JP4964385B2 - 細菌毒素の生成のための方法 - Google Patents
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- C12N9/88—Lyases (4.)
Description
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国仮特許出願第60/194,478号(2000年4月4日出願)および同第60/194,482号(200年4月4日出願)に対する優先権を主張し、これらの出願は、その全体が参考として援用される。
【0002】
(配列表、表またはコンピュータープログラムリストに対する参照)
コンピューター読み取り可能な形式における配列表が、本明細書とともに含まれる。
【0003】
(発明の背景)
本発明は、細胞内および細胞外毒素の発現インヒビターの蓄積を減少または排除する方法および組成物を用いて、細菌毒素の生成を増大することに関する。具体的には、本発明は、Bordetella種の毒素発現インヒビターの蓄積を減少または排除するための方法および組成物に関する。より具体的には、本発明は、百日咳毒素、パータクチン、アデニレートシクラーゼ毒素である溶血素、繊維性血球凝集素および他の毒素の高収率生成に関する。
【0004】
百日咳毒素(PT)は、毒性B.pertussis(百日咳を引き起こす微生物)により生成される種々の成分のうちの1つである。百日咳は、呼吸器系の重篤な感染であり、かつては、米国で毎年5,000〜10,000名もの人々が死亡する原因であった。百日咳ワクチンの出現以来、百日咳に関連した死亡者数は一年に20名未満に減少した。現在では、全ての百日咳感染のうち約50%が1歳未満の子供で生じ、そして15歳を超える子供では、わずか15%に生じるにすぎない。Kids Health.org(2000年3月23日閲覧)〈http://kidshealth.org/parent/common/whooping_cough.html〉。
【0005】
PTは、百日咳に対するワクチンにおいて主要な防御抗原である。B.pertussisにより生成される目的の他の成分は、繊維性血球凝集素、熱不安定性毒素、アデニレートシクラーゼなどであり、これらはまた、防御抗原として重要な役割を果たし得る。診断試薬または化学的試薬として、およびワクチンの調製において有用なこれらの成分の大規模生成は、微生物の大規模培養を要する。しかし、B.pertussisは、大規模醗酵槽で増殖させることが困難であることが証明されている培養しにくい微生物である。B.pertussisの培養のための古来からの方法は、静置培養における培養または醗酵槽における培養を用いる。静置培養における増殖は、労働集約的である一方、醗酵規模での培養は、ボルテックスによる攪拌および表面通気を要する。結果として、醗酵槽の有効容積は、減少され、そしてB.pertusisの増殖のための醗酵槽の改変がしばしば必要である。さらに、これらの条件下での醗酵の間に生成されるPTの量は、変動性であり、しばしば低い。
【0006】
米国特許第5,338,670号は、鉄イオン(すなわち、硫酸鉄)の存在下でB.pertusisを生成するための方法を開示する。高い鉄含有量により、より高い細菌増殖が支持される一方で、PTの生成は抑制される。改変Stainer−Scholte培地の鉄含有量を推奨される濃度の10%に調節することにより、PTの生成は最適化された。
【0007】
本発明は、以下によりB.pertusisから得られるPTの収率を改善することを試みる:(1)硫酸(SO4 2−)を排除する(sequester)増殖培地に可溶性塩を導入すること、および/または(2)B.pertusisシステインデスルフィナーゼノックアウト変異体を用いること。
【0008】
(発明の要旨)
本発明は、培養培地中に細菌毒素発現インヒビターが蓄積し、そのために有意に毒素生成を減少させるという発見に基づく。さらに、本発明は、毒素発現インヒビターの抑制または排除が、毒素発現を有意に上方調節し得るという知見に基づく。本発明の非限定的例は、Bordetella sp.、具体的には、B.pertusisおよび/またはB.bronchiseptica(これらは、それぞれ百日咳毒素(PT)およびパータクチンを生成する)を用いることを開示する。しかし、より高い細菌毒素レベルが、本発明の教示(アデニレートシクラーゼ毒素である溶血素、および繊維性血球凝集素を含むが、これらに限定されない)を利用して、他の細菌培養系において達成され得ることが理解される。
【0009】
一般に、本発明は、細胞内および細胞外PTインヒビター蓄積を排除または減少する(これにより、有意なPT生成の増加を生じる)、B.pertusisを培養するために用いられる方法および組成物を開示することにより、例示される。
【0010】
本発明の1つの実施形態において、B.pertusis増殖を支持し、硫酸アニオンによりPT発現阻害を防止または減少する新規な培養培地を調製するための方法および組成物が開示される。これらの培地組成物および関連する方法としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:B.pertussis培養培地と、硫酸アニオンと実質的に不溶性の錯体を形成する、有効量の1以上の可溶性金属塩とを混合する工程。
【0011】
本発明の別の実施形態において、B.pertussisの増殖を支持する培養培地が提供され、この培地は、PTインヒビターと実質的に不溶性の錯体を形成するある量の1以上の可溶性塩を含み、ここで、この量は、PT発現の阻害を防止または減少する。具体的には、硫酸アニオンと実質的に不溶性の錯体を形成する可溶性塩が開示される。
【0012】
本発明の他の実施形態としては、PTインヒビターの蓄積に寄与する培地構成成分を制限または排除することによりPTインヒビターを減少する、B.pertussis培養培地、およびこの培地を作製し、用いるための方法が挙げられる。具体的には、本発明の1つの実施形態において、システイン濃度が低減される。
【0013】
本発明はまた、有意なPT生成の増加を生じる培養培地中でPTインヒビターの蓄積を排除または減少させる条件下でB.pertussisを培養する工程、およびこの培養培地からPTを単離する工程を包含する、PTを生成するための方法および組成物に関する。
【0014】
本発明のなお別の実施形態において、PT生成は、B.pertussisシステインデスルフィナーゼノックアウト変異体を用いて増強される。本発明の1つの実施形態において、B.pertussis培養培地中でB.pertussisシステインデスルフィナーゼノックアウト変異体を増殖する工程、およびこの培養培地からPTを単離する工程を包含する、PTを生成する方法が提供される。
【0015】
(発明の詳細な説明)
細菌感染の最も重篤な結果は、しばしば、宿主中の毒素発現から生じる。非限定的な例として、破傷風毒素を産生するClostridium tetani、C.botulinumによって産生される神経毒、偽膜性腸炎を引き起こす毒素を産生するC.difficile、胃腸炎および腸チフスを引き起こす腸毒素を産生するSalmonella typhi、敗血症性ショックを引き起こす毒素を発現し得るStaphylococcus aureus、および百日咳の要因となる毒素を産生するB.pertussisが挙げられる。他の毒素産生性の細菌属としては、エシェリキア属(Escherichia)、赤痢菌属(Shigella)およびビブリオ属(Vibrio)が挙げられるが、これらに限定されない。幸運にも、細菌毒素の最も重篤な効果を予防および/または軽減するワクチンが利用可能である。これらのワクチンは、主に、改変された細菌毒素、致死用量未満の精製毒素および/または全細胞ホモジネートから構成される。
