JP2011152141A - 細菌毒素の生成のための方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】細菌毒素発現インヒビターを減少させるための方法および組成物。具体的には、毒素発現インヒビター結合化合物の添加、毒素インヒビター代謝前駆体の濃度を減少させた培養培地、および毒素インヒビター代謝前駆体を代謝するために必要な酵素を欠いている、遺伝子改変した毒素生成細菌。
【選択図】図1
Description
本出願は、米国仮特許出願第60/194,478号(2000年4月4日出
願)および同第60/194,482号(200年4月4日出願)に対する優先
権を主張し、これらの出願は、その全体が参考として援用される。
コンピューター読み取り可能な形式における配列表が、本明細書とともに含ま
れる。
本発明は、細胞内および細胞外毒素の発現インヒビターの蓄積を減少または排
除する方法および組成物を用いて、細菌毒素の生成を増大することに関する。具
体的には、本発明は、Bordetella種の毒素発現インヒビターの蓄積を
減少または排除するための方法および組成物に関する。より具体的には、本発明
は、百日咳毒素、パータクチン、アデニレートシクラーゼ毒素である溶血素、繊
維性血球凝集素および他の毒素の高収率生成に関する。
生物)により生成される種々の成分のうちの1つである。百日咳は、呼吸器系の
重篤な感染であり、かつては、米国で毎年5,000〜10,000名もの人々
が死亡する原因であった。百日咳ワクチンの出現以来、百日咳に関連した死亡者
数は一年に20名未満に減少した。現在では、全ての百日咳感染のうち約50%
が1歳未満の子供で生じ、そして15歳を超える子供では、わずか15%に生じ
るにすぎない。Kids Health.org(2000年3月23日閲覧)
〈http://kidshealth.org/parent/common
/whooping_cough.html〉。
tussisにより生成される目的の他の成分は、繊維性血球凝集素、熱不安定
性毒素、アデニレートシクラーゼなどであり、これらはまた、防御抗原として重
要な役割を果たし得る。診断試薬または化学的試薬として、およびワクチンの調
製において有用なこれらの成分の大規模生成は、微生物の大規模培養を要する。
しかし、B.pertussisは、大規模醗酵槽で増殖させることが困難であ
ることが証明されている培養しにくい微生物である。B.pertussisの
培養のための古来からの方法は、静置培養における培養または醗酵槽における培
養を用いる。静置培養における増殖は、労働集約的である一方、醗酵規模での培
養は、ボルテックスによる攪拌および表面通気を要する。結果として、醗酵槽の
有効容積は、減少され、そしてB.pertusisの増殖のための醗酵槽の改
変がしばしば必要である。さらに、これらの条件下での醗酵の間に生成されるP
Tの量は、変動性であり、しばしば低い。
でB.pertusisを生成するための方法を開示する。高い鉄含有量により
、より高い細菌増殖が支持される一方で、PTの生成は抑制される。改変Sta
iner−Scholte培地の鉄含有量を推奨される濃度の10%に調節する
ことにより、PTの生成は最適化された。
ることを試みる:(1)硫酸(SO4 2−)を排除する(sequester)
増殖培地に可溶性塩を導入すること、および/または(2)B.pertusi
sシステインデスルフィナーゼノックアウト変異体を用いること。
本発明は、培養培地中に細菌毒素発現インヒビターが蓄積し、そのために有意
に毒素生成を減少させるという発見に基づく。さらに、本発明は、毒素発現イン
ヒビターの抑制または排除が、毒素発現を有意に上方調節し得るという知見に基
づく。本発明の非限定的例は、Bordetella sp.、具体的には、B
.pertusisおよび/またはB.bronchiseptica(これら
は、それぞれ百日咳毒素(PT)およびパータクチンを生成する)を用いること
を開示する。しかし、より高い細菌毒素レベルが、本発明の教示(アデニレート
シクラーゼ毒素である溶血素、および繊維性血球凝集素を含むが、これらに限定
されない)を利用して、他の細菌培養系において達成され得ることが理解される
。
少する(これにより、有意なPT生成の増加を生じる)、B.pertusis
を培養するために用いられる方法および組成物を開示することにより、例示され
る。
アニオンによりPT発現阻害を防止または減少する新規な培養培地を調製するた
めの方法および組成物が開示される。これらの培地組成物および関連する方法と
しては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:B.pertussis
培養培地と、硫酸アニオンと実質的に不溶性の錯体を形成する、有効量の1以上
の可溶性金属塩とを混合する工程。
養培地が提供され、この培地は、PTインヒビターと実質的に不溶性の錯体を形
成するある量の1以上の可溶性塩を含み、ここで、この量は、PT発現の阻害を
防止または減少する。具体的には、硫酸アニオンと実質的に不溶性の錯体を形成
する可溶性塩が開示される。
成分を制限または排除することによりPTインヒビターを減少する、B.per
tussis培養培地、およびこの培地を作製し、用いるための方法が挙げられ
る。具体的には、本発明の1つの実施形態において、システイン濃度が低減され
る。
の蓄積を排除または減少させる条件下でB.pertussisを培養する工程
、およびこの培養培地からPTを単離する工程を包含する、PTを生成するため
の方法および組成物に関する。
ステインデスルフィナーゼノックアウト変異体を用いて増強される。本発明の1
つの実施形態において、B.pertussis培養培地中でB.pertus
sisシステインデスルフィナーゼノックアウト変異体を増殖する工程、および
この培養培地からPTを単離する工程を包含する、PTを生成する方法が提供さ
れる。
、毒素生成細菌を培養する工程を包含し、該毒素生成細菌により形成される毒素
発現インヒビターが排除または減少される、方法。
rdetella、Clostridium、Staphylococcus、
Salmonella、Shigella、VibrioおよびEscheri
chiaからなる属より選択される、方法。
rdetella pertussisまたはBordetella bron
chisepticaである、方法。
咳毒素(PT)またはパータクチンである、方法。
が硫酸イオンである、方法。
a)細菌培養培地に、該硫酸イオンと実質的に不溶性の錯体を形成する組成物
を添加すること;
b)硫酸イオン代謝前駆体を欠く細菌培養培地または該硫酸イオン代謝前駆体
