JP2011165426A - 光電変換装置および有機色素 - Google Patents

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Makoto Komatsu
真 小松
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聡 内田
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Abstract

【課題】色素の長波長感度を高め、光電変換効率を向上させた光電変換装置を提供する。
【解決手段】光電変換装置は、キノイダル複素環連結ドナーアクセプター分子(一般式1)が電子輸送材料と正孔輸送材料の間に配されてなる。
Figure 2011165426

(式中、Dは電子供与性原子団であり、Aは電子吸引性原子団であり、XはNH原子団、O原子、S原子、Se原子およびTe原子のいずれか一つであり、Y及びZは、任意の置換基Rを有する炭素原子もしくは窒素原子であり、nは自然数を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、光電変換装置およびそれに好適に用いることが可能な広帯域の吸収を示す有機色素に関するものである。
光電変換装置の一つである色素増感太陽電池は、高温処理や真空装置を必要としないことから低コスト化に有利であると考えられ、近年急速に研究開発が進められている。この色素増感太陽電池は、例えば、導電性ガラス基板上に粒径20nm程度の微粒子を焼結して得られる多孔質酸化チタン層を設け、この多孔質酸化チタン層の粒子表面に色素を単分子吸着させた電極を光作用極として用い、白金をスパッタした導電性ガラス対極との間に、ヨウ素/ヨウ化物レドックス対を含む電荷輸送機能を有する電解質溶液で満たし、この電解質溶液を封止することによって得られた構造を有する。
このような色素増感太陽電池のうち光電変換効率が高いものでは、色素としてルテニウムを含む金属錯体が多く用いられているが、希少金属であるルテニウムを含むことが低コスト化の妨げになっている。このためルテニウムを含まない有機色素の開発が求められるようになった。このような有機色素は多数知られているが、例えばキノイド構造を含む有機色素が特許文献1に開示されている。
特開2009−104976号公報
色素増感太陽電池は、光電変換効率をさらに向上させることが求められている。これを解決するためには、長波長側の光を光電変換に利用することが求められている。しかしながら、特許文献1に開示されている有機色素では、十分な長波長感度を得ることができていない。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、色素の長波長感度を高め、光電変換効率を向上させた光電変換装置を提供することにある。
本発明の一実施形態にかかる光電変換装置は、キノイダル複素環連結ドナーアクセプター分子(一般式1)が電子輸送材料と正孔輸送材料の間に配されてなることを特徴とする。
Figure 2011165426
(式中、Dは電子供与性原子団であり、Aは電子吸引性原子団である。また、XはNH(窒素−水素)原子団、酸素原子、硫黄原子、セレン原子およびテルル原子のうちいずれか一つである。また、YおよびZは、互いに同じかまたは異なり、任意の置換基Rを有してもよい炭素原子もしくは窒素原子である。また、nは自然数を表す。)
これにより、電子供与性原子団と電子吸引性原子団が他のもので連結された従来のドナーアクセプター分子に比べ、分子の共平面性が増大し両部位間の相互作用が増大するため、HOMOとLUMOの間のエネルギー差が小さくなり、より長波長領域において光吸収を示す。その結果、光電変換装置の長波長感度を高め、変換効率を向上することができる。また、一般式の分子は貴金属を含んでないことより、材料の低コスト化が実現できる。
他の実施形態に係る光電変換装置は、前記電子供与性原子団Dがジアルキルアミノ基またはジアリールアミノ基を有する。これにより、電子供与性原子団Dの電子供与性を高め、電荷移動を強めることができる。その結果、光電変換装置の長波長感度をより高め、吸収波長領域を広帯域化し、変換効率を向上することができる。
他の実施形態に係る光電変換装置は、前記電子輸送材料は酸化物半導体を具備しており、前記キノイダル複素環連結ドナーアクセプター分子(一般式1)が前記酸化物半導体に吸着されている。これにより、キノイダル複素環連結ドナーアクセプター分子で励起された電子を酸化物半導体へ効率良く電子移動させることができ、変換効率を向上することができる。
他の実施形態に係る光電変換装置は、前記電子吸引性原子団Aの1つ以上の末端にカルボキシル基を有する。これにより、キノイダル複素環連結ドナーアクセプター分子を酸化物半導体に効率良く吸着させることができ、変換効率を向上することができる。
他の実施形態に係る光電変換装置は、前記電子輸送材料または前記正孔輸送材料に積層された光電変換体をさらに具備する。これにより、機能分離の積層構造により、変換効率をより向上することができる。
他の実施形態に係る光電変換装置は、前記光電変換体はアモルファスシリコン層を含む。これにより、有機材料を劣化させる紫外線を遮蔽し、信頼性を向上させることができる。また、タンデム構造により、変換効率を向上することができる。
本発明の一実施形態にかかる有機色素は、キノイダル複素環連結ドナーアクセプター分子(一般式1)で示されることを特徴とする。
