JP2011174307A - 床用押出中空セメント板 - Google Patents

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Akira Chikanari
明 近成
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Abstract

【課題】主として中高層の鉄骨建築物における外壁および間仕切壁に用いる材料で、セメント・けい酸質原料および繊維質原料を主原料として、中空を有する板状に押出成形しオートクレーブ養生した床用の押出中空セメント板の遮音性能を向上させることである。
【解決手段】押出中空セメント板の原材料に、鉄粉等の高比重粉体を5〜20%含有させ、中空部の幅(A)と隣り合う中実部の幅(B)の関係を、B≧A/2を満足する中空構造にして遮音性能を向上させた。
【選択図】図1

Description

この発明は、遮音性に優れた床用の押出中空セメント板に関するものである。
押出中空セメント板(Extruded Cement Panel)は、主として中高層の鉄骨建築物における外壁および間仕切壁に用いる材料で、セメント・けい酸質原料および繊維質原料を主原料として、中空を有する板状に押出成形しオートクレーブ養生したパネルである。
この押出中空セメント板は、中空構造であり、軽量性と高強度という特徴を有するため、外壁や間仕切壁の用途のほか、床材としても用いられるようになっている(特許文献1、特許文献2)。
特開平7−317191号公報 特開平11−293900号公報
ところが、押出中空セメント板を床材として使用した場合、中空構造であるために、階下への遮音性能に劣るという問題があった。
このため、従来は、押出中空セメント板を床材として使用する場合には、床材と根太との間に緩衝材を挿入するなど、遮音性を向上させる施工方法を採用する必要があり、施工コストが嵩むという問題があった。
そこで、この発明は、特別な遮音工事をしなくても、それ自体で優れた遮音性能を有する床用の押出中空セメント板を提供しようとするものである。
前記の課題を解決するために、この発明は、押出中空セメント板の原材料に、鉄粉等の高比重粉体を体積比で少なくとも5%含有させ、中空部の幅(A)と隣り合う中実部の幅(B)の関係が、B≧A/2を満足する中空構造にしたものである。
上記の押出中空セメント板は、優れた遮音性能を有することが実験的に確認することができた。
原材料に含有させる高比重粉体は、最大粒径500μm以下のものが好ましい。
以上のように、この発明に係る押出中空セメント板は、遮音性能に優れているため、床材として好適に使用することができる。
この発明に係る床用押出中空セメント板の構造を示す側面図である。 (a)(b)はこの発明に係る床用押出中空セメント板の実施形態を示す側面図である。 (c)〜(f)はこの発明の比較例を示す側面図である。 この発明の実施例と比較例のL値を比較したグラフである。 この発明の実施例と比較例のL値を比較したグラフである。 金属添加量と遮音性能の関係を示すグラフである。
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づき具体的に説明する。
この発明に係る押出成形セメント板は、図1に示すように、セメント・けい酸質原料および繊維質原料を主原料とし、これに最大粒径500μm以下の鉄粉等の高比重粉体を含有させた材料を、中空を有する板状に押出成形しオートクレーブ養生したものである。
図1には、高比重粉体を斑点で模式的に表している。
高比重粉体の含有量は、5〜20重量%である。
高比重粉体としては、鉄粉(酸化鉄を含む)、ステンレス粉等の金属粉、アルミナ粉等を使用することができる。
図6に示すように、5重量%未満であると、遮音性能が向上せず、20重量%以上含有させても、遮音性能がそれほど向上しない。また、20%以上含有させると、重量が重くなりすぎると共に、押出成形性、加工性に支障がでる。
また、高比重粉体の粒径は、最大粒径500μm以下のものを使用することが好ましい。
最大粒径が500μm以上の金属粉が混入すると、押出成形性、加工性の点で支障が生じる。
そして、中空部の幅(A)と隣り合う中実部の幅(B)の関係を、B≧A/2にすることにより、軽量化と遮音性能を共に満足させることができる。
[実施例]
図2(a)は、この発明の第1の実施例であり、厚みが25mm、中空部Aの幅23mm、中実部Bの幅38mmである。
図2(b)は、この発明の第2の実施例であり、厚みが25mm、中空部Aの幅23mm、中実部Bの幅23mmである。
[比較例]
図3(c)は、この発明の比較例1であり、厚みが25mmで、中空部を設けていない例である。
図3(d)は、この発明の比較例2であり、厚みが25mm、中空部Aの幅23mm、中実部Bの幅12mmである。
図3(e)は、この発明の比較例3であり、厚みが25mm、中空部Aの幅23mm、中実部Bの幅6mmである。
図3(f)は、この発明の比較例4であり、厚みが25mm、中空部Aと中実部Bの体積比をこの発明の実施例1と同一にして、中空部Aの幅を実施例1の倍の幅の46mmとし、中実部Bの幅を15mmにした例である。
以上の第1の実施例(a)、第2の実施例(b)、比較例1(c)、比較例2(d)、比較例3(e)と、ALCの遮音性能を、L値で比較したところ、図4の結果が得られた。
また、中空部Aと中実部Bの体積比がこの発明の実施例1と同一であっても、比較例4のように中空部Aの幅が広くなると、図5のグラフに示すように、優れた遮音性能を得ることができなかった。
この図4、図5の結果から、中空部の幅(A)と隣り合う中実部の幅(B)の関係を、B≧A/2にした押出成形セメント板が遮音性能に優れているということが確認することができた。
なお、上記実施例と比較例における高比重粉体の種類、含有量、L値の測定方法は、下記の通りである。
高比重粉体:鉄粉(平均粒径30μm)
含有量:10重量%
L値の測定方法:(JIS A 1418 建築物の床衝撃音遮断性能の測定方法‐第2部:標準重量衝撃源による方法に準拠)
A 中空部の幅
B 中実部の幅

Claims (3)

  1. 原材料に、鉄粉等の高比重粉体を含有させ、中空部の幅(A)と隣り合う中実部の幅(B)の関係が、B≧A/2を満足する中空構造である床用押出中空セメント板。
  2. 鉄粉等の高比重粉体の含有率が、5〜20重量%である請求項1記載の床用押出中空セメント板。
  3. 高比重粉体の粒径が500μm以下である請求項1又は2記載の床用押出中空セメント板。
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