以下、本発明の実施の形態について図面等を用いて詳細に説明する。
本発明は、従来の印刷版の版面が上向きになるように配置するとともに、印刷版の上方から洗浄剤を噴射させて洗浄する洗浄機を備えたパターン形成装置では、インクが印刷版の凹部に落ち込むため、短時間または高清浄度で版洗浄ができないという欠点を考慮したものである。かかる欠点に対して、版面が下向きになるように印刷版を配置するとともに、印刷版の下方から洗浄剤を噴射させて洗浄する洗浄機を配置している。
具体的には、表面にシリコンブランケットを備えた印刷ロールと、印刷ロール表面にパターン物資となるベタ膜を形成するための塗布装置と、印刷ロール表面に形成されたパターン物資となるベタ膜に接触させて不要な部分を除去することにより印刷ロール表面に所望のパターンを形成するための凸状印刷版と、印刷ロール表面に形成されたパターンを転写するための被印刷体とを有する反転印刷装置において、凸状印刷版を印刷ロールの上方、かつ版面を下方に向けて配置するだけでなく、凸状印刷版を被印刷体の両側に配置するとともに、洗浄装置及び乾燥装置を有する洗浄機を凸状印刷版の下方、かつ洗浄機の噴射ノズルを上方に向けて配置したことを特徴とするパターン形成装置である。
以下に具体的な実施例を示して、本願発明の内容をさらに詳細に説明する。以下の実施例は本願発明の内容の具体例を示すものであり、本願発明がこれらの実施例に限定されるものではなく、本明細書に開示される技術的思想の範囲内において当業者による様々な変更および修正が可能である。
図1は、本実施例に係る反転印刷法を利用したパターン形成装置を概略的に示した断面図である。図1(a)におけるパターン形成装置は、フレーム1,印刷ロール2,塗布装置3,印刷版4,被印刷体5,ステージ6,ステージ7,可動ベース8,洗浄装置9,乾燥装置10,洗浄剤等回収装置11,洗浄機12を有する。なお、パターン形成装置にフレーム1は必ずしも必要ない。図1(a)において、フレーム1の上部に可動ベース8が配置され、可動ベース8の下面にステージ6及びステージ7が固定配置される。印刷ロール2の上方に可動ベース8が配置され、可動ベース8の下面にステージ6及びステージ7が配置されているとも言える。ステージ6及びステージ7の下面に印刷版4及び被印刷体5が吸着配置される。被印刷体5の上面にステージ7が配置されているとも言える。ステージ6を第1ステージ、ステージ7を第2ステージとする。被印刷体5には、印刷ロール2に形成されたインクが転写される。フレーム1の下方に印刷ロール2及び塗布装置3が固定配置される。印刷ロール2の下方に塗布装置3が配置されているとも言える。フレーム1の下部かつ印刷ロール2の回転方向側に洗浄機12が固定配置される。洗浄機12は洗浄装置9,乾燥装置10及び洗浄剤等回収装置11を有する。図1(a)におけるパターン形成装置は印刷版4及び被印刷体5が移動するタイプである。洗浄装置9の噴射ノズル及び乾燥装置10の噴射ノズルは可動ベース8が存在する側に向けられている。
なお、図1(a)では洗浄装置を固定配置したが、これに限定されるものではなく、移動可能な洗浄機を設置してもよい。
また、図1(a)では印刷ロールをロール周長の1/2を利用してパターン形成したが、これに限定されるものではなく、ロールの全周長を利用する印刷ロールにしてもよい。
図1(a)に示すように、印刷版4は印刷ロール2の上方に配置され、印刷版4の版面は下向きに配置される。印刷版4を洗浄及び乾燥するための洗浄機12は印刷版4の下方に配置される。これにより、簡易な液体洗浄法として周知のジェット洗浄方式の採用が可能になり、高清浄度の版洗浄が行えるだけでなく、パターン幅が10ミクロン以下の微細パターン形成にも対応可能であり、高精細,高再現性,高稼働率のパターン形成ができる。
特に、可動ベース上に整列配置された印刷版及び被印刷体が固定配置された印刷ロールの上方を水平方向に短い距離を移動しながらパターン形成するため、高寸法精度のパターンが形成できることと低コストのパターン形成装置ができる。
また、パターン形成において、それぞれ印刷ロールの周長の1/2を利用してパターン形成するため、印刷ロールの表面に装着されているシリコーンゴムを最表面に配置したブランケットの交換時間を長くすることができる。さらに、印刷ロールの直径を大きくしたことにより、印刷ロールと印刷版の接触する面積が大きくなるために圧縮応力に対するブランケットの変形が小さくなるので、印刷版の凹深さを浅くすることができる。また、印刷ロールは印刷ロールの全周長を利用してもよく、パターン幅が10ミクロン以下の微細パターン形成にも対応可能であり、高精細,高再現性,高稼働率のパターン形成ができる。また、可動部がベースと印刷ロールの2つだけと少なく、かつ、ベースの移動距離が短いので、高精細,高再現性,高稼働率のパターン形成ができる。
また、洗浄剤等回収装置は洗浄剤の回収だけでなく、印刷ロール及び被印刷体への洗浄剤の飛散防止の役目をするため、安定に高精細,高再現性,高稼働率のパターン形成ができる。
図2は、図1(a)に示したパターン形成方法を概略的に示した工程断面図である。
まず、印刷ロール2に対して可動ベース8上に配置された印刷版4及び被印刷体5を右方向に移動させながらパターン形成を行う工程について説明する。図1(a)に示す印刷ロール2の表面にインクベタ膜13を形成する工程は次の通りである。シリコンブランケットを装着した印刷ロール2の下方に配置された塗布装置3のスリット3cを上方に移動させて印刷ロール2に接触させる。その後、印刷ロール2の表面とスリット3cとの間隙を所定値にするようにスリット3cを下方に移動,固定した状態で所定の回転数で印刷ロール2を回転させることにより、所望の膜厚のインクベタ膜が形成される。
なお、印刷ロール2の表面にインクベタ膜13を形成する工程において、可動ベース8上に配置された印刷版4とスリット3c中央部との間の距離Lは印刷ロール2の周長の1/2である。また、印刷版4の長さ及び被印刷体5の長さも印刷ロール2の周長の1/2である。
また、印刷ロール2の回転速度と印刷版4及び被印刷体5が配置された可動ベース8の移動速度は同一で、かつ、回転及び移動の開始は同期している。さらに、印刷版4の終端部と被印刷体5の先端部との距離は、印刷ロール2の周長の1/2である。
次に、図2(b)に示す印刷ロール2の表面にインクパターン13aを形成する工程は次の通りである。印刷ロール2の表面に形成されたインクベタ膜13の先端位置が塗布装置3のスリット3c中央部上に達したところでインクベタ膜13は印刷版4と接触する。印刷ロール2の表面に形成されたインクベタ膜13から印刷版4の凸部と接触した部分のインクが除去され、印刷ロール2の表面にインクパターン13aが形成される。
なお、印刷ロール2の表面に形成されるインクパターン13aは、印刷版4に形成された凹パターンに相当するものである。印刷ロール2の表面に形成されたインクベタ膜13に印刷版4が接触した際に、印刷版4に形成された凹パターンの底面にインクベタ膜が接触しないように、印刷版4の凹深さを設定することが重要である。
次に、図2(c)に示す印刷ロール2表面に形成されたインクパターン13aを被印刷体5に転写及び印刷版4上に残されたインクを除去及び洗浄する工程は次の通りである。印刷版4の先端部が洗浄装置9の配置位置に達すると同時に洗浄が開始する。それとともに、被印刷体5の先端も印刷ロール2上に形成されたインクパターン13aの先頭パターンに接触すると同時に、インクパターン13aが被印刷体5へ転写される。さらに、印刷版4上に残存するインク13cの除去及び洗浄が完了するとともに、同時に、被印刷体5へのインクパターン13aの転写も完了する。
次に、図2(d)に示すインクパターンが転写された被印刷体5aを搬出及び新しい被印刷体5を搬入する工程は次の通りである。印刷版4の終端部から塗布装置3のスリット3c中央の延長線上までの距離が印刷ロールの1/2周長になったところで可動ベース8を停止する。そこで、インクパターンが転写された被印刷体5を搬出するとともに、新しい被印刷体を搬入,セットしてパターン形成工程を終了する。
上述した工程を繰り返し行うことにより、印刷再現性及び稼働率の高く、低コストのパターン形成ができる。また、液体を利用した版洗浄が困難とされるパターン幅が10ミクロン以下の印刷版使用時においても、高清浄度の版洗浄が可能であり、印刷再現性の高く、安定したパターン形成ができる。
