JP2011159684A - 静電チャック装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の静電チャック装置1は、一主面を板状試料Wを載置する載置面とするとともに静電吸着用内部電極13を内蔵した静電チャック部2と、この静電チャック部2を所望の温度に調整する温度調整用ベース部3と、これら静電チャック部2と温度調整用ベース部3との間に設けられた絶縁性有機フィルム4とを備え、この絶縁性有機フィルム4の設ける位置及び厚みを面内で調整することにより載置面における温度分布を調整した。
【選択図】図1
Description
このプラズマエッチング技術はドライエッチング技術の一種であり、加工対象となる固体材料の上にレジストでマスクパターンを形成し、この固体材料を真空中に支持した状態で、この真空中に反応性ガスを導入し、この反応性ガスに高周波の電界を印加することにより、加速された電子がガス分子と衝突してプラズマ状態となり、このプラズマから発生するラジカル(フリーラジカル)とイオンを固体材料と反応させて反応生成物として取り除くことにより、固体材料に微細パターンを形成する技術である。
プラズマエッチング装置、プラズマCVD装置等のプラズマを用いた半導体製造装置においては、従来から、試料台に簡単にウエハを取付け、固定するとともに、このウエハを所望の温度に維持する装置として静電チャック装置が使用されている。
また、プラズマエッチング装置の構造や方式の違い等により、ウエハの面内温度分布に差が生じる。
ウエハの面内温度分布を調整する方法としては、従来より、ウエハと静電チャックの吸着面との間にヘリウム等のガスを流動させることにより、面内でガス圧力を調整する静電チャック装置が知られている(特許文献1)。
また、ウエハと静電チャックの吸着面との間の接触面積を調整することにより、ウエハの面内温度分布を調整することのできる静電チャック装置も提案されている。
静電チャック装置にヒータを取り付ける方法としては、静電チャックであるセラミック内にヒータを焼き込む方法や、静電チャックの吸着面の裏側、すなわちセラミック板状体の裏面にスクリーン印刷法にてヒータ材料を所定のパターンにて塗布し、加熱硬化させる方法がある。
また、従来のヒータ機能付き静電チャック装置では、ヒータの急速な昇降温により、静電チャック部や温度調整用ベース部やヒータ自体にクラックが発生することがあり、静電チャック装置としての耐久性が不十分であるという問題点があった。
この静電チャック装置では、第1の接着剤層を、シート状またはフィルム状の接着剤としたことにより、第1の接着剤層の厚みを精度良くかつ容易に制御することが可能となり、静電チャック部と温度調整用ベース部との間の熱伝達をさらに精度良くかつ容易に制御することが可能となる。よって、静電チャック部の載置面における温度分布をさらに精度良くかつ容易に制御することが可能となる。
この静電チャック装置では、静電チャック部の厚みを0.7mm以上かつ3.0mm以下とすることにより、この静電チャック部に十分な強度を付与するとともに、静電チャック部自体の熱容量が小さくなり、載置される板状試料の熱応答性も優れ、また静電チャックの横方向の熱伝達を抑制することが可能であり、シリコンウエハ等の板状試料内で所望の温度分布を得るものとなる。
また、静電チャック部の厚みを0.7mm以上かつ3.0mm以下とすれば、この静電チャック部に十分な強度を付与することができ、その熱容量を小さくすることができ、載置される板状試料の熱応答性も向上させることができ、また、静電チャックの横方向の熱伝達を抑制することができ、シリコンウエハ等の板状試料内で所望の温度分布を得ることができる。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
この載置板11の載置面には、直径が板状試料の厚みより小さい突起部16が複数個形成され、これらの突起部16が板状試料Wを支える構成になっている。
この静電吸着用内部電極13は、酸化アルミニウム−炭化タンタル(Al2O3−Ta4C5)導電性複合焼結体、酸化アルミニウム−タングステン(Al2O3−W)導電性複合焼結体、酸化アルミニウム−炭化ケイ素(Al2O3−SiC)導電性複合焼結体、窒化アルミニウム−タングステン(AlN−W)導電性複合焼結体、窒化アルミニウム−タンタル(AlN−Ta)導電性複合焼結体等の導電性セラミックス、あるいは、タングステン(W)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)等の高融点金属により形成されている。
このような厚みの静電吸着用内部電極13は、スパッタ法や蒸着法等の成膜法、あるいはスクリーン印刷法等の塗工法により容易に形成することができる。
