JP2011169182A - エンジンの動弁装置 - Google Patents

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賢一郎 掛水
Yuuki Muraoka
勇樹 村岡
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Abstract

【課題】クランクシャフトおよびカムシャフト間に設けられる調時伝動手段のタイミングベルトに張力が付与されるように駆動プーリおよび被動プーリの軸間寸法が設定されるエンジンの動弁装置において、タイミングベルトの動きをガイドし、負荷を低減させて、騒音の発生を抑制するとともにタイミングベルトの耐久性を高める。
【解決手段】駆動プーリ110および被動プーリ111間でタイミングベルト112の外周に接触して該タイミングベルト112の動きをガイドするベルトガイド手段130Aが、該ベルトガイド手段130Aのタイミングベルト112との接触部を張り状態にあるタイミングベルト112の走行位置に沿わせるようにして、クランクケース35およびシリンダヘッド37を含むエンジン本体34に配設される。
【選択図】 図6

Description

本発明は、クランクケースに回転自在に支承されるクランクシャフトに設けられる駆動プーリと、シリンダヘッドに固設されるカムホルダで回転自在に支承されるカムシャフトに設けられる被動プーリと、合成樹脂によって無端状に形成されて前記駆動プーリおよび前記被動プーリに巻き掛けられるタイミングベルトとを備える調時伝動手段が、前記クランクシャフトおよび前記カムシャフト間に設けられ、前記タイミングベルトに張力が付与されるように前記駆動プーリおよび前記被動プーリの軸間寸法が設定されるエンジンの動弁装置に関する。
調時伝動手段が、クランクシャフトに設けられる駆動プーリと、カムシャフトに設けられる被動プーリとに無端状のタイミングベルトが巻き掛けられて成り、駆動プーリおよび被動プーリ間の軸間寸法設定によって、テンショナプーリによる張力付与を不要としてタイミングベルトに張力を付与するようにしたエンジンが、特許文献1で知られている。
特開2003−65009号公報
このようなエンジンの動弁装置では、車両に搭載された場合の更なる高回転領域での使用や路面からの振動に対して、タイミングベルトの負荷を低減させることが望まれる。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、タイミングベルトの動きをガイドし、負荷を低減させて騒音の発生を抑制するとともにタイミングベルトの耐久性を高めることを可能としたエンジンの動弁装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、クランクケースに回転自在に支承されるクランクシャフトに設けられる駆動プーリと、シリンダヘッド側で回転自在に支承されるカムシャフトに設けられる被動プーリと、合成樹脂によって無端状に形成されて前記駆動プーリおよび前記被動プーリに巻き掛けられるタイミングベルトとを備える調時伝動手段が、前記クランクシャフトおよび前記カムシャフト間に設けられ、前記タイミングベルトに張力が付与されるように前記駆動プーリおよび前記被動プーリの軸間寸法が設定されるエンジンの動弁装置において、前記駆動プーリおよび前記被動プーリ間で前記タイミングベルトの外周に接触して該タイミングベルトの動きをガイドするベルトガイド手段が、該ベルトガイド手段の前記タイミングベルトとの接触部を張り状態にある前記タイミングベルトの走行位置に沿わせるようにして、前記クランクケースおよび前記シリンダヘッドを含むエンジン本体に配設されることを第1の特徴とする。
また本発明は、第1の特徴の構成に加えて、前記ベルトガイド手段は、前記タイミングベルトに接触して回転するガイドローラを備えることを第2の特徴とする。
本発明は、第2の特徴の構成に加えて、前記ベルトガイド手段は、前記駆動プーリおよび前記被動プーリと平行な軸線まわりの回動を可能として前記エンジン本体に支持される回動支持軸を備え、前記ガイドローラが、前記回動支持軸の軸線から偏心した位置に回転中心を有するようにして前記回動支持軸に回転自在に支承されることを第3の特徴とする。
本発明は、第2または第3の特徴の構成に加えて、車両搭載状態でシリンダ軸線をほぼ水平に傾斜して配置される前記エンジン本体の下部に、前記シリンダヘッドから前記クランクケースにオイルを戻すための専用のオイル戻し通路が設けられ、前記タイミングベルトを走行させるようにして前記オイル戻し通路と並んで前記エンジン本体に設けられるベルト走行通路の底部に、前記ガイドローラが配置されることを第4の特徴とする。
本発明は、第3または第4の特徴の構成に加えて、前記クランクケースおよび前記シリンダヘッド間に挟まれるシリンダブロックに、前記回動支持軸が、その回動軸線まわりに設定された複数の回動位置のうち選択された回動位置を保持することを可能としつつ軸線方向の挿脱を可能として挿入され、前記シリンダブロックを介して前記シリンダヘッドを前記クランクケースに結合するボルトが、前記回動支持軸の外端に近接、対向して配置されることを第5の特徴とする。
本発明は、第5の特徴の構成に加えて、前記回動支持軸に、該回動支持軸の外周とは偏心した外周を有して前記シリンダブロック内に配置される偏心駒が相対回転不能に装着され、前記ガイドローラが前記偏心駒で回転自在に支承されることを第6の特徴とする。
さらに本発明は、第2〜第6の特徴の構成のいずれかに加えて、前記タイミングベルトの幅よりも幅広である前記ガイドローラが、前記タイミングベルトの両側面をガイドするように形成されることを第7の特徴とする。
本発明の第1の特徴によれば、張り状態にあるタイミングベルトの走行位置に沿うようにしてタイミングベルトの外周に接触するベルトガイド手段でタイミングベルトの動きをガイドするので、タイミングベルトを屈曲させることなく、タイミングベルトの負荷を軽減して、騒音の発生を抑制するとともにタイミングベルトの耐久性を高めることが可能となる。
また本発明の第2の特徴によれば、ベルトガイド手段が備えるガイドローラがタイミングベルトに接触して回転するので、ベルトガイド手段およびタイミングベルトの接触部のフリクションを小さくすることができる。