さらに、印刷ロール表面に装着されたシリコンブランケットの別々の半周面を利用してパターンを形成するので、シリコンブランケットの交換時間が長いという本実施例の特徴である。ただし、印刷ロールをロール周長の1/2を利用してパターン形成したがこれに限定されるものではなく、ロールの全周長を利用する印刷ロールにしてもよい。
図3は、本実施例に係る反転印刷法を利用したパターン形成装置を用いたパターン形成工程を概略的に示した工程図である。同図に示すように、パターン形成は、次の6工程からなる。
1)印刷ロール表面の1/2周長部分にインクベタ膜を形成する。それと同時に、印刷版及び被印刷体がセットされた可動ベースを印刷ロール周長の1/2に相当する距離だけ移動させる。
2)印刷ロール表面の1/2周長部分に形成されたインクベタ膜に印刷版を接触させて、インクベタ膜から不要な部分のインクを除去することにより、印刷ロール表面にインクパターンを形成する。
3)印刷ロールを1/2周長分だけ回転させて、被印刷体へインクパターンを転写する準備をする。
4)印刷ロール表面形成されたインクパターンをガラス基板等の被印刷体に接触させて、インクパターンを被印刷体へ転写する。それと同時に、印刷版上に残っているインクを洗浄機により洗浄,乾燥する。
5)インクパターンが形成された被印刷体を搬出する。それと同時に、印刷ロールを1/2周長分だけ回転させて、使用していない印刷ロール表面にインクベタ膜を形成する準備をする。
6)新しい被印刷体を搬入,セットし、復路のパター形成の準備をする。
この6工程における印刷ロール,塗布装置,印刷版と被印刷体とがセットされた可動ベース,洗浄機等の装置制御としては以下の態様が考えられる。1)の工程では、印刷ロールの回転速度と印刷版及び被印刷体がセットされた可動ベースの移動速度とが同速度であり、回転及び移動を同時に開始する。2)の工程では、インクパターンの形成を開始すると同時に、塗布装置のスリットが下方に降下してインクベタ膜の形成を停止する。4)の工程では、インクパターンの転写を開始すると同時に、洗浄機による印刷版の洗浄を開始する。これらの装置制御を精度よく行うことにより、連続的にパターン形成装置を稼働することができるだけでなく、フォトリソプロセス並みの品質有するパターンが形成できる。
図1(b)におけるパターン形成装置は、フレーム1,印刷ロール2,塗布装置3,印刷版4,被印刷体5,ステージ6,ステージ7,可動ベース8,洗浄装置9,乾燥装置10,洗浄剤等回収装置11,洗浄機12を有する。なお、パターン形成装置にフレーム1は必ずしも必要ない。図1(b)において、フレーム1の上部に固定ベース8が配置され、固定ベース8の下面にステージ6及びステージ7が固定配置される。ステージ6及びステージ7の下面に印刷版4及び被印刷体5が吸着配置される。フレーム1の上面あるいは下面をガイドにして移動する可動機能を備えた印刷ロール2及び洗浄機12が配置される。洗浄機12は、2基の洗浄装置9,乾燥装置10及び洗浄剤等回収装置11を有する。フレーム1の下方かつ印刷版4の先端部とスリット3cの中央部が一致するように、が固定配置される。図1(b)のパターン形成装置は、印刷ロール2及び洗浄機12が移動するタイプである。
なお、図1(b)では洗浄装置9を2基設置したが、これに限定されるものではなく、洗浄装置9を1基または複数設置したものでもよい。
図1(b)に示すように、印刷版4は印刷ロール2の上方、かつ版面を下向きに配置される。さらに、印刷版4を洗浄及び乾燥するための洗浄機12を印刷版4の下方に配置することにより、簡易な液体洗浄法として周知のジェット洗浄方式の採用が可能になる。また、高清浄度の版洗浄が行えるだけでなく、パターン幅が10ミクロン以下の微細パターン形成にも対応可能であり、高精細,高再現性,高稼働率のパターン形成ができる。
特に、印刷ロール2及び洗浄機12が可動してパターン形成するため、印刷版の複数洗浄が可能になるので、精細度の高いパターンが高い再現性で安定に形成できる。
さらに、パターン形成において、それぞれ印刷ロールの周長の2/1を利用してパターン形成するため、印刷ロール2の表面に装着されているシリコーンゴムを最表面に配置したブランケットの交換時間を長くすることができる。また、印刷ロールの直径を大きくしたことにより、印刷ロールと印刷版の接触する面積が大きくなるために圧縮応力に対するブランケットの変形が小さくなるので、印刷版の凹深さを浅くすることができる。また、洗浄剤等回収装置11は洗浄剤の回収だけでなく、印刷ロール及び被印刷体への洗浄剤の飛散防止の役目をするため、安定的に高精細,高再現性,高稼働率のパターン形成ができる。
図4は、図1(b)に示したパターン形成方法を概略的に示した工程断面図である。図4(a)に示す印刷ロール2表面にインクベタ膜を形成する工程は次の通りである。シリコンブランケットを装着した印刷ロール2の下方に配置された塗布装置3のスリット3cを上方に移動させて印刷ロール2に接触する。その後、印刷ロール2の表面とスリット3cとの間隙を所定値にするようにスリット3cを下方に移動,固定した状態で印刷ロール2を所定の膜厚が形成できる回転数で回転させることにより、所定の膜厚のインクベタ膜を形成する。
なお、印刷ロール2の表面にインクベタ膜13を形成する工程において、印刷版4の先端部,印刷ロール2の中心部及びスリット3cの中央部が略一致するように、固定ベース上に配置された印刷版4,印刷ロール2及び塗布装置3は配置されている。
また、印刷版4の長さ,被印刷体5の長さ,印刷版4の終端部から被印刷体5の先端部までの距離は、印刷ロール2の周長の1/2である。
次に、図4(b)に示す印刷ロール2の表面にインクパターン13aを形成する工程は次の通りである。印刷ロール2の表面に形成されたインクベタ膜13の先頭部が印刷版4の先端部に達して、インクベタ膜13は印刷版4と接触する。それと同時に、印刷ロール2が被印刷体5の方向に移動を開始し、印刷ロール2の表面に形成されたインクベタ膜13から印刷版4の凸部と接触した部分のインクが除去され、印刷ロール2の表面にインクパターン13aが形成される。
このインクパターン13aの形成が終了すると同時に、印刷版4上に残存するインクを洗浄するため、2基の洗浄装置9,乾燥装置10及び洗浄剤回収装置11を有する洗浄機12が印刷版4の方向に移動を開始する。
なお、印刷ロール2表面に形成されるインクパターンは、印刷版4に形成された凹パターン部に相当するものである。印刷ロール2の表面に形成されたインクベタ膜13に印刷版4が接触した際に、印刷版4に形成された凹パターンの底面にインクベタ膜が接触しないように、印刷版4の凹深さを設定することが重要である。
次に、図4(c)に示す印刷ロール2の表面に形成されたインクパターン13aを被印刷体5に転写及び印刷版4上に残存するインクを除去,洗浄する工程は次の通りである。印刷ロール2の表面に形成されたインクパターン13aが被印刷体5に接触して転写を開始する。それと同時に、印刷版4の先端部に移動していた洗浄機12が洗浄を開始する。印刷ロール2の表面に形成されたインクパターン13aがすべて被印刷体5へ転写されてインクパターン13aの転写が完了する。それと同時に、洗浄機12による印刷版4上に残されたインクの除去,洗浄も完了する。
次に、図4(d)に示すインクパターンが転写された被印刷体5aを搬出及び新しい被印刷体5を搬入する工程は次の通りである。印刷ロール2のロールの中心部が印刷版4の先端部及び塗布装置3のスリット3cの中央部の延長線上に一致する位置に印刷ロール2を移動,停止させる。それと同時に、洗浄機12を塗布装置3側の所定の待機位置へ移動,停止させる。インクパターン13aが転写された被印刷体5aを搬出するとともに、新しい被印刷体を搬入,セットしてパターン形成工程を終了する。
上述した工程を繰り返し行うことにより、印刷再現性及び稼働率の高く、低コストのパターン形成が行える。また、液体を利用した版洗浄が困難とされるパターン幅が10ミクロン以下の印刷版使用時においても、高清浄度の版洗浄が可能であり、印刷再現性の高く、安定したパターン形成ができることも本実施例の特徴である。
さらに、パターン形成時において、印刷ロール表面に装着されたシリコンブランケットの別々の半周面を利用してパターンを形成するので、シリコンブランケットの交換時間が長いという本実施例の特徴である。
