JP2011173400A - 樹脂モールド構造及び樹脂モールド方法 - Google Patents

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飛鳥 岡本
Akihiro Tanba
昭浩 丹波
Keiichi Ouchi
啓一 大内
Naoto Saito
直人 斉藤
Takashi Hattori
隆 服部
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Abstract

【課題】センサ素子等の電子部品とケーブルとを樹脂モールドで一体化する際にモールド樹脂とケーブルとの収縮・膨張量の差から生じる熱応力の低減を図り、高気密化に寄与できる樹脂モールド構造及び樹脂モールド方法を提供する。
【解決手段】電子部品とケーブルとがモールド樹脂により一体にモールドされた樹脂モールド構造において、モールド樹脂11が成形された樹脂モールド体10は、ケーブル12の長手方向の線膨張係数とケーブル12の長手方向に対して垂直となる径方向の線膨張係数とが異なっており、前記ケーブルの径方向の線膨張係数よりも前記ケーブルの長手方向の線膨張係数の方が前記ケーブルの最外層の線膨脹係数に近い値であるものである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電子部品や電子部品を搭載した回路基板と、電子部品や回路基板に接続されたケーブルとを、モールド樹脂で一体化した樹脂モールド構造及び樹脂モールド方法に関するものである。
ABSセンサに代表されるような車載センサは、ケーブルの先端にセンサ素子が取付けられ、このセンサ素子がケーブルごとモールド樹脂で一体にモールドされたものである(樹脂モールド構造)。
より具体的には、ケーブルは、例えば複数の芯線を有しており、各芯線は、センサ素子が搭載された回路基板と接続される。そして、センサ素子の保護とケーブルと回路基板の気密確保のため、センサ素子と、センサ素子が搭載された回路基板と、ケーブルとがモールド樹脂で一体にモールド化される。
このモールド成形時、ケーブルとモールド樹脂(モールド樹脂が成形された樹脂モールド体)は、その界面で溶着するため、界面の密着性、および気密を保つこととなる。
なお、モールド樹脂には、強度を高めるため及び成形時の収縮による製品形状の変形を防止するために、特許文献1に示されるように、繊維状のガラスフィラを含むものが使用されている。
特開2006−40817号公報
上述の樹脂モールド構造において、樹脂モールド体の強度を高めるため、モールド樹脂にガラスフィラを含ませることで、環境温度の変化時における樹脂モールド体の収縮・膨張量を小さくすることができる。しかし、樹脂モールド体の収縮・膨張量を小さくしても、ケーブルの最外層のシース自体は、樹脂モールド体とそのまま密着してモールドされている。このため、ケーブルの最外層であるシースの収縮・膨張量と樹脂モールド体の収縮・膨張量に差が出てしまい、密着性に新たな問題が発生する。
すなわち、一般的には、ケーブル(シース)の収縮・膨張量と樹脂モールド体の収縮・膨張量との間には、
(ケーブル(シース)の収縮・膨張量)>(樹脂モールド体の収縮・膨張量)
といった関係が成り立つ。
車載センサなどは、一般的に広い温度範囲の下で使用されるため、上記のようにケーブル(シース)と樹脂モールド体との収縮・膨張量の差が大きい場合、車載センサなどの樹脂モールド構造は、その差によって発生する熱応力が原因となって疲労を起こし、ケーブルと樹脂モールド体との界面の密着性の劣化を招いてしまう。