Figure 2011165426
(式中、Dは電子供与性原子団であり、Aは電子吸引性原子団である。また、XはNH(窒素−水素)原子団、酸素原子、硫黄原子、セレン原子およびテルル原子のうちいずれか一つである。また、YおよびZは、同じかまたは異なり、任意の置換基Rを有する炭素原子もしくは窒素原子である。また、nは自然数を表す。)
他の実施形態に係る有機色素は、前記電子供与性原子団Dがジアルキルアミノ基またはジアリールアミノ基を有する。
他の実施形態に係る有機色素は、前記電子吸引性原子団Aの1つ以上の末端にカルボキシル基を有する。
本発明によれば、キノイダル複素環連結ドナーアクセプター分子(一般式1)は、電子供与性原子団と電子吸引性原子団が他のもので連結された従来のドナーアクセプター分子に比べ、分子の共平面性が増大し両原子団間の相互作用が増大するため、HOMO(Highest Occupied Molecular Orbital)とLUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)の間のエネルギー差が小さくなり、より長波長領域において光吸収を示す。その結果、キノイダル複素環連結ドナーアクセプター分子(一般式1)を用いることにより、光電変換装置の長波長感度を高めることができ、光電変換効率の高い光電変換装置を提供できる。また、貴金属を含んでいないことにより、材料の低コスト化が実現する。
本発明の第1の実施形態に係る光電変換装置を示す断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る光電変換装置を示す断面図である。 本発明の光電変換装置の実施例のIPCEスペクトルである。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、図1〜3において同一部材には同一符号を付すものとする。
≪第1の実施形態≫
図1は、本発明の第1の実施形態に係る光電変換装置を示す断面図である。本発明の第1の実施形態に係る光電変換装置X1は、導電性基板11と、色素13が吸着された金属酸化物14よりなる半導体電極12と、電解質15と、透明電極16と、透光性被覆体17と、を備えている。導電性基板11は、その上面に半導体電極12が形成されている。電解質15は、互いに対向するように配設された半導体電極12と透明電極16との間に配されている。透光性被覆体17は、透明電極16上を覆うように配されている。この構成において、電子輸送材料は金属酸化物14であり、正孔輸送材料は電解質15である。そして、色素13は、金属酸化物14に吸着されており、電子輸送材料である金属酸化物14と正孔輸送材料である電解質15との間に配されている。なお、電子輸送材料とは、色素13からの電子を受け取り、外部回路へ電子を輸送する機能を有するものである。また、正孔輸送材料とは、色素13からの正孔を受け取り、外部回路へ正孔を輸送する機能(または、外部回路からの電子を色素13へ注入する機能)を有するものである。
次に、本実施の形態に係る光電変換装置X1の光電変換作用について説明する。光電変換装置X1は、図1中、矢印Lより光が入射されると、色素13が光を吸収し、色素13が励起状態になり、電子が色素13のLUMO準位まで励起される。そして、LUMO準位に励起された電子は、酸化チタン等の金属酸化物14の伝導帯(コンダクションバンド)準位に高速に移動する。金属酸化物14の伝導帯準位に移動した電子は、金属酸化物の粒子間を効率よく移動し、導電性基板11に到達する。次に、導電性基板11に到達した電子は、導電性基板11と透明電極16との間に電気的に接続されている負荷(図示なし)を介して、透明電極16に移動する。次いで、第1の透明電極16に移動した電子は、透明電極16上に形成された触媒(図示なし)において電解質15の一部を還元する。触媒の材質としては、例えば、プラチナ、パラジウム、イリジウム、オスミウム、ルテニウム、ロジウム等の貴金属やカーボン、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等の有機導電材料が挙げられる。そして、還元された電解質15は、色素13近傍まで拡散すると、色素上で酸化反応が起こり、色素のHOMO準位に電子移動を起こす。上記したような電子が循環することにより、光電変換が起きる。
本実施の形態に係る光電変換装置X1の各部材について詳細に説明する。
<導電性基板>
導電性基板11は、半導体電極12の支持体であるとともに、半導体電極12より電流を取り出す機能を有している。導電性基板11としては、例えば、金属基板、導電性部材を基材に含有させた基板、または導電膜11bが上面に形成された絶縁基板11a等が挙げられる。
金属基板の材質としては、例えば、チタン、ステンレス、アルミニウム、銀、銅、ニッケル等の金属、またはこれら金属の合金が挙げられる。
導電性部材を基材に含有させた基板は、基材が、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、ポリイミド、ポリカーボネート等の有機樹脂材料、または、青板ガラス、ソーダガラス、硼珪酸ガラス、セラミックス等の無機材料等の絶縁材料で構成されている。また、導電性部材としては、例えば、上記した金属基板の材質からなる金属またはカーボン(炭素)の微粒子や微細線等が挙げられる。そして、このような導電性部材を上記した基材に含有されることで導電性基板11が形成される。
