JP2011169487A - 焼結機 - Google Patents
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Abstract
【課題】方吸引式の焼結機において、高強度高品質の焼結鉱を、高歩留でかつ安全に製造することができる焼結機を提供する。
【解決手段】循環移動するパレット8と、パレット8上に粉鉱石と炭材を含む焼結原料を装入して装入層9を形成する原料供給装置4〜7と、装入層9の炭材に点火するための点火炉10と、パレット8の下方に配設したウインドボックス11と、前記点火炉10の下流側に配設されたパレット8の左右側面及び上面を覆うフード11と、このフード11の側壁部の内面に配設された燃料を上方に噴射する燃料供給装置12とを備え、燃料供給装置12から噴射された燃料とフードの側壁部及びパレット8の側面との間の開放端面から前記ウインドボックス11の吸引力によって導入された空気とを混合した希釈燃料をパレット8の装入層上に供給する。
【選択図】図5
【解決手段】循環移動するパレット8と、パレット8上に粉鉱石と炭材を含む焼結原料を装入して装入層9を形成する原料供給装置4〜7と、装入層9の炭材に点火するための点火炉10と、パレット8の下方に配設したウインドボックス11と、前記点火炉10の下流側に配設されたパレット8の左右側面及び上面を覆うフード11と、このフード11の側壁部の内面に配設された燃料を上方に噴射する燃料供給装置12とを備え、燃料供給装置12から噴射された燃料とフードの側壁部及びパレット8の側面との間の開放端面から前記ウインドボックス11の吸引力によって導入された空気とを混合した希釈燃料をパレット8の装入層上に供給する。
【選択図】図5
Description
本発明は、下方吸引式のドワイトロイド(DL)焼結機を用いて、高強度高品質の焼結鉱を製造する焼結機に関するものである。
高炉製銑法の主原料である焼結鉱は、一般に、図7に示すような工程を経て製造される。原料は、鉄鉱石粉、製鉄所内回収粉、焼結鉱篩下粉(返鉱)、石灰石及びドロマイトなどの含CaO系副原料、生石灰等の造粒助剤、コークス粉や無煙炭などである。これらの原料は、ホッパー101・・・の各々から、コンベヤ上に所定の割合で切り出される。切り出した原料は、ドラムミキサー102等により適量の水を加えて混合し、造粒して、3.0〜6.0mmの平均径を有する擬似粒子である焼結原料とする。一方、整粒した塊鉱石を床敷ホッパー104から切り出して焼結機パレット108のグレート上に床敷層を形成させる。
焼結原料は、焼結機上に配置されているサージホッパー105からドラムフィーダー106と切り出しシュート107を介して、無端移動式の焼結機パレット108上の床敷層上に装入され、焼結ベッドともいわれる焼結原料の装入層109を形成する。装入層の厚さ(高さ)は通常400〜800mm前後である。その後、装入層109の上方に設置された点火炉110で、この装入層9の表層中の炭材に点火するとともに、パレット108の下に配設されているウインドボックス111を介して空気を下方に吸引することにより、該装入層中の炭材を順次燃焼させ、このときに発生する燃焼熱によって、前記焼結原料を燃焼、溶融して焼結ケーキを得る。このようにして得た焼結ケーキは、その後、破砕、整粒され、5.0mm以上の塊成物からなる成品焼結鉱として回収される。
前記製造プロセスにおいては、まず、点火炉110により装入層表層に点火が行われる。点火された装入層中の炭材は、ウインドボックス111により装入層の上層部から下層部に向かって吸引される空気によって燃焼を続け、その燃焼帯はパレット108の移動につれて次第に下層にかつ前方(下流側)に進行する。この燃焼の進行にともない、装入層中の焼結原料粒子中に含まれる水分は、炭材の燃焼で発生する熱によって気化し、下方に吸引されて、まだ温度が上昇していない下層の焼結原料中に濃縮し湿潤帯を形成する。その水分濃度がある程度以上になると、吸引ガスの流路である原料粒子間の空隙を、水分が埋めるようになり、通気抵抗を増大させる。なお、燃焼帯に発生する焼結化反応に必要な溶融部分も、通気抵抗を高める要因となる。
焼結機の生産量(t/hr)は、一般に、焼結生産率(t/hr・m2)×焼結機面積(m2)により決定される。即ち、焼結機の生産量は、焼結機の機幅や機長、原料堆積層の厚さ(装入層厚さ)、焼結原料の嵩密度、焼結(燃焼)時間、歩留などにより変化する。そして、焼結鉱の生産量を増加させるには、装入層の通気性(圧損)を改善して焼結時間を短縮する、あるいは、破砕前の焼結ケーキの冷間強度を高めて歩留を向上することなどが有効であると考えられている。
図8は、厚さが600mmの装入層中を移動する燃焼(火炎)前線が、該装入層のパレット上約400mm(装入層表面から200mm)の位置にあるときにおける装入層内の圧損と温度の分布を示したものである。このときの圧損分布は、湿潤帯におけるものが約60%、燃焼・溶融帯におけるものが約40%である。
図8は、厚さが600mmの装入層中を移動する燃焼(火炎)前線が、該装入層のパレット上約400mm(装入層表面から200mm)の位置にあるときにおける装入層内の圧損と温度の分布を示したものである。このときの圧損分布は、湿潤帯におけるものが約60%、燃焼・溶融帯におけるものが約40%である。
図9は、焼結鉱の高生産時と低生産時の装入層内の温度分布を示したものである。原料粒子が溶融し始める1200℃以上の温度に保持される時間(以降、「高温域保持時間」と称する)は、低生産の場合にはt1、生産性を重視した高生産の場合にはt2で表されている。高生産の場合、パレットの移動速度を上げるため、高温域保持時間t2が低生産場合のt1と比べて短くなる。高温域保持時間が短くなると、焼成不足となって、焼結鉱の冷間強度の低下を招き、歩留が低下する。したがって、高強度焼結鉱の生産量を上げるためには、短時間の焼結においても、焼結ケーキの強度、即ち焼結鉱の冷間強度を上げて、歩留の維持、向上を図ることができる何らかの手段を講じる必要がある。なお、焼結鉱の冷間強度を表す指標としては、一般に、SI(シャッターインデックス)、TI(タンブラーインデックス)が用いられる。
図10(a)は焼結機パレット上の装入層における焼結の進行過程を、図10(b)は装入層内の焼結過程における温度分布(ヒートパターン)を、図10(c)は焼結ケーキの歩留分布を示したものである。図10(b)からわかるように、装入層の上部は下層部に比べて温度が上昇し難く、高温域保持時間も短くなる。そのため、この装入層上部では、燃焼溶融反応(焼結化反応)が不十分となり、焼結ケーキの強度が低くなるため、図10(c)に示すように、歩留が低く、生産性の低下を招く要因となっている。
こうした問題点に鑑み、装入層上層部に高温保持を付与するための方法が従来から提案されている。例えば、特許文献1は、装入層に点火後、装入層上に気体燃料を噴射する技術を開示している。しかし、上記技術は、気体燃料(可燃性ガス)の種類が不明であるが、プロパンガス(LPG)や天然ガス(LNG)であるとしても、高濃度のガスを使用している。しかも、可燃性ガスの吹き込みに際し、炭材量を削減していないため、焼結層内が、1380℃を超える高温となる。そのため、この技術では、十分な冷間強度の向上や歩留の改善効果を享受できていない。しかも、点火炉直後に可燃性ガスを噴射した場合には、可燃性ガスの燃焼により焼結ベッド上部空間で火災を起こす危険が高く、現実性に乏しい技術であって、実用化には至っていない。
また、特許文献2も、装入層に点火後、装入層に吸引される空気中に可燃性ガスを添加する技術を開示している。点火後、約1〜10分程度の供給が好ましいとされているが、点火炉での点火直後の表層部は、赤熱状態の焼結鉱が残存しており、供給の仕方によっては可燃性ガスの燃焼により火災を起こす危険が高く、また、具体的記述は少ないが、焼結済みの焼結帯で可燃ガスを燃焼させても効果は無く、焼結帯で燃焼すると、燃焼ガスによる温度上昇と熱膨張により通気性を悪化させるため、生産性を低減させてしまう傾向にあるので、これまで実用化には至っていない。
また、この技術にしても可燃性ガスの吹込みに際し、炭材量を削減していないため、焼結層内が1380℃を超える高温となる。そのため、十分な冷間強度の向上や歩留の改善効果を享受できない。さらに得られる焼結鉱にしても被還元性の悪い焼結鉱となる。
また、特許文献3は、焼結原料の装入層内を高温にするため、装入層の上にフードを配設し、そのフードを通じて空気やコークス炉ガスとの混合ガスを点火炉直後の位置で吹き込むことを開示している。しかし、この技術も、焼結層内の燃焼溶融帯の温度が1380℃を超える高温となるため、コークス炉ガス吹き込みの効果を享受できないとともに、可燃性混合ガスが焼結ベッド上部空間で発火し、火災を起こす危険性があり、実用化されていない。