また、従来の樹脂モールド構造では、ケーブルと樹脂モールド体は、融着されることによって密着性が保たれていた。しかし、現在車載センサに求められている高耐熱化を実現するために高耐熱用材料を用いると、ケーブルと樹脂モールド体との融着は期待できなくなる。また、使用温度範囲が広がることから、上記の熱応力のさらなる増大が考えられる。したがって、熱応力によるケーブルと樹脂モールド体との界面の密着性の劣化は重要な問題となる。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、センサ素子等の電子部品とケーブルとをモールド樹脂で一体化する際に、モールド樹脂が成形された樹脂モールド体とケーブルとの収縮・膨張量の差から生じる熱応力の低減を図り、高気密化に寄与できる樹脂モールド構造及び樹脂モールド方法を提供することにある。
上記目的を達成するために請求項1の発明は、電子部品とケーブルとがモールド樹脂により一体にモールドされた樹脂モールド構造において、
前記モールド樹脂が成形された樹脂モールド体は、前記ケーブルの長手方向の線膨張係数と前記ケーブルの長手方向に対して垂直となる径方向の線膨張係数とが異なっており、前記ケーブルの径方向の線膨張係数よりも前記ケーブルの長手方向の線膨張係数の方が前記ケーブルの最外層の線膨脹係数に近い値であることを特徴とする樹脂モールド構造である。
請求項2の発明は、前記樹脂モールド体は、前記ケーブルの径方向の線膨張係数より前記ケーブルの長手方向の線膨張係数が大きいことを特徴とする請求項1記載の樹脂モールド構造である。
請求項3の発明は、前記モールド樹脂は、ガラスフィラを含み、このガラスフィラは、成形された樹脂モールド体内で、ケーブルの長手方向に対して垂直な面内に配向されている請求項2記載の樹脂モールド構造。
請求項4の発明は、前記樹脂モールド体のガラスフィラは、ケーブルの長手方向に垂直な断面で見たときにケーブル側から外に向かって放射状に配向されている請求項3記載の樹脂モールド構造である。
請求項5の発明は、前記樹脂モールド体は、円筒状に形成されている請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂モールド構造である。
請求項6の発明は、前記樹脂モールド体は、円筒の側面を軸方向に平行に切り欠いて、直交する径方向の肉厚が相違する俵形状に形成され、前記ガラスフィラは、肉厚の薄い方向に配向されている請求項3に記載の樹脂モールド構造である。
請求項7の発明は、前記ケーブルは、複数の心線を撚り合わせた外周にシースを被覆して形成されてなり、前記シースは、薄肉部と厚肉部を有し、少なくとも、前記ケーブルが引き出される前記樹脂モールド体の後端部において、前記樹脂モールド体の径方向の線膨張係数は、前記シースの薄肉部の外側で小さく厚肉部の外側で大きい請求項1〜3いずれかに記載の樹脂モールド構造である。
請求項8の発明は、前記電子部品が回路基板に搭載され、前記ケーブルが回路基板に接続され、その電子部品が搭載された回路基板とケーブルとが樹脂モールド体で一体化されている請求項1〜7いずれかに記載の樹脂モールド構造である。
請求項9の発明は、電子部品とケーブルとを、モールド樹脂で一体にモールドする樹脂モールド方法において、電子部品とケーブルとをモールドする金型に、ケーブルの長手方向に沿って注入ゲートを形成し、その注入ゲートからガラスフィラを含むモールド樹脂をケーブルの軸方向に対して垂直に注入して樹脂モールド体を成形することを特徴とする樹脂モールド方法である。
請求項10の発明は、電子部品を搭載した回路基板と、その回路基板に接続されたケーブルとを、モールド樹脂で一体にモールドする樹脂モールド方法において、電子部品を搭載した回路基板とケーブルとをモールドする金型に、ケーブルの長手方向に沿って注入ゲートを形成し、その注入ゲートからガラスフィラを含むモールド樹脂をケーブルの軸方向に対して垂直に注入して樹脂モールド体を成形することを特徴とする樹脂モールド方法である。
請求項11の発明は、注入ゲートから注入されたモールド樹脂がケーブルの長手方向に対して垂直方向に流動してガラスフィラがケーブルの長手方向に対して垂直に配向される請求項9又は10記載の樹脂モールド方法である。
