JP2011167076A - 麹菌によるn36結合ペプチドの生産方法 - Google Patents

麹菌によるn36結合ペプチドの生産方法 Download PDF

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Abstract

【課題】完全長のN36結合ペプチドを高産生するアスペルギルス属糸状菌の形質転換体、及び当該形質転換体を用いるN36結合ペプチドの製造方法を提供する。
【解決手段】特定のアミノ酸配列と70%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つエンドグルカナーゼ活性を有しているタンパク質をコードするDNA、及び哺乳動物に免疫不全をひき起こすレトロウイルスのN36タンパク質に結合するN36結合ペプチドをコードするDNAを融合したDNAを含む遺伝子発現カセットを導入したアスペルギルス属糸状菌の形質転換体、並びに上記形質転換体を培養して培養物中に前記タンパク質と融合したN36結合ペプチドを生成蓄積させる工程、及び該培養物から前記タンパク質と融合したN36結合ペプチドを採取する工程を有する前記タンパク質と融合したN36結合ペプチドの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、完全長のN36結合ペプチドを高生産するアスペルギルス属糸状菌の形質転換体、及び当該形質転換体を用いるN36結合ペプチドの製造方法に関する。更に、本発明は、当該製造方法により得られるN36結合ペプチドを有効成分とする哺乳動物に免疫不全をひき起こすレトロウイルス感染症の予防又は治療剤に関する。
エイズ(AIDS)とは後天性免疫不全症候群(Acquired Immuno Deficiency Syndrome)の略称であり、免疫不全をひき起こすレトロウイルス(例えばHIV、SIV)に感染することにより病原体に対する免疫力が正常に働かなくなって発症する様々な病気の総称を意味する。
HIVは、その標的細胞に対する感染時における、ウイルスと標的細胞との膜融合においてType-I型膜融合促進蛋白質(fusion protein)を利用すると推定されている。Type-I型fusion proteinを有するHIV-1などの蛋白質の機能解析研究より、膜融合時におけるHIV gp41の機能として次のようなことが推定されている。(1)gp41には、α-helix性の高い2つの領域が存在する(N末側からHR1, HR2と呼ばれることが多い)。(2)gp41のN末側が、まず標的細胞膜にアンカリングされ、次いで3つのN36(HR1)が相互作用し、helix bundleを形成する。(3)この3本鎖α-helical coiled-coilに対して、さらに3つのC34(HR2領域に対応)が外側から取り囲むように逆並行型に結合し、6-helix bundleが形成される。(4)その結果、HIVおよび標的細胞膜が近接し、膜融合が成立するという動的超分子機構である。この機構に基づき、HIV gp41のC34由来ペプチドが6-helix bundle形成を阻害し、抗ウイルス活性を示すのではないかと考えられている。gp41の配列解析より、N36、C34に相当する配列の検索、同定、さらにはこれらペプチド配列の抗HIV活性の評価の検討が、本発明者らのグループも含めいくつかの研究グループにより行われている(例えば、特許文献1〜3)。また、すでに市販されている抗HIV剤T-20(商品名Fuzeon)はこの過程を阻害するペプチドである(非特許文献1)。一方で、Fuzeonの長期投与により薬剤耐性株が出現することが近年の研究により明らかになり、感染者の発症予防効果を減弱させることが懸念されることから、耐性株に対する薬剤の開発が求められている。
本発明者らは、X-EE-XX-KKスキャン、すなわち、X-EE-XX-KK(X:HR1との相互作用に必要なアミノ酸; E: Glu; K: Lys)の7残基配列の繰り返しを利用した独自の分子変換戦略によりデザインされたペプチドがさらに高活性であることを発見した(特許文献4、5、非特許文献2、3)。Fuzeon耐性株では、Fuzeonが結合するN36領域にウイルスゲノムの1塩基変異等に基づくアミノ酸置換が生じ、6-helical bundle構造を形成する際にN36領域と接触していると考えられるC34領域にも同様のアミノ酸置換が生じている。本発明者は、C34領域のN36領域との接触部位に生じるアミノ酸置換位置を変換したN36ペプチドの誘導体を網羅的に合成および抗ウイルス活性の評価を実施し、野生株およびFuzeon耐性株をはじめとする薬剤耐性株に対し強力な抗HIV活性を示すペプチドを同定するに至っている(特許文献5、非特許文献4)。
これらの抗HIV活性ペプチドの供給は、従来、固相合成法と液相法を組み合わせた化学合成により行われてきた(非特許文献5)。しかしながら、発展途上国をはじめとする安価な抗HIV薬が必要とされる地域への安定供給を視野に入れた場合には、発酵技術を活用した安価な医薬品原料供給が必要とされる。
特許文献6及び7には、宿主として大腸菌、酵母及び糸状菌からなる群から選択される少なくとも1種を利用することによって、このN36結合ペプチドを安価かつ大量に製造する方法が記載されている。また、特許文献6及び7には、N36結合ペプチドは、単独で宿主で発現させた場合、各種高発現物質生産系を用いたとしても、目的のペプチドの収量が低くなるので、N36結合ペプチドを宿主で発現可能なポリペプチドと連結するか、あるいは、N36結合ペプチドを多量体(例えば3〜7量体)として発現させることが好ましいと記載されている。
ポリペプチドの生産性を考慮すると、上記の大腸菌、酵母及び糸状菌の中でも酵素の分泌能に優れているという点から麹菌(糸状菌)が特にN36結合ペプチドの製造に適していると考えられる。
特許文献6及び7には、N36結合ペプチドと融合させるのが好ましいポリペプチドとして、宿主が糸状菌の場合はペクチン分解酵素、タンパク質分解酵素、タンパク質の構造遺伝子などが挙げられている。実施例3では、麹菌アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)を用いてグルコアミラーゼとN36結合ペプチドを融合させて発現させることにより、N36結合ペプチドの生産を行っている。しかしながら、特許文献6及び7では、麹菌においてN36結合ペプチドと融合させて発現させるのに使用されているポリペプチドはグルコアミラーゼのみであり、その他のポリペプチドを使用した場合の効果等については検討されていない。
国際公開第2005/067960号 国際公開第01/51673号 国際公開第96/19495号 国際公開第03/029284号 国際公開第2008/050830号 国際公開第2008/013242号 特開2008-29239号公報
Nature Reviews Drug Discovery、第3巻、215-225頁(2004年) Angewante Chemie International Edition in English、第41巻、2937-2940頁(2002年) Journal of Medicinal Chemistry、第51巻、388-391頁(2008年) Journal of Biological Chemistry、第284巻、4914-4920頁(2009年) Nature Reviews Drug Discovery、第2巻、587-593頁(2003年)
特許文献6及び7に記載のN36結合ペプチドの製造方法では、N36結合ペプチドの生産性はまだ不十分であり、更なる生産効率の向上が求められていた。また、一般に、麹菌を宿主とした異種タンパク質生産においては、宿主由来の内在性プロテアーゼの消化を受け、完全長のペプチドの生産が達成しづらいという課題があり、特許文献6及び7の実施例3に記載の麹菌を用いた製造方法により得られるN36結合ペプチドも、欠けていたり、分解されていることがあり、完全なN36結合ペプチドが得られ難いという問題もあった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、完全長のN36結合ペプチドを高産生するアスペルギルス属糸状菌の形質転換体、及び当該形質転換体を用いるN36結合ペプチドの製造方法を提供することを目的とする。更に、本発明は、当該製造方法により得られるN36結合ペプチドを有効成分とする哺乳動物に免疫不全をひき起こすレトロウイルス感染症の予防又は治療剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、アスペルギルス属糸状菌を用いてCelAとN36結合ペプチドを融合させて発現させることによって、上記目的を達成することができるという知見を得た。本発明は、これら知見に基づき、更に検討を重ねて完成されたものであり、次の製造法を提供すものである。
項1.配列番号1で表されるアミノ酸配列と70%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つエンドグルカナーゼ活性を有しているタンパク質をコードするDNA、及び哺乳動物に免疫不全をひき起こすレトロウイルスのN36タンパク質に結合するN36結合ペプチドをコードするDNAを融合したDNAを含む遺伝子発現カセットを導入したアスペルギルス属糸状菌の形質転換体。