また、特許文献3は、焼結原料の装入層内を高温にするため、装入層の上にフードを配設し、そのフードを通じて空気やコークス炉ガスとの混合ガスを点火炉直後の位置で吹き込むことを開示している。しかし、この技術も、焼結層内の燃焼溶融帯の温度が1380℃を超える高温となるため、コークス炉ガス吹き込みの効果を享受できないとともに、可燃性混合ガスが焼結ベッド上部空間で発火し、火災を起こす危険性があり、実用化されていない。
さらに、特許文献4は、低融点溶剤と炭材や可燃性ガスを同時に、点火炉直後の位置で吹き込む方法を開示している。しかし、この方法もまた、表面に火炎が残留した状態で可燃性ガスを吹き込むため、焼結ベッド上部空間で火災になる危険性が高く、また、焼結帯の幅を十分に厚くできない(約15mm未満)ため、可燃性ガス吹き込みの効果を十分に発現することができない。さらに、低融点溶剤が多く存在するため、上層部において過剰な溶融現象を引き起こして、空気の流路となる気孔を閉塞してしまい、通気性を悪化させて、生産性の低下を招くことから、この技術もまた、現在に至るまで実用化されていない。
以上説明したように、これまで提案された従来技術は、いずれも実用化されておらず、実施可能な可燃性ガス吹込み技術の開発が切望されていた。
以上説明したように、これまで提案された従来技術は、いずれも実用化されておらず、実施可能な可燃性ガス吹込み技術の開発が切望されていた。
上記問題点を解決する技術として、本出願人は、特許文献5において、焼結機のパレット上に堆積させた焼結原料の装入層の上から燃焼下限濃度以下に希釈した各種気体燃料を供給して装入層中に導入し、燃焼させることにより、装入層内の最高到達温度および高温域保持時間の何れか一方又は双方を調整する方法を提案している。また、さらに改良を加えた技術として、特許文献6,7において、焼結原料の装入層の上で気体燃料を大気中に供給し、装入層上で燃焼下限濃度以下に希釈した気体燃料を供給する方法を提案している。
上記特許文献5の技術は、下方吸引式焼結機において、所定の濃度に希釈した気体燃料を装入層中に供給(導入)し、装入層内の目標とする位置で燃焼させる気体燃料供給を行うことにより、焼結原料の燃焼時の最高到達温度や高温域保持時間を適正に制御することができ、ひいては、熱量不足で焼結鉱の冷間強度が低くなりやすい装入層上層部のみならず、装入層中層部以下の任意の部分における焼結鉱強度を高めるような操業を行うことができる。
しかし、上記気体燃料供給焼結操業を行う場合、焼結ベッドや焼結ケーキのひび割れ部などの高温部が火種となって気体燃料に逆火し、気体燃が燃焼する(着火)おそれがある。このような引火状態で焼結操業を続けると(爆発の問題は別として)、気体燃料を装入層内に供給できなくなるばかりでなく、気体燃料の燃焼によって酸素が消費された酸素不足の大気が装入層中に供給(導入)されることになる。その結果、燃焼時の最高到達温度や高温域保持時間を制御できなくなるばかりでなく、燃焼不足を起こして、焼結鉱の強度低下を招き、歩留りや生産性を低下させるため、焼結操業に重大な悪影響を及ぼすことになる。特許文献6,7の技術では、爆発の問題は回避されるが、まだ改良の余地があった。
そこで、本発明は上記従来例の課題に着目してなされたものであり、下方吸引式の焼結機において、高強度高品質の焼結鉱を、高歩留りでかつ安全に製造することができる焼結機を提供することを目的としている。
そこで、本発明は上記従来例の課題に着目してなされたものであり、下方吸引式の焼結機において、高強度高品質の焼結鉱を、高歩留りでかつ安全に製造することができる焼結機を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明に係る焼結機は、循環移動するパレットと、該パレット上に粉鉱石と炭材を含む焼結原料を装入して装入層を形成する原料供給装置と、前記装入層の炭材に点火するための点火炉と、前記パレットの下方に配設したウインドボックスと、前記点火炉の下流側に配設された燃料供給装置とを備え、前記燃料供給装置は、前記パレットの移動方向に所定長さを有し、当該パレットの側面に対向する側壁部と、該側壁部に連接して前記パレットの上面を覆う覆い部とで構成されるフードと、該フードの側壁部に前記パレットの移動方向に延長して配設された燃料を上方に噴射する燃料供給部とを有し、前記フードの側壁部及び前記パレットの側面との間の開放端から前記ウインドボックスの吸引力によって吸引される空気と前記燃料供給部から噴射された燃料とを混合して希釈燃料として前記装入層上に供給することを特徴としている。
また、請求項2に係る焼結機は、請求項1に係る発明において、前記フードの覆い部は少なくとも耐熱布を含んで構成されていることを特徴としている。
また、請求項3に係る焼結機は、請求項1又は2に係る発明において、前記フードは、前記パレットの移動方向に移動可能に構成されていることを特徴としている。
また、請求項4に係る焼結機は、請求項1乃至3の何れか1つに係る発明において、前記フードは、前記燃料供給部の取付位置を変更可能に構成されていることを特徴としている。
また、請求項3に係る焼結機は、請求項1又は2に係る発明において、前記フードは、前記パレットの移動方向に移動可能に構成されていることを特徴としている。
また、請求項4に係る焼結機は、請求項1乃至3の何れか1つに係る発明において、前記フードは、前記燃料供給部の取付位置を変更可能に構成されていることを特徴としている。
また、請求項5に係る焼結機は、請求項1乃至4の何れか1つに係る発明において、前記フードは、前記側壁部が前記パレットの側面との間隔を調整可能に構成されていることを特徴としている。
また、請求項6に係る焼結機は、請求項1乃至5の何れか1つに係る発明において、前記燃料供給部で供給する燃料は、気体燃料及び液体燃料の何れかで構成されていることを特徴としている。
また、請求項6に係る焼結機は、請求項1乃至5の何れか1つに係る発明において、前記燃料供給部で供給する燃料は、気体燃料及び液体燃料の何れかで構成されていることを特徴としている。
また、請求項7に係る焼結機は、請求項6に係る発明において、前記気体燃料は、高炉ガス、コークス炉ガス、高炉・コークス炉混合ガス、都市ガス、天然ガス、メタンガス、エタンガス、プロパンガスおよびそれらの混合ガスのうちから選ばれるいずれかの可燃性ガスであることを特徴としている。
また、請求項8に係る焼結機は、請求項7に係る発明において、前記気体燃料は、気体状態での着火温度が、気体燃料供給開始時の前記パレット表層温度より高い液体燃料を気化させたものであることを特徴としている。
また、請求項8に係る焼結機は、請求項7に係る発明において、前記気体燃料は、気体状態での着火温度が、気体燃料供給開始時の前記パレット表層温度より高い液体燃料を気化させたものであることを特徴としている。
また、請求項9に係る焼結機は、請求項6に係る発明において、前記液体燃料は、アルコール類、エーテル類、石油類、その他の炭化水素系化合物類であることを特徴としている。
また、請求項10に係る焼結機は、請求項8又は9に係る発明において、前記液体燃料を気化させた気体燃料の供給配管は、液体燃料の沸点以上着火温度未満の温度に保持されてなることを特徴としている。
また、請求項10に係る焼結機は、請求項8又は9に係る発明において、前記液体燃料を気化させた気体燃料の供給配管は、液体燃料の沸点以上着火温度未満の温度に保持されてなることを特徴としている。
本発明によれば、加熱炉の下流側でパレットの側面及び上面を側壁部と覆い部とで構成されるフードで覆い、側壁部にパレットの移動方向に延長する燃料供給部を配設したので、ウインドボックスで吸引したときに、フードの側壁部とパレットの側面との間の開放端から空気が吸引され、この吸引された空気に燃料供給部から燃料を上方に向けて噴射するので、噴射された燃料と空気とが混合されて希釈燃料としてパレットの装入層へ供給される。このため、高強度高品質の焼結鉱を、高歩留りで且つ安全に製造することができる。
また、パレットの左右側面及び上面がフードで覆われているので、横風の影響を受けることがなく、安定した燃焼を行うことができる。
また、燃料供給部がフードの左右の側壁部に設けた2本の燃料噴射ノズルを設けるだけでよく、製造コストの低コスト化を図ることができる。
また、フードの少なくとも覆い部を耐熱布で形成すると、フードの構成をより簡略化して低コストで製作することができる。
