すように、このVVTコントローラ43は、前方吸気弁27Fの開弁時期IOFが目標値に一致するように、前方吸気弁27Fのバルブ位相を独立して変更するとともに、後方吸気弁27Rの開弁時期IORが目標値に一致するように、後方吸気弁27Rのバルブ位相を変更する(ステップS36)。
その後、VVTコントローラ43は、前方吸気弁27Fの開弁時期IOFの実際値が目標値に一致し、且つ、後方吸気弁27Rの開弁時期IORの実際値が目標値に一致したか否か、即ち、前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rの各バルブ位相の実際値が目標値に一致したか否かの判定を行なう(ステップS37)。
そして、VVTコントローラ43は、前方吸気弁27Fの開弁時期IOFの実際値が目標値に一致し且つ後方吸気弁27Rの開弁時期IORの実際値が目標値に一致した(即ち、前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rの各バルブ位相の実際値が目標値に一致した)、との判定がステップS37でなされるまで、VVTコントローラ43は、前方吸気弁27Fの開弁時期IOFの実際値が目標値に一致するように、前方吸気弁27Fのバルブ位相を独立して継続して進角させるとともに、後方吸気弁27Rの開弁時期IORの実際値が目標値に一致するように、後方吸気弁27Rのバルブ位相を独立して継続して進角させる(ステップS36)。
そして、ステップS37において、VVTコントローラ43は、前方吸気弁27Fの開弁時期IOFの実際値が目標値に一致し且つ後方吸気弁27Rの開弁時期IORの実際値が目標値に一致した(即ち、前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rの各バルブ位相の実際値が目標値に一致した)、と判定すると、「低回転低負荷」状態から「低回転高負荷」状態に移行する際の制御である負荷増大制御を終了する。
ところで、エンジン11の運転状態が、「低回転低負荷」から「高回転高負荷」へ移行している場合は、上述した、「低回転低負荷」から「低回転高負荷」へ移行している場合と概ね同様の制御が実行されることとなるが、細かい点では相違するので、以下、念のために説明しておく。
エンジン11の運転状態が、「低回転低負荷」から「高回転高負荷」へ移行している場合、目標タイミング設定部44は、前方吸気弁27F,後方吸気弁27R,前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rの各バルブ位相の目標値を、図3(D)に示すように設定する(ステップS31)。
つまり、このとき、目標タイミング設定部44は、前方排気弁28Fについて、その開弁時期EOFが膨張行程中となり、且つ、その閉弁時期ECFが排気行程中となるように、バルブ位相の目標値を設定する。
また、目標タイミング設定部44は、後方排気弁28Rのバルブ位相の目標値を、前方排気弁28Fのバルブ位相の目標値よりも所定角度遅角化させて設定する。つまり、目標タイミング設定部44は、後方排気弁28Rについて、その開弁時期EORが膨張行程中となり、且つ、閉弁時期ECRが吸気行程中となるように、バルブ位相の目標値を設定する。
また、目標タイミング設定部44は、前方吸気弁27Fについて、その開弁時期IOFが吸気行程TDCとなり、且つ、閉弁時期ICFが圧縮行程中となるように、バルブ位相の目標値を設定する。
また、目標タイミング設定部44は、後方吸気弁27Rのバルブ位相の目標値を、前方吸気弁27Fのバルブ位相の目標値よりも所定角度遅角化させて設定する。つまり、目標タイミング設定部44は、後方吸気弁27Rについて、その開弁時期IORが吸気行程中となり、且つ、その閉弁時期ICRが圧縮行程中となるように、バルブ位相の目標値を設定する。
このように、目標タイミング設定部44は、ステップS31において、エンジン11の運転状態が「低回転低負荷」から「高回転高負荷」へ移行していると判定した場合には、後方排気弁28Rと、前方吸気弁27Fとが、ともに開く期間(バルブオーバラップ期間)が主に吸気行程中に設定されるように、バルブ位相の目標値を設定する。
次に、VVTコントローラ43は、ステップS31で設定された、図3(D)に示す各バルブ位相の目標値に対して実際値が一致するように、吸気側VVT機構32と排気側VVT機構33とを制御するが、まず前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rのバルブ位相のみを独立して変更する(ステップS32)。もっとも、本実施形態においては、図5に示すように、後方排気弁28Rの閉弁時期ECRと前方吸気弁27Fの開弁時期IOFとが既に一致しているため、このステップS32における前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rのいずれのバルブ位相変化量はゼロである。
そして、VVTコントローラ43は、前方吸気弁27Fの開弁時期IOFが、後方排気弁28Rの閉弁時期ECRに一致したか否かの判定を行なう(ステップS33)。
その後、VVTコントローラ43は、前方吸気弁27Fの開弁時期IOFが後方排気弁28Rの閉弁時期ECRに一致したと判定するまで(ステップS33のNoルート)、継続して吸気弁のバルブ位相を独立して変更する(ステップS32)。
一方、VVTコントローラ43は、前方吸気弁27Fの開弁時期IOFが、後方排気弁28Rの閉弁時期ECRに一致したと判定すると(ステップS33のYesルート)、前方吸気弁27Fの開弁時期IOFを、後方排気弁28Rの閉弁時期ECRに対して一致させた状態を保持したまま、吸気側VVT機構32および排気側VVT機構33を制御する(ステップS34)。つまり、VVTコントローラ43は、前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rのバルブ位相と、前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rのバルブ位相とを、一致するまで(ステップS35のNoルート)、同時に且つ同じ位相量だけ図8に示すように進角させる(ステップS34)。
