以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
(装置構成)
図1は、本実施形態の遊技機100の正面概観の一例を示す図である。図1において、本実施形態の遊技機は、遊技機の役物等を盤面に据え付ける遊技盤101、特別図柄表示装置102、演出図柄表示装置103、2つある始動入賞口の1つである第1の始動入賞口104、普通図柄表示装置作動ゲート(左)105、普通図柄表示装置作動ゲート(右)106、普通図柄表示装置107、もう1つの始動入賞口(第2の始動入賞口)でもある普通電動役物(チューリップ)108、役物ユニットの1つである大入賞口を備える可変入賞球装置109、遊技機ハンドル111、特別図柄作動記憶表示灯(保留ランプ)112、普通図柄作動記憶表示灯(保留ランプ)113、状態報知表示器115、ラウンド回数表示器119等を主に備える。ここで、役物ユニットとは、主制御部310からの直接制御により制御される遊技機能を実行する駆動機器あるいはランプ等の表示機器であり、上記の可変入賞球装置のほか、サイドランプ装置や、センタ役物等も含まれる。
特別図柄表示装置102には、例えば、液晶ディスプレイまたはCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ等の可変表示装置、7セグメントLED(Light Emitting Diode)、ドットマトリクス表示装置等があり、複数の数字や図形等の特別図柄を変動表示する。特別図柄表示装置102の停止図柄が予め定めた特定の図柄の組み合わせとなった場合を特賞(大当り)とする。尚、本実施形態においては、特別図柄表示装置102は、可変入賞球装置109の大入賞口周辺に設けられる2桁の7セグメントLEDとする。ここで、特賞とは、遊技が通常状態から遊技者へ多数の賞球を払い出す等の所定の遊技価値を付与する有利な状態(大当り動作、大当り中)に切り替わるポイントである。
演出図柄表示装置103は、たとえば、液晶ディスプレイまたはCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ等の可変表示装置、7セグメントLED、ドットマトリクス表示装置、モータの回転により可変表示するドラム等があり、複数の数字や図形等の演出図柄を変動表示する。演出図柄表示装置103を制御する表示制御部は、詳細は後述するが、CPU(Central Processing Unit)、プログラムROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、画像処理用LSI(以下、VDP(Video Display Processor))、キャラクタROM、ビデオRAM等を有する。演出図柄表示装置103は、本実施形態では、背景等の画像および複数の図柄を動画として表示可能な可変表示装置を有する。本実施形態では、多彩な演出図柄を演出図柄表示装置103に表示可能な遊技機を想定している。
始動入賞口104は、遊技者により打ち出された遊技球が入賞すると、内部の特別図柄始動スイッチの起動信号発生により入賞を検知し、特別図柄表示装置102の図柄変動の契機を与える。特別図柄表示装置102の特別図柄や演出図柄表示装置103の演出図柄の変動表示は、所定の変動時間経過後に停止し、抽選結果の報知や演出が行われる。
普通図柄表示装置作動ゲート(左)105および普通図柄表示装置作動ゲート(右)106は、遊技者により打ち出された遊技球が通過すると、内部の普通図柄作動スイッチの起動信号発生により、その通過球を検知し、普通図柄表示装置107の普通図柄の変動契機を与える。
普通図柄表示装置107は、可変入賞球装置109の大入賞口周辺に設けられるLED等で普通図柄を変動表示する。普通電動役物108は、普通図柄表示装置107が特定の普通図柄を停止表示(小当たり)した場合に開放し、始動入賞口としての普通電動役物108への入賞を促進する。すなわち、普通電動役物108に入った遊技球は上述の始動入賞口104の場合と同様に裏面の始動スイッチの起動信号を発生させ、特別図柄表示装置102の図柄変動の契機を与える。このように、本実施形態では、始動入賞口104および普通電動役物108のいずれかに遊技球が入賞すると特別図柄の変動が開始されるのである。
可変入賞球装置109は、特別図柄表示装置102の停止図柄が予め定めた特定の図柄の組み合わせとなった場合、すなわち、特賞となったときに、その後の大当り動作において、可変入賞球装置109の前面に取り付けられた開閉部材114が開放および閉鎖の動作を行う。開閉部材の開閉パターンは内蔵するプログラムの抽選結果によって決まる。
大当り動作中は、開閉部材114がほぼ水平に開き、遊技球の入賞を受け付ける可変入賞球装置109が開放され、多数の遊技球の入賞を受け付ける。可変入賞球装置109に遊技球が入賞すると、可変入賞球装置109の内部の大入賞口スイッチの起動信号発生により、遊技機は可変入賞球装置109への遊技球数を把握し、その入賞に伴う賞球(出玉、セーフ玉)払い出しの契機が与えられる。可変入賞球装置109の開放は、所定の時間(例えば、30秒)経過するか、所定数(大入賞口入賞規定数)の遊技球が可変入賞球装置109に入賞するまで継続する。この一回の開放をラウンドと呼ぶ。
さらに、可変入賞球装置109は内部にVゾーンと呼ばれる特定領域(図示せず)を有する。大当り動作中の可変入賞球装置109の開放中に特定領域を少なくとも1個の遊技球が通過すると、可変入賞球装置109の内部の特定領域スイッチの起動信号発生により、遊技機は次のラウンドの権利発生の契機が与えられる。このようにして、ラウンドは1R→2R→・・・と継続し、最大ラウンド(例えば6ラウンドまたは15ラウンド)まで継続する。ラウンド中に遊技球が特定領域を通過しないと、最大ラウンドまで継続せずに大当り動作は終了する。本実施形態では、大入賞口が開放されているときにVゾーンを遊技球が通過しないとラウンドが継続されないが、これに限られずVゾーンを設けずに、遊技球の通過の有無を問わずラウンドを継続させるようにすることもできる。
遊技機ハンドル111は、タッチセンサを表面に有し、ストップボタン(発射停止)116を取り付けられている。遊技者が遊技機ハンドル111を握ったことをタッチセンサが検知し、この状態で遊技機ハンドル111が右回り117または左回り118に回されたことを遊技機ハンドル111内部の可変抵抗器が検知すると、球発射装置に遊技球を連続して打ち出す契機が与えられる。遊技者は、遊技機ハンドル111を右回り117または左回り118に回して、遊技盤101上へ打ち出される遊技球の打ち出しルートを調整する。また、遊技者がストップボタン116を押すと、球発射装置の遊技球の打ち出しが停止する。
特別図柄作動記憶表示灯112は、例えば可変入賞球装置109の大入賞口周辺に設けられる特別図柄の変動中に始動入賞口104または普通電動役物108に入賞した各球の情報を、後述する主制御部のRAM上にある各球毎の保留メモリに記憶するのと連動して点灯し(以下、球の保留と呼ぶ)、連続して図柄(特別図柄)変動可能な回数を報知する。また、球の保留の対象となった始動入賞口104への入賞球を保留球と呼ぶ。
普通図柄作動記憶表示灯113は、例えば可変入賞球装置109の大入賞口周辺に設けられる普通図柄の変動中に普通図柄作動ゲート(左)105または普通図柄作動ゲート(右)106を通過した各球の情報を、主制御部のRAM上にある各球毎の保留メモリに記憶するのと連動して点灯し、連続して図柄(普通図柄)変動可能な回数を報知して、遊技機能に関連する情報を表示する。なお、特別図柄に対応した演出図柄のように始動記憶に関しても演出図柄表示装置103に表示することができる。
ラウンド回数表示器119は、例えば可変入賞球装置109の大入賞口周辺に設けられる、例えば液晶ディスプレイ等の可変表示装置、7セグメントLED、ドットマトリクス表示装置等であり、複数の数字を表示する。表示内容として、大当り時における大入賞口の開閉処理が大当り状態に入ってから何ラウンド目になるかを表示する表示である。また、異なる回数の最大ラウンドを持つような他の実施形態では、表示内容として、現在、いくつの最大ラウンド数の大当り状態にあるかを示すこともできる。例えば、最大ラウンド数が6回の場合と15回の場合があるときは、大当り時に本ラウンド回数表示器119は、最大ラウンド数を表示するようにすることができる。すなわち、大当り開始時の最大ラウンド回数報知手段としての機能を有することもできる。
