JP2011167687A - 中空糸膜モジュールの製造方法 - Google Patents

中空糸膜モジュールの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】中空糸膜を弛ませることでエアースクラビング時の洗浄性を確保しつつ、接着固定部の強度低下をおこさず、また中空糸膜の間に接着剤が充填されないといった問題を生じさせない中空糸膜モジュールおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】多本数の中空糸膜1からなる糸束とその糸束の全域を覆う外筒14とを有する中空糸膜モジュールの製造方法であって、多本数の中空糸膜からなる糸束を外筒に装填してその両端部を接着固定するに際し、長手方向に2つ以上に分割可能な外筒を用い、該外筒の分割部にスペーサ15を介在させた状態で両端部を接着固定し、その後、スペーサを取り除いて外筒を接合することを特徴とする中空糸膜モジュールの製造方法。
【選択図】図2

Description

本発明は流体分離用中空糸膜モジュールおよびその製造方法に関するものである。さらに詳しくは、工業用水や水道水の浄水処理に使用する中空糸膜モジュールに関し、特に水道浄水処理に使用する中空糸膜モジュールおよびその製造方法に関するものである。
近年、精密ろ過や限外ろ過の中空糸膜を、河川水や地下水から工業用水や水道水を製造する浄水処理プロセスに適用しようとする研究が進められ、比較的濁質分の多い原水に対して長期間使用するこのような分野に精密ろ過や限外ろ過の技術が適用されはじめている。
多孔質の中空糸膜を使用した中空糸膜モジュールは単位体積当りのろ過面積を非常に大きくとれること、膜処理すべき原液と膜透過液とを隔てるシール機構が単純であること、水質が優れていること、運転管理が容易であることなどの種々の利点を有している。
特に中空糸膜の外側から内側へろ過する外圧式中空糸膜モジュールは、膜の原水との接触面積を大きく取れること、比較的濁質分の多い原水を処理してもモジュール外へ排出しやすいことで有利な形状であることが知られている。
外圧式中空糸膜モジュールの運転方法として、原水をろ過した後に膜外表面に付着する濁質分を、エアースクラビングという膜外表面側にエアーを吹き込み中空糸膜を揺らすことで剥離させる方法がある。吹き込むエアーを多くすれば中空糸膜の揺れを大きくすることができるため濁質分の剥離効果が向上するが、反面、エアーを送り込む動力費が上がることや中空糸膜の損傷を引き起こす場合がある。
このような問題を解決する手段として、予めウェーブを付与した中空糸膜でモジュールを製作し、中空糸膜を弛ませてエアースクラビング時の糸揺れを確保し、また隣り合った中空糸膜との間隙を設けることでエアーの通路を確保する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
中空糸膜モジュールを製作する上で、上述したエアースクラビング時の糸揺れ性を確保しつつ、できるだけ多くの中空糸膜を外筒内に装填するのがモジュール1本あたりの処理効率を上げられるため好ましい。しかしながら、予めウェーブのある中空糸膜を接着固定する場合、同本数のウェーブのない中空糸膜を接着固定するのに比べて接着固定部内での中空糸膜の充填率が高くなり、結果として接着固定部の強度低下を招くという問題や接着固定部を形成する際に接着剤が各中空糸膜の間に流れにくいという問題があった。
国際公開第00/63122号パンフレット
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決しようとするものであり、中空糸膜を弛ませることでエアースクラビング時の洗浄性を確保しつつ、接着固定部の強度低下をおこさず、また中空糸膜の間に接着剤が充填されないといった問題を生じさせない中空糸膜モジュールおよびその製造方法を提供することにある。
本発明は上記の目的を達成するために、以下に述べる構成からなる。