さらに、パレットの側壁と、フードの側壁部との間隔を調整可能に構成することにより、燃料と空気との完全混合が可能となり、所望の濃度の希釈燃料を確実に形成することができる。
また、燃料供給部がフードの左右の側壁部に設けた2本の燃料噴射ノズルを設けるだけでよく、製造コストの低コスト化を図ることができる。
また、フードの少なくとも覆い部を耐熱布で形成すると、フードの構成をより簡略化して低コストで製作することができる。
さらに、パレットの側壁と、フードの側壁部との間隔を調整可能に構成することにより、燃料と空気との完全混合が可能となり、所望の濃度の希釈燃料を確実に形成することができる。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の焼結機を示す概略構成図であって、前述した従来例で記載したように、鉄鉱石粉、製鉄所内回収粉、焼結鉱篩下粉、石灰石及びドロマイトなどの含CaO系副原料、生石灰等の造粒助剤、コークス粉や無煙炭などの各原料を個々のホッパー1から切り出し、ドラムミキサー2a,2bにより適量の水を混合し、造粒して、3.0乃至6.0mmの平均径を有する疑似粒子である焼結原料を焼結機3のサージホッパー5に貯留すると共に、細粒の焼結鉱を床敷ホッパー4に貯留しておく。
図1は本発明の焼結機を示す概略構成図であって、前述した従来例で記載したように、鉄鉱石粉、製鉄所内回収粉、焼結鉱篩下粉、石灰石及びドロマイトなどの含CaO系副原料、生石灰等の造粒助剤、コークス粉や無煙炭などの各原料を個々のホッパー1から切り出し、ドラムミキサー2a,2bにより適量の水を混合し、造粒して、3.0乃至6.0mmの平均径を有する疑似粒子である焼結原料を焼結機3のサージホッパー5に貯留すると共に、細粒の焼結鉱を床敷ホッパー4に貯留しておく。
この焼結機3は、床敷ホッパー4及びサージホッパー5の下方に配設された無端移動式の焼結機パレット8を有し、焼結機パレット8の移動に伴って、床敷ホッパー4から細粒の焼結鉱を切り出して焼結機パレット8のグレート上に床敷層を形成させ、この床敷層上にサージホッパー5からドラムフィーダー6と切り出しシュート7を介して、焼結原料が装入されて、焼結ベッドとも言われる400〜800mm程度の厚さ(高さ)の装入層9を形成する。
そして、切り出しシュート7の下流側には、装入層9の上方に点火炉10が配設され、この点火炉10で、装入層9の表層中の炭材に点火する。この点火炉10には、製鉄所内のコークス炉で発生する所謂Cガスと称されるコークス炉ガスが供給されており、このコークス炉ガスを燃焼させることにより、装入層9の表層中の炭材に点火する。
上下の焼結機パレット8間における給鉱部15及び排鉱部16間には、焼結機パレット8上に形成された装入層9の表層部の炭材に点火炉10で点火することにより形成される装入層9の燃焼・溶融帯を、焼結機パレット8の移動に伴って順次装入層9の下層側に移動させるための焼結機パレット8の上方から装入層9を通って空気を吸引するウインドボックス11が配設されている。このウインドボックス11で空気を吸引速度約0・9m/sで吸引している。
上下の焼結機パレット8間における給鉱部15及び排鉱部16間には、焼結機パレット8上に形成された装入層9の表層部の炭材に点火炉10で点火することにより形成される装入層9の燃焼・溶融帯を、焼結機パレット8の移動に伴って順次装入層9の下層側に移動させるための焼結機パレット8の上方から装入層9を通って空気を吸引するウインドボックス11が配設されている。このウインドボックス11で空気を吸引速度約0・9m/sで吸引している。
また、点火炉10の下流側には、気体燃料供給装置12が配設されている。この気体燃料供給装置12は、焼結機パレット8の側面及び上面を覆うように搬送方向に所定長さ延長するフード13とこのフード13内に配設された気体燃料供給部14とで構成されている。
フード13は、焼結機パレット8の左右側面に対して所定間隔を保って対向する左右の側壁部13aと、これら左右の側壁部13aの上端間に配設されて焼結機パレット8の上面を覆う覆い部13bとで構成されている。ここで、側壁部13aは下端に複数の車輪13cを有し、これら車輪13cが案内レール13dに案内されて、焼結機パレット8の移動方向に移動可能に構成されている。また、覆い部13bは、側壁部13aの上端間に橋架された上に凸となる円弧状の支持パイプ13eが焼結機パレット8の移動方向に所定間隔を保って配設され、これら支持パイプ13eによって支持されて耐熱布13fが張設されている。
フード13は、焼結機パレット8の左右側面に対して所定間隔を保って対向する左右の側壁部13aと、これら左右の側壁部13aの上端間に配設されて焼結機パレット8の上面を覆う覆い部13bとで構成されている。ここで、側壁部13aは下端に複数の車輪13cを有し、これら車輪13cが案内レール13dに案内されて、焼結機パレット8の移動方向に移動可能に構成されている。また、覆い部13bは、側壁部13aの上端間に橋架された上に凸となる円弧状の支持パイプ13eが焼結機パレット8の移動方向に所定間隔を保って配設され、これら支持パイプ13eによって支持されて耐熱布13fが張設されている。
そして、フード13の左右の側壁部13aにおける焼結機パレット8の側面と対向する内側位置に気体燃料供給部14が配設されている。この気体燃料供給装置14は、フード13の左右側壁部13aの内側位置の下端側に焼結機パレット8の移動方向に延長するパイプ状の気体燃料噴射ノズル31が配設されている。この気体燃料噴射ノズル31は上端部に焼結機パレット8の移動方向に所定間隔を保って多数の気体燃料噴射口が形成されている。したがって、気体燃料噴射ノズル31に供給される気体燃料が、図3に示すように、気体燃料噴射口32から上方に向けて噴射される。そして、気体燃料噴射ノズル31に、気体燃料供給源33から気体燃料が供給されている。この気体燃料供給源33から供給する気体燃料としては、高炉ガス(Bガス)、コークス炉ガス(Cガス)、高炉ガスとコークス炉ガスとの混合ガス(Mガス)、都市ガス、天然ガス(LNG)またはメタンガス、エタンガス、プロパンガス、ブタンガスあるいはこれらの混合ガスの何れかを用いることができる。
そして、フード13では、焼結機パレット8の側面及び上面を側壁部13a及び覆い部13bで覆っているため、焼結機パレット8の下面側に配設されたウインドボックス11で空気を吸引することにより、外気がフード13の側壁部13a及び焼結機パレット8の側面間の下端側から導入される。この側壁部13a及び焼結機パレット8の側面間の下端側から導入された外気は、気体燃料噴射ノズル31から上方に向けて噴射される気体燃料と左右の側壁部13aと覆い部13bとの連結部近傍の気体燃料/空気混合領域13gで混合されて燃焼下限濃度以下の濃度に希釈された希釈気体燃料となる。この希釈気体燃料が、側壁部13a及び焼結機パレット8の側面間を通り、覆い部13bで案内されてウインドボックス11の吸引力によって焼結機パレット8の装入層に導入されて燃焼される。
このように、気体燃料供給装置12は、フード13の左右の側壁部13aの下端側に配設した気体燃料噴射ノズル31から上方に高速で噴射させ、それによって左右の側壁部13aの下端側ら導入される空気と短時間で混合し、その気体燃料の燃焼下限濃度以下の濃度に希釈し、その後、装入層9中にその希釈気体燃料34を導入する。
このように、気体燃料供給装置12は、フード13の左右の側壁部13aの下端側に配設した気体燃料噴射ノズル31から上方に高速で噴射させ、それによって左右の側壁部13aの下端側ら導入される空気と短時間で混合し、その気体燃料の燃焼下限濃度以下の濃度に希釈し、その後、装入層9中にその希釈気体燃料34を導入する。
上記のように、気体燃料を燃焼下限濃度以下の濃度に希釈する理由は、下記による。
表1は、本発明で用いることができる代表的な気体燃料の燃焼下限濃度、供給濃度等を示したものである。焼結原料中に気体燃料を供給する時のガス濃度は、火災の発生を防止するためには、燃焼下限濃度より低いほど安全である。すなわち、常温状態では燃焼しない(できない)ようにして供給することが安全のため必要である。この点、都市ガスは、コークス炉ガス(Cガス)と燃焼下限濃度が近似しているが、熱量がCガスよりも高いことから、供給濃度を低くできる。さらにCガスは、H2を主成分としているので逆火速度が都市ガスに比べ非常に早く、都市ガスに比べ危険でもある。したがって、安全性を確保する観点からは、供給濃度を低くすることができる都市ガス、また逆火速度の低い都市ガスの方がCガスより優位である。