また、遊技機100は、遊技盤101に取り付けられた光学式のタッチセンサである短縮スイッチ(図示せず)を備えることもできる。遊技盤101に据え付けられた役物、短縮スイッチ、釘等はその上にガラス板を被されており、ガラス板と遊技盤101との間に確保されたスペースを打ち出された遊技球が落下していく。特別図柄表示装置102や演出図柄表示装置103が特別図柄や演出図柄を変動表示中に、遊技者がガラス板を介して短縮スイッチに手をかざすと、それを検知した短縮スイッチが起動信号を発生し、特別図柄表示装置102や演出図柄表示装置103の変動表示が即止めされ、または短縮されて停止することが可能である。なお、短縮スイッチを設けないようにしてもよい。
また、遊技機100は、演出切替スイッチ120を備えることもできる。遊技者は、演出切替スイッチ120を操作することにより、演出図柄表示装置103に好みの演出画面を表示させたり、演出用可動物の動作を制御することができる。
図2は、遊技機100、情報表示装置201、ホールコンピュータ202、アウト球検出装置203を備える一般的な遊技システムの概略図である。情報表示装置201は、例えば、遊技機100の上部に設置された表示装置であり、遊技機100からの信号およびホールコンピュータ202からの指示にしたがって、ランプや画面等により遊技者へ遊技状態を報知する。情報表示装置201は、周知の遊技場の情報公開システムを適用すればよく、遊技状況の表示(遊技データの公開)として、例えば、図柄回転数、大当り回数、出球、差球、トータルゲーム数等を表示し、さらに遊技者の個人のデータ取りの可能なものが知られている。情報公開システムとしては、(株)平和のヨビダス(商標)等、種々の製品が周知であるのでその制御回路の説明は省略する。
ホールコンピュータ202は、各遊技機100等からその稼動状況のデータを収集し、各アウト玉検出装置203からの出力を収集し、遊技場の運営を管理する。或いは、各情報表示装置201の遊技状態を報知する。ホールコンピュータ202は、遊技場で使用される周知のホールコンピュータであるので、その制御回路構成については省略する。
アウト玉検出装置203は、遊技機設置設備と遊技球補給システムから成る島設備内部に設置されており、遊技盤面を通って遊技機から排出された遊技球(打ち出された遊技球で、アウト玉とも言う)の検出を行い、ホールコンピュータ202へアウト玉検出信号を送信する。アウト玉検出装置203の構造や制御回路構成については、当業者には周知であるため、その説明は省略する。
図3は、遊技機100内の制御部300の実施形態を示すブロック図である。図に示すように、制御部300は、主に、主制御部310と副制御部340と表示制御部370の3つの制御部から構成される。不正行為防止および法規上の制約のため、通常、各制御部は各機能ごとに別々の基板に実装され、直接・間接に接続されて相互にまたは一方向に送信可能である。主制御部310は、始動入賞口への入賞による遊技球の検出に基づいて内部で発生させた乱数に応じてコマンドの送信および遊技全体の制御を行い、また特別図柄表示装置102を直接制御する。副制御部340は、主制御部310から送信されるコマンド(第1のコマンド)に応じて表示制御部370を制御するためのコマンド(第2のコマンド)を送信すると共に、遊技領域等に設けられているランプの点滅制御、遊技機のスピーカから出力する音声の制御、モータを回転制御することによって遊技領域等に設けられているキャラクタフィギャア等の演出用可動物制御を行う。表示制御部370は、副制御部340から送信されるコマンドに応じて、液晶表示装置等の演出図柄表示装置103を制御する。
次に、主制御部310、副制御部340、表示制御部370の各構成・機能を詳細に説明する。
(主制御部の構成・機能)
図4は、主制御部310の内部構成を示す概略ブロック図である。主制御部310は、CPU422、ROM420、RAM424、大入賞口ソレノイド出力ポート428、普通電動役物ソレノイド出力ポート430、特別図柄表示用出力ポート432、普通図柄表示用出力ポート434、状態報知表示ポート435、特別図柄作動記憶表示灯用ポート436、ラウンド回数表示ポート437、普通図柄作動記憶表示灯用ポート438、副制御用コマンド出力ポート(演出図柄指定コマンド、変動パターンコマンド等を送出)440、払出制御用コマンド出力ポート442、外部情報出力ポート444、入力ポート426を備える。
演出図柄指定コマンド(第1のコマンド)とは、演出図柄表示装置103に表示される演出図柄の停止図柄を指定するコマンドであり、変動パターンコマンド(第1のコマンド)とは、演出図柄表示装置103に表示されるリーチ、はずれ、特賞等の抽選結果の報知と、演出画像とを合わせて行うための画面変動の態様を指定するコマンドである。
主制御部310は、入力ポート426を介して、各種スイッチ(特別図柄始動スイッチ410、普通図柄作動スイッチ412、遊技球検出手段である大入賞口スイッチ414、特定領域スイッチ416、その他のスイッチ418)からデータを入力し処理する。主制御部310は、出力ポート428〜438、444を介して、特別図柄表示装置102、特別図柄作動記憶表示灯(保留ランプ)112、普通図柄表示装置107、普通図柄作動記憶表示灯(保留ランプ)113、状態報知表示器115、ラウンド回数表示器119、大入賞口ソレノイド446、普通電動役物ソレノイド448、および外部情報出力部454を直接制御する。一方、主制御部310は、副制御部340に副制御用コマンド(演出図柄指定コマンド、変動パターンコマンド等)を送信して副制御部340をコマンド送信により制御する。さらに、主制御部310は、払出制御部450にコマンドを送信して賞球の払出制御を行う。本実施形態にしたがって、主制御部310が直接制御および副制御部340を介したコマンド送信によって特別図柄表示装置102を制御する方法の詳細については後述する。
次に、主制御部310が入力ポートを介して入力する各種スイッチ、主制御部310の構成要素および主制御部の制御対象について詳細に説明する。特別図柄始動スイッチ410は、遊技者により打ち出されて始動入賞口104に入賞した遊技球がこのスイッチを通過する時に、起動信号を発生して入賞検知させ特別図柄表示装置102の図柄変動の契機を与える。
普通図柄作動スイッチ412は、遊技者により打ち出されて普通図柄表示装置作動ゲート(左)105および普通図柄表示装置作動ゲート(右)106を通過した遊技球が、このスイッチを通過する時に起動信号を発生し、普通図柄表示装置107の普通図柄の変動契機を与える。大入賞口スイッチ414は、特賞になった時に、その後の大当り動作において、可変入賞球装置109へ入賞した遊技球がこのスイッチを通過する時に起動信号を発生し、主制御部310は遊技球の入賞検知を行う。
特定領域スイッチ416は、可変入賞球装置109の開放中に特定領域を通過した遊技球がこのスイッチを通過する時に起動信号を発生し、主制御部310は次のラウンドの権利発生を検知する。なお、このスイッチについては省略することができる。
その他のスイッチ418としては、始動入賞口104や可変入賞球装置109以外のその他の入賞口へ入賞した遊技球がこのスイッチを通過する時に起動信号を発生し、主制御部310は遊技球の入賞検知を行う。
CPU422は主制御部全体の制御を行う回路であり、ROM420には、主制御部310上で実行される遊技機を制御するためのプログラムが記憶される。具体的には、ROM420は、主制御部310のCPUが行う遊技制御処理の内容を規定した図7、10〜17、22〜24に示すフローチャートに従って実行される遊技制御プログラムを記憶している。ROM420にはさらに、副制御部340を指示するための演出図柄指定コマンド、変動パターンコマンドを始めとする遊技機を制御するための各種パラメータの値が格納されている。RAM424は、主制御部310に対する入出力データや演算処理のためのデータ、遊技に関連する乱数カウンタを始めとする各種カウンタ等を一時記憶し、および各保留球の情報を記憶する保留メモリを有する。