の濃度が減少した細菌培養培地を提供すること;および
c)システインデスルフィナーゼノックアウト変異細菌を提供すること、
からなる群より選択される方法を用いて、細菌培養培地から排除または減少され
る、方法。
である、方法。
l 2 またはBaBr 2 である、方法。
(II)、Sr(II)またはAg(II)の可溶性塩である、方法。
体が、システインである、方法。
体を欠く細菌培養培地または前記硫酸イオン前駆体の濃度が減少した細菌培養培
地が、前記硫酸イオンと実質的に不溶性の錯体を形成する可溶性金属塩をさらに
含む、方法。
ィナーゼノックアウト変異細菌が、組換えBordetella pertus
sisまたは組換えBordetella bronchisepticaであ
る、方法。
実質的に不溶性の錯体を形成する、有効量の1以上の可溶性金属塩の存在下で、
B.pertussisを培養する工程を包含する、方法。
Ba(II)ハライドである、方法。
BaCl 2 またはBaBr 2 である、方法。
Pb(II)、Sr(II)またはAg(II)の可溶性塩である、方法。
りPT発現の阻害を防止または減少させる培養培地を作製する方法であって、該
方法は、B.pertussis培養培地と、硫酸と実質的に不溶性の錯体を形
成する、有効量の1以上の可溶性金属塩とを混合する工程を包含する、方法。
Ba(II)ハライドである、方法。
BaCl 2 またはBaBr 2 である、方法。
Pb(II)、Sr(II)またはAg(II)の可溶性塩である、方法。
て、該培地は、硫酸と実質的に不溶性の錯体を形成するある量の1以上の可溶性
金属塩を含み、該量は、硫酸によるPT発現の阻害を防止または減少させる、培
養培地。
が、Ba(II)ハライドである、培養培地。
が、BaCl 2 またはBaBr 2 である、培養培地。
が、Pb(II)、Sr(II)またはAg(II)の可溶性塩である、培養培
地。
不溶性の錯体を形成する有効量の可溶性金属塩を含むB.pertussis培
養培地においてB.pertussisを増殖する工程、および該PTを該培養
培地から単離する工程を包含する、方法。
Ba(II)ハライドである、方法。
BaCl 2 またはBaBr 2 である、方法。
Pb(II)、Sr(II)またはAg(II)の可溶性塩である、方法。
クアウト変異体。
ssis培養培地においてB.pertussisシステインデスルフィナーゼ
ノックアウト変異体を増殖する工程、および該PTを該培養培地から単離する工
程を包含する、方法。
B.pertussisシステインデスルフィナーゼノックアウト変異体を培養
する工程を包含し、それにより、非システインデスルフィナーゼノックアウト変
異体を用いた場合と比較して、生成したPTの増強した量が生成される、方法。
OH(配列番号5)を含む、ペプチド。
ペプチドアフィニティーカラムを調製する工程であって、該ペプチドが、GG
GDGSFSGFGDGSFSGFG−OH(配列番号5)を含むアミノ酸配列
を有する、工程;
該細菌毒素を含む該混合物を該ペプチドアフィニティーカラムに添加する工程
であって、該細菌毒素が該ペプチドに結合する、工程;
該結合した細菌毒素を、該ペプチドから遊離させる工程;および
該単離した細菌毒素を収集する工程、
を包含する、方法。
detella属から得られる、方法。
pertussisまたはBordetella bronchisepti
caからなる群より選択されるBordetella種をさらに含む、方法。
毒素またはパータクチンである、方法。
細菌感染の最も重篤な結果は、しばしば、宿主中の毒素発現から生じる。非限
定的な例として、破傷風毒素を産生するClostridium tetani
、C.botulinumによって産生される神経毒、偽膜性腸炎を引き起こす
毒素を産生するC.difficile、胃腸炎および腸チフスを引き起こす腸
毒素を産生するSalmonella typhi、敗血症性ショックを引き起
こす毒素を発現し得るStaphylococcus aureus、および百
日咳の要因となる毒素を産生するB.pertussisが挙げられる。他の毒
素産生性の細菌属としては、エシェリキア属(Escherichia)、赤痢
菌属(Shigella)およびビブリオ属(Vibrio)が挙げられるが、
これらに限定されない。幸運にも、細菌毒素の最も重篤な効果を予防および/ま
たは軽減するワクチンが利用可能である。これらのワクチンは、主に、改変され
た細菌毒素、致死用量未満の精製毒素および/または全細胞ホモジネートから構
成される。
ンレシピエントにおける百日咳の予防に特に効果的であることがわかっている。
百日咳毒素(PT)を単独またはB.pertussisの他の抗原と組み合わ
せて含む、非細胞百日咳(acellular pertussis)(AP)
ワクチンは、百日咳感染の予防に非常に効果的であることが見出されている。し
かし、PTおよび他の百日咳抗原の多くは微量で発現されるので、収率を最大に
するために培養条件を最適化することが重要である。標準的なStainer−
Scholte(SS)培地を使用して、バッチ醗酵途中での百日咳毒素/光学
濃度(PT/OD650)の比の減少が観察された。この現象が基質利用能また
は負のフィードバック阻害の欠如に起因するか否かを決定するために、研究を行
って、使用済み培地がPT発現についての阻害性因子を含むか否かを決定し、そ
してこれらの因子を同定した。培養上清サンプルを、醗酵の種々の段階から採取
し、そして基本塩を欠くSS培地成分を再供給した。これらのサンプルを使用し
て第2の培養を開始し、そしてPT/OD650比を、新鮮なSS培地と比較し
て測定した。未処理の使用済み培地および3,000kDaより小さい分子を含
有するこの培地の画分の両方が、PTの産生を阻害した。Bordet−Gen
gou寒天(BGA)上での交差画線実験は、新鮮に画線した細菌における溶血
活性のインヒビターの産生を確認した。クーマシー染色したゲルは、全細胞タン
パク質プロフィールが、新鮮な培地と比較して、その画分培地において有意に異
なることを示し、これは、阻害性因子が2成分の調節系に影響を及ぼしているこ
とを示唆する。これらの阻害性化合物をさらに同定するために、B.pertu
ssisの中間代謝物の完全なフラックス分析(使用済み培地のHPLCおよび
これらの経路中の重要な酵素によるアミノ酸および有機酸分析を含む)を行った
。硫黄含有アミノ酸(メチオニン)およびピルビン酸が、増殖の後期対数期中に
蓄積する(200mg/Lまで)ことが見出された。LC−MSによる全ての上
清画分の試験は、システイン消費のための経路がスルフェートの形成を導くこと
を示唆する。次いで、これは、PT発現の負のフィードバックインヒビターとし
