JP2011169174A - 回転機構及び内燃機関の始動回転力伝達機構 - Google Patents
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Abstract
【課題】潤滑部位に供給される潤滑油の不足を回避することのできる回転機構及び内燃機関の始動回転力伝達機構を提供する。
【解決手段】所定の回転軸を中心として一定の方向に回転するドリブンプレート4に形成された潤滑油路を通じて潤滑部位に潤滑油を供給する回転機構において、潤滑油路は、回転軸の軸線方向において潤滑油が噴射供給される回転部材の側面に位置し回転軸の中心から径方向に離間した部位に開口する供給口21と、供給口21と連通するとともにその供給口21から離間した下流側の部位ほど回転方向とは逆方向に位置する態様にて回転部材の内部に延設され導入路22とを備える。
【選択図】図4
【解決手段】所定の回転軸を中心として一定の方向に回転するドリブンプレート4に形成された潤滑油路を通じて潤滑部位に潤滑油を供給する回転機構において、潤滑油路は、回転軸の軸線方向において潤滑油が噴射供給される回転部材の側面に位置し回転軸の中心から径方向に離間した部位に開口する供給口21と、供給口21と連通するとともにその供給口21から離間した下流側の部位ほど回転方向とは逆方向に位置する態様にて回転部材の内部に延設され導入路22とを備える。
【選択図】図4
Description
本発明は、一定の方向に回転する回転部材に形成された潤滑油路を通じて潤滑部位に潤滑油が供給される回転機構及び内燃機関の始動回転力伝達機構に関する。
特許文献1には、始動用モータの回転力をリングギヤからワンウェイクラッチを介して内燃機関の出力軸に伝達する内燃機関の始動回転力伝達機構が記載されている。図8に示すように、この機構は、内燃機関の出力軸102およびドリブンプレート104等からなる回転部材105が、ワンウェイクラッチ112、軸受114およびシール部材116、133を介してドライブプレート106に連結されている。また、ドライブプレート106はそのギヤ部107が図示略の始動用モータのピニオンギヤと歯合されており、同始動用モータが回転するとその回転力がピニオンギヤを介してドライブプレート106に伝達される。ここで、ワンウェイクラッチ112はドライブプレート106の回転を回転部材105に伝達するが、回転部材105の回転をドライブプレート106に伝達しない。そのため、始動時において始動用モータの回転はギヤ部107、ドライブプレート106、および係合状態となったワンウェイクラッチ112を介して回転部材105に伝達され、これにより出力軸102が回転される。一方、通常運転時にはワンウェイクラッチ112が解放状態となるため、回転部材105の回転力がドライブプレート106に伝達されず、始動用モータの回転が停止されるのに伴ってドライブプレート106の回転も停止する。
ところで、上述した通常運転時において、回転部材105は回転している一方で、ドライブプレート106は回転していないために、両者の間に介在するワンウェイクラッチ112、軸受114およびシール部材116、133には摩擦が発生し、動力損失や、焼きつき等が生じるおそれがある。そこで、上記特許文献1に記載の始動回転力伝達機構には、それら各部材の摩擦を低減するために潤滑油を供給する潤滑油路120が形成されている。
この潤滑油路120は、潤滑油が供給される出力軸102のジャーナル部122、ジャーナル部122の潤滑油が流入する第1通路123、この第1通路123に繋がる第2通路124、及び第2通路124に繋がる第3通路125とで構成されている。
第1通路123は、出力軸102の径方向外方に向けて延設されている。また、第2通路124は、軸受114の内輪と出力軸102との嵌合面において出力軸102の回転軸方向と同一方向に延設されている。つまり、この第2通路124は出力軸102の回転方向に対して直交する方向に形成されている。そして、第3通路125は、軸受114の内輪に設けられており軸受114の径方向に向かって延設されている。
このような潤滑油路120を備える上記始動回転力伝達機構では、ジャーナル部122に供給された潤滑油は、出力軸102の回転による遠心力の作用を受けて第1通路123に流入し、その後第2通路124、第3通路125を介して軸受114の内部に供給される。そして、軸受114に供給された潤滑油は、出力軸102の径方向外方に向かって順次設けられたワンウェイクラッチ112、シール部材116、133に供給される。
ところで、上述したように、上記第2通路124は、出力軸102の回転軸方向と同一方向に延伸されており、同第2通路124は出力軸102の回転方向に対して直交する方向に形成されている。そのため、潤滑が必要な潤滑部位に対して潤滑油を十分に供給できないおそれがある。
すなわち、第1通路123に流入した潤滑油には、出力軸102の回転によって同出力軸102の回転方向に沿った慣性力や同出力軸102の径方向に沿った遠心力が作用する。これら慣性力や遠心力の作用を受けた潤滑油の流動方向は、第2通路124の形成方向と大きく異なっている。そのため、第1通路123から流出した潤滑油が第2通路124に流入する際には、一部の潤滑油が第2通路124に流入することなく出力軸102の回転方向や径方向外方に飛散してしまい、第2通路124に十分な量の潤滑油を供給することができなくなる。このように第2通路124に十分な量の潤滑油を供給できない場合には、潤滑が必要な潤滑部位に供給される潤滑油の不足が生じる。
なお、上述したような問題は、上記始動回転力伝達機構に限らず、回転部材に形成された潤滑油路を通じて潤滑部位に潤滑油を供給する回転機構であれば同様に起こりえる。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、潤滑部位に供給される潤滑油の不足を回避することのできる回転機構及び内燃機関の始動回転力伝達機構を提供することにある。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、潤滑部位に供給される潤滑油の不足を回避することのできる回転機構及び内燃機関の始動回転力伝達機構を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、所定の回転軸を中心として一定の方向に回転する回転部材に形成された潤滑油路を通じて潤滑部位に潤滑油を供給する回転機構において、前記潤滑油路は、前記回転軸の軸線方向において潤滑油が噴射供給される前記回転部材の側面に位置し前記回転軸の中心から径方向に離間した部位に開口する供給口と、前記供給口と連通するとともに同供給口から離間した下流側の部位ほど前記回転方向とは逆方向に位置する態様にて前記回転部材の内部に延設された導入路とを含むことを要旨とする。