表1は、本発明で用いることができる代表的な気体燃料の燃焼下限濃度、供給濃度等を示したものである。焼結原料中に気体燃料を供給する時のガス濃度は、火災の発生を防止するためには、燃焼下限濃度より低いほど安全である。すなわち、常温状態では燃焼しない(できない)ようにして供給することが安全のため必要である。この点、都市ガスは、コークス炉ガス(Cガス)と燃焼下限濃度が近似しているが、熱量がCガスよりも高いことから、供給濃度を低くできる。さらにCガスは、H2を主成分としているので逆火速度が都市ガスに比べ非常に早く、都市ガスに比べ危険でもある。したがって、安全性を確保する観点からは、供給濃度を低くすることができる都市ガス、また逆火速度の低い都市ガスの方がCガスより優位である。
表2は、気体燃料中に含まれる燃焼成分(水素,CO,メタン)と、それら成分の燃焼下限・上限濃度、層流、乱流時の燃焼速度等を示したものである。焼結中における火災発生を防止する、すなわち、焼結中に供給している気体燃料による火災発生を防止するためには、逆火防止を図る必要があるが、そのためには、少なくとも層流燃焼速度以上、好ましくは乱流燃焼速度以上の高速で気体燃料を吐出させれば良い。例えば、都市ガスの主要燃焼成分であるメタンを気体燃料とする場合には、3.7m/sを超える速度で吐出させれば、逆火の恐れはないわけである。
一方、水素ガスは、乱流燃焼速度がCOやメタンと比較して速いため、安全を確保するためには、その分、高速で吐出させる必要がある。この点から、表1に示した気体燃料を比較すると、水素成分を含まない都市ガスは、水素成分を59vol%も含有しているCガスと比較して、吐出速度を遅くすることができる点で有利である。
しかも、都市ガスは、CO成分を含まないので、ガス中毒を起こすおそれもなく安全である。したがって、安全性を確保する観点からは、都市ガスは、気体燃料として使用する上で好ましい特性を有すると言うことができる。Cガスも、気体燃料として使用することができるが、以上述べた問題があり、困難を伴う。本発明では、これらの点も合わせて解決する。
しかも、都市ガスは、CO成分を含まないので、ガス中毒を起こすおそれもなく安全である。したがって、安全性を確保する観点からは、都市ガスは、気体燃料として使用する上で好ましい特性を有すると言うことができる。Cガスも、気体燃料として使用することができるが、以上述べた問題があり、困難を伴う。本発明では、これらの点も合わせて解決する。
表3は、気体燃料を供給する形式による得失を評価した結果を示したものである。表中、直上吹込みとは、都市ガスやCガス等の気体燃料を、そのまま供給(吐出)して周囲の大気を巻き込ませることにより所定の濃度に希釈し、装入層中に吸引(導入)させる形式、予混合吹込みとは、あらかじめ大気と気体燃料とを混合して所定の濃度まで希釈したものを装入層上に供給し、装入層中に吸引(導入)させる、いわゆるプレミックス形式をさす。直上吹込み形式では、上述した乱流燃焼速度以上の速度で気体燃料を吐出すれば、逆火防止は容易であるが、予混合吹込み形式では、濃度偏差が発生したとき、逆火を起こす可能性がある。一方、直上吹込み形式では、気体燃料を周囲の大気と混合し希釈させる際、濃度ムラが発生しやすいため、装入層中で燃焼ムラを起こす可能性が、予混合吹込み形式に比べて大きい。しかし、設備コストを含めて総合的に評価した場合には、都市ガスの直上吹込みが最も優位である。
また、本発明では、気体燃料供給装置12を、外気が下端側から導入されるフード13と、このフード13の左右の側壁部13aの下端側に配設した気体燃料供給部14とで構成し、気体燃料供給部14の気体燃料噴射ノズル31から上方に向けて気体燃料を噴射し、その上部側で導入された空気と混合し、その気体燃料が有する燃焼下限濃度以下の濃度に希釈し、その後、装入層中にその希釈気体燃料を導入する必要がある理由は、下記による。
図4(a)に示したように、内径300mmφ×高さ400mmの焼結鍋に焼結ケーキを充填し、その焼結ケーキの中央部の上から深さ90mmの位置にノズルを埋め込んで、対空気で1vol%となるよう100%濃度のメタンガスを吹き込み、焼結ケーキ内の円周方向および深さ方向におけるメタンガス濃度を測定した結果を表4に示した。一方、図4(b)に示したように、同じノズルを用いて、焼結ケーキの上方350mmの位置からメタンガスを供給した場合について、上記と同様にしてメタンガス濃度の分布を測定した結果を表5に示した。これらの結果から、メタンガスを焼結ケーキ中に直接導入した場合には、メタンガスの横方向の拡散が不十分であるのに対して、メタンガスを焼結ケーキ上方で供給した場合には、焼結ケーキ内のメタンガス濃度はほぼ均一であり、十分に横方向に拡散していることがわかる。以上の結果から、気体燃料は、焼結ケーキの上方で空気中に供給することにより、装入層内に導入される前に、均一に希釈しておくことが好ましいことがわかる。
図5は、ノズル径が2mmφと1mmφの2種類のノズルからメタンガス(濃度:100%)を流速20〜300m/sの範囲で変化させて鉛直下方方向に吐出した時の、メタンガスの拡がりを測定した結果であり、ノズル先端から0.2m、0.4m、0.6mおよび0.8mの位置での拡がりを示したものである。これらの図から、ノズルの径は小さいほど、また、吐出させる気体燃料の速度は速いほど、周囲の空気との混合が起こりやすく希釈が促進されること、特に、増速による希釈促進効果は、ノズル先端からの距離が0.4mで大きくなっていることがわかる。そこで、本発明は、この結果に基づいて気体燃料噴射ノズル31の気体燃料噴射口32と気体燃料/空気混合領域13gとの距離を300mm以上に設定することにより、気体燃料を効率良く希釈することができる。
次に、本発明においては、気体燃料供給装置12の気体燃料噴射ノズル31からの気体燃料の吐出速度は、逆火を防止する観点から高速で吐出させる必要があり、具体的には、その気体燃料の燃焼速度の2倍以上の速度、より好ましくは、その気体燃料の乱流燃焼速度の2倍以上の速度で吐出させることが望ましい。すなわち、本発明の焼結操業においては、焼結パレット内に燃焼・溶融帯を形成する、あるいは形成しつつある焼結層が存在し、常に火種を有する状態において、希釈されて大気中での燃焼下限濃度以下となっている希釈気体燃料が供給されるが、逆火の可能性が常に付きまとうことになる。そこで、気体燃料側に着火しても、逆火しないようにするために、気体燃料の吐出速度は、その気体燃料が有する燃焼速度の2倍以上、より好ましくは、乱流燃焼速度の2倍以上の速度で吐出させるのが望ましい。
上記気体燃料の吐出速度を得るためには、気体燃料噴射ノズル31からの気体燃料の吐出圧力を、雰囲気圧力に対して300mmAq以上40000mmAq未満とすることが好ましい。
上記気体燃料の吐出速度を得るためには、気体燃料噴射ノズル31からの気体燃料の吐出圧力を、雰囲気圧力に対して300mmAq以上40000mmAq未満とすることが好ましい。
また、気体燃料を吐出させる気体燃料噴射ノズル31の噴射口32が同一形状である場合、一般的に、燃料を供給元ヘッダーに近いほど、燃料が出やすく、遠くなるほど燃料が出にくくなる。そこで、長尺の配管を使用する場合には、
(a)配管内の断面積を徐々に小さくしたテーパー状配管を用いる
(b)燃料供給元ヘッダーより遠ざかるほど、開口断面積を大きくする
(c)燃料供給元ヘッダーより遠ざかるほど、開口部やノズルのピッチを狭め、単位配管長さ当りの開口部ないしノズル断面積の和が大きくする、
のいずれか1つを適用するか、これらを組み合わせて適用することにより、配管長さが長い場合でも、均等に燃料を供給することができる。
(a)配管内の断面積を徐々に小さくしたテーパー状配管を用いる
(b)燃料供給元ヘッダーより遠ざかるほど、開口断面積を大きくする
(c)燃料供給元ヘッダーより遠ざかるほど、開口部やノズルのピッチを狭め、単位配管長さ当りの開口部ないしノズル断面積の和が大きくする、
のいずれか1つを適用するか、これらを組み合わせて適用することにより、配管長さが長い場合でも、均等に燃料を供給することができる。
また、フード13の焼結機パレット8の移動方向の上流側及び下流側の端部における下側と、装入層(焼結ベッド)9の表面との間には、必然的に間隙が生じるが、この間隙部分のシールが十分でないと、この部分からフード13内部に空気を巻き込み、希釈気体燃料の濃度分布の偏りを増大させることが分かった。したがって、フード13の前後端部の下端からの空気の侵入を防止することは重要である。
このため、焼結機パレット8の搬送方向の上流側及び下流側でのフード13の前後ウォール13hの下端と装入層9の表面との間では、図6に示すようなフード13の前後ウォール13hに沿って空気通路63を配設し、この空気通路63の下方から空気を噴出させてエアカーテン64を形成することが好ましい。