(1)多本数の中空糸膜からなる糸束とその糸束の全域を覆う外筒とを有する中空糸膜モジュールの製造方法であって、多本数の中空糸膜からなる糸束を外筒に装填してその両端部を接着固定するに際し、長手方向に2つ以上に分割可能な外筒を用い、該外筒の分割部にスペーサを介在させた状態で両端部を接着固定し、その後、スペーサを取り除いて外筒を接合することを特徴とする中空糸膜モジュールの製造方法。
(2)スペーサを取り除いた後に、外筒を捻った状態で接合することを特徴とする上記(1)に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
(3)多本数の中空糸膜からなる糸束とその糸束の全域を覆う外筒とを有する中空糸膜モジュールの製造方法であって、多本数の中空糸膜からなる糸束を外筒に装填してその両端部を接着固定するに際し、一方の端部は、外筒内面に水溶性物質を塗布してから接着固定部を形成し、その後、水溶性物質を水洗除去して外筒から接着固定部を分離し、分離した接着固定部を外筒の軸方向外側から支持することを特徴とする中空糸膜モジュールの製造方法。
(4)多本数の中空糸膜からなる糸束とその糸束の全域を覆う外筒とを有する中空糸膜モジュールの製造方法であって、多本数の中空糸膜からなる糸束を外筒に装填してその両端部を接着固定するに際し、一方の端部は、外筒内面に該外筒よりも融点の低い物質を塗布してから接着固定部を形成し、その後、外筒の融点よりも低い温度で該外筒よりも融点の低い物質を溶融除去して外筒から接着固定部を分離し、分離した接着固定部を外筒の軸方向外側から支持することを特徴とする中空糸膜モジュールの製造方法。
本発明によれば、ろ過室内の中空糸膜に弛みを持たせることでエアースクラビング時の洗浄性を確保し、ろ過室内の中空糸膜の充填率を上げた場合でも接着固定部で固定される中空糸膜の充填率を低く抑えるため接着固定部の強度が低下せず、接着固定部における割れの発生を抑えることができる安全な中空糸膜モジュールを提供することができる。また各中空糸膜の間により確実に接着剤を充填することができ、原水が接着剤の未充填部を通り、ろ過水に混入するといった問題が発生することを防ぐことができる。
本発明の中空糸膜モジュールの一例を示す断面図である。 本発明の中空糸膜モジュールの製造方法の一例を示す模式図である。 図2の製造方法で製作された中空糸膜モジュールの一例を示す断面図である。 本発明の中空糸膜モジュールの製造方法の一例を示す模式図である。 図4の製造方法で製作された中空糸膜モジュールの一例を示す断面図である。 本発明の中空糸膜モジュールの製造方法の一例を示す模式図である。 図6の製造方法で製作された中空糸膜モジュールの一例を示す断面図である。 本発明の中空糸膜モジュールの一例を示す模式図である。
前記したように、本発明の中空糸膜モジュールは、多本数の中空糸膜からなる糸束と、その糸束の全域を覆う外筒とを有する中空糸膜モジュールであって、糸束は、両端部においてそれぞれの中空糸膜を接着固定した接着固定部を有するとともに、緩め率αが0.1%以上5%以下であり、かつ、両端部の接着固定部間に形成されたろ過室での中空糸膜の充填率をρ、一方の端部における中空糸膜の充填率をρ1としたとき、
ρ1/ρ<1、
ρ≦0.6、
となるように構成したことを特徴とするものである。
上記の目的を達成するための中空糸膜モジュールは、たとえば以下のようにすることで、糸束の緩め率αを0.1%以上5%以下とする。
(1)多本数の中空糸膜からなる糸束を外筒に装填してその両端部を接着固定するに際し、糸束を樹脂受けキャップで外筒内に押し込んで該樹脂受けキャップを所定の位置に固定し、糸束両端部を外筒に接着固定する。
(2)多本数の中空糸膜からなる糸束を外筒に装填してその両端部を接着固定するに際し、長手方向に2つ以上に分割可能な外筒を用い、該外筒の分割部にスペーサを介在させた状態で両端部を接着固定し、その後、スペーサを取り除いて外筒を接合する。
(3)多本数の中空糸膜からなる糸束を外筒に装填してその両端部を接着固定するに際し、一方の端部は、外筒内面に水溶性物質を塗布してから接着固定部を形成し、その後、水溶性物質を水洗除去して外筒から接着固定部を分離し、分離した接着固定部を外筒の軸方向外側から支持する。