そして、この給電用端子15は支持板12に接合一体化され、さらに、載置板11と支持板12とは、静電吸着用内部電極13及び絶縁材層14により接合一体化されて静電チャック部2を構成している。
この温度調整用ベース部3を構成する材料としては、熱伝導性、導電性、加工性に優れた金属、またはこれらの金属を含む複合材であれば特に制限はなく、例えば、アルミニウム(Al)、アルミニウム合金、銅(Cu)、銅合金、ステンレス鋼(SUS) 等が好適に用いられる。この温度調整用ベース部3の少なくともプラズマに曝される面は、アルマイト処理が施されているか、あるいはアルミナ等の絶縁膜が成膜されていることが好ましい。
この絶縁性有機フィルム4の面内の厚みのバラツキは、10μm以内が好ましい。
ここで、絶縁性有機フィルム4の面内の厚みのバラツキが10μm以上であると、厚みの大小により温度分布に高低の差が生じ、その結果、絶縁性有機フィルム4の厚み調整による温度制御に悪影響を及ぼすので、好ましくない。
ここで、熱伝導率が0.3W/mkより大きい場合には、第2の接着層との熱伝導率の差が減少し、面内の温度差をつけるのが難しくなるので好ましくなく、一方、熱伝導率が0.05W/mkより小さい場合には、静電チャック部2から温度調整用ベース部3へ熱が伝達し難くなり、その結果、静電チャック部2と温度調整用ベース部3との間の熱伝達が制御され、冷却特性が低下するとともに、ウエハ面内の温度制御が難しくなるので好ましくない。
この絶縁性有機フィルム23の厚みは、絶縁性有機フィルム22の厚みの0.5〜3倍になるように設定されている。
特に、シリコン樹脂を成分とする接着剤は、200℃までの耐熱性を有し、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂を成分とする接着剤と比較して伸びが大きく、静電チャック部2と温度調整用ベース部3との間の応力を緩和することができ、しかも熱伝達が高いため、好ましい。
特に、シリコーン樹脂を成分とする接着剤は、200℃までの耐熱性を有し、他の耐熱性接着剤であるエポキシ樹脂やポリイミド樹脂を成分とする接着剤と比較して伸びが大きく、静電チャック部2と温度調整用ベース部3との間の応力を緩和することができ、しかも熱伝導率が高いので、好ましい。
ここで、シート接着材5及び接着剤層6各々の熱伝導率が0.1W/mKより低いと、静電チャック部2から温度調整用ベース部3までの間の温度調整効率が悪く、静電チャック部2からシート接着材5及び接着剤層6を経由して温度調整用ベース部3へ至る部分の熱伝導が小さくなり、静電チャック部2及び板状試料の温度が下がり難くなるので好ましくない。
まず、酸化アルミニウム−炭化ケイ素(Al2O3−SiC)複合焼結体により板状の載置板11及び支持板12を作製する。この場合、炭化ケイ素粉末及び酸化アルミニウム粉末を含む混合粉末を所望の形状に成形し、その後、例えば1600℃〜2000℃の温度、非酸化性雰囲気、好ましくは不活性雰囲気下にて所定時間、焼成することにより、載置板11及び支持板12を得ることができる。
次いで、給電用端子15を、支持板12の固定孔に密着固定し得る大きさ、形状となるように作製する。この給電用端子15の作製方法としては、例えば、給電用端子15を導電性複合焼結体とした場合、導電性セラミックス粉末を、所望の形状に成形して加圧焼成する方法等が挙げられる。
また、給電用端子15を金属とした場合、高融点金属を用い、研削法、粉末治金等の金属加工法等により形成する方法等が挙げられる。
この塗布法としては、均一な厚さに塗布する必要があることから、スクリーン印刷法等を用いることが望ましい。また、他の方法としては、蒸着法あるいはスパッタリング法により上記の高融点金属の薄膜を成膜する方法、上記の導電性セラミックスあるいは高融点金属からなる薄板を配設して静電吸着用内部電極形成層とする方法等がある。
また、給電用端子15は、高温、高圧下でのホットプレスで再焼成され、支持板12の固定孔に密着固定される。
そして、これら接合体の上下面、外周およびガス穴等を機械加工し、静電チャック部2とする。
この絶縁性有機フィルム4の替わりに絶縁性有機フィルム積層体24を用い、温度調整用ベース部3の静電チャック部2との接合面上の所定位置にシート接着材5、絶縁性有機フィルム積層体24を順次重ね合わせることとしてもよい。
この接着剤の塗布方法としては、ヘラ等を用いて手動で塗布する他、バーコート法、スクリーン印刷法等を用いることができる。
次いで、静電チャック部2と温度調整用ベース部3との間隔がスペーサの厚みになるまで落し込み、押し出された余分な接着剤を除去する。
落し込む際の温度は、接着剤の流動性が最も得られる温度下で行うのが好ましい。この落し込みの過程で接着剤が硬化し、接着剤層6となる。