項2.前記遺伝子発現カセットが、配列番号1で表されるアミノ酸配列と70%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つエンドグルカナーゼ活性を有しているタンパク質をコードするDNA、哺乳動物に免疫不全をひき起こすレトロウイルスのN36タンパク質に結合するN36結合ペプチドをコードするDNA、及び精製用のアミノ酸配列をコードするDNAを融合したDNAを含有する、項1に記載のアスペルギルス属糸状菌の形質転換体。
項3.前記アスペルギルス属糸状菌がアスペルギルス・オリゼである、項1又は2に記載の形質転換体。
項4.前記精製用のアミノ酸配列がHisタグである、項2又は3に記載の形質転換体。
項5.項1〜4のいずれかに記載の形質転換体を培養して培養物中に前記タンパク質と融合したN36結合ペプチドを生成蓄積させる工程、及び
該培養物から前記タンパク質と融合したN36結合ペプチドを採取する工程
を有する前記タンパク質と融合したN36結合ペプチドの製造方法。
項6.前記形質転換体を液体培地で培養して、前記タンパク質と融合したN36結合ペプチドを形質転換体外に分泌させることにより生成蓄積させることを特徴とする、項5に記載の製造方法。
項7.前記タンパク質と融合したN36結合ペプチドを採取する工程において、Hisタグを利用した精製を行うことを特徴とする、項5又は6に記載の製造方法。
項8.1〜20×GPY培地で培養することを特徴とする、項5〜7のいずれかに記載の製造方法。
項9.項5〜8のいずれかに記載の製造方法において、更に前記タンパク質と融合したN36結合ペプチドから前記タンパク質を切断する工程を有する、N36結合ペプチドの製造方法。
項10.項5〜8のいずれかに記載の製造方法により得られた前記タンパク質と融合したN36結合ペプチドを有効成分とする哺乳動物に免疫不全をひき起こすレトロウイルス感染症の予防又は治療剤。
項11.哺乳動物に免疫不全をひき起こすレトロウイルスがヒト免疫不全ウイルス(HIV)であることを特徴とする、項10に記載の予防又は治療剤。
本発明のアスペルギルス属糸状菌の形質転換体を培養してN36結合ペプチドを製造することで、完全長のN36結合ペプチドを高生産させることができる。また、本発明により製造されるタンパク質が融合したN36結合ペプチドは、タンパク質が融合した状態であっても哺乳動物に免疫不全をひき起こすレトロウイルスの予防又は治療剤として有用である。
更に、精製用のアミノ酸配列が付加されたN36結合ペプチドは、当該アミノ酸配列を利用した精製が可能になる。
プラスミドphcelAH6の構築方法を示す図である。矢印はプライマーを示している(以下も同様である)。 プラスミドphcelA35H6の構築方法を示す図である。 プラスミドpDAosC-AnsCの構築方法を示す図である。 プラスミドpDAosC-hcelAH6AnsCの構築方法を示す図である。 プラスミドpDAosC-hcelA35H6AnsCの構築方法を示す図である。 プラスミドpDAosC-hcelBH6AnsCの構築方法を示す図である。 プラスミドpDAosC-hcelB35H6AnsCの構築方法を示す図である。 プラスミドpDAosC-hbgl7H6AnsCの構築方法を示す図である。 プラスミドpDAosC-hbgl735H6AnsCの構築方法を示す図である。 上:コントロール、CelA-His6、CelA-SC35EK-His6の各形質転換体についての5×GPY液体培養後(44時間)の培養液上清のSDS-PAGEの結果を示す図である。下:CelA-SC35EK-His6のフロースルー(20倍濃縮したもの)と溶出液のEndo-glycosidaseH処理後のSDS-PAGEの結果を示す図である。 コントロール、CelA-His6、CelA-SC35EK-His6の各形質転換体についての5×GPY液体培養後(44時間)の培養液上清及び菌体破砕液、小麦フスマ固体培養後(44時間)の酵素抽出液のSDS-PAGEの結果を示す図である。 CelA-His6、CelA-SC35EK-His6の各形質転換体についてのGPY、GPY+Cz、5×GPY及び5×GPY+Cz液体培養後(44時間)の培養液上清のSDS-PAGEの結果を示す図である。 CelA-SC35EK-His6の形質転換体についてGPY、GPY+Cz、5×GPY及び5×GPY+Cz液体培養で培養した菌体の形状を示す写真である。 麹菌で生産したリーダーペプチドを有するSC35EKのHR1に対する結合活性のELISAによる測定原理を示す図である。 麹菌で生産したリーダーペプチドを有するSC35EKのHR1に対する結合活性をELISAにより測定した結果を示す写真である。 GPY培地(GPY)、麹菌培養液(Total)及び麹菌培養液をNiカラムでアフィニティー精製したサンプル(Elu.;培養液を5倍濃縮)のポジティブコントロール及び各希釈度におけるELISAにより測定したOD595の値を示すグラフである。 上:CelA-SC36EK-His6、CelB-SC35EK-His6、BGL7-SC35EK-His6、CelA-His6、CelB-His6、BGL7-His6、コントロールの各形質転換体を5×GPY液体培養(44時間)した培養液上清のSDS-PAGEの結果を示す図である。下:各溶出液のEndo-glycosidaseH処理後のSDS-PAGEの結果を示す図である。 CelA-SC36EK-His6、CelB-SC35EK-His6、BGL7-SC35EK-His6、コントロールの各形質転換についての培養液あたりの融合タンパク質生産量を求めた結果を示すグラフである。 GPY培地(GPY)、麹菌培養液(Total)、麹菌培養液をNiカラムでアフィニティー精製したサンプル(Elu.;培養液を5倍濃縮)及び精製pGlu-SC35EK-Hslのポジティブコントロール及び各希釈度におけるELISAにより測定したOD595の値を示すグラフである。
以下、本発明のアスペルギルス属糸状菌の形質転換体及びN36結合ペプチドの製造方法について詳細に説明する。
アスペルギルス属糸状菌の形質転換体
本発明のアスペルギルス属糸状菌の形質転換体は、配列番号1で表されるアミノ酸配列と70%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つエンドグルカナーゼ活性を有しているタンパク質をコードするDNA、及び哺乳動物に免疫不全をひき起こすレトロウイルスのN36タンパク質に結合するN36結合ペプチドをコードするDNAを融合したDNAを含む遺伝子発現カセットが導入されたことを特徴とする。
配列番号1で表されるアミノ酸配列と70%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つエンドグルカナーゼ活性を有しているタンパク質(以下、タンパク質Aとも言う)としては、当該アミノ酸配列における同一性が80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上であるものが望ましく、例えば、アスペルギルス・オリゼ由来のCelA(AO090026000102)が挙げられる。CelAの塩基配列とアミノ酸配列はそれぞれ、配列表に配列番号2、配列番号1として示されている。エンドグルカナーゼ活性とは、セルロースのβ1→4グルコシド結合をendo型に加水分解する活性を意味する。エンドグルカナーゼ活性は後記の実施例に記載の方法により測定することができる。また、N36結合ペプチドを菌体外に分泌させるために、タンパク質Aはシグナル配列を有するアミノ酸配列からなることが好ましい。当該タンパク質Aは、宿主由来のタンパク質であるのが好ましいが、宿主で発現可能である限り、宿主以外の生物由来のもの又は宿主由来若しくは宿主以外の生物由来のものの改変体であってもよい。N36結合ペプチドを当該タンパク質Aと融合させてアスペルギルス属糸状菌で発現させることにより、完全長のN36結合ペプチドを高生産させることが可能になる。
本発明において、タンパク質AをコードするDNAは、公知の遺伝子配列をもとに適当なオリゴヌクレオチドプライマー対を合成し、該遺伝子の宿主細胞または組織から抽出した全RNAもしくはポリA(+)RNA或いは染色体DNAを鋳型としてRT−PCR又はPCRを行うことによりクローニングすることができる。このとき、その後のプラスミドへのクローニングを容易にするために、用いるオリゴプライマーの末端に適当な制限酵素認識配列を付加することもできる。
本発明において、哺乳動物に免疫不全をひき起こすレトロウイルスとしては、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、サル免疫不全ウイルス(SIV)、牛免疫不全様ウイルス(BIV)などが挙げられ、特に、HIVが挙げられる。
本明細書において、「N36結合ペプチド」は、以下のものを意味する。
(N36結合ペプチドの定義)
下記のモジュール構造1〜3の少なくとも1種を含む、哺乳動物に免疫不全をひき起こすレトロウイルスのN36に結合性を有するポリペプチドを意味する。モジュール構造とは、6個又は7個のアミノ酸からなるポリペプチドであり、以下の3種類が例示される。
(Y')m1−X1aX1b−A1−X1cX1dX1e−A2−(X'')n1 :モジュール構造1(MS1)
(Y')m2−X2a−A1A1−X2bX2c−A2A2−(X'')n2 :モジュール構造2(MS2)