て作用した。
して作用するので、醗酵が進行するにつれて細胞内および細胞外のスルフェート
蓄積を減少または排除するための方法を開発した。本発明の1つの実施形態にお
いて、これらの方法は、スルフェートと実質的に不溶性の錯体を形成する有効量
の可溶性塩の添加を包含する。このような可溶性塩としては、アルカリ土類金属
または他の塩(PbおよびAg)が挙げられる。本発明の好ましい塩は、アルカ
リ土類金属塩である、より好ましい塩は、ハロゲン化Ba(II)塩である。最
も好ましいハロゲン化Ba(II)塩は、BaC12またはBaBr2である。
の促進において効果的であることが示されている。ATCC9797またはCS
87 B.pertussis株をBaCl2の存在下で培養した場合に、PT
収率における1OD単位あたりの10倍の増加が観察された。このケースにおい
て、BaCl2の非存在下でのPTの量は、20mM BaCl2を用いた場合
に0.525μg/mL/OD650であるのに対して、0.05μg/mL/
OD650であった。「有効量」の塩は、醗酵を塩の非存在下で行った場合と比
較して、醗酵中のスルフェートによるPT発現の阻害を防止または減少する量を
意味する。
フェート錯体は、Kspが25℃で1×10−5以下である場合に、「実質的に
不溶性」であると規定される。好ましくは、Kspは、25℃で1×10−7〜
1×10−10である。最も好ましくは、Kspは、25℃で1×10−8〜1
×10−10である。選択されたスルフェート錯体についての上述の範囲内ある
溶解度積を、表1に示す。
cs−第65版、Weast(編)、B−220頁(1984)。
発明の範囲を制限することを意味しない。さらに、スルフェート錯体が、必ずし
も増殖培地中に完全に不溶性ではないことに留意すべきである。スルフェート錯
体は、単に、スルフェートによるPT発現の阻害を防止または減少するのに十分
に不溶性でなければならない。
に添加され得る。あるいは、塩は、培地の調製に使用する水の添加の前または後
であるが、B.pertussis細胞の導入の前に、培地の他の成分と共に混
合され得る。
得る塩の量は、約0.05mM〜約50mM、より好ましくは、約10mM〜約
30mM、もっともの好ましくは、約20mMであり得る。通常には、約10m
M〜約20mMの塩が、スルフェートによるPT発現の阻害を防止または減少す
るために効果的である。当業者は、単なる慣用的な実験によって、任意の特定の
B.pertussis株におけるPT発現の阻害を効果的に防止または減少す
る最適な量の塩を決定し得る。
調節することが、細胞内および細胞外の両方の毒素インヒビターの濃度を減少し
得ることを決定した。例えば、限定することを意図しないが、本発明者らは、P
Tインヒビター(スルファイトおよびスルフェートを含むが、これらに限定され
ない)が、システイン代謝の最終生成物として産生されることを決定した。要す
るに、Bordetellaは、酵素システインデスルフィナーゼを含む経路を
介して、硫黄含有アミノ酸であるシステインを代謝する。システイン代謝の間に
、スルフヒラル(sulfhyral)基が、システイン分子から酵素的に切断
される。このスルフヒラル基は、スルファイトおよびスルフェートにさらに代謝
され、これらが、細菌細胞内および細胞外環境内に蓄積する。結果として、シス
テインの存在下でBordetellaを長く増殖させるほど、細胞内および細
胞外スルフェート濃度は高くなり、そしてPT産生は減少する。
、本発明者らは、開始システイン濃度を減少することが、細胞内および細胞外の
スルフェート蓄積の減少を生じ、結果としてPT阻害の減少を生じるという、非
限定的な理論を展開した。スルフェート濃度に対するシステイン濃度の変化の効
果を評価するために、本発明者らは、3つの異なる培養系を開発し、これらは、
以下の略語を用いて識別される:LCMSSB、LCMSSFB、LCMSSB
a。LCMSSB(制限システイン改変Stainer−Scholteバッチ
)培養系は、以下の表2に示される培地を使用してバッチ様式で増殖されるB.
pertussisからなった。手短に言うと、「バッチ様式」は、微生物が、
有意な量の使用済み(すなわち、使用した)培養培地の補充または交換を伴わず
に、単一の培養培地(通常、液体または半液体)中で培養されるプロセスである
。本発明において、バッチ様式培養物(LCMSSB)を、当業者に公知の手順
を使用して600nmで分光光度的に測定した場合に、細菌の光学濃度が1.0
より高い吸光度に到達するまで、約35℃〜37℃で好気的にインキュベートし
た。第2の培養系LCMSSFB(制限システイン改変Stainer−Sch
olte供給バッチ)は、表3に開示される培養培地を使用して維持した。シス
テインは、この基底培地には添加されなかったことに留意する。代わりに、L−
システインを、インキュベーション期間全体にわたって20mg/時間の速度で
添加した。最後の培養系は、LCMSSBa(制限システイン改変Staine
r−Scholteバッチ+BaCl2)と称され、これは、表2に示される基
礎培地を使用した。
la培養物を、AFS Biocommand v2.0(New Bruns
wick Scientific,Edison NJ)に連結した20リット
ルバイオリアクター(New Brunswick BioFlo IV(登録
商標)(New Brunswick Scientific,Edison
NJ))中、約35℃〜37℃でインキュベートした。このAFS Bioco
mmand v2.0は、pH、攪拌、溶存酸素、温度、およびエアーフロー速
度についてのデータを収集した。消泡剤およびpH制御剤のためのさらなるポン
プを、必要な場合に追加し、これは、当業者に公知である。エアーフローを4.
0リットル/分に調整し、溶存酸素を40%に維持し、そしてpHを約7.2に
維持した。
1リットルの活発に増殖している細菌開始培養物を播種した。この活発に増殖し
ている開始培養物は、1リットルのStainer Scholte(SS)培
地(この処方は、表5および6に示される)を含む振盪フラスコに凍結シードを
播種して調製し、そして1.0 より高いOD600の光学濃度に到達するまで
(約20〜24時間)インキュベートした。
して培養上清と細胞ペレットに分けた。培養上清を、PT、スルフェート、有機
酸、アミノ酸および細菌密度についてアッセイした。細菌細胞ペレットを、内部
のスルフェートおよびPT濃度について分析した。各培養系は、培養物の細菌集
団の密度が、約1.0を超える吸光度単位に到達したときに(播種後約12時間
)、特定の補充を受けた。LCMSSBおよびLCMSSBaの両方は、10.