また、導電膜11bが上面に貼られた絶縁基板11aにより構成された導電性基板11は、導電膜11bが、チタン、ステンレス、アルミニウム、銀、銅、およびニッケル等の金属薄膜、ITO(錫ドープ酸化インジウムおよびFTO(フッ素ドープ酸化錫)等の透明導電膜、アルミニウムがドープされた酸化亜鉛よりなる導電膜、または一対のチタン層間にITO層を挟んでなる積層導電膜等で構成される。このような導電膜11bを上述した基材と同等の材質で構成された絶縁基板11a上に、例えば、CVD法により形成することにより、導電性基板11が形成される。
また、導電性基板11は、光電変換装置X1に入射される光を反射する特性を有する構成とすれば、光電変換に寄与する半導体電極12に光を再入射させることができるため、光電変換効率を高めることができる。このような光の反射特性を有する導電性基板11としては、例えば、銀またはアルミニウムの金属基板が挙げられる。また、導電膜11bを有する導電性基板11では、銀または一対のチタン層間に銀層を挟んでなる積層導電膜等がよく、このような導電膜11bは、例えば、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、または電解析出法等で形成できる。
導電性基板11の厚みは0.01mm〜5mm、好ましくは0.02mm〜3mmがよい。また、導電膜11bの厚みは0.001μm〜10μm、好ましくは0.05μm〜2μmがよい。
一方、導電性基板11が透光性を有する材質で構成されている場合は、図1中の矢印Lで示した方向とは反対の方向から入射される光も入射可能となり、光電変換装置X1の受光領域を広げることができる。他方、導電性基板11が透光性を有する材質で構成されている場合は、導電性基板11の裏面(図1中の導電性基板の下面)に光の反射特性が高いアルミニウムや銀等を成膜して光の反射特性を高めると、光電変換に寄与する半導体電極12に光を再入射させることができるため、光電変換効率を高めることができる。
また、導電性基板11の光が入射される上面(半導体電極12が配されている表面)に入射される光の波長オーダーの凹凸を設ければ、光閉じ込め効果を付与することができるため、光電変換効率を高めることができる。
<電子輸送材料>
電子輸送材料は、色素からの電荷(電子)を輸送する機能を有し、導電体、半導体、電解質等が用いられる。本実施の形態では半導体材料からなる金属酸化物14が電子輸送材料として機能する。
半導体材料からなる金属酸化物14の多孔性表面に色素13が吸着されることによって半導体電極12が構成される。半導体電極12は、色素13が光を吸収して励起された電子を金属酸化物14に移動させることにより、光電変換に寄与する機能を有する。また、半導体電極12の厚みは、例えば、0.1μm〜50μmがよい。さらに、この半導体電極12の厚みは、光の透過率を過度に低減することなく、光電変換効率を高めるという観点から、1μm〜20μmが好適である。
金属酸化物14は、チタン(Ti)の酸化物である酸化チタン(TiO)、錫(Sn)の酸化物である酸化錫(SnO)、または亜鉛の酸化物である酸化亜鉛(ZnO)より成るn型半導体で構成されている。このような半導体の性質を有する酸化物は、後に詳述する色素13のLUMOのエネルギー準位より低い伝導帯(コンダクションバンド)を有し、かつ比較的格子欠陥が少ないことから、該欠陥において電子がトラップされにくいため、光電変換装置X1の光電変換効率を高めることができる。とりわけ、酸化チタン(TiO)は、格子欠陥が他の金属酸化物(SnO、ZnO)に比べ少ないという観点から最も好適である。
金属酸化物14は、色素13が吸着される表面積を広げて、より多くの色素を吸着するという観点から、多孔質体で構成されるのが好ましい。このような多孔質体は、気孔率が20%〜80%、より好適には40%〜60%がよい。また、金属酸化物14は、例えば、微粒子もしくは針状体、管状体、または柱状体のような微細な線状体の集合体で形成されており、その平均粒径もしくは平均線径は5nm〜500nmとするのがよく、さらに、微粒子または線上体同士の接合面積の増大および材料作製の簡易化という観点から、10nm〜200nmが好適である。さらに、金属酸化物14をこのような多孔質体で構成すれば、表面が凹凸形状になるため、光閉じ込め効果を高めることができる。
次に、金属酸化物14の形成方法の一例について説明する。なお、以下では、酸化チタンで形成される金属酸化物14について説明する。まず、酸化チタンのアナターゼ粉末にアセチルアセトンを添加した後、脱イオン水とともに混練し、界面活性剤で安定化させた酸化チタンのペーストを作製する。次に、このペーストを、例えば、ドクターブレード法によって、導電性基板11上に塗布し、大気中において300℃〜600℃の温度で、10分〜60分加熱処理することにより、金属酸化物14を形成することができる。
また、導電性基板11が耐熱性の低い材質、例えば有機樹脂材料で構成する場合、金属酸化物14は、例えば、電析法、泳動電着法、水熱合成法等の比較的低温で形成可能な方法を用いるのがよく、加えて、後処理としてマイクロ波処理、CVD/UV処理等を行なうとよい。
<色素>
色素13は、光電変換装置X1に入射される光を吸収し、色素のHOMOに位置する電子が、色素のLUMOの位置に励起され、該LUMOより金属酸化物14に当該電子を移動させる機能を有している。
