JP2011173215A - ドリル - Google Patents

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和孝 大庫
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隆 梶野
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Abstract

【課題】剛性が高く、切屑の排出性が高いドリルを提供することを課題とする。
【解決手段】ドリル1は、軸回りに回転可能な軸部20と、軸部20に螺旋状に延在し、軸部20の回転軸に対して180°回転位置に配置される一対のフルート部21a、21bと、軸部20の先端に配置されるチゼル部22と、チゼル部22に敷設される一対の内刃23a、23bと、各々、内刃23a、23bの径方向外端に連なり、フルート部21a、21bの回転方向を向く端面210a、210bに沿って延在する一対の外刃24a、24bと、を備える。ドリル1は、内刃23a、23bおよび外刃24a、24bを垂直方向から見た場合の切刃直視比(L1/L2)が0.50以上0.60以下であり、チゼル角θ1が145°以上149°以下であることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、切削油を微量だけ使用する条件下における深穴加工に用いられるドリルに関する。
従来、ドリルを用いた切削加工においては、潤滑性および冷却性を確保するために、大量の切削油が使用されていた。そのため、使用後の切削油は、環境に影響を与えないように処理してから、廃棄する必要があり、切削油の廃棄処理コストが多額になるという問題があった。
そこで、廃棄処理コスト削減のため、近年、切削油を微量しか使用しない切削加工が検討されている。技術開発により、切削油の使用量が微量であっても、ある程度の潤滑性を確保できる技術は確立されつつある。しかしながら、切削油を大量に使用する場合のような、大きな冷却効果は期待しにくい。特に、ドリルのフルート部に切屑が詰まると、ドリルの温度が上昇する原因となるが、微量しか切削油を使用しない場合には、切削油自体による大きな冷却効果は期待できないためドリルが高温になりやすく、ドリルの寿命が短くなる大きな原因となるおそれがある。また、ドリルのフルート部に切屑が詰まると、切削トルクが増加し、この点からも、ドリルの寿命が短くなる原因となるおそれがある。
特に、切削油を微量(例えば1時間あたり数cc)しか使用しない深穴(例えばL(穴加工深さ)/D(ドリル直径)の比が15以上)加工においては、フルート部の全長が長いため、穴が浅い場合と比較して、はるかに切屑が詰まりやすい。この場合、前記した現象が顕著となるおそれがあることから、切削油を微量しか使用せずに深穴加工する場合には、切屑の排出性の点でより優れたドリルを開発する必要がある。
このような技術背景において、例えば特許文献1〜4には、切削油を微量だけ使用する条件下において用いられるドリルの、長寿命化に関する技術が記載されている。
特許文献1には、微量油剤をドリルに噴霧する穴加工において、チゼルの外方端部に連続する中心切刃と、中心切刃の外方に連続する主切刃と、主切刃の中間部から角度150〜175°をつけて後退する外方コーナ切刃と、を有するドリルが開示されている。同文献記載のドリルによると、外周コーナ部の摩耗を抑制することができる。
特許文献2には、刃部の軸直角断面における外周切刃のすくい角を−29°〜0°に設定し、また刃部の芯厚をドリル直径に対して40%〜80%の範囲に設定したドリルが開示されている。すくい角を負にすると、切削抵抗が増加し、剛性が低下する。同文献記載のドリルによると、芯厚を厚くすることで、当該剛性の低下を補っている。
特許文献3には、先端から急勾配で芯厚を減ずる第一芯厚テーパ部と、その後方に続く第一芯厚テーパ部の勾配より小さい勾配で芯厚を減ずる第二芯厚テーパと、を有し、溝切上がり部の芯厚をドリル直径の25%以上としたドリルが開示されている。同文献記載のドリルによると、軸方向にドリルの芯厚を二段階に薄くすることにより、切屑の排出性を向上させている。