(Y')m3−X3a−A1−X3bX3cX3d−A2−X' :モジュール構造3(MS3)
ポリペプチド中の各モジュールにおいて、A1は酸性アミノ酸を示し、好ましくはグルタミン酸、アスパラギン酸又はシステイン酸であり、より好ましくはグルタミン酸又はアスパラギン酸である。A2は塩基性アミノ酸を示し、好ましくはリジン、アルギニン、オルニチン又はヒスチジンであり、より好ましくはリジン、アルギニン又はオルニチンであり、更に好ましくはリジン又はオルニチンである。
A1及びA2は、各モジュールにおいてそれぞれi位、i+4位の関係になっている。このi位、i+4位のアミノ酸がそれぞれ酸性アミノ酸、塩基性アミノ酸という組み合わせ(又はその逆の組み合わせでも良い)にすることにより、両者間にsalt bridgeが形成され、本発明ポリペプチドのα−へリックスが形成されやすくなる。また、このsalt bridgeの双極子の方向が、ペプチド主鎖によって形成される双極子の方向と逆を向くのでヘリックスを形成した場合の分子の熱力学的安定性が増大する。
上記酸性アミノ酸及び塩基性アミノ酸の組み合わせの中でも、グルタミン酸(E)−リジン(K)の組み合わせがより好ましい。
上記酸性アミノ酸及び塩基性アミノ酸組み合わせは、各モジュール中に1又は2個存在するのが好ましい。
また、N36結合ペプチドは、モジュール内のみに限られず、モジュール間(モジュール構造を超えた範囲)においても、上記のi位、i+4位の組み合わせを有していてもよい。N36結合ペプチドは、モジュール間におけるこの組み合わせを有することにより、α−へリックスを更に安定化させることができる。
N36結合ペプチド中におけるアミノ酸X1a〜X3d(X1a、X1b、X1c、X1d、X1e、X2a、X2b、X2c、X3a、X3b、X3c及びX3d)は、同一又は異なった任意のアミノ酸を示す。
上記任意のアミノ酸としては、例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、セリン、スレオニン、システイン、システイン酸、メチオニン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニン、ヒスチジン、プロリン、オルニチン、サルコシン、β−アラニン、ノルロイシン(Nle)、ナフチルアラニン(Nal)等が例示できる。
なお、プロリンは、使用によりα−へリックス構造を破壊する可能性がある場合には使用しないほうが良いが、アミノ末端(以下、「N末端」という。)又はカルボキシ末端(以下、「C末端」という。)に位置してα−へリックス構造を破壊する可能性がない場合には使用しても良い。
例えば、X1a、X2a又はX3aのアミノ酸としては、トリプトファン、ロイシン、イソロイ
シン、グルタミン、セリン、スレオニン、アスパラギン、バリン、フェニルアラニン、チロシン、メチオニン、グリシン、アラニン、ナフチルアラニン等が好ましい。
X1b又は「c」の位置のアミノ酸、即ちX3bのアミノ酸としては、例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、セリン、スレオニン、システイン、システイン酸、メチオニン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニン、ヒスチジン、プロリン、オルニチン、サルコシン、β−アラニン、ノルロイシン、ナフチルアラニン等が例示できる。
なお、プロリンは、使用によりα−構造を破壊する可能性がある場合には使用しないほうが良いが、N末端又はC末端に位置してα−へリックス構造を破壊する可能性がない場合には使用しても良い。
X1c、X2b、X3c、X1d、X2c又はX3dのアミノ酸としては、例えば、トリプトファン、ロイシン、イソロイシン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、スレオニン、バリン、フェニルアラニン、チロシン、メチオニン、グリシン、アラニン等が好ましい。
X1eのアミノ酸としては、例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、セリン、スレオニン、システイン、システイン酸、メチオニン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニン、ヒスチジン、プロリン、オルニチン、サルコシン、β−アラニン、ノルロイシン、ナフチルアラニン等が例示できる。
なお、プロリンは、使用によりα−へリックス構造を破壊する可能性がある場合には使用しないほうが良いが、N末端又はC末端に位置してα−へリックス構造を破壊する可能性がない場合には使用しても良い。
X'は保護基を有していてもよい任意のアミノ酸、−OR1又は−NR2R3を示し、X''は−OR4又は−NR5R6を示す。
アミノ酸としては、例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、セリン、スレオニン、システイン、システイン酸、メチオニン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニン、ヒスチジン、プロリン、オルニチン、サルコシン、β−アラニン、ノルロイシン、ナフチルアラニン等が例示できる。
なお、プロリンは、使用によりα−へリックス構造を破壊する可能性がある場合には使用しないほうが良いが、N末端又はC末端に位置してα−へリックス構造を破壊する可能性がない場合には使用しても良い。
N36結合ペプチドが保護アミノ酸を有する場合、保護基としては以下のものが例示できる。エトキシカルボニル基、メトキシカルボニル基、9−フルオレニルメトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、4−メトキシベンジルオキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロエチルオキシカルボニル基、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等が例示できる。
R1〜R6(R1、R2、R3、R4、R5及びR6)は、同一又は異なってH、アルキル基、アリール基又はアラルキル基を示す。
アルキル基としては、例えば、C1〜C4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が挙げられ、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル等が挙げられる。アリール基としては、例えばフェニル基、置換基を有するフェニル基が例示できる。置換基としては、上で例示したアルキル基、ハロゲン原子、シアノ、カルボン酸、ニトロ、アミノ、アセチルアミノ、アルコキシ基、水酸基等が例示できる。置換基の数は特に限定されず、1〜5、好ましくは1〜3である。
Y'はH、R7CO−、トルエンスルホニル基又はメタンスルホニル基を示す。R7はアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基又は置換基を有していてもよいベンジル基を示す。アルキル基は上述したものが使用できる。置換基の例示又は数も上で例示した通りである。
n1は、モジュール構造1がC末端の場合は1であり、C末端の場合以外は0である。n2は、モジュール構造2がC末端の場合は1であり、C末端の場合以外は0である。
m1は、モジュール構造1がN末端の場合は1であり、N末端の場合以外は0である。m2は、モジュール構造2がN末端の場合は1であり、N末端の場合以外は0である。m3は、モジュール構造3がN末端の場合は1であり、N末端の場合以外は0である。
また、モジュール構造1〜3において、アミノ酸は−NH−CH(R')−CO−(R'はアミノ酸の側鎖を示す。)を意味するものとする。
本発明のポリペプチドは、上記モジュール構造1〜3の少なくとも1種、好ましくは、モジュール構造1〜3を少なくとも1種以上含むポリペプチドである。本発明のポリペプチドが、モジュール構造として同じモジュール構造のみからなっていても良い。
本発明のポリペプチドは、上記モジュール構造を例えば2〜15個、好ましくは3〜12個、更に好ましくは4〜10個含むことができ、特に5〜7が好ましい。各モジュール構造の結合順序は、N36結合ペプチドがα−へリックス構造をとり、N36と結合する限り限定されない。
例えば、N36結合ペプチドが抗HIV剤として使用される場合の好ましい態様のうちの1つとして、モジュール構造1をアミノ末端(以下、「N末端」という。)に有するポリペプチドが挙げられ、その中でも、N末端に位置するモジュール構造1が「Trp-Z-Glu-Trp-Asp-Arg-Lys」(「Z」は、ノルロイシン、メチオニン又はグルタミン酸を表す。)であることが特に好ましい。
また、もう1つの好ましい態様として、モジュール構造3がC末端に位置するポリペプチドも例示でき、その中でもX'が−NH2のものがより好ましい。
N36結合ペプチドにおいて、各モジュール間にモジュール構造を形成するアミノ酸以外のアミノ酸が存在しないことが特に好ましい。しかしながら、本発明のポリペプチドがα−へリックスを形成し、N36と結合することができる限り、各モジュール構造間に7個の任意のアミノ酸からなる7アミノ酸挿入配列が含まれていても良い。N末端又はC末端であれば、1〜6個の任意のアミノ酸を付加してもよい。