本発明によれば、樹脂モールド体のケーブルの長手方向の線膨張係数とケーブルの線膨張係数との差を低減し、センサ素子等の電子部品とケーブルとを樹脂モールドで一体化する際に樹脂モールド体とケーブルとの収縮・膨張量の差から生じる熱応力を低減することができる。したがって、本発明によれば、最も密着性の劣化に影響を及ぼすと考えられるせん断応力を低減させることができ、高気密化に寄与することができる。
本発明の第1の実施の形態を示す模式図である。 図1の樹脂モールド構造を製造する樹脂モールド方法を説明する図である。 本発明の第2の実施の形態を示す模式図である。 本発明の第3の実施の形態を示す模式図である。 本発明の第4の実施の形態を示す模式図である。
以下、本発明の好適な一実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
図1は本発明の第1の実施の形態を示したものである。
図1において、ケーブル12の先端には、図には示していないがセンサ素子等の電子部品が直接接続されるか、或いは電子部品を搭載した回路基板が接続される。このセンサ素子等の電子部品の保護や水濡れ防止のために、電子部品或いは電子部品を搭載した回路基板と、電子部品や回路基板に接続されるケーブル12とは、ポリアミド樹脂などのモールド樹脂11で一体にモールド成形される。すなわち、電子部品或いは電子部品を搭載した回路基板とケーブル12とがモールド樹脂11で一体にモールドされた樹脂モールド構造14が形成される。モールド樹脂11は、成形されることで樹脂モールド体10となる。図1では、樹脂モールド体10は、円筒状に形成されている。
本発明は、この樹脂モールド構造14において、熱応力による密着性の劣化を抑制するとの観点から、モールド樹脂11を成形した樹脂モールド体10の物性(特に収縮・膨張量に大きく関係する線膨張係数α)を制御するものである。すなわち、本発明は、ケーブル12の長手方向における樹脂モールド体10の線膨張係数とケーブル12の長手方向に対して垂直となる径方向における樹脂モールド体10の線膨張係数とを異ならせ、ケーブル12の径方向における樹脂モールド体10の線膨張係数よりもケーブル12の長手方向における樹脂モールド体10の線膨張係数の方をケーブル12の最外層(シース)の線膨脹係数に近い値とするものである。これにより、本発明は、樹脂モールド体10とケーブル(シース)12との収縮・膨張量の差(つまりαミスマッチ)から生じる熱応力の低減を図り、高気密化に寄与できる樹脂モールド構造14とするものである。
ガラスフィラ13を含むモールド樹脂11は、射出成形時にガラスフィラ13の配向方向の線膨張係数αが小さく、配向方向と垂直方向の線膨張係数αが大きくなるという物性を持つ。そこで、本発明では、モールド樹脂11に含まれるガラスフィラ13の配向方向を制御することで、樹脂モールド体10の線膨脹係数をケーブル12の長手方向と径方向とで異ならせて、ケーブル12の長手方向における樹脂モールド体10の線膨張係数をケーブル12の最外層(シース)の線膨脹係数に近い値とする。
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態では、ケーブル12の長手方向に対して垂直に(ケーブル12の径方向に)ガラスフィラ13を配向するよう樹脂モールド体10を成形する。これにより、樹脂モールド体10は、ケーブル12の長手方向では線膨張係数αが大きくなりケーブル12との収縮・膨張量との差(αミスマッチ)が小さくなる。この結果、最も密着性の劣化に影響を及ぼすと考えられるせん断応力が低減され、樹脂モールド体10とケーブル12との界面15の密着性が良好となる。一方、ケーブル12の径方向では、ガラスフィラ13により線膨張係数αが小さくなる。しかし、径方向に発生する界面応力は、せん断応力ほど密着性の劣化に影響を及ぼさないため、問題は生じない。