特許文献4には、シンニング刃と切刃の軸線方向先端視における延長線の交点をPとしたとき、軸線から交点Pまでの長さLaと、交点Pから切刃外周端縁までの長さLbと、の比La/Lbを、0.4〜0.7:1にしたドリルが開示されている。同文献によると、La/Lbを0.4〜0.7:1にすることにより、切屑詰まりを抑制することができる。また、切削抵抗を軽減することができる。
特開2000−198011号公報 特開平5−345211号公報 特開2008−110415号公報 特許2674123号公報
特許文献1、2には、フルート部の切屑排出性を向上させる技術は開示されていない。この点、特許文献3には、軸方向に芯厚を変化させることで、フルート部の切屑排出性を向上させる技術が開示されている。しかしながら、特許文献3のドリルの場合、軸部に二段階のテーパ加工を施す必要がある。このため、加工が困難である。また、軸部に芯厚の薄い部分が存在するため、剛性の確保、とりわけワーク(被削材)の面に対して斜めに穴を穿設する際の剛性の確保が困難である。
また、特許文献4には、切屑詰まりを防止し、かつ切削抵抗を軽減可能な刃長比(La/Lb=0.4〜0.7:1)が開示されている。しかしながら、具体的な実施例は開示されていない。
本発明のドリルは、上記課題に鑑みて完成されたものである。本発明は、剛性が高く、切屑の排出性が高いドリルを提供することを目的とする。
(1)上記課題を解決するため、本発明のドリルは、軸回りに回転可能な軸部と、該軸部に螺旋状に延在し、該軸部の回転軸に対して180°回転位置に配置される一対のフルート部と、該軸部の先端に配置されるチゼル部と、該チゼル部に敷設される一対の内刃と、各々、該内刃の径方向外端に連なり、該フルート部の回転方向を向く端面に沿って延在する一対の外刃と、を備えてなるドリルであって、前記内刃および前記外刃を垂直方向から見た場合の切刃直視比(該内刃の長さ/該外刃の長さ)が0.50以上0.60以下であり、該内刃と該外刃との間の挟角であるチゼル角が145°以上149°以下であることを特徴とする(請求項1に対応)。
切屑の排出性は、フルート部の径方向断面形状に依存する。フルート部の径方向断面形状を決定する一因として、切刃直視比が挙げられる。すなわち、内刃の長さと外刃の長さとの比を調整することにより、切屑の排出性が高いフルート部の径方向断面形状を得ることができる。
現状、フルート部の径方向断面形状は、ドリル先端のシンニング形状を設計する際に、付随的に設計される場合が多い。このため、切屑排出性の向上を目的としてフルート部の径方向断面形状を工夫することは、従来行われていなかった。
切刃直視比を、0.50以上としたのは、0.50未満の場合、チゼル部の切刃、すなわち内刃長さが減少し、ドリルの芯厚が薄くなることから剛性が低下し、ドリル折損を起こすおそれがあるからである。また、切刃直視比を、0.60以下としたのは、0.60超過の場合、フルート部の切刃、すなわち外刃長さが短くなり、フルート部の径方向断面積が減少し、フルート部内の切屑の排出性が低下し、切屑の詰りが発生するおそれがあるからである。
チゼル角を、145°以上としたのは、145°未満の場合、切屑が屈折しやすくなるからである。フルート部を屈折した切屑が流動すると、厚肉の切屑が流動する場合のように近似して、切屑がフルート部に堆積しやすくなる。このため、切屑の排出性が低下する。
チゼル角を、149°以下としたのは、149°超過の場合、内刃および外刃の全長のうち、切削に寄与する有効切刃長が短くなるからである。すなわち、単位切刃長さあたりの切削トルク、スラストの切削負荷が増加するからである。
このように、本発明のドリルによると、チゼル角と共に、従来着目されなかった切刃直視比を最適化することにより、切屑の排出性を向上させることができる。本発明のドリルによると、切屑が詰まりにくい。このため、ドリルが高温になりにくい。したがって、ドリルの寿命を長くすることができる。また、切屑が詰まりにくいと、切削トルク、スラストの切削負荷が増加しにくい。この点においても、ドリルの寿命を長くすることができる。ドリルの寿命が長くなると、ドリル交換の頻度を少なくすることができる。したがって、高切削速度、送り速度に適応可能な超硬合金製のドリルを用い、さらに本発明で提案した形状を適用した場合には、超硬合金製のドリル使用による効果と本発明の効果である交換頻度を少なくできる効果とが加わって、穴加工に要する時間を、大きく短縮することができる。