0mg/LのFeSO4・7H2Oおよび5.0g/Lのグルタミン酸ナトリウ
ム(FeSO4/グルタミン酸補充)に加えて、以下の表4に記載の200mL
のアミノ酸補充を受けた。LCMSSBa培養物はまた、20nMのBaCl2
の最終培養培地濃度を得るのに十分な1mMのBaCl2を受け;LCMSSF
B培養物は、システインを除くさらなるアミノ酸と共にFeSO4/グルタミン
酸補充を受け、BaCl2は受けなかった。補充後、醗酵槽を、実験を終了する
直前まで培養した。
CMSSBa)を、当該分野で公知のシステイン濃度を有する従来のSS培地と
並行して試験した。Bortdetella細菌およびPT濃度を、図8Aおよ
び8Bにグラフ表示する。最大のBordetella細胞濃度は約32時間で
到達することが、図8Aから理解され得る。最大の増殖は、通常のPT産生培地
をバッチ様式での改変SSと比較した場合に、ほぼ同じであった。図8Bは、培
養培地の最大のPT産生(mg/ml)を示す。全体的なPT産生における有意
な改善が、従来の培養系と比較した場合、本発明のシステイン制限培養系のいず
れかを使用して現実化されることが容易に明らかである。さらに、図9は、制限
システイン条件下での20リットル醗酵槽中のB.pertussis細胞にお
ける内部および外部のスルフェート濃度を示す。LCMSSBa培養系は、全体
的なPT産生における最良の改善を示した。従って、本発明者らによって理論付
けられたように、PT産生は、培養培地中のインヒビター前駆体の量を制限する
ことによって有意に改善され得る。さらに、よりさらなる改変が、本発明の前駆
体制限培養系を本発明の毒素発現インヒビター除去系と組み合わせた場合に現実
化され得る。
毒素発現インヒビターが、全体的な毒素産生を有意に減少し得る;および2)培
養培地からの毒素発現インヒビターの除去、または培養培地中のインヒビター前
駆体を減少することによる毒素インヒビター形成の減少が、全体的な毒素産生を
有意に増加し得る。従って、本発明者らは、毒素発現インヒビターを産生する毒
素産生生物の能力を遺伝的に不能化することが、全体的な毒素産生における同様
の増加を生じ得ると理論付けた。結果として、本発明のなお別の実施形態におい
て、培養中にスルフェートを産生せず、従って、PT発現の阻害を示さない、シ
ステインデスルフィナーゼ活性を欠失する組換えB.pertussis(「ノ
ックアウト変異体」)を提供する。このようなノックアウト変異体は、多くの異
なる方法のいずれかによって調製され得る。例えば、米国特許第5,557,0
32号および同第5,614,396号を参照のこと。このような方法は、一般
に、B.pertussis染色体DNAとのDNA構築物の相同組換えを含む
。相同組換えは、十分に研究されており、これは、各々の最初に存在する分子の
一方の領域が他方の分子の領域に連結されるような、同じかまたは実質的に類似
(すなわち、相同な)の配列を有する2つの核酸分子の切断およびその2つの分
子の連結を生じる、天然の細胞プロセスである(Sedivy,J.M.Bio
Technol.6:1192−1196(1988)を参照のこと)。従って
、相同組換えは、細胞が、DNAの「領域」をあるDNA分子から別のDNA分
子に移入し得る、配列特異的プロセスである。相同組換えが2つのDNA分子間
で生じるために、これらの分子は、互いに「相同な領域」を保持しなければなら
ない。このような相同な領域は、少なくとも2塩基対長でなければならない。2
つのDNA分子は、一方が、相同組換えを生じ得るように第2の分子中の領域に
類似する配列の領域を含む場合に、相同な領域を保持する。特定の領域に2つの
相同な領域が隣接する場合、ついで、2つの組換え事象が生じ得、これが、その
2つの組換え分子間での領域の交換を生じる。相同組換えは、B.pertus
sis中に天然に存在する酵素によって触媒される。
スルフィナーゼをコードする遺伝子(図7)を、その遺伝子内を切断するように
選択された制限酵素で切断し、その結果、マーカー遺伝子をコードする新しいD
NA配列が、システインデスルフィナーゼ遺伝子配列内に挿入され得る。このマ
ーカー遺伝子は、システインデスルフィナーゼ遺伝子の発現を妨げるように作用
する。マーカー遺伝子は、検出可能および/またはアッセイ可能である任意の核
酸配列であり得るが、好ましい実施形態において、これは、抗生物質耐性遺伝子
である。マーカー遺伝子は、それ自身のプロモーター、またはB.pertus
sisにおいて活性であるかまたは容易に活性化され得る、任意の供給源由来の
別の強力なプロモーターに作動可能に連結される。別の実施形態において、マー
カー遺伝子は、システインデスルフィナーゼ遺伝子のプロモーターを使用して転
写され得る。このマーカー遺伝子は、転写を終結するために、その遺伝子の3’
末端にポリA配列が結合され得る。好ましいマーカー遺伝子としては、任意の抗
生物質耐性遺伝子(例えば、ermC’(エリスロマイシン耐性遺伝子)、ne
o(ネオマイシン耐性遺伝子)、amp(アンピシリン耐性遺伝子)、kan(
カナマイシン耐性遺伝子)、およびgent(ゲンタマイシン耐性遺伝子))が
挙げられる。
IおよびPvoI)で消化した後、当業者に公知であり、例えば、Sambro
okら(Molecular Cloning:A Laboratory M
anual、Cold Spring Harbor Laboratory
Press、Cold Spring Harbor、N.Y.(1989))
に開示される方法を使用して、マーカー遺伝子配列を、システインデスルフィナ
ーゼDNA配列に連結する。連結されるDNAフラグメントの末端は適合性でな
ければならず;これは、全てのフラグメントを適合性の末端を生じる酵素で切断
するか、または連結前に末端を平滑化するかのいずれかによって達成される。平
滑化は、当業者に周知の方法を使用して、例えば、クレノウフラグメント(DN
AポリメラーゼI)または付着末端を充填するための他のDNAポリメラーゼの
使用によって行われる。この構築物は、システインデスルフィナーゼ遺伝子の規
定の領域に対応する(例えば、システインデスルフィナーゼ遺伝子の3’末端お