このため、焼結機パレット8の搬送方向の上流側及び下流側でのフード13の前後ウォール13hの下端と装入層9の表面との間では、図6に示すようなフード13の前後ウォール13hに沿って空気通路63を配設し、この空気通路63の下方から空気を噴出させてエアカーテン64を形成することが好ましい。
また、気体燃料供給装置12の設置位置、大きさ、配置数は以下のようにして設定される。
すなわち、装入層9中の炭材に点火された後に、希釈気体燃料34を装入層9上へ供給(導入)する。その理由は、点火直後の位置で希釈気体燃料34を供給しても、装入層9の表層上で燃焼するだけであり、希釈気体燃料34が燃焼層に何ら影響を与えることはないからである。したがって、装入層9の上部の焼結原料が焼成されて、焼結ケーキの層が形成された後に、希釈気体燃料34を装入層9へ供給する必要がある。なお、希釈気体燃料34の供給は、装入層9の表面に焼結ケーキの層が形成されていれば、焼結が完了するまでの任意の位置で行うことができる。希釈気体燃料34の供給を焼結ケーキの層が形成された後に行う上記以外の理由は、下記の通りである。
すなわち、装入層9中の炭材に点火された後に、希釈気体燃料34を装入層9上へ供給(導入)する。その理由は、点火直後の位置で希釈気体燃料34を供給しても、装入層9の表層上で燃焼するだけであり、希釈気体燃料34が燃焼層に何ら影響を与えることはないからである。したがって、装入層9の上部の焼結原料が焼成されて、焼結ケーキの層が形成された後に、希釈気体燃料34を装入層9へ供給する必要がある。なお、希釈気体燃料34の供給は、装入層9の表面に焼結ケーキの層が形成されていれば、焼結が完了するまでの任意の位置で行うことができる。希釈気体燃料34の供給を焼結ケーキの層が形成された後に行う上記以外の理由は、下記の通りである。
(a)装入層9の上部に焼結ケーキ(焼結層)が生成していない状態で希釈気体燃料34の供給を行うと、この装入層9の上で燃焼を起こす可能性がある。
(b)希釈気体燃料の供給は、焼結鉱の歩留りを向上させる必要のある部分に対して行う、即ち、焼結鉱の強度を上昇させたい部分で燃焼を起こすよう供給するのが好ましい。
希釈気体燃料34の装入層9の上方側で燃焼しないようにするには、装入層9の表層部に点火炉10による着火後、着火して焼結ケーキが表面に生成された後は、装入層9の表層部分に火種が無く逆火(引火)の確率は低くなる。この焼結ケーキは前述した図10(a)に示すように、焼結機パレット8が点火炉10から下流側に移動するに応じて厚みが厚くなることから、焼結ケーキの装入層9の表面からの厚みが20mm以上となると逆火を生じる可能性が十分に低く、焼結ケーキの厚みが50mm以上となると逆火を確実に防止することができる。
(b)希釈気体燃料の供給は、焼結鉱の歩留りを向上させる必要のある部分に対して行う、即ち、焼結鉱の強度を上昇させたい部分で燃焼を起こすよう供給するのが好ましい。
希釈気体燃料34の装入層9の上方側で燃焼しないようにするには、装入層9の表層部に点火炉10による着火後、着火して焼結ケーキが表面に生成された後は、装入層9の表層部分に火種が無く逆火(引火)の確率は低くなる。この焼結ケーキは前述した図10(a)に示すように、焼結機パレット8が点火炉10から下流側に移動するに応じて厚みが厚くなることから、焼結ケーキの装入層9の表面からの厚みが20mm以上となると逆火を生じる可能性が十分に低く、焼結ケーキの厚みが50mm以上となると逆火を確実に防止することができる。
このように、焼結ケーキの厚みが20mm以上、好ましくは50mm以上となる希釈気体燃料の好適な吹込み位置は、点火炉10から下流側に5〜6mの位置となり、この位置に最初の気体燃料供給装置12を配設する。複数の気体燃料供給装置を配設する場合には、最初の気体燃料供給装置12の下流側であれば、装入層9の表面に火種が全くないので、任意の位置に気体燃料供給装置を設けることができ、本実施形態では点火炉10の下流側に1台の気体燃料供給装置12が焼結機パレット8の搬送方向に沿って配設されている。また、Cガスは、H2を主成分としているので逆火速度が都市ガスに比べ非常に早く、都市ガスに比べ危険でもある。したがって、安全性を確保する観点からは、供給濃度を低くすることができる都市ガス、また逆火速度の低い都市ガスの方がCガスより優位であると述べているが、都市ガスを使用し、乱流燃焼速度以上の速度で気体燃料を吐出すれば、逆火防止は容易であり、その場合は、前記火種による逆火の恐れは無くなり、任意の位置に気体燃料供給装置を設けることができる。
また、特許文献6,7のように、装入層最高到達温度又は高温領域保持時間の何れか又は両方を調整するために、燃焼・溶融帯の厚みが少なくとも15mm以上、好ましくは20mm以上、より好ましくは30mm以上となった状態において、希釈気体燃料34の供給を行うことが好ましい。燃焼・溶融帯の厚みが15mm未満では、焼結ケーキ(焼結層)を通して吸引される空気と希釈気体燃料34による冷却効果によって、希釈気体燃料34を燃焼させてもその効果が不十分となり、燃焼・溶融帯の厚みの拡大を図れないからである。
一方、前記燃焼・溶融帯の厚みが15mm以上、好ましくは20mm以上、より好ましくは30mm以上となる段階で希釈気体燃料34を供給すると、燃焼・溶融帯の厚みが大きく拡大し、高温域保持時間を延長することができ、ひいては冷間強度の高い焼結鉱を得ることができる。
一方、前記燃焼・溶融帯の厚みが15mm以上、好ましくは20mm以上、より好ましくは30mm以上となる段階で希釈気体燃料34を供給すると、燃焼・溶融帯の厚みが大きく拡大し、高温域保持時間を延長することができ、ひいては冷間強度の高い焼結鉱を得ることができる。
また、希釈気体燃料34の装入層9への導入は、燃焼前線が表層下に下がり、燃焼・溶融帯が表層から100mm以上、好ましくは200mm以上下がった位置、すなわち、装入層9の中・下層に生成した焼結ケーキ領域(焼結層)を燃焼することなく通過し、燃焼前線が表層から100mm以上移動した段階で燃焼するように供給するのが好ましい。その理由は、燃焼前線が表層から100mm以上下がった位置であれば、焼結層を通して吸引される空気による冷却の悪影響が軽減され、燃焼・溶融帯の厚みの拡大を図ることができるからである。さらに、燃焼・溶融帯が表層から200mm以上下がった位置であれば、空気による冷却の影響が略解消されて、燃焼・溶融帯の厚みを30mm以上に拡大することができる。
なお、気体燃料供給装置12は、焼結機の規模にもよって異なるが、例えば、生産量が約1.5万t/日で、機長が90mの規模の焼結機では、点火炉10の下流側約5m以降の位置に配置すれば前記条件を満たし好ましい。
本発明では、装入層中への希釈気体燃料34の導入は、生成した焼結ケーキの再加熱を促進するものであることも意味している。即ち、この希釈気体燃料の供給は、もともと高温域保持時間が短く熱不足となりやすく、焼結鉱の冷間強度が低い部分に対して、固体燃料に比べて反応性の高い気体燃料を供給することによって、不足しやすいこの部分の燃焼熱を補填し、燃焼・溶融帯の再生−拡大を図るという意義を担うものだからである。
本発明では、装入層中への希釈気体燃料34の導入は、生成した焼結ケーキの再加熱を促進するものであることも意味している。即ち、この希釈気体燃料の供給は、もともと高温域保持時間が短く熱不足となりやすく、焼結鉱の冷間強度が低い部分に対して、固体燃料に比べて反応性の高い気体燃料を供給することによって、不足しやすいこの部分の燃焼熱を補填し、燃焼・溶融帯の再生−拡大を図るという意義を担うものだからである。
また、本発明では、点火後の装入層上部からの希釈気体燃料34の供給は、装入層9内に導入された希釈気体燃料34の少なくとも一部が未燃焼のまま、燃焼・溶融帯にまで到達して、燃焼熱の補填を図りたい目標位置で燃焼するようにするのが好ましい。それは、希釈気体燃料の供給、即ち装入層中への導入効果を単に装入層上部のみならず、厚み方向の中央部である燃焼・溶融帯にまで波及させることがより効果的と考えられるからである。つまり、希釈気体燃料34の供給が、熱不足(高温域保持時間の不足)になりやすい装入層の上層部で行われると、十分な燃焼熱を提供することになり、この部分の焼結ケーキの品質を改善することができ、さらに、希釈気体燃料34の供給作用を中層部以下の帯域にまで及ぶようにすると、本来の炭材による燃焼・溶融帯の上に希釈気体燃料34による再燃焼・溶融帯を形成するのと等しい結果となり、燃焼・溶融帯の上下方向の拡幅につながるので、最高到達温度を上げることなく、高温域保持時間の延長を果すことが可能になるので、パレットの移動速度を落すことなく十分な焼結が実現できるからである。その結果、装入層9全体の焼結ケーキの品質改善(冷間強度の向上)をもたらし、ひいては成品焼結鉱の品質(冷間強度)と生産性の向上につながる。