【0016】
Bordetella pertussis(百日咳菌)ワクチンは、ワクチンレシピエントにおける百日咳の予防に特に効果的であることがわかっている。百日咳毒素(PT)を単独またはB.pertussisの他の抗原と組み合わせて含む、非細胞百日咳(acellular pertussis)(AP)ワクチンは、百日咳感染の予防に非常に効果的であることが見出されている。しかし、PTおよび他の百日咳抗原の多くは微量で発現されるので、収率を最大にするために培養条件を最適化することが重要である。標準的なStainer−Scholte(SS)培地を使用して、バッチ醗酵途中での百日咳毒素/光学濃度(PT/OD650)の比の減少が観察された。この現象が基質利用能または負のフィードバック阻害の欠如に起因するか否かを決定するために、研究を行って、使用済み培地がPT発現についての阻害性因子を含むか否かを決定し、そしてこれらの因子を同定した。培養上清サンプルを、醗酵の種々の段階から採取し、そして基本塩を欠くSS培地成分を再供給した。これらのサンプルを使用して第2の培養を開始し、そしてPT/OD650比を、新鮮なSS培地と比較して測定した。未処理の使用済み培地および3,000kDaより小さい分子を含有するこの培地の画分の両方が、PTの産生を阻害した。Bordet−Gengou寒天(BGA)上での交差画線実験は、新鮮に画線した細菌における溶血活性のインヒビターの産生を確認した。クーマシー染色したゲルは、全細胞タンパク質プロフィールが、新鮮な培地と比較して、その画分培地において有意に異なることを示し、これは、阻害性因子が2成分の調節系に影響を及ぼしていることを示唆する。これらの阻害性化合物をさらに同定するために、B.pertussisの中間代謝物の完全なフラックス分析(使用済み培地のHPLCおよびこれらの経路中の重要な酵素によるアミノ酸および有機酸分析を含む)を行った。硫黄含有アミノ酸(メチオニン)およびピルビン酸が、増殖の後期対数期中に蓄積する(200mg/Lまで)ことが見出された。LC−MSによる全ての上清画分の試験は、システイン消費のための経路がスルフェートの形成を導くことを示唆する。次いで、これは、PT発現の負のフィードバックインヒビターとして作用した。
【0017】
スルフェートは、B.pertussisにおけるPT発現のインヒビターとして作用するので、醗酵が進行するにつれて細胞内および細胞外のスルフェート蓄積を減少または排除するための方法を開発した。本発明の1つの実施形態において、これらの方法は、スルフェートと実質的に不溶性の錯体を形成する有効量の可溶性塩の添加を包含する。このような可溶性塩としては、アルカリ土類金属または他の塩(PbおよびAg)が挙げられる。本発明の好ましい塩は、アルカリ土類金属塩である、より好ましい塩は、ハロゲン化Ba(II)塩である。最も好ましいハロゲン化Ba(II)塩は、BaC12またはBaBr2である。
【0018】
塩化バリウムは、B.pertussisによって産生されたPTの量の増加の促進において効果的であることが示されている。ATCC9797またはCS87 B.pertussis株をBaCl2の存在下で培養した場合に、PT収率における1OD単位あたりの10倍の増加が観察された。このケースにおいて、BaCl2の非存在下でのPTの量は、20mM BaCl2を用いた場合に0.525μg/mL/OD650であるのに対して、0.05μg/mL/OD650であった。「有効量」の塩は、醗酵を塩の非存在下で行った場合と比較して、醗酵中のスルフェートによるPT発現の阻害を防止または減少する量を意味する。
【0019】
スルフェート錯体の可溶性は、溶解度積(Ksp)によって規定される。スルフェート錯体は、Kspが25℃で1×10−5以下である場合に、「実質的に不溶性」であると規定される。好ましくは、Kspは、25℃で1×10−7〜1×10−10である。最も好ましくは、Kspは、25℃で1×10−8〜1×10−10である。選択されたスルフェート錯体についての上述の範囲内ある溶解度積を、表1に示す。
【0020】
表1:選択されたスルフェート錯体についてのKsp値
【0021】
【表1】
aCRC Handbook of Chemistry and Physics−第65版、Weast(編)、B−220頁(1984)。
【0022】
表1に示されるスルフェート錯体は例であることが意味され、それ自体が、本発明の範囲を制限することを意味しない。さらに、スルフェート錯体が、必ずしも増殖培地中に完全に不溶性ではないことに留意すべきである。スルフェート錯体は、単に、スルフェートによるPT発現の阻害を防止または減少するのに十分に不溶性でなければならない。
【0023】
本発明の塩は、B.pertussisの培養が開始される前または後で培地に添加され得る。あるいは、塩は、培地の調製に使用する水の添加の前または後であるが、B.pertussis細胞の導入の前に、培地の他の成分と共に混合され得る。
【0024】
醗酵中に産生されるPTの量の増加を促進するために本発明において使用され得る塩の量は、約0.05mM〜約50mM、より好ましくは、約10mM〜約30mM、もっともの好ましくは、約20mMであり得る。通常には、約10mM〜約20mMの塩が、スルフェートによるPT発現の阻害を防止または減少するために効果的である。当業者は、単なる慣用的な実験によって、任意の特定のB.pertussis株におけるPT発現の阻害を効果的に防止または減少する最適な量の塩を決定し得る。
【0025】
別の実施形態において、本発明者らは、毒素インヒビター前駆体の培地濃度を調節することが、細胞内および細胞外の両方の毒素インヒビターの濃度を減少し得ることを決定した。例えば、限定することを意図しないが、本発明者らは、PTインヒビター(スルファイトおよびスルフェートを含むが、これらに限定されない)が、システイン代謝の最終生成物として産生されることを決定した。要するに、Bordetellaは、酵素システインデスルフィナーゼを含む経路を介して、硫黄含有アミノ酸であるシステインを代謝する。システイン代謝の間に、スルフヒラル(sulfhyral)基が、システイン分子から酵素的に切断される。このスルフヒラル基は、スルファイトおよびスルフェートにさらに代謝され、これらが、細菌細胞内および細胞外環境内に蓄積する。結果として、システインの存在下でBordetellaを長く増殖させるほど、細胞内および細胞外スルフェート濃度は高くなり、そしてPT産生は減少する。
【0026】
開始培養培地システイン濃度と最終スルフェート濃度との間の関係に基づいて、本発明者らは、開始システイン濃度を減少することが、細胞内および細胞外のスルフェート蓄積の減少を生じ、結果としてPT阻害の減少を生じるという、非限定的な理論を展開した。スルフェート濃度に対するシステイン濃度の変化の効果を評価するために、本発明者らは、3つの異なる培養系を開発し、これらは、以下の略語を用いて識別される:LCMSSB、LCMSSFB、LCMSSBa。LCMSSB(制限システイン改変Stainer−Scholteバッチ)培養系は、以下の表2に示される培地を使用してバッチ様式で増殖されるB.pertussisからなった。手短に言うと、「バッチ様式」は、微生物が、有意な量の使用済み(すなわち、使用した)培養培地の補充または交換を伴わずに、単一の培養培地(通常、液体または半液体)中で培養されるプロセスである。本発明において、バッチ様式培養物(LCMSSB)を、当業者に公知の手順を使用して600nmで分光光度的に測定した場合に、細菌の光学濃度が1.0より高い吸光度に到達するまで、約35℃〜37℃で好気的にインキュベートした。第2の培養系LCMSSFB(制限システイン改変Stainer−Scholte供給バッチ)は、表3に開示される培養培地を使用して維持した。システインは、この基底培地には添加されなかったことに留意する。代わりに、L−システインを、インキュベーション期間全体にわたって20mg/時間の速度で添加した。最後の培養系は、LCMSSBa(制限システイン改変Stainer−Scholteバッチ+BaCl2)と称され、これは、表2に示される基礎培地を使用した。