請求項1に記載の発明は、所定の回転軸を中心として一定の方向に回転する回転部材に形成された潤滑油路を通じて潤滑部位に潤滑油を供給する回転機構において、前記潤滑油路は、前記回転軸の軸線方向において潤滑油が噴射供給される前記回転部材の側面に位置し前記回転軸の中心から径方向に離間した部位に開口する供給口と、前記供給口と連通するとともに同供給口から離間した下流側の部位ほど前記回転方向とは逆方向に位置する態様にて前記回転部材の内部に延設された導入路とを含むことを要旨とする。
上記構成によれば、供給口を介して導入路に流入した潤滑油は、回転部材の回転に伴って導入路の壁面により付勢され、これによって供給口から導入路の下流側に向けて強制的に導入されるようになる。その結果、供給口に流入した潤滑油を導入路を通じて速やかに回転部材の内部に導入することができるようになり、回転機構の潤滑部位に供給される潤滑油の不足を回避することができるようになる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の回転機構において、前記導入路は前記供給口から離間した下流側の部位ほど前記回転軸の径方向外側に位置する態様にて前記回転部材の内部に延設されることを要旨とする。
上記構成によれば、供給口を介して導入路に流入した潤滑油は、回転部材の回転に伴って遠心力により径方向外側に付勢され、これによって供給口から導入路の下流側に向けて強制的に導入されるようになる。その結果、供給口に流入した潤滑油を導入路を通じて速やかに回転部材の内部に導入することができるようになり、回転機構の潤滑部位に供給される潤滑油の不足を回避することができるようになる。すなわち、上述の導入路の壁面による付勢と遠心力による付勢の両者の効果により、回転機構の潤滑部位に供給される潤滑油の不足を回避する効果が一層大きくなる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の回転機構において、前記潤滑油路は前記導入路の最下流部に接続されて前記回転軸の径方向外方に延伸する径方向通路を更に含むことを要旨とする。
上記構成によれば、潤滑油路内において導入路の下流側に向けて強制的に導入され最下流部に接続された径方向通路に到達した潤滑油は、径方向外方に延伸する径方向通路内においては遠心力の作用により、径方向外側に付勢され、下流側に向けて強制的に導入されるようになる。その結果、供給口に流入した潤滑油を、導入路および径方向通路を通じて速やかに回転部材の内部に導入することができ、回転機構の潤滑部位に供給される潤滑油の不足を回避することができるようになる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の回転機構において、前記潤滑部位は前記回転軸をその全周にわたって囲繞する態様にて位置するものであり、前記供給口は前記回転軸の周方向において等角度間隔毎に前記回転部材の側面に複数形成され、前記導入路は前記各供給口に対応して前記回転部材の内部に複数延設されることを要旨とする。
上記構成によれば、潤滑油路を通じて潤滑油を潤滑部位に供給するに際し、その供給能力について回転部材の周方向における差異を小さくすることができるため、潤滑油路を一つだけ設ける構成と比較して潤滑部位の各部分に対して均等に潤滑油を供給することができるようになる。
請求項5に記載の発明は、機関出力軸とともに回転するドリブンプレートと、同ドリブンプレートの外周に設けられて始動用モータの回転力が伝達されるドライブプレートと、同ドライブプレートを前記ドリブンプレートに対して相対回転可能に支持する軸受と、同ドライブプレートから前記ドリブンプレートへの回転力の伝達を許容するワンウェイクラッチと、前記軸受及び前記ワンウェイクラッチから潤滑油が外部に漏出することを抑制するシール部材と、前記ドリブンプレートに形成されて前記軸受及び前記ワンウェイクラッチと併せて前記シール部材の摺動部分に潤滑油を供給する潤滑油路とを備えた内燃機関の始動回転力伝達機構において、前記潤滑油路は、前記機関出力軸の軸線方向において潤滑油が噴射供給される前記ドリブンプレートの側面に位置し前記機関出力軸の中心から径方向に離間した部位に開口する供給口と、前記供給口と連通するとともに同供給口から離間した下流側の部位ほど前記回転方向とは逆方向に位置する態様にて前記ドリブンプレートの内部に延設された導入路とを含むことを要旨とする。
上記構成によれば、供給口を介して導入路に流入した潤滑油は、ドリブンプレートの回転に伴って導入路の壁面により付勢され、これによって供給口から導入路の下流側に向けて強制的に導入されるようになる。その結果、供給口に流入した潤滑油を導入路を通じて速やかにドリブンプレートの内部に導入することができるようになり、始動回転力伝達機構の軸受やワンウェイクラッチ、或いはシール部材の摺動部分といった潤滑部位に供給される潤滑油の不足を回避することができるようになる。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の内燃機関の始動回転力伝達機構において、前記シール部材は、前記軸受及び前記ワンウェイクラッチよりも外部側に配置されていることを要旨とする。
上記構成によれば、シール部材が外部側に配置されているため、軸受及びワンウェイクラッチに供給された潤滑油の外部への漏出を抑制することが容易となる。また、同構成であっても、シール部材の摺動部分に供給される潤滑油の不足は、上記導入路によって回避することができる。
請求項7に記載の発明は、請求項5又は請求項6に記載の内燃機関の始動回転力伝達機構において、前記導入路は前記供給口から離間した下流側の部位ほど前記機関出力軸の径方向外側に位置する態様にて前記ドリブンプレートの内部に延設されることを要旨とする。
