JP2011154313A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】画像形成装置の使用に伴う、複次色における色相の変化を抑制できる構造を実現する。
【解決手段】Y、M、C、Kの4色により画像形成を行った場合に、それぞれの印字デューティDY、DM、DC、DKをビデオ信号カウント部により求める。また、これらの印字デューティのうちの最大値Dmaxを求め、この最大値Dmaxと各印字デューティの差分を求める。そして、この差分に応じて、トナー強制吐き出し動作を行う。これにより、各色の現像器のトナーの消費量が近くなり、トナー像の濃度変動の傾向を略一致させられ、色相の変化を抑制できる。
【選択図】図4

Description

本発明は、電子写真方式のプリンタ、複写機などの画像形成装置のうち、複数の有彩色のトナーを用いてカラー画像を形成する画像形成装置に関する。
従来、カラー画像を形成するための画像形成装置としては様々な形態のものが提案されているが、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーを用いてトナー像を作像し、重ね合わせて定着する方式のものが概ね主流である。このようなカラー画像形成装置においては、いかにして出力物の色を安定させるかということが重要である。即ち、画像濃度は、画像の出力物(形成枚数)の増加と共に変化していく。このため、この形成枚数の増加に拘らず、出力物の色を安定させることが要求される。
このために、例えば、像担持体上にテスト用の小画像(パッチ画像)を形成し、そのパッチ画像の濃度に基づいて、画像の濃度に影響を与える濃度制御因子を最適化する技術が知られている。但し、画像濃度は、画像の形成枚数以外にも、その画像形成の内容の影響を受ける。例えば、ベタ画像(塗りつぶし)や文字数の多い画像を多く形成した場合と、細線や少ない文字などで構成された画像を多く形成した場合とでは、同じ画像形成枚数であっても消費されるトナーの量は大きく相違し、画像濃度の経時変化の程度も異なる。
また、消費するトナー量が少ない画像を連続して出力し続けた場合、トナーの入れ替わりは僅かずつしか行われず、トナーが現像器で長期に亙って摺擦、撹拌される。この結果、トナーの形状が不規則になったり、粒径の分布が偏ったり、酸化チタンなどの外添剤がトナー表面に埋め込まれたりする。そして、トナーの流動性が低下するなどして画質が劣化する場合がある。更に、トナーが長期に亙って摺擦されることにより電荷量が大きくなって、像担持体上に現像されるトナーの量が少なくなり、濃度の低下などの画像不良が生じる場合もある。
したがって、トナーの消費量を考慮して、パッチ画像による濃度制御の濃度目標値を変更したり、濃度制御のタイミングを異ならせる技術が知られている(特許文献1参照)。また、画像比率の大小に応じてトナーを強制的に消費させる技術が知られている(特許文献2参照)。
特開2004−177928号公報 特開平9−34243号公報
上述の特許文献1、2に記載された構造の場合、各色の現像器に対して別々に対策が行うことにより、各色の濃度を安定させ、出力物の色を安定させることを目的とするものである。しかし、各色の濃度変化の傾向が各色ばらばらであると、各色の濃度の変動が僅かであっても、色味が変わったと認識されてしまう場合がある。その理由は、レッド、ブルー、グリーンといった2次色などの複次色において、人間が「色味の変化」をどのように感じ取っているかということに関係している。
一般に、色彩はL*a*b*や、それをa*b*平面において極座標表示したL*C*h°などの色空間で表現される。L*は明度、C*は彩度、h°は色相を表わす。人間が「色味が変わった」と認識しやすいのは、色相h°が変化した場合であるといわれている。
ここで本発明者らは色相を表わすh°の値と2次色の実際の色の見え方との対応を検証すべく、簡単な実験を行った。実験に使用した画像形成装置は、キヤノン(株)製フルカラーコピー機iRC3380で、この画像形成装置により、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)のハーフトーン画像を出力した。ハーフトーンのレベルは0〜255レベルのうち64レベル、80レベル、96レベルとした。そして、このような出力画像(サンプル)の反射濃度を、X−Rite社製分光濃度計528JPにて測定した。この結果を表1に示す。
Figure 2011154313
次に、これら単色のハーフトーンを2色選択したレッド、ブルー、グリーンのハーフトーン画像を、各単色のハーフトーンレベルをそれぞれ3段階(64レベル、80レベル、96レベル)ずつ組み合わせて各色9種類ずつ出力した。そして、これらの2次色サンプルに関し、X−Rite社製分光濃度計528JPにて、単色のレベルがそれぞれ80/80レベルのサンプルを基準として、その他8種類ずつのサンプルのΔh°を測定した。この結果を、表2{レッド(イエロー+マゼンタ)}、表3{ブルー(マゼンタ+シアン)}、表4{グリーン(イエロー+シアン)}に示す。なお、各表の「*」を付した80/80レベルの数値は、本来「0」となる数値であるが、測定誤差により「0」となっていない。
Figure 2011154313
Figure 2011154313
Figure 2011154313
表2ないし表4から明らかなように、いずれの2次色においても、80/80レベル(基準)のサンプルに対しΔh°の変化が少ないのは、表の左上及び右下の方向である。これに対して、表の左下及び右上方向はもちろん、上及び下方向、左及び右方向は、基準のサンプルに対してΔh°の変化が大きい。
ここで、実際に各サンプルをマトリックス状に並べ、本発明者らが肉眼で色味を比較した。すると、やはり上述したように、Δh°の絶対値が小さい表の左上及び右下の方向は、「色味」の変化としては認識しづらかった。これに対して、その他の方向は「色味」の変化が目立つように感じられた。すなわち、色相を表わすh°の値と2次色の実際の色の見え方は実際に対応がとれていることがわかった。
即ち、このような実験結果から、以下のようなことがわかった。
(A)2次色を構成する2色の濃度変化が逆方向(表2〜4の左下及び右上方向)を向いていると、色相の変化(Δh°)が大きく、実際人間の目にも色味が大きく変化したように見える。
(B)また、2次色を構成する一方の色の濃度が変化せず、他方の色の濃度だけが変化した場合(表2〜4の上及び下方向、左及び右方向)も、色相の変化(Δh°)が大きく、実際人間の目にも色味が大きく変化したように見える。
(C)これに対して、2色の濃度が同じ方向に変化した場合(表2〜4の左上及び右下方向)、色相の変化(Δh°)としては小さく、実際人間の目にも「色味」の変化としては認識しにくい。