任意のアミノ酸としては、例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、セリン、スレオニン、システイン、システイン酸、メチオニン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニン、ヒスチジン、プロリン、オルニチン、サルコシン、β−アラニン、ノルロイシン、ナフチルアラニン等が例示できる。これらのアミノ酸は、上述した通り保護基を有していてもよい。
なお、プロリンは、使用によりα−へリックス構造を破壊する可能性がある場合には使用しないほうが良いが、N末端又はC末端に位置してα−へリックス構造を破壊する可能性がない場合には使用しても良い。
モジュール間に含まれてもよい7アミノ酸挿入配列としては、例えば「X2a−A2A2−X2bX2c−A1A1」(X2a、X2b、X2c、A1及びA2は前記で定義した通りである。)が好ましい態様として例示できる。
この7アミノ酸挿入配列は、例えば、モジュール構造間であれば1個、N末端又はC末端であれば1〜3個、本発明のポリペプチドに含むことができる。
更に、N36結合ペプチドは、そのN末端及び/又はC末端に、N36に結合し得る化合物を有することもできる。
N36結合ペプチドは、アミノ酸を、例えば13又は14〜104又は105個、好ましくは13又は14〜83又は84個、より好ましくは13又は14〜48又は49個、特に好ましくは34又は35個有することができる。
N36結合ペプチドにおいて使用されるアミノ酸は、L体(Lアミノ酸)が好ましいが、D体を用いても良い。D体を用いる場合には、全ての光学活性アミノ酸をD体にする必要がある。
更には、本発明のポリペプチドにおけるペプチド結合(-NH-CO-⇔-N=C(OH)-)を、それと生物学的に等価な結合、例えば、アルケン(-CH=CH-)又はフルオロアルケン(-CF=CH-)とすることも可能である。アルケンについては、例えば、S. Oishi, T. Kamano, A. Niida, Y. Odagaki, N. Hamanaka, M. Yamamoto, K. Ajito, H. Tamamura, A. Otaka, and N. Fujii. Diastereoselective Synthesis of New Ψ[(E)-CH=CMe]- and Ψ[(Z)-CH=CMe]-type Alkene Dipeptide Isosteres by Organocopper Reagents and Application to Conformationally Restricted Cyclic RGD Peptidomimetics. J. Org. Chem. 2002, 67, 6162-6173.等に記載されており、フルオロアルケンについては、例えば、A. Otaka, H. Watanabe,A. Yukimasa, S. Oishi, H. Tamamura, and N. Fujii. New Access to a-Substituted (Z)-Fluoroalkene Dipeptide Isosteres Utilizing Organocopper Reagents under "Reduction-Oxidative Alkylation (R-OA)" Conditions. Tetrahedron Lett. 2001, 42, 5443-5446.等に記載されている。
N36結合ペプチドの好ましい態様として、例えば以下の式で表されるポリペプチドが例示できる(MS1はモジュール構造1を示し、MS2はモジュール構造2を示す、MS3はモジュール構造3を示し、AAは7つのアミノ酸からなる挿入配列を示す。);
MS1−MS1−MS1−MS1−MS1、MS2−MS2−MS2−MS2−MS2、MS3−MS3−MS3−MS3−MS3、AA−MS1−MS1−MS1−MS1、MS1−AA−MS1−MS1−MS1、MS1−MS1−AA−MS1−MS1、MS1−MS1−MS1−AA−MS1、MS1−MS1−MS1−MS1−AA、AA−MS2−MS2−MS2−MS2、MS2−AA−MS2−MS2−MS2、MS2−MS2−AA−MS2−MS2、MS2−MS2−MS2−AA−MS2、MS2−MS2−MS2−MS2−AA、MS3−AA−MS3−MS3−MS3、MS3−MS3−AA−MS3−MS3、MS3−MS3−MS3−AA−MS3、MS3−MS3−MS3−MS3−AA、AA−MS3−MS3−MS3−MS3、MS1−MS2−AA−MS1−MS3、MS1−MS2−MS2−MS1−MS3、MS1−AA−MS2−MS1−MS3、MS1−MS2−MS1−AA−MS3、MS1−MS2−MS2−MS1−MS3、MS1−MS1−MS2−MS1−MS3、MS1−MS1−MS2−MS2−MS3、MS1−MS1−MS2−MS3−MS3、MS1−MS1−MS1−MS1−MS3、MS1−MS1−MS1−MS2−MS3、MS1−MS1−MS1−MS3−MS3、MS1−MS1−MS3−MS1−MS3、MS1−MS1−MS3−MS2−MS3、MS1−MS1−MS3−MS3−MS3、MS1−MS2−MS1−MS1−MS3、MS1−MS2−MS1−MS2−MS3、MS1−MS2−MS1−MS3−MS3、MS1−MS2−MS2−MS2−MS3、MS1−MS2−MS2−MS3−MS3、MS1−MS2−MS3−MS1−MS3、MS1−MS2−MS3−MS2−MS3、MS1−MS2−MS3−MS3−MS3、MS1−MS3−MS1−MS1−MS3、MS1−MS3−MS1−MS2−MS3、MS1−MS3−MS1−MS3−MS3、MS1−MS3−MS2−MS1−MS3、MS1−MS3−MS2−MS2−MS3、MS1−MS3−MS2−MS3−MS3、MS1−MS3−MS3−MS1−MS3、MS1−MS3−MS3−MS2−MS3、MS1−MS3−MS3−MS3−MS3。
N36タンパク質の更に好ましい具体例としては、例えば、「Ac-Trp-Nle-Glu-Trp-Asp-Arg-Lys-Ile-Glu-Glu-Tyr-Thr-Lys-Lys-Ile-Lys-Lys-Leu-Ile-Glu-Glu-Ser-Gln-Glu-Gln-Gln-Glu-Lys-Asn-Glu-Lys-Glu-Leu-Lys-NH2」(SC34−a)、「Ac-Trp-Met-Glu-Trp-Asp-Arg-Lys-Ile-Glu-Glu-Tyr-Thr-Lys-Lys-Ile-Lys-Lys-Leu-Ile-Glu-Glu-Ser-Gln-Glu-Gln-Gln-Glu-Lys-Asn-Glu-Lys-Glu-Leu-Lys-NH2」(SC34−b)、「Ac-Trp-Nle-Glu-Trp-Asp-Arg-Lys-Ile-Glu-Glu-Tyr-Thr-Lys-Lys-Ile-Glu-Glu-Leu-Ile-Lys-Lys-Ser-Gln-Glu-Gln-Gln-Glu-Lys-Asn-Glu-Lys-Glu-Leu-Lys-NH2」(SC34(EK)−a)、「Ac-Trp-Met-Glu-Trp-Asp-Arg-Lys-Ile-Glu-Glu-Tyr-Thr-Lys-Lys-Ile-Glu-Glu-Leu-Ile-Lys-Lys-Ser-Gln-Glu-Gln-Gln-Glu-Lys-Asn-Glu-Lys-Glu-Leu-Lys-NH2」(SC34(EK)−b)、「Ac-Trp-Glu-Glu-Trp-Asp-Lys-Lys-Ile-Glu-Glu-Tyr-Thr-Lys-Lys-Ile-Glu-Glu-Leu-Ile-Lys-Lys-Ser-Glu-Glu-Gln-Gln-Lys-Lys-Asn-Glu-Glu-Glu-Leu-Lys-Lys-NH2」(SC35EK)(「Ac」はアセチル基を示す。)等を例示することができる。
上記のN36タンパク質は、HIVに有効な配列を中心に例示したが、サル免疫不全ウイルス(SIV)、牛免疫不全様ウイルス(BIV)に対するN36タンパク質のアミノ酸配列についても、対応する免疫不全をひき起こすレトロウイルスのC34ペプチド配列に従って、同様に設計することができる。
N36タンパク質は、哺乳動物に免疫不全をひき起こすレトロウイルスのgp41タンパク質中のα−へリックス構造を有するC34の3量体が結合する、α−へリックス構造を有するタンパク質であり、C34の3量体とN36の3量体が結合して6量体を形成するものである。
N36結合ペプチドとしては、C34あるいはその誘導体が挙げられる。N36に結合性を有するC34誘導体としては、C34の水溶性・安定性を向上させるなどの目的でアミノ酸残基を置換または伸張・短縮した誘導体が含まれる。例えば特開2003-176298号公報に記載されるような、6個又は7個のアミノ酸からなる複数のモジュール構造を有し、i位、i+4位のアミノ酸がそれぞれ酸性アミノ酸、塩基性アミノ酸という組み合わせ(又はその逆の組み合わせでも良い)にすることにより、両者間にsalt bridgeが形成され、本発明ポリペプチドのα−へリックスが形成されやすくしたものが挙げられる。本明細書では、C34タンパク質のi位とi+4位のアミノ酸がそれぞれ酸性アミノ酸(Glu(E)を代表例として「E」と表示する)、塩基性アミノ酸(Lys(K)を代表例として「K」と表示する)で置換されたモジュール(X-EE-XX-KK)を1つ含有する誘導体を「SC34」誘導体、2つ以上含有する誘導体を「SC34EK」誘導体と表示することがある。