よび5’末端に対応する)DNA配列を含み、これが、相同組換えによる構築物
の組み込みを可能にする。このDNA構築物は、第2の抗生物質耐性遺伝子を有
するプラスミドに連結され得る。
またはトランスフェクトしたE.coli細胞との接合によって)B.pert
ussisへトランスフェクトされ得る。細胞のスクリーニングは、存在する抗
生物質耐性遺伝子に対応する1以上の抗生物質の致死濃度の存在下で細胞を培養
することによって達成される。生存する細胞は、その中にノックアウト構築物が
組み込まれている。選択された細胞がその中にプラスミド構築物を有さないよう
に、非複製プラスミドを使用し得る。ノックアウト構築物の組み込みを確かめる
ために、B.pertussis DNAのサザンブロットに、マーカー配列に
のみおよび/または除去されたシステインデスルフィナーゼの部分にのみハイブ
リダイズするように設計された配列をプローブし得る。あるいは、またはさらに
、DNAは、システインデスルフィナーゼ遺伝子の3’末端および5’末端に対
応するプローブを用いるPCRによって増幅され得る。最後に、システインデス
ルフィナーゼ活性をアッセイし得る。
ーゼ遺伝子のコード配列に対してアンチセンスであるヌクレオチド配列の存在下
で培養され得る。この実施形態において、ヌクレオチド配列は、B.pertu
ssisによって取り込まれ、システインデスルフィナーゼコード遺伝子にハイ
ブリダイズし、そしてこの遺伝子の翻訳を阻害する。遺伝子の塩基と相互作用し
て、共有結合を形成しそれによって翻訳を阻害する、改変されたヌクレオチド配
列もまた使用され得る。米国特許第6,015,676号を参照のこと。
の例としては、少なくとも8塩基、好ましくは、10〜15塩基の任意のヌクレ
オチドが挙げられ、これらは、図7のコード領域に相補的である。例としては、
以下が挙げられる:
GATTGCTGAT(配列番号1)
TAGATGGGGC(配列番号2)
本発明において、種々の培地が、B.pertussisを培養するために使
用され得る。非限定的で例示的な培地としては、Stainer Scholt
eおよびGMAR改変培地が挙げられる。Stainer Scholteおよ
びGMAR改変培地の成分を、それぞれ、表2および3に示す。
.Chem.258:14647−14651(1983)によって記載の方法
に従って精製され得る。手短に言うと、Sekuraの方法は、2つの連続的な
クロマトグラフィー工程を使用してPTを精製する。第1の工程は、Affi−
ゲルブルーカラムでのクロマトグラフィーを含む。第2の工程は、フェツイン−
アガロースカラムでのクロマトグラフィーを含む。SekuraらのPT精製方
法は、比較的大量(10mgを超える)のPTの慣用的かつ迅速な精製を可能に
する。あるいは、PTは、ペプチドアフィニティーカラムを使用して精製され得
る。このようなカラムを、以下の実施例1において記載する。この実施形態にお
いて、PTを、カラムに吸着させ、緩衝液(例えば、50mM TRIS HC
l、pH=6.2)で洗浄し、次いで、PTを、4MのMgCl2で溶出する。
このMgCl2は、透析によって除去され、実質的に純粋なPTを得る。
ることによって理解される。これらの実施例は、例示目的でのみ本明細書中に提
供され、他に特定化されない限り限定することが意図されない。
(材料および方法)
生物:野生型B.pertussis株CS87を、これらの研究のほとんど
で用いた。この株は中国を起源とし、国立衛生研究所(National In
stitutes of Health)(NIH)の国立小児保健発育研究所
(National Institute of Child Health
and Human Development)(NICHD)に渡された。さ
らに、BPのいくつかの株が、アメリカンタイプカルチャーコレクション(Ma
nassas,VA)から得られ、これらには、ATCCC番号10380が挙
げられるが、これに限定されない。これらの両方は、本明細書中に開示されたシ
ステインデスルフィナーゼノックアウトを調製するために適切である。生物は、
−70℃で保存するか、または37℃での維持される加湿インキュベーター中の
BGA(BBL,Inc,Rockville,MD)で維持する。
J.Gen.Microbiol.63:211−220(1970)に記載さ
れる規定培地に類似した。この1リットルの培地は、以下を含んだ:10.7g
グルタミン酸ナトリウム、0.24g プロリン、2.5g NaCl、0.
5g KH2PO4、0.2g KCl、0.1g MgCl2・6H2O、2
0mg CaCl2・2H2O、1.52g Tris、20mg アスコルビ
ン酸、100mg グルタチオン、40mg システイン、および4mg ナイ
アシン。これらの塩、グルタミン酸およびプロリンを、基底処方物として調製し
、そして滅菌のためにオートクレーブした。培地の残りの物(補充物)は、濃縮
形態(100倍)で調製し、そしてフィルター滅菌した。培地の最終pHは、7
.2〜7.5であった。いくつかの実験において、10mg/mLのFeSO4
・7H2Oを添加した。生物を、37℃に維持したNew Brunswick
Innova Model 4300振盪インキュベーター(New Bru
nswick Scientific,Edison,NJ)中の3連のバッフ
ルしたErlenmeyerフラスコ、または12Lの作動容量を有するバッチ
様式で作動するNew Brunswick 20L BioFlo IV(N
ew Brunswick Scientific)のいずれかにおいて増殖さ
せた。リアクタを、AFS Bio Command v2.0(New Br
unswick Scientific)(これは、pH、攪拌、溶存酸素、温
度、およびエアーフロー速度についてのデータを収集した)および消泡剤および
pH制御剤のためのさらなるポンプに連結した。全ての実験において、醗酵槽の
エアーフロー速度を0.125vvmに設定し、温度を36.5℃で制御した。
溶存酸素(DO)を、150〜1000RPMの振盪カスケードを使用すること
によって40%で維持した。pHを、50% H3PO4の添加によって7.2