なお、このような2次色における色相の変化は、3色以上の複次色であっても同様であると考えられる。
このような「複次色における色相の変化」という観点を考慮すると、上述の特許文献1、2に記載された構造の場合、何ら対策がとられていない。即ち、各色の現像器に対し別々に対策を施しているため、例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの濃度変化の傾向が各色独立したものとなる。この結果、各色の濃度の変動が僅かであるにも拘らず、色相h°が変化することで「色味が変わった」と認識されてしまう可能性がある。
本発明は、このような事情に鑑み、画像形成装置の使用に伴う、複次色における色相の変化を抑制できる構造を実現すべく発明したものである。
本発明は、像担持体にトナー像を形成するために、それぞれ異なる色のトナーを有する複数の現像器を備えた画像形成装置において、前記複数の現像器の、画像形成によるそれぞれのトナーの消費量を検知するトナー消費量検知手段と、前記トナー消費量検知手段の検知結果から、前記複数の現像器のそれぞれのトナー消費量を比較し、該複数の現像器のうちの最もトナーを消費した現像器のトナー消費量に近づくように、他の現像器に強制的にトナーを消費させるためのトナー像の形成を行わせる制御手段と、を備えたことを特徴とするものである。
本発明によれば、各色の現像器のトナーの消費量を近づけるため、複数の現像器により形成するトナー像の濃度変化の傾向を略一致させることができ、画像形成装置の使用に伴う、複次色における色相の変化を抑制できる。
本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の概略構成図。 同じく現像器を抜き出して拡大して示す概略構成図。 同じく画像形成装置の画像処理ユニットのシステム構成を示すブロック図。 同じく画像形成装置の動作を示すフローチャート。 本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置の概略構成図。 同じく現像器部分を抜き出して拡大して示す概略構成図。 同じく画像形成装置の動作を示すフローチャート。 本発明の第3の実施形態に係る画像形成装置の動作を示すフローチャート。 トナーの帯電量の変化と印字デューティとの相関を示す図。 本発明の第4の実施形態に係る画像形成装置を構成する画像形成ステーションの概略構成図。
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態について、図1ないし図4を用いて説明する。まず、図1を用いて、本実施形態に係る画像形成装置の概略構成を簡単に説明する。本実施形態の画像形成装置は、像担持体である感光ドラム10を一次帯電ローラ11によって帯電し、レーザ12によってイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の静電潜像が順次感光ドラム10上に形成される。4つの現像器1Y、1M、1C、1Kは回転体9の回転によって順次感光ドラム10に対向し、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像を形成する。感光ドラム10の下方には、中間転写体としての中間転写ドラム21が、矢印方向に走行するように構成されている。中間転写ドラム21は、アルミニウムなどの金属製の円筒状の芯金の外側にウレタンゴム層を形成してドラム状としたものである。
感光ドラム10上に順次形成されたトナー像は、中間転写ドラム21の芯金を通じて印加される転写バイアスによって、中間転写ドラム21上に一次転写され重ね合わせられる。転写後に感光ドラム10上に残った転写残トナーは、感光ドラムクリーナ14aにより除去される。中間転写ドラム21上に形成された4色のトナー像は、二次転写手段としての二次転写ローラ25によって記録紙Pに転写される。転写されずに中間転写ドラム21に残ったトナーは、中間転写ドラム21に接離可能な中間転写ドラムクリーナ14bが2次転写後の中間転写ドラム21に当接することにより除去される。トナー像が転写された記録紙Pは定着装置30によって加圧、加熱され、記録材Pに画像が定着される。
次に、図2を用いて、現像器1(現像器1Y、1M、1C、1K、以下各色に共通の部材にはY、M、C、Kの色符号を付記しない)について説明する。上述のように、本実施形態の場合、感光ドラム10にトナー像を形成するために、それぞれ異なる色のトナーを有する複数の現像器1Y、1M、1C、1Kを備える。このために、現像器1Y、1M、1C、1Kには、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーが、概ね図2のTで示した領域に収容されている。トナーは、それぞれの顔料を樹脂に混練して平均粒径数μm程度の粉体としたもので、流動性の調整、および摩擦帯電量の調整などの目的でnmオーダーの粒径の無機酸化物微粉末、樹脂微粉末等の外添剤が添加される。
現像器1には、感光ドラム10に対向した開口部に現像ローラ2が配置されていて、回転体9の回転により現像ローラ2と感光ドラム10が対向したときに、現像ローラ2と感光ドラム10とが近接する。その再近接距離は、例えば300μmである。トナーは、トナー供給ローラ3によって現像ローラ2に塗布されたのち、規制ブレード4によって薄層にコートされ、感光ドラム10との対向領域へと搬送される。現像ローラ2は、アルミニウムなどの金属製の素管の表層に、炭素粒子を分散したフェノール樹脂層を形成した構造であって、図の矢印方向に回転する。トナー供給ローラ3は、芯金にスポンジ層を添付したスポンジローラであって、図の矢印方向に回転する。規制ブレード4はステンレス板の先端にウレタンゴムを取り付けた構造であって、ウレタンゴム部は所定の力で現像ローラ2へトナーの薄層を介して当接している。
また、現像ローラ2には、現像バイアス発生手段である電源αから直流電圧に交流電圧を重畳した現像バイアスが印加される。交流成分の波形は矩形波であって、周波数は2kHz、ピークトゥピーク電圧は2kVである。この現像バイアスと感光ドラム表面の電位差により現像ローラ2と感光ドラム10の間に現像電界が形成され、トナーはその間を往復しつつ静電潜像に応じて感光ドラム10へと付着する。感光ドラム10へ付着しなかったトナーは現像ローラ2に付着して現像器1内へと回収される。
次に、図3を用いて、本実施形態の画像形成装置の、画像処理ユニットのシステム構成について説明する。図3において、213は外部入力インタフェース(外部入力I/F)であり、外部入力インタフェース213を介して必要に応じて原稿スキャナ、コンピュータ(情報処理装置)等の不図示の外部装置からRGB画像データとしてカラー画像データを入力する。204はLOG変換部であり、ROM210に格納されているデータ等により構成されるルックアップテーブル(LUT)に基づいて、入力されたRGB画像データの輝度データをCMYの濃度データ(CMY画像データ)に変換する。