本発明の第3の特徴によれば、ベルトガイド手段が備える回動支持軸が回動可能にエンジン本体に支持され、ガイドローラが記回動支持軸の軸線から偏心した位置に回転中心を有するようにして回動支持軸に回転自在に支承されるので、回動支持軸の回動位置を調節することでタイミングベルトへのガイドローラの接触位置を調節することができ、部品精度を高くすることなく、ベルトガイド手段を簡単に構成することができ、ベルトガイド手段の組付けも容易となる。
本発明の第4の特徴によれば、シリンダ軸線をほぼ水平に傾斜させたエンジン本体の下部に、前記シリンダヘッドから前記クランクケースにオイルを戻すための専用のオイル戻し通路が設けられ、そのオイル戻し通路に並列してエンジン本体に設けられるベルト走行通路の底部にガイドローラが配置されるので、ガイドローラの回転がシリンダヘッドからクランクケースに戻るオイルで妨げられるのを防止することができ、またタイミングベルトへのガイドローラによるオイルの跳ねかけ付着を防止し、駆動プーリおよび被動プーリへのタイミングベルトの巻き掛け部にオイルが噛み込むことによる抵抗の増加を防止することができる。
本発明の第5の特徴によれば、シリンダブロックに、回動支持軸が選択された複数の回動位置の1つを選択、保持することを可能としつつ軸線方向の挿脱を可能として挿入され、シリンダブロックを介してシリンダヘッドをクランクケースに結合するボルトが回動支持軸の外端に近接、対向して配置されるので、シリンダヘッド、シリンダブロックおよびクランクケースを結合するボルトで回動支持軸がシリンダブロックから離脱するのを防止することができ、部品点数の低減を図ることができる。
本発明の第6の特徴によれば、回動支持軸の外周とは偏心した外周を有する偏心駒がシリンダブロック内で回動支持軸に相対回転不能に装着され、ガイドローラが偏心駒で回転自在に支承されるので、回動支持軸の外径を比較的小さく設定することが可能であり、回動支持軸を挿脱可能に挿入するためにシリンダブロックに設けられる支持孔の孔径を小さくしてシリンダブロックの強度低下を抑制することができるとともにガイドローラの偏心量を増大することができる。
さらに本発明の第7の特徴によれば、タイミングベルトの幅よりも幅広のガイドローラで、タイミングベルトの両側面がガイドされるので、クランクシャフトおよびカムシャフトの軸線方向にタイミングベルトが振れるのを防止して、タイミングベルトの寿命増加に寄与することができる。
スクータ型自動二輪車の左側面図である。 図1の2−2線拡大断面図である。 図2の要部拡大図である。 ヘッドカバーを省略した状態での図3の4矢視拡大図である。 カムホルダを図4と同一方向から見た正面図である。 エンジン本体を図3の6−6線に沿って切断して示す断面図である。 図2の7矢示部拡大図である。 駆動プーリを図7の8−8線矢視方向から見た図である。 図6の9−9線断面図である。 ベルトガイド手段の作動を説明するための図9の10−10線断面図である。 図9の11−11線断面図である。 実施例2を示すものであって図9に対応した断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
本発明の実施例1について、図1〜図11を参照しながら説明すると、先ず図1において、スクータ型自動二輪車の車体フレーム15は、前輪WFを軸支するフロントフォーク16ならびに該フロントフォーク16に連結される操向ハンドル17を操向可能に支承するヘッドパイプ18と、該ヘッドパイプ18から後下がりに延びるダウンチューブ19と、ダウンチューブ19の下部両側に前端が固着されて後方に延びる左右一対のロアフレームパイプ20…と、ロアフレームパイプ20…の後端に一体に連なる左右一対のリヤフレームパイプ21…とを備える。リヤフレームパイプ21は、ロアフレームパイプ20の後端から後上がりに延びる傾斜部21aと、傾斜部21aの後端からほぼ水平にして後方に延びる水平部21bとから成り、両リヤフレームパイプ21…の後部は相互に連結される。
車体フレーム15における両ロアフレームパイプ20…および両リヤフレームパイプ21…の一体連設部にはブラケット22が設けられる。このブラケット22にはパワーユニットPの前部がリンク機構23を介して上下に揺動可能に支承されており、該パワーユニットPの後部右側に配置される後輪WRがパワーユニットPの後部に軸支される。また前記両リヤフレームパイプ21…のうち左側のリヤフレームパイプ21の後部およびパワーユニットPの後部間にはリヤクッションユニット24が設けられる。
パワーユニットPの前方で両ロアフレームパイプ20…間には、それらのロアフレームパイプ20…で支持される燃料タンク25が配置され、前記パワーユニットPの上方には収納ボックス26が配置され、該収納ボックス26は前記リヤフレームパイプ21…で支持される。
車体フレーム15は、合成樹脂製の車体カバー27で覆われるものであり、この車体カバー27は、運転者の足の前方を覆うレッグシールド28と、ライダーの足を載せるべくレッグシールド28の下部に連なって燃料タンク25を覆うステップフロア29と、ステップフロア29に連なって車体後部を両側から覆うサイドカバー30とを備え、サイドカバー30上には、収納ボックス26を上方から開閉可能として覆うタンデム型の乗車用シート31が設けられる。
図2において、パワーユニットPは、後輪WRの前方に配置される強制空冷式単気筒の4サイクルであるOHC型のエンジンEと、該エンジンEおよび前記後輪WR間に設けられる伝動装置Tとで構成される。
前記エンジンEのエンジン本体34は、後輪WRの回転軸線と平行な回転軸線を有するクランクシャフト45を回転自在に支承するクランクケース35と、前記クランクシャフト45に連結されるピストン41を摺動自在に嵌合せしめるシリンダボア40を有して前記クランクケース35に結合されるシリンダブロック36と、クランクケース35と反対側でシリンダブロック36に結合されるシリンダヘッド37と、シリンダブロック36と反対側でシリンダヘッド37に結合されるヘッドカバー38とで構成され、自動二輪車への搭載状態でシリンダボア40の軸線すなわちシリンダ軸線Cはほぼ水平となるまでわずかに前上がりに傾斜している。
