JP2011174258A - コンクリート部材の製造方法、孔形成部材 - Google Patents

コンクリート部材の製造方法、孔形成部材 Download PDF

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Abstract

【課題】 PC部材に長尺かつ内周面に凹凸が形成された貫通孔を形成することができるようにする。
【解決手段】 PC部材を構築するための型枠内の前記貫通孔に相当する位置に、スパイラル筋20と、スパイラル筋20と一体となった筒状シート30とにより構成される孔形成部材10を配置し、PC部材を構成するコンクリートを打設し、コンクリートが硬化した後に孔形成部材10を撤去する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、貫通孔を有するコンクリート部材の製造方法及びこの方法で用いられる孔形成部材に関する。
従来より、工期短縮を目的としてPC部材を用いて建物を構築することが行われている。このようなPC部材により建物の柱梁架構を構築する方法として、例えば、図10に示すように、下方の階の柱を構成する下方のPC柱部材430の柱筋431の上部にスリーブ継手432を埋設し、柱梁仕口部とこの柱梁仕口部に接続される梁とが一体に構成されたPC梁・仕口部材420の柱梁仕口部に相当する部分に上下方向に延びるように貫通孔421を形成し、上方の階の柱を構成する上方のPC柱部材410の柱筋411の下端を部材下面から突出させておき、下方のPC柱部材430の上方にPC梁・仕口部材420を建て込み、上方のPC柱部材410を、その柱筋411がPC梁・仕口部材420の貫通孔421を挿通し、下方のPC柱部材430のスリーブ継手432内に挿入されるように建て込むことによりこれらPC部材を接続する方法が用いられている。
これまでPC梁・仕口部材の貫通孔は、シース管を埋設することにより形成してきた。しかしながら、この方法ではシース管が異物として内部に残置されることとなり構造上好ましくなく、また、シース管を再利用することができないために、コスト高となってしまう。
そこで、例えば、特許文献1には、PC部材を製作するにあたり、コンクリートを打設する前に、型枠内の貫通孔に相当する位置にゴム製の長尺な袋体を配置しておき、この袋体内に加圧流体を充填した状態でコンクリートを打設し、コンクリートが硬化した後、袋体から内部の流体を排出して袋体を縮径させて、撤去する方法が記載されている。かかる方法によれば、PC部材内に異物を残置することなく、貫通孔を形成することができ、また、袋体を再利用することができる。
特開2009―184235号公報
ここで、上記の方法を用いて、PC部材に長尺な貫通孔を形成しようとすると、袋体として長尺なものを用いる必要がある。しかしながら、長尺な袋体の先端まで確実に内部の流体を加圧することは困難であるため、この方法は長尺な貫通孔を形成する場合には適さない。
また、シース管を用いた場合には、貫通孔の内周面に凹凸が形成されるため、内部に注入されるグラウトとの付着力が確保できるが、袋体を用いる方法では貫通孔の内周面に凹凸を形成することができない。
本発明は、上記の問題に鑑みなされたものであり、その目的は、PC部材に長尺かつ内周面に凹凸が形成された貫通孔を形成することができるようにすることである。
本発明のコンクリート部材の製造方法は、孔が形成されたコンクリート部材を製造する方法であって、前記コンクリート部材を構築するための型枠内の前記孔に相当する位置に、スパイラル筋と、当該スパイラル筋と一体となった筒状のシート材とにより構成される孔形成部材を配置する孔形成部材配置ステップと、前記コンクリート部材を構成するコンクリートを打設するコンクリート打設ステップと、コンクリートが硬化した後に前記孔形成部材を撤去する孔形成部材撤去ステップと、を備えることを特徴とする。
上記のコンクリート部材の製造方法において、前記孔形成部材配置ステップでは、 前記孔形成部材の内部に柱状の部材を配置してもよい。
また、前記シート部材は、前記スパイラル筋に沿うように前記スパイラル筋に取り付けられた帯状シートからなり、前記孔形成部材の軸方向に隣接する前記帯状シートの縁同士が接続されてなるものであってもよい。