また、本発明のドリルによると、軸部に二段階のテーパ加工を施す必要がない。このため、軸部の加工が簡単である。また、軸部に敢えて芯厚の薄い部分を設定する必要がない。このため、高い剛性を確保することができる。
(2)好ましくは、上記(1)の構成において、芯厚がドリル直径の28%以上34%以下である構成とする方がよい(請求項2に対応)。
芯厚を、ドリル直径の28%以上としたのは、28%未満の場合、ドリルの剛性が低くなるからである。また、フルート部が広くなり、複数の切屑がフルート部に重なって堆積しやすくなり、広くなるにもかかわらず、かえって切屑の排出性が低くなるからである。
また、芯厚を、ドリル直径の34%以下としたのは、34%超過の場合、フルート部が狭くなり、切屑の流動と排出とが困難になるからである。すなわち、切屑の排出性が低くなるからである。
本発明によると、剛性が高く、切屑の排出性が高いドリルを提供することができる。
本発明の一実施形態となるドリルの正面図である。 同ドリルの側面図である。 芯厚変更条件下における切刃直視比と逃げ面コーナ摩耗幅との関係を示すグラフである。 芯厚変更条件下におけるチゼル角と逃げ面コーナ摩耗幅との関係を示すグラフである。 芯厚一定条件下における切刃直視比と逃げ面コーナ摩耗幅との関係を示すグラフである。 芯厚一定条件下におけるチゼル角と逃げ面コーナ摩耗幅との関係を示すグラフである。 実施例2−2のドリルから得られる切屑の写真である。 比較例2−1、2−3のドリルから得られる切屑の写真である。
以下、本発明のドリルの実施の形態について説明する。まず、本実施形態のドリルの構成について説明する。図1に、本実施形態のドリルの正面図を示す。図2に、同ドリルの側面図を示す。図1、図2に示すように、本実施形態のドリル1は、軸部20と、一対のフルート部21a、21bと、チゼル部22と、一対の内刃23a、23bと、一対の外刃24a、24bと、一対の逃げ面25a、25bと、一対のマージン26a、26bと、一対の油穴27a、27bと、を備えている。ドリル1は、超硬合金製である。
軸部20は、細長い丸棒状を呈している。図1に矢印Y1で示すように、軸部20は、自身の軸回りに回転可能である。フルート部21aは、軸部20の外周面に凹設されている。フルート部21aは、軸部20に螺旋状に延在している。チゼル部22は、軸部20の先端に配置されている。内刃23aは、チゼル部22に敷設されている。内刃23aは、軸部20の中心A1から、フルート部21aの回転方向を向く端面210aまで、延在している。すなわち、内刃23aは、中心A1から点A2まで延在している。外刃24aは、内刃23aの径方向外端に屈折して連なっている。すなわち、外刃24aと内刃23aとの間には、チゼル角θ1が設定されている。外刃24aは、端面210aに沿って軸部20の外周面まで延在している。すなわち、外刃24aは、点A2から点A3まで延在している。マージン26aは、端面210aの径方向外端から、回転方向後方に連なっている。逃げ面25aは、マージン26aの回転方向後方に配置されている。油穴27aは、軸部20の内部に、螺旋状に延在している。油穴27aは、逃げ面25aに開口している。
フルート部21b、内刃23b、外刃24b、逃げ面25b、マージン26b、油穴27bは、上記フルート部21a、内刃23a、外刃24a、逃げ面25a、マージン26a、油穴27aと、中心A1(つまり軸部20の回転軸)に対して、180°回転位置に配置されている。
次に、本実施形態のドリルの動きについて説明する。図2に示すように、ワーク90に穴900を穿設する場合は、ドリル1は、回転しながらワーク90の所定位置に押しつけられる。内刃23a、23b、外刃24a、24bに切削されることにより、ワーク90に徐々に穴900が形成される。この際、油穴27a、27bから逃げ面25a、25bに、微量の切削油が供給される。切削に伴い発生する切屑901は、フルート部21a、21bと穴900の内周面との間の隙間を介して、穴900の外部に送り出される。