なお、第1の実施の形態では、樹脂モールド体10において、ガラスフィラ13を特定の方向(図1では左右方向)に配向させているため、ガラスフィラ13の配向方向(特定の方向)に対して直角となる方向(図1では上下方向)における樹脂モールド体10の線膨脹係数は、ケーブル12の長手方向における樹脂モールド体10の線膨脹係数と等しくなるように形成されている。しかして、上述したように、ケーブル12の長手方向における樹脂モールド体10の線膨張係数は、ケーブル12の最外層(シース)の線膨脹係数に近い値としている。従って、図1の上下方向における樹脂モールド体10の線膨張係数は、ケーブル12の最外層(シース)の線膨脹係数に比較的近い値になることになるが、このことは、本発明の作用効果を阻害するものではない。このため、第1の実施の形態のようにガラスフィラ13を特定の方向に配向させた場合も、本発明の技術思想に含まれるとする。
図2は、図1に示した樹脂モールド構造14を製造する際の樹脂モールド方法を示したものである。
図2において、金型20は、円筒形の樹脂モールド体10を成形するための金型である。その金型20に、図2(a)に示すようにケーブル12の長手方向に沿った注入ゲート21を複数個並べて形成し、図2(b)に示すように金型20の注入ゲート21と180度対向する側に、エアーベント22を形成する。
ガラスフィラ13はモールド樹脂11の流動方向に配向する性質があるため、注入ゲート21から注入されるガラスフィラ13を含むモールド樹脂11は、エアーベント22に向けて径方向に流動して金型20内に充満する。このため、ガラスフィラ13は、ケーブル12の長手方向に対して垂直に配向されることとなる。なお、ガラスフィラ13は、全てケーブル12の長手方向に対して垂直に配向されていることが望ましいが、ケーブル12の長手方向と垂直な断面に対するガラスフィラ13の角度の平均が少なくとも45°未満であれば、本発明の効果は発生する。
この際、注入ゲート21の注入方向となるA面では、ガラスフィラ13がA面に沿って配向し、注入方向に対して垂直となるB面では、ガラスフィラ13がВ面を横断するように配向する。よって、A面における径方向の線膨張係数αは、B面における径方向の線膨張係数αより小さくなる。しかし、A面の径方向の線膨張係数αが小のため、αミスマッチとなるが、径方向に発生する界面引張り応力はせん断応力ほど密着性の劣化に影響を及ぼさないため、界面15の密着性に問題は生じない。
図3は、本発明の第2の実施の形態を示したものである。
一般的に樹脂モールド体の肉厚を厚くし、射出成形時の成形収縮によって圧縮し気密を保つという方法はよく知られている。しかし、前述の第1の実施の形態の樹脂モールド構造14において、A面の径方向αミスマッチが大きいためにケーブル12と樹脂モールド体10との界面15における界面引張り応力が大きくなる。一方、B面の径方向のαミスマッチはA面の径方向のαミスマッチより小さい。
そこで第2の実施の形態は、図3に示すように、円筒の側面をその円筒の軸方向に平行に切り欠いて、円筒の断面で直交する径方向の肉厚が相違する俵形状の樹脂モールド体10aに形成するものである。この樹脂モールド体10aのB面は、図1、図2で説明した樹脂モールド体10と同様に厚肉部となり、A面が薄肉部となる。A面と平行にガラスフィラ13を配向した樹脂モールド構造14aとすることで、界面15の引張り応力を低減させるようにしたものである。
この樹脂モールド体10aのB面は、αミスマッチが小さく成形後の環境温度変化により繰り返し加わる界面引張り応力がA面ほど問題にならない場合に、図3のように厚肉のままとし、厚肉の方が効果がある射出成形時の成形収縮による初期圧縮効果を残すようにする。
このように、本実施の形態では、ガラスフィラ13の配向方向に対し、垂直方向のB面は厚肉とすることで、成形収縮により、ケーブル12と樹脂モールド体10aの密着性を高くしたまま、A面での界面15での引張り応力を低減させることができる。
図4(a)は、本発明の第3の実施の形態を示したものである。