また、本発明において、希釈気体燃料34を装入層9中へ導入(供給)するに当っては、その供給位置を調整するだけでなく、燃焼・溶融帯自体の形態を制御し、ひいては、燃焼・溶融帯における最高到達温度および/または高温域保持時間をも制御するようにすることが好ましい構成である。
一般に、点火後の装入層9では、焼結機パレット8の移動に伴って燃焼(火炎)前線が次第に下方にかつ前方(下流側)に拡大していく中で、燃焼・溶融帯の位置が前述した図10(a)に示すように変化する。そして、図10(b)に示すように、焼結層内の焼結過程で受ける熱履歴は、上層、中層、下層で異なり、上層〜下層間では、高温域保持時間(約1200℃以上となる時間)は大きく異なる。その結果、パレット8内の位置別焼結鉱の歩留まりは、図10(c)に示すような分布を示す。即ち、表層部(上層部)の歩留は低く、中層、下層部で高い歩留分布となる。そこで、本発明方法に従って、前記希釈気体燃料34を供給すると、燃焼・溶融帯は、上下方向の厚みやパレット進行方向の幅などが拡大し、これが成品焼結鉱の品質向上に反映されるのである。そして、高い歩留分布となる中層部や下層部は、さらに高温域保持時間を制御できるため、歩留をより上昇させることができる。
一般に、点火後の装入層9では、焼結機パレット8の移動に伴って燃焼(火炎)前線が次第に下方にかつ前方(下流側)に拡大していく中で、燃焼・溶融帯の位置が前述した図10(a)に示すように変化する。そして、図10(b)に示すように、焼結層内の焼結過程で受ける熱履歴は、上層、中層、下層で異なり、上層〜下層間では、高温域保持時間(約1200℃以上となる時間)は大きく異なる。その結果、パレット8内の位置別焼結鉱の歩留まりは、図10(c)に示すような分布を示す。即ち、表層部(上層部)の歩留は低く、中層、下層部で高い歩留分布となる。そこで、本発明方法に従って、前記希釈気体燃料34を供給すると、燃焼・溶融帯は、上下方向の厚みやパレット進行方向の幅などが拡大し、これが成品焼結鉱の品質向上に反映されるのである。そして、高い歩留分布となる中層部や下層部は、さらに高温域保持時間を制御できるため、歩留をより上昇させることができる。
前記希釈気体燃料34の供給(導入)位置を調整することにより、燃焼・溶融帯の形態、即ち、燃焼・溶融帯の高さ方向の厚さおよび/またはパレット進行方向の幅を制御できると共に、最高到達温度や高温域保持時間を制御することができる。これらの制御は、本発明の効果をより一層際立たせて、燃焼・溶融帯の上下方向の厚さやパレット進行方向の幅の拡大や、最高到達温度、高温域保持時間の制御を通じて、常に十分な焼成を果し、成品焼結鉱の冷間強度の向上に有効に寄与する。
また、本発明において、装入層9中への希釈気体燃料34の供給(導入)は、成品焼結鉱全体の冷間強度を制御するためであると言うこともできる。すなわち、希釈気体燃料34を供給するそもそもの目的は、焼結ケーキ、ひいては焼結鉱の冷間強度を向上させることにあり、とくに、希釈気体燃料34の供給位置制御や、焼結原料が燃焼・溶融帯に滞在する時間である高温域保持時間の制御、最高到達温度の制御を通じて、焼結鉱の冷間強度(シャッターインデックスSI)を75〜85%程度、好ましくは80%以上、より好ましく90%以上にすることである。
この強度レベルは、本発明では、とくに前記希釈気体燃料34の濃度、供給量、供給位置および供給範囲を、好ましく焼結原料中の炭材量を考慮した(投入熱量を一定にする条件下で)上で調整することによって、安価に達成することができる。なお、焼結鉱の冷間強度の向上は、一方で、通気抵抗の増大と生産性の低下を招くことがあるが、本発明では、そうした問題を最高到達温度や高温域保持時間をも制御することによって解消した上で、焼結鉱の冷間強度を向上させる。なお、実機焼結機によって製造された焼結鉱の冷間強度SI値は、鍋試験で得られる値よりもさらに10〜15%高い値を示す。
本発明において、パレット8の進行方向における前記希釈気体燃料34の装入層9中への導入位置は、装入層9中に生成した焼結ケーキから湿潤帯までの間の任意の帯域における焼結鉱の冷間強度をどのようにするかということを基準とする。この制御のために、本発明では、液体燃料噴射装置の規模(大きさ)、数、位置(点火炉からの距離)、ガス濃度を、好ましくは焼結原料中の炭材量(固体燃料)に応じて調整することにより、主として燃焼・溶融帯の大きさ(上下方向の厚さおよびパレット進行方向の幅)のみならず、高温到達温度、高温域保持時間をも制御し、このことによって、装入層9中に生成する焼結ケーキの強度を制御する。
下記の表6は、各種気体燃料の燃焼下限濃度と、その気体燃料の吹き込み上限濃度(燃焼下限濃度の75%、60%、25%)を示したものである。
例えば、プロパンガスは、燃焼下限濃度は2.2vol%であるから、75%に希釈したガス濃度上限は1.7vol%、60%に希釈したガス濃度上限は1.3vol%、25%に希釈したガス濃度は0.6vol%のものを用いるということである。したがって、好ましい範囲は以下のようになる。なお、希釈したガス濃度の下限、即ち、気体燃料供給の効果が顕れる下限濃度は、プロパンガスの場合は0.05vol%である。
好ましい範囲(1): 2.2vol%〜0.05vol%
好ましい範囲(2): 1.7vol%〜0.05vol%
好ましい範囲(3): 1.3vol%〜0.05vol%
好ましい範囲(4): 0.6vol%〜0.05vol%
例えば、プロパンガスは、燃焼下限濃度は2.2vol%であるから、75%に希釈したガス濃度上限は1.7vol%、60%に希釈したガス濃度上限は1.3vol%、25%に希釈したガス濃度は0.6vol%のものを用いるということである。したがって、好ましい範囲は以下のようになる。なお、希釈したガス濃度の下限、即ち、気体燃料供給の効果が顕れる下限濃度は、プロパンガスの場合は0.05vol%である。
好ましい範囲(1): 2.2vol%〜0.05vol%
好ましい範囲(2): 1.7vol%〜0.05vol%
好ましい範囲(3): 1.3vol%〜0.05vol%
好ましい範囲(4): 0.6vol%〜0.05vol%
また、Cガスは、燃焼下限濃度は5.0vol%であるから、75%に希釈したガス濃度上限は3.8vol%、60%に希釈したガス濃度上限は3.0vol%、25%に希釈したガス濃度は1.3vol%のものを用いるということである。したがって、好ましい範囲は以下のようになる。なお、Cガスの場合、気体燃料供給の効果が顕れる下限濃度は0.24vol%である。
好ましい範囲(1): 5.0vol%〜0.24vol%
好ましい範囲(2): 3.8vol%〜0.24vol%
好ましい範囲(3): 3.0vol%〜0.24vol%
好ましい範囲(4): 1.3vol%〜0.24vol%
好ましい範囲(1): 5.0vol%〜0.24vol%
好ましい範囲(2): 3.8vol%〜0.24vol%
好ましい範囲(3): 3.0vol%〜0.24vol%
好ましい範囲(4): 1.3vol%〜0.24vol%
また、LNGガスは、燃焼下限濃度は4.8vol%であるから、75%に希釈したガス濃度上限は3.6vol%、60%に希釈したガス濃度上限は2.9vol%、25%に希釈したガス濃度は1.2vol%のものを用いるということである。したがって、好ましい範囲は以下のようになる。なお、LNGガスの気体燃料供給の効果が顕れる下限濃度は0.1vol%である。
好ましい範囲(1): 4.8vol%〜0.1vol%
好ましい範囲(2): 3.6vol%〜0.1vol%
好ましい範囲(3): 2.9vol%〜0.1vol%
好ましい範囲(4): 1.2vol%〜0.1vol%
好ましい範囲(1): 4.8vol%〜0.1vol%
好ましい範囲(2): 3.6vol%〜0.1vol%
好ましい範囲(3): 2.9vol%〜0.1vol%
好ましい範囲(4): 1.2vol%〜0.1vol%
また、高炉ガスは、燃焼下限濃度は40.0vol%であるから、75%に希釈したガス濃度上限は30.0vol%、60%に希釈したガス濃度上限は24.0vol%、25%に希釈したガス濃度は10.0vol%のものを用いるということである。したがって、好ましい範囲は以下のようになる。なお、高炉ガスの気体燃料供給の効果が顕れる下限濃度は0.24vol%である。
好ましい範囲(1): 40.0vol%〜1.25vol%