なお、本実施例では洗浄装置を2基配置したが、単基配置または複数配置でもよい。また、乾燥装置についても同様であり、1基または複数基から構成してもよいだけでなく、同じ印刷版を2度洗浄してもよい。
図5は、本実施例に係る反転印刷法を利用したパターン形成装置を用いたパターン形成工程を概略的に示した工程図である。同図に示すように、パターン形成は、次の6工程からなる。
1)印刷ロール表面の1/2周長部分にインクベタ膜を形成する。なお、印刷ロールの中心部,塗布装置のスリットの中央部,印刷版の先端部が一致するように、印刷ロール,塗布装置及び印刷版が配置されている。
2)印刷ロール表面の1/2周長部分に形成されたインクベタ膜に印刷版を接触させながら印刷ロールを被印刷体方向に移動させ、インクベタ膜から不要な部分のインクを除去することにより、印刷ロール表面にインクパターンを形成する。
3)印刷ロールを1/2周長分だけ回転させながら印刷ロールの中心部が被印刷体の先端部と一致する位置に印刷ロールを移動させ、印刷ロールの表面に形成されたインクパターンを被印刷体へ転写する準備をする。
4)印刷ロールの表面に形成されたインクパターンをガラス基板等の被印刷体に接触させながら印刷ロールを移動させ、印刷ロールの表面に形成されたインクパターンを被印刷体へ転写する。それと同時に、洗浄機を被印刷体の方向へ移動させながら印刷版上に残存するインクを洗浄,乾燥する。
5)インクパターンが転写,形成された被印刷体を搬出する。
6)新しい被印刷体を搬入,セットし、次のパター形成の準備をする。それと同時に、印刷ロールを塗布装置上の所定の位置へ移動させるとともに、洗浄機を塗布装置側の所定の待機位置に移動する。
この6工程における印刷ロール,塗布装置,洗浄機等の装置制御としては以下の態様が考えられる。1)の工程における印刷ロールの回転と塗布装置のスリットの上下動。2)と3)の工程における印刷ロールの回転速度と移動速度。4)の工程における印刷ロールの回転速度と移動速度及び洗浄機の移動速度等。これらの装置制御を精度よく行うことにより、連続的にパターン形成装置を稼働することができるだけでなく、フォトリソプロセス並みの品質を有するパターンが形成できる。
図1(c)におけるパターン形成装置は、フレーム1,印刷ロール2,塗布装置3,印刷版4,被印刷体5,ステージ6,ステージ7,可動ベース8,洗浄装置9,乾燥装置10,洗浄剤等回収装置11,洗浄機12を有する。なお、パターン形成装置にフレーム1は必ずしも必要ない。図1(c)において、フレーム1の上部に固定ベース8aが配置される。固定ベース8aを第1ベースとする。フレーム1の下部に固定ベース8bが配置される。印刷ロール2の下方に固定ベース8bが配置されているとも言える。固定ベース8bを第2ベースとする。上部の固定ベース8aの下面にステージ6が固定配置される。ステージ6の下面に印刷版4が吸着配置される。したがって、上部固定ベース部は、固定ベース8a,ステージ6及び印刷版4を有する。下部の固定ベース8bの上面にステージ7が固定配置される。ステージ7の上面に、印刷版4の終端部と被印刷体5の先端部との距離が印刷体4及び被印刷体5の長さと同じになるように、被印刷体5が吸着配置される。したがって、下部部固定ベース部は、固定ベース8b,ステージ7及び被印刷体5を有する。被印刷体5の下面にステージ7が配置されているとも言える。フレーム1の上面あるいは下面をガイドにして移動する可動機能を備えた印刷ロール2及び洗浄機12が配置される。洗浄機12は、2基の洗浄装置9,1基の乾燥装置10及び1基の洗浄剤等回収装置11を有する。フレーム1の下方かつ印刷版4の先端部とスリット3cの中央部との距離が印刷版の長さと同じになるように、塗布装置3が固定配置される。印刷ロール2及び洗浄機12が移動するタイプのパターン形成装置である。
なお、図1(c)では洗浄装置を2基設置したが、これに限定されるものではなく、洗浄装置を1基または複数基設置したものでもよい。また、図1(c)では塗布装置3を印刷版4の先端部とスリット3cの中央部との距離が印刷版4及び被印刷体5の長さと同じになるように配置したが、これに限定されるものではなく、印刷版4の先端部とスリット3cの中央部とが一致するように配置でもよい。なお、この場合には、印刷版4の終端部と被印刷体5の先端部とが一致するように配置してもよい。
図1(c)に示すように、印刷版4が印刷ロール2の上方に配置され、かつ印刷版4の版面が下向きに配置され、さらに、印刷版4を洗浄及び乾燥するための洗浄機12が印刷版4の下方に配置されることにより、簡易な液体洗浄法として周知のジェット洗浄方式の採用が可能になる。また、高清浄度の版洗浄が行えるだけでなく、パターン幅が10ミクロン以下の微細パターン形成にも対応可能であり、高精細,高再現性,高稼働率のパターン形成ができることを特徴とするものである。
特に、印刷ロール及び洗浄機が可動してパターン形成するだけでなく、被印刷体5が印刷ロール2の下方に配置されてパターン形成するため、印刷版の複数洗浄が可能になる。したがって、精細度の高いパターンが高い再現性で安定に形成できることと被印刷体の搬入及び搬出が低コストの簡易装置を使用できる。
さらに、パターン形成において、それぞれ印刷ロールの周長の2/1を利用してパターン形成するため、印刷ロールの表面に装着されているシリコーンゴムを最表面に配置したブランケットの交換時間を長くすることができる。また、印刷ロールの直径を大きくしたことにより、印刷ロールと印刷版の接触する面積が大きくなるために圧縮応力に対するブランケットの変形が小さくなるので、印刷版の凹深さを浅くすることができる。
また、洗浄剤等回収装置は洗浄剤の回収だけでなく、印刷ロール及び被印刷体への洗浄剤の飛散防止の役目をするため、安定に高精細,高再現性,高稼働率のパターン形成ができる。
図6は、図1(c)に示したパターン形成方法を概略的に示した工程断面図である。
図6(a)に示す印刷ロール2表面にインクベタ膜13を形成する工程は次の通りである。シリコンブランケットを装着した印刷ロール2の下方に配置された塗布装置3のスリット3cを上方に移動させて印刷ロール2に接触する。その後、印刷ロール2表面とスリット3cとの間隙を所定値にするようにスリット3cを下方に移動,固定した状態で、印刷ロール2を所定の膜厚が形成できる回転数で回転させて、所定の膜厚のインクベタ膜13を形成する。
なお、印刷ロール2の表面にインクベタ膜13を形成する工程において、印刷版4の先端部と印刷ロール2の中心部及びスリット3cの中央部との距離Lが印刷版4の長さと同じになるように、固定ベース8上に配置された印刷版4,印刷ロール2及び固定ベース8b上に配置された塗布装置3は配置されている。
また、印刷版4の長さ及び被印刷体5の長さ、印刷版4の終端部と被印刷体5の先端部との距離Lは印刷ロール2の周長の1/2である。
次に、図6(b)に示す印刷ロール2の表面にインクパターン13aを形成する工程は次の通りである。印刷ロール2の表面に形成されたインクベタ膜13の先頭部が印刷版4の先端部に達して、印刷版4に接触する。それと同時に、印刷ロール2が被印刷体5方向に移動を開始し、印刷ロール2の表面に形成されたインクベタ膜13から印刷版4の凸部と接触した部分のインクが除去され、印刷ロール2の表面にインクパターン13aが形成される。
なお、印刷ロール2はインクパターン13a形成終了と同時に印刷ロール2の回転を停止させ、即、インクパターンが被印刷体5に転写できる状態で印刷ロール2を移動させる。
このインクパターン13aの形成が終了すると同時に、印刷版4上に残存するインクを洗浄するため、2基の洗浄装置9,乾燥装置10及び洗浄剤回収装置11を有する洗浄機12が印刷版4の方向に移動を開始する。
また、印刷ロール2表面に形成されるインクパターン13aは、印刷版4に形成された凹パターン部に相当するものである。印刷ロール2の表面に形成されたインクベタ膜13に印刷版4が接触した際に、印刷版4に形成された凹パターンの底面にインクベタ膜13が接触しないように、印刷版4の凹深さを設定することが重要である。