そして、前方排気弁28Fの閉弁時期ECFが目標値に一致し且つ後方排気弁28Rの閉弁時期ECRが目標値に一致する(即ち、前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rの各バルブ位相の実際値が目標値に一致する)と(ステップS35のYesルート)、VVTコントローラ43は、排気側VVT機構33に対し、前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rのバルブ位相の進角を停止させる(ステップS36)。そして、図9に示すように、このVVTコントローラ43は、前方吸気弁27Fの開弁時期IOFが目標値に一致するように、前方吸気弁27Fのバルブ位相を独立して変化させるとともに、後方吸気弁27Rの開弁時期IORが目標値に一致するように、後方吸気弁27Rのバルブ位相を独立して変化させる(ステップS36)。
その後、VVTコントローラ43は、前方吸気弁27Fの開弁時期IOFの実際値が目標値に一致し、且つ、後方吸気弁27Rの開弁時期IORの実際値が目標値に一致したか否か、即ち、前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rの各バルブ位相の実際値が目標値に一致したか否かの判定を行なう(ステップS37)。
そして、VVTコントローラ43は、前方吸気弁27Fの開弁時期IOFが目標値に一致し、且つ、後方吸気弁27Rの開弁時期IORが目標値に一致した(即ち、前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rの各バルブ位相の実際値が目標値に一致した)、との判定がステップS37でなされるまで、VVTコントローラ43は、前方吸気弁27Fの開弁時期IOFの実際値が目標値に一致するように、継続して前方吸気弁27Fのバルブ位相を独立して変更するとともに、後方吸気弁27Rの開弁時期IORの実際値が目標値に一致するように、継続して後方吸気弁27Rのバルブ位相を独立して変更する(ステップS36)。
そして、ステップS37において、VVTコントローラ43は、前方吸気弁27Fの開弁時期IOFの実際値が目標値に一致し、且つ、後方吸気弁27Rの開弁時期IORの実際値が目標値に一致した(即ち、前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rの各バルブ位相の実際値が目標値に一致した)、と判定すると、「低回転低負荷」状態から「高回転高負荷」状態に移行する際の制御である負荷増大制御を終了する。
なお、ステップS31において、目標タイミング設定部44は、エンジン11の運転状態が、「低回転低負荷」から「高回転高負荷」へ移行している場合よりも、「低回転低負荷」状態から「低回転高負荷」状態へ移行している場合の方が、前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rについて、より進角したバルブ位相の目標値を設定する。
次に、図11を用いて上述したステップS12において、目標タイミング設定部44が、エンジン11の運転状態が「低回転高負荷」または「高回転高負荷」から「低回転低負荷」へ移行していると判定した場合の制御を、図19のフローチャートを用いて説明する。
目標タイミング設定部44は、エンジン11の運転状態が、「低回転高負荷」から「低回転低負荷」へ移行していると判定した場合、前方吸気弁27F,後方吸気弁27R,前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rの各バルブ位相の目標値を、図3(B)に示すように設定する(ステップS41)。
つまり、このとき、目標タイミング設定部44は、前方排気弁28Fについて、その開弁時期EOFが膨張行程中となり、且つ、その閉弁時期ECFが吸気行程TDCとなるように、バルブ位相の目標値を設定する。
また、目標タイミング設定部44は、後方排気弁28Rのバルブ位相の目標値を、前方排気弁28Fのバルブ位相の目標値よりも所定角度遅角化させて設定する。つまり、目標タイミング設定部44は、後方排気弁28Rについて、その開弁時期EORが膨張行程中となり、且つ、閉弁時期ECRが吸気行程中となるように、バルブ位相の目標値を設定する。
また、目標タイミング設定部44は、前方吸気弁27Fについて、その開弁時期IOFが吸気行程中となり、且つ、閉弁時期ICFが圧縮行程中となるように、バルブ位相の目標値を設定する。
また、目標タイミング設定部44は、後方吸気弁27Rのバルブ位相の目標値を、前方吸気弁27Fのバルブ位相の目標値よりも所定角度遅角化させて設定する。つまり、目標タイミング設定部44は、後方吸気弁27Rについて、その開弁時期IORが吸気行程中となり、且つ、その閉弁時期ICRが圧縮行程中となるように、バルブ位相の目標値を設定する。
このように、目標タイミング設定部44は、エンジン11の運転状態が、「低回転高負荷」から「低回転低負荷」へ移行していると判定した場合には、前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rの少なくとも1つと、前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rの少なくとも1つとが、ともに開く期間(バルブオーバラップ期間)も、前方排気弁28F,後方排気弁28R,前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rが、全て閉じる期間(ネガティブバルブオーバラップ期間)も、ゼロとなるように、前方吸気弁27F,後方吸気弁27R,前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rの各バルブ位相の目標値を設定する(ステップS41)。
次に、VVTコントローラ43は、ステップS41で設定された、図3(B)に示す各バルブ位相の目標値に対して実際値が一致するように、吸気側VVT機構32と、排気側VVT機構33とを制御し、図7に示す状態から、前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rのバルブ位相を維持したまま、まず前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rのバルブ位相を独立して変更する(ステップS42)。
そして、図6に示すように、前方吸気弁27Fの開弁時期IOFが、後方排気弁28Rの閉弁時期ECRに一致するまで(ステップS43のNoルート)、継続して吸気弁のバルブ位相を独立して変更する(ステップS42)。