に制御した。
ド(1L)を播種して、12Lの総作動容量にした。サンプルを、3〜6時間毎
に再滅菌サンプルポートから採取した。細胞外代謝物の分析のために、上清を、
0.2μm Millex−GVフィルター(Millipore Co.,B
edford,MA)に通して濾過し、そして−20℃で保存した。
zu,Columbia,MD)を使用して650nmの光学濃度(OD650
)によって測定した。培養物の純度を、グラム染色ならびにBGA(BBL,I
nc.Rockville,MD)およびトリプシカーゼ(trypticas
e)ダイズ寒天(TSA;BBL,Inc.)上でのプレーティングによって確
かめた。B.pertussisの純粋培養物は、全ての生物が、グラム陰性染
色し、BGA寒天で増殖し、そしてTSA寒天で増殖しないことを示す。
Hewlett−Parckard Co.,Wilmington,DE)に
ついて提供されるように、オンラインプレカラム誘導体化を使用して、逆相高圧
液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)によって行った。一次アミノ酸を、
OPA試薬(0.4Mホウ酸緩衝液中の10mg/ml o−フタルアルデヒド
、10mg/ml 3−メルカプトプロピオン酸)によって誘導体化し、一方、
二次アミノ酸を、FMOC試薬(アセトニトリル中の2.5mg/ml 9−フ
ルオレニルメチルクロロホルメート)によって誘導体化した。一次アミノ酸につ
いて、移動相は、酢酸ナトリウム/エタノールアミン/テトラヒドロフラン(p
H 7.2±0.05)からなり、338nmで検出した。二次アミノ酸は、酢
酸ナトリウム/エタノール/アセトニトリル移動相(pH 7.2±0.05)
を使用して溶出し、262nmで検出した。各アミノ酸の同定を、異なる濃度(
100、250および1000pmol/μl)のアミノ酸標準(Hewlet
t−Packard)のセットを用いて行った。HPLC Model HP−
1050(Hewlett−Packard)を、HP ChemStatio
nソフトウェア(Hewlett−Pacard,v2.0)と連結して、これ
らの分析に使用した。
0ソフトウェアを連動し、4mM H2SO4の移動気相を有するBioRad
Aminex HPX−87Hカラム(Bio−Rad Laborator
ies,Burlingame,CA)を備えた、Model HP−1050
(Hewlett−Packard)を使用して検出した。カラムを35℃で平
衡化し、そして平衡(isocratic)流速は6ml/分であった。検出を
、215nmで行った。各有機酸の同定を、Bio−Rad Organic
Acid Analysis Standard(Bio−Rad Labor
atories)(これは、シュウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、マレイ
ン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、ギ酸ナトリウムおよび酢酸ナトリウムの
混合物からなる)を注入することによって達成した。ピルビン酸を、この有機酸
標準に2.5g/mlのピルビン酸を添加することによって評価した。
トコルに従って定量した:クエン酸、Boehringer−Mannheim
キット139−076(Boehringer−Mannheim,India
napolis,IN);コハク酸、Boehringer−Mannheim
キット176−281(Boehringer−Mannheim,India
napolis,IN);ギ酸、Boehringer−Mannheimキッ
ト979−732(Boehringer−Mannheim,Indiana
polis,IN);酢酸、Boehringer−Mannheimキット1
48−261(Boehringer−Mannheim,Indianapo
lis,IN);シュウ酸、Boehringer−Mannheimキット7
55−699(Boehringer−Mannheim,Indianapo
lis,IN);およびピルビン酸、Sigmaキット726−UV(Sigm
a Chemicals Co,St.Louis,MO)。
mmuno Plate IIF,Vangard Internationa
l、Neptune、NJ)を、1ウェルあたり0.1mlのフェチン(Sig
ma Chemical Co.)(0.1M炭酸ナトリウム中0.2μg/m
l(pH9.6))を添加することにより感作し、そして室温で一晩インキュベ
ートした。このプレートを、0.9% NaCl、0.05% Brij 35
、10mM酢酸ナトリウム(pH7.0)および0.02%アジドを含む溶液を
用いて5回洗浄した。PTを含むサンプルを、0.5% Brij35を含むP
BS中で希釈し、そしてプレートに添加し、そして室温で2時間インキュベート
した。このプレートを、再度、上記のように洗浄し、そしてPT(20.6)に
対するモノクローナル抗体をPBSを用いて希釈した。Ibsenら、Infe
ct.Immun.61:2408−2418(1993)。このプレートを再
度洗浄し、そして二次抗体(アルカリホスファターゼ結合体化ヤギ抗マウスIg
GおよびIgM(Tago Inc.,Burlingame,CA)を、PB
S−Brij中に希釈した)を、このプレートに添加し、次いで、室温で2時間
インキュベートした。このプレートを、上記のように洗浄し、そしてp−ニトロ
フェノールホスフェート(Sigmaホスファターゼ基質104)(1mg/m
l(0.1M ジエタノールアミン、1mM MgCl2、0.1mM ZnC
l2、および0.02%アジド(pH9.8)の溶液中))を添加した。このプ
レートを37℃にて1時間インキュベートし、そして405nmでの吸収をDy
nex Model MRXマイクロタイタープレートリーダー(Dynex
Technologies,Inc.,Chantilly,VA)を用いて決
定した。各プレートについて、検量線を、PBS中の0.1%BSAおよび0.
