JP2011158907A - チューナブル共鳴格子フィルタ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】フィルタは、回折格子3と、平面状導波路4と、フィルタをチューニングすることを許容し得るよう選択的に可変の屈折率を有する光透過性材料とを備え、該光透過性材料は、導波路に対するチューナブルクラッディング層5、好ましくは、液晶LC材料で形成する。回折格子3が平面状導波路4に対してチューナブル層5の反対側部に配置され、これによりフィルタのチューニング可能性に顕著に影響を与えずに、格子パラメータを所望のフィルタの帯域幅に特に合わせることができる。共鳴構造体1内にて、コア層4をチューナブル層と直接接触するか又はコアとチューナブル層との間に介在された相対的に薄い中間層と直接接触するチューナブル層5に近接する位置に配置することで、コア層4の有効屈折率を効率的に変化させることができる。
【選択図】図1
Description
クラッディング層2は、格子3上に形成され、該クラッディング層は、チューナブル材料、好ましくは、相対的に広範囲の選択可能な屈折率を有するLC材料にて形成されるものとする。コア層4の屈折率、nc、取り囲む層よりも大きく、光モードを導波路に沿って閉じ込めることを保証する。層5は、選択的に基層(図示せず)上にて成長させ又はそれ自体を基層とし成長させる(機能する)ようにしてもよい。例えば、コア層4は、Si3N4にて形成することができ、層5は(非添加)SiO2にて形成し、Si基層(図示せず)上にて成長させることが好ましい。これと代替的に、層5はガラス基層とし、該ガラス基層にてコア層が成長するようにしてもよい。
横共鳴のマルチパス干渉アプローチ法に従い、共鳴時の構造体のスペクトル応答性の帯域幅の分析学的表現を格子及び導波路のパラメータの関数として、誘導することが可能である。コア層内の第一回折順位の反射効率は、次式のように、回折順位ηdが経験する有効な格子強度の項にて表現することができる。
コア層及び周期的構造体(格子)は、チューナブル層、すなわち屈折率が共鳴帯域幅をチューニングし得るよう変化する層に対する優れた選択対象物ではなく、それは、それらの屈折率の変化は、FWHMにて帯域幅に強力に影響を与え、これにより、異なる共鳴帯域幅における構造体のスペクトル応答性の均一さを妨害するであろうからである。
チューナブル材料の屈折率は、例えば、電圧(V)又は温度(T)を印加することにより提供される電界のような外部パラメータを変更することで変化させることができる。クラッディング層の適宜なチューナブルな材料は、装置の機能及びチューニング可能性に対し対象となる全体電圧(温度)範囲内でその屈折率N1(V)[又はn1(T)]がコアの屈折率よりも小さいままであるように選ばれる。
選択的に、中間層27がコア層上に形成される。中間層は、特に、スパッタリング又は蒸着法により形成されるとき、導電層26の接着性及び(又は)その厚さの均一さを向上させることができる。
回折格子は、矩形の形態を有するものとして示されているが、格子が導波路領域内で光線を結合することを許容する限り、周期的構造体に対するその他の形態が考えられる。回折格子は、図8の共鳴構造体におけるように、一元的又は二元的な周期摂動を発生させることができよう。格子の周期は単一又は多数とし、また、入射光の偏光状態に依存し又は依存しないものとすることができる。
チューナブルクラッディングは電子光学的材料で出来たものであることが好ましいが、必ずしもその必要はない。例えば、ポリマーのような熱光学的材料を使用することも考えられる。チューナブルクラッディングを形成する材料の必要条件は、外部パラメータ、温度(T)又は電界が変化したとき相対的に広範囲にて変化する屈折率を有する必要があることである。熱光学的材料の場合、妥当な温度変化に対し数ナノメートルのチューニング可能性を実現するためには、熱光学的材料は、10-4/℃以上の熱光学的係数dn/dTを有する必要がある。LC材料の大多数は、典型的に、1ないし2V/μm以下である妥当な電界の変化に対して数10分の1のnmチューニング範囲を実現するのに十分に大きい電子光学的係数を呈する。電子光学的又は熱光学的の何れかの適宜な材料の選択は、勿論、用途、すなわち必要とされるチューニング範囲に依存する。
一例として、tc=200nmの場合、Λは、約800ないし1050nmとすることができる。