一方、図6に示すように、VVTコントローラ43は、前方吸気弁27Fの開弁時期IOFが、後方排気弁28Rの閉弁時期ECRに一致すると(ステップS43のYesルート)、この状態を保持したまま、吸気側VVT機構32および排気側VVT機構33を制御することで、前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rのバルブ位相と、前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rのバルブ位相とを、同時に且つ同じ位相量だけ図5に示すように遅角させる(ステップS44)。
なお、VVTコントローラ43による、前方排気弁28F,後方排気弁28R,前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rの各バルブ位相の遅角は、前方排気弁28Fの閉弁時期ECFの実際値が目標値に一致し且つ後方排気弁28Rの閉弁時期ECRの実際値が目標値に一致する、即ち、前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rの各バルブ位相の実際値が目標値に一致するまで継続される(ステップS45のNoルート)。
そして、前方排気弁28Fの閉弁時期ECFが目標値に一致し且つ後方排気弁28Rの閉弁時期ECRが目標値に一致する、即ち、前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rの各バルブ位相の実際値が目標値に一致すると(ステップS45のYesルート)、VVTコントローラ43は、排気側VVT機構33に対し、前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rのバルブ位相の遅角を停止させ、一方、前方吸気弁27Fの開弁時期IOFが目標値に一致するように、前方吸気弁27Fのバルブ位相を独立して変更するとともに、後方吸気弁27Rの開弁時期IORが目標値に一致するように、後方吸気弁27Rのバルブ位相を独立して変更する(ステップS46)。なお、VVTコントローラ43による、前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rのバルブ位相の変更は、前方吸気弁27Fの開弁時期IOFおよび後方吸気弁27Rの開弁時期IORが、それぞれ目標値に一致するまで(即ち、前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rの各バルブ位相の実際値が目標値に一致するまで)継続される(ステップS47のNoルート)。もっとも、本実施形態においては、図5に示すように、後方排気弁28Rの閉弁時期ECRおよび前方吸気弁27Fの開弁時期IOFが一致するまでの制御であるため、このステップS46における前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rのいずれのバルブ位相変化量はゼロである。
一方、前方吸気弁27Fの開弁時期IOFおよび後方吸気弁27Rの開弁時期IORがそれぞれ目標値に一致する(即ち、前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rの各バルブ位相の実際値が目標値に一致する)と、エンジン11が、「低回転高負荷」状態から「低回転低負荷」状態に移行する際の処理である負荷減少制御を終了する。
ところで、エンジン11の運転状態が、「高回転高負荷」から「低回転低負荷」へ移行している場合は、上述した、「低回転高負荷」から「低回転低負荷」状態へ移行している場合と概ね同様の制御が実行されることとなるが、細かい点では相違するので、以下、念のために説明しておく。
目標タイミング設定部44は、エンジン11の運転状態が、「高回転高負荷」から「低回転低負荷」へ移行していると判定した場合、前方吸気弁27F,後方吸気弁27R,前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rの各バルブ位相の目標値を、図3(B)に示すように設定する(ステップS41)。
つまり、このとき、目標タイミング設定部44は、前方排気弁28Fについて、その開弁時期EOFが膨張行程中となり、且つ、その閉弁時期ECFが吸気行程TDCとなるように、バルブ位相の目標値を設定する。
また、目標タイミング設定部44は、後方排気弁28Rのバルブ位相の目標値を、前方排気弁28Fのバルブ位相の目標値よりも所定角度遅角化させて設定する。つまり、目標タイミング設定部44は、後方排気弁28Rについて、その開弁時期EORが膨張行程中となり、且つ、閉弁時期ECRが吸気行程中となるように、バルブ位相の目標値を設定する。
また、目標タイミング設定部44は、前方吸気弁27Fについて、その開弁時期IOFが吸気行程中となり、且つ、閉弁時期ICFが圧縮行程中となるように、バルブ位相の目標値を設定する。
また、目標タイミング設定部44は、後方吸気弁27Rについて、その開弁時期IORが吸気行程中となり、且つ、その閉弁時期ICRが圧縮行程中となるように、バルブ位相の目標値を設定する。
このように、目標タイミング設定部44は、エンジン11が「高回転高負荷」から「低回転低負荷」状態へ移行していると判定した場合には、前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rの少なくとも1つと、前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rの少なくとも1つとが、ともに開く期間(バルブオーバラップ期間)も、前方排気弁28F,後方排気弁28R,前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rが、全て閉じる期間(ネガティブバルブオーバラップ期間)も、ゼロとなるように、前方吸気弁27F,後方吸気弁27R,前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rの各バルブ位相の目標値を設定する(ステップS41)。
次に、VVTコントローラ43は、ステップS41で設定された、図3(B)に示す各バルブ位相の目標値に対して実際値が一致するように、吸気側VVT機構32と、排気側VVT機構33とを制御し、図9に示す状態から、前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rのバルブ位相を維持したまま、まず前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rのバルブ位相を独立して変更する(ステップS42)。