205はマスキング・UCR部であり、CMY画像データから黒(Bk)成分データを抽出し、記録色材の色濁りを補正すべく、CMYK画像データにマトリクス演算を施す。206はルックアップテーブル部(LUT部)であり、画像データをプリンタ部の理想的な階調特性に合わせるためにガンマルックアップテーブル(γルックアップテーブル)を用いて、入力されたCMYK画像データの各色毎に濃度補正を施す。なお、γルックアップテーブルはRAM211上に展開されたデータに基づいて作成され、そのテーブル内容はCPU209によって設定される。
207はパルス幅変調部であり、LUT部206から入力された画像データ(画像信号)のレベルに対応するパルス幅のパルス信号を出力する。このパルス信号に基づいてレーザドライバ102がレーザ12(図1)を駆動し、感光ドラム10上を照射することで静電潜像が形成される。
ビデオ信号カウント部214は、LUT部206に入力された画像データの例えば600dpiの1画素ごとのレベル(0〜255レベル)を画像1面分積算する。この画像データ積算値を、画像が全面すべて255レベルだった場合の値で割ったものが、画像形成枚数に応じたトナー消費量に相当する印字デューティ(%)となる。なお、回路の構成上制限があるときは、ビデオ信号カウント部214のかわりにレーザ信号カウント部215を用いて、レーザドライバ102からの画像信号を同様に計算することで、簡易的に印字デューティを求めることも可能である。
ビデオ信号カウント部214またはレーザ信号カウント部215で求められた印字デューティ情報は、制御手段であるプリンタ制御部300に送られ、この印字デューティ情報をもとにして、プリンタ制御部300が画像形成装置を制御する。本実施形態の場合、ビデオ信号カウント部214またはレーザ信号カウント部215が、複数の現像器1の、画像形成によるそれぞれのトナーの消費量を検知するトナー消費量検知手段に相当する。以下の説明では、ビデオ信号カウント部214をトナー消費量検知手段とする。
また、プリンタ制御部300は、画像形成装置に対して次のような色相安定制御も行う。まず、プリンタ制御部300は、ビデオ信号カウント部214で求められた印字デューティ情報(即ち、トナー消費量検知手段の検知結果)から、複数の現像器1のそれぞれのトナー消費量を比較する。そして、複数の現像器1のうちの最もトナーを消費した現像器1のトナー消費量に近づくように、他の現像器1に強制的にトナーを消費させるためのトナー像の形成(トナー強制吐き出し動作)を行わせる。
このような色相安定制御は、複数の現像器1により形成するトナー像の濃度変化の傾向を略一致させるように行う。このために本実施形態の場合には、プリンタ制御部300は、他の現像器1に、最もトナーを消費した現像器1のトナー消費量との差分に応じたトナー量を強制的に消費させるように、トナー像の形成を行わせる。
また、このような強制的にトナーを消費させるためのトナー像の形成は、原稿スキャナ、コンピュータ(情報処理装置)等の外部装置から入力された画像データに基づく画像形成を行っていない場合に行う。例えば、このような画像データに基づく画像間でパッチ画像として、それぞれ現像器1で、最もトナーを消費した現像器1のトナー消費量との関係に基づいて求められたトナーの量分、消費するように感光ドラム10上に形成する。強制的にトナーを消費するために感光ドラム10上に形成された画像は、感光ドラムクリーナ14aにより除去される。
上述の点について、図4のフローチャートも参照しつつ、より具体的に説明する。なお、説明を簡単にするために、画像サイズをA4に固定し、1枚の画像形成動作に対する動作フローを説明する。即ち、画像形成を1枚行う毎に、各色のトナー消費量の調整を行った場合について説明する。
まず、画像形成装置が画像形成動作を開始すると(S1)、レーザ12によってイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの静電潜像が順次感光ドラム10上に形成される(S2)。次に、ビデオ信号カウント部214により、上述したように、各色の印字デューティ情報DY(%)、DM(%)、DC(%)、DK(%)が求められる。なお、DYはイエローの、DMはマゼンタの、DCはシアンの、DKはブラックの、それぞれ印字デューティ情報である。そして、このような印字デューティ情報、及び、A4の用紙1枚あたりの画像形成による各色共通の現像ローラ2の回転時間Rrev(sec)がプリンタ制御部300に格納される(S3)。ここでは、例えば、(DY、DM、DC、DK)=(5%、15%、3%、10%)、Rrev=2(sec)とする。
次に、プリンタ制御部300は、以下の(a)(b)(c)(d)の演算を順に行う(S4)。
(a)各色の印字デューティDY、DM、DC、DKから最大のものを選び出し、その値を最大印字デューティ値Dmaxに格納する。上述の例の場合は、Dmax=DM=15%となる。即ち、この場合には、マゼンタの現像器1Mで最もトナーを消費したことになる。
(b)Dmaxの値からそれぞれDY、DM、DC、DKの値を減算した値(差分)を、吐き出しトナー量情報EY(%)、EM(%)、EC(%)、EK(%)の値に格納する。なお、EYはイエローの、EMはマゼンタの、ECはシアンの、EKはブラックの、それぞれ吐き出しトナー量情報である。上述の例の場合は、(EY、EM、EC、EK)=(10%、0%、12%、5%)。
(c)EY、EM、EC、EKの中から最大の値を変数Emax(%)に格納する。上述の例の場合は、Emax=EC=12%となる。
(d)変数Emax(%)とRrev(sec)との積の値を変数Erev(sec)に格納する。上述の例の場合は、12(%)×2(sec)=0.24(sec)となる。
これらの計算は、後述するS6のステップを開始する前に先立って終了することが好ましい。例えば、これらの計算が終了した時点で、最終色ブラックのトナー像が中間転写ドラム21に一次転写している途中となる。そして、ブラックのトナー像が中間転写ドラム21に一次転写し終わった後、4色のトナー像が二次転写ローラ25によって記録紙Pに転写される。
この二次転写の終了をプリンタ制御部300が検知すると(S5)、レーザ12が感光ドラム10上に、各色の吐き出しトナー量情報に応じてトナー吐き出し用の潜像を露光し、これを各色の現像器が現像してトナーを吐き出す(S6)。この吐き出し用の潜像において、レーザ12の露光量はビデオ信号で255レベルである。また各色の露光時間はそれぞれEY、EM、EC、EKにRrev(sec)を乗じたものである。一方、現像ローラ2の回転時間は全色共通でErev(sec)となる。即ち、上述の場合は、トナーを吐き出さないマゼンタも含めて、吐出し量が最大となるシアン(EC=12%)における現像ローラ2Cの回転時間と同じ時間だけ、各色の現像ローラ2が回転駆動される。吐き出された各色のトナーは、一次転写の時とは逆方向のバイアスを印加され、感光ドラム10側に残ったまま感光ドラムクリーナ14aに搬送され、除去される。