図1に示した第1の実施の形態においては、A面とВ面での線膨張係数αに違いが生じる。そこで本実施の形態においては、樹脂モールド体10bを円筒形状とし、ケーブル12側から円筒形の外側に向かってガラスフィラ13を放射状に配向させるようにしたものである。
このガラスフィラ13を放射状に配向させるには、図2で説明した注入ゲート21を成形する樹脂モールド体10の円周方向に沿って複数設け、180度対向する側にエアーベント22を設けることで放射状に配列することができる。この場合、注入ゲート21は、図2(a)で説明したように軸方向に並べる替わりに円周方向に適宜配列することで、ガラスフィラ13をより放射状に配列することができる。
この第3の実施の形態の樹脂モールド構造14bは、ケーブル12を中心に放射状にガラスフィラ13が配向されるため、A面、В面方向の線膨張係数αを小さくできると共にケーブル12と樹脂モールド体10bとの界面15の密着性を高めることができる。
この第3の実施の形態の樹脂モールド構造14bにおいては、樹脂モールド体10bのA面、В面方向の線膨張係数α小さく、ケーブル12のシースの線膨張係数は大きく、低温時には、図4(b)に示すように樹脂モールド体10bとケーブル12は、二点鎖線から実線のように収縮する。この場合は樹脂モールド体10bの収縮量は小さいが、ケーブル12の収縮量は大きくなり、両者の径方向でのミスマッチが生じやすくなる。しかし、図4(c)に示すように樹脂モールド体10bは円周方向にも収縮するため、この円周方向の収縮力により、結果として径方向に収縮する力が作用する。したがって、図4(d)に示したように、樹脂モールド体10bのA面、В面方向の線膨張係数αが小さくケーブル12との径方向の線膨張係数差が大きくても、全体としてはαミスマッチが小となり、界面15の密着性は高くなる。
図5は、本発明の第4の実施の形態を示したものである。
本実施の形態では、車載センサなどに使用されるケーブル12は、複数の心線16,16を撚り合わせた外周にシース17を被覆して形成される。ケーブル12の心線16,16は、図示していないがセンサ(電子部品)や電子部品を搭載した回路基板に接続される。
このケーブル12は、2本の心線16,16を撚り合わせたものであるため、心線16,16を被覆しているシース17は、心線16,16が並んだ方向では、薄肉部17aとなり、心線16,16が並んでいる上下の垂直方向は厚肉部17bとなる。
このようにシース17の厚みに偏りがある樹脂モールド構造14cにおいては、シース17の物性は均一でも場所によって厚みが異なるために収縮・膨張量に差が出てくる。すなわち、図5(b)の断面図では、心線16,16が並行に並んでいる上下部の厚肉部17bで収縮・膨張量が大きくなり、左右の薄肉部17aでこれと逆のことが起こる。
この様なシース17に対し、収縮・膨張量差が小さくなるように、シース厚肉部17bの外側の樹脂モールド体10cの線膨張係数αを大きく、シース薄肉部17aの外側の樹脂モールド体10cの線膨張係数αを小さくするようにガラスフィラ13を配向させることで熱応力を抑え密着性の向上に寄与することができる。すなわち、第1の実施の形態で説明したようにガラスフィラ13を配向させると、注入方向となるA面では、ガラスフィラ13がA面に沿って配向され、注入方向に対して垂直となるB面では、ガラスフィラ13がВ面を横断するように配向され、В面における径方向の線膨張係数αは、A面における径方向の線膨張係数αより小さくなる。
そこで、図5(b)に示すように、心線16,16が並んだ方向に、ガラスフィラ13を含んだモールド樹脂11を注入することで、ガラスフィラ13は心線16,16の並んだ方向に配列され、厚肉部17bの樹脂モールド体10cの線膨張係数αを大きく、薄肉部17aの樹脂モールド体10cの線膨張係数αを小さくすることができる。
