JP2011153481A - 構造物の補強方法及び補強構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】構造物に部材軸直角方向の圧縮力を作用させ断面拘束効果を生じさせるべく、補強シートに緊張力を付与することにより、曲げモーメントとせん断力に対する抵抗力向上と補強材の定着性を維持する。
【解決手段】RC梁11の底部11aと両側面11bを補強シート12で包囲し、梁底部11aに補強シート12を接着する。梁両側面11bに位置する補強シート12両端を高剛性の棒13に接着し硬化させる。当該棒13の両端部に孔13aを開けるとともに、梁11上部に設置する高剛性の板14に対しても、孔14aを開ける。棒の孔13aと板の孔14aへボルト15を貫通させ締結することにより、補強シート12に緊張力が作用するとともに、梁11の軸直角方向断面に圧縮応力が作用することになる。予めボルトに作用させるとトルクと補強シートへ作用させる緊張力の関係を評価しておくことにより、補強シート12の緊張力を制御できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、高強度繊維をシート状に形成した補強材を構造物の梁部や柱部等の被補強部の少なくとも一部表面に付設するとともに、補強シート材に緊張力を作用させることにより構造物を補強する方法及び構造に関する。
現在、既設構造物へ適用されているシート補強方法は、スラブと一体化されている梁や、壁と柱とが一体化されている構造において、解放されている梁や柱表面に補強シートを付設するものである。このような技術は、梁や柱の解放部分にのみシートを付設しているため、スラブと梁、壁と柱の結合部分に対する補強がなされておらず、補強シートと被補強部材との十分な一体化がなされておらず、補強効果が十分に発揮されていないと考えられる。
このため、補強シートと被補強部材を一体化させて補強する技術として、例えば1)特開平9−53328号公報,特開平9−53329号公報,2)特開平10−306597号公報等に開示されるように、補強シート端部を冶具により被補強部材へ定着させる技術がある。
ここで、1)上記特開平9−53328号公報,特開平9−53329号公報の技術は、梁の底面および両側面へ補強シートを包囲して付設し、補強シート両端部をアングル材で挟み込むとともに、このアングル材と床スラブを貫通するボルトおよび梁の両側面を貫通するボルトを介して締結するようになっている。
また、2)上記特開平10−306597号公報の技術は、梁の底面および両側面へ補強シートを包囲して付設し、梁底部に弾性体を介して板状の定着冶具を配置し、梁底部に作用させる押圧力を一定として、梁底部における補強シートの定着を計るものである。
このように従来の発明は、既設構造物をシート補強するにあたり、被補強部材と補強シートの剥離に対する抵抗性を高めるためにシート端部をアングル材、冶具により、梁側面部や梁の上部に存在するスラブ部分にアンカーボルトで締結させる方法により、あるいは被補強部材の底部と両側面部を補強シートで覆い、梁上部に設置した冶具によりシート端部を定着する方法により、補強シートと被補強部材を一体化させ、曲げに対する抵抗力を向上させる技術である。
特開平9−53328号公報 特開平9−53329号公報 特開平10−306597号公報
従来の技術で既存構造物を補強すると、補強後の梁底部において曲げに対する抵抗力は向上するが、梁側面部で発生するせん断ひび割れに対しては有効に機能せず、せん断力に対する抵抗力が十分に得られていないという問題点がある。また、従来の発明は、せん断力に抵抗する手段として、はり断面周囲に敷設した補強シートの周囲を、さらに冶具により全面あるいは部分的に覆い梁の側面部などにアンカーボルトで定着する、あるいは、はりとスラブの隅角部に冶具を設置しアンカーボルトで両者の定着を計るなど、冶具による断面拘束を行なうものである。このような技術は既設構造物の主要構成部材である梁や柱にアンカーボルトを植設することにより主要構成部材へ損傷を生じせしめることにもなる。
そこで、本発明は被補強部材のせん断力に対する抵抗力を向上させる方法として、補強シートの設置方法を改良することにより、主構造部材である梁や柱等の被補強部に損傷を与えることなく、当該補強部を補強することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明の構造物の補強方法は、一対の第1冶具に補強シートの両端部を固定し、構造物の被補強部の一方側表面部に前記補強シートの中間部を付設し、前記被補強部の反対側表面部分に第2冶具を設置し、前記一対の第1冶具と前記第2冶具を締結具により締め付けることで、前記一方側表面部分から前記反対側表面部分に向けて前記被補強部の側面部分に沿って延在する前記補強シートに緊張力を作用させるとともに、前記一対の第1冶具の少なくとも一方と前記第2冶具の間に増し締め可能な間隔を設けることを特徴とする。