特別図柄表示装置102は、複数の数字や図形等の特別図柄を表示し、普通図柄表示装置107は、複数の数字や図形等の普通図柄を表示する。特別図柄作動記憶表示灯(保留ランプ)112は、連続して特別図柄の変動が可能な回数を報知する。普通図柄作動記憶表示灯(保留ランプ)113は、連続して普通図柄の変動が可能な回数を報知する。
大入賞口ソレノイド446は、可変入賞球装置109の内部の構成部材の一つで、特賞になった時に、その後の大当り動作において可変入賞球装置109の前面に取り付けられた開閉部材114を主制御部310からの指示に基づいて開放する。
普通電動役物ソレノイド448は、普通図柄表示装置107が小当たりの普通図柄を停止表示する場合、普通電動役物108を主制御部310からの指示に基づいて開放する。払出制御部450は、主制御部310から払出制御用コマンドを受け、特別図柄始動スイッチ410、大入賞口スイッチ414、その他のスイッチ418等で入賞検知がされた場合に賞球払出装置452に賞球の払い出しを行うよう指示する。
外部情報出力部454は、主制御部310のCPU422からの情報を外部(情報表示装置201、ホールコンピュータ202等)へ提供するための基板である。ホールコンピュータ202および情報表示装置201は、遊技機の外部情報出力部454を介して遊技機と電気的に接続されている。主制御部310のCPUは、外部情報出力部454を介して、図柄変動の停止、大当り状態、確率変動状態等がわかる情報(信号)、例えば、大当り信号、入賞数信号、スタート信号、確変信号、時短信号、または扉開放信号を外部装置へ出力する。
(副制御部の構成・機能)
図5は、副制御部340の内部構成を示す概略ブロック図である。副制御部340は、主制御部310と同様に、CPU514、RAM512、ROM510、各種入力ポート516、各種出力ポート518を備える。副制御部340は、特に主制御部310が送信する副制御用コマンド(演出図柄指定コマンド等の第1のコマンド)を受信して、その演出図柄指定コマンドにしたがって、液晶表示用コマンド(第2のコマンド)を作成し、表示制御部370に送信する。また、副制御部340は、ランプ表示装置520の点滅制御、効果音発生装置522が出力する効果音の発生制御、演出用可動物524の制御等を内部コマンドにより行う。このように副制御部340は、液晶表示、ランプ点灯、効果音の生成、可動物の制御等の演出に関わる制御を専門的に行うことにより、主制御部310の負荷を軽減するのに役立っている。
また、副制御部340は、変動パターンコマンド(コマンドID値:「A0」H)および演出図柄指定コマンド(コマンドID値:「B1」H)を受信した場合、予告指定コマンド(コマンドID値 「95」H〜「98」H)を内部生成して、表示制御部370に送信する。予告指定コマンドとは、大当りの発生、あるいはリーチの発生を遊技者に予告する演出表示を指定するコマンドである。コマンドID値が「95」H、「96」H、「97」Hの予告指定コマンドは、大部分の変動パターンが選択されたときに行われる予告演出を指定するコマンドである。コマンドID値が「98」Hの予告指定コマンドは、ある特定の変動パターン(リーチパターン)が選択されたときに行われる予告演出を指定するコマンドである。コマンドID値が異なる理由は、変動パターンコマンドに応じて重複する場合があるからである。
ランプ表示装置520は、遊技に関連するランプ類の表示装置であり、副制御部340の指示で複数のランプを選択的に点灯/消灯させる。効果音発生装置522は、遊技に関連する音響を発生する。演出用可動物524は、モータ等により回転制御される遊技領域等に設けられている演出用のキャラクタフィギャア等である。
副制御部340は、演出切替スイッチ120からの入力を受け付ける。遊技者は、演出切替スイッチ120を操作することにより、演出図柄表示装置103に好みの演出画面を表示させたり、演出用可動物524の動作を制御したりすることができる。このように、遊技者は演出切替スイッチ120を操作することにより、遊技機の演出面に参加することができる。
(表示制御部の構成・機能)
図6は、表示制御部370の内部構成を示す概略ブロック図である。
表示制御部370は、特に、副制御部340が送信する液晶表示用コマンド(第2のコマンド)を受信して、その液晶表示用コマンドにしたがって演出図柄表示装置103の演出図柄を変動、停止させ、または、予告指定コマンドを受信して予告表示する機能を有する。以下、液晶表示用コマンドの場合について説明する。
図6を参照すると、本実施形態の表示制御部370の制御回路構成は、第2のコマンドを受信する入力ポート618、CPU620、プログラムROM610、RAM612、画像処理用LSI(VDP)622、キャラクタROM616、ビデオRAM614、出力ポート624を有する。入力ポート618は、副制御部340から液晶表示用コマンドを受信し、CPU620へ渡す。CPU620は、プログラムROM610に記憶されたプログラムにしたがって、画像処理および画像表示制御を行う。プログラムROM610は、CPU620が実行する画像処理のためのプログラムを記憶しており、具体的には、CPU620が行う画像表示制御の内容を規定した画像表示制御プログラムを記憶している。
さらに、プログラムROM620は、VDP622のデータ・レジスタにマッピングして書き込むVDP622制御用データ、画像表示を制御するための各種のパラメータの値等も記憶している。RAM612は、CPU620に対する入出力データや演算処理のためのデータを一時記憶し、ワーク・エリアやバッファ・メモリとして機能する。VDP622は、CPU620からの図柄更新の指示に従って演出図柄表示装置103に表示するためのスプライト/スクロール等の画像データをビデオRAM614に展開し、CPU620からの出力指示に従って出力ポート624を介して演出図柄表示装置103の表示領域内に画像データを出力・表示する。演出図柄表示装置103は、LCD、CRTディスプレイ等であり、VDP622が出力する画像のビデオ信号を可視表示する。
また、表示用の制御には、特定の複数の色データを配列して設定したカラーパレット(以下、パレットと呼ぶ)がよく使用される。本実施形態VDP622は、256色を定義するパレットを4つ内蔵しており、4レイヤを処理し、各レイヤに1パレットを関連付けて画像処理を行う。VDP622はCPU620からの出力指示に従って、4つのレイヤ毎に設定した画像データを合成し、その合成画像データを演出図柄表示装置103に出力して表示する。
VDP622は、具体的には、ビデオRAM614上の画像データにより指示されるパレットの色データに基づいてその画像データを色データに変換し、その色データをアナログRGBのビデオ信号として演出図柄表示装置103へ出力して表示する。ここでの画像データはパレットに対するインデックス(配列番号)を含む。
本実施形態のVDP622は、1ピクセル当たりR、G、BおよびI(intensity;彩度)の各々を3ビットの8階調で制御する仕様とし、4096色(=8×8×8×8)を処理する能力を有する。VDP622は、256色を設定可能なパレットを4つの各レイヤに1パレットずつ関連付けて画像処理を行うため、256色×4レイヤ=1024より4096色中の最大1024色を演出図柄表示装置103へ表示可能である。
キャラクタROM616は、CPU620からの指示を受けたVDP622がビデオRAM614に展開する、スプライト/スクロール等の画像データを記憶している。また、VDP622内臓の4つのパレットに設定されるべき4つのパレットデータを記憶している。また、画像データは、ランレングス符号化、予測符号化、ハフマン符号化およびその他周知の圧縮技術によって圧縮され、キャラクタROM616に記憶されている。
ビデオRAM614は、VDP622により、演出図柄表示装置103の表示領域内に出力する画像データが展開され、一時記憶される。本実施形態では、4つのレイヤ毎に設定した画像データがビデオRAM614に一時記憶され、ビデオRAM614上で4レイヤの画像データがスクリーンバッファで合成され合成画像データが生成される。