好ましくは、本発明に従った共鳴格子フィルタは、相対的に小さい回折効率を有する格子を備えるものとする。図11には、図10に示した型式の構造体に対する結合波方程式の解に基づく商業的ソフトウェアを使用して計算した結合効率ηdの関数としてFWHMにおける帯域幅が示されている。検討したFWHMの領域内にFWHMがηdに依存することは第1の一次近似法(a first approximation linear)に対するものである。所望のFWHMが0.4nmである場合、結合効率は0.0015でなければならない。約0.001ないし0.002の範囲に亙る結合効率は、約0.2ないし0.5nmのFWHMに相応する。
図12(a)及び図12(b)には、0nmないし300nmの範囲に亙る空隙層の厚さt空隙の異なる値に対する、図10に示した型式の構造体の格子厚さの関数として、FWHMにおける帯域幅及びチューニング範囲がそれぞれ示されている。t空隙=0とする実線は、空隙層が存在しない、すなわち、コア層格子層上に直接、形成される構造体に相応する。構造的パラメータは次の通りとした。すなわち低屈折率格子層と同様、nc=1.96、n3=1.4455、tc=200nm、Λ=950nm、ΔnG/nG=0.26、n1=1.5ないし1.7とした。曲線は、少なくとも検討した範囲0ないし300nmにおいて、チューニング範囲が空隙層の厚さに相対的に僅かだけ依存することを示す。空隙の厚さの増大は、光学的性能の点にて、格子の厚さの増大と等価的であると考えることができることを認識すべきである。
図8を参照すると、緩衝層及び低屈折率層は、1.445の屈折率を有する(非添加)SiO2で出来ている。高屈折率格子領域は1.54の屈折率を有するSiOxNyにて出来ている。コア層は1.96の屈折率を有するSi3N4にて出来ている。格子の厚さは、220nmである一方、コアの厚さは200nmである。チューニング層は1.5ないし1.7の範囲の屈折率を有するネマチックLCで出来ている。格子期間は、LC材料の屈折率が1.5であるとき、1526nm(C帯域の下限値)の共鳴波長を有するよう948.5nmである。
実施例2
図10に示した型式の構造体を参照すると、緩衝層及び空隙層は1.445の屈折率を有する(非添加)SiO2にて出来ている。高屈折率格子領域は0.96の屈折率を有するSi3N4にて出来ている。コア層は1.96の屈折率を有するSi3N4にて出来ている。格子の厚さは50nmであり、コアの厚さは200nmであり、空隙層の厚さは300nmである。チューニング層は、1.5ないし1.7の範囲の屈折率を有するネマチックLCにて出来ている。格子期間は、LC材料の屈折率が1.5であるとき、1526nm(C帯域の下限値)の共鳴波長を有するよう950nmである。厚さ約1mmのガラス板がLCセルを覆う。ITOにて出来ており且つ、厚さ20nmの透明な導電層がLCセルの両面に配置される。コア層上に配置されたITO層の上方にて、LC材料を心合わせさせ得るよう20nm厚さのポリイミド層が形成される。
この構造体は、半導体デバイスを製造するための標準的な技術を使用して製造することができる。一例として、緩衝層を形成し得るようSiO2層をSi基層上にPECVDにより堆積させる、その後、Si3N4層を緩衝層上に堆積させる。その後、例えば、ドライエッチングによりSi3N4層をエッチングし、形成すべき低屈折率の格子領域に形成するトレンチ領域を形成する。トレンチを充填し且つSiO2の空隙層を格子上に形成すべくSiO2層を堆積させる。
図14のレーザシステムにおいて、チューナブルミラーは、グリッドエタロンのピーク間を判別する粗チューニング要素として作用する。チューナブルミラーのFWHM帯域幅は、グリッドエタロンのFWHM帯域幅よりも狭くない。長手方向単一モード作動の場合、特定のチャネル周波数に相応するFPエタロンの伝送ピークは、単キャビティモードを選ぶ、すなわち伝送しなければならない。このため、FPエタロンは、FWHMにより分割された自由空間範囲(FSR)として画成された微細度を有する必要がある。この微細度は、各チャネル間のキャビティの隣接するモードを抑制する。単一モードレーザ放出の場合、長手方向キャビティモードは、エタロン伝送ピーク(チューナブルミラーにより選ばれたもの)の1つの最大値の上に配置する必要がある。この要領にて、特定の周波数のみがエタロンを透過し、その他の競合する隣接するキャビティは抑制されよう。
レーザシステムが50−GHz間隔に対して設計されるならば、チューナブルミラーの反射帯域は、隣接するチャネルの間にて少なくとも5dBの消光比が得られるよう約0.6nm以下でなければならない。好ましくは、チューナブルミラーのFWHMにおける帯域幅は0.4nm以下である。C帯域に亙ってレーザシステムがチューニング可能であるためには、少なくとも40nmのチューニング範囲を有するチューナブルミラーが必要である。