そして、図8に示すように、前方吸気弁27Fの開弁時期IOFが、後方排気弁28Rの閉弁時期ECRに一致するまで(ステップS43のNoルート)、継続して吸気弁のバルブ位相を独立して変更する(ステップS42)。
一方、図8に示すように、VVTコントローラ43は、前方吸気弁27Fの開弁時期IOFが、後方排気弁28Rの閉弁時期ECRに一致すると(ステップS43のYesルート)、この状態を保持したまま、吸気側VVT機構32および排気側VVT機構33を制御することで、前方排気弁28Fのバルブ位相および後方排気弁28Rのバルブ位相と、前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rのバルブ位相とを、同時に且つ同じ位相量だけ図5に示すように遅角させる(ステップS44)。
なお、VVTコントローラ43による、前方排気弁28F,後方排気弁28R,前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rのバルブ位相の遅角は、前方排気弁28Fの閉弁時期ECFが目標値に一致し、且つ、後方排気弁28Rの閉弁時期ECRが目標値に一致する、即ち、前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rの各バルブ位相の実際値が目標値に一致するまで継続される(ステップS45のNoルート)。
そして、前方排気弁28Fの閉弁時期ECFが目標値に一致し、且つ、後方排気弁28Rの閉弁時期ECRが目標値に一致する、即ち、前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rの各バルブ位相の実際値が目標値に一致すると(ステップS45のYesルート)、VVTコントローラ43は、排気側VVT機構33に対し、前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rのバルブ位相の遅角を停止させ、一方、前方吸気弁27Fの開弁時期IOFが目標値に一致するように、前方吸気弁27Fのバルブ位相を独立して変更するとともに、後方吸気弁27Rの開弁時期IORが目標値に一致するように、後方吸気弁27Rのバルブ位相を独立して変更する(ステップS46)。なお、VVTコントローラ43による、前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rのバルブ位相の変更は、前方吸気弁27Fの開弁時期IOFおよび後方吸気弁27Rの開弁時期IORが、それぞれ目標値に一致するまで(即ち、前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rの各バルブ位相の実際値が目標値に一致するまで)継続される(ステップS47のNoルート)。もっとも、本実施形態においては、図5に示すように、後方排気弁28Rの閉弁時期ECRおよび前方吸気弁27Fの開弁時期IOFが一致するまでの制御であるため、このステップS46における前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rのいずれのバルブ位相変化量はゼロである。
一方、前方吸気弁27Fの開弁時期IOFおよび後方吸気弁27Rの開弁時期IORが、それぞれ目標値に一致する(即ち、前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rの各バルブ位相の実際値が目標値に一致する)と、エンジン11が、「高回転高負荷」状態から「低回転低負荷」状態に移行する際の処理である負荷減少制御を終了する。
次に、図11を用いて上述したステップS12において、目標タイミング設定部44が、エンジン11の運転状態は「低高回転中負荷または高回転低負荷」状態であると判定した場合の制御を、図20を用いて説明する。
この場合、目標タイミング設定部44は、前方吸気弁27F,後方吸気弁27R,前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rの各バルブ位相の目標値を、図3(E)に示すように設定する(ステップS51)。
つまり、このとき、目標タイミング設定部44は、前方排気弁28Fについて、その開弁時期EOFが膨張行程中となり、且つ、その閉弁時期ECFが吸気行程TDCとなるように、バルブ位相の目標値を設定する。
また、目標タイミング設定部44は、後方排気弁28Rのバルブ位相の目標値を、前方排気弁28Fのバルブ位相の目標値よりも所定角度遅角化させて設定する。つまり、目標タイミング設定部44は、後方排気弁28Rについて、その開弁時期EORが膨張行程中となり、且つ、閉弁時期ECRが吸気行程中となるように、バルブ位相の目標値を設定する。
また、目標タイミング設定部44は、前方吸気弁27Fについて、その開弁時期IOFが吸気行程中となり、且つ、閉弁時期ICFが圧縮行程中となるように、バルブ位相の目標値を設定する。
また、目標タイミング設定部44は、後方吸気弁27Rのバルブ位相の目標値を、前方吸気弁27Fのバルブ位相の目標値よりも所定角度遅角化させて設定する。つまり、目標タイミング設定部44は、後方吸気弁27Rについて、その開弁時期IORが吸気行程中となり、且つ、その閉弁時期ICRが圧縮行程中となるように、バルブ位相の目標値を設定する。
このように、目標タイミング設定部44は、エンジン11が低高回転中負荷または高回転低負荷状態にある場合、前方排気弁28F,後方排気弁28R,前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rが、全て閉じる期間(ネガティブバルブオーバラップ期間)が吸気行程中に設定されるように、前方吸気弁27F,後方吸気弁27R,前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rの各バルブ位相の目標値を設定する(ステップS51)。
その後、VVTコントローラ43は、ステップS51で設定された、図3(E)に示す各バルブ位相の目標値に対して実際値が一致するように、吸気側VVT機構32と、排気側VVT機構33とを制御する(ステップS52)。
そして、前方吸気弁27F,後方吸気弁27R,前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rの各バルブ位相の目標値と実際値とが一致すると、「低高回転中負荷または高回転低負荷」状態時の制御を終了する。