好ましい範囲(2): 30.0vol%〜1.25vol%
好ましい範囲(3): 24.0vol%〜1.25vol%
好ましい範囲(4): 10.0vol%〜1.25vol%
好ましい範囲(1): 40.0vol%〜1.25vol%
好ましい範囲(2): 30.0vol%〜1.25vol%
好ましい範囲(3): 24.0vol%〜1.25vol%
好ましい範囲(4): 10.0vol%〜1.25vol%
次に、上記実施形態の動作を説明する。
先ず、図1に示すように、床敷ホッパー4から整粒した塊鉱石を切り出して焼結機パレット8のグレート上に床敷層を形成し、この床敷層上にサージホッパー5からドラムフィーダー6で定量切り出しされた焼結原料が装入されて焼結ベッドとも言われる400〜800mm程度の装入層9を形成する。
先ず、図1に示すように、床敷ホッパー4から整粒した塊鉱石を切り出して焼結機パレット8のグレート上に床敷層を形成し、この床敷層上にサージホッパー5からドラムフィーダー6で定量切り出しされた焼結原料が装入されて焼結ベッドとも言われる400〜800mm程度の装入層9を形成する。
そして、焼結機パレット8の搬送に伴って、点火炉10下に移動された装入層9の表層中の炭材に点火される。
点火後の装入層9では、焼結機パレット8の移動に伴って燃焼(火炎)前線が次第に下方にかつ前方(下流側)に拡大していく中で、燃焼・溶融帯の位置が前述した図10(a)に示すように変化する。そして、燃焼・溶融帯の位置が上層から中層に移行する表層から例えば20mm程度に達するときに、焼結機パレット8が気体燃料供給装置12の位置に達する。
点火後の装入層9では、焼結機パレット8の移動に伴って燃焼(火炎)前線が次第に下方にかつ前方(下流側)に拡大していく中で、燃焼・溶融帯の位置が前述した図10(a)に示すように変化する。そして、燃焼・溶融帯の位置が上層から中層に移行する表層から例えば20mm程度に達するときに、焼結機パレット8が気体燃料供給装置12の位置に達する。
この気体燃料供給装置12では、焼結機パレット8の上方を覆うフード13内で気体燃料噴射ノズル31によって都市ガスが噴射される。
このとき、気体燃料噴射ノズル31の気体燃料噴射口32が、図3に示すように、上方に形成されて、この気体燃料噴射口32から気体燃料が上方に向けて噴射される。
この状態では、焼結機パレット8の左右両側面及び上面がフード13によって覆われ、焼結機パレット8の下側にウインドボックス11が配設されて、このウインドボックス11での吸引力によって、フード13の左右の側壁部13aと焼結機パレット8の側面との間隙の下端の開放端から外気が吸引されている。
このとき、気体燃料噴射ノズル31の気体燃料噴射口32が、図3に示すように、上方に形成されて、この気体燃料噴射口32から気体燃料が上方に向けて噴射される。
この状態では、焼結機パレット8の左右両側面及び上面がフード13によって覆われ、焼結機パレット8の下側にウインドボックス11が配設されて、このウインドボックス11での吸引力によって、フード13の左右の側壁部13aと焼結機パレット8の側面との間隙の下端の開放端から外気が吸引されている。
したがって、気体燃料噴射ノズル31の気体燃料噴射口32から上方に噴射された気体燃料が気体燃料/空気混合領域13gで吸引された空気と混合されて、燃焼下限濃度の1/3以下に希釈される。そして希釈された希釈気体燃料34がウインドボックス11の吸引力によって装入層9の上方に搬送される。このとき、希釈気体燃料34が燃料下限濃度の1/3以下に記載されているので、装入層9の上方での燃焼を抑制することができる。
そして、装入層9上に搬送された希釈気体燃料34は、焼結機パレット8の下側に配設されたウインドボックス11を介して空気を下方に吸引することにより、装入層9内に導入される。
装入層9内に導入された希釈気体燃料34は、表層部に生成された焼結ケーキを通過して表面から20mm以上下側の燃焼・溶融帯に達し、この燃焼・溶融層で燃焼される。このため、元々高温域保持時間が短く熱不足となりやすく、焼結鉱の冷間強度が低い上・中層域を1200℃以上の高温域に保持する高温域保持時間を長くすることができ、焼結鉱の冷間強度を向上させることができる。したがって、希釈気体燃料34の吹き込みを行わない場合の図10(c)に示す歩留りの低い上・中層部の歩留りを向上させることができる。
装入層9内に導入された希釈気体燃料34は、表層部に生成された焼結ケーキを通過して表面から20mm以上下側の燃焼・溶融帯に達し、この燃焼・溶融層で燃焼される。このため、元々高温域保持時間が短く熱不足となりやすく、焼結鉱の冷間強度が低い上・中層域を1200℃以上の高温域に保持する高温域保持時間を長くすることができ、焼結鉱の冷間強度を向上させることができる。したがって、希釈気体燃料34の吹き込みを行わない場合の図10(c)に示す歩留りの低い上・中層部の歩留りを向上させることができる。
このように、希釈気体燃料34の供給作用を中層部以下の領域にまで及ぶようにすると、本来の炭材による燃焼・溶融帯の上に希釈気体燃料34による再燃焼・溶融帯を形成するのと等しい結果となり、燃焼・溶融帯の上下方向の拡幅につながるので、最高到達温度を上げることなく高温域保持時間の延長を果たすことが可能になるので、焼結機パレット8の移動速度を落とすことなく十分な焼結が実現できる。その結果、装入層9全体の焼結ケーキの品質改善(冷間強度の向上)をもたらし、ひいては焼結鉱の品質(冷間強度)と生産性の向上につながる。
この焼結操業状態で、焼結機パレット8の左右の側面及び上面がフード13で覆われているので、横風等の影響を受けることなく良好な焼結操業状態を保持することができるとともに、気体燃料が外部に漏洩することがなく、さらに希釈気体燃料34のメタン(CH4)濃度が燃焼下限濃度の1/3以下に制御されており着火が生じることはない。
この焼結操業状態で、焼結機パレット8の左右の側面及び上面がフード13で覆われているので、横風等の影響を受けることなく良好な焼結操業状態を保持することができるとともに、気体燃料が外部に漏洩することがなく、さらに希釈気体燃料34のメタン(CH4)濃度が燃焼下限濃度の1/3以下に制御されており着火が生じることはない。
また、フード13が側壁部13aに設けた車輪13cが案内レール13dによって案内されるので、設置位置を焼結機パレット8の移動方向に移動させることが可能となり、焼結パレット8の装入層9への希釈気体燃料の吹込み位置を任意に調整することができ、焼結操業状態に応じて最適な気体燃料の吹込み位置を設定することができる。
さらに、フード13の左右の側壁部13aと焼結機パレット8の左右の側面との間隔を調整可能とすることにより、気体燃料噴射ノズル31の気体燃料噴射口32から噴射された気体燃料と側壁部13aと焼結機パレット8の左右の側面との下方の開放端面から導入される空気との混合比を調整することができ、所望の希釈濃度を正確に設定することができる。
さらに、フード13の左右の側壁部13aと焼結機パレット8の左右の側面との間隔を調整可能とすることにより、気体燃料噴射ノズル31の気体燃料噴射口32から噴射された気体燃料と側壁部13aと焼結機パレット8の左右の側面との下方の開放端面から導入される空気との混合比を調整することができ、所望の希釈濃度を正確に設定することができる。
しかも、フード13を左右の側壁部13aと、これら側壁部13a間を連結する覆い部13bとで構成し、覆い部13bを耐火布で構成することにより、フード13の構成を軽量且つ簡易化して製造コストを大幅に低減することができる。さらに、焼結機パレット8に形成された装入層9への気体燃料の供給が、フード13の左右の側壁部13aの焼結機パレット8の側面との対向面に1本の気体燃料噴射ノズル31を焼結機パレット8の移動方向に延長させて配設するだけでよいので、気体燃料供給装置12の構成を簡略化することができ、製造コストを大幅に低減することができる。因みに、気体燃料噴射ノズル31を装入層9の上面に対向させて配設する場合には気体燃料噴射ノズル31を7本程度配設する必要があり、その支持構造も必要となることから気体燃料供給装置自体の構造が複雑となるとともに、製造コストが嵩むことになる。
なお、上記実施形態においては、メタン(CH4)濃度を燃焼下限濃度の1/3以下で操業する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、操業時のメタン(CH4)濃度は安全面を考慮できれば任意の濃度に設定することができる。