(4)多本数の中空糸膜からなる糸束を外筒に装填してその両端部を接着固定するに際し、一方の端部は、外筒内面に、該外筒よりも融点の低い物質を塗布してから接着固定部を形成し、その後、外筒の融点よりも低い温度で該外筒よりも融点の低い物質を溶融除去して外筒から接着固定部を分離し、分離した接着固定部を外筒の軸方向外側から支持する。
以下に本発明の中空糸膜モジュールを図面に示す実施態様に基づいてさらに詳細に説明する。
図1は本発明の中空糸膜モジュールの一例を示しているものである。基本的に、多本数の中空糸膜1は、両端が接着固定部2、3で固定されるとともに、一方の接着固定部2側で中空部が開口され、他方の接着固定部3側で中空部が閉塞されている。また、中空糸膜1は、両端が開口した外筒4でその全域が覆われており、少なくとも中空糸端面が開口している側の接着固定部2が外筒4の内面に液密に接着固定されている。そして、接着固定部2、3間に形成されているろ過室5内の中空糸膜1の緩め率αが0.1%以上5%以下であり、ろ過室5での中空糸膜の充填率をρ、一方の接着固定部における充填率をρ1としたとき、ρ1/ρ<1、ρ≦0.6、となる構造であれば特に限定されるものではない。
そして、例えば、図1に示すように、外筒4の一方の端部にろ過水口6、他方の端部にエアー口7、その他モジュールの使用方法に応じてノズル8、ノズル9などを有した構造であってもよく、中空糸端面が閉塞している側の接着固定部3にエアー導入用および/または原水導入用の貫通穴を設けた構造であってもよい。
中空糸膜1の緩め率αは、ろ過室5に納められた中空糸膜1、すなわち、接着固定部2とろ過室5の界面から接着固定部3とろ過室5との界面までの間の中空糸膜を切り出し、一方の端部に50gの重りを取り付けて中空糸膜1を直線状にしたときの長さをL1、ろ過室5の長さをLとし、緩め率α=[(L1−L)/L]×100、で定義される。
ろ過室5での中空糸膜1の充填率ρは、ろ過室5の体積をV1(外筒4の最小内径部分での断面積×L)、ろ過室5内の中空糸膜1の総体積をV2としたとき、ρ=V2/V1、で定義され、接着固定部2における充填率ρ1は、接着固定部2の体積をV3(外筒4の最小内径部分での断面積×接着固定部2の厚みt)、接着固定部内の中空糸膜の総体積をV4としたとき、ρ1=V4/V3、で定義される。V2は緩め率の測定方法と同様にろ過室5から20本の中空糸膜1を切り出してL1を測定し、またこれらの中空糸膜の平均直径から中空糸膜1本あたりの断面積を求めることで、L1×中空糸膜1本当りの断面積×ろ過室5内に装填されている中空糸膜本数、で求めることができる。またV4は次のように定義される。V2の算出で使用した中空糸膜1本あたりの断面積に加え、接着固定部2,3の端面もしくは、接着固定部2,3をモジュールの軸方向と直角に切断した面で、任意に選定した20本の中空糸膜1の長径と短径を測定して、その平均長径a、平均短径b、を算出し、a/b×t×中空糸膜1本当りの断面積×接着固定部2,3内に装填されている中空糸膜本数、で求めることができる。
両接着固定部間に配置される中空糸膜の長さは特に限定されるものではなく、いずれの長さでも本発明の効果が見られるが、緩め率αは、Lの長さなどモジュールの形状によって最適な数字が変わり、特にLが500〜2500mmの場合に緩め率αは0.1〜5%とするのが好ましく、さらに好ましくは0.3〜3%とするのがよい。中空糸膜の長さが100〜1000mmの場合は、緩め率αを0.5〜5%、中空糸膜の長さが1000mm以上の場合には緩め率αを0.1〜4%程度とすることが好ましい。このような範囲とすることで糸揺れ性を十分確保できる。
さらに、本発明においては充填率ρを0.60以下とするが、モジュール1本あたりのろ過処理能力を上げる意味から充填率ρを0.3〜0.55とするのが好ましい。充填率ρが0.60を越える場合、糸が揺れるスペースが不足するため、緩め率αを0.1〜5%にしても糸揺れ性が低下してしまう。