このように、本発明の一実施形態に係るエンジンのバルブタイミング制御装置によると、エンジン11がアイドル状態にある場合、燃焼室16内のEGRガス量を低減し、燃焼安定性を確保することができる。
また、本発明の一実施形態に係るエンジンのバルブタイミング制御装置によると、エンジン11が低回転低負荷状態にある場合、吸気行程中期において燃焼室16内で下層の排気と上層の吸気との2層状態が形成され、EGRガスと吸気とが混合されることを抑制することが可能となる。したがって、吸気行程後の圧縮行程終期のTDC(即ち、膨張行程TDC)では、点火プラグ18近傍の上層に吸気が多く存在する状態で点火されるため、EGRガス量を増大させたとしても、エンジン11の燃焼性を比較的安定させることができる(図17参照)。
また、排気弁28F,28Rを閉じた後に吸気弁27F,27Rを開くため、ポンピングロスを減少することができるため、燃費を向上させることができる。
また、比較的高温のEGRガスの導入量が増えると、燃焼室16内の温度が上昇し、シリンダ14内面のライナーに付着するオイルの粘度が低下し、シリンダ14に対するピストン15の摩擦抵抗を抑制することが出来る。さらに、燃焼室16内の温度を上昇させることで、エンジン11の熱損失を低減することができるため、さらなる燃費向上を図ることができる。
また、吸気弁27F,27Rおよび排気弁28F,28Rのバルブ位相を変更すればよいので、特別な部品を用いることなく、コストの抑制に寄与することもできる。
また、本発明の一実施形態に係るエンジンのバルブタイミング制御装置によると、エンジントルクが増大する場合に、吸気弁27F,27Rおよび排気弁28F,28Rのバルブタイミングを変更するには、より進角している方の吸気弁(即ち、前方吸気弁27F)の開弁時期IOFおよび遅角している方の排気弁(即ち、後方排気弁28R)の閉弁時期ECRを一致させた状態を保持するようになっている。これにより、吸気弁27F,27Rおよび排気弁28F,28Rが共に開いているバルブオーバラップ期間が設定されることを防ぎ、燃焼室16内に流入するEGRガスの量が過度に増加する事態を抑制することが可能となる。したがって、エンジン11の燃焼安定性を確保することができるという効果を得ながら、バルブタイミング変更が完了した後は、即座にバルブオーバラップ期間を設定し、EGRガスを燃焼室16内に導入することができる。
また、エンジン11が低回転高負荷状態にある場合には、吸気弁27F,27Rの閉弁時期ICF,ICRを進角化し、例えば、連続する吸気脈動波の3山目の正圧に同期させることで、エンジン回転数NEが比較的低い場合であっても、体積効率を高めることができる。一方、エンジン11が高回転高負荷状態にある場合には、吸気弁27F,27Rの閉弁時期ICF,ICRを遅角化し、例えば、連続する吸気脈動波の1山目の正圧に同期させることで、エンジン回転数NEが比較的高い場合であっても、体積効率を高めることができる。
また、エンジントルクが減少し、吸気弁27F,27Rおよび排気弁28F,28Rのバルブタイミングを変更する場合には、速やかにバルブオーバラップ期間の設定を中止し、進角している方の吸気弁27Fの開弁時期IOFを、遅角している方の排気弁28Rの閉弁時期ECRに一致させた状態で、吸気弁27F,27Rおよび排気弁28F,28Rの各バルブ位相が同時に変更されるので、吸気弁27F,27Rおよび排気弁28F,28Rのバルブタイミングを変更している最中であっても、エンジン11の燃焼安定性を確保することができる。
また、本発明の一実施形態に係るエンジンのバルブタイミング制御装置によれば、エンジン11が低高回転中負荷または高回転低負荷状態にある場合、吸気行程中に設定されるネガティブバルブオーバラップ期間において、燃焼室16内を減圧することで、この燃焼室16内に導入された比較的高温のEGRガスを降温することが可能となる。これにより、エンジン11がノッキングする事態を抑制することができるため、点火プラグ18の点火時期を遅角させる必要がなくなり、燃費を向上することができる。
〔その他〕
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は係る実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することが出来る。その一例を以下に示す。
上述の実施形態においては、エンジン11としてガソリンエンジンが搭載されている場合を記載したが、これに限定されるものではなく、例えば、混合燃料エンジンでも良い。
また、上述の実施形態において、前方吸気カム(図示略)は、吸気カムシャフト29に切り出し加工で形成された固定カムであり、一方、後方吸気カム(図示略)は、吸気カムシャフト29に回転可能に外嵌した可動カムである場合を説明した。
しかしながら、本発明の適用は、このようなエンジンに限定されるものではない。例えば、後方吸気カム(図示略)が、吸気カムシャフト29に切り出し加工で形成された固定カムであり、一方、前方吸気カム(図示略)が、吸気カムシャフト29に回転可能に外嵌した可動カムであってもよい。
また、上述の実施形態において、前方排気カム(図示略)および後方排気カム(図示略)は、ともに、排気カムシャフト31に切り出し加工で形成された固定カムである場合を説明した。しかしながら、本発明の適用は、このようなエンジンに限定されるものではない。例えば、前方排気カム(図示略)が、排気カムシャフト31に切り出し加工で形成された固定カムであり、一方、後方排気カム(図示略)が、排気カムシャフト31に回転可能に外嵌した可動カムであってもよい。また、後方排気カム(図示略)が、排気カムシャフト31に切り出し加工で形成された固定カムであり、一方、前方排気カム(図示略)が、排気カムシャフト31に回転可能に外嵌した可動カムであってもよい。
また、前方吸気カム、後方吸気カム、前方排気カムおよび後方排気カムのうち1つのカムのみが固定カムであってもよい。また、全てのカムが固定カムである、或いは、全てのカムが可動カムであってもよい。