また、上記実施形態においては、気体燃料として都市ガスを適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、他のプロパンガス、水素ガス、メタンガス、一酸化炭酸ガス(CO)、コークス炉ガス(Cガス)、高炉ガス(Bガス)、高炉・コークス炉混合ガス(Mガス)、LNGまたはこれらの混合ガスの何れかを適用することができる。
また、上記実施形態においては、気体燃料として都市ガスを適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、他のプロパンガス、水素ガス、メタンガス、一酸化炭酸ガス(CO)、コークス炉ガス(Cガス)、高炉ガス(Bガス)、高炉・コークス炉混合ガス(Mガス)、LNGまたはこれらの混合ガスの何れかを適用することができる。
また、上記実施形態においては、気体燃料供給装置12を適用して気体燃料を噴射する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、気体状態での着火温度が、装入層9の表層温度より高い、アルコール類、エーテル類、石油類、その他の炭化水素系化合物類等の液体燃料を気化させたものを用いることもできる。本発明で用いることができる液体燃料とその特性について、下記表7に示した。斯かる液体燃料を気化させた気体燃料は、着火温度が、上述した気体燃料と比較して着火温度が高いため、装入層9の表層温度より高い、装入層9のより内部で燃焼するため、吹き込む位置での燃料・溶融帯のすその温度の拡大に有効である。特に、着火温度が500℃近いものは、その効果が大きい。なお、液体燃料を気化した気体燃料を用いる場合には、気体供給配管は、気化した燃料が再液化しないよう、液体燃料の沸点以上で着火温度未満の温度に保持することが好ましい。
なお、廃油等は、引火し易い成分や着火温度の低い成分を含むことがあるので、本発明で用いるには好ましくない。着火温度や引火点の低い成分を含む廃油等の液体燃料を予め気化させて、装入層9上に供給した場合には、装入層9中の燃料帯近傍に到達する前の装入層9の表層の上部空間ないは装入層9の表層近傍燃焼してしまうため、本発明が意図する装入層9の燃焼帯近傍で燃焼させて高温保持時間の延長を図るという効果を得ることができないためである。
本発明の技術は、製鉄用、とくに高炉用原料として使われる焼結鉱の製造技術として有用であるが、その他の鉱石塊成化技術としても利用することができる。
1…原料ホッパー
2a,2b…ドラムミキサー
4…サージホッパー
5…床敷ホッパー
6…ドラムフィーダー
7…切り出しシュート
8…燒結機パレット
9…装入層
10…点火炉
11…ウインドボックス
12…気体燃料供給装置
13…フード
13a…側壁部
13b…覆い部
13c…車輪
13d…案内レール
13e…支持パイプ
13f…耐火布
13g…気体燃料/空気混合領域
14…気体燃料供給部
31…気体燃料噴射ノズル
32…気体燃料噴射口
33…気体燃料供給源
2a,2b…ドラムミキサー
4…サージホッパー
5…床敷ホッパー
6…ドラムフィーダー
7…切り出しシュート
8…燒結機パレット
9…装入層
10…点火炉
11…ウインドボックス
12…気体燃料供給装置
13…フード
13a…側壁部
13b…覆い部
13c…車輪
13d…案内レール
13e…支持パイプ
13f…耐火布
13g…気体燃料/空気混合領域
14…気体燃料供給部
31…気体燃料噴射ノズル
32…気体燃料噴射口
33…気体燃料供給源
Claims (10)
- 循環移動するパレットと、
該パレット上に粉鉱石と炭材を含む焼結原料を装入して装入層を形成する原料供給装置と、
前記装入層の炭材に点火するための点火炉と、
前記パレットの下方に配設したウインドボックスと、
前記点火炉の下流側に配設された燃料供給装置とを備え、
前記燃料供給装置は、前記パレットの移動方向に所定長さを有し、当該パレットの側面に対向する側壁部と、該側壁部に連接して前記パレットの上面を覆う覆い部とで構成されるフードと、
該フードの側壁部に前記パレットの移動方向に延長して配設された燃料を上方に噴射する燃料供給部とを有し、 前記フードの側壁部及び前記パレットの側面との間の開放端から前記ウインドボックスの吸引力によって吸引される空気と前記燃料供給部から噴射された燃料とを混合して希釈燃料として前記装入層上に供給することを特徴とする焼結機。 - 前記フードの覆い部は少なくとも耐熱布を含んで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の焼結機。
- 前記フードは、前記パレットの移動方向に移動可能に構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の焼結機。
- 前記フードは、前記燃料供給部の取付位置を変更可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の焼結機。
- 前記フードは、前記側壁部が前記パレットの側面との間隔を調整可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の焼結機。
- 前記燃料供給部に供給する燃料は、気体燃料及び液体燃料の何れかで構成されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の焼結機。
- 前記気体燃料は、高炉ガス、コークス炉ガス、高炉・コークス炉混合ガス、都市ガス、天然ガス、メタンガス、エタンガス、プロパンガスおよびそれらの混合ガスのうちから選ばれるいずれかの可燃性ガスであることを特徴とする請求項6に記載の焼結機。
- 前記気体燃料は、気体状態での着火温度が、気体燃料供給開始時の前記パレット表層温度より高い液体燃料を気化させたものであることを特徴とする請求項6に記載の焼結機。
- 前記液体燃料は、アルコール類、エーテル類、石油類、その他の炭化水素系化合物類であることを特徴とする請求項8に記載の焼結機。
- 前記液体燃料を気化させた気体燃料の供給配管は、液体燃料の沸点以上着火温度未満の温度に保持されてなることを特徴とする請求項8又は9に記載の焼結機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2010031715A JP2011169487A (ja) | 2010-02-16 | 2010-02-16 | 焼結機 |
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JP2010031715A JP2011169487A (ja) | 2010-02-16 | 2010-02-16 | 焼結機 |
Publications (1)
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JP2011169487A true JP2011169487A (ja) | 2011-09-01 |
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Family Applications (1)
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JP2010031715A Pending JP2011169487A (ja) | 2010-02-16 | 2010-02-16 | 焼結機 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2011169487A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN108195201A (zh) * | 2017-11-23 | 2018-06-22 | 中冶长天国际工程有限责任公司 | 一种基于料面视频识别的自适应控制型燃气喷吹装置及其方法 |
-
2010
- 2010-02-16 JP JP2010031715A patent/JP2011169487A/ja active Pending
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CN108195201A (zh) * | 2017-11-23 | 2018-06-22 | 中冶长天国际工程有限责任公司 | 一种基于料面视频识别的自适应控制型燃气喷吹装置及其方法 |
CN108195201B (zh) * | 2017-11-23 | 2023-10-27 | 中冶长天国际工程有限责任公司 | 一种基于料面视频识别的自适应控制型燃气喷吹装置及其方法 |
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