N36結合ペプチドには、ペプチド末端がカルボキシル基やアミノ基のものや、融合タンパク質からN36結合ペプチドの切断の際に他の化学構造(アミド基やラクタム環など)に置換された誘導体も含まれる。また、得られた融合タンパク質・ペプチドのペプチド末端を、常法により他の化学構造に置換した状態でもよい。さらに、ペプチドの状態だけでなく、ペプチド結合をアルケン、フルオロアルケン、アルカンなどの炭素結合やエーテル結合などの構造で置換した誘導体の形でも本ペプチドは利用可能である。ペプチド結合の置換により、酵素による分解を受けにくくなり生体内での安定性の向上が期待できる。
本発明において、N36結合ペプチドをコードするDNAは、そのアミノ酸配列をもとにして、宿主におけるコドンユーセージを考慮して塩基配列を決定し、DNA/RNA自動合成機を用いて、センス鎖の部分配列とアンチセンス鎖の部分配列を一部がオーバーラップするように合成し、PCR法によってより長い部分配列を二本鎖DNAとして得るという操作を繰り返すことによって、得ることができる。
本発明において、上記2種類のDNAに更に精製用のアミノ酸配列をコードするDNAが融合されていても良い。精製用のアミノ酸配列としては、例えばHisタグ、GST、MBP(マルトース結合蛋白)などが挙げられ、好ましくはHisタグである。このような精製用のアミノ酸配列がN36結合タンパク質と結合していることで、アフィニティークロマトグラフによるN36結合タンパク質とタンパク質Aとの融合タンパク質の精製が可能になる。
また、本発明において、発現後に目的とするN36結合ペプチドを容易に回収できるように、ペプチド結合が切断可能な認識部位を介在させて、上記2又は3種類のDNAを融合させるのが好ましい。該認識部位としては、プロセッシング酵素、消化酵素などのプロテアーゼで切断可能なアミノ酸配列(2以上のアミノ酸からなる)、システインやメチオニンなどの化学修飾剤、超音波、レーザー、熱などの物理的開裂により切断可能なアミノ酸などが挙げられる。認識部位を切断可能な消化酵素(プロセッシング酵素)としては、好ましくは第Xa因子、トロンビン、レニン、トリプシン、V8プロテアーゼ、Pseudomonasエンドプロテアーゼ、Arthrobacterリシルエンドペプチダーゼ等が挙げられ、認識部位としては、例えば第Xa因子認識配列であるIle-Glu-Gly-Argが挙げられる。化学修飾剤としては、Metを認識するCNBr(Cyanogen bromide)、Asn、Asp、Gluを認識する希塩酸、及びCysを認識するDMAP-CNが挙げられる。
N36結合ペプチドをタンパク質A及び精製用アミノ酸配列と融合して発現させる場合(以下、N36結合ペプチドとタンパク質A(更に必要に応じて精製用アミノ酸配列) を融合したタンパク質を融合タンパク質ということがある)、このN36結合ペプチドのN, C両末端に、Met-Gln配列を挿入することによって、CNBrなどの化学試薬により、融合タンパク質から抗HIVの活性体であるN36結合ペプチドを切断することができる。そのN末端は、Met-Gln間の結合が切断され、Met残基が遊離し、Glnが酸性条件下で自動的に環状化して、ピログルタミン酸残基となる。また、そのC末端は、Met-Gln間の結合が切断されMet残基の自動修飾によりホモセリンラクトン基に環状化する。このように、両末端が環状化することにより、血中でのペプチダーゼ分解耐性が向上し、in vitroでの生物活性、生物物理特性の維持が期待できる(Bioorganic and medicinal Chemistry, 17(2009), p.7964-7970)。
切断と環化の具体的な方法として、次の方法が挙げられる。融合タンパク質を酸性条件(0.1N塩酸溶液もしくは0.1Nトリフルオロ酢酸溶液)下で、融合タンパク質配列中のメチオニン1残基に対して、10当容量のTCEP(Trin(2-carboxyethyl)phsphine Hydrochloride)存在下、100等量のCNBrを室温で2時間作用させる。Met残基の開裂後、60℃で2時間反応させることで目的の化合物を得ることができる。
上記2又は3種類の融合したDNAの順序は、本発明の効果が得られるものであればどのような順序であってもよいが、好ましくは5'末端からN36結合ペプチド→タンパク質A、又はタンパク質A→N36結合ペプチド→精製用アミノ酸配列の順である。
本発明の遺伝子発現カセットには、プロモーター、タンパク質AをコードするDNA、及びN36結合ペプチドをコードするDNA(必要に応じて、更に精製用のアミノ酸配列をコードするDNA)を融合したDNA(以下、融合DNAと言うことがある)、並びにターミネーターが含まれる。
上記プロモーターは、宿主となるアスペルギルス属糸状菌で機能し得るプロモーターであれば特に限定されないが、例えばamyB, glaA, agdA, glaB, TEF1, xynF1tannase gene, No.8AN, gpdA, pgkA, enoA, melO, sodM, catA, catB, hlyなどのプロモーターが挙げられる。また、これらのプロモーターに配列改変を加えた改良型のプロモーターであってもよい。
上記ターミネーターは、宿主となるアスペルギルス属糸状菌で機能し得るターミネーターであれば特に限定されないが、例えば、グルコアミラーゼglaBターミネーター(Gene. 207, 127-134,(1998)、特開2000-245465)、amyA(α-アミラーゼ)ターミネーター、celA(セルラーゼA)ターミネーター等が挙げられる。
本発明の遺伝子発現カセットには、マーカー遺伝子が含まれていても良く、コトランスフォーメーションを行う場合は、当該遺伝子発現カセットとは別のフラグメント又はプラスミドにマーカー遺伝子が存在していれば良い。
上記マーカー遺伝子は、宿主となるアスペルギルス属糸状菌で発現できるものであればよく、例えば、niaD(Biosci.Biotechnol.Biochem.,59,1795-1797(1995))、argB (Enzyme Microbiol Technol, 6, 386-389, (1984)), sC (Gene,84,329-334, (1989))、ptrA (Biosci Biotechnol Biochem,64,1416-1421, (2000))、pyrG (Biochem Biophys Res Commun, 112, 284-289, (1983)), amdS (Gene, 26, 205-221,(1983))、オーレオバシジン耐性遺伝子 (Mol Gen Genet, 261, 290-296,(1999))、ベノミル耐性遺伝子 (Proc Natl Acad Sci USA, 83,4869-4873,(1986))及びハイグロマイシン耐性遺伝子 (Gene, 57, 21-26,(1987))、イソプロピルリンゴ酸シンターゼ遺伝子leuA(Acta Microbiol Pol., 29, 29-33, (1980))等が挙げられる。
本発明において宿主として用いるアスペルギルス属糸状菌としては、例えば、アスペルギルス・オリゼ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス・カワチ(Aspergillus kawachii)、アスペルギルス・ウサミ(Aspergillus usamii)、アスペルギルス・ソーヤ(Aspergillus sojae)、アスペルギルス・ニドランス(Aspergillus nidulans)などが挙げられる。中でも、高いタンパク質生産能及び安全性の点で、アスペルギルス・オリゼが好ましい。形質転換株を容易に選択できるので、好ましくは導入するマーカー遺伝子が変異した変異株を用いる。
アスペルギルス属糸状菌に対して上記遺伝子発現カセットを導入する方法は、公知の手法を採用でき、例えば、PEG−カルシウム法、リン酸カルシウム法、DEAEデキストラン法、エレクトロポレーション法、リポフェクション法、マイクロインジェクション法などが挙げられる。
N36結合ペプチドの製造方法
本発明の上記タンパク質と融合したN36結合ペプチドの製造方法は、
上記形質転換体を培養して培養物中に上記タンパク質と融合したN36結合ペプチドを生成蓄積させる工程、及び
該培養物から上記タンパク質と融合したN36結合ペプチドを採取する工程
を有することを特徴とする。
・培養物中に上記タンパク質と融合したN36結合ペプチドを生成蓄積させる工程
本工程では、形質転換体が融合タンパク質を培養物中に生成し、融合タンパク質が培養物中に蓄積されることを特徴とし、上記培養物とは、培地と形質転換体を意味する。また、形質転換体を液体培地で培養して、融合タンパク質を形質転換体外に分泌させることにより生成蓄積させても良い。