次に、図6(c)に示す印刷ロール2表面に形成されたインクパターン13aを被印刷体5に転写及び印刷版4上に残存するインク13cを除去,洗浄する工程は次の通りである。印刷ロール2の表面に形成されたインクパターン13aが被印刷体5に接触して転写を開始する。それと同時に、印刷版4の先端部に移動していた洗浄機12が洗浄を開始する。印刷ロール2の表面に形成されたインクパターン13aがすべて被印刷体5へ転写されてインクパターン13aの転写が完了する。それと同時に、洗浄機12aによる印刷版4a上に残されたインク13cの除去,洗浄も完了する。
次に、図6(d)に示すインクパターンが転写された被印刷体5aを搬出及び新しい被印刷体5を搬入する工程は次の通りである。印刷ロール2のロールの中心部が印刷版4の終端部及び塗布装置3のスリット3cの中央部の延長線上に一致する位置に印刷ロール2を移動,停止させる。それと同時に、洗浄機12を塗布装置3側の所定の待機位置へ移動,停止させる。インクパターン13aが転写された被印刷体5aを搬出するとともに、新しい被印刷体を搬入,セットして往路のパターン形成工程を終了する。
上述した工程を繰り返し行うことにより、印刷再現性及び稼働率の高く、低コストでパターンが形成できる。また、液体を利用した版洗浄が困難とされるパターン幅が10ミクロン以下の印刷版使用時においても、高清浄度の版洗浄が可能であり、印刷再現性の高く、安定したパターン形成ができる。
また、往路及び復路のパターン形成時において、印刷ロール表面に装着されたシリコンブランケットの別々の半周面を利用してパターンを形成するので、シリコンブランケットの交換時間が長いということも本実施例の特徴である。
さらに、被印刷体5及び被印刷体用ステージ7が印刷ロール2の下方に配置されることにより、被印刷体5の配置,搬入及び搬出に関する装置が簡易化できるということも本実施例の特徴である。
なお、本実施例では塗布装置及び洗浄機を2基配置したが、本実施例に限定されるものではなく単基配置の構成でもよい。また、洗浄機についても同様であり、1基の洗浄装置と乾燥装置から構成してもよいだけでなく、同じ印刷版を2度洗浄してもよい。
図7は、本実施例に係る反転印刷法を利用したパターン形成装置を用いたパターン形成工程を概略的に示した工程図である。同図に示すように、パターン形成は、次の6工程からなる。
1)印刷ロール表面の1/2周長部分にインクベタ膜を形成する。なお、印刷ロールの中心部,塗布装置のスリットの中央部と印刷版の先端部との距離が印刷版の長さと同じになるように、印刷ロール,塗布装置及び印刷版は配置される。
2)印刷ロール表面の1/2周長部分に形成されたインクベタ膜に印刷版を接触させながら印刷ロールを被印刷体方向に移動させ、インクベタ膜から不要な部分のインクを除去することにより、印刷ロール表面にインクパターンを形成する。
3)印刷ロールの回転を停止させた状態で印刷ロールの中心部が被印刷体の先端部と一致する位置に印刷ロールを移動させ、印刷ロールの表面に形成されたインクパターンを被印刷体へ転写する準備をする。
4)印刷ロールの表面に形成されたインクパターンをガラス基板等の被印刷体に接触させながら印刷ロールを転動させ、印刷ロールの表面に形成されたインクパターンを被印刷体へ転写する。それと同時に、洗浄機を被印刷体の方向へ移動させながら印刷版上に残存するインクを除去,洗浄する。
5)インクパターンが転写,形成された被印刷体を搬出する。
6)新しい被印刷体を搬入,セットし、復路のパター形成の準備をする。それと同時に、印刷ロールを塗布装置上の所定の位置へ移動させるとともに、洗浄機を塗布装置側の所定の待機位置に移動する。
この6工程における印刷ロール,塗布装置,洗浄機等の装置制御としては以下の態様が考えられる。1)の工程における印刷ロールの回転と塗布装置のスリットの上下動。2)と3)の工程における印刷ロールの回転速度と移動速度。4)の工程における印刷ロールの回転速度と移動速度及び洗浄機の移動速度等。これらの装置制御を精度よく行うことにより、連続的にパターン形成装置を稼働することができるだけでなく、フォトリソプロセス並みの品質を有するパターンが形成できる。
図8(a)は、本実施例に係る反転印刷法を利用したパターン形成装置を概略的に示した断面図である。図8(a)におけるパターン形成装置は、フレーム1,印刷ロール2,塗布装置3,印刷版4a,印刷版4b,被印刷体5,ステージ6a,ステージ6b,ステージ7,可動ベース8,洗浄装置9a,洗浄装置9b,乾燥装置10a,乾燥装置10b,洗浄剤等回収装置11a,洗浄剤等回収装置11b,洗浄機12a及び洗浄機12bを有する。なお、パターン形成装置にフレーム1は必ずしも必要ない。図8(a)において、フレーム1の上部に可動ベース8が配置され、可動ベース8の下面にステージ6a,ステージ6b及びステージ7が固定配置される。可動ベース8は印刷ロール2の上方に配置されているともいえる。また、可動ベース8の下面にステージ6bが配置されているとも言える。ステージ6aを第1ステージ、ステージ7を第2ステージ、ステージ6bを第3ステージとする。ステージ6a,ステージ6b及びステージ7の下面に印刷版4a,印刷版4b及び被印刷体5が吸着配置される。印刷ロール2の下方に塗布装置3が固定配置される。フレーム1の下部かつ印刷ロール2の両側に洗浄機12a及び洗浄機12bが固定配置される。洗浄機12aは洗浄装置9a,乾燥装置10a及び洗浄剤等回収装置11aを有する。洗浄機12bは洗浄装置9b,乾燥装置10b及び洗浄剤等回収装置11bを有する。図1(a)におけるパターン形成装置は印刷版4a,印刷版4b及び被印刷体5が移動するタイプである。洗浄装置9aの噴射ノズル及び洗浄装置9aの噴射ノズルは可動ベース8が存在する側に向けられている。
なお、図8(a)では洗浄機2基を固定したがこれに限定されるものではなく、移動可能な洗浄機を設置してもよい。
図8(a)に示すように、印刷版4a及び印刷版4bは印刷ロール2の上方に配置され、印刷版4a及び印刷版4bの版面は下向きに配置される。印刷版4a及び印刷版4bを洗浄及び乾燥するための洗浄機12a及び洗浄機12bは印刷版4a及び印刷版4bの下方に配置される。これにより、簡易な液体洗浄法として周知のジェット洗浄方式の採用が可能になり、短時間で高清浄度の版洗浄が行える。また、パターン幅が10ミクロン以下の微細パターン形成にも対応可能であり、高精細,高再現性,高稼働率のパターン形成ができる。
さらに、往路及び復路でのパターン形成において、それぞれ印刷ロールの周長の1/2を利用してパターン形成するため、印刷ロールの表面に装着されているシリコーンゴムを最表面に配置したブランケットの交換時間を長くすることができる。また、印刷ロールの直径を大きくしたことにより、印刷ロールと印刷版の接触する面積が大きくなるために圧縮応力に対するブランケットの変形が小さくなるので、印刷版の凹深さを浅くすることができる。
図9は、図8(a)に示したパターン形成方法を概略的に示した工程断面図である。図9(a)〜図9(d)に示したパターン形成工程は往路のものであり、図9(e)〜図9(h)は復路のパターン形成工程を示すものである。
まず、印刷ロール2に対して可動ベース8上に配置された印刷版4a及び被印刷体5を右方向に移動させながらパターン形成を行う往路工程について説明する。図9(a)に示す印刷ロール2の表面にインクベタ膜13を形成する工程は次の通りである。シリコンブランケットを装着した印刷ロール2の下方に配置された塗布装置3のスリット3cを上方に移動させて印刷ロール2に接触させる。その後、印刷ロール2の表面とスリット3cとの間隙を所定値にするようにスリット3cを下方に移動,固定した状態で所定の回転数で印刷ロール2を回転させることにより、所望の膜厚のインクベタ膜が形成される。
なお、印刷ロール2の表面にインクベタ膜13を形成する工程において、可動ベース8上に配置された印刷版4aとスリット3c中央部との間の距離Lは印刷ロール2の周長の1/2である。また、印刷版4a及び印刷版4bの長さも印刷ロール2の周長の1/2である。
また、印刷ロール2の回転速度と印刷版4a,印刷版4b及び被印刷体5が配置された可動ベース8の移動速度は同一で、かつ、回転及び移動の開始は同期している。
さらに、印刷版4aの終端部と被印刷体5の先端部との距離は、印刷ロール2の周長の1/2である。被印刷体5の長さ,印刷版4bの長さ及び被印刷体5の終端部と印刷版4bの先端部との距離も印刷ロール2の周長の1/2である。