本発明において、前記締結具を、前記第1冶具及び前記第2冶具にそれぞれ設けた貫通孔に挿通されたボルトと、該ボルトに螺合するナットにより構成することが好ましい。
また、前記補強シートを前記被補強部の前記一方側表面部分に接着し、前記補強シートの前記側面部分に沿った部分には少なくとも前記反対側表面部分の側に非接着領域を設けることが好ましい。
さらに、予め前記締結具に作用させる締付トルクと、前記補強シートに作用する前記緊張力との関係を求めるとともに前記緊張力の設定値を決定し、前記関係に基づいて前記設定値に対応する前記締付トルクで前記締結具を締め付けることが好ましい。
次に、本発明の構造物の補強構造は、構造物の被補強部の一方側表面部分に付設された中間部を有する補強シートと、前記補強シートの両端部にそれぞれ固定された一対の第1冶具と、前記被補強部の反対側表面部分に設置する第2冶具と、前記一対の第1冶具と前記第2冶具を締め付ける締結具と、を具備し、前記締結具により前記補強シートが前記一方側表面部分から前記反対側表面部分に向けて前記被補強部の側面部分に沿って延在した状態で緊張力を受けるとともに、前記一対の第1冶具の少なくとも一方と前記第2冶具の間に増し締め可能な間隔が設けられることを特徴とする。
本発明において、前記締結具は、前記第1冶具及び前記第2冶具にそれぞれ設けた貫通孔に挿通されたボルトと、該ボルトに螺合するナットにより構成されることが好ましい。
本発明において、前記補強シートは前記被補強部の前記一方側表面部分に接着され、前記補強シートの前記側面部分に沿った部分には少なくとも前記反対側表面部分の側に非接着領域が設けられていることが好ましい。
本発明において補強シートに緊張力を作用させ補強する方法を示す断面図である。 本発明において補強シートに緊張力を作用させ補強する方法を示す上面図である。 本発明において補強シートに緊張力を作用させ補強する方法を示す正面図である。 本発明においてスラブと梁が一体化されたT型断面を有する梁を補強する方法を示す断面図である。 本発明において壁と柱が一体化された断面を有する構造を補強する方法を示す断面図である。
次に、添付図面を参照して本発明に係る実施形態について説明する。図1は第1実施形態の断面図、図2は第1実施形態の平面図、図3は第1実施形態の側面図である。本実施形態では、各図に示すような梁11(上記被補強部に相当する。)の底面11a(上記一方側表面部分に相当する。)に貼付けた(接着した)補強シート12の両端部にそれぞれ金属等よりなり高い剛性を備えた棒状冶具(上記第1冶具に相当する。)13を予め固定し、この棒状冶具13の両端部に貫通孔13aを開ける。一方、梁の上部11c(上記の反対側表面部分に相当する。)に設置する板状冶具(上記第2冶具に相当する。)14に貫通孔14aを、上記貫通孔13aと鉛直方向同軸線上の位置に開ける。
また、各図に示すように梁11の両側面部11bを補強シート12で包囲するとともに、シート端部が接着されている棒状冶具13と、梁上部11c上に設置する板状冶具14とを、間隔δを設けて設置する。棒状冶具13の貫通孔13aと板状冶具14の貫通孔14aを鉛直方向同一軸線上に位置するように調整し、ボルト15を貫通孔13a,14aに挿通させてナット16と螺合させて締結する。この締結により補強シート12に作用させる引張応力は、コンクリートの設計基準強度、曲げモーメントによる断面変形を鑑みて高強度繊維シートで構成される上記補強シート12の保障耐力の5%〜10%を標準とする。また、ボルト15及びナット16からなる締結具により棒状冶具13と板状冶具14を締結したときの間隔は上記締結具を増し締め可能な余裕を確保できる間隔であればよいが、補強シート12に作用させる緊張力、被補強部材の断面寸法を鑑み40mm〜60mmを標準とする。ここで、ボルト15とナット16の締結に際して、補強シート12に作用させる引張応力は、予めボルト15及びナット16へ作用させる締付トルクと補強シート12に作用する引張応力の関係を求めておくとともに上記緊張力の設定範囲を決定するなどの対応関係の評価を実施し、この設定範囲に対応する締付トルクで締結具を締め付けることで設定範囲内の緊張力を補強シート施工時に反映させることができる。