(主制御部による遊技制御処理の手順)
次に、主制御部310のCPU422が実行する遊技制御処理の主な手順を説明する。本実施形態の遊技機の上述した動作に関わる処理は、図7のフローチャートに示す処理手順により行われる。図7に示す処理は、主制御部310のCPU422が、ROM420に記憶されている遊技制御プログラムを読み出して実行することにより行われる遊技制御割り込み処理である。
この処理においては、第1の割込期間(例えば4msec)および第1の割り込み期間より短い第2の割込期間(例えば2msec)毎に起動される2種類の割り込み処理ルーチンが並行して動いている。なお、必要に応じて第3の所定期間毎の割り込み処理や第4の所定期間毎の割り込み処理等を各割り込み処理の周期が重ならないように行うことも可能である。図7において、遊技機が電源の投入をされると、主制御部310はRAM424をクリアしてその初期設定を行い(S710)、次に、副制御部340に初期コマンド(例えば、RAMクリア処理、初期図柄決定処理、等。なお、電源断状態にあった場合は電源復帰処理も含まれる。)を送信して(S712)、画像、ランプ、音声および遊技等に関わる初期設定の指示を行う。電源復帰処理については、図22、23を参照して後述する。
最初に、第1の割込期間(例えば、4msec)毎の遊技制御関連の第1の割込処理について説明する。コマンド出力管理処理(S714)において、主制御部310は、後述する特別遊技管理処理(S716)で作成され、RAM424のコマンド記憶領域上に設定された変動パターンコマンドおよび演出図柄指定コマンド(第1のコマンド)を副制御部340へ送信する。まず、送信するコマンドがあるか否かを判断し、送信するコマンドがある場合、副制御部340へコマンドを送信する。出力するコマンドが無い場合、本処理はそのまま終了する。
演出図柄指定コマンドと変動パターンコマンドを受信した副制御部340は、表示制御部370に液晶表示用コマンドを送信する。この液晶表示用コマンドを受信した表示制御部370は、演出図柄表示装置103の演出図柄を所定の変動時間だけ変動制御し、次に、液晶表示用コマンドで指定された図柄で停止させる。ここで、表を用いて、演出図柄指定コマンドと液晶表示用コマンドの内容を説明する。
図8は、主制御部310が副制御部340に送信するコマンド(演出図柄指定コマンド)および各コマンドを受信した副制御部が表示制御部に送信するコマンド(液晶表示用コマンド)等の内容を示す表である。図8を参照すると、コマンドは送信されたコマンド自体を識別して遊技状態を把握するための「コマンドID」部と識別した遊技状態においてその遊技状態における具体的な制御情報の種類を識別するための「EVENT」部という2つの部分から構成された2バイトのコマンドであることが理解される。
演出図柄指定コマンドの「コマンドID」部は全て同一の「B1」H(16進数)であり、「EVENT」部は、「00」〜「08」、「0A」Hの10の値のうちのいずれかの値である。また、液晶図柄指定コマンドの「コマンドID」部は「B1」Hであり、「EVENT」部は「00」〜「0A」Hのいずれかの値である。図8からわかるように、大当り決定時の特演出図柄0〜8指定に関しては、演出図柄指定コマンドの「EVENT」部の値と液晶表示用コマンドの「EVENT」部の値は同一である。したがって、例えば、大当り決定時の特演出図柄7指定がされた場合には、主制御部は、「B1」H+「07」H(コマンドID+EVENT)の演出図柄指定コマンドを副制御部340に送信し、その演出図柄指定コマンドを受信した副制御部340は、「B1」H+「07」H(コマンドID+EVENT)の液晶表示用コマンドを表示制御部370に送信する。その液晶表示用コマンドを受信した表示制御部370は、演出図柄表示装置103で変動表示中の演出図柄を「777」の組み合わせで停止させる。
一方、はずれ決定時の特演出図柄10指定に関しては、演出図柄指定コマンドは「B1」H+「0A」Hであり、液晶表示用コマンドは「B1」H+「0A」Hであり、この場合、演出図柄ははずれの組み合わせで停止する。
次に、特別遊技管理処理(S716)において、主制御部310は、図柄変動、役物制御等遊技に関わる制御が行なわれる。始動入賞口104への入賞球または保留球の保留消化による特別図柄の変動開始時には、RAM424上のリーチ乱数ループカウンタから読み取られるリーチ乱数、図柄乱数ループカウンタから読み取られる図柄乱数、および始動入賞口104への入賞球の大当り乱数またはその保留球の保留メモリに記憶されている大当り乱数に基づいて、主制御部310は変動パターンコマンド、演出図柄指定コマンド、および特別図柄(左)と特別図柄(右)の各停止図柄等をRAM424のコマンド記憶領域上に設定する。演出図柄指定コマンドの体系に関しては、コマンド出力管理処理(S714)の中で既に説明した。
また主制御部310は、大当り動作中には、可変入賞球装置109を所定時間だけ開放することを大入賞口作動ソレノイド446に指示するための、大入賞口開放データおよび大入賞口閉鎖データをRAM424上の所定エリアに記憶する。さらに、主制御部310は、特別図柄表示用出力ポート432を介して、可変入賞球装置109の大入賞口周辺に設けられた特別図柄表示装置の特別図柄(左)と特別図柄(右)を所定の変動時間だけ変動制御し、RAM424に記憶されている特別図柄(左)と特別図柄(右)の各停止図柄で停止させる。各停止図柄は、2桁からなる7セグメントの特別図柄表示装置102に表示される。
このように、ステップ716において、主制御部310は、特別図柄指定コマンドを他の制御部に送信することにより特別図柄を制御するのではなく、特別図柄表示用出力ポート432を介して特別図柄を直接制御する。ここで「直接制御」とは、主制御部310が備える特別図柄表示用出力ポートから特別図柄表示装置102に対して直接的に表示駆動に係わる制御信号を送ることにより特別図柄を変動させる処理のことであり、例えばCPUからの信号(命令)を他のCPUによる判断なしで直接送ることや、割り込み等による時間遅れ(タイムラグ)なしで制御すること等のことである。
ここで、図9は、大当りの場合およびはずれの場合の特別図柄と演出図柄の関係を示すテーブルである。図9に示すように、例えば、大当り乱数が大当りの場合に、大当り特別図柄乱数ループカウンタから取得した大当り図柄乱数(0〜99の100通りある)が「3」のときには、主制御部310は特別図柄表示装置102に特別図柄として「03」を表示する。そして、図8および図19が示すように、主制御部310は、特別図柄「03」に対応する値「07」HをEVENT値として含んだ演出図柄指定コマンド(コマンドID値は「B1」H)を副制御部340に送信する。つづいて、副制御部340は、「07」HをEVENT値として同様に含んだ液晶表示用コマンド(コマンドID値は「B1」H)を表示制御部370に送信する。その液晶表示用コマンドを受信した表示制御部370は、演出図柄表示装置103で変動表示中の演出図柄を「777」の組み合わせで停止させる。
一方、大当り乱数がはずれの場合に、はずれ特別図柄乱数ループカウンタから取得したはずれ図柄乱数(0〜20の21通りある)が「1」のときには、主制御部310は特別図柄表示装置102に特別図柄として「−(ハイフン)1」を表示する。そして、主制御部310は、特別図柄「−1」に対応する値「0A」HをEVENT値として含んだ演出図柄指定コマンド(コマンドID値は「B1」H)を副制御部340に送信する。次に、副制御部340は、液晶表示用コマンド(コマンドID値は「B1」H、EVENT値は「0A」H)を表示制御部370に送信する。その液晶表示用コマンドを受信した表示制御部370は、演出図柄表示装置103で変動中の演出図柄を主制御部310から副制御部340を介して受信した変動パターンコマンドに対応したはずれ図柄で停止させる。