次に、図2(b)に示す印刷ロール2の表面にインクパターン13aを形成する工程は次の通りである。印刷ロール2の表面に形成されたインクベタ膜13の先端位置が塗布装置3のスリット3c中央部上に達したところでインクベタ膜13は印刷版4aと接触する。印刷ロール2の表面に形成されたインクベタ膜13から印刷版4aの凸部と接触した部分のインクが除去され、印刷ロール2の表面にインクパターン13aが形成される。
なお、印刷ロール2の表面に形成されるインクパターン13aは、印刷版4aに形成された凹パターンに相当するものである。印刷ロール2の表面に形成されたインクベタ膜13に印刷版4aが接触した際に、印刷版4aに形成された凹パターンの底面にインクベタ膜13が接触しないように、印刷版4aの凹深さを設定することが重要である。
次に、図9(c)に示す印刷ロール2表面に形成されたインクパターン13aを被印刷体5に転写及び印刷版4a上に残されたインクを除去及び洗浄する工程は次の通りである。印刷版4aの先端部が洗浄装置9aの配置位置に達すると同時に洗浄が開始する。それとともに、被印刷体5の先端も印刷ロール2上に形成されたインクパターン13aの先頭パターンに接触すると同時にインクパターン13aが被印刷体5へ転写される。さらに、印刷版4a上に残存するインク13cの除去及び洗浄が完了するとともに、同時に、被印刷体5へのインクパターン13aの転写も完了する。
次に、図9(d)に示すインクパターンが転写された被印刷体5aを搬出及び新しい被印刷体5を搬入する工程は次の通りである。印刷版4bの終端部から塗布装置3のスリット3c中央の延長線上までの距離が印刷ロールの1/2周長になったところで可動ベース8を停止する。そこで、インクパターンが転写された被印刷体5aを搬出するとともに、新しい被印刷体を搬入,セットして往路のパターン形成工程を終了する。
次に、印刷ロールに対して可動ベース8上に配置された印刷版及び被印刷体を左方向に移動させながらパターン形成を行う復路工程について説明する。図9(e)に示す印刷ロール表面にインクベタ膜形成する工程は次の通りである。シリコンブランケットを装着した印刷ロール2の下方に配置された塗布装置3のスリット3cを上方に移動させて印刷ロール2に接触する。その後、印刷ロール2表面とスリット3cとの間隙を所定値にするようにスリット3cを下方に移動,固定した状態で所定の回転数で印刷ロール2を回転させて、所望の膜厚のインクベタ膜13を形成する。
なお、印刷ロール2表面にインクベタ膜形成する工程において、可動ベース8上に配置された印刷版4bの先頭から塗布装置3のスリット中央の延長線までの距離Lは印刷ロール2の周長の1/2である。
次に、図9(f)に示す印刷ロール2の表面にインクパターン13bを形成する工程は次の通りである。印刷ロール2の表面に形成されたインクベタ膜13の先頭位置が塗布装置3のスリット中央の延長線上に達したところでインクベタ膜13は印刷版4bと接触する。印刷ロール2の表面に形成されたインクベタ膜13から印刷版4bの凸部と接触した部分のインクが除去され、印刷ロール2の表面にインクパターン13bが形成される。
なお、印刷ロール2の表面に形成されるインクパターン13bは、印刷版4bに形成された凹パターンに相当するものである。印刷ロール2の表面に形成されたインクベタ膜13に印刷版4bが接触した際に、印刷版4bに形成された凹パターンの底面にインクベタ膜が接触しないように、印刷版4bの凹深さを設定することが重要である。
次に、図9(g)に示す印刷ロール2表面に形成されたインクパターン13bを被印刷体5に転写及び印刷版4bに残された除去インクをする工程は次の通りである。印刷版4bの先頭部が洗浄装置9b配置位置に達すると同時に洗浄を開始する。それとともに、被印刷体5の先頭位置も印刷ロール2上に形成されたインクパターン13bの先頭パターンに接触してインクパターン13bが被印刷体5へ転写される。さらに、印刷版4bの洗浄・乾燥が完了するとともに、同時に、被印刷体5へのインクパターン13bの転写も完了する。
次に、図9(h)に示すインクパターンが転写された被印刷体5bを搬出及び新しい被印刷体5を搬入する工程は次の通りである。印刷版4aの終端部から塗布装置3のスリット3c中央の延長線上までの距離が印刷ロールの1/2周長になったところで可動ベース8を停止する。そこで、インクパターンが転写された被印刷体5bを搬出するとともに、新しい被印刷体を搬入,セットして復路のパターン形成工程を終了する。
上述した工程を繰り返し行うことにより、印刷再現性及び稼働率の高く、低コストのパターン形成ができる。また、液体を利用した版洗浄が困難とされるパターン幅が10ミクロン以下の印刷版使用時においても、高清浄度の版洗浄が可能であり、印刷再現性の高く、安定したパターン形成ができる。
さらに、往路及び復路のパターン形成時において、印刷ロール表面に装着されたシリコンブランケットの別々の半周面を利用してパターンを形成するので、シリコンブランケットの交換時間が長いという本実施例の特徴である。
図10は、本実施例に係る反転印刷法を利用したパターン形成装置を用いたパターン形成工程を概略的に示した工程図である。図10(a)が往路(印刷版及び被印刷体を備えた可動ベース8が図面上で右に移動)のパターン形成工程であり、図10(b)が復路(印刷版及び被印刷体を備えた可動ベース8が図面上で左に移動)のパターン形成工程である。図10(a)及び図10(b)に示すように、往路及び復路でのパターン形成は、次の6工程からなる。
1)印刷ロール表面の1/2周長部分にインクベタ膜を形成する。それと同時に、印刷版及び被印刷体がセットされた可動ベース8を印刷ロール周長の1/2に相当する距離だけ移動させる。
2)印刷ロール表面の1/2周長部分に形成されたインクベタ膜に印刷版を接触させて、インクベタ膜から不要な部分のインクを除去することにより、印刷ロール表面にインクパターンを形成する。
3)印刷ロールを1/2周長分だけ回転させて、被印刷体へインクパターンを転写する準備をする。
4)印刷ロール表面形成されたインクパターンをガラス基板等の被印刷体に接触させて、インクパターンを被印刷体へ転写する。それと同時に、印刷版上に残っているインクを洗浄機により洗浄,乾燥する。
5)インクパターンが形成された被印刷体を搬出する。
6)新しい被印刷体を搬入,セットし、復路のパター形成の準備をする。
この6工程における印刷ロール,塗布装置,印刷版と被印刷体がセットされた可動ベース,洗浄機等の装置制御としては以下の態様が考えられる。1)の工程では、印刷ロールの回転速度と印刷版及び被印刷体がセットされた可動ベースの移動速度とが同速度であり、回転及び移動を同時に開始する。2)の工程では、インクパターンの形成を開始すると同時に、塗布装置のスリットが下方に降下してインクベタ膜の形成を停止する。4)の工程では、インクパターンの転写を開始すると同時に、洗浄機による印刷版の洗浄を開始する。これらの装置制御を精度よく行うことにより、連続的にパターン形成装置を稼働することができるだけでなく、フォトリソプロセス並みの品質有するパターンが形成できる。
図8(b)は、本実施例に係る反転印刷法を利用したパターン形成装置を概略的に示した断面図である。図8(b)におけるパターン形成装置は、フレーム1,印刷ロール2,塗布装置3,印刷版4a,印刷版4b,被印刷体5,ステージ6a,ステージ6b,ステージ7,可動ベース8,洗浄装置9a,洗浄装置9b,乾燥装置10a,乾燥装置10b,洗浄剤等回収装置11a,洗浄剤等回収装置11b,洗浄機12a及び洗浄機12bを有する。なお、パターン形成装置にフレーム1は必ずしも必要ない。図8(b)において、フレーム1の上部に固定ベース8が配置される。固定ベース8の下面にステージ6a,ステージ6b及びステージ7が固定配置される。ステージ6a,ステージ6b及びステージ7の下面に印刷版4a,印刷版4b及び被印刷体5が吸着配置される。つまり、固定ベース部は、固定ベース8,ステージ6a,ステージ6b及びステージ7,印刷版4a,印刷版4b及び被印刷体5を有する。フレーム1の上面あるいは下面をガイドにして移動する可動機能を備えた印刷ロール2,洗浄機12a及び洗浄機12bは配置される。洗浄機12aは、洗浄装置9a,乾燥装置10a及び洗浄剤等回収装置11aを有する。洗浄機12bは、洗浄装置9b,乾燥装置10b及び洗浄剤等回収装置11bを有する。フレーム1の下方、かつ、印刷版4a及び印刷版4bの先端部とスリット3c及びスリット3dの中央部が一致するように、塗布装置3a及び塗布装置3bに固定配置される。図8(b)のパターン形成装置は、印刷ロール2,洗浄機12a及び洗浄機12bが移動するタイプである。