棒状冶具13は、梁11の延長方向に伸びる延長形状を有し、補強シート12を底面11aから上部11cに向けて両側面部11bに沿って配置する。このとき、図示のように棒状冶具13の内面(側面部11bの側の面)上に補強シート12の一部が配置されるとともに、当該一部が側面部11bに接した状態とすることにより、補強シート12の両側面部11bに沿って配置される部分が両側面部11bと密接した状態とされることが好ましい。このように上記緊張力を与えられた補強シートが側面部11bと密接することで、後述する効果をさらに高めることができる。
図1において、梁11の底部11aに補強シート12を接着するだけでなく、底部に加え、両側面部11bのうち補強シート12と対向する範囲における下側部分、すなわち中立軸(梁11にせん断力が加わったときの圧縮力の合計と引張力の合計が等しくなる位置を示す軸)より下の部分(せん断力が加わったときに引張側となる部分、図示例ではせん断力が上方(上記反対側表面部分の側)から加わる荷重に基づくものとしている。)にも接着することにより、せん断ひび割れ発生が顕著な部分に対する、補強シートによる補強が可能となる。ここで、側面に配置する補強シートの下部は被補強部と一体化させるため接着することになるが、補強シート上部は接着せず非接着領域とすることで、緊張力を作用させるために用いることができる。
図3に、本実施形態の正面図を示す。本実施形態では、被補強部(図示例では梁部)は一方向(図示例では水平方向)に延長する構造部分である。したがって、図3に示すように、補強シート12を上記一方向に所定の長さで設置した場合、第1冶具である棒状冶具13と第2冶具である板状冶具14を、それぞれ上記一方向を長手方向とする延長形状とし、当該補強シート12の上記一方向の両側においてそれぞれ締結具であるボルト15及びナット16を設け、予め設定されたトルクにより締め付けることが好ましい。また、図3に示すように、上記補強シート12、棒状冶具13、板状冶具14、ボルト15及びナット16を被補強部の長手方向に複数組設置してもよい。
図4は第2実施形態の断面図である。この図4に示すようなスラブ部49と梁部41が一体化しているT形断面を有する構造の梁に対しても、図1に示す梁と同様な施工に加え、スラブ部49に以下の施工を行なうことにより補強を行なうことができる。スラブ部49を貫通する孔49aを、棒状冶具43の貫通孔43a、スラブ部49上に設置した板状冶具44の貫通孔44aと鉛直方向同一軸線上に位置するように開け、貫通孔43a,44a,49aにボルト45を挿通させてナット46と締結することにより補強がなされる。42は補強シート、47は接着剤である。
図5は第3実施形態の断面図である。この図5に示すような柱部51の側面に壁部59が付設されている構造に対しても、図1に示す梁と同様、壁部59と棒状冶具53に貫通孔を開け、各々の貫通孔に挿通させたボルト55とナット56で締結することにより補強がなされる。具体的には、柱部51において壁部59が設けられていない面(図示例の場合には隣接する二つの側面、上記の一方側表面部分に相当する。)に補強シート52を接着剤57により接着し、柱部51に壁部59が付設されている面(図示例の場合には残りの隣接する二つの側面)に沿って補強シート52を接着せずに延在させている。また、補強シート52の両端部にそれぞれ固定した一対の棒状冶具53(上記第1冶具に相当する。図示例の場合には柱部51に沿って上下に延長した形状を備えている。)を配置し、これらの棒状冶具53に対して壁部59の反対側にそれぞれ棒状冶具54(上記第2冶具に相当する。)を配置し、棒状冶具53と棒状冶具54をボルト55及びナット56により締結して補強シート52に緊張力を与えている。
ただし、本実施形態の場合には二つの壁部59が柱部51の隣接する二つの側面からそれぞれ伸びるように構成されているので、棒状冶具54は壁部59の表面に当接せずに間隔を有して保持されている。すなわち、補強シート52’の両端部を二つの棒状冶具54にそれぞれ固定し、この補強シート52’を二つの壁部59の間にある柱部51の隣接する二つの側面部分上に沿って緊張力が与えられた状態で設置し、これによって二つの棒状冶具54を反対側表面部分である二つの壁部59間の部分に保持している。このようにすると、壁部59に対する応力負担を軽減、若しくは無くすことができる。なお、この場合には、補強シート52とは別の補強シート52’も柱部51の一部表面に沿って緊張力が与えられた状態で配置されるので、この補強シート52’によっても補強作用が生ずる。しかしながら、本実施形態において補強シート52’を省略し、二つの棒状冶具54を壁部59上に設置して係合させることで、補強シート52に緊張力を与えつつ、ボルト55とナット56の間に増し締め可能な間隔を設けることは可能である。