次に、本実施形態のドリル1の作用効果について説明する。本実施形態のドリル1によると、芯厚D1が軸部20の軸方向に亘って一定である。このため、軸部20の加工が簡単である。また、軸部20に敢えて芯厚D1の薄い部分を設定する必要がない。このため、高い剛性を確保することができる。また、切屑901の排出性を向上させることができる。
<その他>
以上、本発明のドリルの実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
例えば、ドリル1の先端を、Ti系被膜で被覆してもよい。この場合、Ti系被膜を、TiN、TiC、TiCN、TiAlN、TiAlNC、TiAlCrNの少なくとも一つを含む層から形成してもよい。こうすると、ドリル1の先端の摩擦抵抗が小さくなり、切削抵抗が小さくなる。また硬質被覆から耐摩耗性を得る。
また、ドリル1の材質は特に限定しない。超硬合金は勿論、サーメット、高速度工具鋼などを用いてもよい。特に、超硬合金製のドリルは、高速度工具鋼製のドリルと比較して、靭性が低い。このため、フルート部に切屑が詰まり切削トルク、スラスト、すなわち切削負荷が増加した場合のドリル撓みに弱い。この点、本発明のドリルを超硬合金製の刃先形状とすると、フルート部に切屑が詰まりにくいため、切削トルク、スラスト、すなわち切削負荷が増加しにくい。したがって、硬度、剛性が高いという超硬合金の特性を充分に活用することができる。また、ワーク90の種類、穴900の寸法等にも左右されることなく、本発明は大きな効果を得ることができる。
本発明のドリルは、L(穴加工深さ)/D(ドリル直径)が15以上の深穴加工に用いるのに、特に好適である。また、本発明のドリルは、切削油を1時間あたり数cc程度しか使用しない深穴加工に用いるのに、特に好適である。その理由は、切削油を微量だけ用いる条件下において深穴加工を施すような厳しい環境であっても、本発明のドリルを用いれば、高い剛性および高い切屑排出性を両立することができるからである。
以下、本発明のドリルについて行った深穴加工実験について、図1、図2を参照しながら説明する。本実験には、芯厚の変化による寿命への影響を確認するため、芯厚D1の異なる複数のドリル1を用いた。
<実験条件>
[ガイド穴加工用のドリル]
まず、ガイド穴加工用のドリルの仕様について説明する。ドリルの仕様は、実施例、比較例に共通する。ドリルは超硬合金製であり、超硬合金の母材はP20である。ドリルの先端はAlCr−TiSi系多層コートにより被覆されていて、先端角は150°であり、シンニング形状はX型である。このドリルを用い、外周速度が80m/min、送りが0.20mm/revの条件で実験を行なった。なお、ガイド穴の深さは、10mmである。
[深穴加工用のドリル]
次に、深穴加工用のドリル(本発明のドリル)1の仕様について説明する。ドリル1の仕様は、実施例、比較例に共通する。ドリル1は穴深さ90mmの深穴加工用である。ねじれ角は30°である。一番逃げ角は7.0°〜8.5°である。二番逃げ角は20.0°である。マージン26a、26bの径方向幅(逃げ面25a、25bに対する径方向突出幅)は0.27mmである。マージン26a、26bの周方向長さは35.0mmである。ドリル1の先端の直径は3.97mmである。バックテーパは0.35〜0.40/100である。油穴27a、27bの直径は0.64mmである。バックテーパ長さは35.0mmである。シンニング形状はX型である。先端角は140°である。ドリル1の先端は、AlCr−TiSi系多層コートにより被覆されている。ドリル1の軸方向全長は168.7mmである。フルート部21a、21bの全長は120.0mmである。シャンクの直径は4.0mmである。ドリル1の外周速度は100m/minである。送りは0.20mm/revである。なお、加工する穴900は貫通穴である。
[切削油条件]