本発明の形質転換体を培養するために用いられる培地としては、炭素源としてグルコース、フルクトース、グリセロール、スターチなどの炭水化物を含有するものである。また、無機もしくは有機窒素源(例えば硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、カゼインの加水分解物、酵母抽出物、ポリペプトン、バクトトリプトン、ビーフ抽出物等)を含んでいてもよい。これらの炭素源および窒素源は、純粋な形で使用する必要はなく、純度の低いものも微量の生育因子や無機栄養素を豊富に含んでいるので有利である。さらに所望により、他の栄養源[例えば、無機塩(例えば、二リン酸ナトリウム、二リン酸カリウム、リン酸水素二カリウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム)、ビタミン類(例えば、ビタミンB1)、抗生物質(例えば、アンピシリン,カナマイシン)など]を培地中に添加してもよい。中でも、液体培地が好ましく、培地としては、好ましくは1〜20×GPY培地、より好ましくは3〜10×GPY培地、最も好ましくは5×GPY培地(グルコース10%(w/v)、ペプトン5%(w/v)、酵母抽出物2.5%(w/v))である。ここで、GPY培地とは、グルコース2%(w/v)、ペプトン1%(w/v)、酵母抽出物0.5%(w/v)の組成の培地である。
形質転換体の培養温度は、通常30〜42℃、好ましくは約30〜37℃であり、培養時間は、通常、約40〜72時間である。これらは培養条件及び培養規模によって適宜変更することができる。
・培養物から上記タンパク質と融合したN36結合ペプチドを採取する工程
本工程では、培養物中から形質転換体が生成した融合タンパク質を精製することにより、融合タンパク質を回収することを特徴とする。
融合タンパク質の精製は、該融合タンパク質が精製用のアミノ酸配列(好ましくはHisタグ)と結合している場合は、アフィニティークロマトグラフにより行うことができる。融合タンパク質が精製用のアミノ酸配列を有していない場合は、イオン交換、疎水、ゲルろ過等の各種クロマトグラフィー等の精製操作により精製することができる。
本発明の製造方法では、前記の2工程に加えて、培養物から回収した融合タンパク質を、前記した融合タンパク質からタンパク質A及び/又は精製用のアミノ酸配列を切断する工程を行うことによって、N36結合ペプチドのみを取得してもよい。
哺乳動物に免疫不全をひき起こすレトロウィルス感染症(エイズ)の予防又は治療剤
本発明の哺乳動物にエイズ予防又は治療剤は、上記の製造方法により得られた融合タンパク質を有効成分とすることを特徴とする。上記哺乳動物に免疫不全をひき起こすレトロウィルスは、好ましくはヒト免疫不全ウィルス(HIV)である。
また、本発明の哺乳動物にエイズ予防又は治療剤は、その使用形態に応じて、生物学的に許容される担体、賦形剤等を任意に含有できる。本発明の哺乳動物にエイズ予防又は治療剤は、常套手段に従って製造することができる。例えば、必要に応じて糖衣や腸溶性被膜を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤などとして経口的に、軟膏、硬膏等の外用剤、噴霧剤、吸入剤などとして経皮的、経鼻的もしくは経気管的に、又は水もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液もしくは懸濁液剤などの注射剤の形で非経口的に使用できる。
本発明のエイズ予防又は治療剤の投与量は、症状などにより差異はあるが、経口投与の場合、一般的に成人(体重60kgとして)においては、一日につき約100mg〜4000mg、好ましくは約200mg〜3000mg、より好ましくは約300mg〜2000mgで効き得る。非経口的に投与する場合は、その1回投与量は投与対象、対象臓器、症状、投与方法などによっても異なるが、たとえば注射剤の形では成人の移植患者(体重60kgとして)への投与においては、一日につき約0.00001gから1g、好ましくは約0.01mgから30mg、より好ましくは約0.1mgから20mg程度、さらに好ましくは約0.1mgから10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。この投与量は他の動物の場合も同様である。
また、本発明により製造されたN36結合ペプチドのN, C両末端にMet-Gln配列が挿入された融合タンパク質を、CNBrなどの化学試薬で処理することで得られるタンパク質A及び精製用のアミノ酸配列が切断されたN36結合ペプチド(Bioorganic and medicinal Chemistry, 17(2009), p.7964-7970)についても、哺乳動物にエイズ予防又は治療剤の有効成分とすることができる。
以下、本発明を更に詳しく説明するため試験例を挙げる。しかし、本発明はこれら試験例等になんら限定されるものではない。
使用遺伝子及びタンパク質
・基本ベクター
pCR-BluntII-TOPO (Km耐性) (Zero Blunt(登録商標) TOPO(登録商標) PCRクローニング キット (invitrogen))<配列番号3>
・選択マーカー
OSI1013 leu- : AnleuA<配列番号4、5>, NS4 ΔligD sC-niaD- : AnsC<配列番号6、7>
・プロモーター
hly promoter (OSI1013 leu- : 1499 bps<配列番号8>, NS4 ΔligD sC-niaD- : 1000 bps<配列番号9>)
・ターミネーター
glaB terminator<配列番号10>
・リーダータンパク質
A. oryzae由来CelA (AO090026000102)<配列番号2、1>, CelB (AO090010000314)<配列番号11、12>, Bgl7 (AO090009000356)<配列番号13、14>
・N36結合タンパク質
His6<配列番号15、16>, SC35EK, MQ配列<配列番号17、18>
プラスミド構築方法
以下に試験例で使用した各プラスミドの構築方法を示す。
・phcelAH6(図1参照)
hly promoter, glaB terminatorはアスペルギルス・オリゼOSI1013 ゲノムDNA(月桂冠株式会社保有)を、celAはpUDCA*を鋳型としてPCRを行った。このとき使用したプライマーは、hly promoterの増幅にはA17とA44、glaB terminatorの増幅にはH02と10、celAの増幅にはA39とH01であり、H01とH02を用いることによりcelAとglaB terminatorの間にHis6を挿入できるようにした。 3つのPCR増幅DNAを電気泳動、切り出し、精製し、これらを鋳型にしてプライマーA17と10を使ってオーバーラップPCRを行った。PCT増幅DNAを電気泳動、切り出し、精製し、Zero Blunt(登録商標) TOPO(登録商標)PCRクローニングキット(invitrogen)を使ってpCR-BluntII-TOPOへクローニングした。
・phcelA35H6(図2参照)
Phly-celA, His6-TglaBはphcelAH6を鋳型としてそれぞれプライマーA17とH09、H11と10を使って、MQ-SC35EK-MQは鋳型DNAを加えずにH08とH10を使ってPCRを行った。3つのPCR増幅DNAを電気泳動、切り出し、精製し、これらを鋳型にしてプライマーA17と10を使ってオーバーラップPCRを行った。PCR増幅DNAを電気泳動、切り出し、精製し、Zero Blunt(登録商標) TOPO(登録商標) PCRクローニング キット (invitrogen)を使ってpCR-BluntII-TOPOへクローニングした。
・pDAosC-AnsC(図3参照)
AosC 5’UTR<配列番号19>、AosC 3’UTR<配列番号20>はOSI1013ゲノムDNAを、AnsCは、アスペルギルス・ニドランスA89株のゲノムDNAを鋳型としてPCRを行った。このとき使用したプライマーは、AosC 5’UTRの増幅にはE64とE92、AosC 3’UTRの増幅にはE71とF13、AnsCの増幅にはE82とE63であった。3つのPCR増幅DNAを電気泳動、切り出し、精製し、これらを鋳型にしてプライマーE64とF13を使ってオーバーラップPCRを行った。PCR増幅DNAを電気泳動、切り出し、精製し、Zero Blunt(登録商標) TOPO(登録商標) PCRクローニング キット (invitrogen)使ってpCR-BluntII-TOPOへクローニングした。
・pDAosC-hcelAH6AnsC(図4参照)
pDAosC-AnsCを鋳型としてプライマーE92とE62を使ってPCRを行い、phcelAH6を鋳型としてプライマーE97とE98を使ってPCRを行った。2つのPCR増幅DNAを電気泳動、切り出し、精製し、これらをIn-FusionTM Dry-Down PCR Cloning Kit (Clontech)を用いて融合した。
・pDAosC-hcelA35H6AnsC(図5参照)
pDAosC-AnsCを鋳型としてプライマーE92とE62を使ってPCRを行い、phcelA35H6を鋳型としてプライマーE97とE98を使ってPCRを行った。2つのPCR増幅DNAを電気泳動、切り出し、精製し、これらをIn-FusionTM Dry-Down PCR Cloning Kit (Clontech)を用いて融合した。
・pDAosC-hcelBH6AnsC(図6参照)
pDAosC-hcelAH6AnsCを鋳型としてプライマーA44とH02を使ってPCRを行い、pUDCB*を鋳型としてプライマーB03とH21を使ってPCRを行った。2つのPCR増幅DNAを電気泳動、切り出し、精製し、これらをIn-FusionTM Dry-Down PCR Cloning Kit (Clontech)を用いて融合した。