上記構成によれば、供給口を介して導入路に流入した潤滑油は、ドリブンプレートの回転に伴って遠心力により径方向外側に付勢され、これによって供給口から導入路の下流側に向けて強制的に導入されるようになる。その結果、供給口に流入した潤滑油を導入路を通じて速やかにドリブンプレートの内部に導入することができ、始動回転力伝達機構の軸受やワンウェイクラッチ、あるいはシール部材の摺動部分といった潤滑部位に供給される潤滑油の不足を回避することができるようになる。すなわち、上述の導入路の壁面による付勢と遠心力による付勢の両者の効果により、始動回転力伝達機構の軸受やワンウェイクラッチ、あるいはシール部材の摺動部分に供給される潤滑油の不足を回避する効果が一層大きくなる。
請求項8に記載の発明は、請求項5〜7のいずれか一項に記載の内燃機関の始動回転力伝達機構において、前記潤滑油路は前記導入路の最下流部に接続されて前記機関出力軸の径方向外方に延伸する径方向通路を更に含むことを要旨とする。
上記構成によれば、潤滑油路内において導入路の下流側に向けて強制的に導入され最下流部に接続された径方向通路に到達した潤滑油が、径方向外方に延伸する径方向通路内において遠心力の作用により径方向外側に付勢され、径方向通路の下流側に向けて強制的に導入されるようになる。その結果、供給口に流入した潤滑油を導入路を通じて速やかにドリブンプレートの内部に導入することができ、始動回転力伝達機構の軸受やワンウェイクラッチ、あるいはシール部材の摺動部分といった潤滑部位に供給される潤滑油の不足を回避することができるようになる。
請求項9に記載の発明は、請求項5〜8のいずれか一項に記載の始動回転力伝達機構において、前記軸受及び前記ワンウェイクラッチ及び前記シール部材の摺動部分は前記機関出力軸をその全周にわたって囲繞する態様にて位置するものであり、前記供給口は前記機関出力軸の周方向において等角度間隔毎に前記ドリブンプレートの側面に複数形成され、前記導入路は前記各供給口に対応して前記ドリブンプレートの内部に複数延設されることを要旨とする。
上記構成によれば、潤滑油路を通じて潤滑油を軸受及びワンウェイクラッチ及びシール部材の摺動部分に供給するに際し、その供給能力について回転部材の周方向における差異を小さくすることができる。そのため、潤滑油路を一つだけ設ける構成と比較して、軸受やワンウェイクラッチ、あるいはシール部材の摺動部といった潤滑部位に対して均等に潤滑油を供給することができるようになる。
(第1の実施形態)
以下、本発明に係る回転機構および内燃機関の始動回転力伝達機構を車載内燃機関の始動回転力伝達機構として具体化した第1の実施形態について、図1〜図4を参照しつつ説明する。
以下、本発明に係る回転機構および内燃機関の始動回転力伝達機構を車載内燃機関の始動回転力伝達機構として具体化した第1の実施形態について、図1〜図4を参照しつつ説明する。
図1に、内燃機関の出力軸2の軸線方向に沿った始動回転力伝達機構の断面図を示す。なお以下では、図1の下方に矢印で示すように、出力軸2の軸線に沿った方向であって内燃機関本体の内部側の方向を「内部側」といい、同軸線に沿った方向であって内燃機関本体の外部側の方向を「外部側」という。
同図1に示すように、内燃機関の出力軸2には、シリンダブロック30よりも外部側の位置に形成された大外径部2aや、同大外径部2aよりも外部側の位置に形成されて同大外径部2aよりも外径の小さい小外径部2bが形成されている。
大外径部2a及び小外径部2bの外周には、回転部材である略円筒状のドリブンプレート4が設けられている。ドリブンプレート4には、出力軸2の大外径部2aに対向する内周面を有する大内径部4aや、出力軸2の小外径部2bに当接する内周面を有する小内径部4bが形成されている。
ドリブンプレート4の小内径部4bにおける外部側の端面には、フライホイール18が当接されている。そして、出力軸2及びドリブンプレート4及びフライホイール18は、出力軸2の大外径部2aにおける外部側の端面とドリブンプレート4の小内径部4bにおける内部側の端面とが当接した状態でボルト31にて共締めされている。従って、ドリブンプレート4は、出力軸2及びフライホイール18とともに一体回転する。
ドリブンプレート4の外周側には、略円筒状をなすドライブプレート6が設けられている。ドライブプレート6は、ドライブプレート本体6a及びドライブプレート本体6aから径方向外側に突出する円環状の突出部6bを備えている。ドライブプレート6の外周には、略円盤状をなすリングギヤ8が設けられている。ドライブプレート6の突出部6bとリングギヤ8とはボルト32にて締結されている。また、リングギヤ8の外周にはギヤ部8aが設けられており、このギヤ部8aには図示略の始動用モータからの回転駆動力が伝達される。このリングギヤ8は始動用モータによって一方向に回転される。
ドライブプレート6の内周面とドリブンプレート4の外周面との間には、内部側から外部側に向かって順にワンウェイクラッチ12、ボールベアリング14、及び内側シール部材16が設けられている。これらワンウェイクラッチ12、ボールベアリング14、及び内側シール部材は出力軸2をその全周にわたって囲繞する態様にて設けられている。
シリンダブロック30における外部側の端面には、ドライブプレート6の突出部6bに向けて突出する略円環状の突設部30aが形成されている。この突設部30aの内周面とドライブプレート本体6aの外周面との間には、略円環状の外側シール部材33が設けられている。
図2に、ワンウェイクラッチ12、ボールベアリング14、及び内側シール部材16が配設された部位近傍の拡大図を示す。
この図2に示すように、ワンウェイクラッチ12はスプラグ12aを有するケージ12bを備えており、スプラグ12aは、ドライブプレート6の内周面とドリブンプレート4の外周面とによって挟持されている。このワンウェイクラッチ12によって、リングギヤ8と一体にされたドライブプレート6からドリブンプレート4への回転力の伝達が許容される一方で、逆方向への回転力の伝達、つまり出力軸2からリングギヤ8への回転力の伝達は阻止される。
この図2に示すように、ワンウェイクラッチ12はスプラグ12aを有するケージ12bを備えており、スプラグ12aは、ドライブプレート6の内周面とドリブンプレート4の外周面とによって挟持されている。このワンウェイクラッチ12によって、リングギヤ8と一体にされたドライブプレート6からドリブンプレート4への回転力の伝達が許容される一方で、逆方向への回転力の伝達、つまり出力軸2からリングギヤ8への回転力の伝達は阻止される。