次に切削油条件について説明する。切削油としては、エステル系合成切削油を使用した。粘度は21mm/secである。吹き付け圧は0.475MPaである。注入量は1.2cc/hrである。
[使用した工作機械およびワーク]
次に使用した工作機械およびワーク(被削材)90について説明する。使用した工作機械は、CNC制御ボール盤である。使用したワーク90の材料は、一般に使用される中炭素量の機械構造用鋼である。ワーク90の硬度は、245Hv(圧子の押し込み荷重10kgf)である。
<実験結果>
実験結果を、表1(実施例)、表2(比較例)に示す。
実験には、表1に示すように、実施例1−1〜1−6のドリル1を用いた。また、表2に示すように、比較例1−1〜1−9のドリル1を用いた。これらのドリル1の芯厚D1は一定ではない。これらのドリル1のフルート部21a、21bの径方向断面形状は、互いに略相似形である。
[切刃直視比]
図2に矢印Y2で示すように、切刃直視比とは、内刃23a、外刃24aを垂直方向から見た場合の(内刃23aの長さL1)/(外刃24aの長さL2)をいう。外刃24aが曲線状の場合は、図1に示す点A2と点A3とを結ぶ仮想直線の長さを、外刃24aの長さL2とする。
ここで、表1、表2に示す切刃直視比は、二つの切刃直視比の平均値である。すなわち、図1に示すように、内刃23a、23b、外刃24a、24bは、各々、二つずつ配置されている。このため、内刃23a、外刃24aの切刃直視比と、内刃23b、外刃24bの切刃直視比と、が存在する。表中の切刃直視比は、これら二つの切刃直視比の平均値である。なお、二つの切刃直視比のばらつきは、平均値に対して±0.02以内である。
[チゼル角]
図1に示すように、チゼル角θ1とは、外刃24aと内刃23aとの間の挟角をいう。ここで、表1、表2に示すチゼル角は、二つのチゼル角の平均値である。すなわち、ドリル1には、内刃23aと外刃24aとの間の挟角であるチゼル角θ1と、内刃23bと外刃24bとの間の挟角であるチゼル角と、が存在する。表中のチゼル角は、これら二つのチゼル角の平均値である。なお、二つのチゼル角のばらつきは、平均値に対して±1°以内である。
[逃げ面コーナ摩耗幅]
図2に矢印Y3で示すように、逃げ面コーナ摩耗幅とは、径方向外側からドリル1を見た場合の、逃げ面のコーナ部A4の軸方向の摩耗幅をいう。例えば、図2に細線で示すようにコーナ部A4が摩耗した場合、摩耗幅はL3となる。ここで、表1、表2に示す逃げ面コーナ摩耗幅は、穴加工数300の、二つの逃げ面コーナ摩耗幅の平均値である。すなわち、ドリル1には、二つの逃げ面25a、25bが存在する。表中の逃げ面コーナ摩耗幅は、これら二つの逃げ面コーナ摩耗幅の平均値である。なお、二つの逃げ面コーナ摩耗幅のばらつきは、平均値に対して、±0.011mm以内である。
[切刃直視比と逃げ面コーナ摩耗幅との関係]
図3に、切刃直視比と逃げ面コーナ摩耗幅との関係をグラフで示す。図3から、実施例1−1〜1−6の方が、比較例1−2〜1−8よりも、逃げ面コーナ摩耗幅が小さいことが判った。すなわち、実施例1−1〜1−6の方が、比較例1−2〜1−8よりも、ドリル寿命が長いことが判った。
具体的には、芯厚D1がドリル直径の28%以上34%以下の場合に、逃げ面コーナ摩耗幅が0.085mm以下になることが判った。また、芯厚変更条件下においては、切刃直視比が0.50以上0.60以下の場合に、逃げ面コーナ摩耗幅が0.085mm以下になることが判った。
フルート部21a、21bの径方向断面形状が互いに略相似形であって、芯厚D1が28%未満の場合、ドリル1の剛性が低くなる。このため、ドリル1の先端で振動が発生し、逃げ面コーナ摩耗幅が増加する。また、フルート部21a、21bが広くなる。このため、複数の切屑901がフルート部21a、21bに重なって堆積しやすくなる。これに対して、フルート部21a、21bの径方向断面形状が互いに略相似形であって、芯厚D1が34%超過の場合、フルート部21a、21bが狭くなる。このため、切屑901が詰まりやすくなる。
なお、比較例1−1は穴加工数46で折損した。図1に示すように、切刃直視比(L1/L2)が小さくなると、芯厚D1が薄くなる。このため、比較例1−1はドリルの剛性低下から折損したと考えられる。