・pDAosC-hcelB35H6AnsC(図7参照)
pDAosC-hcelA35H6AnsCを鋳型としてプライマーA44とH08を使ってPCRを行い、pUDCB*を鋳型としてプライマーB03とH18を使ってPCRを行った。2つのPCR増幅DNAを電気泳動、切り出し、精製し、これらをIn-FusionTM Dry-Down PCR Cloning Kit (Clontech)を用いて融合した。
・pDAosC-hbgl7H6AnsC(図8参照)
pDAosC-hcelAH6AnsCを鋳型としてプライマーA44とH02を使ってPCRを行い、pUDB7*を鋳型としてH19とH22を使ってPCRを行った。2つのPCR増幅DNAを電気泳動、切り出し、精製し、これらをIn-FusionTM Dry-Down PCR Cloning Kit (Clontech)を用いて融合した。
・pDAosC-hbgl735H6AnsC(図9参照)
pDAosC-hcelA35H6AnsCを鋳型としてプライマーA44とH08を使ってPCRを行い、pUDB7*を鋳型としてH19とH20を使ってPCRを行った。2つのPCR増幅DNAを電気泳動、切り出し、精製し、これらをIn-FusionTM Dry-Down PCR Cloning Kit (Clontech)を用いて融合した。
* A. Kotaka, et al., J. Biosci. Bioeng., Volume 105, Issue 6, June 2008, Pages 622-627参照
上記の各プライマーと配列表の配列番号との対応を以下に示す。
A17:配列番号21 A44:配列番号22 A39:配列番号23
H09:配列番号24 H08:配列番号25 H10:配列番号26
H11:配列番号27 H02:配列番号28 10:配列番号29
H01:配列番号30 E64:配列番号31 E92:配列番号32
E82:配列番号33 E63:配列番号34 E71:配列番号35
F13:配列番号36 E97:配列番号37 E98:配列番号38
E62:配列番号39 B03:配列番号40 H18:配列番号41
H19:配列番号42 H20:配列番号43 H21:配列番号44
H22:配列番号45
宿主
試験例1〜4ではアスペルギルス・オリゼOSI1013 leu-(特開2006-345817号公報参照)、試験例5ではアスペルギルス・オリゼNS4 ΔligD sC-niaD-を使用した。
培地組成
・Czapek (Cz)
0.2% NaNO3, 0.1% K2HPO4, 0.05% KCl, 0.05% MgSO4・7H2O, 0.001% FeSO4・7H2O (pH6.0)
・GPY
2% Glucose, 1% Polypeptone (日本製薬), 0.5% Bacto Yeast Extract (Difco)
・5×GPY
10% Glucose, 5% Polypeptone (日本製薬), 2.5% Bacto Yeast Extract (Difco)
・GPY+Cz
2% Glucose, 1% Polypeptone (日本製薬), 0.5% Bacto Yeast Extract (Difco), 1×Cz
・5×GPY+Cz
10% Glucose, 5% Polypeptone (日本製薬), 2.5% Bacto Yeast Extract (Difco), 1×Cz
・小麦フスマ(三宅製粉株式会社製)
オートクレーブ後に乾燥させて使用した。
形質転換方法
尚、アスペルギルス・ニドランスのゲノムDNAを含むpANLAプラスミド(特開2006-345817号公報参照)を鋳型として、M13 P7<配列番号46>およびM13 P8<配列番号47>を用いたPCRによりAnleuAが得られる。
形質転換に用いた宿主と導入したDNA断片は表1及び2の通りである。
Figure 2011167076
Figure 2011167076
培養方法
・形質転換株の選抜
プレートから胞子をかきとり3 ml 5×GPY培地へ植菌し、30℃, 200 rpmで40時間培養した。培養液上清を0.45μmフィルター濾過し、後述する酵素活性測定を行うことにより形質転換株を選別した。
・小麦フスマ固体培養→タンパク質抽出(試験例2)
PDA+3% NaClプレートで30℃、5〜8日程度培養した麹菌から胞子懸濁液を回収し、小麦フスマ5 gに胞子懸濁液と滅菌水合わせて4 mlを加えた(胞子数は1×108個)。撹拌後、30℃、40時間培養した(培養中1日に1、2回撹拌した)。小麦フスマの10倍量に相当する50 mlの10 mM 酢酸-酢酸ナトリウムバッファー(pH 5.0), 0.5% NaClを加え、30℃、120 rpmで30分間抽出した。0.45μmフィルターで濾過し、濾液を酵素抽出液として使用した。
・活性測定、Niカラム精製及びタンパク質定量のための培養
PDA+3% NaClプレートから胞子懸濁液を作製し、1×107個を50 ml 5×GPY等の液体培地へ植菌した。30℃, 120 rpmで40時間培養後、培養液をミラクロス、5μm、0.8μm、0.45μmフィルター濾過し、各種測定に使用した。
脱糖鎖方法
Endoglycosidase H, Streptomyces plicatus (Merck社製)を使用した。各サンプル15μlにEndoglycosidase Hを1μl (> 3 mU)加え37℃で16時間反応させ、SDS-PAGE泳動サンプルとして使用した。
活性測定
・EG (CelA, CelB)活性測定
2% AZO-CM-Cellulose (Megazyme) (pH5.0) 200μlと酵素液(50 mM酢酸-酢酸ナトリウムバッファー(pH5.0)で希釈)200μlを混合し、37℃で15分間反応させた。沈殿剤1 mlを添加後、ボルテックスし、数分間静置後、遠心した。上清の590 nmにおける吸光度を測定した。
1分間に590 nmにおける吸光度を1上昇させる酵素活性を1 unitと定義した。
(沈殿剤) CH3COONa・3H2O 10 gとZn(CH3COO)2 1 gを脱イオン水に溶解し、pH5.0に調整し、50 mlにメスアップ後、200 ml EtOHを添加し作製した。
・BGL (Bgl7)活性測定
20 mM pNP-β-Glucopyranoside (SIGMA) 20μlと酵素液 (50 mM 酢酸-酢酸ナトリウムバッファー (pH5.0)で希釈) 380μlを混合し、37℃で5分間反応させた。5 M Na2CO3 400μlを添加し、反応を停止させた。ボルテックスし、415 nmにおける吸光度を測定した。
1分間に1μmolのpNPを遊離する酵素活性を1 unitと定義した。
ELISA(図14参照)
大腸菌タンパク質発現システムpMALベクター (NEW ENGLAND BioLabs)にHIV-HR1配列を挿入し(配列番号48)、MBP-HIV-HR1融合タンパク質(配列番号49)を発現した後、アミロースカラムを用いたアフィニティークロマトグラフィーにてMBP-HIV-HR1タンパク質を精製した。
5μM MBP-HIV-HR1を50 mM炭酸ナトリウム緩衝液 (pH 9.4)で50 nMに希釈し、ELISAプレート上に50μlずつ加え、4℃で一晩反応させた。0.25% Tween 20 in PBS (T-PBS) 200μlで3回洗浄し、0.1% BSA in T-PBSを200μlずつ加え4℃で2.5時間ブロッキングを行った。ブロッキング後、T-PBSで3回洗浄した。GPY培地(GPY)と麹菌培養液(Total)と麹菌培養液をNiカラムでアフィニティー精製したサンプル(Elu.;培養液を5倍濃縮)をそれぞれPBSで1/5、1/25、1/100、1/500となるよう希釈した。また、化学合成したSC35EKアセチルアミド体(peptide)1μMを1/2、1/4、1/8、1/16、1/32、1/64、1/128となるように希釈し、これらの希釈液をそれぞれ100μlずつ加え、37℃で2時間インキュベートした。T-PBSで3回洗浄後、5μM TRX-His6Tag-ALP-C34/S138AをPBSで50nMに希釈し、各ウエルに100μlずつ加え、37℃で2時間インキュベートした。T-PBSで3回洗浄後、ALPの基質であるBluePhos Microwell(KPL社製)を100μlずつ加えて室温で反応させた。コントロールとして、PC: ペプチド溶液の代わりにPBSを添加、NC: MBP-HR1の代わりにPBSを添加、ALP: TRX-ALP-HR2の代わりにPBSを添加したウエルも同時に反応させた。2時間反応後、プレートリーダーを用いて595 nmの吸光度を測定した。
融合タンパク質からのSC35EKペプチドの化学切断および修飾
ニッケルレジンに結合させたCelA-MQ-SC35EK-MQ融合タンパク質を、0.1 N トリフルオロ酢酸溶液で溶出し凍結乾燥した。融合タンパク質に100当量のブロモシアン(CNBr)と10当量のTCEP/0.1 N TFA溶液を添加し、60℃で2時間反応させた。反応後にはMQ-SC35EK-MQが切り出され、SC35EKのN末端がピログルタミル体化(pGlu)し、C末端がホモセリンラクトン(Hsl)体化した、pGlu-SC35EK-Hslが生成できる。反応溶液からpGlu-SC35EK-Hslのみを、液体クロマトグラフィー(カラム;proteinR, 溶媒;アセトニトリル/水10-60% 50min グラジエント)により精製した(Bioorganic and medicinal Chemistry, 17(2009), p.7964-7970)。