シリンダブロック36およびシリンダヘッド37間にはピストン41の頂部を臨ませる燃焼室42が形成され、前記ピストン41は、コネクティングロッド43およびクランクピン44を介してクランクシャフト45に連結される。
クランクケース35は、前記シリンダボア40の軸線を含むとともに前記クランクシャフト45の軸線に直交する平面で結合される一対のケース半体35a,35bから成り、クランクシャフト45は両ケース半体35a,35bで回転自在に支承される。而してクランクシャフト45および一方のケース半体35a間にはボールベアリング47が介装され、クランクシャフト45および他方のケース半体35b間にはボールベアリング48が介装される。
シリンダヘッド37の上部側面には前記燃焼室42に通じ得る吸気ポート(図示せず)が設けられ、シリンダヘッド37の下部側面には前記燃焼室42に通じ得る排気ポート(図示せず)が設けられる。
図1で示すように、シリンダヘッド37の上部側面には、後輪WRの左側でパワーユニットPの上方に配置されるエアクリーナ49と、該エアクリーナ49に上流端が接続される気化器50とを含む吸気装置51が前記吸気ポートに連なるようにして接続され、シリンダヘッド37の下部側面には、前記排気ポートに通じる排気管52の上流端が接続され、この排気管52の下流端は後輪WRの右側に配置される排気マフラー53に接続される。また燃焼室42に臨む点火プラグ54(図2参照)が、自動二輪車の進行方向前方を向いた状態でシリンダヘッド37の右側の側面に取付けられる。
前記クランクシャフト45の一端部は前記伝動装置Tを介して後輪WRの車軸55に連動、連結され、前記クランクシャフト45の他端部には、発電機56および冷却ファン57が連結される。
前記発電機56は、クランクケース35の外方でクランクシャフト45の他端部に固定されるアウターロータ58と、該アウターロータ58で囲繞されてクランクケース35のケース半体35bに固定されるステータ59とで構成される。また前記冷却ファン57は、発電機56よりも外方でクランクシャフト45に固定される。
エンジン本体34のうち、クランクケース35の一部、シリンダブロック36およびシリンダヘッド37はシュラウド60で覆われており、エンジン本体34およびシュラウド60間に形成される冷却風通路61を、冷却ファン57から吐出される強制空冷用の空気が流通する。しかもシリンダブロック36およびシリンダヘッド37の外面には、前記冷却風通路61を流れる冷却空気による効率的な冷却を可能とするために複数の冷却フィン36a…,37a…がそれぞれ突設される。
前記シュラウド60には、前記冷却ファン57を覆うファンカバー62が結合されており、このファンカバー62には、前記冷却ファン57側に向けて外部から空気を吸引するための吸引口63を形成する吸引筒64が、冷却ファン57にその外方で対応するようにして設けられており、吸引口64にはルーバー65が設けられる。
クランクケース35には、自動二輪車の走行方向前方を向いた状態で後輪WRの左側方に延出される伝動ケース66が連結される。この伝動ケース66は、前記クランクケース35のケース半体35aに一体に連設されて後方に延設されるケース主体67と、該ケース主体67との間に変速機室70を形成してケース主体67に左側から締結される左側カバー68と、前記ケース主体67との間にギヤ室71を形成してケース主体67の右側後部に締結される右側カバー69とで構成され、後輪WRの車軸55は、ケース主体67の後部および右側カバー69に回転自在に支承される。
伝動装置Tは、変速機室70に収容されるVベルト式の無段変速機72と、該無段変速機72および車軸55間に設けられて前記ギヤ室71に収容される減速ギヤ機構73とで構成される。
無段変速機72は、クランクケース35の外方でクランクシャフト45の一端部に連結されるドライブプーリ74と、クランクシャフト45と平行な軸線を有してケース主体67の後部および右側カバー69に回転自在に支承される被動軸75に遠心クラッチ76を介して装着されるドリブンプーリ77と、ドライブプーリ74およびドリブンプーリ77に巻掛けられる無端状のVベルト78とを備える従来周知のものである。
而してドライブプーリ74は、クランクシャフト45に固着されたランププレート79および該ドライブプーリ74間に浮動状態で収容される複数のウエイトローラ80が、クランクシャフト45の回転数増大に応じてクランクシャフト45の半径方向外方に移動するのに応じて、Vベルト78への接触半径を大きくするように作動する。
一方、ドリブンプーリ77は、ドライブプーリ74へのVベルト78の接触半径が大きくなるにつれて、該Vベルト78の接触半径が小さくなるように作動し、それによりクランクシャフト45および被動軸75間でのクランクシャフト45の回転に応じた無段変速が行なわれることになる。
減速ギヤ機構73は、被動軸75および車軸55間に設けられてギヤ室71に収納されるものであり、無段変速機72における被動軸75の回転動力が減速ギヤ機構73で減速されて後輪WRの車軸55に伝達される。
伝動ケース66における左側カバー68にはキック軸81が回転自在に支承されており、該キック軸81の外端にキックペダル82(図1参照)が設けられる。また前記左側カバー68の内面側で、キック軸81およびクランクシャフト45間には、キックペダル82の踏込み操作に応じたキック軸81の動力をクランクシャフト45に伝達可能としたキック式始動装置83が設けられる。
図3および図4を併せて参照して、前記シリンダヘッド37には、前記吸気ポートおよび前記排気ポートをそれぞれ開閉する吸気弁86および排気弁87が開閉作動可能に配設されており、弁ばね88,89で閉弁方向にばね付勢された吸気弁86および排気弁87は、動弁装置90で開閉駆動される。
前記動弁装置90は、前記シリンダヘッド37に固設されるカムホルダ91で回転自在に支承されるカムシャフト92と、該カムシャフト92に設けられた吸気カム93に従動して揺動することで前記吸気弁86を開閉駆動する吸気側ロッカアーム95と、前記カムシャフト92の軸方向に前記吸気カム93と並んだ位置で前記カムシャフト92に設けられた排気カム94に従動して揺動することで前記排気弁87を開閉駆動する排気側ロッカアーム96と、前記クランクシャフト45の回転動力を1/2の減速比で減速しつつ前記カムシャフト92に伝達する調時伝動手段97とを備える。