また、前記孔形成部材撤去ステップでは、前記スパイラル筋の端部を引っ張ることで、前記孔形成部材を撤去してもよい。
また、本発明の孔形成部材は、孔を有するコンクリート部材を製造する場合において、前記コンクリート部材を構成するコンクリートを打設する際に前記孔に相当する位置に配置される孔形成部材であって、スパイラル筋と、当該スパイラル筋と一体となった筒状のシート材とにより構成されることを特徴とする。
本発明によれば、スパイラル筋によりコンクリートの圧力を支持しており、スパイラル筋はその長さ及び位置に係わらず、確実にコンクリートの圧力に抵抗することができるため、長尺な貫通孔であっても形成することができる。また、スパイラル筋に相当する部分が凹部として、シート部材に相当する部分がコンクリートの圧力により撓んで凸部となるため、貫通孔内に凹凸を形成することができる。
本実施形態の貫通孔の形成方法に用いられる孔形成部材を示し、(A)は正面図、(B)は鉛直断面図である。 図1(B)におけるI部の拡大図である。 孔形成部材を製造する様子を示す全体図である。 ポリエステル樹脂フィルムを接続する手順を拡大して示す図である。 孔形成部材内に鋼管を挿入した様子を示す断面図である。 コンクリートを打設した際の図5におけるI部の拡大断面図である。 スパイラル筋を引っ張り出す様子を示す図である。 一枚の帯状のポリエステル樹脂フィルムにより筒状シートを構成する様子を示すポリエステル樹脂フィルムの接続部の拡大図である。 筒状シートとスパイラル筋との接続部の拡大図である。 PC部材を用いて柱梁架構を構築する方法の一例を示す図である。
以下、本発明のコンクリート部材の貫通孔の形成方法の一実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態の貫通孔の形成方法に用いられる孔形成部材10を示し、(A)は正面図、(B)は鉛直断面図である。また、図2は、図1(B)におけるI部の拡大図である。図1に示すように、孔形成部材10は、円筒状の部材であり、スパイラル筋20と、スパイラル筋20と一体となった円筒状の筒状シート30とにより構成される。
スパイラル筋20は螺旋状に成形された鋼線により構成される。本実施形態では、スパイラル筋20として、鋼線の径が0.8mm、螺旋の内径が57mmであるものを用いている。ただし、スパイラル筋20としては、これに限らず、貫通孔の径及びコンクリートを打設する際に作用する圧力に応じて適宜なものを選択すればよい。
筒状シート30は一対の帯状のポリエステル樹脂フィルム31がスパイラル筋20に沿って、スパイラル筋20を内外から挟みこむように接着されてなる。図2に示すように、孔形成部材10の軸方向断面において、孔形成部材10の軸方向に並ぶ各列の一対のポリエステル樹脂フィルム31は、その左側の端部において、図中左側に隣接する列のポリエステル樹脂フィルム31の右側の端部を、一対のポリエステル樹脂フィルム31の間に挟みこんだ状態で接着されている。これにより、各列の一対のポリエステル樹脂フィルム31が孔形成部材の軸方向に接続されて、円筒状の筒状シート30を構成している。
スパイラル筋20は長手方向に収縮可能であるとともに容易に屈曲させることができる。また、筒状シート30は柔軟に変形可能である。このため、孔形成部材10は、中間部を屈曲させるなど、適宜形状を変更することができ、また、軸方向に収縮させることができる。このため、孔形成部材10は、適宜屈曲させることで、屈曲した貫通孔を形成する場合に用いることができ、さらに、軸方向に収縮させることでコンパクトになり、現場への搬入に手間がかからず、狭隘な場所でも資材を保管することができる。
図3は、孔形成部材10を製造する様子を示す図である。また、図4は、ポリエステル樹脂フィルム31を接続する手順を拡大して示す図である。図3に示すように、孔形成部材10は、鋼線20を挟んで一対の帯状のポリエステル樹脂フィルム31を接着しながら、鋼線20を螺旋状に成形することで製造される。なお、図4(B)及び(C)のI部に示すように、ポリエステル樹脂フィルム31を接着する際に、孔形成部材10のすでに成形が完了した部分の筒状シート30の端部の縁を挟みこむように一対のポリエステル樹脂フィルム31を接着させることで、これら一対のポリエステル樹脂フィルム31を孔形成部材10の軸方向に接続することができる。