なお、図8(b)では洗浄機を2基設置したが、これに限定されるものではなく、洗浄機を1基だけ設置したものでもよい。
図8(b)に示すように、印刷版4a及び印刷版4bは印刷ロール2の上方に配置される。また、印刷版4a及び印刷版4bの版面は下向きに配置される。さらに、印刷版4a及び印刷版4bを洗浄及び乾燥するための洗浄機12a及び洗浄機12bが印刷版4a及び印刷版4bの下方に配置されることにより、簡易な液体洗浄法として周知のジェット洗浄方式の採用が可能になるまた、短時間で高清浄度の版洗浄が行える。それだけでなく、パターン幅が10ミクロン以下の微細パターン形成にも対応可能であり、高精細,高再現性,高稼働率のパターン形成ができる。
さらに、往路及び復路でのパターン形成において、それぞれ印刷ロールの周長の2/1を利用してパターン形成するため、印刷ロールの表面に装着されているシリコーンゴムを最表面に配置したブランケットの交換時間を長くすることができる。また、印刷ロールの直径が大きくしたことにより、印刷ロールと印刷版の接触する面積が大きくなるために圧縮応力に対するブランケットの変形が小さくなるので、印刷版の凹深さを浅くすることができる。
図11は、図8(b)に示したパターン形成方法を概略的に示した工程断面図である。図11(a)〜図11(d)に示したパターン形成工程は往路のものであり、図11(e)〜図11(h)は復路のパターン形成工程を示すものである。
まず、印刷ロール2及び洗浄機12aを図面の右方向に移動させながらパターン形成を行う往路工程について説明する。図11(a)に示す印刷ロール2表面にインクベタ膜を形成する工程は次の通りである。シリコンブランケットを装着した印刷ロール2の下方に配置された塗布装置3aのスリット3cを上方に移動させて印刷ロール2に接触する。その後、印刷ロール2の表面とスリット3cとの間隙を所定値にするようにスリット3cを下方に移動,固定した状態で印刷ロール2を所定の膜厚が形成できる回転数で回転させることにより、所定の膜厚のインクベタ膜13を形成する。
なお、印刷ロール2の表面にインクベタ膜13を形成する工程において、印刷版4aの先端部,印刷ロール2の中心部及びスリット3cの中央部が略一致するように、固定ベース上に配置された印刷版4a,印刷ロール2及び塗布装置3aは配置されている。
また、印刷版4aの長さ,印刷版4bの長さ,被印刷体5の長さ,印刷版4aの終端部及び被印刷体5の先端部との距離及び印刷版4bの先端部と被印刷体5の先端部との距離は、印刷ロール2の周長の1/2である。
次に、図11(b)に示す印刷ロール2の表面にインクパターン13aを形成する工程は次の通りである。印刷ロール2の表面に形成されたインクベタ膜13の先頭部が印刷版4aの先端部に達して、インクベタ膜13は印刷版4aと接触する。それと同時に、印刷ロール2が被印刷体5の方向に移動を開始し、印刷ロール2の表面に形成されたインクベタ膜13から印刷版4aの凸部と接触した部分のインクが除去され、印刷ロール2の表面にインクパターン13aが形成される。
このインクパターン13aの形成が終了すると同時に、印刷版4a上に残存するインクを洗浄するため、2基の洗浄装置9a,乾燥装置10a及び洗浄剤回収装置11aからなる洗浄機12aが印刷版4aの方向に移動を開始する。
なお、印刷ロール2表面に形成されるインクパターン13aは、印刷版4aに形成された凹パターン部に相当するものである。印刷ロール2の表面に形成されたインクベタ膜13に印刷版4aが接触した際に、印刷版4aに形成された凹パターンの底面にインクベタ膜13が接触しないように、印刷版4aの凹深さを設定することが重要である。
次に、図11(c)に示す印刷ロール2の表面に形成されたインクパターン13aを被印刷体5に転写及び印刷版4a上に残存するインクを除去,洗浄する工程は次の通りである。印刷ロール2の表面に形成されたインクパターン13aが被印刷体5に接触して転写される。それと同時に、印刷版4aの先端部に移動していた洗浄機12aが洗浄を開始する。印刷ロール2の表面に形成されたインクパターン13aがすべて被印刷体5へ転写されてインクパターン13aの転写が完了する。それと同時に、洗浄機12aによる印刷版4a上に残されたインクの除去,洗浄も完了する。
次に、図11(d)に示すインクパターンが転写された被印刷体5aを搬出及び新しい被印刷体5を搬入する工程は次の通りである。印刷ロール2のロールの中心部が印刷版4bの終端部及び塗布装置3bのスリット3dの中央部の延長線上に一致する位置に印刷ロール2を移動,停止させる。それと同時に、洗浄機12aを塗布装置3a側の所定の待機位置へ移動,停止させる。インクパターン13aが転写された被印刷体5aを搬出するとともに、新しい被印刷体を搬入,セットして往路のパターン形成工程を終了する。
次に、印刷ロール2を図面の左方向に移動させながらパターン形成を行う復路工程について説明する。基本的には各装置の動作は往路工程とほぼ同じなので簡単に説明する。
まず、図11(e)に示す印刷ロール2の表面にインクベタ膜13を形成する工程は次の通りである。シリコンブランケットを装着した印刷ロール2の下方に配置された塗布装置3bのスリット3dを上方に移動させて印刷ロール2に接触する。その後,印刷ロール2表面とスリット3aとの間隙を所定値にするようにスリット3cを下方に移動,固定した状態で印刷ロール2を所定膜厚が形成できる回転数で回転させて、所定の膜厚のインクベタ膜を形成する。
なお、印刷ロール2の表面にインクベタ膜13を形成する工程において、印刷版4bの先端部,印刷ロール2の中心部及びスリット3cの中央部が略一致するように、固定ベース上に配置された印刷版4b,印刷ロール2及び塗布装置3bが配置されている。
次に、図11(f)に示す印刷ロール2の表面にインクパターン13bを形成する工程は次の通りである。印刷ロール2の表面に形成されたインクベタ膜13の先頭部が印刷版4bの先端部に達して、インクベタ膜13は印刷版4bと接触する。それと同時に、印刷ロール2が被印刷体5方向に移動を開始する。印刷ロール2の表面に形成されたインクベタ膜13から印刷版4bの凸部と接触した部分のインクが除去され、印刷ロール2の表面にインクパターン13bが形成される。
このインクパターン13bの形成が終了すると同時に、印刷版4b上に残存するインクを洗浄するため、2基の洗浄装置9b,乾燥装置10b及び洗浄剤回収装置11bを有する洗浄機12bが印刷版4b方向に移動を開始する。
なお、印刷ロール2表面に形成されるインクパターン13bは、印刷版4bに形成された凹パターン部に相当するものである。印刷ロール2表面に形成されたインクベタ膜13に印刷版4bが接触した際に、印刷版4bに形成された凹パターンの底面にインクベタ膜13が接触しないように、印刷版4bの凹深さを設定することが重要である。
次に、図11(g)に示す印刷ロール2表面に形成されたインクパターン13bを被印刷体5に転写及び印刷版4b上に残存するインクを除去,洗浄する工程は次の通りである。印刷ロール2の表面に形成されたインクパターン13bが被印刷体5に接触して転写を開始する。それと同時に、印刷版4bの先端部に移動していた洗浄機12bが洗浄を開始する。印刷ロール2の表面に形成されたインクパターン13aがすべて被印刷体5へ転写されてインクパターン13bの転写が完了する。それと同時に、洗浄機12bによる印刷版4b上に残されたインクの除去,洗浄も完了する。
次に、図11(h)に示すインクパターン13bが転写された被印刷体5aを搬出及び新しい被印刷体5を搬入する工程は次の通りである。印刷ロール2のロールの中心部が印刷版4aの終端部及び塗布装置3aのスリット3cの中央部の延長線上に一致する位置に印刷ロール2を移動,停止させる。それと同時に、洗浄機12bを塗布装置3b側の所定の待機位置へ移動,停止させる。インクパターン13aが転写された被印刷体5aを搬出するとともに、新しい被印刷体を搬入,セットして復路のパターン形成工程を終了する。
上述した工程を繰り返し行うことにより、印刷再現性及び稼働率の高く、低コストのパターン形成が行える。また、液体を利用した版洗浄が困難とされるパターン幅が10ミクロン以下の印刷版使用時においても、高清浄度の版洗浄が可能であり、印刷再現性の高く、安定したパターン形成ができることも本実施例の特徴である。