前記シリンダヘッド37およびヘッドカバー38間には動弁室98が形成されており、前記シリンダヘッド37と別体である前記カムホルダ91が動弁室98内に配置されて前記シリンダヘッド37に固定される。
図5において、前記カムホルダ91は、前記吸気カム93および前記排気カム94を相互間に挟む位置で前記カムシャフト92を回転自在に支承するための第1および第2支持壁部91a,91bを一体に有して四角形の枠状に形成される。
前記カムホルダ91の第1支持壁部91aには第1支持孔99が設けられ、前記カムシャフト92の一端側に設けられて第1支持孔99を貫通する第1ジャーナル部92の外周および第1支持孔99の内周間にボールベアリング101が介装される。また第2支持壁部91bには第2支持孔100が第1支持孔99と同軸に設けられ、前記吸気カム93および前記排気カム94を第1ジャーナル部92aとの間に挟む第2ジャーナル部92bが、第2支持孔100に挿入されるようにして前記カムシャフト92の他端部に設けられ、第2ジャーナル部92bの外周および第2支持孔100の内周間にボールベアリング102が介装される。
第1および第2支持壁部91a,91b間には、一対のロッカシャフト(図示せず)が前記カムシャフト92の両側に位置するようにして設けられており、一方の前記ロッカシャフトで吸気側ロッカアーム95が揺動可能に支承され、他方の前記ロッカシャフトで排気側ロッカアーム96が揺動可能に支承される。
前記シリンダヘッド37および前記シリンダブロック36は、前記カムシャフト92の周囲に配置される複数の締結具による共締めでクランクケース35に結合されるものであり、この実施の形態では、前記シリンダブロック36におけるシリンダボア40の周囲に間隔をあけて配置されるようにして前記クランクケース35に植設される4本の締結具であるスタッドボルト103,103…と、それらのスタッドボルト103,103…にそれぞれ螺合されるナット104,104…とによる共締めで、前記カムホルダ91、前記シリンダヘッド37および前記シリンダブロック36が前記クランクケース35に結合される。
而して前記カムホルダ91における第1および第2支持壁部91a,91bには、前記カムシャフト92を両側から挟むようにして一対ずつの挿通孔105,105…が設けられ、前記ナット104,104…は前記各挿通孔105,105…の周囲でカムホルダ91に当接、係合する。
前記カムホルダ91の第1および第2支持壁部91a,91bには、それらの支持壁部91a,91bに一対ずつ設けられる挿通孔105…のうちの1つが設けられる部分から側方に突出する取付け腕部91c,91dが設けられ、エンジン本体34の車体フレーム15への搭載状態で一方の取付け腕部91cが動弁室98内の左側上部に配置されるのに対し、他方の取付け腕部91dは動弁室98内の右側下部に配置され、それらの取付け腕部91c,91dの先端部にねじ孔106,106が設けられる。
図6を併せて参照して、前記ヘッドカバー38は、前記シリンダヘッド37との間にガスケット107を挟むようにして前記カムホルダ91に結合される。すなわちヘッドカバー38の外面に当接、係合する段部108a…を有する一対の段付きボルト108…がヘッドカバー38に挿通され、それらの段付きボルト108…が前記カムホルダ91の取付け腕部91c,91dに設けられたねじ孔106…に螺合される。
前記調時伝動手段97は、前記クランクケース35のケース半体35aおよび前記クランクシャフト45間に介装される前記ボールベアリング47と、前記無断変速機72におけるドライブプーリ74との間に配置されて前記クランクシャフト45の一端部側に固定される駆動プーリ110と、前記カムシャフト92の一端部に固定される被動プーリ111と、合成樹脂によって無端状に形成されて前記駆動プーリ110および前記被動プーリ111に巻き掛けられるタイミングベルト112とを備えるものであり、前記タイミングベルト112に張力が付与されるように前記駆動プーリ110および前記被動プーリ111の軸間寸法すなわちクランクシャフト45およびカムシャフト92の軸間寸法が設定される。
しかも前記クランクケース35とは別体である前記シリンダブロック36は、前記クランクケース35よりも熱膨張率の小さな材料によって形成されるものであり、望ましくは、前記クランクケース35がアルミニウムもしくはアルミニウム合金から成り、鋳鉄製である前記シリンダブロック36と、前記クランクケース35との間に、メタルガスケット113が介装される。また前記シリンダヘッド37が、アルミニウムもしくはアルミニウム合金から成るのに対し、該シリンダヘッド37に固定されるカムホルダ91は鋳鉄製である。
図3に特に注目して、前記カムシャフト92の一端部には、第1ジャーナル部92aよりも小径の小径軸部92cが同軸にかつ一体に設けられており、その小径軸部92cには、フランジ114を有するフランジ部材115が、前記小径軸部92cの先端を横断面円形のプーリ軸受けボス116として前記フランジ114から突出させるようにして第1ジャーナル部92aに当接するまで圧入される。これによりカムシャフト92の一端側に、前記吸気カム93および前記排気カム94との間に第1ジャーナル部91aを挟むフランジ114が前記被動プーリ111を取付けるべく前記カムシャフト92から半径方向外方に張り出すようにして同軸に設けられるとともに、前記被動プーリ111が同軸に有する中心孔117に嵌入するようにして前記フランジ114から突出する横断面円形のプーリ軸受ボス116が同軸に設けられることになり、前記プーリ軸受ボス116の先端外周縁には、前記フランジ114から離反するにつれて小径となるテーパ状のガイド面118が形成される。
前記被動プーリ111は、前記タイミングベルト112が巻き掛けられる複数の歯部119,119…を外周に有するリング部111aと、前記中心孔117を有するとともに前記リング部111aの内周に外周を一体に連設させて前記フランジ114に締結される円板部111bとを一体に有しており、カムシャフト92の軸方向に沿う前記円板部111bの厚みdが、一対の凹部120,120を前記円板部111bの両側面および前記リング部111aの内周と協働して形成するようにして、前記リング部111aの軸方向長さよりも小さく設定される。