つまり、大当りの場合における演出図柄指定コマンドは複数備えられている。すなわち、演出図柄表示装置103に表示される演出図柄の組み合わせに対応した種類の演出図柄指定コマンドがある。なお、大当りの場合における演出図柄指定コマンドは、遊技結果(状態)の状態の数に対応した種類を備えればよい。すなわち、大当り状態が終了した後に確率変動状態に移行すると決定された図柄を指定する確率変動状態移行図柄指定、大当り状態が終了した後に通常状態に移行すると決定された図柄を指定する通常状態移行図柄指定、大当り状態が終了した後に変動時間短縮状態に移行すると決定された図柄を指定する変動時間短縮状態移行図柄指定、等の少なくとも大当り状態の後の遊技状態に応じた図柄態様を指定するものであればよく、演出図柄表示装置にて表示される最終的な演出図柄については、主制御部では大当り状態が終了した後の状態を決定するだけで、副制御部または表示制御部で、決定された状態に応じた図柄の中から最終的に表示させる演出図柄を決定させ、演出図柄表示装置103に表示するようにしてもよい。
一方、抽選の結果がはずれの場合には、はずれという一つの遊技結果(遊技状態)があればよいので、遊技結果(遊技状態)に応じた数の演出図柄指定コマンド、すなわち単一の演出図柄指定コマンドで十分対応可能となる。
次に普通遊技管理処理(S718)について説明する。普通図柄表示装置作動ゲート(左)105(または、普通図柄表示装置作動ゲート(右)106)の球の通過により普通図柄の変動が開始すると、RAM424上の小当り乱数に基づいて、主制御部310によって普通図柄の停止図柄データ等が準備される。この処理は、主制御部310が普通遊技管理処理を行う中で、普通図柄変動開始時と判断された場合に行われる。
外部情報処理(S720)においては、主制御部310からの遊技状態の情報が、外部情報出力部454を介して遊技機外部(主にホールコンピュータ202や情報表示装置201)に伝えられる。主制御部310はRAM424上の所定エリアに記憶した大入賞口開放データと大入賞口閉鎖データに基づいて、可変入賞球装置109を開放や閉鎖することを、大入賞口ソレノイド446に指示する(S721)。その他乱数更新処理(S722)において、主制御部310は、この割込み処理の残余時間中に大当り乱数および大当り特別図柄乱数以外の乱数(リーチ乱数、はずれ図柄乱数等)を更新する。
次に、第2の割込期間(例えば2msec)毎の第2の割込処理、すなわち乱数更新、スイッチチェックを行なうための処理を実行する割込み処理ルーチンについて説明する。まず、当たり抽選乱数更新処理(S730)において、主制御部310は、第2の割込期間毎にRAM424上の大当り乱数ループカウンタをインクリメント(+1)することにより、特賞用の大当り乱数および大当り特別図柄乱数を更新するとともに、普通図柄用の小当り乱数および後述する転落抽選用乱数を更新する。なお、本実施形態において、ループカウンタとは、0〜所定の最大値までの値をサイクリックに更新するカウンタを意味する。
次に、入力処理(S732)において、主制御部310は、始動入賞口104への入賞球を特別図柄始動スイッチ410によって検知すると、大当り乱数ループカウンタから大当り乱数を読み取ってRAM424上に記憶する。このとき、RAM424上の特別図柄作動記憶カウンタを1とする。また、特別図柄変動中に始動入賞口104に球が入賞したことを特別図柄始動スイッチ410によって検知すると、主制御部310は大当り乱数ループカウンタから大当り乱数および大当り特別図柄乱数を読み取り、RAM424上の保留球の保留メモリに記憶する(球の保留)。このとき、RAM242上の特別図柄作動記憶カウンタをインクリメントする。ステップ732において、このカウンタは累積が所定の値を超えるとそれ以上は加算されない。特別図柄変動中にこのステップが繰り返し実行される毎に、RAM424上の保留メモリ上に連続的に各大当り乱数の値が複数保留球分記憶される。
さらに、主制御部310は、普通図柄表示装置作動ゲート(左)105(または、普通図柄表示装置作動ゲート(右)106)の球の通過を検知すると、小当り乱数ループカウンタから小当り乱数を読み取ってRAM424上に記憶する。また、主制御部310は、特別図柄始動スイッチ410による始動入賞口104への入賞検知、大入賞口スイッチ414による大当り動作時の可変入賞球装置109への入賞検知、その他スイッチ418による始動入賞口104や可変入賞球装置109以外のその他の入賞口への入賞検知の結果を、RAM424上に記憶する。特に可変入賞球装置109への入賞検知の際には、主制御部310はまた、RAM424上の大入賞口カウンタをインクリメント(+1)する。なお、大当り中以外(通常状態時)はカウンタをインクリメントしないように制御している(賞球はあり)。さらに主制御部310は、特定領域スイッチ416による特定領域を通過した遊技球の検知の際には、RAM424上のVフラグをONにする。
賞球払出管理処理(S734)においては、入力処理(S732)でRAM424上に記憶した特別図柄始動スイッチ410による始動入賞口104への入賞検知、大入賞口スイッチ414による大当り動作時の可変入賞球装置109への入賞検知、その他スイッチ418による始動入賞口104や可変入賞球装置109以外のその他の入賞口への入賞検知の各結果に対して、主制御部310は各々の予め設定された賞球数に対応した賞球の払い出し数をRAM424上の所定エリアに設定する。
主制御部310は、RAM424上に設定した賞球の払い出し数に基づいて、賞球払出装置452へ賞球の払い出しをコマンド出力により指示する。
(電源復帰処理)
次に、図22、23を参照して、電源復帰処理について説明する。電源復帰処理は、主に営業中の電源断時の復旧、または営業開始時の電源投入の際に実行される。電源が復旧または投入されると、まず、種々の初期値の設定処理等の基本的な初期設定処理が行われ(S2202、2203)、RAMクリアスイッチが押下されているか否かを確認する(S2204)。そして、表示装置等の状態が動作可能状態になるまでの所定時間待機状態とし(S2205)、RAMに設定されている情報を初期化するRAMクリアスイッチが押下され、RAMクリアが指定されているとRAMクリア処理が行われ(S2210)、上述の遊技制御割り込み処理(図7)が行なわれる。副制御部に対して、電源投入時に表示する予め設定されている図柄情報等の初期コマンドのセットを行なう電源投入時初期設定処理を行い、処理が終了した時点で副制御部に出力し(S2211、S2212)、RAMクリアが行われない場合は、バックアップされたメモリを含む種々のメモリの状態が正常であることをサムチェック処理等により確認して(S2207〜2209)、バックアップ有効判定フラグをクリアし(S2213)、後述する副制御部復帰処理を行う(S2214)。次に、バックアップされた図柄情報等の復帰コマンドのセットを行なう電源復帰時のRAMの初期設定を行なって(S2215)、上述の遊技制御割り込み処理(図7)が行なわれる。このようにして、RAMクリアが指定されている場合は、電源断時にどのような状態であってもその状態はクリアされるから、電源断時の状態にかかわらず初期状態で遊技機が処理を開始することとなる。逆に、RAMクリアが指定されないと、電源断時の状態が一部または全部残されることとなり、その状態に即した復帰状態とすることができるのである。例えば、電源断時に確率変動状態にあった場合(電源復帰時特別図柄確率状態フラグが「01」H)は、後述するように確率変動状態にあることを示す特別図柄確率状態フラグ(以下、確変フラグ)に「01」H(確率変動状態ON)を設定する等の処理を実行する。以下に、本実施形態の、特に電源断時に確率変動状態にあったときの処理について以下に説明する。
図23を参照して副制御部復帰処理を説明する。まず、電断復帰処理開始コマンドを出力する(S2302、2303)が、図25に示すようにコマンドIDは「80」H「01」Hを指定する。次に、機種を指定するコマンド、本実施形態では、例えば機種5を指定すると、コマンドIDは「81」H、EVENTは「05」Hとなる(S2304、2305)。