ボールベアリング14は、略円環状を成してドリブンプレート4の外周面に固定されるインナーレース14aと、略円環状を成してドライブプレート6の内周面に固定されるアウターレース14bと、インナーレース14aおよびアウターレース14bによって転動可能に挟持されるボール14cとを備えている。このボールベアリング14によってドライブプレート6がドリブンプレート4に対して相対回転可能に支持される。
内側シール部材16は、ワンウェイクラッチ12及びボールベアリング14に供給される潤滑油が機関外部に漏出することを抑制するために設けられている。内側シール部材16の外周面はドライブプレート6に固定されており、同内側シール部材16の内周側に形成されているシールリップ16aがドリブンプレート4の外周面に摺動可能に接触している。これにより、内側シール部材16は、ドライブプレート6の内周面とドリブンプレート4の外周面との間を、出力軸2の軸線方向においてワンウェイクラッチ12及びボールベアリング14に対し内燃機関本体から外側寄りの位置においてシールして、ドライブプレート6の内周面とドリブンプレート4の外周面との間からのオイル漏れを阻止する。尚、ボールベアリング14が本発明における軸受けに相当するとともに、内側シール部材16が本発明におけるシール部材に相当する。
ところで、こうした始動回転力伝達機構では、ワンウェイクラッチ12、ボールベアリング14、及び内側シール部材16の摺動部に潤滑油を供給する必要がある。また、本実施形態ではドライブプレート6の内周面、ドリブンプレート4の外周面、及び内側シール部材16によって区画される空間は袋小路形状をなしていることから、同空間の外部から内側シール部材16に一度供給されたオイルは内側シール部材16において滞留しやすい。そのため、新たなオイルを内側シール部材16に対して十分に供給できないと、滞留したオイルが次第に劣化してスラッジとなり、内側シール部材16によるシール性が低下するおそれもある。
そこで本実施形態においては、ボールベアリング14及びワンウェイクラッチ12と併せて内側シール部材16の摺動部分に潤滑油を十分に供給するための潤滑油路20がドリブンプレート4の内部に形成されている。
先の図2に示すように、潤滑油路20は、ドリブンプレート4の側面に位置し出力軸の中心から径方向に離間した部位に開口する供給口21と、供給口21と連通するとともに同供給口から離間した下流側の部位ほどドリブンプレート4の回転方向とは逆方向に位置する態様にてドリブンプレート4の内部に延設された導入路22等とを備えている。以下、潤滑油路20の構造を詳細に説明する。なお、本実施形態では、潤滑油の移動経路(供給経路)において任意の箇所を基準にてその基準位置から潤滑油が移動していく側を下流側と表現する。例えば、供給口21を基準とすれば、導入路22は潤滑油の供給経路において下流側に向かって延設されている。
シリンダブロック30には内燃機関の潤滑油をドリブンプレート4の側面に直接噴射供給するオイルジェット機構OJが設けられている。そしてオイルジェット機構OJから噴射された潤滑油が当たる位置に上記供給口21は設けられている。そのため、潤滑油は供給口21から潤滑油路20内に導入される。
図3及び図4に示すように、導入路22は、供給口21から離間した下流側の部位ほどドリブンプレート4の回転方向とは逆方向に位置するように延設されている。換言すれば、この導入路22は、供給口21から見てドリブンプレート4の回転方向の逆方向に延設されており、かつ供給口21から外部側に向けて延設されている。このため、図4に示すように、導入路22に導入された潤滑油には、ドリブンプレート4の回転に伴ってその回転方向と逆向きの付勢力Fが作用し、この付勢力Fによって潤滑油は導入路22に付勢される。そして付勢力Fの分力である分力F1によって、潤滑油は導入路22の壁面に対して垂直方向に押し付けられる。さらに、付勢力Fの分力であって導入路22の形成方向に沿う分力F2によって潤滑油は導入路22の下流側に付勢される。従って、潤滑油は分力F2によって供給口21から導入路22の下流側に向けて強制的に流れるようになる。その結果、供給口21に流入した潤滑油は導入路22を通じて速やかにドリブンプレート4の内部に導入される。
更に、先の図2や図3に示すように、潤滑油路20は、導入路22の最下流部に接続されて出力軸2の径方向外方に延伸する径方向通路23を備えている。そのため、導入路22の下流側に向けて強制的に導入され最下流部に接続された径方向通路23に到達した潤滑油は、径方向外方に延伸する遠心力の作用により径方向外側に付勢され、径方向通路23の下流側に向けて強制的に導入されるようになる。その結果、供給口21に流入した潤滑油を導入路22を通じて速やかにドリブンプレート4の内部に導入することができる。
この径方向通路23に導入された潤滑油は、ボールベアリング14のインナーレース14aの内周面に設けられた通路であって出力軸2の軸線方向に延びる軸線方向通路24に導入される。この軸線方向通路24の潤滑油排出口は、内側シール部材16とボールベアリング14との間の空間に開口されている。従って軸線方向通路24から流出した潤滑油は、図2に矢印で示すように、内側シール部材16の摺接部、ボールベアリング14、更にはインナーレース14a及びアウターレース14bの間を介してワンウェイクラッチ12に供給される。
ちなみに、図1および図2においては、便宜上、供給口21および径方向通路23を同一断面上に記載している。しかし実際には、図3および図4に記載しているように、供給口21から逆回転方向にずれた位置に径方向通路23は設けられている。
また、本実施形態においては、上述した供給口21が出力軸2の周方向において等角度間隔毎に4つ、すなわち90°毎に形成されており、導入路22は各供給口21に対応してドリブンプレート4の内部に4つ延設されている。そして、各導入路22に対応して径方向通路23及び軸線方向通路24もそれぞれ設けられている。そのため、潤滑油路20を通じて潤滑油をボールベアリング14、ワンウェイクラッチ12、及び内側シール部材16の摺動部分に供給するに際し、その供給能力についてドリブンプレート4の周方向における差異が小さくなる。従って、潤滑油路20を1つだけ設ける場合と比較して、ボールベアリング14やワンウェイクラッチ12、あるいは内側シール部材16の摺動部といった潤滑部位に対して均等に潤滑油を供給することができる。