本発明の中空糸膜モジュールでは、接着固定部2、3の強度を確保するために、ρ1/ρ<1であることが重要であり、これは接着固定部2、3を構成する材料の強度を考慮して適時設定することができるが、0.6<ρ1/ρ<0.98であればさらに好ましく使用することができる。ρおよびρ1とも、その算出に用いられる中空糸膜1の本数は当然同じであるが、接着固定部2、3内の中空糸膜1の緩め率をろ過室5内の中空糸膜1の緩め率より小さくすることでρ1/ρ<1を達成することができる。例えば、接着固定部2内の中空糸膜に弛みを持たせない方法が例示できる。なお、接着固定部2、3内の中空糸膜1の緩め率α1は、接着固定部2,3の端面、もしくは、接着固定部2,3をモジュールの軸方向と直角に切断した面で、任意に選定した20本の中空糸膜1の長径と短径を測定して、その平均長径a、平均短径b、を算出し、α1(%)=(a/b−1)×100、で求める。
外筒4の材質については、ステンレスなどの金属、FRP、ABS、AES、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスルホン、などのプラスチック類から便宜選択することができる。断面形状は、円形、楕円形、多角形、その他の形状を選択することができる。
中空糸膜1の材質については、多孔質の中空糸膜であれば特に限定されるものではないが、ポリエチレン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パ−フルオロアルキルビニルエーテル共重合体、およびクロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリスルホンおよびポリエーテルスルホン、その他の材質、の限外ろ過膜または精密ろ過膜を適宜使用することができる。さらに、これらの高分子の焼結体からなるろ過材料も好ましく使用することができる。中空糸膜の内外径は特に限定されるものではなく、種々の内外径、断面構造、のものを使用することができるが、エアースクラビングによる物理的負荷に耐えうるという観点から、0.2〜3mm程度の外径の中空糸膜が特に好ましく使用でき、中空糸膜1本あたりの引張破断時の力が200〜1500gで最大伸び率が30〜200%であるのがさらに好ましい。特に、引張破断時の力が1500g以上となると中空糸膜1の糸揺れ性が不十分になる。
接着固定部2、3を構成する材料としては、中空糸膜1同士を固定するとともに中空糸膜1を外筒に対して液密に接着固定でき、かつある程度の強度を有するものであれば限定されるものではない。エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、等の系統の接着剤や、種々の熱可塑性樹脂などを例示することができる。樹脂の粘度に制限はなく、いずれの粘度でも本発明の効果が得られるが、接着剤の未充填を防ぐという観点から、その製作条件で800〜20000mPa・s(注入開始時の粘度、B型粘度計で測定)の高粘度の樹脂を使用する際に特に大きな効果が得られる。20000以上の接着剤は接着固定部を形成する接着剤としては粘度が高すぎて使用しにくくなる。また、この樹脂の引張強度、硬度も特に限定されるものではないが、JIS K 7215D硬度30〜99度の比較的硬くてもろいものを使用するとき割れ防止の効果が大きい。
次に本発明の中空糸膜モジュールの好ましい製造方法について説明する。
図2は、まず外筒4の中に多本数の中空糸膜1を装填し(図2−(A))、樹脂受けキャップ10を外筒4の両端に取り付ける際に、外筒4の長さよりも長い中空糸膜1を用意し、その中空糸膜1を、樹脂受けキャップ10の底面で緩め率αが0.1〜5%となるように外筒4内に押し込んで、所定の位置で樹脂受けキャップ10を固定する(図2−(B))。その後、接着固定部2、3を形成する(図2−(C))。接着固定部は、静置法、遠心法などの既知の方法で形成すればよく、形成後、樹脂受けキャップ10を取り外し、接着固定部2の一部を切断して中空糸膜1の中空部を外部に開口させ、外筒4の両側にろ過水口6を有するキャップ12およびエアー口7を有するキャップ13を取り付けることで図3の中空糸膜モジュールとなる。