【0027】
3つ全ての培養系を播種し、そして以下のように維持した:Bordetella培養物を、AFS Biocommand v2.0(New Brunswick Scientific,Edison NJ)に連結した20リットルバイオリアクター(New Brunswick BioFlo IV(登録商標)(New Brunswick Scientific,Edison NJ))中、約35℃〜37℃でインキュベートした。このAFS Biocommand v2.0は、pH、攪拌、溶存酸素、温度、およびエアーフロー速度についてのデータを収集した。消泡剤およびpH制御剤のためのさらなるポンプを、必要な場合に追加し、これは、当業者に公知である。エアーフローを4.0リットル/分に調整し、溶存酸素を40%に維持し、そしてpHを約7.2に維持した。
【0028】
各20リットルバイオリアクターは、11リットルの試験培地を含み、そして1リットルの活発に増殖している細菌開始培養物を播種した。この活発に増殖している開始培養物は、1リットルのStainer Scholte(SS)培地(この処方は、表5および6に示される)を含む振盪フラスコに凍結シードを播種して調製し、そして1.0 より高いOD600の光学濃度に到達するまで(約20〜24時間)インキュベートした。
【0029】
播種した醗酵槽を、3〜6時間間隔でサンプリングし、そして遠心分離を使用して培養上清と細胞ペレットに分けた。培養上清を、PT、スルフェート、有機酸、アミノ酸および細菌密度についてアッセイした。細菌細胞ペレットを、内部のスルフェートおよびPT濃度について分析した。各培養系は、培養物の細菌集団の密度が、約1.0を超える吸光度単位に到達したときに(播種後約12時間)、特定の補充を受けた。LCMSSBおよびLCMSSBaの両方は、10.0mg/LのFeSO4・7H2Oおよび5.0g/Lのグルタミン酸ナトリウム(FeSO4/グルタミン酸補充)に加えて、以下の表4に記載の200mLのアミノ酸補充を受けた。LCMSSBa培養物はまた、20nMのBaCl2の最終培養培地濃度を得るのに十分な1mMのBaCl2を受け;LCMSSFB培養物は、システインを除くさらなるアミノ酸と共にFeSO4/グルタミン酸補充を受け、BaCl2は受けなかった。補充後、醗酵槽を、実験を終了する直前まで培養した。
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】
【表4】
3つ全ての還元システイン培養系(LCMSSB、LCMSSFB、およびLCMSSBa)を、当該分野で公知のシステイン濃度を有する従来のSS培地と並行して試験した。Bortdetella細菌およびPT濃度を、図8Aおよび8Bにグラフ表示する。最大のBordetella細胞濃度は約32時間で到達することが、図8Aから理解され得る。最大の増殖は、通常のPT産生培地をバッチ様式での改変SSと比較した場合に、ほぼ同じであった。図8Bは、培養培地の最大のPT産生(mg/ml)を示す。全体的なPT産生における有意な改善が、従来の培養系と比較した場合、本発明のシステイン制限培養系のいずれかを使用して現実化されることが容易に明らかである。さらに、図9は、制限システイン条件下での20リットル醗酵槽中のB.pertussis細胞における内部および外部のスルフェート濃度を示す。LCMSSBa培養系は、全体的なPT産生における最良の改善を示した。従って、本発明者らによって理論付けられたように、PT産生は、培養培地中のインヒビター前駆体の量を制限することによって有意に改善され得る。さらに、よりさらなる改変が、本発明の前駆体制限培養系を本発明の毒素発現インヒビター除去系と組み合わせた場合に現実化され得る。
【0033】
本発明者らは、以下を実証した:1)毒素産生細菌の培地中に蓄積する特定の毒素発現インヒビターが、全体的な毒素産生を有意に減少し得る;および2)培養培地からの毒素発現インヒビターの除去、または培養培地中のインヒビター前駆体を減少することによる毒素インヒビター形成の減少が、全体的な毒素産生を有意に増加し得る。従って、本発明者らは、毒素発現インヒビターを産生する毒素産生生物の能力を遺伝的に不能化することが、全体的な毒素産生における同様の増加を生じ得ると理論付けた。結果として、本発明のなお別の実施形態において、培養中にスルフェートを産生せず、従って、PT発現の阻害を示さない、システインデスルフィナーゼ活性を欠失する組換えB.pertussis(「ノックアウト変異体」)を提供する。このようなノックアウト変異体は、多くの異なる方法のいずれかによって調製され得る。例えば、米国特許第5,557,032号および同第5,614,396号を参照のこと。このような方法は、一般に、B.pertussis染色体DNAとのDNA構築物の相同組換えを含む。相同組換えは、十分に研究されており、これは、各々の最初に存在する分子の一方の領域が他方の分子の領域に連結されるような、同じかまたは実質的に類似(すなわち、相同な)の配列を有する2つの核酸分子の切断およびその2つの分子の連結を生じる、天然の細胞プロセスである(Sedivy,J.M.BioTechnol.6:1192−1196(1988)を参照のこと)。従って、相同組換えは、細胞が、DNAの「領域」をあるDNA分子から別のDNA分子に移入し得る、配列特異的プロセスである。相同組換えが2つのDNA分子間で生じるために、これらの分子は、互いに「相同な領域」を保持しなければならない。このような相同な領域は、少なくとも2塩基対長でなければならない。2つのDNA分子は、一方が、相同組換えを生じ得るように第2の分子中の領域に類似する配列の領域を含む場合に、相同な領域を保持する。特定の領域に2つの相同な領域が隣接する場合、ついで、2つの組換え事象が生じ得、これが、その2つの組換え分子間での領域の交換を生じる。相同組換えは、B.pertussis中に天然に存在する酵素によって触媒される。
【0034】
1つのこのような方法において、例えば、プラスミドに含まれるシステインデスルフィナーゼをコードする遺伝子(図7)を、その遺伝子内を切断するように選択された制限酵素で切断し、その結果、マーカー遺伝子をコードする新しいDNA配列が、システインデスルフィナーゼ遺伝子配列内に挿入され得る。このマーカー遺伝子は、システインデスルフィナーゼ遺伝子の発現を妨げるように作用する。マーカー遺伝子は、検出可能および/またはアッセイ可能である任意の核酸配列であり得るが、好ましい実施形態において、これは、抗生物質耐性遺伝子である。マーカー遺伝子は、それ自身のプロモーター、またはB.pertussisにおいて活性であるかまたは容易に活性化され得る、任意の供給源由来の別の強力なプロモーターに作動可能に連結される。別の実施形態において、マーカー遺伝子は、システインデスルフィナーゼ遺伝子のプロモーターを使用して転写され得る。このマーカー遺伝子は、転写を終結するために、その遺伝子の3’末端にポリA配列が結合され得る。好ましいマーカー遺伝子としては、任意の抗生物質耐性遺伝子(例えば、ermC’(エリスロマイシン耐性遺伝子)、neo(ネオマイシン耐性遺伝子)、amp(アンピシリン耐性遺伝子)、kan(カナマイシン耐性遺伝子)、およびgent(ゲンタマイシン耐性遺伝子))が挙げられる。