以上説明したように、本実施形態にかかる始動回転力伝達機構によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、潤滑油路20は、出力軸2の軸線方向において潤滑油が噴射供給されるドリブンプレート4の側面に位置し出力軸2の中心から径方向に離間した部位に開口する供給口21を備えている。また、供給口21と連通するとともに供給口21から離間した下流側の部位ほど回転方向とは逆方向に位置する態様にてドリブンプレート4の内部に延設された導入路22を備えている。
(1)上記実施形態では、潤滑油路20は、出力軸2の軸線方向において潤滑油が噴射供給されるドリブンプレート4の側面に位置し出力軸2の中心から径方向に離間した部位に開口する供給口21を備えている。また、供給口21と連通するとともに供給口21から離間した下流側の部位ほど回転方向とは逆方向に位置する態様にてドリブンプレート4の内部に延設された導入路22を備えている。
そのため、供給口21を介して導入路22に流入した潤滑油は、ドリブンプレート4の回転に伴って導入路22の壁面により付勢され、これによって供給口21から導入路22の下流側に向けて強制的に導入されるようになる。その結果、供給口21に流入した潤滑油を導入路22を通じて速やかにドリブンプレート4の内部に導入することができ、始動回転力伝達機構のワンウェイクラッチ12やボールベアリング14、あるいは内側シール部材16の摺動部分といった潤滑部位に供給される潤滑油の不足を回避することができるようになる。
(2)内側シール部材16は、ボールベアリング14及びワンウェイクラッチ12より外部側に配置されているため、ボールベアリング14及びワンウェイクラッチ12に供給された潤滑油が外部に漏出することを抑制ことができる。またこのような構成であっても、内側シール部材16の摺動部分に供給される潤滑油の不足は、導入路22によって回避することができる。
(3)上記実施形態では、潤滑油路20は導入路22の最下流部に接続されて回転軸の径方向外方に延伸する径方向通路23を更に含むため、径方向通路23に到達した潤滑油は、径方向外方に延伸する径方向通路内においては遠心力の作用により径方向外側に付勢され、下流に向けて強制的に導入されるようになる。その結果、供給口21に流入した潤滑油を導入路22および径方向通路23を通じて速やかにドリブンプレート4の内部に導入することができ、上記潤滑部位に供給される潤滑油の不足を回避することができる。
(4)上記実施形態では、供給口21が出力軸2の周方向において90°毎にドリブンプレート4の内部側の側面に4つ形成されており、導入路22も各供給口21に対応してドリブンプレート4の内部に4つ延設されている。従って、出力軸2をその全周にわたって囲繞するように設けられているワンウェイクラッチ12やボールベアリング14、あるいは内側シール部材16の摺動部分といった潤滑部位への潤滑油供給について、ドリブンプレート4の周方向における差異を小さくすることができる。また、潤滑油路20を1つだけ設ける場合に比して、潤滑油の供給量を増加させることができる。更には、複数の潤滑油路20がドリブンプレート4の周方向において等角度間隔毎に形成されているため、ドリブンプレート4の内部に潤滑油路20を形成することにより生じるおそれのある同ドリブンプレート4の回転バランスの偏りも抑えることができる。従って、ドリブンプレート4と一体回転する出力軸2において回転変動が生ずることを回避することもできる。
(第2の実施形態)
次に、本発明を具体化した第2の実施形態を図5を参照しつつ説明する。なお、本実施形態と第1実施形態とは、径方向通路23の構造のみが異なっている。従って、以下では第1の実施形態における径方向通路23との相異点を中心にして本実施形態を説明する。
次に、本発明を具体化した第2の実施形態を図5を参照しつつ説明する。なお、本実施形態と第1実施形態とは、径方向通路23の構造のみが異なっている。従って、以下では第1の実施形態における径方向通路23との相異点を中心にして本実施形態を説明する。
図5(A)に示すように、潤滑油路20は、ドリブンプレート4の側面に位置し出力軸の中心から径方向において外方に離間した部位に開口する供給口21と、供給口21と連通するとともに同供給口から離間した下流側の部位ほどドリブンプレート4の回転方向とは逆方向に位置する態様にてドリブンプレート4の内部に延設された導入路22とを備えている。更に、導入路22の最下流部に接続されて回転軸の径方向外方に延伸する径方向通路23Aも備えている。加えて、図5(B)に示すように、この径方向通路23Aも供給口21から離間した下流側の部位ほどドリブンプレート4の回転方向とは逆方向に位置する態様にてドリブンプレート4の内部に延設されている。
より具体的には、第1の実施形態における径方向通路23は導入路22の最下流部に接続されて径方向に沿う方向の外方に向かって延伸されていたが、本実施形態における径方向通路23Aは、供給口21から離間した下流側の部位ほど径方向において外方に、かつドリブンプレート4の回転方向に対して逆方向に位置する態様にて延伸されている。そのため、径方向通路23A内の潤滑油には、遠心力だけではなく、ドリブンプレート4の回転に伴う径方向通路23Aの壁面への付勢力Fも作用し、これにより上述した分力F2と同等な力も作用する。従って、第1の実施形態における導入路22と同様な作用及び遠心力の作用により、径方向通路23Aの潤滑油は下流に向けてさらに強制的に導入されるようになる。
また、径方向通路23Aは軸線方向の外部側に向かっても延伸されており、同径方向通路23Aの潤滑油排出口は内側シール部材16とボールベアリング14との間の空間に開口されている。そため、先の図2に示した軸線方向通路24を設けることなく、内側シール部材16の摺動部やボールベアリング14、あるいはワンウェイクラッチ12といった潤滑部位に潤滑油を供給することができる。
ちなみに、図5においても、便宜上、供給口21および径方向通路23Aを同一断面上に記載している。しかし、実際には供給口21から逆回転方向に向かって径方向通路23Aは形成されている。