次に、電源断時の状態を読み込んで、その状態で復帰するようにコマンドを出力する(S2306〜2308)。すなわち、本実施形態において電源断時に確変状態であった場合、電源復帰の際も確変状態で立ち上がる必要があるため、図25に示すようにコマンドIDには「82」H、EVENTには「01」Hが設定されて送信される。このような副制御部340へのコマンド出力(S2307)がなされると、副制御部は電源断時に確変状態にあったこと、および現在も確変状態であることを示す演出図柄を表示するように演出図柄表示装置370にコマンドを出力するとともに、LED等の報知装置に内部コマンドを出して、点滅あるいは点灯、または音声の出力等を内部コマンドにより行なって確変状態であることを報知する。
一方、電源断時に確変状態ではなかった場合、通常の低確率状態で立ち上がったことを示すようにコマンドが出される。すなわち、図25に示すように、コマンドIDは「82」Hであり、EVENTは「00」Hが設定されコマンド処理される(S2308)。以後、図23に示すように、電源復帰時のRAMの初期設定処理で設定された図柄に関するコマンドをセットして出力する(S2309〜S2312)、特別図柄作動記憶カウンタに関する情報をセットして出力し(S2317〜S2320)、特別遊技管理処理にかかわる状態に基づいた情報をセットして副制御部に出力する(S2321〜S2329)等の種々の処理が行われ、副制御部が所定の処理を行う。なお、S2304,S2305等の機種指定は省略してもよい。
(特別遊技管理処理の詳細・・・大入賞口の制御)
図10は、本実施形態の特別遊技管理処理を示すフローチャートであり、図7に示すメインフローのステップS716の詳細な処理を示すものである。特別遊技管理処理は、いくつかの処理を組み合わせて実行されるが、それらの詳細は図11〜17を参照して後述する。したがって、特別遊技管理処理は、図10〜17に示される処理全体で行なわれるものである。
上述の通り、本実施形態の各処理において、本特別遊技管理処理も含め、プログラムは所定の状態の変化が発生するまでステータス(動作状態情報)をチェックしつつループ動作をしており、ステータスが変化すると所定の処理を行ってその内容を所定のエリアに格納し、次の処理が実行されるのを待機してループに戻る。次の処理では同様にステータスの内容をチェックしてそれに応じた処理を行うという形で処理が続けられる。
図10を参照して本処理を説明すると、具体的に実行すべき各処理(図10では、特別図柄変動開始待ち処理(S1003)、特別図柄変動中処理(S1004)、特別図柄停止表示中処理(S1005)、特別電動役物開始処理(S1006)、特別電動役物開放処理(S1007)、特別電動役物閉鎖処理(S1008)、特別電動役物終了ウェイト処理(S1009)の処理)を指定する特別遊技管理ステータス(以下、「特ステータス」がそれ以前の処理中で設定され、ステップS1001において指定された処理に振り分けられる。
すなわち、特別遊技管理処理のフローチャートにおいては、先ず特ステータスをチェックしてジャンプ先アドレスを決定し、各処理にジャンプする(S1001、1102)。次に、決定したアドレス先の示す処理を実行する。具体的には、特ステータスが0のときは、特別図柄変動開始待ちの処理が行われる(S1003)が、詳細は図11〜13を参照して後述する。特ステータスが1のときは、決定した特別図柄を変動表示させ、特ステータスに2を設定して(S1004)、所定の条件例えば一定の時間経過の後、特別図柄を停止させ所定の表示を行って大当りならば特ステータスに3を設定し、はずれならば特ステータスを0に戻す(S1005)。
次に、特ステータスが3の場合、大入賞口を開放するための準備を行う処理を実行して(S1006)、特ステータスが4に設定され(詳細は図14を参照して後述する)、実際に大入賞口が開放され(S1007)、特ステータスが5に設定される(詳細は図15を参照して後述する)。具体的には主制御部310は、RAM424上のラウンドカウンタ(大当り動作中のラウンド数を計数するカウンタ)、開放タイマ(1ラウンド中の大入賞口の開放時間を計測するタイマ)を所定の値に記憶し、インターバルタイマ(ラウンド間の大入賞口の閉鎖時間を計測するタイマ)を所定の値(数秒)に設定し、Vフラグ(遊技球が特定領域を通過した際にONとなるフラグ)をOFF、大入賞口カウンタ(1ラウンド中に大入賞口に入賞した遊技球数を計数するカウンタ)を0にする。詳細には、ラウンドカウンタを15ラウンド、開放タイマを30秒に設定する。特ステータスが5の場合、大入賞口の閉鎖が行われ(S1008)、特ステータスが6に設定され(詳細は図16を参照して後述する)、以上の処理の終了ウェイト処理(S1009)が行われる(詳細は図17を参照して後述する)。
以上図10を参照して特別遊技管理処理の全体の処理を説明したが、次に図11〜13を参照して本実施形態にかかる特別図柄変動開始待ちの処理(S1003)について説明する。本処理では、ステップS732において検知により表示すべき特別図柄が決定され、および大当りか否かが判定されてそれらの情報が所定のエリアに格納される。具体的には、遊技球が始動入賞口104へ入賞した場合は、ステップS732で説明したように特別図柄作動記憶カウンタに入賞した遊技球の数が累積されており(すなわち、カウンタが0のときは入賞していないことを意味し、0でないときは少なくとも1回は入賞していることを意味する。通常、このカウンタは本処理が行われるごとに減算される。)、大当りの場合はRAM上の大当りフラグエリアに「01」Hが設定され、大当り図柄乱数が大当り図柄乱数記憶領域に格納される。
ステップS1003の特別図柄変動開始待ち処理を示す図11を参照すると、先ず特別図柄作動記憶カウンタがロードされ、チェックされる(S1101、1102)。チェックの結果特別図柄作動記憶カウンタが0の場合は、図柄の変動は行われず、客待ち状態に設定する処理(デモンストレーション画像表示処理)を行い通常の処理に戻る(S1103、1104)。ステップS1103でカウンタが0でないと判定された場合、記憶エリア(保留メモリ)がシフトされ、記憶エリアの内容が読み込まれてまず、確率変動状態からの転落が抽選されているか否かが判定されて対応する処理がなされ(S1110)、次に大当りが抽選されているか否かが判定される(S1105、1106)。
すなわち、確変フラグがON(確率変動時)であり、確率変動状態にある場合、RAM424に記憶されている転落抽選に係る乱数に基づいて、確率変動状態を変更する転落抽選の判定を行う。図24を参照して後述するが、この乱数が予め定められた転落抽選の値と一致すると判定された場合、確変フラグをOFFにする(S1110)。このような処理を行うことにより、例え確率変動状態であっても突然その状態が解消され、意外性が付与され、遊技性を向上させることができる。
なお、転落抽選は、大当り乱数が抽出されるのと同じタイミングで、転落抽選乱数から乱数値を抽出するものであり、特別図柄作動記憶領域に記憶した大当り乱数に対応させて記憶するものである。すなわち、大当りの抽選結果の報知である図柄変動が消化されると、同じように記憶エリアのシフトがなされる。そして、遊技状態が高確率状態である確率変動状態にある場合に転落抽選の判定がなされるようになっている。すなわち、遊技状態が通常確率状態では行われないように制御(転落抽選禁止処理)するものである。もちろん、これに限らず、通常確率状態ではない確率変動状態のときにのみ大当り乱数が抽出されるのと同じタイミングで、転落抽選乱数から乱数値を抽出し、転落抽選を判定するように制御するものでもよいし、遊技状態に応じた転落抽選乱数を備え、通常確率状態では100%当選させて遊技状態を通常確率状態に維持するようにし、確率変動状態時は当選確率を通常確率状態より低くするようにしてもとい。
さらに、転落抽選にかかる確率を大当り抽選確率と同様に低確率から高確率にする等、所定の条件(遊技状態の変化)に応じて変動させるように制御するものでもよい。