これと代替的に、本発明に従った共鳴格子フィルタは、WDM及びDWDMシステムに対するチューナブルアド/ドロップ装置にて使用することができる。この用途の場合、広範囲のチューニングに加え、例えば、0.1ないし0.2nmな狭小な帯域幅に、及び−30dB以下であることが好ましい、横方向モードの消光比にて共鳴波長付近にて低サブ帯域に特に合うような設計としなければならない。
1.レーザ放出波長の光線(radiation)を放出する形態とされた外部キャビティチューナブルレーザ(external−cavity tunable laser)(60)であって、チューナブルレーザシステムが複数のキャビティモードを有する外部キャビティを備える、外部キャビティチューナブルレーザ(60)において、
光ビームを外部キャビティ内に放出する利得媒体(61)と、
共鳴波長の光ビームを反射するチューナブル光共鳴格子フィルタ(66;20;40)とを備え、該フィルタは、
回折格子と、
該回折格子と光学的に相互作用する平面状導波路(28;46)とを備え、回折格子及び平面状導波路は共鳴構造体を形成し、
フィルタをチューニングすることを許容する選択的に可変の屈折率を有する光透過性材料を備え、前記光透過性材料は、平面状導波路に対するチューナブルクラッディング層(30;43)を形成し、
平面状導波路は、回折格子とチューナブルクラッディング層との間に配置される、外部キャビティチューナブルレーザ。
2.上記1.に記載のレーザシステムにおいて、
放出された光線は長手方向単一モードである、レーザシステム。
3.上記1.に記載のレーザシステムにおいて、
選んだ波長グリッドの相応するチャネルと実質的に心合わせされた複数の通過帯域を画成し得るよう外部キャビティ内に配置されたチャネル割り当てグリッド要素を更に備える、レーザシステム。
4.上記3.に記載のレーザシステムにおいて、
チューナブル共鳴格子フィルタは、光ビームをチューニングすべきチャネルを選び得るよう通過帯域の1つをチューニング可能に選ぶべく外部キャビティ内に配置される、レーザシステム。
5.上記3.又は4.に記載のレーザシステムにおいて、
選んだ波長グリッドは、50GHz又は25GHzチャネル間隔を有する、レーザシステム。
6.上記1.に記載のレーザシステムにおいて、
チューナブル共鳴格子フィルタは、光ビームが平面状導波路の主要面に対し実質的に垂直にフィルタに衝突するよう、外部キャビティ内に配置される、レーザシステム。
7.共鳴波長の光線(optical radiation)を反射する光共鳴格子フィルタ(20;40)において、
低屈折率領域(21;53)と、高屈折率領域(22;50)とを備える周期的構造体を有し、0.0026以下の結合効率ηdを有する回折格子(23;52)と、
前記回折格子と光学的に相互作用する平面状導波路(28;46)とを備え、回折格子及び平面状導波路は共鳴構造体を形成し、
フィルタのチューニングを許容し得るよう選択的に可変の屈折率を有する、光透過性材料であって、平面状導波路に対するチューナブルクラッディング層(30;43)を形成する前記光透過性材料を備え、
平面状導波路は、回折格子とチューナブルクラッディング層との間に配置される、共鳴波長の光線を反射する光共鳴格子フィルタ。
8.上記7.に記載のフィルタにおいて、
光透過性材料は、その選択的に可変の屈折率が電気信号により制御される液晶材料である、フィルタ。
9.上記7.に記載のフィルタにおいて、
回折格子の結合効率は、0.001ないし0.002の範囲にある、フィルタ。
10.上記7.に記載のフィルタにおいて、
平面状導波路は、チューナブルクラッディング層の可変屈折率及び回折格子の平均屈折率よりも大きい屈折率ncを有する層である、フィルタ。
11.上記10.に記載のフィルタにおいて、
平面状導波路に対して回折格子と対向する位置に配置された緩衝層(24、47)を更に備え、
該緩衝層は、回折格子の平均屈折率よりも小さい屈折率n3を有する、フィルタ。
12.上記7.ないし11.の何れか1つの項に記載のフィルタにおいて、
平面状導波路と回折格子との間に配置された空隙層(51)を更に備え、
該空隙層は、導波路の屈折率及び回折格子の屈折率よりも小さい屈折率を有する、フィルタ。
13.上記11.又は12.に記載のフィルタにおいて、
平面状導波路は、窒化ケイ素材料にて出来ており、
窒化ケイ素又は酸窒化ケイ素の高屈折率領域、低屈折率領域及び緩衝層は二酸化ケイ素にて出来ている、フィルタ。
14.上記12.に記載のフィルタにおいて、
空隙層は二酸化ケイ素にて出来ている、フィルタ。
15.上記8.ないし14.の何れか1つの項に記載のフィルタにおいて、