試験例1
前述する方法により麹菌OSI1013 leu-株を形質転換して得られた、CelA-His6およびCelA-SC35EK-His6融合タンパク質生産株を、前述の方法で5×GPY培地で液体培養して得られた培養液上清40 ml(開始材料)を、His GraviTrap(GEヘルスケア)にロードし、フロースルーを回収し、洗浄後、3 mlの溶出バッファーで溶出した。
これらの開始材料、フロースルー及び溶出液について酵素活性測定およびSDS-PAGEを行った。酵素活性測定の結果を表3に、SDS-PAGEの結果を図10の上に示す。また、CelA-SC35EK-His6のフロースルー(20倍濃縮したもの)と溶出液について、Endo-glycosidaseH処理したもののSDS-PAGEの結果を図10の下に示す。
Figure 2011167076
SDS-PAGEのフロースルーのレーンには溶出液のレーンで検出されたバンドよりも分子量の小さいバンドが2本検出され、このことから融合タンパク質のSC35EK-His6内で切断されたタンパク質が2種類存在すると考えられた。また、溶出液のレーンに単一のバンドが検出され、さらにエンドグルカナーゼ活性も検出されたことから、本形質転換株により、SC35EK内で切断された不完全な融合タンパク質も一部生産されるものの、完全な形の融合タンパク質が生産可能であり、それはNiカラムを用いて簡単に精製することができることが示唆された。また、このときの溶出液のタンパク質濃度をProtein Assay (Bradford法) (Bio-Rad社製)を使用し測定した結果から、完全長の融合タンパク質生産量は13.1 mg/L brothであることが明らかとなった。
試験例2
試験例1に記載の形質転換体について前述の方法で5×GPY液体培養又は小麦フスマ固体培養を行った。培養液上清40 ml(開始材料)を、His GraviTrap(GEヘルスケア)にロードし、フロースルーを回収し、洗浄後、3 mlの溶出バッファーで溶出した。液体培養を行った菌体破砕液4 ml(開始材料)を、His GraviTrap(GEヘルスケア)にロードし、フロースルーを回収し、洗浄後、3 mlの溶出バッファーで溶出した。固体培養を行った酵素抽出液40 ml(開始材料)を、His GraviTrap(GEヘルスケア)にロードし、フロースルーを回収し、洗浄後、3 mlの溶出バッファーで溶出した。
これらの開始材料、フロースルー及び溶出液について酵素活性測定およびSDS-PAGEを行った。その結果を表4および図11に示す。
Figure 2011167076
この結果から、5×GPY液体培養での菌体外で融合タンパク質が高生産されることが確認された。
試験例3
試験例1に記載の形質転換体について前述の方法でGPY、GPY+Cz、5×GPY及び5×GPY+Cz液体培養を行った。培養液上清35 ml(開始材料)をHis GraviTrap(GEヘルスケア)にロードし、フロースルーを回収し、洗浄後、3 mlの溶出バッファーで溶出した。
これらの開始材料、フロースルー及び溶出液について酵素活性測定およびSDS-PAGEを行った。その結果を表5および図12に示す。
Figure 2011167076
この結果から融合タンパク質の生産には5×GPYが適していることが分かった。また、この時の菌体の形状は図13に示す通りであり、GPYと比べて5×GPYでは大きな塊を形成した。
試験例4
リーダーペプチドを有するSC35EKのHR1に対する結合活性を上記のELISAの項目に記載の方法により測定した。この測定原理は図14及びAntiviral Research, 80(2008), 71-76に示されている。結果を図15及び図16に示す。
この結果から麹菌培養液中に含まれる融合タンパク質CelA-MQ-SC35EK-MQ-Hisが抗HIV
活性を有することが確認された。
試験例5
前述する方法により、SC35EKのリーダータンパク質として麹菌由来エンドグルカナーゼCelA、CelB(アミノ酸配列における配列番号1との同一性5.8%)、又はβ-グルコシダーゼBgl7(アミノ酸配列おける配列番号1との同一性7.1%)を用いて各融合タンパク質生産発現カセットを構築し、NS4 ΔligD株のsC遺伝子領域に導入した。ゲノムDNAを鋳型にしたPCRにより導入DNA断片のsC遺伝子領域への組み込みを確認した。
それぞれ2株ずつを前述の方法により5×GPY培地で培養後、培養液上清40 ml(開始材料)をHis GraviTrap(GEヘルスケア)にロードし、フロースルーを回収し、洗浄後、3 mlの溶出バッファーで溶出した。これらの開始材料、フロースルー及び溶出液について酵素活性測定およびSDS-PAGEを行い、さらに溶出液についてはEndo-glycosidase H処理を行いSDS-PAGEに供した。その結果を表6、7及び図17に示す。また、溶出液のタンパク質濃度をBradford法(Bio-Rad Protein Assay)により定量し、培養液あたりの融合タンパク質生産量を求めた。結果を図18に示す。
Figure 2011167076
Figure 2011167076
上記結果から、CelBについては酵素活性が低く検出できなかったが、CelAとBgl7については酵素活性を検出でき、すべてのタンパク質について糖鎖を除いた溶出液のSDS-PAGEで単一のバンドを検出できた。そのため、少なくともCelAとBgl7をリーダータンパク質とすることで、完全長のSC35EK融合タンパク質を生産することができること、及び中でもCelAがSC35EK生産のリーダータンパク質として最適であることが明らかとなった。
試験例6
リーダーペプチドCelAを有する融合タンパク質CelA-MQ-SC35EK-MQ-Hisについて、化学切断および修飾後、pGlu-SC35EK-Hslを逆相カラムによるHPLCでOD280nmをもとに精製した。精製したpGlu-SC35EK-HslのHR1に対する結合活性を上記のELISAの項目に記載の方法により測定した。その結果を図19に示した。この結果から、融合タンパク質からケミカルクリベージにより切り出しを行い、両端が化学修飾したpGlu-SC35EK-Hslが抗HIV阻害活性を有することが明らかになった。

Claims (11)

  1. 配列番号1で表されるアミノ酸配列と70%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つエンドグルカナーゼ活性を有しているタンパク質をコードするDNA、及び哺乳動物に免疫不全をひき起こすレトロウイルスのN36タンパク質に結合するN36結合ペプチドをコードするDNAを融合したDNAを含む遺伝子発現カセットを導入したアスペルギルス属糸状菌の形質転換体。
  2. 前記遺伝子発現カセットが、配列番号1で表されるアミノ酸配列と70%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つエンドグルカナーゼ活性を有しているタンパク質をコードするDNA、哺乳動物に免疫不全をひき起こすレトロウイルスのN36タンパク質に結合するN36結合ペプチドをコードするDNA、及び精製用のアミノ酸配列をコードするDNAを融合したDNAを含有する、請求項1に記載のアスペルギルス属糸状菌の形質転換体。
  3. 前記アスペルギルス属糸状菌がアスペルギルス・オリゼである、請求項1又は2に記載の形質転換体。
  4. 前記精製用のアミノ酸配列がHisタグである、請求項2又は3に記載の形質転換体。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の形質転換体を培養して培養物中に前記タンパク質と融合したN36結合ペプチドを生成蓄積させる工程、及び
    該培養物から前記タンパク質と融合したN36結合ペプチドを採取する工程
    を有する前記タンパク質と融合したN36結合ペプチドの製造方法。
  6. 前記形質転換体を液体培地で培養して、前記タンパク質と融合したN36結合ペプチドを形質転換体外に分泌させることにより生成蓄積させることを特徴とする、請求項5に記載の製造方法。
  7. 前記タンパク質と融合したN36結合ペプチドを採取する工程において、Hisタグを利用した精製を行うことを特徴とする、請求項5又は6に記載の製造方法。
  8. 1〜20×GPY培地で培養することを特徴とする、請求項5〜7のいずれかに記載の製造方法。
  9. 請求項5〜8のいずれかに記載の製造方法において、更に前記タンパク質と融合したN36結合ペプチドから前記タンパク質を切断する工程を有する、N36結合ペプチドの製造方法。
  10. 請求項5〜8のいずれかに記載の製造方法により得られた前記タンパク質と融合したN36結合ペプチドを有効成分とする哺乳動物に免疫不全をひき起こすレトロウイルス感染症の予防又は治療剤。
  11. 哺乳動物に免疫不全をひき起こすレトロウイルスがヒト免疫不全ウイルス(HIV)であることを特徴とする、請求項10に記載の予防又は治療剤。
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