次に、RAM424に記憶されている特別図柄変動に係る大当り乱数に基づいて、開始する特別図柄変動の特賞の判定を行う。大当り乱数が特賞の値と一致しない場合、RAM424上の大当りフラグをOFFにし、特賞の値と一致すると判定された場合、大当りフラグをON(「01」H)にする。さらに、特別図柄確率状態フラグ(確変フラグ)がON(確率変動時、すなわち「01」H)の場合は、特賞の判定を行う特賞判定値の個数を増やし、特賞確率を上げる。時短中フラグがONの場合は、RAM424上の時短変動カウンタをデクリメント(−1)し、その結果時短変動カウンタが0であれば時短中フラグをOFFにする(S1106)。
以上のように本実施形態では、転落抽選処理(S1110)は、大当り判定処理(S1106)の前処理として行うように制御している。大当り判定処理(S1106)は通常状態と確変状態とでそれぞれ判定が異なるため、このような順序で処理することにより、処理にかかる負担を軽減することができる。
上記特別図柄変動に要する情報の設定が済むと、主制御部310は、通常の演出時間(秒)を変動パターンIDから一意に決められる演出図柄変動に見合った所定の値とした上で、特別図柄の変動を監視するための特別図柄変動タイマと、短縮スイッチの起動信号発生監視を行なう短縮スイッチタイマとを、通常の演出時間(秒)に設定する。なお、通常の演出時間(秒)は変動パターンID毎にユニークなものであり、変動パターンID毎に秒数が異なる。以上の情報に基づき、以下のようにステップS1004、1005の特別図柄変動のための設定が行なわれ、変動開始時の設定が行なわれて特ステータスが1に変更される(S1107〜1109)。
ステップS1107を示す図12を参照すると、大当りフラグが読み取られ(S1201)、その値がチェックされて大当りではない(フラグが「01」Hではない)場合、主制御部310は、はずれ特別図柄乱数ループカウンタから読み取られるはずれ図柄乱数(0〜20の21通りの値。図9を参照。)から、特別図柄表示装置102および演出図柄表示装置103に停止表示させる複数の図柄および変動パターンを決定する。すなわち、主制御部310は、停止させる特別図柄の組み合わせ、および演出図柄指定コマンドのコマンドID値(「B1」H)、EVENT値(「0A」H)を決定し、RAM424上の所定エリアに記憶する(S1202〜1204)。大当りフラグの値がチェックされて大当り(大当りフラグが「01」H)の場合(S1202)、大当り図柄乱数ループカウンタから読み取られる大当り図柄乱数(0〜99の100通りの値。図9を参照。)により、特別図柄表示装置102および演出図柄表示装置103に停止表示される複数の図柄および変動パターンが決定される(S1205〜1206)。
ここで、図13は大当り時停止図柄の決定(S1205)の処理を示す。図13を参照すると、大当り図柄乱数が読み出され、上述の図9に示すテーブルが参照されて停止図柄番号が決定され、RAM424上の所定エリアに記憶される(S1301)。すなわち、主制御部310は、停止させる特別図柄の組み合わせ、および演出図柄指定コマンドのコマンドID値(「B1」H)、EVENT値(「00」H〜「08」Hのいずれか一つの値)を決定し、RAM424上の所定エリアに記憶する(S1301、S1302)。停止図柄および変動パターンと共に、特別図柄の変動時間データとして所定の値が設定され(S1207)、本処理は終了し通常の処理に戻る。この処理により、特別図柄変動タイマの値が設定され、ステップS1004においてこのタイマが切れるまで表示が変動し、ステップS1005において大当りフラグが「01」Hの場合、特ステータスを3として大当りの場合は大入賞口が開放される。
ステップS1005の処理で、大当りフラグがOFFの場合、特ステータスを0として特別図柄停止表示タイマを設定する。
次に図14を参照して、特別電動役物開始処理(S1006)を説明する。図14は、ステップS1005において特ステータスが3となった後の大当りの処理である。特別図柄停止表示タイマの値を読み込んでタイマ値が0か否か、すなわちタイムアウトしているか否かが判定され(S1401、1402)、タイムアウトしていると判定されると上述のようにコマンドが設定される(S1403)。すなわち、主制御部310から副制御部340に対し大入賞口の開放状態を通知するためのコマンドの設定が行なわれる。具体的には、図18に示すコマンド表を参照すると、コマンドID値としては「91」HがRAM424上の所定のエリアに記憶され、EVENT値として現在のラウンド数に応じて「01」H〜「10」HがRAM424上の所定のエリアに記憶される。
副制御部340へのコマンドの設定が終了すると、ソレノイドの直接制御により大入賞口を開放するよう所定のポートに開放用のデータが設定され(S1405)、最終的に特ステータスは4に変更される(S1407)。
具体的な開放時RAM設定について説明すると、本実施形態では主に図18に示す、少なくとも開放回数を報知させるための開放回数指定コマンドが大入賞口の開放を示す演出画像を演出図柄表示装置に表示させるため主制御部310から副制御部340に送られるが、このため主制御部310ではそれぞれ該当するコマンドIDおよびEVENTの値がRAMの所定のエリアに記憶される(各フローの処理で言えば、S1403)。例えば、大入賞口の通常演出時の1回目の開放の場合、コマンドIDは「91」H、EVENTは「01」Hが設定される。
以上により、大入賞口の開放準備がなされると、図7を参照して説明した出力管理処理(S714)により対応するコマンドが主制御部310から副制御部340に送り出されて、副制御部340は所定の処理を行う。すなわち、上述のステップS1403においてRAMに設定されたコマンドID、EVENTの値のコマンドが主制御部310から副制御部340に送り出される。具体的には、副制御部340は主制御部310から送られたコマンドのうちEVENTの値により示される停止演出図柄を副制御部340のRAM512の所定のエリアに格納しておき、演出図柄表示装置370に所定のコマンドを送信する。
例えば、上述のようにコマンドIDに「91」H、EVENTに「01」Hが設定されている場合、主制御部310は図18に示すこれに対応するコマンドを発行し、副制御部340では大入賞口の通常演出時の1回目の開放時に行われる所定の処理(演出図柄表示装置におけるラウンドの表示やラウンドの画像表示、フィギュアなどの可動物の駆動、ランプの点滅、効果音の発生など)が行われる。
本実施形態の遊技機の主制御部310は、メモリの一部がバックアップ電源等によりバックアップされており、大入賞口の開放状態等の情報もバックアップされているので、以上のコマンド制御により、その時点において開放している大入賞口が何回目の開放であるかといった情報を副制御部等が記憶していなくても、電源断等の不測の事態からの復旧時等において電源断前から継続した演出処理が可能となる。
この場合、上述の通り図18に示すように主制御部310から副制御部340に開放回数指定コマンド(第1のコマンド)が発行され、副制御部340はさらに表示制御部(図柄)370、ランプ制御(ランプ)520、音声制御(音)522および可動物制御(モータ、ソレノイド)524にそれぞれコマンドを発行する。これにより、図柄が変動し、ランプが点灯/点滅し、および盤面に取付けられた可動物が動作して演出効果を一層高めることとなる。表示制御部370についてより具体的に説明すると、副制御部340は開放回数指定コマンドを受信すると、表示制御部370に図18に示すような、少なくとも開放回数を報知するためのコマンド(第2のコマンド)送信する。
このように大入賞口開放時間タイマの設定等が行なわれた後、特ステータスには4が設定され、図15に示すように特別電動役物開放処理(S1007)が行なわれる。まず、大入賞口が開放されてから所定の時間が経過しているか否かがチェックされ(S1501、1502)、経過していない場合、大入賞口に入賞する遊技球の計数値が一定数に満たないときは開放が継続される(S1503〜1506)。具体的には、大入賞口の開放データが所定のRAMに記憶され(S1506)、可変入賞球装置109への入賞検知の際には、主制御部310はまた、RAM424上の大入賞口カウンタをインクリメント(+1)する(S1504)。