【0035】
DNA配列を適切な制限酵素(例えば、SplIおよびSphIまたはPstIおよびPvoI)で消化した後、当業者に公知であり、例えば、Sambrookら(Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.(1989))に開示される方法を使用して、マーカー遺伝子配列を、システインデスルフィナーゼDNA配列に連結する。連結されるDNAフラグメントの末端は適合性でなければならず;これは、全てのフラグメントを適合性の末端を生じる酵素で切断するか、または連結前に末端を平滑化するかのいずれかによって達成される。平滑化は、当業者に周知の方法を使用して、例えば、クレノウフラグメント(DNAポリメラーゼI)または付着末端を充填するための他のDNAポリメラーゼの使用によって行われる。この構築物は、システインデスルフィナーゼ遺伝子の規定の領域に対応する(例えば、システインデスルフィナーゼ遺伝子の3’末端および5’末端に対応する)DNA配列を含み、これが、相同組換えによる構築物の組み込みを可能にする。このDNA構築物は、第2の抗生物質耐性遺伝子を有するプラスミドに連結され得る。
【0036】
次いで、構築物を、周知の方法を使用して(例えば、エレクトロポレーションまたはトランスフェクトしたE.coli細胞との接合によって)B.pertussisへトランスフェクトされ得る。細胞のスクリーニングは、存在する抗生物質耐性遺伝子に対応する1以上の抗生物質の致死濃度の存在下で細胞を培養することによって達成される。生存する細胞は、その中にノックアウト構築物が組み込まれている。選択された細胞がその中にプラスミド構築物を有さないように、非複製プラスミドを使用し得る。ノックアウト構築物の組み込みを確かめるために、B.pertussis DNAのサザンブロットに、マーカー配列にのみおよび/または除去されたシステインデスルフィナーゼの部分にのみハイブリダイズするように設計された配列をプローブし得る。あるいは、またはさらに、DNAは、システインデスルフィナーゼ遺伝子の3’末端および5’末端に対応するプローブを用いるPCRによって増幅され得る。最後に、システインデスルフィナーゼ活性をアッセイし得る。
【0037】
別の実施形態において、B.pertussisは、システインデスルフィナーゼ遺伝子のコード配列に対してアンチセンスであるヌクレオチド配列の存在下で培養され得る。この実施形態において、ヌクレオチド配列は、B.pertussisによって取り込まれ、システインデスルフィナーゼコード遺伝子にハイブリダイズし、そしてこの遺伝子の翻訳を阻害する。遺伝子の塩基と相互作用して、共有結合を形成しそれによって翻訳を阻害する、改変されたヌクレオチド配列もまた使用され得る。米国特許第6,015,676号を参照のこと。
【0038】
システインデスルフィナーゼ遺伝子に対してアンチセンスであるヌクレオチドの例としては、少なくとも8塩基、好ましくは、10〜15塩基の任意のヌクレオチドが挙げられ、これらは、図7のコード領域に相補的である。例としては、以下が挙げられる:
GATTGCTGAT(配列番号1)
TAGATGGGGC(配列番号2)
本発明において、種々の培地が、B.pertussisを培養するために使用され得る。非限定的で例示的な培地としては、Stainer ScholteおよびGMAR改変培地が挙げられる。Stainer ScholteおよびGMAR改変培地の成分を、それぞれ、表2および3に示す。
【0039】
【表5】
【0040】
【表6】
本発明の方法によって産生されたPT毒素は、Sekuraら、J.Biol.Chem.258:14647−14651(1983)によって記載の方法に従って精製され得る。手短に言うと、Sekuraの方法は、2つの連続的なクロマトグラフィー工程を使用してPTを精製する。第1の工程は、Affi−ゲルブルーカラムでのクロマトグラフィーを含む。第2の工程は、フェツイン−アガロースカラムでのクロマトグラフィーを含む。SekuraらのPT精製方法は、比較的大量(10mgを超える)のPTの慣用的かつ迅速な精製を可能にする。あるいは、PTは、ペプチドアフィニティーカラムを使用して精製され得る。このようなカラムを、以下の実施例1において記載する。この実施形態において、PTを、カラムに吸着させ、緩衝液(例えば、50mM TRIS HCl、pH=6.2)で洗浄し、次いで、PTを、4MのMgCl2で溶出する。このMgCl2は、透析によって除去され、実質的に純粋なPTを得る。
【0041】
ここでは、本発明を一般的に記載してきたが、本発明は以下の実施例を参照することによって理解される。これらの実施例は、例示目的でのみ本明細書中に提供され、他に特定化されない限り限定することが意図されない。
【0042】
(実施例1)
(材料および方法)
生物:野生型B.pertussis株CS87を、これらの研究のほとんどで用いた。この株は中国を起源とし、国立衛生研究所(National Institutes of Health)(NIH)の国立小児保健発育研究所(National Institute of Child Health and Human Development)(NICHD)に渡された。さらに、BPのいくつかの株が、アメリカンタイプカルチャーコレクション(Manassas,VA)から得られ、これらには、ATCCC番号10380が挙げられるが、これに限定されない。これらの両方は、本明細書中に開示されたシステインデスルフィナーゼノックアウトを調製するために適切である。生物は、−70℃で保存するか、または37℃での維持される加湿インキュベーター中のBGA(BBL,Inc,Rockville,MD)で維持する。
【0043】
細胞を培養するために用いた培地は、StainerおよびScholte.J.Gen.Microbiol.63:211−220(1970)に記載される規定培地に類似した。この1リットルの培地は、以下を含んだ:10.7g グルタミン酸ナトリウム、0.24g プロリン、2.5g NaCl、0.5g KH2PO4、0.2g KCl、0.1g MgCl2・6H2O、20mg CaCl2・2H2O、1.52g Tris、20mg アスコルビン酸、100mg グルタチオン、40mg システイン、および4mg ナイアシン。これらの塩、グルタミン酸およびプロリンを、基底処方物として調製し、そして滅菌のためにオートクレーブした。培地の残りの物(補充物)は、濃縮形態(100倍)で調製し、そしてフィルター滅菌した。培地の最終pHは、7.2〜7.5であった。いくつかの実験において、10mg/mLのFeSO4・7H2Oを添加した。生物を、37℃に維持したNew Brunswick Innova Model 4300振盪インキュベーター(New Brunswick Scientific,Edison,NJ)中の3連のバッフルしたErlenmeyerフラスコ、または12Lの作動容量を有するバッチ様式で作動するNew Brunswick 20L BioFlo IV(New Brunswick Scientific)のいずれかにおいて増殖させた。リアクタを、AFS Bio Command v2.0(New Brunswick Scientific)(これは、pH、攪拌、溶存酸素、温度、およびエアーフロー速度についてのデータを収集した)および消泡剤およびpH制御剤のためのさらなるポンプに連結した。全ての実験において、醗酵槽のエアーフロー速度を0.125vvmに設定し、温度を36.5℃で制御した。溶存酸素(DO)を、150〜1000RPMの振盪カスケードを使用することによって40%で維持した。pHを、50% H3PO4の添加によって7.2に制御した。