また、上述の実施形態においては、吸気側VVT機構32に、特許第3498784号公報に開示された技術を適用することで、クランクシャフト(図示略)に対する前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rのバルブ位相を変更することが出来る場合について説明した。同様に、上述の実施形態においては、排気側VVT機構33に、特許第3498784号公報に開示された技術を適用することで、クランクシャフト(図示略)に対する前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rのバルブ位相を変更することが出来る場合について説明した。さらに、上述の実施形態においては、吸気側VVT機構32が、固定カムである前方吸気カムと、可動カムである後方吸気カムとの相対的なバルブ位相を変更することが出来る場合について説明した。
しかしながら、本発明の適用は、このようなエンジンに限定されるものではなく、種々のバルブ制御機構を採用したエンジンに適用可能である。
例えば、前方吸気カムおよび後方吸気カムがとも可動である場合に、吸気側VVT機構32が、前方吸気カムおよび後方吸気カムのバルブ位相をそれぞれ独立して変更することが出来るようにしてもよい。また、前方排気カムおよび後方排気カムがとも可動である場合に、排気側VVT機構33が、前方排気カムおよび後方排気カムのバルブ位相をそれぞれ独立して変更することが出来るようにしてもよい。
また、上述の実施形態においては、前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rと、前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rとが設けられたエンジン11について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、1つの吸気弁と、1つの排気弁とが設けられたエンジンであってもよい。
また、上述の実施形態においては、燃料噴射装置であるインジェクタ21は吸気ポート19に設けられる場合を記載したが、これに限定されるものではない。例えば、シリンダ内にインジェクタを設けてもよい。即ち、筒内噴射型のエンジンに本発明を適用してもよい。
また、上述の実施形態においては、エンジン11が低速低負荷時において、前方排気弁28Fが開いた後に、後方排気弁28Rが閉じる場合について記載したが、これに限定されるものではなく、前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rが同時に閉じるものでもよい。つまり、両排気弁28F,28Rが閉じた後に吸気弁27F,27Rが開くため、この場合も燃焼室16内で下層の排気スワール流FEと上層の吸気スワール流FIとの2層状態が形成され、EGRガスと吸気とが混合されることを抑制することが可能となる。
また、上述の実施形態においては、エンジン11の運転状態が「低回転低負荷」から「低回転高負荷」または「高回転高負荷」へ移行している場合、目標タイミング設定部44は、前方吸気弁27F,後方吸気弁27R,前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rの各バルブ位相の目標値を設定する場合を説明した。また、上述の実施形態において、VVTコントローラ43は、これらの各バルブ位相の目標値となるように、吸気側VVT機構32および排気側VVT機構33を制御し、「低回転低負荷」状態のバルブ位相を、「低回転高負荷」状態や「高回転高負荷」状態のバルブ位相へ変化させる場合について説明した。しかしながら、本発明の適用は、このような場合に限定されるものではない。
例えば、エンジンの運転状態が、「低回転低負荷」から「低回転高負荷」または「高回転高負荷」に変化する場合、バルブ位相の目標値を、一旦、「低高回転中負荷または高回転低負荷」状態におけるバルブ位相(即ち、図3(E)に示すバルブ位相)に設定し、その後、「低回転高負荷」状態におけるバルブ位相(即ち、図3(B)に示すバルブ位相)や、高回転高負荷」状態におけるバルブ位相(即ち、図3(C)に示すバルブ位相)へ変更するようにしてもよい。
この場合、VVTコントローラ43は、まず、「低回転低負荷」状態のバルブ位相(即ち、図5に示すバルブ位相)から、前方排気弁28F,後方排気弁28R,前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rの全てが閉じる期間、即ち、ネガティブバルブオーバラップ期間を吸気行程中に設定するように吸気側VVT機構32および排気側VVT機構33を制御し(図10参照)、その後、図18を用いて上述した“負荷増大制御”を実行するようにしてもよい。
また、上述の実施形態において、目標タイミング設定部44は、エンジン11の運転状態が「低回転高負荷」または「高回転高負荷」から「低回転低負荷」状態へ移行している場合、前方吸気弁27F,後方吸気弁27R,前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rの各バルブ位相の目標値を図3(B)に示すように設定する場合を説明した。また、上述の実施形態において、VVTコントローラ43は、これらの各バルブ位相の目標値となるように、吸気側VVT機構32および排気側VVT機構33を制御し、「低回転高負荷」状態のバルブ位相や「高回転高負荷」状態のバルブ位相を、「低回転低負荷」状態のバルブ位相へ変化させる場合について記載した。しかしながら、本発明の適用は、このような場合に限定されるものではない。
例えば、エンジン運転状態が「低回転高負荷」または「高回転高負荷」から「低回転低負荷」へ変化する場合、バルブ位相の目標値を、一旦、「低高回転中負荷または高回転低負荷」状態におけるバルブ位相(即ち、図3(E)に示すバルブ位相)に設定し、その後、「低回転低負荷」状態のバルブ位相(即ち、図3(B)に示すバルブ位相)へ変更するようにしてもよい。
この場合、VVTコントローラ43は、まず、「低回転高負荷」状態のバルブ位相(即ち、図7に示すバルブ位相)や「高回転高負荷」状態のバルブ位相(即ち、図9に示すバルブ位相)から、吸気行程中に前方排気弁28F,後方排気弁28R,前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rの全てが閉じる期間、即ち、ネガティブバルブオーバラップ期間を吸気行程中に設定するように吸気側VVT機構32および排気側VVT機構33を制御し(図10参照)、その後、図19を用いて上述した“負荷減少制御”を実行するようにしてもよい。
また、上述の実施形態においては、バルブ位相の目標値を図3(B)に示すような「低回転低負荷」状態へ設定する場合、前方排気弁28Fの閉弁時期ECFを吸気行程TDCとなるように設定する記載としたが、これに限定されるものではない。例えば、前方排気弁28Fの閉弁時期ECFが排気行程中や吸気行程中となるように設定してもよい。