而して前記フランジ114の少なくとも一部と、前記円板部111bを前記フランジ114に締結するためのボルト121,121の少なくとも一部とが前記凹部120,120に配置されるのものであり、この実施の形態では、一方の凹部120に、前記フランジ114の一部が配置され、他方の凹部120に、前記ボルト121…の拡径頭部121a…が配置される。
しかも前記被動プーリ111は、該被動プーリ111の外周の複数の前記歯部119,119…間の谷部122,122…を軸方向両側に開放した形状を有して表裏対称に形成されるものであり、タイミング合わせのためのマークも前記被動プーリ111の両面に設けられる。
図2に注目して、前記エンジン本体34のクランクケース35、シリンダブロック36およびシリンダヘッド37には、前記調時伝動手段34のタイミングベルト112を走行させるためのベルト走行通路123が、エンジン本体34の車両搭載状態ではシリンダボア40の左側に位置するようにして設けられており、前記駆動プーリ110は、ベルト走行通路123に対応する位置で、たとえば圧入によって前記クランクシャフト45の一端部側に固定される。
また自動二輪車への搭載状態でシリンダ軸線Cをほぼ水平に傾斜して配置される前記エンジン本体34におけるシリンダヘッド37およびシリンダブロック36の下部には、シリンダヘッド37から前記クランクケース35にオイルを戻すための専用のオイル戻し通路127が設けられており、前記ベルト走行通路123は、前記オイル戻し通路127と並んで前記エンジン本体34のシリンダヘッド37、シリンダブロック36およびクランクケース35に設けられる。
ところでクランクケース35を構成する一対のケース半体35a,35bのうち左側のケース半体35aおよびクランクシャフト45間には、前記ボールベアリング47が介装されるとともに、変速機室70および前記ベルト走行通路123間をシールする環状のシール部材124が介装されており、前記駆動プーリ110は、前記ボールベアリング47および前記シール部材124間でカムシャフト45に固定され、前記駆動プーリ110よりも前記ボールベアリング47側で前記クランクシャフト45には、図7で示すように、駆動プーリ110側に臨む環状段部45aが形成される。
前記駆動プーリ110は、前記タイミングベルト112の内周部を噛合させる複数の歯部125,125…を外周に有してクランクシャフト45を囲繞する円筒部110aと、該円筒部110aの一端から半径方向外方に張り出す鍔部110bとを一体に有するものであり、前記鍔部110bを、クランクシャフト45の前記環状段部45aとは反対側に配置してクランクシャフト45に圧入、固定される。
而してタイミングベルト112は、前記鍔部110bによって前記環状段部45aとは反対側への移動を規制されるようにして前記円筒部110aの外周に巻き掛けられており、タイミングベルト112の前記鍔部110bとは反対側への移動は、クランクシャフト45の前記環状段部45aによって規制される。
このように駆動プーリ110の軸方向へのタイミングベルト112の移動を、駆動プーリ110が一体に有する鍔部110bと、クランクシャフト45に形成される環状段部45aとで規制することで、駆動プーリ110からのタイミングベルト112の脱落を、専用部品を不要とした簡単な構成で防止することができる。
図8を併せて参照して、前記駆動プーリ110における円筒部110aの前記鍔部110bとは反対側の端部には、円筒部110aがその外周に有する複数の歯部125,125…間に形成されている谷部126,126…の底にそれぞれ通じる複数の排油溝127,127…が、クランクシャフト45の環状段部45aに近接するにつれてクランクシャフト45の軸線に近接するように形成して設けられる。
このような排油溝127,127…によって駆動プーリ110の外周の谷部126,126…に溜まるオイルをクランクシャフト45の環状段部45a側に排出することができ、駆動プーリ110へのタイミングベルト112の巻き掛け部にオイルが噛み込むことによる抵抗の増加を防止することができるとともに、タイミングベルト112がオイルを叩くことによる騒音の発生を抑えることができる。
図9を併せて参照して、前記エンジン本体34のシリンダブロック36には、駆動プーリ110および被動プーリ111間でタイミングベルト112の外周に接触して該タイミングベルト112の動きをガイドするベルトガイド手段130Aが、該ベルトガイド手段130Aのタイミングベルト112との接触部を張り状態にあるタイミングベルト112の走行位置に沿わせるようにして配設される。
而して前記クランクシャフト45および前記駆動プーリ110は、図6の矢印129で示す方向に回転するものであり、被動プーリ111から駆動プーリ110側に牽引されることで張り状態にあるタイミングベルト112の外周に接触するようにして、前記ベルトガイド手段130Aが、被動プーリ111および駆動プーリ110間の中間部で前記シリンダブロック36の下部に配設される。
図10および図11をさらに併せて参照して、前記ベルトガイド手段130Aは、前記タイミングベルト112に接触して回転するようにして前記ベルト走行通路123の底部に配置されるガイドローラ131と、駆動プーリ110および被動プーリ111と平行な軸線まわりの回動を可能としてエンジン本体34のシリンダブロック36に支持される回動支持軸132とを備え、ガイドローラ131は、回動支持軸132の軸線から偏心した位置に回転中心を有するようにして回動支持軸132に回転自在に支承される。
前記シリンダブロック36には、前記回動支持軸132を支持するための第3および第4支持孔134,135がベルト走行通路123を挟んで同軸に設けられており、シリンダブロック36の外側面には、第3支持孔134と同軸の円筒部136が外側方に突出するようにして一体に突設され、この円筒部136の内周との間に環状の段部137を形成するようにして第3支持孔134がシリンダブロック36に設けられる。
前記回動支持軸132は、その外端部を第3支持孔134から突出させて前記円筒部136内に配置するようにして第3支持孔134に回動可能にかつ液密に挿入され、回動支持軸132の内端部が第4支持孔135に回動可能に嵌入される。
