JP2011152095A - リンゴ風味食品組成物のリンゴ風味の改善方法 - Google Patents

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竜二 荒川
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Abstract

【課題】果汁含有率が10重量%未満であって香料によりリンゴ風味を付与するリンゴ風味食品組成物には、リンゴらしい酸味の付与と、後味のキレの向上が求められている。
【解決手段】果汁含有率が10重量%未満であって香料によりリンゴ風味を付与するリンゴ風味食品組成物に対してリンゴ酸及びクエン酸を配合することにより、当該食品組成物のリンゴ風味の酸味及び後味の調整を行うことができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、果汁含有率が10重量%未満のリンゴ風味食品組成物のリンゴ風味の酸味及び後味の調整を行う方法に関する。
果物の風味を有するスポーツドリンクや機能性飲料等の飲料製品が市販されている。果物の風味を有する飲料のうち例えば無果汁飲料のような果汁含有率の低い飲料については香料と酸味料を使用して果物の風味を付与している。また、この場合の酸味料としてはクエン酸を使用するのが一般的である。
本発明者らは、すっきりとしたリンゴ風味を有する飲料組成物を開発しようとしたところ、次のような課題のあることが分かった。すなわち、果汁含有率の低い飲料組成物に対して香料(リンゴフレーバー)とクエン酸を配合することで求めるリンゴ風味を得ようと試みたが、得られた飲料組成物はリンゴらしい酸味を有しておらず、また、リンゴ風味の後味のキレも良くはなかった。
そこで、本発明者らはクエン酸に代替してリンゴ酸を配合したが、得られた飲料組成物はリンゴらしい酸味、後味のキレのいずれにおいてもクエン酸を配合した場合よりも更に悪くなるという結果が得られた。
以上のような課題を解決するために本発明者らが研究をした結果、果汁含有率が10重量%未満であって香料によりリンゴ風味を付与するリンゴ風味飲料組成物に対して、リンゴ酸及びクエン酸を配合することにより、リンゴらしい酸味とリンゴ風味の後味のキレを良くしてすっきりとしたリンゴ風味を付与することができることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は以下の発明を包含する。
(1)果汁含有率が10重量%未満であって香料によりリンゴ風味を付与するリンゴ風味食品組成物に対して、リンゴ酸及びクエン酸を配合することにより、当該食品組成物のリンゴ風味の酸味及び後味の調整を行う方法。
(2)前記食品組成物が甘味料を含有するものである、(1)記載の方法。
(3)更にミネラルを配合する、(1)又は(2)記載の方法。
(4)前記食品組成物が飲料組成物である、(1)〜(3)の何れかに記載の方法。
(5)リンゴ酸及びクエン酸を有効成分として含有する、果汁含有率が10重量%未満であって香料によりリンゴ風味を付与するリンゴ風味食品組成物におけるリンゴ風味の酸味及び後味の調整剤。
本発明によれば、果汁含有率が10重量%未満であって香料によりリンゴ風味を付与するリンゴ風味食品組成物に対してリンゴ酸及びクエン酸を配合することにより、リンゴらしい酸味とリンゴ風味の後味のキレを良くし、すっきりとしたリンゴ風味を付与することができる。
本発明が適用される食品組成物は、果汁含有率が10重量%未満であって香料によりリンゴ風味を付与するリンゴ風味食品組成物である。食品組成物が例えば飲料である場合、具体的には、スポーツドリンクやニアウォーター、機能性飲料、炭酸飲料等の清涼飲料を好適なものとして挙げることができるが、アルコール分を含むアルコール飲料にも適用することができる。また飲料の他にも、ゼリーやプリン等の菓子、錠剤又は顆粒形態のサプリメント等にも適用することができる。本発明の効果は、果汁を含有しないリンゴ風味食品組成物においても顕著に発揮される。
食品組成物の組成としては、水、甘味料、栄養素、香料などが挙げられる。機能性飲料等の場合には、例えば健康やダイエット、美容といたものに効果的な機能性成分が配合される。
甘味料としては、糖類、糖アルコール、高甘味度甘味料が挙げられる。より具体的には、糖類としては、ショ糖、ブドウ糖、果糖、乳糖、オリゴ糖、はちみつ等が挙げられる。糖アルコールとしては、ソルビトール、エリスリトール、マルトール、キシリトール等が挙げられる。高甘味度甘味料としては、スクラロース、アセスルファムカリウム、ソーマチン、アスパルテーム等が挙げられる。