以上説明したように、本実施形態によれば、第1の実施形態に記載の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(5)径方向通路23Aも供給口21から離間した下流側の部位ほどドリブンプレート4の回転方向とは逆方向に位置する態様にてドリブンプレート4の内部に延設されている。そのため径方向通路23A内においては径方向外方に働く遠心力に加えて、径方向通路23Aの壁面に付勢される力も潤滑油には作用する。従って、径方向通路23Aにおいても下流に向けて強制的に潤滑油が導入されるようになる。その結果、供給口21に流入した潤滑油を速やかにドリブンプレート4の内部に導入することができ、始動回転力伝達機構のボールベアリング14やワンウェイクラッチ12、あるいは内側シール部材16の摺動部分といった潤滑部位に供給される潤滑油の不足を回避することができるようになる。すなわち、上述の径方向通路23Aの壁面による付勢と遠心力による付勢の両者の効果により、始動回転力伝達機構の上記潤滑部位に供給される潤滑油の不足を回避する効果が一層大きくなる。
(5)径方向通路23Aも供給口21から離間した下流側の部位ほどドリブンプレート4の回転方向とは逆方向に位置する態様にてドリブンプレート4の内部に延設されている。そのため径方向通路23A内においては径方向外方に働く遠心力に加えて、径方向通路23Aの壁面に付勢される力も潤滑油には作用する。従って、径方向通路23Aにおいても下流に向けて強制的に潤滑油が導入されるようになる。その結果、供給口21に流入した潤滑油を速やかにドリブンプレート4の内部に導入することができ、始動回転力伝達機構のボールベアリング14やワンウェイクラッチ12、あるいは内側シール部材16の摺動部分といった潤滑部位に供給される潤滑油の不足を回避することができるようになる。すなわち、上述の径方向通路23Aの壁面による付勢と遠心力による付勢の両者の効果により、始動回転力伝達機構の上記潤滑部位に供給される潤滑油の不足を回避する効果が一層大きくなる。
(6)また、径方向通路23は軸線方向の外部側に向かっても延伸されており、同径方向通路23Aの潤滑油排出口は内側シール部材16とボールベアリング14との間の空間に開口されている。そのため、ボールベアリング14のインナーレース14aに軸線方向通路24を設ける必要がなくなる。
(第3の実施形態)
次に、本発明を具体化した第3の実施形態について図6を参照しつつ説明する。なお、本実施形態と第1の実施形態とは、潤滑油路20の構造のみが異なっている。従って、以下では第1の実施形態との相異点を中心にして本実施形態を説明する。
次に、本発明を具体化した第3の実施形態について図6を参照しつつ説明する。なお、本実施形態と第1の実施形態とは、潤滑油路20の構造のみが異なっている。従って、以下では第1の実施形態との相異点を中心にして本実施形態を説明する。
図6に示すように、潤滑油路20は、ドリブンプレート4の側面に位置し出力軸2の中心から径方向において外方に離間した部位に開口する供給口21と、供給口21と連通するとともに同供給口から離間した下流側の部位ほど回転方向とは逆方向に位置する態様にてドリブンプレート4の内部に延設された導入路22Aとを備えている。さらに導入路22Aは、第1の実施形態における導入路22と異なり、供給口21から離間した下流側の部位ほど出力軸2の径方向外側に位置する態様にてドリブンプレート4の内部に延設されている。
このように導入路22Aは、供給口21から離間した下流側の部位ほど径方向において外方に向かって延伸されている。そのため、導入路22A内の潤滑油には、上述した分力F2のみだけではなく、遠心力も作用する。従って、導入路22Aの潤滑油は下流に向けてさらに強制的に導入されるようになる。
また、導入路22Aの潤滑油排出口は内側シール部材16とボールベアリング14との間の空間に開口されている。そのため、先の図2に示した径方向通路23及び軸線方向通路24を設けることなく、内側シール部材16の摺動部やボールベアリング14、あるいはワンウェイクラッチ12といった潤滑部位に潤滑油を供給することができる。
ちなみに、図6においても、便宜上、供給口21および導入路22A全体を同一断面上に記載している。しかし、実際には供給口21から逆回転方向に向かって導入路22Aは形成されている。
以上説明したように、本実施形態によれば、第1の実施形態に記載の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(5)導入路22Aは、供給口21から離間した下流側の部位ほど出力軸2の径方向外側に位置する態様にてドリブンプレート4の内部に延設されている。そのため、供給口21を介して導入路22Aに流入した潤滑油は、ドリブンプレート4の回転に伴って遠心力により径方向外側に付勢され、これによって供給口21から導入路22の下流側に向けて強制的に導入されるようになる。その結果、供給口21に流入した潤滑油を導入路22Aを通じて速やかにドリブンプレート4の内部に導入することができ、始動回転力伝達機構のボールベアリング14やワンウェイクラッチ12、あるいは内側シール部材16の摺動部分といった潤滑部位に供給される潤滑油の不足を回避することができるようになる。すなわち、上述の導入路22Aの壁面による付勢と遠心力による付勢の両者の効果により、始動回転力伝達機構の上記潤滑部位に供給される潤滑油の不足を回避する効果が一層大きくなる。
(5)導入路22Aは、供給口21から離間した下流側の部位ほど出力軸2の径方向外側に位置する態様にてドリブンプレート4の内部に延設されている。そのため、供給口21を介して導入路22Aに流入した潤滑油は、ドリブンプレート4の回転に伴って遠心力により径方向外側に付勢され、これによって供給口21から導入路22の下流側に向けて強制的に導入されるようになる。その結果、供給口21に流入した潤滑油を導入路22Aを通じて速やかにドリブンプレート4の内部に導入することができ、始動回転力伝達機構のボールベアリング14やワンウェイクラッチ12、あるいは内側シール部材16の摺動部分といった潤滑部位に供給される潤滑油の不足を回避することができるようになる。すなわち、上述の導入路22Aの壁面による付勢と遠心力による付勢の両者の効果により、始動回転力伝達機構の上記潤滑部位に供給される潤滑油の不足を回避する効果が一層大きくなる。