以上の制御により、各現像器1は、それぞれ印字デューティDmax(上述の場合は15%)相当のトナーを現像したことになる。また、1枚あたりの画像形成による各色共通の現像ローラ2の回転時間がRrev(sec)、吐き出しによる回転時間がErev(sec)である。したがって、各色の現像ローラ2は、1枚の画像形成分と上述のトナー消費量の調整の制御とを合わせて、それぞれRrev+Erev(sec)の回転駆動をし、1+(Erev/Rrev)枚分の画像形成を行ったことになる。上述の例の場合、2(sec)+0.24(sec)=2.24(sec)の回転駆動をし、1+(0.24/2)=1.12枚分の画像形成を行ったことになる。
次の画像形成においても、上述の場合と同様に、各色の印字デューティ情報に応じて各色の現像器がトナーを吐き出す制御を行う。このような工程を繰り返すことにより、現像器1Y、1M、1C、1Kが所定枚数の画像形成あたりに消費したトナー量は同一となり、トナーの物性が各色で同じように変化する。この結果、各色の現像器1Y、1M、1C、1Kにより形成するトナー像の濃度変化の傾向を略一致させられる。
即ち、印字デューティが異なることで、トナーの樹脂自体の消耗、外添剤のトナーへの埋め込みによる消耗、或は外添剤の遊離、更には遊離による蓄積などにより、トナーの特性が変化する。各色の現像器1でこのトナーの特性の変化が異なれば、各色の現像器1により形成するトナー像の濃度変化の傾向も異なる可能性がある。これに対して本実施形態の場合には、各色の現像器1で消費するトナー量を同じとすることにより、同じようにトナーの特性を変化させ、トナー像の濃度変化の傾向も略一致させるようにしている。
本実施形態によれば、このように各色の現像器1Y、1M、1C、1Kにより形成するトナー像の濃度変化の傾向を略一致させることができるため、画像形成装置の使用に伴う、複次色における色相の変化を抑制できる。そして、色相の変化を抑制することにより、色味の変化が目立たない画像を得られる。
また、印字デューティが異なることで物性が変化するのはトナーのみではない。例えば、トナーの帯電付与に大きく関わる機能部材である現像ローラ2、トナー供給ローラ3、規制ブレード4なども、それらの摺擦時間とそれに対するトナーの通過量、さらには通過するトナーの物性変化の影響をうけ、表面物性などが変化する。そして、これらの結果、印字デューティの差によって画像濃度が変動するという現象が起きる可能性もある。
このため、上述の各色の現像器1Y、1M、1C、1Kは、それぞれの現像器1を構成する構成部品の形状、大きさ、材質が共通としても良い。本実施形態の場合、現像ローラ2Y、2M、2C、2K同士の形状、大きさ、材質を共通とし、トナー供給ローラ3Y、3M、3C、3K同士の形状、大きさ、材質を共通とし、規制ブレード4Y、4M、4C、4K同士の形状、大きさ、材質を共通とする。また、現像器1のそれぞれトナーを収容する容器1aY、1aM、1aC、1aK同士の形状、大きさ、材質を共通としても良い。また、各構成部品毎のトナーが触れる部分の表面性状をほぼ同じとしても良い。
この結果、所定枚数の画像形成あたりの現像ローラ2、トナー供給ローラ3、規制ブレード4の諸物性変化が同じように変化し、各色の現像器1Y、1M、1C、1Kにより形成するトナー像の濃度変化の傾向をより一致させ易い。言い換えれば、各色の現像器1が、そのトナー消費量に応じて物性値が変化するような共通の構成部品(機能部材)を備えるようにすることが、機能部材の物性値変化に起因する色相変化をより抑制する上で好ましい。
なお、上述の各構成部品の何れかの大きさなどが他の現像器と異なる現像器が存在し、この現像器の物性変化が他の現像器と物性変化と異なる場合、予め、実験などによりこの物性変化の違いを求め、この違いによる補正を上述の制御に加えても良い。例えば、他と異なる現像器の印字デューティ情報に基づくトナーの消費量を、所定の割合で増やしたり或は減らしたりして、各色の現像器により形成するトナー像の濃度変化の傾向を略一致させるようにする。
また、本実施形態は、各色の現像器1に、感光ドラム10にトナー像を形成する際の現像バイアスを印加する共通の電源αを備え、この電源αが、各色の現像器1に共通の現像バイアスを印加する構成に適用することが好ましい(図2参照)。即ち、このような構成の場合、各色ごとに現像バイアスを最適設定できないため、現像バイアスを変化させることにより各色ごとに画像濃度の調整を行えない。したがって、このように現像バイアス電源を共通化したことによる制限があっても、本実施形態のように各色の現像器1の現像特性を略揃えることで、色相変化を抑制することができる。
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態について、図5ないし図7を用いて説明する。まず、図5を用いて、本実施形態の画像形成装置について簡単に説明する。なお、本実施形態は、タンデム型の画像形成装置に本発明を適用したものであるが、画像形成装置の基本的な構成及び作用は、上述の第1の実施形態と同様である。したがって、同様の構成部分には同一の符号を付し、以下、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
本実施形態の画像形成装置は、それぞれ像担持体としての感光ドラム10(10Y、10M、10C、10K)を備えている4つの画像形成ステーションY、M、C、Kを有していて、各画像形成ステーションの下方には、中間転写装置20が配置されている。中間転写装置20は、中間転写体としての中間転写ベルト20aが、ローラ22、23、24に張設されて、矢印方向に走行するように構成されている。
また、本実施形態では、コロナ帯電装置とされる一次帯電装置11によって、感光ドラム10の表面を帯電する。そして、感光ドラム10の表面を、前述の図3のレーザドライバ102によっておのおの駆動されるレーザ12(12Y、12M、12C、12K)によって露光することで、感光ドラム10上に静電潜像が形成される。この潜像を現像器1A(1AY、1AM、1AC、1AK)によって現像することで、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像を形成する。