また、上述の実施形態においては、バルブ位相の目標値を図3(C)に示すような「低回転高負荷」状態へ設定する場合、後方吸気弁27Rの開弁時期IORを吸気行程TDCとなるように設定する記載としたが、これに限定されるものではない。例えば、後方吸気弁27Rの開弁時期IORが排気行程中や吸気行程中となるように設定してもよい。
また、上述の実施形態においては、バルブ位相の目標値を図3(D)に示すような「高回転高負荷」状態へ設定する場合、前方吸気弁27Fの開弁時期IOFを吸気行程TDCとなるように設定する記載としたが、これに限定されるものではない。例えば、前方吸気弁27Fの開弁時期IOFが排気行程中や吸気行程中となるように設定してもよい。
また、上述の実施形態においては、バルブ位相の目標値を図3(E)に示すような「低高回転中負荷または高回転低負荷」状態へ設定する場合、前方排気弁28Fの閉弁時期ECFを吸気行程TDCとなるように設定する記載としたが、これに限定されるものではない。例えば、前方排気弁28Fの閉弁時期ECFが排気行程中や吸気行程中となるように設定してもよい。
また、上述の実施形態においては、エンジン11が「低回転低負荷」である場合のバルブ位相の目標値が、図3(B)に示すように設定されているものとして説明した。つまり、上述の実施形態において、後方排気弁28Rのバルブ位相の目標値は、前方排気弁28Fのバルブ位相の目標値よりも所定角度(例えば、約10〜80度)遅角し、また、後方吸気弁27Rのバルブ位相の目標値は、前方吸気弁27Fのバルブ位相の目標値よりも所定角度(例えば、約10〜80度)遅角しているものとして説明した。
しかしながら、本発明の適用は、このような場合に限定されるものではない。
例えば、図21に示すように、エンジン11が「低回転低負荷」である場合、前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rのバルブリフト特性が一致し、また、前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rのバルブリフト特性が一致するように、前方排気弁28F、後方排気弁28R、前方吸気弁27F、および後方吸気弁27Rの各々のバルブ位相の目標値を設定してもよい。なお、この図21では、説明を容易にするため、前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rの各バルブリフト特性線を僅かにずらして記載しているが、実際には、前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rの各バルブリフト特性線は一致している。同様に、この図21において、前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rの各バルブリフト特性線も僅かにずらして記載しているが、実際には、前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rの各バルブリフト特性線は一致している。
そして、VVTコントローラ43が、この図21に示すように、前方排気弁28Fおよび後方排気弁28Rの少なくとも一方が開いている期間である排気期間TEXの終了時期と、前方吸気弁27Fおよび後方吸気弁27Rの少なくとも一方が開いている期間である吸気期間TINの開始時期とが一致するように、吸気側VVT機構32および排気側VVT機構33を制御するようにしてもよい。
これにより、エンジン11が低回転低負荷状態にある場合、吸気行程中期において燃焼室16内で下層の排気と上層の吸気との2層状態が形成され、EGRガスと吸気とが混合されることを抑制することが可能となる。したがって、吸気行程後の圧縮行程終期の膨張行程TDCでは、点火プラグ18近傍の上層に吸気が多く存在する状態で点火されるため、EGRガス量を増大させたとしても、エンジン11の燃焼性を比較的安定させることができる。
また、排気弁28F,28Rを閉じた後に吸気弁27F,27Rを開くため、ポンピングロスを減少することができるため、燃費を向上させることができる。
また、比較的高温のEGRガスの導入量が増えると、燃焼室16内の温度が上昇し、シリンダ14内面のライナーに付着するオイルの粘度が低下し、シリンダ14に対するピストン15の摩擦抵抗を抑制することが出来る。さらに、燃焼室16内の温度を上昇させることで、エンジン11の熱損失を低減することができるため、さらなる燃費向上を図ることができる。
また、吸気弁27F,27Rおよび排気弁28F,28Rのバルブ位相を変更すればよいので、特別な部品を用いることなく、コストの抑制に寄与することもできる。
本発明は、車両の製造産業などに利用可能である。
本発明は、自動車産業や動力出力装置の製造産業などにも利用可能である。
11 ガソリンエンジン(エンジン)
12 シリンダヘッド
13 シリンダブロック
14 シリンダ
15 ピストン
15a 頂面
16 燃焼室
17 ペントルーフ
17a 吸気側壁部
17b 排気側壁部
18 点火プラグ
19 吸気ポート
21 インジェクタ
22 吸気マニホールド
23 排気ポート
24 排気マニホールド
25 スロットルバルブ
26 スロットルバルブ開度センサ
27 吸気弁
27F 前方吸気弁(第1吸気弁)
27R 後方吸気弁(第2吸気弁)
28 排気弁
28F 前方排気弁(第2排気弁)
28R 後方排気弁(第1排気弁)
29 吸気カムシャフト
31 排気カムシャフト
32 吸気側VVT機構(バルブ制御機構,吸気弁制御機構)
33 排気側VVT機構(バルブ制御機構,排気弁制御機構)
40 ECU(Electric Control Unit)
41 エンジン回転数演算部(エンジン回転数演算手段)
42 エンジン負荷演算部(エンジン負荷演算手段)
43 VVTコントローラ(バルブ制御手段)
44 目標タイミング設定部(目標タイミング設定手段)
45 バルブタイミングマップ

Claims (12)

  1. 一気筒に対して、第1吸気弁と第1排気弁とが設けられたエンジンのバルブタイミングを制御する装置であって、
    該第1吸気弁のバルブ位相を変更する吸気弁制御機構と、
    該第1排気弁のバルブ位相を変更する排気弁制御機構と、
    該エンジンの負荷を演算するエンジン負荷演算手段と、
    該吸気弁制御機構および該排気弁制御機構を制御するバルブ制御手段とを備え、
    該バルブ制御手段は、