(6)また、導入路22Aの潤滑油排出口は、内側シール部材16とボールベアリング14との間の空間に開口されている。そのため、ボールベアリング14のインナーレース14aに軸線方向通路24を設けたり、ドリブンプレート4に上記径方向通路23を設けたりする必要もない。
(第4の実施形態)
次に、本発明を具体化した第4の実施形態について図7を参照しつつ説明する。本実施形態と第1の実施形態とは、基本的にドリブンプレート4およびドライブプレート6の形状と位置関係とが異なっている。従って、以下では第1の実施形態との相異点を中心にして本実施形態を説明する。なお、以下では第1の実施形態と同様な機能を有する部材には、同一の部材名称を用いている。
次に、本発明を具体化した第4の実施形態について図7を参照しつつ説明する。本実施形態と第1の実施形態とは、基本的にドリブンプレート4およびドライブプレート6の形状と位置関係とが異なっている。従って、以下では第1の実施形態との相異点を中心にして本実施形態を説明する。なお、以下では第1の実施形態と同様な機能を有する部材には、同一の部材名称を用いている。
図7に示すように、本実施形態では、出力軸2と一体回転するドリブンプレート40とリングギヤ8と一体回転するドライブプレート60とが軸線方向に並列して設置されている。そして、ドリブンプレート40とドライブプレート60との間には、出力軸2の径方向外方に向かって順に、ワンウェイクラッチ320、ボールベアリング140、シール部材160が配設されている。ちなみにワンウェイクラッチ320、ボールベアリング140およびワンウェイクラッチ320はいずれもスラスト型のものが用いられている。
潤滑油路200は、ドリブンプレート40の側面に位置し出力軸2の中心から径方向において外方に離間した部位に開口する供給口210と、供給口210と連通するとともに同供給口210から離間した下流側の部位ほど回転方向とは逆方向に位置する態様にてドリブンプレート40の内部に延設された導入路220とを備えている。
更に、導入路220の最下流部に接続されてドリブンプレート40の回転軸の径方向外方に延伸する径方向通路230も備えている。
加えて、この径方向通路230も供給口210から離間した下流側の部位ほど回転方向とは逆方向に位置する態様にてドリブンプレート40の内部に延設されている。
加えて、この径方向通路230も供給口210から離間した下流側の部位ほど回転方向とは逆方向に位置する態様にてドリブンプレート40の内部に延設されている。
そして、ボールベアリング140において軸線方向内部側に位置するレース140fの外周面には、ドリブンプレート40の径方向に延びるとともに径方向通路230に繋がる油路250が形成されている。この油路250の潤滑油排出口は、ボールベアリング140とシール部材160との間の空間に開口されている。
潤滑油路200は、上述した第2の実施形態と同様の構成を有しており同様な効果が得られる。即ち、供給口210を介して導入路220に導入された潤滑油は導入路220および径方向通路230において下流側に付勢され、ボールベアリング140およびワンウェイクラッチ320およびシール部材160の摺接部分に供給される。
ちなみに、図7においても、便宜上、供給口210及び導入路220及び径方向通路23を同一断面上に記載している。しかし、実際には供給口210から逆回転方向に向かって導入路220や径方向通路230は形成されている。
また、本実施形態においても、供給口210が出力軸2の周方向において等角度間隔毎に4つ、すなわち90°毎に形成されており、導入路220は各供給口210に対応してドリブンプレート4の内部に4つ延設されている。そして、各導入路220に対応して径方向通路230及び油路250もそれぞれ設けられている。
以上説明した第4の実施形態でも、第1の実施形態と同様な作用効果を得ることができる。即ち、本発明は、ドリブンプレート4とドライブプレート6との位置関係に関わらず、適用することが可能である。
なお、上記各実施形態は以下のように変更して実施することもできる。
・各実施形態の潤滑油路20、200は、ドリブンプレートの周方向において等間隔に4つ設けられているが、他の構成であっても良い。ボールベアリングやワンウェイクラッチ、あるいはシール部材の摺動部分といった潤滑部位に対して、潤滑油路20、200からの潤滑油を極力均一に供給するという観点からは、その配設数を増やしても良い。また、工作の容易性やコストダウンの観点等からは、配設数を3つ以下に減らしても良い。この場合であっても、ドリブンプレートの周方向において等間隔に設ければ、ドリブンプレートの内部に潤滑油路20、200を形成することに起因して、出力軸2の回転変動が生ずることを回避できる。更に、出力軸2の回転変動が問題とならないのであれば、潤滑油路20、200を1つだけ設けた場合であっても、他の効果は得られるとともに、コストダウン等を図ることができる。
・各実施形態の潤滑油路20、200は、ドリブンプレートの周方向において等間隔に4つ設けられているが、他の構成であっても良い。ボールベアリングやワンウェイクラッチ、あるいはシール部材の摺動部分といった潤滑部位に対して、潤滑油路20、200からの潤滑油を極力均一に供給するという観点からは、その配設数を増やしても良い。また、工作の容易性やコストダウンの観点等からは、配設数を3つ以下に減らしても良い。この場合であっても、ドリブンプレートの周方向において等間隔に設ければ、ドリブンプレートの内部に潤滑油路20、200を形成することに起因して、出力軸2の回転変動が生ずることを回避できる。更に、出力軸2の回転変動が問題とならないのであれば、潤滑油路20、200を1つだけ設けた場合であっても、他の効果は得られるとともに、コストダウン等を図ることができる。
・軸線方向通路24や油路250をボールベアリングに設けるようにしたが、ドリブンプレート4、40の外周面に設けるようにしてもよい。
・第1〜第3の実施形態においては、ドライブプレート6がドリブンプレート4の径方向において外方にある場合を例示し、第4の実施形態においては、ドライブプレート60がドリブンプレート40の外部側にある場合を例示したが、他の構成であっても良い。本発明によれば、導入路22、220によって潤滑油を出力軸2の軸線方向において外部側、即ち供給口21、210の反対側に強制的に導入することができる。そのため、ボールベアリングや、ワンウェイクラッチ、あるいはシール部材の摺動部分などといった潤滑部位の潤滑油を供給する部分が供給口21、210の反対側に位置する回転機構であれば、本発明は同様に適用することができる。