さらに、往路及び復路のパターン形成時において、印刷ロール表面に装着されたシリコンブランケットの別々の半周面を利用してパターンを形成するので、シリコンブランケットの交換時間が長いという本実施例の特徴である。
なお、本実施例では塗布装置及び洗浄機を2基配置したが、単基配置でもよい。また、洗浄機についても同様であり、1基の洗浄装置と乾燥装置から構成してもよいだけでなく、同じ印刷版を2度洗浄してもよい。図12は、本実施例に係る反転印刷法を利用したパターン形成装置を用いたパターン形成工程を概略的に示した工程図である。図12(a)が往路(印刷ロール及び洗浄機が図面上で右方向に移動)のパターン形成工程であり、図12(b)が復路(印刷ロール及び洗浄機が図面上で左方向に移動)のパターン形成工程である。同図に示すように、往路及び復路でのパターン形成は、次の6工程からなる。
1)印刷ロール表面の1/2周長部分にインクベタ膜を形成する。なお、印刷ロールの中心部、第1塗布装置のスリットの中央部,第1印刷版の先端部が一致するように、印刷ロール,第1塗布装置及び第1印刷版が配置されている。
2)印刷ロール表面の1/2周長部分に形成されたインクベタ膜に第1印刷版を接触させながら印刷ロールを被印刷体方向に移動させ、インクベタ膜から不要な部分のインクを除去することにより、印刷ロール表面にインクパターンを形成する。
3)印刷ロールを1/2周長分だけ回転させながら印刷ロールの中心部が被印刷体の先端部と一致する位置に印刷ロールを移動させ、印刷ロールの表面に形成されたインクパターンを被印刷体へ転写する準備をする。
4)印刷ロールの表面に形成されたインクパターンをガラス基板等の被印刷体に接触させながら印刷ロールを移動させ、印刷ロールの表面に形成されたインクパターンを被印刷体へ転写する。それと同時に、第1洗浄機を被印刷体の方向へ移動させながら第1印刷版上に残存するインクを洗浄,乾燥する。
5)インクパターンが転写,形成された被印刷体を搬出する。
6)新しい被印刷体を搬入,セットし、復路のパター形成の準備をする。それと同時に、印刷ロールを第2塗布装置上の所定の位置へ移動させるとともに、第1洗浄機を第1塗布装置側の所定の待機位置に移動する。
この6工程における印刷ロール,塗布装置,洗浄機等の装置制御としては以下の態様が考えられる。1)の工程における印刷ロールの回転と塗布装置のスリットの上下動。2)及び3)の工程における印刷ロールの回転速度と移動速度。4)の工程における印刷ロールの回転速度と移動速度及び洗浄機の移動速度等。これらの装置制御を精度よく行うことにより、連続的にパターン形成装置を稼働することができるだけでなく、フォトリソプロセス並みの品質を有するパターンが形成できる。
図8(c)は、本実施例に係る反転印刷法を利用したパターン形成装置を概略的に示した断面図である。図8(c)におけるパターン形成装置は、フレーム1,印刷ロール2,塗布装置3,印刷版4a,印刷版4b,被印刷体5,ステージ6a,ステージ6b,ステージ7,可動ベース8,洗浄装置9a,洗浄装置9b,乾燥装置10a,乾燥装置10b,洗浄剤等回収装置11a,洗浄剤等回収装置11b,洗浄機12a及び洗浄機12bを有する。なお、パターン形成装置にフレーム1は必ずしも必要ない。図8(c)において、フレーム1の上部に固定ベース8aが配置される。フレーム1の下部に固定ベース8bが配置される。印刷ロール2の下方に固定ベース8bが配置されているとも言える。上部の固定ベース8aの下面にステージ6a及びステージ6bが固定配置される。ステージ6a及びステージ6bの下面に印刷版4a及び印刷版4bが吸着配置される。つまり、上部固定ベース部は、固定ベース8a,ステージ6a,ステージ6b,印刷版4a及び印刷版4bを有する。下部の固定ベース8bの上面にステージ7が固定配置される。ステージ7の上面に被印刷体5が吸着配置される。つまり、下部固定ベース部は、下部の固定ベース8b,ステージ7及び被印刷体5を有する。フレーム1の上面あるいは下面をガイドにして移動する可動機能を備えた印刷ロール2,洗浄機12a及び洗浄機12bが配置される。洗浄機12aは、2基の洗浄装置9a,1基の乾燥装置10a及び洗浄剤等回収装置11aからなる。洗浄機12bは、2基の洗浄装置9b,1基の乾燥装置10b、及び洗浄剤等回収装置11bからなる。フレーム1の下方、かつ、印刷版4a及び印刷版4bの先端部とスリット3c及びスリット3dの中央部が一致するように、塗布装置3a及び塗布装置3bが固定配置される。図8(b)のパターン形成装置は、印刷ロール2,洗浄機12a及び洗浄機12bが移動するタイプである。
なお、図8(c)では洗浄機を2基設置したが、これに限定されるものではなく、洗浄機を1基だけ設置したものでもよい。
また、図8(c)では、塗布装置3a及び塗布装置3bを印刷版4a及び印刷版4bの先端部とスリット3c及びスリット3dの中央部が一致するように配置したが、これに限定されるものではない。印刷版4a及び印刷版4bのいずれか一方の外側に1基だけ配置したもの、印刷版4a及び印刷版4bの先端部とスリット3c及びスリット3dの中央部が一致させずに配置してもよい。
図8(c)に示すように、印刷版4a及び印刷版4bは印刷ロール2の上方に配置され、かつ、印刷版4a及び印刷版4bの版面は下向きに配置される。さらに、印刷版4a及び印刷版4bを洗浄及び乾燥するための洗浄機12a及び洗浄機12bが印刷版4a及び印刷版4bの下方に配置されることにより、簡易な液体洗浄法として周知のジェット洗浄方式の採用が可能になり、短時間で高清浄度の版洗浄が行える。また、パターン幅が10ミクロン以下の微細パターン形成にも対応可能であり、高精細,高再現性,高稼働率のパターン形成ができる。
さらに、往路及び復路でのパターン形成において、それぞれ印刷ロールの周長の2/1を利用してパターン形成するため、印刷ロールの表面に装着されているシリコーンゴムを最表面に配置したブランケットの交換時間を長くすることができる。また、印刷ロールの直径を大きくしたことにより、印刷ロールと印刷版の接触する面積が大きくなるために圧縮応力に対するブランケットの変形が小さくなるので、印刷版の凹深さを浅くすることができる。
図13は、図1(c)に示したパターン形成方法を概略的に示した工程断面図である。図13(a)〜図13(d)に示したパターン形成工程は往路のものであり、図13(e)〜図13(h)は復路のパターン形成工程を示すものである。
まず、印刷ロール2,印刷版4a及び洗浄機12aを使用してパターン形成を行う往路工程について説明する。図13(a)に示す印刷ロール2表面にインクベタ膜13を形成する工程は次の通りである。シリコンブランケットを装着した印刷ロール2の下方に配置された塗布装置3aのスリット3cを上方に移動させて印刷ロール2に接触する。その後、印刷ロール2表面とスリット3cとの間隙を所定値にするようにスリット3cを下方に移動,固定した状態で、印刷ロール2を所定の膜厚が形成できる回転数で回転させて、所定の膜厚のインクベタ膜13を形成する。
なお、印刷ロール2の表面にインクベタ膜13を形成する工程において、印刷版4aの先端部,印刷ロール2の中心部及びスリット3cの中央部が略一致するように、固定ベース8a上に配置された印刷版4a,印刷ロール2及び固定ベース8b上に配置された塗布装置3aは配置されている。
また、印刷版4aの長さ,印刷版4bの長さ及び被印刷体5の長さ,印刷版4aの終端部と被印刷体5の先端部との距離及び印刷版4bの先端部と被印刷体5の終端部との距離は印刷ロール2の周長の1/2である。
次に、図13(b)に示す印刷ロール2の表面にインクパターン13aを形成する工程は次の通りである。印刷ロール2の表面に形成されたインクベタ膜13の先頭部が印刷版4aの先端部に達して、印刷版4aに接触する。それと同時に、印刷ロール2が被印刷体5方向に移動を開始し、印刷ロール2の表面に形成されたインクベタ膜13から印刷版4aの凸部と接触した部分のインクが除去され、印刷ロール2の表面にインクパターン13aが形成される。
なお、印刷ロール2はインクパターン13aの形成終了と同時に印刷ロール2の回転を停止させ、即、インクパターン13aが被印刷体5に転写できる状態で印刷ロール2を移動させる。