前記円筒部136内の前記段部137には、第3支持孔134の直径線上に対をなして並ぶ複数組たとえば4組の係止凹部138,138…が、第3支持孔134の周囲に等間隔をあけて設けられ、前記回動支持軸132の外端部には、その一直径線に沿って延びる係合ピン139が、その両端部を前記係止凹部138,138…のうち選択された組の係止凹部138,138に係合するようにして挿入される。而して1組の係止凹部138,138に係合ピン139を係合した状態で回動支持軸132の回動位置が保持されるものであり、回動支持軸132は、その周方向に設定された複数の回動位置のうち選択された回動位置で保持することが可能である。
前記ベルト走行通路123内で前記回動支持軸132には、該回動支持軸132の外周とは偏心した外周を有する偏心駒133が相対回動不能に装着され、前記ガイドローラ131は前記偏心駒133で回転自在に支承されてる。すなわち前記回動支持軸132の外周の一部に平坦面140が形成されることで回動支持軸132の一部は横断面非円形に形成されており、回動支持軸132のうち横断面形状が非円形である部分が偏心駒133を貫通することで、偏心駒133が回動支持軸132に相対回動不能に装着されることになる。
而して図10(a),(b)で示すように、係合ピン139の位置を変化させることで、回動支持軸132の中心から前記偏心駒133の外周のタイミングベルト112への当接部までの距離L1,L2を変化させることができる。
ところで自動二輪車への搭載状態で前記シリンダブロック36の左側側面には、該シリンダブロック36を介してシリンダヘッド37をクランクケース35に結合する一対のボルト142,143を挿通させるための2条の隆起部144,145がピストン41の作動方向と平行に延びて一体に設けられており、それらの隆起部144,145の一方144には、前記ベルトガイド手段130Aにおける回動支持軸132の外端部ならびに該回動支持軸132の外端部を配置するようにしてシリンダブロック36に突設される円筒部136を外方に臨ませる切欠き部146が設けられる。
而して上記切欠き部146において前記ボルト142は、前記回動支持軸132の外端に近接、対向して配置されることになり、挿脱可能としてシリンダブロック36に挿入される回動支持軸132のシリンダブロック36からの離脱は前記ボルト142で阻止されることになる。
而して前記ボルト142が回動支持軸132の外端に近接、対向した状態では、回動支持軸132のシリンダブロック36からの離脱が阻止されるとともに、前記係止凹部138,138…のうち選択された組の係止凹部138,138に係合ピン139の両端部を係合した状態が保持されることになる。
次にこの実施例1の作用について説明すると、調時伝動手段97においてタイミングベルト112に張力が付与されるように駆動プーリ110および被動プーリ111の軸間寸法が設定されるのであるが、クランクケース35とは別体であるシリンダブロック36がクランクケース35よりも熱膨張率の小さな材料によって形成されるので、調時伝動手段97における駆動プーリ110および被動プーリ111の軸間寸法の熱間時の変化を小さく抑え、それによってタイミングベルト112の張力が変化することを防止して、タイミングベルト112による噛合い音の発生を抑制することができるとともに、タイミングベルト112の負荷の低減を図ることができる。
またクランクケース35がアルミニウムもしくはアルミニウム合金から成り、シリンダブロック36が鋳鉄製であるので、特別な材質とすることなくクランクケース35およびシリンダブロック36を形成して製造コストを低減し、硬度が相互に異なるシリンダブロック36およびクランクケース35間にメタルガスケット113を介装するので、紙ガスケットに比べて面圧のばらつきを抑え、クランクケース35およびシリンダブロック36の結合面のシール性を高めることができる。
また鋳鉄製であるカムホルダ91が、カムシャフト92を回転自在に支持するようにしてシリンダヘッド37に固設されるので、シリンダヘッド37側でも熱膨張を抑え、タイミングベルト112による噛合い音の発生をより効果的に抑制することができるとともに、タイミングベルト112の負荷の低減をより一層図ることができる。しかもこの実施の形態では、シリンダヘッド37がアルミニウムもしくはアルミニウム合金から成るので、エンジン本体34全体の軽量化に寄与することができる。
前記カムシャフト92の一端側には、被動プーリ111を取付けるべくカムシャフト92から半径方向外方に張り出すフランジ114と、被動プーリ111が同軸に有する中心孔117に嵌入するようにしてフランジ114から突出する横断面円形のプーリ軸受ボス116とが同軸に設けられ、プーリ軸受ボス116の先端外周縁に、フランジ114から離反するにつれて小径となるテーパ状のガイド面118が形成されるので、クランクシャフト45に対して一定距離の固定位置にあるカムシャフト92の一端部に、タイミングベルト112が巻き付けられた状態にある被動プーリ111を取り付ける際に、タイミングベルト112をわずかに引っ張りながらガイド面118でガイドしつつ被動プーリ111をカムシャフト92の一端部に組み付けることができ、組立性が向上するとともに、カムシャフト92に被動プーリ111を組み付けた状態でタイミングベルト112に必要以上の張力が付与された状態となるのを防止することができる。
また被動プーリ111は、該被動プーリ111の外周の複数の歯部119…間の谷部122…を軸方向両側に開放した形状に形成されるので、張力が付与されているタイミングベルト112の被動プーリ111への組み付けがより容易となる。
しかもカムシャフト92には、その軸方向に並ぶ吸気カム93および排気カム94が設けられるので、カムシャフト92が軸方向に長くなるものの、組立て性の低下を回避することができる。すなわち特許文献1で開示されているものでは、被動プーリおよびカムを一体化した被動プーリ・カム結合体が支軸を介してシリンダヘッドに支持された構成となっており、組立性の低下を招く可能性があるが、カムシャフト92をシリンダヘッド37側に支承するための支軸が不要となることで組立性の低下を招くことがない。