各画像形成ステーションで形成されたトナー像は、一次転写手段としての転写ブレード13による転写バイアスによって、ポリイミド系樹脂からなる中間転写ベルト20a上に転写され重ね合わせられる。中間転写ベルト20a上に形成された4色のトナー像は、ローラ24と対向して配置された二次転写手段としての二次転写ローラ25によって記録紙Pに転写される。記録紙Pに転写されずに中間転写ベルト20aに残ったトナーは、中間転写ベルトクリーナ14cによって除去される。トナー像が転写された記録紙Pは、定着ローラ31、32を備えた定着装置30によって加圧、加熱され、記録材Pにトナー像が定着される。また、転写後に感光ドラム10上に残った転写残トナーは、感光ドラムクリーナ14a(14aY、14aM、14aC、14aK)により除去され、次の画像形成に備える。
次に、図6を用いて、現像器1Aについて詳しく説明する。現像器1Aは、その内部に各色の非磁性トナーと磁性キャリアとからなる2成分現像剤を収容する。磁界発生手段である固定のマグネット6を内包する回転自在な現像ローラ2Aは非磁性材料で構成され、現像器1A内の2成分現像剤を層状に保持して感光ドラム10と対向する現像領域に担持搬送し、現像領域に2成分現像剤を供給する。2成分現像剤は、スクリューなどの攪拌部材9によって現像器1内を攪拌されながら循環している。トナーは攪拌を受けることでキャリア表面と摩擦帯電され、所定の電荷量を持つ。また、現像器1Aには透磁率センサ7が設けられていて、2成分現像剤の透磁率を検知することでトナー濃度(2成分現像剤におけるトナーの比率、重量比)を測定する。
現像ローラ2Aには、現像バイアス発生手段である電源α(β)から直流電圧に交流電圧を重畳した現像バイアスが印加される。電源αは、現像ローラ2AY、2AM、2ACに共通なカラー現像バイアス発生手段(電源α)と、現像ローラ2AKのみで使用されるブラック現像バイアス発生手段(電源β)とに分かれている。このようにすることで画像形成装置はブラック単色モードでカラー現像バイアス発生手段を停止して余分な電力を消費しないようにできる。交流成分の波形は共通の矩形波であって、周波数は8kHz、ピークトゥピーク電圧は2kVである。なお、本実施形態の画像形成装置の画像処理ユニットのシステム構成についても、第1の実施形態と同様である。
さて、印字デューティによるトナーの特性変動は、第1の実施形態で説明した1成分現像器に限られた現象ではなく、本実施形態のような2成分方式の現像器においても発生する。その要因としては、第1の実施形態で説明したようなトナー自体の特性変動に加えて、次のような要因が考えられる。即ち、2成分方式は、主たる帯電付与部材はキャリアであり、印字デューティが少なく同じトナーが何度もキャリアと摺擦されることで、短期的には帯電量の増加という現象も発生する。またキャリア表面の磨耗、あるいはトナー樹脂や外添剤などによる汚染なども印字デューティにより変化するものであり、概ね印字デューティが大きいほど、トナーへの帯電付与能力が下がっていく傾向にある。このようにしてトナーの帯電量が変化すると、電子写真方式においては画像濃度の変動となって人間の目に感知されることとなる。
さらに、トナーとキャリアが混合し2成分現像剤という粉体として挙動する場合に、その流動性やかさ密度といった物理特性が変化する。特に本実施形態のように透磁率センサ7によりトナー濃度を検知する場合には、現像剤の物理特性の変化により検知誤差が発生する。即ち、透磁率センサ7は、直接的にはその検知領域における磁化量を検出するものであり、トナー濃度が同じであっても流動性の変化で攪拌状態が変わったり、かさ密度変化があったりするとトナー濃度検知における誤差分が発生してしまう。このトナー濃度の検知誤差は、印字デューティによって変化するもののひとつであり、このトナー濃度は2成分現像方式において画像濃度を左右する大きな因子である。
また、本実施形態の場合、カラー現像バイアス発生手段(電源α)を3色で共有しているため、潜像とのコントラスト電位を各色の現像器1Aの特性変化に応じて調整することができない。このため各色間で印字デューティが大きく異なったりした場合に、その濃度変動分を現像バイアスの直流成分によって補うことができない。
本実施形態は、このような画像形成装置に適用することで、各色間の所定枚数内における印字デューティを略揃えることによって、トナー、キャリア、そしてそれを混合した状態の2成分現像剤の物性変化を揃えるものである。そして、複次色における色相の変化を抑制する。このような効果を得られる本実施形態の色相安定制御について、以下、説明する。
本実施形態の「色相安定制御」は、画像形成装置の標準動作中には動作せず、例えば、ユーザ(使用者)が不図示の操作部や、接続されたコンピュータのドライバソフトから色相安定制御を行う「色相安定モード」をオンにした場合などに動作する。またその操作部やドライバソフトから、「色相安定モード」の対象となる色を選択することもできる。ただし対象となる色は少なくとも2色選ばなければいけない。このように対象色を選択できるようにする理由は、例えばユーザが特定の色(例えばレッド:イエロー+マゼンタ)に対し安定を望んでいる場合に、シアンとブラックのトナーを無駄に消費せずにすむからである。
以下、ユーザが、イエロー、マゼンタ、シアンの3色を対象色として選択したものとして、本実施形態の具体的な動作を、図7を参照しつつ詳しく説明する。但し、説明を簡略化するために、画像形成が1枚ずつ行われる場合を説明する。また、本実施形態のような感光ドラム10を並列に設置した、タンデム型の画像形成装置において画像形成が連続して複数枚行われる場合には、各変数の格納、計算、動作のタイミングが並列して行われることを考慮してフローを組み立てる。但し、この点に関しても説明を簡略化するために省略する。
図7のフローチャートにおいて、プリンタ制御部300は、まず画像形成枚数情報nを0、後述する変数FY(n)、FM(n)、FC(n)、FK(n)をすべて0(sec)に初期化し(S101)、画像形成の指示を待機する(S102)。画像形成の指示が入り、画像形成動作を開始すると、まずnの値を1増加(n=n+1)させる(S103)。
次に、レーザ12によってイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像1枚分の静電潜像を形成する(S104)。そして、ビデオ信号カウント部214(図3参照)により、各色の印字デューティ情報DY(n)(%)、DM(n)(%)、DC(n)(%)、DK(n)(%)が求められる。なお、DY(n)はイエローの、DM(n)はマゼンタの、DC(n)はシアンの、DK(n)はブラックの、それぞれ印字デューティ情報である。そして、このような印字デューティ情報、及び、画像形成による各色共通の現像ローラ2の回転時間Rrev(sec)がプリンタ制御部300に格納される(S105)。ここで、Rrev(n)(sec)の値は、所定サイズの画像1枚の形成にかかる時間であり、例えば、最小サイズの画像A4サイズの形成にRrevmin=2(sec)を要するとする。したがって、形成する画像がA3サイズならRrev(n)は4(sec)となる。