1%グリセロール中に希釈した、精製したPT(North American
Vaccine,Inc.)を用いて作成した。培養サンプルからのPTの濃
度を、検量線から計算した。
法を用いて定量した。このアッセイをマイクロプレートアッセイに適用した。M
elnicoffら、Res.Commun.Chem.Pathol.Pha
rmacol.14:377−386(1976)。
子を含むDNAフラグメントを、Perkin−Elmer Thermal
Cycler 480により増幅した。反応混合物(50μl)は、以下を含ん
だ:20ngの精製B.pertussis染色体DNA、0.2μMの各プラ
イマー(正方向プライマー:5’ATG AGC AAT CGC CCC A
TC TAC3’(配列番号3);逆方向プライマー:5’CAC TAT T
TG GTC GGT CGG3’(配列番号4))、2mM MgCl2、1
0mM Tris−HCl(pH8.3)、50mM KCl、400μMの各
dNTP、および2.5ユニットのAmpliTaq Gold(Perkin
Elmer,Branchburg,NJ)。条件は以下である:第1のサイ
クル、94℃で2分;次いで、94℃(2分)、42℃(1分)、および72℃
(2分)で35サイクル;そして最後に8分間の72℃のインキュベーション。
PCR産物を、1%アガロースゲル中でゲル精製し、そしてpCR(登録商標)
II−TOPO(Invitrogen,Calsbad,CA)中にpBPf
ilSを製造する製造業者により勧められる条件を用いて連結した。プラスミド
pBPfilSを、E.coli株TOPF’(Invitrogen)中へ形
質転換し、そして形質転換体を、LB−amp寒天培地において選択した。配列
決定を、Applied Biosystems PRISM Model 3
10自動シークエンサー(Applied Biosystems,Inc.,
Foster City,CA)を用いて、製造業者の指示書および配列決定キ
ットを用いて行った。
本発明の教示に従って作製したpBPfilSプラスミドを、SplIおよびS
phIを用いて切断し、DNAポリメラーゼ(Boehringer Mann
heim)のクレノウフラグメントを用いて末端を平滑末端化した。切断プラス
ミドを、ゲル精製し、そして平滑末端化エリスロマイシン耐性遺伝子(ermC
’)またはルシフェラーゼを、プラスミド構築物中へ連結した。Klugman
ら、Infect.Immun.57:2066−2071(1989)。DH
5の形質転換体は、1mlあたり100μgのエリスロマイシンに対する耐性を
有することを確認した。構築したプラスミドを、Qiagenカラム(Qiag
en Inc.,Valencia、CA)を用いて再単離し、そして変異した
挿入物を、BamHIおよびXhoIを用いてプラスミドを切断することにより
単離した。この挿入物をゲル精製し、そしてプラスミドpSS1129のBam
HI部位およびXhoI部位へと連結してpBRΔfilSを作製した。Sti
bitz,J.Bacteriol.180:2484−2492(1998)
。これをE.coli株SM10中へ形質転換し、そしてこの形質転換体を用い
てStibitzにより記載されるようにB.pertussis株BP536
と結合した。「Use of Conditionally Counters
electable Suicide Vectors for Alleli
c Exchange」,Bacterial Pathogenesis,C
larkおよびBavoil(編)301−308頁(1997)。染色体内に
ヌルBpfilS遺伝子を含むB.pertussis単離物を、BGA寒天上
で、ゲンタマイシン耐性、ストレプトマイシン耐性、および/またはエリスロマ
イシン耐性、あるいはルシフェラーゼ活性について選択した。
、そして/またはこれらは、入手可能な最高グレードであった。総タンパク質を
、Coomassie Protein Assay(登録商標)(Pierc
e Chemical Co.,Rockford,IL)により定量した。ヒ
トIgGをスタンダードとして使用した。形質転換実験に用いられるBorde
tella pertussisのBP536株(BP338株の自発的ストレ
プトマイシン耐性変異体)(Stibitz,SおよびM−S.Yang.19
91.J.Bact.173:4288−4296)を、Center for
Biological Research and Evaluation,
United States Food and Drug Administ
rationのScott Stibitz博士から得た。これらに由来する形
質転換されたB.pertussisノックアウト変異体を、BP536pWY
株と命名し、そしてブタペスト条約に基づいて、American Type
Culture Collection,(Manassas,VA)に寄託し
た。用いられる全ての方法は、当業者に全て周知である。例えば、Method
in Molecular Biology、XX巻、B.D.Shepar
dおよびM.S.Gilmore(編)(1995);DNA Sequenc
ing,L.Alphey.Bios Scientific Publish
ers(1997);Diagnostic and Molecular M
icrobiology:Principles and Applicati
ons,D.H.Persing,T.F.Smith,F.C.Tenove
rおよびT.J.White(編)(1993)American Socie
ty for Microbiology;Molecular Biolog
y,D.Freifelder(編)(1987)JonesおよびBartl
ett Publishers;およびMolecular Biology
of the Gene,J.D.Watson,N.H.Hopkins,J
.W.Roberts,J.A.SteizおよびA.M.Weiner(編)
(1987)The Bengerman/Cummings Publish
ing Company,Inc.を参照のこと。
BPのブロス培養におけるPT産生のインヒビターの検出:サンプルをBP培
養の増殖期の間の様々な時間で得た。このサンプルを、OD650を測定するこ
とによりBP増殖についておよびELISAによりPTの産生についてモニター
した。結果を1ml/OD650あたりのPTのμgとして計算して、1細胞あ
たり産生されたPTの量を概算した。図1に示されるように、1細胞あたり産生
されたPTの量は、増殖サイクルを通じて中間で大幅に減少した。B.pert
ussisは、対数増殖を続けたが、PTの産生は、殆どPT産生の全面的な排
除まで減少するようであった。このことは、PT産生のインヒビターは、培養の
初期の間に生成され、そして阻害濃度に達した後、PT産生を終えることを示唆
した。この仮説を試験するために、静止期まで増殖したB.pertussis
培養物由来の培養上清を凍結乾燥し、そして塩基性塩を欠く増殖培地を用いて再
構築した。次いで、この混合物を用いて、B.pertussisの2代目の培
養物を増殖し、B.pertussisに用いられる本来の培地と比較した。サ
ンプルを得て、そして上記のようにアッセイした。2つの培地の各々におけるB
.pertussisの増殖は類似し、ほぼ同じレベルに達するOD650を有
する。しかし、再構築した混合物において産生したPTの総量は、本来の培地の
量と比較して大幅に減少した。このような阻害、およびこのインヒビターはアデ
ニル化シクラーゼの産生(血液寒天プレートに対する溶血の原因)もまた生じる
ことのより視覚的実証を、図2に示す。B.pertussisの初期画線を、
BGAプレート上に作製し、そして48時間増殖させた。次いで、第2の交叉画
線を作製し、そして寒天プレートを、さらに48時間インキュベートした。非溶