    該エンジン負荷演算手段によって演算された該エンジン負荷が低中トルク閾値以上の場合、
    吸気行程中に該第1排気弁および該第1吸気弁がともに閉弁するように該吸気弁制御機構および該排気弁制御機構を制御する
    ことを特徴とする、エンジンのバルブタイミング制御装置。
  2. 該バルブ制御手段は、
    該エンジン負荷演算手段によって演算された該エンジン負荷が該低中トルク閾値以上の場合、
    該エンジン負荷が該低中トルク閾値よりも低い場合よりも、該第1吸気弁の開弁時期を吸気行程中で遅角させるように該吸気弁制御機構を制御する
    ことを特徴とする、請求項1記載のエンジンのバルブタイミング制御装置。
  3. 該バルブ制御手段は、
    該エンジン負荷演算手段によって演算された該エンジン負荷が該低中トルク閾値以上の場合、
    該第1排気弁の閉弁時期を排気上死点または吸気行程中となるように該排気弁制御機構を制御する
    ことを特徴とする、請求項1または2記載のエンジンのバルブタイミング制御装置。
  4. 該エンジンの該一気筒に対して第2吸気弁と第2排気弁とがさらに備えられ、
    該吸気弁制御機構は、
    該第1吸気弁および該第2吸気弁のバルブ位相を変更し、
    該排気弁制御機構は、
    該第1排気弁および該第2排気弁のバルブ位相を変更し、
    該バルブ制御手段は、
    該エンジン負荷演算手段によって演算された該エンジン負荷が該低中トルク閾値以上の場合、
    吸気行程中に該第1吸気弁,該第2吸気弁,該第1排気弁および該第2排気弁がすべて閉弁するように該吸気弁制御機構および該排気弁制御機構を制御する
    ことを特徴とする、請求項1〜3いずれか1項記載のエンジンのバルブタイミング制御装置。
  5. 該バルブ制御手段は、
    該エンジン負荷演算手段によって演算された該エンジン負荷が該低中トルク閾値以上の場合、
    該エンジン負荷が該低中トルク閾値よりも低い場合よりも、該第1吸気弁の開弁時期および該第2吸気弁の開弁時期を吸気行程中で遅角させるように該吸気弁制御機構を制御する
    ことを特徴とする、請求項4記載のエンジンのバルブタイミング制御装置。
  6. 該バルブ制御手段は、
    該エンジン負荷演算手段によって演算された該エンジン負荷が該低中トルク閾値以上の場合、
    該第1排気弁の閉弁時期および該第2排気弁の閉弁時期を排気上死点または吸気行程中となるように該排気弁制御機構を制御する
    ことを特徴とする、請求項4または5記載のエンジンのバルブタイミング制御装置。
  7. 該バルブ制御手段は、
    該エンジン負荷演算手段によって演算された該エンジン負荷が該低中トルク閾値よりも低い状態と該低中トルク閾値よりも高い中高トルク閾値以上との間で変化した場合、
    吸気行程中に該第1吸気弁および該第1排気弁がともに閉弁するように該吸気弁制御機構および該排気弁制御機構を制御し、その後、
    該第1吸気弁および該第1排気弁がともに開弁するように該吸気弁制御機構および該排気弁制御機構を制御する
    ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項記載のエンジンのバルブタイミング制御装置。
  8. 該バルブ制御手段は、
    該エンジン負荷演算手段によって演算された該エンジン負荷が該低中トルク閾値よりも低い状態と該低中トルク閾値よりも高い該中高トルク閾値以上との間で変化した場合、
    吸気行程中に該第1吸気弁および該第1排気弁がともに閉弁するように該吸気弁制御機構および該排気弁制御機構を制御し、その後、
    該第1吸気弁の開弁時期を進角させるように該吸気弁制御機構を制御する
    ことを特徴とする、請求項7記載のエンジンのバルブタイミング制御装置。
  9. 該バルブ制御手段は、
    該エンジン負荷演算手段によって演算された該エンジン負荷が該低中トルク閾値よりも低い状態と該低中トルク閾値よりも高い該中高トルク閾値以上との間で変化した場合、
    吸気行程中に該第1吸気弁および該第1排気弁がともに閉弁するように該吸気弁制御機構および該排気弁制御機構を制御し、その後、
    該第1排気弁の閉弁時期を遅角させるように該排気弁制御機構を制御する
    ことを特徴とする、請求項7または8記載のエンジンのバルブタイミング制御装置。
  10. 該バルブ制御手段は、
    該エンジン負荷演算手段によって演算された該エンジン負荷が該低中トルク閾値よりも低い状態と該低中トルク閾値よりも高い中高トルク閾値以上との間で変化した場合、
    吸気行程中に該第1吸気弁,該第2吸気弁,該第1排気弁および該第2排気弁がすべて閉弁するように該吸気弁制御機構および該排気弁制御機構を制御し、その後、
    該第1吸気弁および該第2吸気弁の少なくとも1つと、該第1排気弁および該第2排気弁の少なくとも1つとがともに開弁するように該吸気弁制御機構および該排気弁制御機構を制御する
    ことを特徴とする、請求項4〜6のいずれか1項記載のエンジンのバルブタイミング制御装置。
  11. 該バルブ制御手段は、
    該エンジン負荷演算手段によって演算された該エンジン負荷が該低中トルク閾値よりも低い状態と該低中トルク閾値よりも高い該中高トルク閾値以上との間で変化した場合、
    吸気行程中に該第1吸気弁,該第2吸気弁,該第1排気弁および該第2排気弁がすべて閉弁するように該吸気弁制御機構および該排気弁制御機構を制御し、その後、
    該第1吸気弁および該第2吸気弁のうち進角している方の開弁時期を進角させるように該吸気弁制御機構を制御する
    ことを特徴とする、請求項10記載のエンジンのバルブタイミング制御装置。
  12. 該バルブ制御手段は、
    該エンジン負荷演算手段によって演算された該エンジン負荷が該低中トルク閾値よりも低い状態と該低中トルク閾値よりも高い該中高トルク閾値以上との間で変化した場合、
    吸気行程中に該第1吸気弁,該第2吸気弁,該第1排気弁および該第2排気弁がすべて閉弁するように該吸気弁制御機構および該排気弁制御機構を制御し、その後、
    該第1排気弁および該第2排気弁のうち遅角している方の閉弁時期を遅角させるように該排気弁制御機構を制御する
    ことを特徴とする、請求項10または11記載のエンジンのバルブタイミング制御装置。
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