また、比較例1−9は穴加工数101で折損した。図1に示すように、切刃直視比(L1/L2)が大きくなると、フルート部21a、21bが狭くなる。このため、フルート部21a、21bに切屑901が詰まりやすくなる。したがって、ドリル1の切削トルクが増加する。よって、比較例1−9は折損したと考えられる。
[チゼル角と逃げ面コーナ摩耗幅との関係]
図4に、チゼル角と逃げ面コーナ摩耗幅との関係をグラフで示す。全体的な傾向として、チゼル角が大きくなると、逃げ面コーナ摩耗幅は小さくなることが判った。具体的には、図4から、実施例1−1〜1−6の方が、比較例1−2〜1−8よりも、逃げ面コーナ摩耗幅が小さく、ドリル寿命が長いことが判った。具体的には、芯厚変更条件下においては、チゼル角が145°以上149°以下の場合に、逃げ面コーナ摩耗幅が0.085mm以下になることが判った。しかしながら、図4には示していないが、チゼル角が150°を超えると、シンニング切刃(内刃と外刃)が直線状に近似し、単位切刃あたりの切削体積が増加することから切削負荷が増えて、著しく折損しやすくなる。実際に後述の比較例2−1から明らかな通り、穴加工数300に到達することなく折損する結果となることが判った。
以下、本発明のドリルについて行った深穴加工実験について、図1、図2を参照しながら説明する。本実験には、芯厚D1が一定のドリル1を用いた。
<実験条件>
[ガイド穴加工用のドリル]
ガイド穴加工用のドリルは、上記実施例1同様である。このため、説明を割愛する。
[深穴加工用のドリル]
次に、深穴加工用のドリル(本発明のドリル)1の仕様について説明する。ドリル1の仕様は、実施例、比較例に共通する。ドリル1は穴深さ90mmの深穴加工用である。芯厚D1は、ドリル直径の33%である。ねじれ角は31°である。マージン26a、26bの径方向幅(逃げ面25a、25bに対する径方向突出幅)は0.27mmである。マージン26a、26bの周方向長さは40.0mmである。ドリル1の先端の直径は4.0mmである。バックテーパは0.35〜0.40/100である。油穴27a、27bの直径は0.63mmである。バックテーパ長さは35.0mmである。シンニング形状はX型である。先端角は140°である。ドリル1の先端は、AlCr−TiSi系多層コートにより被覆されている。ドリル1の軸方向全長は170.0mmである。フルート部21a、21bの全長は120.0mmである。シャンクの直径は4.0mmである。ドリル1の外周速度は100m/minである。送りは0.20mm/revである。なお、加工する穴900は貫通穴である。
[切削油条件、使用した工作機械およびワーク]
切削油条件、使用した工作機械およびワーク90は、上記実施例1同様である。このため、説明を割愛する。
<実験結果>
実験結果を、表3に示す。
表3に示すように、実験には、実施例2−1〜2−4のドリル1を用いた。また、比較例2−1〜2−3のドリル1を用いた。
[切刃直視比]
切刃直視比の定義は、上記実施例1と同様である。このため、説明を割愛する。二つの切刃直視比のばらつきは、平均値に対して±0.04以内である。
[チゼル角]
チゼル角の定義は、上記実施例1と同様である。このため、説明を割愛する。二つのチゼル角のばらつきは、平均値に対して±1°以内である。
[逃げ面コーナ摩耗幅]
逃げ面コーナ摩耗幅の定義は、上記実施例1と同様である。このため、説明を割愛する。二つの逃げ面コーナ摩耗幅のばらつきは、平均値に対して±0.012mm以内である。
[切刃直視比と逃げ面コーナ摩耗幅との関係]
図5に、切刃直視比と逃げ面コーナ摩耗幅との関係をグラフで示す。図5から、実施例2−1〜2−4の方が、比較例2−2、2−3よりも、逃げ面コーナ摩耗幅が小さく、ドリル寿命が長いことが判った。
具体的には、芯厚D1がドリル直径の33%という条件下においては、切刃直視比が0.50以上0.60以下の場合に、前記した実施例1−6の結果も含めて考慮すると、逃げ面コーナ摩耗幅が0.085mm以下になることが判った。