【0044】
リアクタに、約11Lの規定培地を量り分け、そして活発に増殖しているシード(1L)を播種して、12Lの総作動容量にした。サンプルを、3〜6時間毎に再滅菌サンプルポートから採取した。細胞外代謝物の分析のために、上清を、0.2μm Millex−GVフィルター(Millipore Co.,Bedford,MA)に通して濾過し、そして−20℃で保存した。
【0045】
培養物の増殖を、Shimadzu UV Spec 120(Shimadzu,Columbia,MD)を使用して650nmの光学濃度(OD650)によって測定した。培養物の純度を、グラム染色ならびにBGA(BBL,Inc.Rockville,MD)およびトリプシカーゼ(trypticase)ダイズ寒天(TSA;BBL,Inc.)上でのプレーティングによって確かめた。B.pertussisの純粋培養物は、全ての生物が、グラム陰性染色し、BGA寒天で増殖し、そしてTSA寒天で増殖しないことを示す。
【0046】
アミノ酸分析:アミノ酸の分析および定量を、AminoQuantカラム(Hewlett−Parckard Co.,Wilmington,DE)について提供されるように、オンラインプレカラム誘導体化を使用して、逆相高圧液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)によって行った。一次アミノ酸を、OPA試薬(0.4Mホウ酸緩衝液中の10mg/ml o−フタルアルデヒド、10mg/ml 3−メルカプトプロピオン酸)によって誘導体化し、一方、二次アミノ酸を、FMOC試薬(アセトニトリル中の2.5mg/ml 9−フルオレニルメチルクロロホルメート)によって誘導体化した。一次アミノ酸について、移動相は、酢酸ナトリウム/エタノールアミン/テトラヒドロフラン(pH 7.2±0.05)からなり、338nmで検出した。二次アミノ酸は、酢酸ナトリウム/エタノール/アセトニトリル移動相(pH 7.2±0.05)を使用して溶出し、262nmで検出した。各アミノ酸の同定を、異なる濃度(100、250および1000pmol/μl)のアミノ酸標準(Hewlett−Packard)のセットを用いて行った。HPLC Model HP−1050(Hewlett−Packard)を、HP ChemStationソフトウェア(Hewlett−Pacard,v2.0)と連結して、これらの分析に使用した。
【0047】
有機酸の検出および定量:有機酸を、HP ChemStation v2.0ソフトウェアを連動し、4mM H2SO4の移動気相を有するBioRad Aminex HPX−87Hカラム(Bio−Rad Laboratories,Burlingame,CA)を備えた、Model HP−1050(Hewlett−Packard)を使用して検出した。カラムを35℃で平衡化し、そして平衡(isocratic)流速は6ml/分であった。検出を、215nmで行った。各有機酸の同定を、Bio−Rad Organic Acid Analysis Standard(Bio−Rad Laboratories)(これは、シュウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、マレイン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、ギ酸ナトリウムおよび酢酸ナトリウムの混合物からなる)を注入することによって達成した。ピルビン酸を、この有機酸標準に2.5g/mlのピルビン酸を添加することによって評価した。
【0048】
各有機酸を、以下の酵素キットを使用して、そして以下の製造業者推奨のプロトコルに従って定量した:クエン酸、Boehringer−Mannheimキット139−076(Boehringer−Mannheim,Indianapolis,IN);コハク酸、Boehringer−Mannheimキット176−281(Boehringer−Mannheim,Indianapolis,IN);ギ酸、Boehringer−Mannheimキット979−732(Boehringer−Mannheim,Indianapolis,IN);酢酸、Boehringer−Mannheimキット148−261(Boehringer−Mannheim,Indianapolis,IN);シュウ酸、Boehringer−Mannheimキット755−699(Boehringer−Mannheim,Indianapolis,IN);およびピルビン酸、Sigmaキット726−UV(Sigma Chemicals Co,St.Louis,MO)。
【0049】
定量的PT ELISAアッセイ:マイクロタイタープレート(Nunc−Immuno Plate IIF,Vangard International、Neptune、NJ)を、1ウェルあたり0.1mlのフェチン(Sigma Chemical Co.)(0.1M炭酸ナトリウム中0.2μg/ml(pH9.6))を添加することにより感作し、そして室温で一晩インキュベートした。このプレートを、0.9% NaCl、0.05% Brij 35、10mM酢酸ナトリウム(pH7.0)および0.02%アジドを含む溶液を用いて5回洗浄した。PTを含むサンプルを、0.5% Brij35を含むPBS中で希釈し、そしてプレートに添加し、そして室温で2時間インキュベートした。このプレートを、再度、上記のように洗浄し、そしてPT(20.6)に対するモノクローナル抗体をPBSを用いて希釈した。Ibsenら、Infect.Immun.61:2408−2418(1993)。このプレートを再度洗浄し、そして二次抗体(アルカリホスファターゼ結合体化ヤギ抗マウスIgGおよびIgM(Tago Inc.,Burlingame,CA)を、PBS−Brij中に希釈した)を、このプレートに添加し、次いで、室温で2時間インキュベートした。このプレートを、上記のように洗浄し、そしてp−ニトロフェノールホスフェート(Sigmaホスファターゼ基質104)(1mg/ml(0.1M ジエタノールアミン、1mM MgCl2、0.1mM ZnCl2、および0.02%アジド(pH9.8)の溶液中))を添加した。このプレートを37℃にて1時間インキュベートし、そして405nmでの吸収をDynex Model MRXマイクロタイタープレートリーダー(Dynex Technologies,Inc.,Chantilly,VA)を用いて決定した。各プレートについて、検量線を、PBS中の0.1%BSAおよび0.1%グリセロール中に希釈した、精製したPT(North American Vaccine,Inc.)を用いて作成した。培養サンプルからのPTの濃度を、検量線から計算した。
【0050】
スルフェート定量:培地内のスルフェート濃度を、Melnicoffらの方法を用いて定量した。このアッセイをマイクロプレートアッセイに適用した。Melnicoffら、Res.Commun.Chem.Pathol.Pharmacol.14:377−386(1976)。
【0051】