このとき、接着剤に埋設される部分の中空糸膜束の周りを、弛みの発生を抑えるために紐で縛ったりリング22の中に挿入するとさらに好ましい。また、樹脂受けキャップ10の内底面にネットなどの空隙率の高い多孔板11を挟み込むことで、接着剤の流路が形成され、外筒4の径方向への接着剤の流れがスムーズとなるためさらに好ましい。特に、接着固定部3で中空糸膜1の中空部を外部に開口させない場合には、すべての中空部に接着剤を埋め込む必要があるため、多孔板11を挟み込ませる効果は大きい。
多孔板11は、モジュールの軸方向と直角方向への接着剤の流れをより向上させるために立体格子状の多孔体を使用することが好ましい。立体格子状とは、孔が3次元的に開口している状況であり、スポンジ等を例示することができる。また、その孔に中空糸膜1が入り込み、接着剤の流れを阻害することが無いように中空糸膜1の径よりも小さい孔を設けたものを使用するのが好ましい。ここで、使用する接着剤の粘度が高く、多孔板11内での接着剤の流れが十分でない場合には、多孔板11を2層構造にして、孔径を大きくした部分を樹脂受けキャップ10側に、孔径が中空糸膜1よりも小さくした部分を中空糸膜側に設置する構造も好ましく用いられる。また、このように孔径の異なる多孔板を2枚重ねても良い。
また、図2の図2−(B)の状態で、樹脂受けキャップ10をモジュール断面の円周方向に回転させながら、その樹脂受けキャップ10の底面で中空糸膜1を外筒4内に押し込んで、所定の位置で樹脂受けキャップ10を固定することで、図8のように糸束にねじりを与えた状態で接着固定部2,3を形成した構造および製造方法も好ましく用いられる(その他は同様である(図2−(A)および図2−(C)参照))。糸束がねじられていることで、エアー口7から導入されるエアーが外筒4内の周方向に渦巻き状に分散し、エアーがすべての領域に渡って広がるため、さらに効率的なエアースクラビングを実施することができる。
また、外筒4を立てた状態で樹脂受けキャップ10で中空糸膜1を外筒4内に押し込めば、中空糸膜の自重も手伝うため容易に押し込むことができる。
次に別の製造方法について説明する。
図4は、長手方向に2つ以上に分割可能な外筒14を用い、分割部にスペーサ15を介在させた状態でその外筒14内に中空糸膜1を装填し、端部に樹脂受けキャップ10を取り付ける(図4−(A))。その後、分割部にスペーサ15を介在させた状態で両接着固定部を形成し(図4−(B))、接着固定部形成後にスペーサ15を取り除いて、糸束の緩め率αが0.1%以上5.0%以下となるように再び外筒14を接合する(図4−(C))。そして、接着固定部の一部を切断して中空糸膜の中空部を開口し、キャップ12、13を設置することで図5のモジュールとすることができる。
分割部の接続構造17は特に限定されず、フランジ、Vバンド、クランプ、等で最終的に接続できる構造であればよい。スペーサ15の形状も特に限定されず、最終的に所望の緩め率となるような厚みのもので分割部に固定できるような形状のものであればよい。リング状のものが例示できる。
また、図8のような糸束にねじりが与えられた構造のモジュールを製造する際に(パッキン16、接続構造17、は図示せず)、図4の図4−(C)の状態で、外筒14を接合する際に、外筒をモジュール断面の円周方向に捻った状態で接合した構造および方法も好ましく使用することができる(その他は同様である(図4−(A)および図4−(B)参照))。
さらに、中空糸膜の一方の端部の中空部を開口し、他方の端部の中空部を開口しない場合に適用可能な別の製造方法について説明する。
図6は、中空糸膜の中空部を開口させない側の接着固定部3側周辺の模式図であるが、外筒4内に中空糸膜1を装填し、端部に樹脂受けキャップ10を取り付けるにあたって、中空部を開口させない側の接着固定部3は、まず、この図に示すように、外筒4の内面に水溶性物質18を塗布する(図6−(A))。その後、接着固定部3を形成し(図6−(B))、接着固定部形成後、樹脂受けキャップ10を取り外す(図6−(C))。そして、水溶性物質18を水洗除去して外筒4から接着固定部を分離する(図6−(D))。その後、接着固定部3の下部に下部ストッパー20を設け、糸束の緩め率αが0.1%以上5.0%以下となるように支持し、キャップ12、13を設置することで図7の中空糸膜モジュールを製作することができる。水溶性物質としては、特に限定されないが、ポリビニルアルコール等を例示することができる。