ここで、柱部51に対しては通常作用する荷重により、せん断力の作用は小さい。しかしながら、地震時などにおいては、横方向の震動により大きなせん断力が作用することになり、補強シート52(図示例の場合には補強シート52と52’)の緊張力による断面拘束により、補強シート接着のみの場合に比し大きな補強効果が得られる。なお、本実施形態では、上記補強シート52’に着目した場合、柱部51の一方側表面部分と反対側表面部分を上記とは逆に対応させることで、上記棒状冶具54が上記第1冶具に相当し、上記棒状冶具53が上記第2冶具に相当し、上記補強シート52’に緊張力が作用する構成と捉えることも可能である。
以上説明した各実施形態は、いずれも本発明に記載された構成となっており、以下のような効果を奏する。
本実施形態(本発明)においても、従来技術と同様、梁底部にアラミド繊維、炭素繊維などの高強度のシートをエポキシ系などの接着剤で定着することにより梁底部で最大となる曲げモーメントに対する抵抗力の向上が計れる。これは、梁底部に高強度補強シートを接着することで、梁の断面2次モーメント、および剛性が増大することによる効果によるものである。
ここで、断面力の作用により鉄筋コンクリート構造の梁にせん断ひび割れが発生する機構は、特に被補強部の側面部において、斜め引張鉄筋により補強されたコンクリートの引張強度よりも大きな引張主応力が発生し、引張主応力と垂直な方向にひび割れが発生することになる。また、せん断ひび割れが発生する部分は、体積が変化するダイレイタンシー現象を伴うことになる。
梁側面に設置する補強シートに緊張力を作用させることにより、被補強部の部材軸直角方向断面に圧縮応力が作用することになる。この圧縮応力と、梁側面で発生する引張主応力とが相殺され、せん断ひび割れに対する抑制効果を生じせしめ、ひいてはせん断力に対する抵抗力の向上が計れる。さらに、梁側面の補強シートに緊張力を作用させることにより、梁には断面を拘束する効果が生じることになり、せん断ひび割れ発生時に生じるダイレイタンシーの抑制に対しても有効に機能する。
従来技術では梁軸直角方向断面へ圧縮応力を作用させることは、被補強部に悪影響を与えると考えられ、圧縮応力を作用させない、あるいは補強シートの定着力向上のための冶具を設置する際に非常に小さな応力のみが作用するにとどまっている。上記実施形態(本発明)においても、被補強部材への過大な圧縮応力の作用は、悪影響を与えることになるが、補強シートに緊張力を作用させることにより梁に発生する応力は、補強シートによる梁の拘束状態を勘案するに、コンクリートの設計基準強度に比し小さな応力であり、梁に対して有害となることはない。通常、コンクリートは強度面において圧縮力に対する抵抗力は大きいが引張力に対する抵抗力は小さいので、本実施形態において、補強シートにより圧縮応力を加えながら、引張応力に起因するせん断ひび割れ及びダイレイタンシーの抑制を図ることは、コンクリート構造一般に特に適した方法である。ただし、本発明の構成(補強シート)によって被補強部に与えられる圧縮応力は、被補強部の圧縮強度の20%以下であることが好ましく、10%以下であることがさらに好ましい。また、上記圧縮強度の10%以下であっても十分に本発明の効果を生じさせることが可能である。
また、補強シートの強度は、RC構造を構成するコンクリートよりも大きく、鉄筋と同程度の強度を有しているため、シートに保障耐力の5%〜10%の緊張力を作用させても、ひび割れが発生し構造物として機能し得る程度の変形を想定した場合においても、シートの破断に対して十分な強度を有している。さらに、上記補強シートとして2方向織りの繊維布を用いた補強シートを適用し、接着時に織りの方向に留意することで、曲げ応力の作用方向、及び補強シートへの緊張力作用方向と、シートの繊維方向が一致するように構成できる。このため、被補強部と補強シートを接着した梁底部、あるいは梁底部周辺の側面部においても、補強シートの繊維の方向と作用する力の方向が一致し、2方向織り補強シートの有効性を十分に発揮できることになる。
補強シートに緊張力を作用させるための機構(上記の第1冶具、第2冶具及び締結具に相当する。)は、同時に補強シート端部を拘束することにもなり、したがって、振動などの梁と底部に接着した補強シートの剥離を生じせしめる外的要因に対して抵抗することになり、剥離抵抗性能が増大する。
ここで、被補強部のクリープによる収縮、補強シートのリラクセーション、あるいは振動入力等の外的な要因により、ボルト締結の緩みが生じた場合に対しても、上記のように増し締め可能な間隔が確保されているので、ボルトを再締結することにより補強シートに緊張力を作用させることが可能であり、日常的な維持管理作業程度の簡便な作業を実施することにより本発明の効果が継続できることになる。