色素13は、下記一般式1に示すキノイダル複素環連結ドナーアクセプター分子である。
Figure 2011165426
前記一般式1において、Dは隣接原子(キノイダル複素環を構成する原子)と二重結合を有する任意の電子供与性原子団である。また、Aは隣接原子と二重結合を有する任意の電子吸引性原子団である。また、XはNH(窒素−水素)原子団、酸素原子、硫黄原子、セレン原子およびテルル原子のうちいずれか一つである。また、YおよびZは、任意の置換基Rを有していてもよい炭素原子もしくは窒素原子である。YおよびZは同じであってもよく、異なっていてもよい。また、nは自然数を表す。キノイダル複素環連結ドナーアクセプター分子(一般式1)は、電子供与性原子団と電子吸引性原子団が他のもので連結された従来のドナーアクセプター分子に比べ、分子の共平面性が増大し両部位間の相互作用が増大するため、HOMOとLUMOの間のエネルギー差が小さくなり、より長波長領域において光吸収を示す。
次に、半導体電極12の色素13と金属酸化物14と電解質15の組み合わせによる光電変換作用について説明する。なお、色素13は、一般式1において、D=4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンジリデン、A=シアノアクリル酸、X=硫黄原子、Y=Z=(Rが水素原子の)炭素原子(構造図1)で説明する。
Figure 2011165426
光を吸収した色素13は、電子をHOMO準位(−5.67eV)からLUMO準位(−3.86eV)に励起させる。金属酸化物14の伝導帯(コンダクションバンド)は、TiOが−4.2eV、ZnOが−4.4eV、SnOが−4.8eVである。このように、色素13のLUMO準位は、上述した金属酸化物14の伝導帯よりもエネルギー準位が高いため、上記LUMO準位の電子が上記金属酸化物14の伝導帯に移動しやすくなる。加えて、色素13のHOMO準位(−5.67eV)が、電解質15の酸化還元電位よりも低ければ、電解質15から色素13のHOMO準位に電子移動しやすくなる。なお、電解質15の酸化還元電位は、例えば、ヨウ化テトラプロピルアンモニウム、ヨウ化リチウム、およびヨウ素をメトキシプロピオニトリルに溶解してなるヨウ素レドックスの場合、−5.1eVである。
また、一般式1において、隣接原子と二重結合を有する電子供与性原子団Dは、4−(N,N−ジアルキルアミノ)ベンジリデン、3−(N,N−ジアルキルアミノ)ベンジリデン、2−(N,N−ジアルキルアミノ)ベンジリデン、4−(N,N−ジアリールアミノ)ベンジリデン、3−(N,N−ジアリールアミノ)ベンジリデン、2−(N,N−ジアリールアミノ)ベンジリデン、4−メトキシベンジリデン等の任意の電子供与性原子団である。
また、一般式1において、隣接原子と二重結合を有する電子吸引性原子団Aは、ジシアノメチレン、ジカルボキシメチレン、シアノカルボキシメチレン、シアノアクリル酸、ロダニン、バルビツール酸等の任意の電子吸引性原子団である。
また、一般式1においてYまたはZが炭素原子である場合に有している置換基Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、フェニル基、カルボキシル基、チオシアナート基、シアノ基、シアノアクリレート基、スルホン酸基、スルホニル基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、メルカプト基、アリール基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、スルホン酸エステル基、スルホン酸アミド基、カルボン酸エステル基、カルボン酸アミド基、シリル基、シロキシ基、ターシャルブチル基、ホスホリル基等の任意の置換基である。
また、色素13は、電子輸送材料とのエネルギーレベルマッチングが良好となるように電子供与性原子団Dの一部がジアルキルアミノ基またはジアリールアミノ基などのアミノ基となっていることが好ましい。
また、色素13は、電子吸引性原子団側を金属酸化物14に向けて効率良く吸着されるように、電子吸引性原子団Aの端部に吸着置換基を有していることが好ましい。このような吸着置換基としては、例えば、カルボキシル基、カルボキシフェニル基、スルホ基、スルホフェニル基、ヒドロキシル基、アルコキシル基、アリール基、ホスホリル基等が挙げられる。また、吸着置換基は、色素13から金属酸化物14への電子移動が効率良く進むという観点から、カルボキル基が好適である。
次に、一般式1で示される色素13の合成方法の一例について説明する。テトラヒドロフラン中でターシャルブチルシアノ酢酸に水素化ナトリウムを作用させ、2−ヨードチオフェンとパラジウム触媒を加えて3時間70℃に加熱することにより得たシアノ(2−チエニル)酢酸ターシャルブチルエステルと、4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンズアルデヒドとを無水酢酸中で5時間100℃に加熱して色素エステル体を得る。この色素エステル体をメタノールと混合し、塩酸を作用させることにより一般式1でD=4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンジリデン、A=シアノアクリル酸、X=硫黄原子、Y=Z=(Rが水素原子の)炭素原子の色素13を得ることができる。