またカムシャフト92には、吸気カム93および排気カム94をフランジ114との間に挟む第1ジャーナル部92aと、第1ジャーナル部92aとの間に吸気カム93および排気カム94を挟む第2ジャーナル部92bとが設けられ、第1および第2ジャーナル部92a,92bがカムホルダ91で支持されるので、カムシャフト92のうち吸気カム93および排気カム94が設けられている部分を両側から安定的に支持することができるとともに、吸気カム93および排気カム94と、被動プーリ111との間に第1ジャーナル部92aを配置するようにして、カムシャフト92の一端部の被動プーリ111が取付けられる部分を安定的に支持することができる。
ところで被動プーリ111は、タイミングベルト112が巻き掛けられる複数の歯部119…を外周に有するリング部111aと、中心孔117を有するとともにリング部111aの内周に外周を一体に連設させてフランジ114に締結される円板部111bとを一体に有しており、カムシャフト92の軸方向に沿う円板部111bの厚みdがリング部111aの軸方向長さよりも小さく設定され、前記円板部111bの両側面が,フランジ114の少なくとも一部ならびに円板部111bをフランジ114に締結するためのボルト121…の少なくとも一部を配置する一対の凹部120,120をリング部111aの内周と協働して形成するので、被動プーリ111のカムシャフト92への締結による軸方向の大型化を回避することができる。
しかも被動プーリ111が表裏対称に形成されることにより、被動プーリ111のカムシャフト92への組付け方向の自由度が増し、組立性を高めることができる。
またカムシャフト92を回転自在に支承してシリンダヘッド37に固定されるカムホルダ91、シリンダヘッド37およびシリンダブロック36が、カムシャフト92の周囲に配置される複数のスタッドボルト103…による共締めでクランクケース35に結合されるので、シリンダブロック36に設けられるシリンダボア40の周囲にスペース効率よく配置される複数のスタッドボルト103…でクランクケース35、シリンダブロック36およびシリンダヘッド37をコンパクトに結合することができるとともにカムホルダ91によるカムシャフト92の支持剛性を高めることができる。
またクランクケース35、シリンダブロック36およびシリンダヘッド37を含むエンジン本体34が、自動二輪車の車体フレーム15に揺動可能に支承されるので、クランクシャフト45からカムシャフト92に動力を伝達する伝動部材を金属チェーンではなくタイミングベルト112とすることで、揺動振動による騒音の低減が可能となる。
また調時伝動手段97における駆動プーリ110および被動プーリ111間でタイミングベルト112の外周に接触して該タイミングベルト112の動きをガイドするベルトガイド手段130Aが、該ベルトガイド手段130Aのタイミングベルト112との接触部を張り状態にあるタイミングベルト112の走行位置に沿わせるようにしてエンジン本体34に配設されるので、ベルトガイド手段130Aでタイミングベルト112の動きをガイドするようにして、タイミングベルト112を屈曲させることなく、タイミングベルト112の負荷を軽減して、騒音の発生を抑制するとともにタイミングベルト112の耐久性を高めることが可能となる。
またベルトガイド手段130Aは、タイミングベルト112に接触して回転するガイドローラ131を備えるので、ベルトガイド手段130Aおよびタイミングベルト112の接触部のフリクションを小さくすることができる。
またベルトガイド手段130Aは、駆動プーリ110および被動プーリ111と平行な軸線まわりの回動を可能としてエンジン本体34に支持される回動支持軸132を備えており、ガイドローラ131が、回動支持軸132の軸線から偏心した位置に回転中心を有するようにして回動支持軸132に回転自在に支承されるので、回動支持軸132の回動位置を調節することでタイミングベルト112へのガイドローラ131の接触位置を調節することができ、部品精度を高くすることなく、ベルトガイド手段130Aを簡単に構成することができ、ベルトガイド手段130Aの組付けも容易となる。
ところでエンジン本体34は、そのシリンダ軸線Cを自動二輪車への搭載状態でほぼ水平に傾斜させるものであり、そのエンジン本体34の下部に、シリンダヘッド37からクランクケース35にオイルを戻すための専用のオイル戻し通路127が設けられ、タイミングベルト112を走行させるようにしてオイル戻し通路127と並んでエンジン本体34に設けられるベルト走行通路123の底部に、ガイドローラ131が配置されるので、ガイドローラ131の回転がシリンダヘッド37からクランクケース35に戻るオイルで妨げられるのを防止することができ、またタイミングベルト112へのガイドローラ131によるオイルの跳ねかけ付着を防止し、駆動プーリ110および被動プーリ111へのタイミングベルト112の巻き掛け部にオイルが噛み込むことによる抵抗の増加を防止することができる。
またエンジン本体34の一部を構成してクランクケース35およびシリンダヘッド37間に挟まれるシリンダブロック36に、回動支持軸132が、その回動軸線まわりに設定された複数の回動位置のうち選択された回動位置を保持することを可能としつつ軸線方向の挿脱を可能として挿入され、シリンダブロック36を介してシリンダヘッド37をクランクケース35に結合するボルト142が、回動支持軸132の外端に近接、対向して配置されるので、シリンダヘッド37、シリンダブロック36およびクランクケース35を結合するボルト142で回動支持軸132がシリンダブロック36から離脱するのを防止することができ、部品点数の低減を図ることができる。
さらに回動支持軸132に、該回動支持軸132の外周とは偏心した外周を有してシリンダブロック36内に配置される偏心駒133が相対回転不能に装着され、ガイドローラ131が偏心駒133で回転自在に支承されるので、回動支持軸132の外径を比較的小さく設定することが可能であり、回動支持軸132を挿脱可能に挿入するためにシリンダブロック36に設けられる第3および第4支持孔134,135の孔径を小さくしてシリンダブロック36の強度低下を抑制することができるとともにガイドローラ131の偏心量を増大することができる。
図12は本発明の実施例2を示すものであり、図1〜図11の実施例1に対応する部分には同一の参照符号を付して図示するのみとし、詳細な説明は省略する。