B.pertussis nifS様遺伝子のクローニング:nifS様遺伝子を含むDNAフラグメントを、Perkin−Elmer Thermal Cycler 480により増幅した。反応混合物(50μl)は、以下を含んだ:20ngの精製B.pertussis染色体DNA、0.2μMの各プライマー(正方向プライマー:5’ATG AGC AAT CGC CCC ATC TAC3’(配列番号3);逆方向プライマー:5’CAC TAT TTG GTC GGT CGG3’(配列番号4))、2mM MgCl2、10mM Tris−HCl(pH8.3)、50mM KCl、400μMの各dNTP、および2.5ユニットのAmpliTaq Gold(Perkin Elmer,Branchburg,NJ)。条件は以下である:第1のサイクル、94℃で2分;次いで、94℃(2分)、42℃(1分)、および72℃(2分)で35サイクル;そして最後に8分間の72℃のインキュベーション。PCR産物を、1%アガロースゲル中でゲル精製し、そしてpCR(登録商標)II−TOPO(Invitrogen,Calsbad,CA)中にpBPfilSを製造する製造業者により勧められる条件を用いて連結した。プラスミドpBPfilSを、E.coli株TOPF’(Invitrogen)中へ形質転換し、そして形質転換体を、LB−amp寒天培地において選択した。配列決定を、Applied Biosystems PRISM Model 310自動シークエンサー(Applied Biosystems,Inc.,Foster City,CA)を用いて、製造業者の指示書および配列決定キットを用いて行った。
【0052】
BPfilS様遺伝子中にヌル変異を含むB.pertussis株の構築:本発明の教示に従って作製したpBPfilSプラスミドを、SplIおよびSphIを用いて切断し、DNAポリメラーゼ(Boehringer Mannheim)のクレノウフラグメントを用いて末端を平滑末端化した。切断プラスミドを、ゲル精製し、そして平滑末端化エリスロマイシン耐性遺伝子(ermC’)またはルシフェラーゼを、プラスミド構築物中へ連結した。Klugmanら、Infect.Immun.57:2066−2071(1989)。DH5の形質転換体は、1mlあたり100μgのエリスロマイシンに対する耐性を有することを確認した。構築したプラスミドを、Qiagenカラム(Qiagen Inc.,Valencia、CA)を用いて再単離し、そして変異した挿入物を、BamHIおよびXhoIを用いてプラスミドを切断することにより単離した。この挿入物をゲル精製し、そしてプラスミドpSS1129のBamHI部位およびXhoI部位へと連結してpBRΔfilSを作製した。Stibitz,J.Bacteriol.180:2484−2492(1998)。これをE.coli株SM10中へ形質転換し、そしてこの形質転換体を用いてStibitzにより記載されるようにB.pertussis株BP536と結合した。「Use of Conditionally Counterselectable Suicide Vectors for Allelic Exchange」,Bacterial Pathogenesis,ClarkおよびBavoil(編)301−308頁(1997)。染色体内にヌルBpfilS遺伝子を含むB.pertussis単離物を、BGA寒天上で、ゲンタマイシン耐性、ストレプトマイシン耐性、および/またはエリスロマイシン耐性、あるいはルシフェラーゼ活性について選択した。
【0053】
その他:すべての物質を、Sigma Chemical Co.から購入し、そして/またはこれらは、入手可能な最高グレードであった。総タンパク質を、Coomassie Protein Assay(登録商標)(Pierce Chemical Co.,Rockford,IL)により定量した。ヒトIgGをスタンダードとして使用した。形質転換実験に用いられるBordetella pertussisのBP536株(BP338株の自発的ストレプトマイシン耐性変異体)(Stibitz,SおよびM−S.Yang.1991.J.Bact.173:4288−4296)を、Center for Biological Research and Evaluation,United States Food and Drug AdministrationのScott Stibitz博士から得た。これらに由来する形質転換されたB.pertussisノックアウト変異体を、BP536pWY株と命名し、そしてブタペスト条約に基づいて、American Type Culture Collection,(Manassas,VA)に寄託した。American Type Culture Collectionは、B.pertussis株BP536pWYに、ATCC番号PTA−3254を割り当てた。用いられる全ての方法は、当業者に全て周知である。例えば、Method in Molecular Biology、XX巻、B.D.ShepardおよびM.S.Gilmore(編)(1995);DNA Sequencing,L.Alphey.Bios Scientific Publishers(1997);Diagnostic and Molecular Microbiology:Principles and Applications,D.H.Persing,T.F.Smith,F.C.TenoverおよびT.J.White(編)(1993)American Society for Microbiology;Molecular Biology,D.Freifelder(編)(1987)JonesおよびBartlett Publishers;およびMolecular Biology of the Gene,J.D.Watson,N.H.Hopkins,J.W.Roberts,J.A.SteizおよびA.M.Weiner(編)(1987)The Bengerman/Cummings Publishing Company,Inc.を参照のこと。
【0054】
(結果)
BPのブロス培養におけるPT産生のインヒビターの検出:サンプルをBP培養の増殖期の間の様々な時間で得た。このサンプルを、OD650を測定することによりBP増殖についておよびELISAによりPTの産生についてモニターした。結果を1ml/OD650あたりのPTのμgとして計算して、1細胞あたり産生されたPTの量を概算した。図1に示されるように、1細胞あたり産生されたPTの量は、増殖サイクルを通じて中間で大幅に減少した。B.pertussisは、対数増殖を続けたが、PTの産生は、殆どPT産生の全面的な排除まで減少するようであった。このことは、PT産生のインヒビターは、培養の初期の間に生成され、そして阻害濃度に達した後、PT産生を終えることを示唆した。この仮説を試験するために、静止期まで増殖したB.pertussis培養物由来の培養上清を凍結乾燥し、そして塩基性塩を欠く増殖培地を用いて再構築した。次いで、この混合物を用いて、B.pertussisの2代目の培養物を増殖し、B.pertussisに用いられる本来の培地と比較した。サンプルを得て、そして上記のようにアッセイした。2つの培地の各々におけるB.pertussisの増殖は類似し、ほぼ同じレベルに達するOD650を有する。しかし、再構築した混合物において産生したPTの総量は、本来の培地の量と比較して大幅に減少した。このような阻害、およびこのインヒビターはアデニル化シクラーゼの産生(血液寒天プレートに対する溶血の原因)もまた生じることのより視覚的実証を、図2に示す。B.pertussisの初期画線を、BGAプレート上に作製し、そして48時間増殖させた。次いで、第2の交叉画線を作製し、そして寒天プレートを、さらに48時間インキュベートした。非溶血の帯域は、初期増殖画線から放射状に延びることが考えられ得る。インヒビターの特徴付けは、使用済みの培養培地を3,000MWCOフィルターを通じて濾過し、浸透液および濾液の両方を保持することにより始めた。この両方を、上記のように、凍結乾燥および再構築した。図3は、GMAR培地と比較した場合のこれらの混合物におけるB.pertussis増殖の結果を示す。PTの産生は、浸透混合物により阻害された。このことは、このインヒビターが3,000より小さい分子量を有したことを示唆する。