・第1〜第3の実施形態においては、ドライブプレート6がドリブンプレート4の径方向において外方にある場合を例示し、第4の実施形態においては、ドライブプレート60がドリブンプレート40の外部側にある場合を例示したが、他の構成であっても良い。本発明によれば、導入路22、220によって潤滑油を出力軸2の軸線方向において外部側、即ち供給口21、210の反対側に強制的に導入することができる。そのため、ボールベアリングや、ワンウェイクラッチ、あるいはシール部材の摺動部分などといった潤滑部位の潤滑油を供給する部分が供給口21、210の反対側に位置する回転機構であれば、本発明は同様に適用することができる。
・上記各実施形態では、内燃機関の始動回転力伝達機構に本発明を適用した場合について説明したが、他の機構、すなわち所定の回転軸を中心として一定の方向に回転する回転部材に形成された潤滑油路を通じて潤滑部位に潤滑油を供給する回転機構であれば、同様な技術思想をもって適用可能である。
2…出力軸、2a…大外径部、2b…小外径部、4、40…ドリブンプレート、4a…大内径部、4b…小内径部、6、60…ドライブプレート、6a…ドライブプレート本体、6b…突出部、8…リングギヤ、8a…ギヤ部、12、320…ワンウェイクラッチ、12a…スプラグ、12b…ケージ、14、140…ボールベアリング、14a…インナーレース、14b…アウターレース、14c…ボール、16…内側シール部材、16a…シールリップ、18…フライホイール、20、200…潤滑油路、21、210…供給口、22、22A、220…導入路、23、23A、230…径方向通路、24…軸線方向通路、30…シリンダブロック、30a…突設部、31、32…ボルト、33…外側シール部材、102…出力軸、105…回転部材、106…ドライブプレート、112…ワンウェイクラッチ、114…軸受、116、133…シール部材、120…潤滑油路、122…ジャーナル部、123…第1通路、124…第2通路、125…第3通路、140f…レース、160…シール部材、250…油路、OJ…オイルジェット機構。
Claims (9)
- 所定の回転軸を中心として一定の方向に回転する回転部材に形成された潤滑油路を通じて潤滑部位に潤滑油を供給する回転機構において、
前記潤滑油路は、
前記回転軸の軸線方向において潤滑油が噴射供給される前記回転部材の側面に位置し前記回転軸の中心から径方向に離間した部位に開口する供給口と、
前記供給口と連通するとともに同供給口から離間した下流側の部位ほど前記回転方向とは逆方向に位置する態様にて前記回転部材の内部に延設された導入路とを含む
ことを特徴とする回転機構。 - 前記導入路は前記供給口から離間した下流側の部位ほど前記回転軸の径方向外側に位置する態様にて前記回転部材の内部に延設される
請求項1に記載の回転機構。 - 前記潤滑油路は前記導入路の最下流部に接続されて前記回転軸の径方向外方に延伸する径方向通路を更に含む
請求項1又は請求項2に記載の回転機構。 - 前記潤滑部位は前記回転軸をその全周にわたって囲繞する態様にて位置するものであり、
前記供給口は前記回転軸の周方向において等角度間隔毎に前記回転部材の側面に複数形成され、
前記導入路は前記各供給口に対応して前記回転部材の内部に複数延設される
請求項1〜3のいずれか1項に記載の回転機構。 - 機関出力軸とともに回転するドリブンプレートと、同ドリブンプレートの外周に設けられて始動用モータの回転力が伝達されるドライブプレートと、同ドライブプレートを前記ドリブンプレートに対して相対回転可能に支持する軸受と、同ドライブプレートから前記ドリブンプレートへの回転力の伝達を許容するワンウェイクラッチと、前記軸受及び前記ワンウェイクラッチから潤滑油が外部に漏出することを抑制するシール部材と、前記ドリブンプレートに形成されて前記軸受及び前記ワンウェイクラッチと併せて前記シール部材の摺動部分に潤滑油を供給する潤滑油路とを備えた内燃機関の始動回転力伝達機構において、
前記潤滑油路は、
前記機関出力軸の軸線方向において潤滑油が噴射供給される前記ドリブンプレートの側面に位置し前記機関出力軸の中心から径方向に離間した部位に開口する供給口と、
前記供給口と連通するとともに同供給口から離間した下流側の部位ほど前記回転方向とは逆方向に位置する態様にて前記ドリブンプレートの内部に延設された導入路とを含む
ことを特徴とする内燃機関の始動回転力伝達機構。 - 前記シール部材は、前記軸受及び前記ワンウェイクラッチより外部側に配置されている請求項5に記載の内燃機関の始動回転力伝達機構。
- 前記導入路は前記供給口から離間した下流側の部位ほど前記機関出力軸の径方向外側に位置する態様にて前記ドリブンプレートの内部に延設される
請求項5又は請求項6に記載の内燃機関の始動回転力伝達機構。 - 前記潤滑油路は前記導入路の最下流部に接続されて前記機関出力軸の径方向外方に延伸する径方向通路を更に含む
請求項5〜7のいずれか1項に記載の内燃機関の始動回転力伝達機構。 - 前記軸受及び前記ワンウェイクラッチ及び前記シール部材の摺動部分は前記機関出力軸をその全周にわたって囲繞する態様にて位置するものであり、
前記供給口は前記機関出力軸の周方向において等角度間隔毎に前記ドリブンプレートの側面に複数形成され、
前記導入路は前記各供給口に対応して前記ドリブンプレートの内部に複数延設される
請求項5〜8のいずれか1項に記載の始動回転力伝達機構。
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JP2021076235A (ja) * | 2019-11-13 | 2021-05-20 | 株式会社豊田自動織機 | ワンウェイクラッチの給油構造 |
-
2010
- 2010-02-16 JP JP2010031729A patent/JP2011169174A/ja active Pending
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JP2021076235A (ja) * | 2019-11-13 | 2021-05-20 | 株式会社豊田自動織機 | ワンウェイクラッチの給油構造 |
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