エンジン本体34のシリンダブロック36には、駆動プーリ110および被動プーリ111間でタイミングベルト112の外周に接触して該タイミングベルト112の動きをガイドするベルトガイド手段130Bが、該ベルトガイド手段130Bのタイミングベルト112との接触部を張り状態にあるタイミングベルト112の走行位置に沿わせるようにして配設される。
前記ベルトガイド手段130Bは、前記タイミングベルト112に接触して回転するガイドローラ151と、エンジン本体34のシリンダブロック36に支持される回動支持軸132と、ベルト走行通路123内で前記回動支持軸132に相対回動不能に装着される偏心駒133とを備え、ガイドローラ151は前記偏心駒133で回転自在に支承されて、ベルト走行通路123の底部に配置される。
しかもガイドローラ151は、タイミングベルト112の幅よりも幅広であり、タイミングベルト112の両側面をガイドする鍔部151a,151aが、ガイドローラ151の両端に一体に設けられる。
この実施例2によれば、上記実施例1と同様の効果を奏した上に、タイミングベルト112の幅よりも幅広のガイドローラ151で、タイミングベルト112の両側面がガイドされるので、クランクシャフト45およびカムシャフト92の軸線方向にタイミングベルト112が振れるのを防止して、タイミングベルト112の寿命増加に寄与することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
たとえば上記実施の形態では、シリンダヘッド37とは別体であるカムホルダ91がシリンダヘッド37に固定されるエンジンEについて説明したが、本発明は、カムホルダがシリンダヘッドと一体に形成されるエンジンにも適用可能である。
34・・・エンジン本体
35・・・クランクケース
36・・・シリンダブロック
37・・・シリンダヘッド
45・・・クランクシャフト
90・・・動弁装置
91・・・カムホルダ
97・・・調時伝動手段
110・・・駆動プーリ
111・・・被動プーリ
112・・・タイミングベルト
123・・・ベルト走行通路
127・・・オイル戻し通路
130A,130B・・・ベルトガイド手段
131,151・・・ガイドローラ
132・・・回動支持軸
133・・・偏心駒
142・・・ボルト
C・・・シリンダ軸線
E・・・エンジン

Claims (7)

  1. クランクケース(35)に回転自在に支承されるクランクシャフト(45)に設けられる駆動プーリ(110)と、シリンダヘッド(37)に固設されるカムホルダ(91)で回転自在に支承されるカムシャフト(92)に設けられる被動プーリ(111)と、合成樹脂によって無端状に形成されて前記駆動プーリ(110)および前記被動プーリ(111)に巻き掛けられるタイミングベルト(112)とを備える調時伝動手段(97)が、前記クランクシャフト(45)および前記カムシャフト(92)間に設けられ、前記タイミングベルト(112)に張力が付与されるように前記駆動プーリ(110)および前記被動プーリ(111)の軸間寸法が設定されるエンジンの動弁装置において、前記駆動プーリ(110)および前記被動プーリ(111)間で前記タイミングベルト(112)の外周に接触して該タイミングベルト(112)の動きをガイドするベルトガイド手段(130A,130B)が、該ベルトガイド手段(130A,130B)の前記タイミングベルト(112)との接触部を張り状態にある前記タイミングベルト(112)の走行位置に沿わせるようにして、前記クランクケース(35)および前記シリンダヘッド(37)を含むエンジン本体(34)に配設されることを特徴とするエンジンの動弁装置。
  2. 前記ベルトガイド手段(130A,130B)は、前記タイミングベルト(112)に接触して回転するガイドローラ(131,151)を備えることを特徴とする請求項1記載のエンジンの動弁装置。
  3. 前記ベルトガイド手段(130A,130B)は、前記駆動プーリ(110)および前記被動プーリ(111)と平行な軸線まわりの回動を可能として前記エンジン本体(34)に支持される回動支持軸(132)を備え、前記ガイドローラ(131,151)が、前記回動支持軸(132)の軸線から偏心した位置に回転中心を有するようにして前記回動支持軸(132)に回転自在に支承されることを特徴とする請求項2記載のエンジンの動弁装置。
  4. 車両搭載状態でシリンダ軸線(C)をほぼ水平に傾斜して配置される前記エンジン本体(34)の下部に、前記シリンダヘッド(37)から前記クランクケース(35)にオイルを戻すための専用のオイル戻し通路(127)が設けられ、前記タイミングベルト(112)を走行させるようにして前記オイル戻し通路(127)と並んで前記エンジン本体(34)に設けられるベルト走行通路(123)の底部に、前記ガイドローラ(131,151)が配置されることを特徴とする請求項2または3記載のエンジンの動弁装置。
  5. 前記クランクケース(35)および前記シリンダヘッド(37)間に挟まれるシリンダブロック(36)に、前記回動支持軸(132)が、その回動軸線まわりに設定された複数の回動位置のうち選択された回動位置を保持することを可能としつつ軸線方向の挿脱を可能として挿入され、前記シリンダブロック(36)を介して前記シリンダヘッド(37)を前記クランクケース(35)に結合するボルト(142)が、前記回動支持軸(132)の外端に近接、対向して配置されることを特徴とする請求項3または4記載のエンジンの動弁装置。
  6. 前記回動支持軸(132)に、該回動支持軸(132)の外周とは偏心した外周を有して前記シリンダブロック(36)内に配置される偏心駒(133)が相対回転不能に装着され、前記ガイドローラ(131,151)が前記偏心駒(133)で回転自在に支承されることを特徴とする請求項5記載のエンジンの動弁装置。
  7. 前記タイミングベルト(112)の幅よりも幅広である前記ガイドローラ(151)が、前記タイミングベルト(112)の両側面をガイドするように形成されることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載のエンジンの動弁装置。
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