次に、色素13を金属酸化物14に吸着させて半導体電極12を作製する方法を説明する。半導体電極12の作製方法としては、例えば、金属酸化物14を形成した導電性基板11を色素13が溶解された溶液に浸漬する方法、あるいは金属酸化物14を形成した導電性基板11を封止剤等により周囲を封止した後、封止剤の注入口より色素13を溶解した溶液を注入して該溶液を封止された内部で循環させ金属酸化物14に色素13を吸着させる方法が挙げられる。また、前者において、色素13を溶解した溶液に浸漬する際は、溶液および雰囲気の温度は特に限定されるものではなく、例えば、雰囲気は大気圧下とし、温度は室温とすればよく、浸漬時間は色素13の種類、溶媒の種類、溶液の濃度、温度等により適宜調整することができる。なお、色素13を溶解させるために用いる溶媒は、トルエン等の芳香族炭化水素、メタノール、エタノールなどのアルコール類、アセトン等のケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトニトリル等の窒素化合物等を1種または2種以上混合したものが挙げられる。このとき、溶液中の色素13の濃度は5×10−5〜1×10−3mol/l程度が好ましい。また、この溶液は、色素13の凝集を抑制すべく、添加剤として弱塩基性化合物であるターシャルブチルピリジン等、あるいは弱酸性化合物であるデオキシコール酸等を含んでいてもよい。
<正孔輸送材料>
正孔輸送材料は、色素からの電荷(正孔)を輸送する機能を有し、導電体、半導体、電解質等が用いられる。本実施の形態では電解質15が正孔輸送材料として機能する。電解質15としては、例えば、液体電解質、固体電解質、ゲル電解質、溶融塩等が挙げられる。
液体電解質としては、例えば、第四級アンモニウム塩およびLi塩等を炭酸プロピレン、アセトニトリル等の溶媒に溶解させたものを用いることができる。また、ヨウ化テトラプロピルアンモニウム、ヨウ化リチウム、ヨウ素をメトキシプロピオニトリル等の溶媒に溶解させたものを用いることができる。
固体電解質としては、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンイミンもしくはポリエチレン等の高分子鎖に、スルホンイミダゾリウム塩、テトラシアノキノジメタン塩、ジシアノキノジイミン塩等を有するものが挙げられる。
ゲル電解質は、大別して化学ゲルと物理ゲルとに分けられる。化学ゲルは架橋反応等により化学結合でゲルを形成しているものであり、物理ゲルは、物理的な相互作用により室温付近でゲル化しているものである。ゲル電解質としては、アセトニトリル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートまたはそれらの混合物に対し、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド等のホストポリマーを混入して重合させたゲル電解質が好ましい。なお、ゲル電解質や固体電解質を使用する場合には、低粘度の前駆体をナノ粒子に含有させ、加熱、紫外線照射、電子線照射等の手段で二次元、三次元の架橋反応を起こさせることによってゲル化または固体化させることができる。
溶融塩としては、例えば、ヨウ化物の溶融塩を用いることができる。ヨウ化物の溶融塩としては、イミダゾリウム塩、第4級アンモニウム塩、イソオキサゾリジニウム塩、イソチアゾリジニウム塩、ピラゾリジウム塩、ピロリジニウム塩、ピリジニウム塩等のヨウ化物が挙げられる。また、上述のヨウ化物の溶融塩の具体例としては、例えば、1,1−ジメチルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−エチルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−ペンチルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−イソペンチルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−ヘキシルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−エチルイミダゾリウムアイオダイド、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾールアイオダイド、1−エチル−3−イソプロピルイミダゾリウムアイオダイド、ピロリジニウムアイオダイド等を挙げることができる。
また、正孔輸送材料として用いられる導電体や半導体としては、例えば、一価の銅を含む化合物半導体、GaP、NiO、CoO、FeO、Bi、MoO、Cr等が挙げられ、とりわけ、一価の銅を含む半導体がよい。一価の銅を含む化合物半導体としては、例えば、CuI、CuInSe、CuO、CuSCN、CuS、CuInS、CuAlSeが挙げられ、製造が簡便という観点から、CuIが好適である。
<透明電極>