このインクパターン13aの形成が終了すると同時に、印刷版4a上に残存するインクを洗浄するため、2基の洗浄装置9a,乾燥装置10a及び洗浄剤回収装置11aからなる洗浄機12aが印刷版4aの方向に移動を開始する。
また、印刷ロール2表面に形成されるインクパターン13aは、印刷版4aに形成された凹パターン部に相当するものである。印刷ロール2の表面に形成されたインクベタ膜13に印刷版4aが接触した際に、印刷版4aに形成された凹パターンの底面にインクベタ膜13が接触しないように、印刷版4aの凹深さを設定することが重要である。
次に、図13(c)に示す印刷ロール2表面に形成されたインクパターン13aを被印刷体5に転写及び印刷版4a上に残存するインクを除去,洗浄する工程は次の通りである。印刷ロール2の表面に形成されたインクパターン13aが被印刷体5に接触して転写される。それと同時に、印刷版4aの先端部に移動していた洗浄機12aが洗浄を開始する。印刷ロール2の表面に形成されたインクパターン13aがすべて被印刷体5へ転写されてインクパターン13aの転写が完了する。それと同時に、洗浄機12aによる印刷版4a上に残されたインクの除去,洗浄も完了する。
次に、図13(d)に示すインクパターン13aが転写された被印刷体5aを搬出及び新しい被印刷体5を搬入する工程は次の通りである。印刷ロール2のロールの中心部が印刷版4bの終端部及び塗布装置3bのスリット3dの中央部の延長線上に一致する位置に印刷ロール2を移動,停止させる。それと同時に、洗浄機12aを塗布装置3a側の所定の待機位置へ移動,停止させる。インクパターン13aが転写された被印刷体5aを搬出するとともに、新しい被印刷体を搬入,セットして往路のパターン形成工程を終了する。
次に、印刷ロール2を図面の左方向に移動させながらパターン形成を行う復路工程について説明する。基本的には各装置の動作は往路工程とほぼ同じなので簡単に説明する。
まず、図13(e)に示す印刷ロール2の表面にインクベタ膜を形成する工程は次の通りである。シリコンブランケットを装着した印刷ロール2の下方に配置された塗布装置3bのスリット3dを上方に移動させて印刷ロール2に接触する。その後、印刷ロール2表面とスリット3d間の間隙を所定値にするようにスリット3dを下方に移動,固定した状態で、印刷ロール2を所定膜厚が形成できる回転数で回転させて、所定の膜厚のインクベタ膜を形成する。
なお、印刷ロール2表面にインクベタ膜形成する工程において、印刷版4bの先端部,印刷ロール2のロール中心部及び塗布装置3bのスリット3dの中央部が一致するように、固定ベース8a上に配置された印刷版4b,印刷ロール2及び固定ベース8b上に配置された塗布装置3bは配置されている。
次に、図13(f)に示す印刷ロール2の表面にインクパターンを形成する工程は次の通りである。印刷ロール2の表面に形成されたインクベタ膜13の先端部が印刷版4bの先端部に達して、印刷版4bに接触する。それと同時に、印刷ロール2が被印刷体5方向に移動を開始し、印刷ロール2の表面に形成されたインクベタ膜13から印刷版4bの凸部と接触した部分のインクが除去され、印刷ロール2の表面にインクパターンが形成される。
なお、印刷ロール2はインクパターン形成終了と同時に印刷ロール2の回転を停止させ、即、インクパターンが被印刷体5に転写できる状態のままにして印刷ロール2を移動させる。
このインクパターン形成が終了すると同時に、印刷版4b上に残存するインクを洗浄するため、2基の洗浄装置9b,乾燥装置10b及び洗浄剤回収装置11bからなる洗浄機12bが印刷版4b方向に移動を開始する。
また、印刷ロール2の表面に形成されるインクパターンは、印刷版4bに形成された凹パターン部に相当するものである。印刷ロール2の表面に形成されたインクベタ膜13に印刷版4bが接触した際に、印刷版4bに形成された凹パターンの底面にインクベタ膜13が接触しないように印刷版4bの凹深さを設定することが重要である。
次に、図13(g)に示す印刷ロール2表面に形成されたインクパターン13bを被印刷体5に転写及び印刷版4b上に残存するインクを除去,洗浄する工程は次の通りである。印刷ロール2の表面に形成されたインクパターン13bが被印刷体5に接触して転写される。それと同時に、印刷版4bの先端部に移動していた洗浄機12bが洗浄を開始する。その後、印刷ロール2の表面に形成されたインクパターン13aがすべて被印刷体5へ転写されてインクパターン13bの転写が完了する。それと同時に、洗浄機12bによる印刷版4b上に残されたインクの除去,洗浄も完了する。
次に、図13(h)に示すインクパターン13bが転写された被印刷体5bを搬出及び新しい被印刷体5を搬入する工程は次の通りである。印刷ロール2のロールの中心部が印刷版4aの先端部及び塗布装置3aのスリット3cの中央部の延長線上に一致する位置に印刷ロール2を移動,停止させる。それと同時に、洗浄機12bを塗布装置3b側の所定の待機位置へ移動,停止させ、インクパターン13aが転写された被印刷体5bを搬出するとともに、新しい被印刷体を搬入,セットして復路のパターン形成工程を終了する。
上述した工程を繰り返し行うことにより、印刷再現性及び稼働率の高く、低コストでパターンが形成できる。また、液体を利用した版洗浄が困難とされるパターン幅が10ミクロン以下の印刷版使用時においても、高清浄度の版洗浄が可能であり、印刷再現性の高く、安定したパターン形成ができる。
また、往路及び復路のパターン形成時において、印刷ロール表面に装着されたシリコンブランケットの別々の半周面を利用してパターンを形成するので、シリコンブランケットの交換時間が長いということも本実施例の特徴である。
さらに、被印刷体5及び被印刷体用ステージ7を印刷ロール2の下方に配置することにより、被印刷体5の配置,搬入及び搬出に関する装置が簡易化できるということも本実施例の特徴である。
なお、本実施例では塗布装置及び洗浄機を2基配置したが、本実施例に限定されるものではなく単基配置の構成でもよい。また、洗浄機についても同様であり、1基の洗浄装置と乾燥装置から構成してもよいだけでなく、同じ印刷版を2度洗浄してもよい。図14は、本実施例に係る反転印刷法を利用したパターン形成装置を用いたパターン形成工程を概略的に示した工程図である。図14(a)が往路(印刷ロール及び洗浄機が図面上で右方向に移動)のパターン形成工程であり、図14(b)が復路(印刷ロール及び洗浄機が図面上で左方向に移動)のパターン形成工程である。同図に示すように、往路及び復路でのパターン形成は、次の6工程からなる。
1)印刷ロール表面の1/2周長部分にインクベタ膜を形成する。なお、印刷ロールの中心部、第1塗布装置のスリットの中央部及び第1印刷版の先端部が一致するように、印刷ロール,第1塗布装置及び第1印刷版は配置される。
2)印刷ロール表面の1/2周長部分に形成されたインクベタ膜に第1印刷版を接触させながら印刷ロールを被印刷体方向に移動させ、インクベタ膜から不要な部分のインクを除去することにより、印刷ロール表面にインクパターンを形成する。
3)印刷ロールの回転を停止させた状態で印刷ロールの中心部が被印刷体の先端部と一致する位置に印刷ロールを移動させ、印刷ロールの表面に形成されたインクパターンを被印刷体へ転写する準備をする。
4)印刷ロールの表面に形成されたインクパターンをガラス基板等の被印刷体に接触させながら印刷ロールを転動させ、印刷ロールの表面に形成されたインクパターンを被印刷体へ転写する。それと同時に、第1洗浄機を被印刷体の方向へ移動させながら第1印刷版上に残存するインクを除去,洗浄する。
5)インクパターンが転写,形成された被印刷体を搬出する。
6)新しい被印刷体を搬入,セットし、復路のパター形成の準備をする。それと同時に、印刷ロールを第2塗布装置上の所定の位置へ移動させるとともに、第1洗浄機を第1塗布装置側の所定の待機位置に移動する。
この6工程における印刷ロール,塗布装置,洗浄機等の装置制御としては以下の態様が考えられる。1)の工程における印刷ロールの回転と塗布装置のスリットの上下動。2)と3)の工程における印刷ロールの回転速度と移動速度。4)の工程における印刷ロールの回転速度と移動速度及び洗浄機の移動速度等。これらの装置制御を精度よく行うことにより、連続的にパターン形成装置を稼働することができるだけでなく、フォトリソプロセス並みの品質を有するパターンが形成できる。