芯厚一定であって、切刃直視比が0.50以上0.60以下の場合、フルート部21a、21bの径方向断面形状が、円形に近い形状になる。このため、切屑901がフルート部21a、21bに堆積しにくくなる。これに対して、芯厚一定であって、切刃直視比が0.50未満、あるいは0.60超過の場合、フルート部21a、21bの径方向断面形状が、潰れた楕円形に近い形状になる。このため、切屑901がフルート部21a、21bに堆積しやすくなる。
[チゼル角と逃げ面コーナ摩耗幅との関係]
図6に、チゼル角と逃げ面コーナ摩耗幅との関係をグラフで示す。図6から、実施例2−1〜2−4の方が、比較例2−2、2−3よりも、逃げ面コーナ摩耗幅が小さく、ドリル寿命が長いことが判った。具体的には、芯厚D1がドリル直径の33%という条件下においては、チゼル角が146°以上149°以下の場合に、前記した実施例1−6の結果も含めて考慮すると、逃げ面コーナ摩耗幅が0.085mm以下になることが判った。
なお、チゼル角が155°である比較例2−1は穴加工数63で折損した。既に説明した通り、チゼル角θ1が大きくなると、切削に寄与する有効切刃長が短くなる。このため、切削トルク、スラストの切削負荷が増加する。したがって、比較例2−1は折損したと考えられる。
[切屑の形状]
図7に、実施例2−2のドリルから得られる切屑の写真を示す。図7に示すように、実施例2−2(チゼル角=148°)のようにチゼル角が適切である場合、切屑は「おたまじゃくし状」になる。切屑のうち、おたまじゃくしの「尾」に相当する部分が、外刃24a、24bから得られる部分である。また、切屑のうち、おたまじゃくしの「胴体」に相当する部分が、内刃23a、23bから得られる部分である。実施例2−1〜2−4によると、図7のような切屑が得られる。このような形状の切屑は、フルート部21a、21bに堆積しにくい。このため、切屑の排出性が向上する。
図8に、比較例2−1、2−3のドリルから得られる切屑の写真を示す。図8に示すように、比較例2−1(チゼル角=155°)のようにチゼル角が大きすぎる場合、切屑は「直線状」になる。図8には示していないが、比較例2−2の場合も、比較例2−1同様の切屑が得られる。この場合、内刃23a、23bおよび外刃24a、24bの全長のうち、切削に寄与する有効切刃長が短くなり、単位切刃長さあたりの切削体積が増えることから切削負荷が増加する。このため、切削トルク、スラストの切削負荷が増加する。
また、比較例2−3(チゼル角=144°)のようにチゼル角が小さすぎる場合、切屑は「屈折した形状」になる。切屑が屈折した形状の場合、フルート部21a、21bにおいて、切屑が堆積しやすくなる。このため、切屑の排出性が低下する。
1:ドリル。
20:軸部、21a:フルート部、21b:フルート部、22:チゼル部、23a:内刃、23b:内刃、24a:外刃、24b:外刃、25a:逃げ面、25b:逃げ面、26a:マージン、26b:マージン、27a:油穴、27b:油穴、90:ワーク。
210a:端面、900:穴、901:切屑。
θ1:チゼル角、A1:中心、A4:コーナ部、D1:芯厚。

Claims (2)

  1. 軸回りに回転可能な軸部と、
    該軸部に螺旋状に延在し、該軸部の回転軸に対して180°回転位置に配置される一対のフルート部と、
    該軸部の先端に配置されるチゼル部と、
    該チゼル部に敷設される一対の内刃と、
    各々、該内刃の径方向外端に連なり、該フルート部の回転方向を向く端面に沿って延在する一対の外刃と、
    を備えてなるドリルであって、
    前記内刃および前記外刃を垂直方向から見た場合の切刃直視比(該内刃の長さ/該外刃の長さ)が0.50以上0.60以下であり、
    該内刃と該外刃との間の挟角であるチゼル角が145°以上149°以下であることを特徴とするドリル。
  2. 芯厚がドリル直径の28%以上34%以下である請求項1に記載のドリル。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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