また、水溶性物質のかわりに、外筒よりも融点の低い物質を用い、その物質を外筒の融点よりも低い温度で溶融除去することで同様に接着固定部を分離してもよい。この溶融物質も特に限定されないが、パラフィン、蝋、メタロセンポリエチレン等を例示することができる。
さらに、下部ストッパー20に加え、上部ストッパー21を設置すれば、接着固定部3のモジュール上方への移動も規制できるため、糸束の緩め率を常に一定範囲内に制御することができ好ましい。
下部ストッパー20および上部ストッパー21は、接着固定部3のモジュール上下方向への移動を防止できるものであれば限定されるものではないが、一例としてリング状の物が挙げられ、外筒内面への接着、スナップリングとして固定などの固定方法が考えられる。材質についても特に限定されるものではなく、金属、プラスチックなどの材質から便宜選択することができる。
(実施例1)
外径1400μm、内径900μm、引張破断力1000g、伸び率100%、長さ2070mmのポリフッ化ビニリデン多孔質中空糸膜2400本からなる中空糸膜束を、外形114mm、内径100mm、全長2000mmの硬質塩化ビニルパイプの外筒4内に挿入し、両接着固定部に埋没する部分の中空糸膜束の外周にリング22を設置した(図2−1)。次に、接着固定部3を形成する側のポッティングキャップ(樹脂受けキャップ)10内底面に多孔板11として厚さ1mmで空隙率80%のネットを設置して外筒4の端部に取り付け、その後、中空糸膜1を50mm外筒4内に押し込むように、接着固定部2を形成する側のポッティングキャップ10(深さ20mm)を外筒4の端部に設置した(図2−2)。この両端部に遠心成型で粘度6000mPa・sのエポキシ接着剤を流し込み、中空糸膜1の両端部を外筒4に固定した後、接着固定部2の一部を切断して中空糸膜1の端面を開口させた。最後に、外筒4の両端にキャップ12、13を取り付けて、図3に示す中空糸膜モジュールを製作した。この時、両接着固定部(各30mm厚み)での糸束の緩め率は0.02%、両接着固定部間のろ過室における糸束の緩め率αは2.6%、ρ1/ρ=0.97(ρ=0.48)、の仕様であった。
製作後、中空糸膜を水で十分に濡らした後に、ろ過室5内を50kPaのエアーで加圧し、接着固定部2の切断面からのエアーの漏れを確認した結果、漏れは無く、接着剤が各中空糸膜間に充填されていたことを確認できた。
このモジュールを使用し、水酸化第2鉄をRO水60Lに1000ppmとなるように混入させた原水を10L/分でろ過し(ノズル9から原水を入れ、中空糸膜1を介してろ過水口6から排出し)、水酸化第2鉄の全量を膜面に付着させた。その後、エアースクラビング20L/分を30秒(エアー口7からエアーを導入し、ノズルA8から排出した)、排水(エアー口7から排出した)、RO水の給水(ノズル9から導入し、ノズル8からオーバーフローさせた)、を5回繰り返し、モジュール外へ排出された排水の全量をサンプリングした。その後、排水量および排水中の鉄の濃度を測定することで排水中の鉄の量を算出した。予め測定していた原水中の鉄の量と比較した結果、90%の水酸化第2鉄が中空糸膜の膜面から除去され排水されていたことを確認した(以下、洗浄後の水酸化第2鉄の除去率という)。
また、実験後に接着固定部2の中空糸膜を含む部分を、100L(中空糸膜断面方向)×10W(中空糸膜断面方向)×4t(中空糸膜長手方向)のサイズに切り出し、JIS K−6911の曲げ試験を行ったところ、7.6MPaであった。
(比較例1)
長さ2150mmのポリフッ化ビニリデン多孔質中空糸膜を使用し、中空糸膜1を100mm外筒4内に押し込むように、接着固定部2を形成する側のポッティングキャップ10(深さ20mm)を外筒4の端部に設置したこと以外は、実施例1と同様の中空糸膜モジュールを製作した。この時、両接着固定部(各30mm厚み)での糸束の緩め率は0.03%、両接着固定部間の糸束の緩め率αは、7.7%、ρ1/ρ=0.93(ρ=0.51)、の仕様であった。