【0055】
アミノ酸分析および有機酸分析:アミノ酸分析および有機酸分析の両方を代表的なB.pertussis培養の過程の間の様々な時間で得たサンプルに対して行い、これらの化合物の増加および/または増加のタイミングが、PTの産生阻害のタイミングと相関するか否かを決定した。これらのデータを、図4aおよび4bに示す。PT産生の低下は、増殖期(代表的には20時間)のほぼ半分を過ぎて生じることに注目すべきである。3つの化合物(メチオニン、システイン、およびピルビン酸)が、出現し、そしてこの時間の周囲で濃度の上昇を続ける。メチオニンの増加が初めに生じ、次いでシステインおよびピルビン酸が出現するようである。多くの経路が、メチオニンからシステインへの代謝に関連する。しかし、わずかな経路が、システインからピルビン酸に生じる。3つのこのような経路は、Leninger,A.L.Biochemistry,Worth Publishers,441頁(1970)に示される。これらの3つの経路の各々において、システインのイオウ基が除去され、そしてピルビン酸が生成され、それによりこれらの化合物の各々の増加がお互いに、および培地内のイオウの増加と関連付けられる。
【0056】
B.pertussis培地中のイオウ産生:イオウの濃度を、培養サンプルのおのおのに対して決定し、そしてB.pertussis増殖(OD650)と時間とを比較した。図5は、図4のデータを作成するために用いたのと同じサンプルに対するこれらの実証の結果を示す。このデータは、似通った時間でメチオニン、システイン、そして最後にピルビン酸の濃度が増加する場合、イオウの産生の大きな増加が存在することを実証する。
【0057】
BaCl2の存在下でのB.pertussisの増殖およびPTの産生:イオウイオンは、ビルレント期から静止期までのB.pertussisのモジュレーターである。この調節は、タンパク質BvgSおよびBvgAにより調節される。BvgSおよびBvgAは、二成分調節分子(two component regulatory molecules)の大きなファミリーのメンバーである。これは、外来のイオウの添加が、PTを含むいくつかのビルレンス因子の産生をダウンレギュレートすることが長い間知られていた(WeissおよびHewlett,Ann.Rev.Microbiol.40:661−686(1986))が、この系と相互作用する化合物の同定は、未知のままであった。システイン異化またはB.pertussis増殖の過程の間の別の供給源由来のイオウの可能性のある生成が、PT産生に影響し得るか否かを決定するために、ある方法は、培養物からのイオウの影響を不活化するかまたは取り除くかのいずれかをしようとする。BaCl2の形態のバリウムは、水の中で非常に可溶性(1.8M(25℃)および2.8M(100℃))であるが、BaSO4は、非常に不溶性(10.7μM(25℃)および17.7μM(100℃))である。溶解度の差異を、しばしば用いて、さらなる測定のために溶液からイオウを沈殿させる。BaCl2の様々な濃度を、増殖培地に添加し、そして培地におけるB.pertussis増殖とPTの産生を比較した。これらのデータを図5に示す。両方の濃度でのBaCl2の添加は、正常な培地と比較した場合に、9797株においてより増加するにもかかわらず、両方のB.pertussis株において1細胞あたりのPTの産生を増加した。可視的な沈殿(おそらくBaSO4)が、培養の時間に渡り蓄積が見られることに注目すべきである。これらのデータは、培養物内のPTの負のフィードバックインヒビターが、イオウであることを示唆する。
【0058】
BPからのシステインスルフィネートデスルフィナーゼ遺伝子のクローニング:システインからのイオウの除去を引き起こす、可能な酵素の1つである、nifS様遺伝子は、E.coliからクローニングおよび特徴付けされた。Miharaら、J.Biol.Chem.272:22417−22424(1997)。この配列を使用して、相同性を、部分的B.pertussisゲノムデータベース中で探した。nifS遺伝子に対して高い相同性を示すオープンリーディングフレームを見出し、そして適切なPCRプライマーを合成した。適切なサイズのPCR産物を、B.pertussis染色体DNAを用いて産生し、TAクローニングベクターpCR(登録商標)II−TOPOへとクローニングし、そして当業者に公知の方法を用いて配列決定した(図7)。
【0059】
ペプチド合成および精製:配列GGGDGSFSGFGDGSFSGFG−OH(配列番号5)を含むペプチドをABI430Aペプチド合成機(Applied Biosystems,Foster City,CA)においてNMP−t−ブトキシカルボニル化学を用いてRockefeller University Protein Sequencing Facilityにより合成した。このペプチドを脱保護し、そしてアニソールの存在下でのHFを用いる処理(0℃/1時間)により樹脂から取り出した。このペプチドの予備精製を、C−18カラム(2.14ID×30cm)(Dynamax−Rainin,Woburn,MA)を用いて行った。このペプチドを、Waters Picotagシステム(Waters,Milford,MA)を用いるPTCアミノ酸分析により定量した。合成したペプチドを、総溶出プロフィールの95%を構成する主要ピークとしてC−18カラムから溶出する。精製ペプチドのアミノ酸組成は、ペプチドを合成するために用いられた配列と良好な一致を示した。
【0060】
ペプチドアフィニティーカラムの構築:Superose(登録商標)6Bを、Brandtら、Biochem.Biophys.Acta 386:196−202(1975)により記載される方法を用いて活性化した。簡単には、0.1M NaHPO4(pH8.0)中の50%ゲルスラリーのプレウォッシュSuperose(登録商標)6Bを、エタノール中の250mM p−ベンゾキノンの溶液を用いて処理して、20%エタノールおよび50mM p−ベンゾキノンの最終濃度を得た。懸濁液を、室温で1時間穏やかに攪拌した。次いで、活性化Superose(登録商標)6Bを、目の粗い焼結ガラス漏斗において、20%エタノール、脱イオン化H2O、1M NaClの各々を2容量用いて、広範に洗浄し、そして、もう一度、脱イオン化H2Oを用いて洗浄した。活性化Superose(登録商標)6Bを吸引して、コンパクトな固まりにし、そして0.1M NaHPO4(pH8.0)中の2mg/mlのペプチドを含む溶液の1容量を添加し、そしてこの混合物を4℃で24時間連続して回転させた。次いで、1.0Mのエタノールアミン(pH8.0)を添加し、そして回転を、室温で1時間続けた。次いで、このゲル混合物を、0.1M NaHPO4(pH7.0)中の脱イオン化H2O、1M NaClを用いて広範に洗浄した。最初のペプチド溶液およびカップリング工程の直後の上清のアリコートを保持し、そしてShimadzu UV Spec 120(Shimadzu,Columbia,MD)を用いてA280を測定して、Superose(登録商標)6Bへのペプチドの取り込みを決定した。