この際、ガラスフィラ13の配向方向は、樹脂モールド体10cの後端部19から引き出されるケーブル12の出口部18における心線16,16の並び方向と一致するようにモールド樹脂11の注入方向を決定する。ただし、心線16,16は図5(a)の様に撚り合わせてあり、ケーブル12の長手方向に対し、一定の周期でその位置が変化するので、撚り合わせピッチを考慮した上で、成形後に樹脂モールド体10cの後端部19から引き出されるケーブル12の心線16,16の並び方向、すなわちモールド金型におけるケーブル12の出口部18の心線16,16の並び方向に合わせてモールド樹脂11の注入方向を決定する。これにより、ガラスフィラ13は、出口部18の心線16,16の並び方向に配向され、気密性に最も影響があると考えられるケーブル12の出口部18の密着性が向上する。
図5では気密性に最も影響があると考えられるケーブル12の出口部18の密着性が向上するように、ケーブル12の出口部18の心線16,16の並び方向に対して、樹脂モールド体10cの後端部19でのガラスフィラ13の配向を決定したが、撚り合わせピッチに合わせて注入ゲートの位置を円周方向で変えて、樹脂モールド体10c内で、ケーブル12の心線16,16の並び方向に注入するようにしてもよい。
次に本発明の実施例を説明する。
実施例1:
本実施例では、図1で説明した樹脂モールド構造14を製造した。
モールド樹脂11としては、ナイロン612を用い、モールド樹脂11に含ませるガラスフィラ13としては、デュポン社製のザイテル(登録商標)FE5382のガラス繊維を用い、モールド樹脂11にガラスフィラ13を33mass%含ませて樹脂モールド体10を成形した。ケーブル12から樹脂モールド体10の外周までの厚さは5.5mmとした。この樹脂モールド体10の流動方向の線膨張係数αは26[10-6/K]であり、ケーブルの長手方向の線膨張係数αは83[10-6/K]である。一方、ケーブル(シース)としてはポリウレタンを用いており、その線膨張係数αは150[10-6/K]である。
従来のようにガラスフィラをランダムに配向すると、樹脂モールド体の線膨張係数αは長手方向も軸方向も同じで54.5[10-6/K]となるが、実施例1では、樹脂モールド構造の構造上、最も密着性の劣化に影響を及ぼすと考えられるせん断応力を低減させるために、長手方向のαミスマッチを小さくした。すなわち、従来ランダムな配向だったガラスフィラを長手方向に対して垂直に配向することで、樹脂モールド体の長手方向のαを54.5[10-6/K]から83[10-6/K]とすることができ、ケーブルの線膨張係数αに近づけることができる。
従来のランダム配向の樹脂モールド構造と、実施例1のように長手方向に対して垂直にガラスフィラ13を配向させた樹脂モールド構造14のケーブル/樹脂モールド体界面に発生する熱応力(ケーブル長手方向のせん断応力|τ|、ケーブル径方向の界面応力)の解析結果を表1に示す。
Figure 2011173400
表1において、界面応力の−の値は圧縮応力、+は引張り応力を表す。
表1より、従来の樹脂モールド構造の場合、高温変化時のせん断応力は、9.3MPa、低温変化時のせん断応力は5.7MPaである。これに対して、実施例1は、高温変化時のせん断応力が、従来の9.3MPaから7.1MPaと2.2MPa減少させることができた。また低温変化時のせん断応力も5.7MPaから5.2MPaと0.5MPa低減することができた。
実施例2:
図4で説明したように、ガラスフィラをケーブル側から外側に向かって放射状に配向させる樹脂モールド構造とした以外は、実施例1と同じモールド樹脂11、ガラスフィラ13、ケーブル12を用いた。この樹脂モールド構造14における、ケーブル12と樹脂モールド体10bとの界面に発生する熱応力(せん断応力|τ|、界面応力α)の解析結果を表2に示す。
Figure 2011173400
表2より、従来の樹脂モールド構造と比較して実施例2の樹脂モールド構造14bは、高温変化時のせん断応力を2.8MPa、低温変化時のせん断応力を1.7MPa、界面引張り応力を7.4MPa低減することができた。