したがって、開放から所定時間経過するか、または所定の球数の遊技球が入賞するまでは大入賞口は開放されており、いずれかの条件が満たされれば閉鎖処理のために閉鎖設定処理が行われ、特ステータスは5に変更される(S1510、1511)。このような設定が行なわれると図7に示すように大入賞口が閉鎖され、その後閉鎖処理が行われる。大入賞口の閉鎖処理については図16を参照して説明する。
ここでの大入賞口の開閉処理を説明すると、既に述べたように主制御部310はRAM424上の所定エリアに記憶した大入賞口開放データと大入賞口閉鎖データに基づいて、可変入賞球装置109を、大入賞口ソレノイド446に指示する(S721)ことにより開閉処理を行なう。
図16は、特ステータスが5のときの特別電動役物閉鎖処理(S1008)を示すフローチャートである。本処理は各ラウンドで大入賞口が閉鎖された後に、さらに開放して次のラウンドを継続するか、そのまま処理を終了するか等を判定して、それに応じた処理を実行するものである。すなわち、大入賞口閉鎖タイマを更新し(所定の値を減算し)、その結果タイマがタイムアウト(大入賞口閉鎖タイマ=0)していない場合は通常の処置に戻り、タイムアウトしている場合は特別電動役物閉鎖処理を行う(S1601〜S1602)。
さらに図16を参照すると、開放回数が15未満であれば、特ステータスが4に設定される(S1604〜1611)。この場合の具体的な開放時RAM設定について説明すると、本実施形態では主に図18に示すコマンドが大入賞口の開放を示すため主制御部310から副制御部340に送られるが、このため主制御部310ではそれぞれ該当するコマンドIDおよびEVENTの値がRAMの所定のエリアに記憶される(各フローの処理で言えば、S1605など)。例えば、大入賞口の通常演出時の1回目の開放の場合、コマンドIDは「91」H、EVENTは「01」HがRAM424上の所定のエリアに設定される。図18に示すように、通常演出以外の大当り演出、例えばラウンド回数に応じた昇格演出、ラウンド回数に応じたボタン演出(さらに種々のキャラクタの演出あり)などを行う場合もコマンドは演出の種類(演出態様)ごとに区別されて副制御部340に渡される。
以上により、大入賞口の開放準備がなされると、図7を参照して説明した出力管理処理(S714)により対応するコマンドが主制御部310から副制御部340に送り出され、副制御部340は所定の処理を行う。すなわち、上述のステップS1605においてRAMに設定されたコマンドID、EVENTの値が読み出されコマンドに設定され主制御部310から副制御部340に送り出される。例えば、上述のようにコマンドIDに「91」H、EVENTに「01」Hが設定されている場合、主制御部310は図18に示すこれに対応するコマンドを発行し、副制御部340では大入賞口の通常演出時の1回目の開放時に行われる所定の処理(フィギュアなどの可動物の駆動、ランプの点滅、効果音の発生など)が行われる。以上のコマンド制御により、副制御部等がその時点において何回目の開放であるかといった情報を記憶していなくても、電源断からの復旧時等においても電源断前から継続した演出処理が可能となる。
この場合、上述の通り図18に示すように主制御部310から副制御部340にコマンドが発行され、副制御部340はさらに表示制御部(図柄)370、ランプ制御(ランプ)520、音声制御(音)522および可動物制御(モータ、ソレノイド)524にそれぞれコマンドを発行する。これにより、図柄が変動し、ランプが点灯/点滅し、および盤面に取付けられた可動物が動作して演出効果を一層高めることとなる。
図16に示すフローの説明に戻ると、開放回数が15以上であれば、大当りの終了処理、例えば大入賞口終了ウェイトタイマの値が設定され特ステータスは6に変更になる(S1612、1613)。
本実施形態では、確変状態に入ったことを基本的には報知しないので、特別図柄表示装置には特段確変状態にあることを示す図柄等は表示されない。ここで、確率変動とは、特賞の図柄の組合せの内さらに特定の図柄の組合せ、例えば「7、7、7」の特賞についてその大当り動作消化後に、遊技における遊技機内部の特賞の確率が通常(低確率)状態より向上させる機能のことである。一般に、このような確変機能付き遊技機の確変(高確率)状態は、次の大当り獲得まで継続される。確変状態への移行は種々の方法、例えば抽選により一定の確率で移行するといった方法により決定される。
大当りが終了すると、図17に示す特ステータス6の場合の特別電動役物終了ウェイト処理(S1009)が行われる。すなわち、大入賞口ウェイトの時間が更新(所定の値が減算)され(S1701)、更新の結果タイマ値が0の場合特別図柄状態別に開始用RAMの設定が行なわれ、特ステータスが0に変更される(S1702〜S1704)。すなわち、通常遊技状態の場合(低確率時)には、大入賞口開放回数カウンタのクリア等を行い、確率変動時にはこれに加えて特別遊技動作指定用送信要求バッファに確率変動開始指定を設定等して確率変動時の動作状態に移行するようにし、時短時には時短状態報知指定用送信要求バッファに時短状態報知指定を設定等して時短時の動作状態に移行できるようにする(S1703)。いずれの場合も、その後特ステータスを0として通常の処理に戻る(S1704)。
ただし、S1703における処理における処理においては、確率変動状態を報知するような場合には上記のように制御すればよいが、確率変動状態を遊技者に報知しないような制御を行う場合には、確率変動開始指定を設定するのに代えて、例えば図25の「B2」H「04」H〜「09」H等のチャンス状態(遊技者に有利な状態である可能性が高い状態)を設定して、チャンス状態の動作に移行するように制御する。
(電源断復帰エラー処理)
上述のように、ステップS1110において、転落抽選処理が行われるが、本実施形態ではこの転落抽選の際に、電源断時に確変状態であったことを示す電断復帰時の表示等が処理される。すなわち、上述のように電源断時に確変状態であった場合、電断復帰の際LEDの点滅あるいは点灯、および演出図柄表示装置への表示等所定の表示態様により確変状態にあることが示されるが、本実施形態では以下に説明するように、転落抽選当選時にLEDを消灯し、あるいは演出図柄表示装置への表示を低確率状態のものに変更するなどの処理を行う。
ステップS1110を示す図24を参照すると、まず確率変動状態にあるか否かを確変フラグを読み込んで判断し(S2402)、確率変動状態でなければ処理を終了する。確率変動状態にある場合、さらにステップS730で更新された乱数を参照して所定の値に一致した場合は、転落抽選に当選したものとして次の処理に進む(S2403)。転落抽選に当選している場合、確変フラグをOFF(「00」H)とし(S2404)、電源復帰時に確変状態(電源復帰時特別図柄確率状態フラグが「01」H)でなかった場合処理を終了する(S2405)。
電源復帰時に確変状態にあった(本実施形態では電源復帰エラーとして報知されている)場合、まず電源復帰時特別図柄確率状態フラグを「00」Hとし(S2406)、その時点(転落抽選当選時)の状態、特に時短状態か否かを示すフラグを読み込む(S2407)。次に、電源復帰エラーから復帰させるコマンドを設定するが、図25を参照してコマンドIDは「82」Hとし、EVENTは時短状態にないとき「00」H、時短状態のとき「03」Hを設定する(S2408)。その後、ワードデータ選択処理、コマンド出力処理を行って(S2410)終了する。以上の処理により、電源断時確率変動状態であった場合に点灯または点滅していたLEDが消灯され、時短中であった場合は演出図柄として時短中を示す演出図柄に変更となり、時短中でない場合は通常の低確率状態の演出図柄が表示される。
本実施形態では、電源断復帰エラー処理を転落抽選が行われるタイミング(同一割込処理内)と同じタイミングで行なっているが、本発明はこれに限られることなく、電断復帰後合理的な時間内に確変状態の報知が停止できれば、他のいずれのタイミングで処理を実行することもできる。例えば、電断復帰後の確変状態報知は、一定の定められた時間で停止する等することができる。
以上のように、電源断時に確変状態であった等、電源復帰エラーの報知がなされていても、所定のタイミングで通常の状態に戻すことにより、遊技者に安心感を与え、遊技機としての存在感を保つことが可能な遊技機を提供することが可能となる。