透明電極16は、電解質15と電荷の授受が可能な導電性を有するとともに、光電変換に寄与する光が透過可能な透光性を有している。即ち、この透明電極16は、半導体電極12と対を成す、対向電極として機能する。透明電極16としては、例えば、錫ドープ酸化インジウム(ITO)膜、不純物ドープの酸化インジウム(In)膜、不純物ドープの酸化亜鉛(ZnO)膜、フッ素ドープの二酸化錫膜等、あるいはこれらを積層してなる積層膜が挙げられる。上述した透明電極16の成膜方法は、成膜する材料に応じて種々選択できるものであり、例えば、低温成長のスパッタリング法、低温スプレー熱分解法、熱CVD法、溶液成長法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、ディップコート法、ゾル・ゲル法等がある。なお、透明電極16は、その表面に入射光の波長オーダーの凹凸を形成すると、光閉じ込め効果を持たせることができる。また、透明電極16では、真空蒸着法やスパッタリング法等で形成したAu、Pd、Al等の薄い金属膜でもよい。電解質15と電荷の授受を効率良く行うために、透明電極16上に触媒(図示なし)を形成することが好ましい。触媒の材質としては、例えば、プラチナ、パラジウム、イリジウム、オスミウム、ルテニウム、ロジウム等の貴金属やカーボン、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等の有機導電材料が挙げられる。
<透光性被覆体>
透光性被覆体17は、光電変換に寄与する光が透過可能な透光性を有して成り、透明電極16等を外部から保護する機能を有する。このような透光性被覆体17としては、例えば、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂シリコンポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、ポリイミド、ポリカーボネート等の樹脂シート、白板ガラス、ソーダガラス、硼珪酸ガラス、セラミックス等の無機質シート、または有機および無機素材を組み合わせてなるハイブリッドシート等が挙げられる。この透光性被覆体17の厚みは0.1μm〜6mm、好ましくは1μm〜4mmがよい。
なお、光電変換装置X1は、吸収する光の波長が異なる複数種の色素13を吸着させた半導体電極12を用いてよい。このような形態であれば、より広範囲な波長領域における光を光電変換することが可能となり、光電変換効率が向上する。また、吸収する光の波長が異なる色素13をそれぞれ吸着させた半導体電極12を有する複数の光電変換装置X1を積層させた形態であっても、より広範囲な波長領域における光を光電変換することが可能となり、光電変換効率が向上する。
このような光電変換装置X1は、該光電変換装置X1を発電手段として用い、この発電手段からの発電電力を負荷へ供給するように成すことによって、光発電装置とすることができる。この光発電装置は、例えば、光電変換装置X1を1つ以上(複数であれば、直列、並列または直並列に)接続したものを発電手段として用い、この発電手段から直接に直流負荷へ発電電力を供給する機構を有するものである。また、光発電装置は、光電変換装置X1から出力された直流電力をインバータ等の電力変換手段を介して適当な交流電力に変換した後、この発電電力を商用電源系統や各種の電気機器等の交流負荷に供給する機構を有していてもよい。さらに、このような光発電装置は、日当たりのよい建物に設置することにより、各種態様の太陽光発電システムとして利用することも可能である。
≪第2の実施形態≫
図2は、本発明の第2の実施形態に係る光電変換装置を示す断面図である。本発明の第2の実施形態に係る光電変換装置X2は、半導体電極12上に配置された電解質15上に、半導体層を有する光電変換体18を有する点で、本発明の第1の実施形態に係る光電変換装置X1と相違する。また、この光電変換体18は、透明電極16と中間層19との間に介在した状態で配されている。
光電変換体18は、入射される光を吸収した後、当該光を電気に変換する光電変換機能を有しており、特に、半導体電極12で光電変換される光と異なる波長の光における光電変換作用に優れている。光電変換体18の半導体層としては、例えば、シリコン系の薄膜半導体層、CIGS(CuInGaSe)等の化合物半導体系、有機薄膜系の薄膜半導体層等が挙げられる。シリコン系としては、例えば、アモルファスシリコン系、ナノサイズ結晶を含むアモルファスシリコン系、微結晶シリコン系などがよく、特に短波長感度を有し、かつ光劣化が小さいという観点から、アモルファスシリコン系が好ましい。なお、アモルファスシリコン系とは、アモルファスシリコンカーバイト、アモルファスシリコンナイトライド等の合金系も含む。また、これら薄膜半導体層を複数層で構成した場合、その接合層は、例えば、pin接合型、pn接合型、ショットキー接合型、ヘテロ接合型等で構成されるような内部電界を生じるものがよい。
中間層19は金属、導電性酸化物及び導電性ポリマーのうちの少なくとも一つを含むことがよい。上記金属から成る場合、または多数の金属から成る島状部から構成されている場合、その材質は、白金,パラジウムなどの白金族元素、または銀,アルミニウム,チタン,鉄,銅,インジウム,クロム,イリジウムなどの金属から成る。上記導電性酸化物の材質としては、スズドープ酸化インジウム,フッ素ドープ酸化スズ,アンチモンドープ酸化スズ,アルミニウムドープ酸化亜鉛,ガリウムドープ酸化亜鉛,酸化亜鉛,酸化インジウム,酸化スズ,酸化チタン,ニオブドープ酸化チタンなど、透明電極としての機能を有することができる酸化物がよい。上記導電性ポリマーの材質は、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)(ポリスチレンスルホナートやトルエンスルホネート等をドーピングしてもよい),ポリビニルカルバゾール,チオフェンなどがよい。