以下、かかる孔形成部材10を用いたPC部材の貫通孔の成形方法を説明する。
まず、PC部材を構成する鉄筋を配筋するとともに、貫通孔に相当する位置に孔形成部材10を配置する。この際、図5に示すように、孔形成部材10内に鋼管40を挿入しておく。なお、鋼管40としては、孔形成部材10の内周の径よりもわずかに小径のもの(本実施形態では、54mm)を用いる。
次に、PC部材の外周面に相当する位置に型枠を配置する。なお、型枠の貫通孔に相当する位置には開口を設け、孔形成部材10及び鋼管40を型枠外部まで進出させておくとよい。
次に、型枠内にコンクリート50を打設する。図6は、コンクリート50を打設した状態の図5におけるI部の拡大断面図である。同図に示すように、型枠内にコンクリート50を打設すると、孔形成部材10には外周からコンクリート50の打設圧が作用する。しかしながら、スパイラル筋20は鋼線からなるため、コンクリート50の打設圧に抵抗することができ、変形することはない。一方、スパイラル筋20の間に張られた筒状シート30は圧力により孔形成部材10の中心に向かって撓み、筒状シート30の撓んだ部分は鋼管40の外周面に当接する。これにより、鋼管40がコンクリート50の圧力を負担することとなり、筒状シート30がコンクリート50の圧力で破損するのを防止できる。
また、コンクリート50を打設した際に、鋼管40が孔形成部材10内の中心に位置していない場合には、コンクリート50から鋼管40に作用する圧力は、筒状シート30の鋼管40に当接する面積が異なるため、不均一になる。例えば、鋼管40が下方にずれて位置する場合には、鋼管40の下面の方が上面に比べて樹脂フィルムの当接する面積が大きくなり、コンクリート50から作用する圧力は鋼管40の下部に大きく作用することとなるため、鋼管40は中心に向かって移動する。このようにして、コンクリート50から作用する圧力が均一になるように、鋼管40は孔形成部材10の中心に位置することとなる。
次に、コンクリート50が硬化した後、鋼管40を孔形成部材10の内部から撤去する。この際、孔形成部材10の型枠から突出した部分のスパイラル筋20の端部を引っ張る。これにより、図7に示すように、スパイラル筋20は引き伸ばされながら引っ張り出される。また、スパイラル筋20が引き伸ばされることで一対のポリエステル樹脂フィルム31の間の接着がはがれて、スパイラル筋20に付着した状態で引っ張り出される。このため、孔形成部材10を容易に撤去することができ、また、製作したPC部材の内部に異物が残置されることがない。
このようにして、製造したPC部材は孔形成部材10が配置されていた部分が貫通孔となる。そして、この貫通孔の内周面は、スパイラル筋20が位置していた部分が凹むとともに、筒状シート30が中心に向かって撓んだ部分が突出することとなり、内周面に凹凸を形成することができる。
本実施形態によれば、孔形成部材10を貫通孔に相当する位置に配置した状態でコンクリート50を打設することで貫通孔を形成しており、孔形成部材10のスパイラル筋20はその長さ及び位置に係わらず、確実にコンクリート50の圧力に抵抗することができるため、長尺な貫通孔であっても形成することができる。
また、コンクリート50の硬化後に、スパイラル筋20を引っ張ることで、スパイラル筋20を引き伸ばした状態で引っ張り出すことができるとともに、筒状シート30もスパイラル筋20とともに撤去できる。このため、PC部材の内部に異物を残置することなく、貫通孔を形成することができる。特に、本実施形態では、一対の帯状のポリエステル樹脂フィルム31を、スパイラル筋20を挟み込むように接着して、筒状の筒状シート30を形成しているため、スパイラル筋20と同様にポリエステル樹脂フィルム31を容易に撤去することができる。
なお、本実施形態では、一対の帯状のポリエステル樹脂フィルム31をスパイラル筋20に沿って螺旋状に連続させることで、筒状の筒状シート30を形成することとしたが、これに限らず、例えば、一枚の帯状のポリエステル樹脂フィルムを用いることもできる。かかる場合には、図8のポリエステル樹脂フィルムの接続部の拡大図に示すように、一枚の帯状のポリエステル樹脂フィルム231を幅方向の中央で折り曲げ、スパイラル筋20を間に挟みこみながら、折り曲げた内側の面を接着し、スパイラル筋20に沿って螺旋状に配置する。この際、同図(B)及び(C)のI部に示すように、左側に隣接する列のポリエステル樹脂フィルム231の折り曲げた側の端部を、ポリエステル樹脂フィルム231の右側の端部の間に挟む。これにより、孔形成部材の軸方向に隣接する各列のポリエステル樹脂フィルム231が接続されて、筒状の筒状シート30を構成することができる。