これらの甘味料は1種を用いてもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。例えば食品組成物が高カロリーの飲料である場合には1種又は2種以上の糖類を甘味料として使用することができる。一方、近年の低カロリー志向から、熱量が40kcal/100g以下(飲料の形態の場合は、熱量が20kcal/100ml以下)の低カロリー食品が求められている。低カロリー食品においては、甘味料として、配合量が低減された糖類と、糖アルコール及び/又は高甘味度甘味料とを併用して用いることが好ましい。低カロリー飲料の場合の甘味料の好ましい例示としては、飲料組成物全体に対して、0.1〜0.6重量%の果糖ブドウ糖液糖(糖類)と、0.1〜10重量%の糖アルコールと、0.001〜0.1重量%の高甘味度甘味料との組合せが挙げられる。甘味料として糖アルコール及び/又は高甘味度甘味料が配合され、且つ糖類の配合量が低減された、又は糖類が配合されない低カロリーのリンゴ風味飲料組成物は、通常、リンゴらしい酸味や後味のキレに関して好ましくない場合が多い。しかしながら本発明の方法によれば、このような低カロリー飲料組成物においてもリンゴらしい酸味とリンゴ風味の後味のキレを良くし、すっきりとしたリンゴ風味を付与することができる。
栄養素としては、各種ビタミン類やカルシウム等が挙げられる。香料は通常の飲料等に対してリンゴフレーバーとして市販されているもの等を適宜使用することができ、かかる香料により食品組成物にリンゴ風味を付与する。
香料の配合量は、食品組成物にリンゴ風味を付与することができる適量であれば特に限定されない。例えば食品組成物全体に対して0.05〜1.0重量%の香料を配合することができる。
本発明者らは、上述の香料によりリンゴ風味を付与するリンゴ風味食品組成物対して、リンゴ酸とクエン酸とを組み合わせて配合することにより、当該食品組成物のリンゴ風味におけるリンゴらしい酸味、後味のキレの改善効果が奏させることを見出した。クエン酸を単独で配合した場合にはリンゴらしい酸味、後味のキレが得られない(比較例1)。他方、クエン酸に代替してリンゴ風味を配合した場合にはクエン酸を配合した場合よりも悪くなる(比較例2)。ところが、リンゴ酸とクエン酸を組み合わせて配合することにより、リンゴ風味におけるリンゴらしい酸味、後味のキレの改善効果が奏される。更に、リンゴ酸とクエン酸を組み合わせて配合した場合には、酸味と甘味料の甘味のバランスも改善される。
リンゴ酸、クエン酸としては、通常の飲料等に対して酸味料として使用されているもの等を使用することができる。リンゴ酸、クエン酸の配合量は他の成分とのバランス等を考慮しつつ適宜決定すればよいが、例えば食品組成物に対してリンゴ酸0.05〜0.5重量%、クエン酸0.05〜0.5重量%の範囲で調整することができる。
その他にもミネラルを配合してもよい。この場合には、食品組成物のリンゴ風味におけるリンゴらしいボディ感を高めることができる。この場合のミネラルとしては、カルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、鉄、亜鉛等が挙げられる。これらのミネラルは、食品組成物において許容される水溶性塩の形態で食品組成物中に添加されることができる。ミネラルの配合量は、食品組成物にリンゴらしいボディ感を付与することができる適量であれば特に限定されない。例えば食品組成物全体に対して、金属イオン換算で、カルシウムであれば0.0005〜0.2重量%、ナトリウムであれば0.001〜0.2重量%、カリウムであれば0.001〜0.2重量%、マグネシウムであれば0.0005〜0.2重量%、鉄であれば0.0005〜0.1重量%、亜鉛であれば0.0005〜0.03重量%配合することができる。
表1に示す配合で各原料を混合し、実施例1、2及び比較例1、2の飲料組成物を作った。
Figure 2011152095
次に、実施例1、2及び比較例1、2の飲料組成物について官能評価試験を行った。対象者は飲料の開発に関わる4名であり、各飲料組成物について「リンゴらしい酸味」「後味のキレの良さ」「酸味と甘味のバランスの良さ」「リンゴらしいボディ感」「総合評価」の5項目について評価を行った。評価は各項目で最も相応しいと思うものに5点を付与し、その他のものには相対的に5点〜1点を付与した。その結果を表2に示す。表2中の点数は4名の平均点を示す。
Figure 2011152095

Claims (5)

  1. 果汁含有率が10重量%未満であって香料によりリンゴ風味を付与するリンゴ風味食品組成物に対して、リンゴ酸及びクエン酸を配合することにより、当該食品組成物のリンゴ風味の酸味及び後味の調整を行う方法。
  2. 前記食品組成物が甘味料を含有するものである、請求項1記載の方法。
  3. 更にミネラルを配合する、請求項1又は2記載の方法。
  4. 前記食品組成物が飲料である、請求項1〜3の何れかに記載の方法。
  5. リンゴ酸及びクエン酸を有効成分として含有する、果汁含有率が10重量%未満であって香料によりリンゴ風味を付与するリンゴ風味食品組成物におけるリンゴ風味の酸味及び後味の調整剤。
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