血の帯域は、初期増殖画線から放射状に延びることが考えられ得る。インヒビタ
ーの特徴付けは、使用済みの培養培地を3,000MWCOフィルターを通じて
濾過し、浸透液および濾液の両方を保持することにより始めた。この両方を、上
記のように、凍結乾燥および再構築した。図3は、GMAR培地と比較した場合
のこれらの混合物におけるB.pertussis増殖の結果を示す。PTの産
生は、浸透混合物により阻害された。このことは、このインヒビターが3,00
0より小さい分子量を有したことを示唆する。
的なB.pertussis培養の過程の間の様々な時間で得たサンプルに対し
て行い、これらの化合物の増加および/または増加のタイミングが、PTの産生
阻害のタイミングと相関するか否かを決定した。これらのデータを、図4aおよ
び4bに示す。PT産生の低下は、増殖期(代表的には20時間)のほぼ半分を
過ぎて生じることに注目すべきである。3つの化合物(メチオニン、システイン
、およびピルビン酸)が、出現し、そしてこの時間の周囲で濃度の上昇を続ける
。メチオニンの増加が初めに生じ、次いでシステインおよびピルビン酸が出現す
るようである。多くの経路が、メチオニンからシステインへの代謝に関連する。
しかし、わずかな経路が、システインからピルビン酸に生じる。3つのこのよう
な経路は、Leninger,A.L.Biochemistry,Worth
Publishers,441頁(1970)に示される。これらの3つの経
路の各々において、システインのイオウ基が除去され、そしてピルビン酸が生成
され、それによりこれらの化合物の各々の増加がお互いに、および培地内のイオ
ウの増加と関連付けられる。
のおのおのに対して決定し、そしてB.pertussis増殖(OD650)
と時間とを比較した。図5は、図4のデータを作成するために用いたのと同じサ
ンプルに対するこれらの実証の結果を示す。このデータは、似通った時間でメチ
オニン、システイン、そして最後にピルビン酸の濃度が増加する場合、イオウの
産生の大きな増加が存在することを実証する。
オウイオンは、ビルレント期から静止期までのB.pertussisのモジュ
レーターである。この調節は、タンパク質BvgSおよびBvgAにより調節さ
れる。BvgSおよびBvgAは、二成分調節分子(two componen
t regulatory molecules)の大きなファミリーのメンバ
ーである。これは、外来のイオウの添加が、PTを含むいくつかのビルレンス因
子の産生をダウンレギュレートすることが長い間知られていた(Weissおよ
びHewlett,Ann.Rev.Microbiol.40:661−68
6(1986))が、この系と相互作用する化合物の同定は、未知のままであっ
た。システイン異化またはB.pertussis増殖の過程の間の別の供給源
由来のイオウの可能性のある生成が、PT産生に影響し得るか否かを決定するた
めに、ある方法は、培養物からのイオウの影響を不活化するかまたは取り除くか
のいずれかをしようとする。BaCl2の形態のバリウムは、水の中で非常に可
溶性(1.8M(25℃)および2.8M(100℃))であるが、BaSO4
は、非常に不溶性(10.7μM(25℃)および17.7μM(100℃))
である。溶解度の差異を、しばしば用いて、さらなる測定のために溶液からイオ
ウを沈殿させる。BaCl2の様々な濃度を、増殖培地に添加し、そして培地に
おけるB.pertussis増殖とPTの産生を比較した。これらのデータを
図5に示す。両方の濃度でのBaCl2の添加は、正常な培地と比較した場合に
、9797株においてより増加するにもかかわらず、両方のB.pertuss
is株において1細胞あたりのPTの産生を増加した。可視的な沈殿(おそらく
BaSO4)が、培養の時間に渡り蓄積が見られることに注目すべきである。こ
れらのデータは、培養物内のPTの負のフィードバックインヒビターが、イオウ
であることを示唆する。
:システインからのイオウの除去を引き起こす、可能な酵素の1つである、ni
fS様遺伝子は、E.coliからクローニングおよび特徴付けされた。Mih
araら、J.Biol.Chem.272:22417−22424(199
7)。この配列を使用して、相同性を、部分的B.pertussisゲノムデ
ータベース中で探した。nifS遺伝子に対して高い相同性を示すオープンリー
ディングフレームを見出し、そして適切なPCRプライマーを合成した。適切な
サイズのPCR産物を、B.pertussis染色体DNAを用いて産生し、
TAクローニングベクターpCR(登録商標)II−TOPOへとクローニング
し、そして当業者に公知の方法を用いて配列決定した(図7)。
H(配列番号5)を含むペプチドをABI430Aペプチド合成機(Appli
ed Biosystems,Foster City,CA)においてNMP
−t−ブトキシカルボニル化学を用いてRockefeller Univer
sity Protein Sequencing Facilityにより合
成した。このペプチドを脱保護し、そしてアニソールの存在下でのHFを用いる
処理(0℃/1時間)により樹脂から取り出した。このペプチドの予備精製を、
C−18カラム(2.14ID×30cm)(Dynamax−Rainin,
Woburn,MA)を用いて行った。このペプチドを、Waters Pic
otagシステム(Waters,Milford,MA)を用いるPTCアミ
ノ酸分析により定量した。合成したペプチドを、総溶出プロフィールの95%を
構成する主要ピークとしてC−18カラムから溶出する。精製ペプチドのアミノ
酸組成は、ペプチドを合成するために用いられた配列と良好な一致を示した。
、Brandtら、Biochem.Biophys.Acta 386:19
6−202(1975)により記載される方法を用いて活性化した。簡単には、
0.1M NaHPO4(pH8.0)中の50%ゲルスラリーのプレウォッシ
ュSuperose(登録商標)6Bを、エタノール中の250mM p−ベン
ゾキノンの溶液を用いて処理して、20%エタノールおよび50mM p−ベン
ゾキノンの最終濃度を得た。懸濁液を、室温で1時間穏やかに攪拌した。次いで
、活性化Superose(登録商標)6Bを、目の粗い焼結ガラス漏斗におい
て、20%エタノール、脱イオン化H2O、1M NaClの各々を2容量用い
て、広範に洗浄し、そして、もう一度、脱イオン化H2Oを用いて洗浄した。活
性化Superose(登録商標)6Bを吸引して、コンパクトな固まりにし、
そして0.1M NaHPO4(pH8.0)中の2mg/mlのペプチドを含
む溶液の1容量を添加し、そしてこの混合物を4℃で24時間連続して回転させ
た。次いで、1.0Mのエタノールアミン(pH8.0)を添加し、そして回転
を、室温で1時間続けた。次いで、このゲル混合物を、0.1M NaHPO4
(pH7.0)中の脱イオン化H2O、1M NaClを用いて広範に洗浄した
。最初のペプチド溶液およびカップリング工程の直後の上清のアリコートを保持
し、そしてShimadzu UV Spec 120(Shimadzu,C
olumbia,MD)を用いてA280を測定して、Superose(登録
商標)6Bへのペプチドの取り込みを決定した。
本発明の精神と範囲から逸脱することなく、本発明の種々の変化および改変を過
度の実験なしに種々の用途および条件に適用させ得る。全ての特許、特許出願、
および本明細書中で引用する刊行物は、本明細書中に参考として援用される。
Claims (1)
- 明細書に記載の発明。
Applications Claiming Priority (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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