次に、変数FY(n)(sec)、FM(n)(sec)、FC(n)(sec)、FK(n)(sec)に以下の値を格納する(S106)。なお、FY(n)はイエロー、FM(n)はマゼンタ、FC(n)はシアン、FK(n)はブラックの、それぞれの色ステーションに関する変数である。
FY(n)=FY(n−1)+DY(n)×Rrev(n)
FM(n)=FM(n−1)+DM(n)×Rrev(n)
FC(n)=FC(n−1)+DC(n)×Rrev(n)
FK(n)=FK(n−1)+DK(n)×Rrev(n)
これら変数FY(n)、FM(n)、FC(n)、FK(n)は、各色ステーションが消費したトナー量を積算したものを、印字デューティが100%だった場合の画像形成時間として表現したものである。
次に、「色相安定モード」の対象色であるイエロー、マゼンタ、シアンに関し、変数FY(n)、FM(n)、FC(n)の最大値をFmax(n)(sec)に格納する。また、FY(n)、FM(n)、FC(n)の最小値をFmin(n)(sec)に格納する(S107)。
次に、n<nsetか否かを判断する(S108)。このnsetは、ユーザの設定や、予め装置に設定された2以上の任意の整数である。例えば、ユーザなどにより4〜255の範囲で設定変更可能とすることもできる。なお、この範囲も、例えば、2〜1000や10〜500など任意に設定できる。このS108は、いわば制御間隔が最大値まで達したかどうかを判断する意味合いをもつ。S108で「Y(Yes)」の場合はS109へ、「N(No)」の場合はS110へ進む。なお、このS108は、S106又はS107の計算を行う前、或は、S105の前に行っても良い。
S109では、最大値Fmax(n)と最小値Fmin(n)の差分が所定の値Fset(sec)を超えた(Fmax(n)−Fmin(n)>Fset)か否かを判断する。このFsetは、ユーザの設定や、予め装置に設定された任意の変数である。例えば、ユーザなどによりRrevminの0.25〜4倍の範囲で設定変更可能とすることもできる。なお、この範囲も、例えば、0.1〜10倍や0.5〜8倍など任意に設定できる。このように、Fsetを所定の範囲とするのは、ユーザにより色味の変化を感じる度合いが異なることも考えられるためである。したがって、ユーザの好みにより調整可能とすることが好ましい。但し、低コスト化を図るべくこのようなユーザによる調整機構を省いて、予め色味の変化を感じにくい値に固定しておくこともできる。
また、S109の判断の意味あいは、「選択された色ステーションにおいて、消費されるトナー量の差が所定の値以上か否か」である。即ち、トナーの消費量が最も多い現像器のトナー消費量(最大値Fmax(n)に相当)と、トナーの消費量が最も少ない現像器のトナーの消費量(最小値Fmin(n)に相当)との差分が、所定の値(Fsetに相当)を超えたか否かを判断する。S109で「Y(Yes)」の場合はS110に進み、「N(No)」の場合はS102に戻って、次の画像形成の指示を待機する。
S110〜S111はいわゆるトナー強制吐き出し動作であって、第1の実施形態のS6(図4)に対応する。まず変数FY(n)、FM(n)、FC(n)及びこれらの最大値Fmax(n)は、既にS106、S107で計算されているので、この値から各色の消費すべきトナー量を求める。そのトナー量は、各色ステーションで、レーザ12の露光量をビデオ信号で255レベルとしたときのトナー吐き出し用潜像を露光する時間HY(n)(sec)、HM(n)(sec)、HC(n)(sec)として、以下のように求められる(S110)。なお、それぞれの添字Y、M、Cは、順にイエロー、マゼンタ、シアンの各色ステーションでの露光時間である。
HY(n)=Fmax(n)−FY(n)
HM(n)=Fmax(n)−FM(n)
HC(n)=Fmax(n)−FC(n)
そして、トナー強制吐き出し動作として、このHY(n)、HM(n)、HC(n)に従ってレーザ12による露光を行い、その潜像に対して各色の現像ローラ2を、Fmax(n)(sec)の間駆動する(S111)。吐き出された各色のトナーは、第1の実施形態と同様にして除去される。また、この間、ブラックの画像形成ステーションKはトナー強制吐き出し動作を行わない。S111が終了すると、S101に戻って変数nを0、FY(n)、FM(n)、FC(n)、FK(n)を0に初期化し、次の画像形成に備える。
以上のようにすることで、現像器1AY、1AM、1AC、1AKが所定枚数の画像形成あたりに消費したトナー量は同一となり、トナー、キャリア、2成分現像剤の物性変化が同じように変化し、形成されるトナー像の濃度変化の傾向が略一致する。このことによって、複次色の色相変化を抑制することができ、色味の変化が目立たない画像を得られる。
また、本実施形態のように、2成分現像剤中の非磁性トナーの比率を検知するための透磁率センサ7を備えているような画像形成装置の場合、2成分現像剤のかさ密度変化による透磁率センサの誤検知が発生しても、誤検知の傾向がほぼ各色共通のものとなる。このため、誤検知が生じても色相変化を抑制することができる。
また、本実施形態の場合、S108でn<nsetか否かを判断し、n≧nsetであれば、トナー消費量の差分に拘らず、トナー強制吐き出し動作を行うようにしている。このため、各色の現像器により形成されるトナー像の濃度変化の傾向を定期的に略一致させることができ、複次色の色相変化の抑制を安定して行える。
更に、S109ではFmax(n)−Fmin(n)>Fsetか否かを判断し、Fmax(n)−Fmin(n)≦Fsetであれば、トナー強制吐き出し動作を行わないようにしている。このため、トナー強制吐き出し動作に入る頻度が下がり、生産性の低下を最小限に抑えることができ、不必要なトナーの消費も抑えることができる。
<第3の実施形態>
本発明の第3の実施形態について、図8及び図9を用いて説明する。なお、本実施形態の画像形成装置の機構的な構成は、上述の第2の実施形態と同様である。異なる点は動作に関連する個所であり、具体的には以下の3点である。
(1)「色相安定モード」をイエロー、マゼンタ、シアンを対象に常に動作。
(2)変数nset=255、Fset=4×Rrevminに固定。
(3)「色相安定モード」のフローチャート(図8)
なお、フローチャートに関しては、第2の実施形態の図7のS110(図8ではS110−A)の後にもう1つステップ(S110−B)が入る点が異なるだけであり、その他のフローは同じである。以下、これら異なる点を中心に説明する。