一方、スラブを有するようなT形断面の梁に対しても、本発明ではスラブ部分に貫通孔を開けるのみでよく、アンカーを植設する必要がないため、梁への加工を全く必要としない。したがって、スラブを有する梁に対して従来の発明で行なわれていたような、梁側面にアンカーボルトなどの挿入が不要であり、既設構造物の主構成部材である梁に損傷を与えることがない。
さらに、補強シートの定着と緊張力導入のための冶具を用いるが、高剛性の金属製材料などで構成された冶具(棒と板若しくは棒と棒)と締結具(ボルト−ナット)のみで足りるため構造が簡便かつ小型であり、特殊な冶具の作成は不要であるとともに、施工後の荷重変動が小さい。
本明細書では、単体の梁とスラブを有する梁、および壁を有する柱に対して説明を行っているが、本発明の構造物の被補強部は何らこれらに限定されるものではなく、例えば、本発明はスラブ単体の補強方法及び補強構造としても適用可能である。また、第1実施形態及び第2実施形態では一対の第1冶具に対して一つの第2冶具を締結具により締め付けているが、第3実施形態のように一対の第1冶具のそれぞれに対応する第2冶具を別々に設け、二組の第1冶具と第2冶具をそれぞれ別の締結具で締め付けるようにしてもよい。
11 既設梁
11a 梁底面
11b 梁側面
11c 梁上面
12 補強シート
13 棒状冶具
13a 棒状冶具の孔
14 板状冶具
14a 板状冶具の孔
15 締結ボルト
16 ナット
17 接着剤
41 梁部
41a 梁底面
41b 梁側面
42 補強シート
43 棒状冶具
43a 棒状冶具の孔
44 板状冶具
44a 板状冶具の孔
45
締結ボルト
46
ナット
47 接着剤
49 スラブ部
49a スラブ部の孔
51 既設柱
51a 被補強面(側面)
52、52′ 補強シート
53 棒状冶具
54 棒状冶具
55 ボルト
56 ナット
57 接着剤
59 壁部

Claims (7)

  1. 一対の第1冶具に補強シートの両端部を固定し、構造物の被補強部の一方側表面部分に前記補強シートの中間部を付設し、前記被補強部の反対側表面部分に第2冶具を当接させ、前記一対の第1冶具と前記第2冶具を締結具により締め付けることで、前記一方側表面部分から前記反対側表面部分に向けて前記被補強部の側面部分に沿って延在する前記補強シートに緊張力を作用させるとともに、前記一対の第1冶具の少なくとも一方と前記第2冶具の間に増し締め可能な間隔を設けることを特徴とする構造物の補強方法。
  2. 前記締結具を、前記第1冶具及び前記第2冶具にそれぞれ設けた貫通孔に挿通されたボルトと、該ボルトに螺合するナットにより構成することを特徴とする請求項1に記載の構造物の補強方法。
  3. 前記補強シートを前記被補強部の前記一方側表面部分に接着し、前記補強シートの前記側面部分に沿った部分には少なくとも前記反対側表面部分の側に非接着領域を設けることを特徴とする請求項1又は2に記載の構造物の補強方法。
  4. 予め前記締結具に作用させる締付トルクと、前記補強シートに作用する前記緊張力との関係を求めるとともに前記緊張力の設定値を決定し、前記関係に基づいて前記設定値に対応する前記締付トルクで前記締結具を締め付けることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の構造物の補強方法。
  5. 構造物の被補強部の一方側表面部分に付設された中間部を有する補強シートと、
    前記補強シートの両端部にそれぞれ固定された一対の第1冶具と、
    前記被補強部の反対側表面部分に当接する第2冶具と、
    前記一対の第1冶具と前記第2冶具を締め付ける締結具と、
    を具備し、
    前記締結具により前記補強シートが前記一方側表面部分から前記反対側表面部分に向けて前記被補強部の側面部分に沿って延在した状態で緊張力を受けるとともに、
    前記一対の第1冶具の少なくとも一方と前記第2冶具の間に増し締め可能な間隔が設けられることを特徴とする構造物の補強構造。
  6. 前記締結具は、前記第1冶具及び前記第2冶具にそれぞれ設けた貫通孔に挿通されたボルトと、該ボルトに螺合するナットにより構成されることを特徴とする請求項5に記載の構造物の補強構造。
  7. 前記補強シートは前記被補強部の前記一方側表面部分に接着され、前記補強シートの前記側面部分に沿った部分には少なくとも前記反対側表面部分の側に非接着領域が設けられていることを特徴とする請求項5又は6に記載の構造物の補強構造。
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