また、必ずしも帯状のポリエステル樹脂フィルム31を螺旋状に巻き付けることで、樹脂フィルムを構成する必要なく、一体の筒状のフィルムを用いてもよい。かかる場合には、図9の筒状シート130とスパイラル筋120との接続部の拡大図に示すように、スパイラル筋120の内側に切り込み120Aを形成しておき、スパイラル筋120の内側に筒状の筒状シート130を配置し、切り込み120Aに筒状シート130を挟みこませることで孔形成部材を形成することができる。
また、本実施形態では、樹脂フィルムとしてポリエステル樹脂のフィルムを用いることとしたが、これに限らず、コンクリートから剥がし易いシート部材であれば用いることができる。
また、本実施形態では、PC部材を構築する際に、孔形成部材10の内部に鋼管40を配置することとしたが、鋼管40に限らず、円柱状の部材であれば用いることができる。さらに、必ずしも、鋼管40を配置する必要はなく、孔形成部材10がコンクリートの圧力に抵抗することができる場合には、鋼管40を省略してもよい。
また、本実施形態では、柱梁架構を構築する際に用いられるPC部材を製造する場合を例として説明したが、これに限らず、プレストレスコンクリートを製造するための貫通孔を有するPC部材を製造する場合であっても本発明を適用できる。また、現場打ちで貫通孔を有するコンクリート部材を形成する場合にも本発明を適用できる。
また、本実施形態では、貫通孔を形成する場合について説明したが、これに限らず、少なくとも一方の端部が表面に開口していればよい。また、上記実施形態では、断面円形の孔を形成する場合について説明したが、断面形状はこれに限らず、楕円形等の孔を形成することもでき、その断面形状は問わない。また、孔の形状は直線状に限らず、適宜湾曲させることもできる。なお、一方の端部のみが開口している孔を形成する場合には、筒状部材の開口していない側の端部を閉鎖しておく必要がある。
10 孔形成部材
20、120 スパイラル筋(鋼線)
30、130 筒状シート
31 ポリエステル樹脂フィルム
40 鋼管
50 コンクリート

Claims (5)

  1. 孔が形成されたコンクリート部材を製造する方法であって、
    前記コンクリート部材を構築するための型枠内の前記孔に相当する位置に、スパイラル筋と、当該スパイラル筋と一体となった筒状のシート材とにより構成される孔形成部材を配置する孔形成部材配置ステップと、
    前記コンクリート部材を構成するコンクリートを打設するコンクリート打設ステップと、
    コンクリートが硬化した後に前記孔形成部材を撤去する孔形成部材撤去ステップと、を備えることを特徴とするコンクリート部材の製造方法。
  2. 請求項1記載のコンクリート部材の製造方法であって、
    前記孔形成部材配置ステップでは、
    前記孔形成部材の内部に柱状の部材を配置することを特徴とするコンクリート部材の製造方法。
  3. 請求項1又は2記載のコンクリート部材の製造方法であって、
    前記シート部材は、前記スパイラル筋に沿うように前記スパイラル筋に取り付けられた帯状シートからなり、前記孔形成部材の軸方向に隣接する前記帯状シートの縁同士が接続されてなることを特徴とするコンクリート部材の製造方法。
  4. 請求項3記載のコンクリート部材の製造方法であって、
    前記孔形成部材撤去ステップでは、前記スパイラル筋の端部を引っ張ることで、前記孔形成部材を撤去することを特徴とするコンクリート部材の製造方法。
  5. 孔を有するコンクリート部材を製造する場合において、前記コンクリート部材を構成するコンクリートを打設する際に前記孔に相当する位置に配置される孔形成部材であって、
    スパイラル筋と、当該スパイラル筋と一体となった筒状のシート材とにより構成されることを特徴とする孔形成部材。
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