まず、上記(1)に関しては、上述の第2の実施形態の場合、色相安定モードを動作させる色を選択するとしていたのに対し、このような選択を行わずに、イエロー、マゼンタ、シアンの3色すべてに、常に、色相安定モードを動作させるようにしたものである。但し、第2の実施形態では、これら3色を選択した場合について説明したので、説明上、実質的な差異はない。なお、本実施形態でも色相安定モードを動作させる色を選択するようにすることは可能であるし、第2の実施形態で本実施形態のように3色すべてに、常に、色相安定モードを動作させることも可能である。
次に、上記(2)に関しては、以下の通りである。即ち、nsetの意味するところは、「この枚数を超えたら各色間のトナーの消費量の差分がいくらであっても強制的にS111のトナー強制吐き出し動作に入ること」である。このため、nset=255とすることで、S111のトナー強制吐き出し動作に入る頻度が下がり、生産性の低下を最小限に抑えることができ、トナーの消費量も抑えることができる。
また、Fsetの意味するところは「各色間のトナーの消費量の差分がこの値を超えたらS111のトナー強制吐き出し動作に入ること」である。このため、Fset=4×Rrevminとしておくことは、その差がA4で印字デューティ400%相当になるまではS111に行かないため、同じく生産性の低下を最小限に抑えることができ、トナーの消費量も抑えられる。なお、これらnset及びFsetは、後述する印字デューティとトナー帯電量との関係を考慮して、任意に定められる。
次に、上記(3)に関しては、図7のS110に相当する処理を、図8ではS110−A、S110−Bとしたことである。S110−Bの意味するところは、HY(n)、HM(n)、HC(n)の上限値を設け、その値を1×Rrevminとしたことである。つまり、トナー強制吐き出し動作で消費するトナーの量に制限を設けたということである。即ち、最もトナーを消費した現像器のトナー消費量と、他の現像器のトナー消費量との差分が、所定の上限値未満である場合にはこの差分に応じたトナー量を、トナー強制吐き出し動作で消費させる。一方、この差分が所定の上限値以上の場合にはこの所定の上限値に応じたトナー量を、トナー強制吐き出し動作で消費させる。なお、このような上限値は、上述の値以外にも任意に設定可能である。
このような動作について具体的に説明する。まず、S110−Aは第2の実施形態のS110と同じであって、これからトナー強制吐き出し動作を行おうとするトナー量を見積もる。S110−Bでは、それぞれHY(n)、HM(n)、HC(n)の値を1×Rrevminと比較し、その小さいほうの値をそれぞれに格納する。これによって、本来強制消費すべきトナー量がA4で印字デューティ400%相当に近い値であっても、その量を制限して、A4で印字デューティ100%相当(すなわち必要と計算された量の1/4)までの消費しか許可しないことになる。
即ち、Fset=4×Rrevminに固定しているため、トナー強制吐き出し動作で最もトナーを消費すべき現像器のトナー消費量は、4×Rrevminに相当する印字デューティ400%相当である。但し、S110−Bで、トナー消費量の上限が1×Rrevminに制限されるため、最もトナーを消費すべき現像器のトナー消費量は、印字デューティ100相当に制限される。
第1、第2の実施形態では、トナーの消費量がほぼ同一になるように制御する構成について説明した。確かにこのようにすれば、トナー、キャリア、2成分現像剤、その他機能部材の諸物性はよく一致する。しかし、画像濃度変化という観点からこれらの諸物性を見ると、最も大きく画像濃度に影響するものはトナーの帯電量である。第2の実施形態で説明したように、概ね印字デューティが大きいほど、トナーへの帯電付与能力が下がっていく傾向にある。このトナーの帯電量の変化と、印字デューティとの相関を示したものを図9に示す。
図9の横軸は印字デューティ(%)、縦軸は相当する印字デューティにてA4サイズの画像を1000枚形成したときのトナー帯電量(mC/kg)の概略値である。図9から明らかなように、印字デューティが20%付近まではトナー帯電量の低下の傾きが大きい。一方、20%を超えて50%、100%と印字デューティを大きくすると曲線の傾きが小さくなり、トナー帯電量の低下率が小さくなっている。つまり、印字デューティという観点から画像濃度変化を考えると、概ね印字デューティ20%付近まではトナー帯電量の変化が大きいため、画像濃度の変化も大きくなり、それより大きい領域ではトナー帯電量の変化が小さいため、画像濃度の変化も小さくなる。
このため本実施形態では、トナー強制吐き出し動作で消費するトナーの量に制限を設けることによって、印字デューティによる画像濃度の変化が大きいところではそれを抑制する効果が達成されるようなトナーの強制消費を行う。一方、画像濃度変化が少ないところに対しては画像濃度変動抑制効果に対する過剰なトナーの消費を行わないことで、トナー強制吐き出し動作に入る頻度が下がり、生産性の低下を最小限に抑えることができ、トナーの消費量も抑えることができる。この結果、生産性の低下及び不必要なトナーの消費を抑制しつつ、形成されるトナー像の濃度変化の傾向が略一致させ、複次色の色相変化を抑制することができる。
さらに付け加えれば、極度に特定のトナーの消費量が多い画像が出力される状況は、実使用上では頻度が少ないと思われるため、その稀なケースのためにその他の色のトナーを余剰に消費することを抑制できるので好ましい。
具体的に説明すると、本実施形態では、nset=255、Fset=4×Rrevminにそれぞれ固定している。そして、画像形成枚数が255枚を超える場合には、印字デューティの差分に拘らずトナー強制吐き出し動作を行う。一方、画像形成枚数が255枚以下の比較的少ない画像形成枚数で、印字デューティの差分がFset=4×Rrevminを超えるような場合、高印字デューティで、且つ、印字デューティの差分が大きい画像形成が行われていると考えられる。例えば、イエローが印字デューティ100%で、マゼンタが印字デューティ50%で、これらがそれぞれ印字デューティの最大値及び最小値であるとする。このような場合、少ない枚数で印字デューティの差分がFset=4×Rrevminを超える。但し、このように高印字デューティの場合、前述の図9に示したようにトナー帯電量の変化が小さく、濃度変化も小さくなる。したがって、このような場合に、印字デューティの差分となる多量のトナーを消費させる必要ない。
一方、このように印字デューティの差分が大きくなる状況で画像形成が行われるのは稀であり、この稀なケースでトナーが多量に消費されることは好ましくない。このため、本実施形態のような制御を行うことにより、このようなケースでもトナーの過剰の消費を抑制できる。
また、第2の実施形態のように透磁率センサをもってトナー濃度を検知しようとする場合、2成分現像剤のかさ密度変化が誤差を発生させるが、本実施形態の場合も、かさ密度変化の大きな要因であるトナー帯電量の変化を効率よく抑制することができる。