次に、アモルファスシリコン系の薄膜半導体層について詳述する。薄膜半導体層は、例えば、プラズマCVD法によって連続堆積したpin接合の水素化アモルファスシリコン系半導体膜が好適である。この半導体膜は、透明電極16側にp型半導体膜を設けたpin接合とするとよいが、逆接合のnip接合でも構わない。なお、一導電型シリコン系半導体層と逆導電型シリコン系半導体層とは、それぞれp型半導体とn型半導体と、もしくはn型半導体とp型半導体とからなるものを意味する。また実質的に真性であるシリコン系半導体層はi型半導体を意味する。ここで、i型半導体膜がアモルファス(非晶質)であれば、p型半導体膜およびn型半導体膜は少なくともいずれかが微結晶を有するもの、または水素化アモルファスシリコン(a−Si:H)合金系の膜を用いるとよい。また、薄膜半導体層は、光入射側のp型半導体膜に水素化アモルファスシリコンカーバイドを用いると、透光性を高めて光の侵入ロスが少なくなるので、より好ましい。また、薄膜半導体層は、プラズマCVD法以外の他の成膜法として触媒CVD法を用いて成膜してもよい。また、プラズマCVD法と触媒CVD法とを組み合わせると、成膜した半導体膜における光劣化が抑制できるため、信頼性を高めることができる。
次に、光電変換体18の製造方法の一例について説明する。p型の水素化アモルファスシリコン(a−Si:H)膜は、原料ガスとしてSiH+HガスおよびB(Hで500ppmに希釈したもの)ガスを用い、これらのガスの流量をそれぞれ最適化して成膜する。この膜厚は、十分な内部電界を形成しつつ、光の損失を低減するという観点から50Å〜200Åの範囲がよい。i型の水素化アモルファスシリコン(a−Si:H)膜は、原料ガスとしてSiH+Hガスを用い、これらのガスの流量を最適化して成膜する。この膜厚は、十分な光電流を得るとともに、半導体電極12で発電に寄与する光を透過させるという観点から、500Å〜5000Å(0.05μm〜0.5μm)が好適である。続いて、n型の水素化アモルファスシリコン(a−Si:H)膜は、原料ガスとしてSiH+HガスおよびPH(Hで1000ppmに希釈したもの)ガスを用い、これらのガスの流量をそれぞれ最適化して成膜する。この膜厚は、十分な内部電界を形成しつつ、光の損失を低減するという観点から50Å〜200Åの範囲がよい。なお、成膜時の透光性被覆体17および透明電極16の温度は、p型、i型、およびn型膜のいずれも150℃〜300℃の範囲がよい。また、このような薄膜半導体層を含んでなる光電変換体18は、300nm〜700nmの波長の光を吸収しやすく、色素13が吸収しやすい光の波長領域700nm〜1100nmに比べて、短波長側の光でもって光電変換を行う。
このように、光電変換装置X2では、光の入射側に光電変換体18が配置され、該光電変換体18の下方に半導体電極12を含む色素増感型の光電変換部位を有した構造であるため、まず、上述した短波長側の波長領域の光を光電変換体18で吸収した後に、該光電変換体18を透過する長波長側の波長領域の光を吸収する。それゆえ、光電変換装置X2では、より広範囲な波長領域における光電変換が可能となるため、光電変換効率を高めることができる。加えて、光電変換装置X2では、紫外に近い波長の光を吸収する光電変換体18を光の入射側に配置しているため、紫外光による色素13の劣化を低減することができる。
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更を施すことは何等差し支えない。例えば、本実施形態において、電子輸送材料および正孔輸送材料として示した材料は、それぞれ電荷輸送材料の一例として電子および正孔を輸送する材料として示したにすぎず、それぞれ逆の電荷を輸送するものであっても構わない。また、導電性基板11が透明な場合、導電性基板11から光を入射させても構わない。また、第2の実施形態に係る光電変換装置X2では、半導体電極12上に配置された電解質15上に、光電変換体18を有する例、すなわち、正孔輸送材料における色素13とは反対側の位置に光電変換体18を積層した例を示したが、電子輸送材料における色素13とは反対側の位置に光電変換体18を積層してもよい。また、本発明の光電変換装置は、いわゆる色素増感太陽電池に限定されるものではなく、いわゆる有機薄膜太陽電池としても適用できる。また、本発明の有機色素は、本実施形態で示したように、光電変換装置への応用に適しているが、それに限定されず、その広帯域の光吸収性および酸・塩基に対する応答性(電荷移動錯体)を利用して、遮光材料、指示薬などに適用することができる。
以下、本発明の実施例について説明する。
(色素の作製)
テトラヒドロフラン中でターシャルブチルシアノ酢酸に水素化ナトリウムを作用させ、2−ヨードチオフェンとパラジウム触媒を加えて3時間70℃に加熱することにより得たシアノ(2−チエニル)酢酸ターシャルブチルエステルと、4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンズアルデヒドとを無水酢酸中で5時間100℃に加熱して色素エステル体を得た。この色素エステル体をメタノールと混合し、塩酸を作用させることにより一般式1で示された色素13を作製した。なお、本実施例においては、一般式1において、D=4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンジリデン、A=シアノアクリル酸、X=硫黄原子、Y=Z=(Rが水素原子の)炭素原子の構造を有している。