10 樹脂モールド体
11 モールド樹脂
12 ケーブル
13 ガラスフィラ
14 樹脂モールド構造

Claims (11)

  1. 電子部品とケーブルとがモールド樹脂により一体にモールドされた樹脂モールド構造において、
    前記モールド樹脂が成形された樹脂モールド体は、前記ケーブルの長手方向の線膨張係数と前記ケーブルの長手方向に対して垂直となる径方向の線膨張係数とが異なっており、前記ケーブルの径方向の線膨張係数よりも前記ケーブルの長手方向の線膨張係数の方が前記ケーブルの最外層の線膨脹係数に近い値であることを特徴とする樹脂モールド構造。
  2. 前記樹脂モールド体は、前記ケーブルの径方向の線膨張係数より前記ケーブルの長手方向の線膨張係数が大きいことを特徴とする請求項1記載の樹脂モールド構造。
  3. 前記モールド樹脂は、ガラスフィラを含み、このガラスフィラは、成形された樹脂モールド体内で、ケーブルの長手方向に対して垂直な面内に配向されている請求項2記載の樹脂モールド構造。
  4. 前記樹脂モールド体のガラスフィラは、ケーブルの長手方向に垂直な断面で見たときにケーブル側から外に向かって放射状に配向されている請求項3記載の樹脂モールド構造。
  5. 前記樹脂モールド体は、円筒状に形成されている請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂モールド構造。
  6. 前記樹脂モールド体は、円筒の側面を軸方向に平行に切り欠いて、直交する径方向の肉厚が相違する俵形状に形成され、前記ガラスフィラは、肉厚の薄い方向に配向されている請求項3に記載の樹脂モールド構造。
  7. 前記ケーブルは、複数の心線を撚り合わせた外周にシースを被覆して形成されてなり、前記シースは、薄肉部と厚肉部を有し、少なくとも、前記ケーブルが引き出される前記樹脂モールド体の後端部において、前記樹脂モールド体の径方向の線膨張係数は、前記シースの薄肉部の外側で小さく厚肉部の外側で大きい請求項1〜3いずれかに記載の樹脂モールド構造。
  8. 前記電子部品が回路基板に搭載され、前記ケーブルが回路基板に接続され、その電子部品が搭載された回路基板とケーブルとが樹脂モールド体で一体化されている請求項1〜7いずれかに記載の樹脂モールド構造。
  9. 電子部品とケーブルとを、モールド樹脂で一体にモールドする樹脂モールド方法において、電子部品とケーブルとをモールドする金型に、ケーブルの長手方向に沿って注入ゲートを形成し、その注入ゲートからガラスフィラを含むモールド樹脂をケーブルの軸方向に対して垂直に注入して樹脂モールド体を成形することを特徴とする樹脂モールド方法。
  10. 電子部品を搭載した回路基板と、その回路基板に接続されたケーブルとを、モールド樹脂で一体にモールドする樹脂モールド方法において、電子部品を搭載した回路基板とケーブルとをモールドする金型に、ケーブルの長手方向に沿って注入ゲートを形成し、その注入ゲートからガラスフィラを含むモールド樹脂をケーブルの軸方向に対して垂直に注入して樹脂モールド体を成形することを特徴とする樹脂モールド方法。
  11. 注入ゲートから注入されたモールド樹脂がケーブルの長手方向に対して垂直方向に流動してガラスフィラがケーブルの長手方向に対して垂直に配向される請求項9又は10記載の樹脂モールド方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015131478A (ja) * 2013-12-10 2015-07-23 日立金属株式会社 物理量測定センサの製造方法、物理量測定センサ、及び物理量測定センサのシール構造、ならびに樹脂成形体付きケーブルの製造方法

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