<第4の実施形態>
本発明の第4の実施形態について図10を用いて説明する。なお、本実施形態の場合も、トナー強制吐き出し動作を行うが、この動作は、上述の第1、第2、第3の各実施形態で説明した何れの動作としても良い。また、本実施形態の画像形成装置の各画像形成ステーションの基本的な構成は、第2の実施形態と同様であるが、第2の実施形態の構成に、以下の構成を加えている。即ち、感光ドラムクリーナ14a(14aY、14aM、14aC、14aK)から回収されたトナーを、トナーカートリッジ5(5Y、5M、5C、5K)に再補給して使用できるように連結している。
このために本実施形態の場合には、感光ドラム10(10Y、10M、10C、10K)上(像担持体上)のトナーを回収するトナー回収手段である感光ドラムクリーナ14aを有する。また、感光ドラムクリーナ14aにより回収したトナーを搬送して現像器1A(1AY、1AM、1AC、1AK)のトナーカートリッジ5内(現像器内)に戻すトナー搬送手段である回収トナー搬送パイプ8を有する。
回収トナー搬送パイプ8は、その内部に不図示のスクリューを有し、その回転で回収されたトナーが、クリーナ14aからトナーカートリッジ5に搬送され、トナーカートリッジ5内のトナーと混合攪拌された後、現像器1Aに補給される。
これによって、トナー強制吐き出し動作によって消費したトナーが再利用でき、無駄に消費されるトナーが少なくなって好ましい。即ち、トナー強制吐き出し動作で、現像器1Aから感光ドラム10に現像されたトナー像は、クリーナ14aにより回収される。本実施形態の場合、クリーナ14aにより回収したトナーを現像器1Aに戻すようにしているため、トナー強制吐き出し動作により消費したトナーを再利用できる。
なお、印字デューティが1%付近の場合のような、現像器1内でトナーが長い間摺擦されるような状況になると、強制消費されるトナー、すなわち再利用されるトナーの特性が極端に劣化する可能性がある。そして、再利用の際に画像濃度変動、がさつきなどを生じる可能性がある。このように、現像器1内でトナーが長い間摺擦されるような状況にならないよう、印字デューティが所定値以下の場合には、所定量のトナー消費を行うモードを併用するにしても良い。例えば、感光ドラム10の軸方向全域に潜像を形成して現像し、相当量のトナーの補給を行うようなモードを併用する。
なお、上述の各実施形態は、適宜組み合わせたり、或は、構成を入れ替えるなどして実施することも可能である。また、本発明は、上述したような4色の現像器を備えた構成に限らず、異なる2色以上の複数の現像器を有する構成であれば適用可能である。
更に、トナー強制消費動作は、前述の使用者の選択以外に、画像形成装置の環境、使用状況のうちの少なくとも何れかに応じて行うことも可能である。例えば、画像形成装置の制御部で、装置内で検知した温度や湿度から動作頻度を変えるように判断したり、長期間使用されていなかった場合などに、画像形成枚数やトナー消費量に拘らず行うように判断するようにしても良い。これにより、生産性の低下や、不必要なトナーの消費を抑制しつつ、必要な場合には、上述したような本発明の効果を得ることができる。
1、1A・・・現像器、8・・・回収トナー搬送パイプ(トナー搬送手段)、10・・・感光ドラム(像担持体)、14・・・感光ドラムクリーナ(トナー回収手段)、214・・・ビデオ信号カウント部(トナー消費量検知手段)、300・・・プリンタ制御部(制御手段)、α、β・・・電源

Claims (9)

  1. 像担持体にトナー像を形成するために、それぞれ異なる色のトナーを有する複数の現像器を備えた画像形成装置において、
    前記複数の現像器の、画像形成によるそれぞれのトナーの消費量を検知するトナー消費量検知手段と、
    前記トナー消費量検知手段の検知結果から、前記複数の現像器のそれぞれのトナー消費量を比較し、該複数の現像器のうちの最もトナーを消費した現像器のトナー消費量に近づくように、他の現像器に強制的にトナーを消費させるためのトナー像の形成を行わせる制御手段と、
    を備えたことを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記制御手段は、前記他の現像器に、前記最もトナーを消費した現像器のトナー消費量との差分に応じたトナー量を強制的に消費させるように、トナー像の形成を行わせることを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記制御手段は、前記最もトナーを消費した現像器のトナー消費量と、前記他の現像器のトナー消費量との差分が、所定の上限値未満である場合にはこの差分に応じたトナー量を、前記差分が前記所定の上限値以上の場合にはこの所定の上限値に応じたトナー量を、前記他の現像器に強制的に消費させるように、トナー像の形成を行わせることを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
  4. 前記制御手段は、前記複数の現像器のうち、トナーの消費量が最も多い現像器のトナー消費量と、トナーの消費量が最も少ない現像器のトナーの消費量との差分が、所定の値を超えた場合に、前記他の現像器に強制的にトナーを消費させるためのトナー像の形成を行わせることを特徴とする、請求項1ないし3のうちの何れか1項に記載の画像形成装置。
  5. 前記複数の現像器は、それぞれの現像器を構成する構成部品の形状、大きさ、材質が共通であることを特徴とする、請求項1ないし4のうちの何れか1項に記載の画像形成装置。
  6. 前記複数の現像器に、前記像担持体にトナー像を形成する際の現像バイアスを印加する共通の電源を備え、
    前記電源は、前記複数の現像器に共通の現像バイアスを印加することを特徴とする、請求項1ないし5のうちの何れか1項に記載の画像形成装置。
  7. 前記複数の現像器は、非磁性トナーと磁性キャリアとからなる2成分現像剤を収容し、該2成分現像剤中の非磁性トナーの比率を検知するための透磁率センサを備えたことを特徴とする、請求項1ないし6のうちの何れか1項に記載の画像形成装置。
  8. 前記像担持体上のトナーを回収するトナー回収手段と、
    前記トナー回収手段により回収したトナーを搬送して前記現像器内に戻すトナー搬送手段と、
    を備えたことを特徴とする、請求項1ないし7のうちの何れか1項に記載の画像形成装置。
  9. 前記制御手段は、使用者の選択、画像形成装置の環境、使用状況のうちの少なくとも何れかに応じて、前記他の現像器のうちの少なくとも何れかの現像器に、強制的にトナーを消費させるためのトナー像の形成を行わせることを特徴とする、請求項1ないし8のうちの何れか1項に記載の画像形成装置。
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