その後、実施例1と同様の試験を行ったところ、各中空糸膜間には接着剤が充填されており、曲げ強さも7.6MPaであったが、洗浄後の水酸化第2鉄の除去率は82%という結果となり、実施例1と比較してエアースクラビングでの糸揺れ性が低下していた。
(比較例2)
リング22を使用せず両接着固定部内の中空糸膜1にも弛みをつけたこと以外は実施例1と同様の中空糸膜モジュールを製作した。この時、両接着固定部(各30mm厚み)での糸束の緩め率は2.6%、両接着固定部間の糸束の緩め率αは、2.6%、ρ1/ρ=1(ρ=0.48)、の仕様であった。
その後、実施例1と同様の試験を行った結果、各中空糸膜間には接着剤が充填されており、洗浄後の水酸化第2鉄の除去率も90%であったが、曲げ強さが7.2MPaという結果となり、実施例1と比較して接着固定部の強度が低下していた。
(比較例3)
中空糸膜の本数を3300本とし、リング22を使用せずに両接着固定部内の中空糸膜1にも弛みをつけたこと以外は実施例1と同様の中空糸膜モジュールを製作した。この時、両接着固定部(各30mm厚み)での糸束の緩め率は2.6%、両接着固定部間の糸束の緩め率αは、2.6%、ρ1/ρ=1(ρ=0.66)、の仕様であった。
その後、実施例1と同様の試験を行った結果、4ヶ所の中空糸膜間からエアーが噴出しており、4箇所で接着剤が充填されていない場所があったことを確認した。また、洗浄後の水酸化第2鉄の除去率も84%であり、曲げ強さも5.6MPaという結果であった。
本発明は、浄水処理などの水処理用の中空糸膜モジュールに限らず、人工腎臓用など医療や食品用の中空糸膜モジュールにも応用することができる。
1:中空糸膜
2:接着固定部
3:接着固定部
4:外筒
5:ろ過室
6:ろ過水ノズル
7:エアー口
8:ノズル
9:ノズル
10:ポッティングキャップ
11:多孔板
12:キャップ
13:キャップ
14:外筒
15:スペーサー
16:パッキン
17:接続構造
18:水溶性物質
19:溶融物質
20:下部ストッパー
21:上部ストッパー
22:リング

Claims (4)

  1. 多本数の中空糸膜からなる糸束とその糸束の全域を覆う外筒とを有する中空糸膜モジュールの製造方法であって、多本数の中空糸膜からなる糸束を外筒に装填してその両端部を接着固定するに際し、長手方向に2つ以上に分割可能な外筒を用い、該外筒の分割部にスペーサを介在させた状態で両端部を接着固定し、その後、スペーサを取り除いて外筒を接合することを特徴とする中空糸膜モジュールの製造方法。
  2. 該スペーサを取り除いた後に、該外筒を捻った状態で接合することを特徴とする請求項1に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
  3. 多本数の中空糸膜からなる糸束とその糸束の全域を覆う外筒とを有する中空糸膜モジュールの製造方法であって、多本数の中空糸膜からなる糸束を外筒に装填してその両端部を接着固定するに際し、一方の端部は、外筒内面に水溶性物質を塗布してから接着固定部を形成し、その後、水溶性物質を水洗除去して外筒から接着固定部を分離し、分離した接着固定部を外筒の軸方向外側から支持することを特徴とする中空糸膜モジュールの製造方法。
  4. 多本数の中空糸膜からなる糸束とその糸束の全域を覆う外筒とを有する中空糸膜モジュールの製造方法であって、多本数の中空糸膜からなる糸束を外筒に装填してその両端部を接着固定するに際し、一方の端部は、外筒内面に該外筒よりも融点の低い物質を塗布してから接着固定部を形成し、その後、外筒の融点よりも低い温度で該外筒よりも融点の低い物質を溶融除去して外筒から接着固定部を分離し、分離した接着固定部を外筒の軸方向外側から支持することを特徴とする中空糸膜モジュールの製造方法。
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