また、温度調整用ベース部3の静電チャック部2との接合面上の所定位置にシート接着材5、絶縁性有機フィルム積層体24を順次重ね合わせることとすれば、静電チャック装置21が得られる。
(静電チャック装置の作製)
公知の方法により、内部に厚み20μmの静電吸着用内部電極が埋設された静電チャック部を作製した。
この静電チャック部の載置板は、炭化ケイ素を8質量%含有する酸化アルミニウム−炭化ケイ素複合焼結体であり、直径は298mm、厚みは0.5mmの円板状であった。また、この載置板の静電吸着面を、高さが30μmの多数の突起部を形成することで凹凸面とし、これらの突起部の頂面を板状試料の保持面とし、凹部と静電吸着された板状試料との間に形成される溝に冷却ガスを流すことができるようにした。
これら載置板及び支持板を接合一体化することにより、静電チャック部の全体の厚みは1.5mmとなっていた。
次いで、温度調整用ベース部の静電チャック部との接合面を、アセトンを用いて脱脂、洗浄し、この接合面上の所定位置に、エポキシ樹脂からなる直径200mm、厚み20μmのシート接着材、ポリイミド樹脂からなる直径200mm、厚み50μmの絶縁性有機フィルムを順次重ね合わせた。
次いで、静電チャック部と温度調整用ベース部との間隔が200μmになるまで落し込んだ。
次いで、大気中、120℃にて5時間保持し、シリコーン樹脂系接着剤を硬化させて静電チャック部と温度調整用ベース部とを接合させ、実施例1の静電チャック装置を作製した。
この静電チャック装置の温度調整用ベース部の流路に冷媒(20℃)を30L/分の流速にて流し、この載置板上に温度測定用のシリコンウエハを載置し、真空装置内にてウエハ上面に設置したヒータによりウエハ表面の熱流速が2.0W/m2となるように加熱し、このウエハの表面温度を測定した。
絶縁性有機フィルム上に、この絶縁性有機フィルムと同じ厚みの接着シートを貼着して2層構造とした他は、実施例1に準じて実施例2の静電チャック装置を作製した。
この実施例2の静電チャック装置を、実施例1に準じて評価した。
(静電チャック装置の作製)
実施例1に準じて、比較例の静電チャック装置を作製した。
ただし、温度調整用ベース部上に直接、スクリーン印刷法によりシリコーン樹脂系接着剤を厚み300μmとなるように塗布し、次いで、静電チャック部と温度調整用ベース部とを接着剤を介して重ね合わせた。
比較例の静電チャック装置を、実施例1に準じて評価した。
この加熱の評価結果によれば、ウエハの面内の温度分布が一定であることが分かった。この静電チャック装置は、実施例の静電チャック装置と比べて、載置面に載置されるシリコンウエハの面内温度分布が大きく、プラズマ印加等に起因する経時的な温度変化の調整や広い温度範囲での温度の調整を行うことができないものであった。
2 静電チャック部
3 温度調整用ベース部
4 絶縁性有機フィルム
4a 周縁部
4b 中心部
5 シート接着材(第1の接着剤層)
6 (第2の)接着剤層
11 載置板
12 支持板
13 静電吸着用内部電極
14 絶縁材層
15 給電用端子
16 突起部
17 碍子
21 静電チャック装置
22 絶縁性有機フィルム
22a 周縁部
22b 中心部
23 絶縁性有機フィルム
24 絶縁性有機フィルム積層体
W 板状試料
Claims (5)
- 一主面を板状試料を載置する載置面とするとともに静電吸着用内部電極を内蔵した静電チャック部と、この静電チャック部を所望の温度に調整する温度調整用ベース部と、これら静電チャック部と温度調整用ベース部との間の全面または一部分に設けられた絶縁性を有する有機フィルムとを備え、前記有機フィルムの設ける位置及び厚みを面内で調整することにより前記載置面における温度分布を調整したことを特徴とする静電チャック装置。
- 前記有機フィルムは、前記温度調整用ベース部の一主面に第1の接着剤層を介して接着されるとともに、前記静電チャック部の他の主面に第2の接着剤層を介して接着され、
前記第1の接着剤層及び前記第2の接着剤層の熱伝導率は、前記有機フィルムの熱伝導率より大であることを特徴とする請求項1記載の静電チャック装置。 - 前記有機フィルムは、面内の所望の領域の厚みを変更するか、または、面内の所望の領域に第2の絶縁性を有する有機フィルムを1層以上積層してなることを特徴とする請求項1または2記載の静電チャック装置。
- 前記第1の接着剤層は、シート状またはフィルム状の接着剤であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記載の静電チャック装置。
- 前記静電チャック部の厚みは、0.7mm以上かつ3.0mm以下であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項記載の静電チャック装置。
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