電気信号を光透過性材料に亙って印加し得るよう光透過性材料の両側部に配置された2つの光透明な導電層(26;42;29;44)を更に備える、フィルタ。
Claims (18)
- 回折格子と、光透過性のクラッディング層と、当該回折格子と当該クラッディング層との間に配置された平面状導波路とを有するチューナブルフィルタにおいて、
前記回折格子は、周期的構造体の中に整列された高屈折率領域と低屈折率領域とを有し、
前記回折格子の結合効率ηdは、0.0026より大きくなく、
前記平面状導波路は、前記回折格子と光学的に相互作用して共鳴構造体を形成し、
前記光透過性のクラッディング層は、選択的に可変の屈折率を有して前記チューナブルフィルタがチューニングされるようにする、フィルタ。 - 請求項1に記載のフィルタにおいて、
前記光透過性のクラッディング層は、熱光学的材料で形成されている、フィルタ。 - 請求項1に記載のフィルタにおいて、
前記光透過性のクラッディング層は、液晶材料で形成されており、
前記光透過性のクラッディング層の前記屈折率は、電気信号によって制御される、フィルタ。 - 請求項1に記載のフィルタにおいて、
前記回折格子の前記結合効率は、0.001から0.002の範囲にある、フィルタ。 - 請求項1に記載のフィルタにおいて、
前記平面状導波路の屈折率は、
前記光透過性のクラッディング層の前記可変の屈折率よりも大きく、
前記回折格子の平均屈折率よりも大きい、フィルター。 - 請求項5に記載のフィルタにおいて、
緩衝層を更に有し、
前記回折格子は、前記緩衝層と前記平面状導波路との間に配置され、
前記緩衝層の屈折率は、前記回折格子の前記平均屈折率よりも小さい、フィルタ。 - 請求項1乃至6のいずれか1項に記載のフィルタにおいて、
前記平面状導波路と前記回折格子との間に配置された空隙層を更に有し、
前記空隙層の屈折率は、
前記平面状導波路の前記屈折率よりも小さく、
前記回折格子の平均屈折率よりも小さい、フィルタ。 - 請求項6又は7に記載のフィルタにおいて、
前記平面状導波路は、窒化ケイ素で形成されており、
前記高屈折率領域は、窒化ケイ素又は酸窒化ケイ素で形成されており、
前記低屈折率領域及び前記緩衝層は、二酸化ケイ素で形成されている。フィルタ。 - 請求項7に記載のフィルタにおいて、
前記空隙層は、二酸化ケイ素で形成されている、フィルタ。 - 請求項3に記載のフィルタにおいて、
前記光透過性のクラッディング層の両側に配置された2つの光透明な導電層を更に有し、
電気信号が前記光透過性のクラッディング層に亙って印加される、フィルタ。 - 複数のキャビティモードを有する外部キャビティと、
光ビームを前記外部キャビティ内に放出する利得媒体と、
前記外部キャビティ内にあり、共鳴波長の光ビームを反射するチューナブルフィルタと、
を有する外部キャビティレーザシステムにおいて、
前記チューナブルフィルタは、回折格子と、光透過性のクラッディング層と、当該回折格子と当該光透過性のクラッディング層との間に配置された平面状導波路と、を有し、
前記平面状導波路は、前記回折格子と光学的に相互作用して共鳴構造体を形成し、
前記光透過性のクラッディング層は、選択的に可変の屈折率を有して前記チューナブルフィルタがチューニングされるようにする、レーザシステム。 - 請求項11に記載のレーザシステムにおいて、
前記レーザシステムは、長手方向単一モードで光線を放出する、レーザシステム。 - 請求項11に記載のレーザシステムにおいて、
前記外部キャビティ内にグリッド要素を更に有し、
前記グリッド要素は、選択された波長グリッドの相応するチャネルと実質的に芯合わせされた複数の通過帯域を有する、レーザシステム。 - 請求項13に記載のレーザシステムにおいて、
前記チューナブルフィルタは、光ビームをチューニングするために、通過帯域の1つをチューニング可能に選択する、レーザシステム。 - 請求項13に記載のレーザシステムにおいて、
前記選択された波長グリッドは、50GHz又は25GHzのチャネル間隔を有する、レーザシステム。 - 請求項11に記載のレーザシステムにおいて、
光ビームは、前記平面状導波路の主要面に対して垂直に前記チューナブルフィルタに衝突する、レーザシステム。 - 請求項11に記載のレーザシステムにおいて、
前記光透過性のクラッディング層は、熱光学的材料で形成されている、レーザシステム。 - 請求項11に記載のレーザシステムにおいて、
前記光透過性のクラッディング層は、液晶材料で形成されている、レーザシステム。
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