【0061】
上記の記載から、当業者は、本発明の本質的な特徴を容易に確認し得、そして本発明の精神と範囲から逸脱することなく、本発明の種々の変化および改変を過度の実験なしに種々の用途および条件に適用させ得る。全ての特許、特許出願、および本明細書中で引用する刊行物は、本明細書中に参考として援用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、醗酵時間の関数として生成したB.pertussisの増殖(OD 650)およびPTの量における変化([Ptx]/OD)を示すグラフ。
【図2】 図2は、血液寒天プレートの写真。
【図3】 図3は、コントロール培養物上清(Ctr.)、使用済み培養培地由来の3,000KDaより小さい(3Kより小さい)分子を含む培養培地、および使用済み培養培地由来の3,000KDaより大きい(3Kより大きい)分子を含む培養培地中のB.pertussisの増殖(OD 650)およびPTの量(Ptx濃度)における変化を示す棒グラフ。
【図4A】 図4Aは、醗酵中のアミノ酸プロフィールを示す、醗酵時間 対 アスパラギン酸、トレオニン、システインおよびリジン濃度(mg/L)ならびにアルギニン、メチオニンおよびプロリン濃度(mg/L)のグラフ。
【図4B】 図4Bは、醗酵時間の関数として有機酸濃度の変化を示す、時間(時間) 対 面積(mAU 秒)のグラフ。
【図5】 図5は、種々の培養時間でのスルフェート濃度(μg/mL)を示す棒グラフ。
【図6】 図6は、2つのB.pertussis株(株1=CS−87、株2=ATCC9797)についての産生されたPTの量(μg/ml/OD650)に対するBaCl2の濃度(mM)の増加の効果を示すグラフ。
【図7】 図7は、The Sanger Centre DNAデータベースに見出されたB.pertussis配列(コンティグ314)との、B.pertussis株BP536から単離されたシステインデスルフィナーゼ遺伝子のDNA配列および翻訳されたアミノ酸配列の比較を示す。
【図8A】 図8Aは、600nmの吸光度での、制限システイン条件下での20リットル醗酵槽中の総B.pertussis毒素産生測定をグラフ表示する。
【図8B】 図8Bは、毒素/光学濃度単位(mg/mL)で測定した、制限システイン条件下での20リットル醗酵槽中の総B.pertussis毒素産生をグラフ表示する。
【図9】 図9は、制限システイン条件下での20リットル醗酵槽中の総B.pertussisにおける内部および外部スルフェート濃度をグラフ表示する。
Claims (27)
- 細菌毒素の増強された生成のための方法であって、該方法は、毒素生成細菌を培養する工程を包含し、該毒素生成細菌により形成される硫酸イオンが排除または減少される、方法であって、ここで、
該毒素生成細菌が、Bordetella pertussisであり、そして、該毒素が、百日咳毒素(PT)である、方法。 - 請求項1に記載の方法であって、
ここで、前記硫酸イオンが、以下:
a)細菌培養培地に、該硫酸イオンと実質的に不溶性の錯体を形成する組成物を添加すること;
b)硫酸イオン代謝前駆体を欠く細菌培養培地または該硫酸イオン代謝前駆体の濃度が減少した細菌培養培地を提供すること;および
c)システインデスルフィナーゼノックアウト変異細菌を提供すること、
からなる群より選択される方法を用いて、細菌培養培地から排除または減少される、
方法。 - 請求項2に記載の方法であって、前記組成物が可溶性金属塩である、方法。
- 請求項3に記載の方法であって、前記可溶性金属塩がBaCl2またはBaBr2である、方法。
- 請求項4に記載の方法であって、前記可溶性金属塩が、Pb(II)、Sr(II)またはAg(II)の可溶性塩である、方法。
- 請求項2に記載の方法であって、前記硫酸イオン代謝前駆体が、システインである、方法。
- 請求項2に記載の方法であって、前記硫酸イオン代謝前駆体を欠く細菌培養培地または前記硫酸イオン代謝前駆体の濃度が減少した細菌培養培地が、前記硫酸イオンと実質的に不溶性の錯体を形成する可溶性金属塩をさらに含む、方法。
- 請求項2に記載の方法であって、前記システインデスルフィナーゼノックアウト変異細菌が、組換えBordetella pertussisである、方法。
- B.pertussisを培養する方法であって、硫酸と実質的に不溶性の錯体を形成する、有効量の1つ以上の可溶性金属塩の存在下で、B.pertussisを培養する工程を包含する、方法。
- 請求項9に記載の方法であって、前記可溶性金属塩が、Ba(II)ハライドである、方法。
- 請求項9に記載の方法であって、前記可溶性金属塩が、BaCl2またはBaBr2である、方法。
- 請求項9に記載の方法であって、前記可溶性金属塩が、Pb(II)、Sr(II)またはAg(II)の可溶性塩である、方法。
- B.pertussisの増殖を支持し、そして硫酸によりPT発現の阻害を防止または減少させる培養培地を作製する方法であって、該方法は、B.pertussis培養培地と、硫酸と実質的に不溶性の錯体を形成する、有効量の1つ以上の可溶性金属塩とを混合する工程を包含する、方法。
- 請求項13に記載の方法であって、前記可溶性金属塩が、Ba(II)ハライドである、方法。
- 請求項13に記載の方法であって、前記可溶性金属塩が、BaCl2またはBaBr2である、方法。
- 請求項13に記載の方法であって、前記可溶性金属塩が、Pb(II)、Sr(II)またはAg(II)の可溶性塩である、方法。
- B.pertussisの増殖を支持する培養培地であって、該培地は、硫酸と実質的に不溶性の錯体を形成するある量の1つ以上の可溶性金属塩を含み、該量は、硫酸によるPT発現の阻害を防止または減少させる、培養培地。
- 請求項17に記載の培養培地であって、前記可溶性金属塩が、Ba(II)ハライドである、培養培地。
- 請求項17に記載の培養培地であって、前記可溶性金属塩が、BaCl2またはBaBr2である、培養培地。
- 請求項17に記載の培養培地であって、前記可溶性金属塩が、Pb(II)、Sr(II)またはAg(II)の可溶性塩である、培養培地。
- PTを生成する方法であって、該方法は、硫酸と実質的に不溶性の錯体を形成する有効量の可溶性金属塩を含むB.pertussis培養培地においてB.pertussisを増殖する工程、および該PTを該培養培地から単離する工程を包含する、方法。
- 請求項21に記載の方法であって、前記可溶性金属塩が、Ba(II)ハライドである、方法。
- 請求項21に記載の方法であって、前記可溶性金属塩が、BaCl2またはBaBr2である、方法。
- 請求項21に記載の方法であって、前記可溶性金属塩が、Pb(II)、Sr(II)またはAg(II)の可溶性塩である、方法。
- B.pertussisシステインデスルフィナーゼノックアウト変異体。
- PTを生成する方法であって、該方法は、B.pertussis培養培地においてB.pertussisシステインデスルフィナーゼノックアウト変異体を増殖する工程、および該PTを該培養培地から単離する工程を包含する、方法。
- PTの増強された生成のための方法であって、該方法は、B.pertussisシステインデスルフィナーゼノックアウト変異体を培養する工程を包含し、それにより、非システインデスルフィナーゼノックアウト変異体を用いた場合と比較して、生成したPTの増強した量が生成される、方法。
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