(半導体電極の作製)
まず、導電性基板11として、表面抵抗値が10Ω/□(スクエア)の15mm×25mmサイズのフッ素ドープ酸化錫膜付ガラス基板を準備した。次いで、この導電性基板11上に金属酸化物14である多孔質酸化チタン膜を形成した。多孔質酸化チタン膜の製造方法は、SOLARONIXS社製チタニアペーストTi−Nanoxide T/SPを、4mm×4mmサイズかつ300メッシュのスクリーンを用い、スクリーン印刷法で導電性基板11上に塗布し、120℃で3分間乾燥させる操作を10回繰り返した後、導電性基板11を500℃で30分間焼成し、半導体電極を形成した。なお、多孔質酸化チタン膜の膜厚は、触針式膜厚計で計測したところ20μmであった。
次に、上述したように合成した色素13とデオキシコール酸をメタノールに溶解させてそれぞれの濃度が0.1mM(色素13)および30mM(デオキシコール酸)になるように調製した。次いで、この色素13を含有する溶液に、多孔質酸化チタン膜を形成した導電性基板11を30℃で5時間浸漬した後、該導電性基板11を室温でメタノールにて洗浄することで、半導体電極12を作製した。
(光電変換セルの作製)
まず、直径が約0.7mmの電解液注入孔を2つ有するフッ素ドープ酸化錫膜付きガラス基板上に膜厚が約1nmの白金を成膜した透明電極16を作製した。次いで、この対向電極16の周囲に厚みが約30μmのアイオノマー樹脂を貼付け、該アイオノマー樹脂を介して透明電極16に半導体電極12を接着した。このアイオノマー樹脂は、半導体電極12と透明電極16とで挟まれた領域を外部から封止するものである。次いで、電解質として、0.1Mのヨウ化リチウム、0.025Mのヨウ素、0.6Mのヨウ化ジメチルプロピルイミダゾリウムをアセトニトリルに溶解してなる電解質溶液を作製し、該電解質溶液を上記電解液注入孔より内部に注入することによって、光電変換セルを作製した。
(光電変換セルの特性評価)
作製した光電変換セルに対し、山下電装社製ソーラーシミュレーターYSS−80を用いて、擬似太陽光源(AM1.5、 100mW/cm)を照射し、北斗電工社製ポテンショスタットで光電変換セルの電流電圧特性を測定した。また、分光計器社製ハイパーモノライトSM250Eシステムを用い、ケースレー社ピコアンメータで計測された電流値から算出した分光感度特性評価の結果を図3に示した。
X1、X2:光電変換装置
11:導電性基板
11a:絶縁基板
11b:導電膜
12:半導体電極
13:色素
14:金属酸化物(電子輸送材料)
15:電解質(正孔輸送材料)
16:透明電極
17:透光性被覆体
18:光電変換体
19:中間層

Claims (9)

  1. キノイダル複素環連結ドナーアクセプター分子(一般式1)が電子輸送材料と正孔輸送材料の間に配されてなることを特徴とする光電変換装置。
    Figure 2011165426
    (式中、Dは電子供与性原子団であり、Aは電子吸引性原子団であり、XはNH(窒素−水素)原子団、酸素原子、硫黄原子、セレン原子およびテルル原子のうちいずれか一つであり、YおよびZは、互いに同じかまたは異なり、任意の置換基Rを有していてもよい炭素原子もしくは窒素原子であり、nは自然数を表す。)
  2. 前記電子供与性原子団Dがジアルキルアミノ基またはジアリールアミノ基を有することを特徴とする請求項1記載の光電変換装置。
  3. 前記電子輸送材料は酸化物半導体を具備しており、前記キノイダル複素環連結ドナーアクセプター分子(一般式1)が前記酸化物半導体に吸着されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の光電変換装置。
  4. 前記電子吸引性原子団Aの1つ以上の末端にカルボキシル基を有することを特徴とする請求項3記載の光電変換装置。
  5. 前記電子輸送材料または前記正孔輸送材料に積層された光電変換体をさらに具備することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の光電変換装置。
  6. 前記光電変換体はアモルファスシリコン層を含むことを特徴とする請求項5記載の光電変換装置。
  7. キノイダル複素環連結ドナーアクセプター分子(一般式1)で示される有機色素。
    Figure 2011165426
    (式中、Dは電子供与性原子団であり、Aは電子吸引性原子団であり、XはNH(窒素−水素)原子団、酸素原子、硫黄原子、セレン原子およびテルル原子のうちいずれか一つであり、YおよびZは、同じかまたは異なり、任意の置換基Rを有していてもよい炭素原子もしくは窒素原子であり、nは自然数を表す。)
  8. 前記電子供与性原子団Dがジアルキルアミノ基またはジアリールアミノ基を有することを特徴とする請求項7記載の有機色素。
  9. 前記電子吸引性原子団Aの1つ以上の末端にカルボキシル基を有することを特徴とする請求項7または請求項8記載の有機色素。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015060820A (ja) * 2013-09-20 2015-03-30 積水化学工業株式会社 色素増感太陽電池およびその製造方法

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