JP2011151170A - 巻線部品ならびにスイッチング電源用トランスおよびチョークコイル - Google Patents

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Abstract

【課題】 巻芯の幅に対して端子配列の幅が広い場合でも巻線間の絶縁保護が可能で、かつ、巻き枠の形状の変更にも柔軟に対処でき、小型化、低背化が可能で、コストの抑制、及び巻線の作業効率の改善が可能な巻線部品、ならびに、その巻線部品を用いたスイッチング電源用トランスおよびチョークコイルを提供すること。
【解決手段】 ボビン1と、ボビン1に絶縁電線を巻回して形成された1次側巻線および2次側巻線12と、ボビン1に組み込まれた磁性体コアとを有し、1次側巻線および2次側巻線12がボビン1に積層されて形成されている。さらに、2次側巻線12の線縁部に隣接して糸状の絶縁物である糸状樹脂11が巻回され、糸状樹脂11は1次側巻線の引出し線7の引出し部に近接したボビン1上の領域に巻回されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子機器や家電機器に使用される絶縁トランスやチョークコイル等の巻線部品に関するものであり、特に小型の機器に用いて好適な巻線部品ならびにスイッチング電源用トランスおよびチョークコイルに関する。
近年、各種電子機器の小型化に伴い、機器に使用される巻線部品においても、外形上の高さや実装面積を小さくするため、低背化、小型化への要求が一層厳しくなっている。また、小型化と同時に、絶縁性能についても要求仕様を満たし、国内外の法令に基づく安全規格等に定められる絶縁距離を確保する必要がある。
従来の複数の巻線からなる巻線部品では、巻線の導体である電線はエナメル被覆電線のような比較的安価な単層絶縁電線を使用し、また、各巻線間にはバリアテープ等の絶縁部材を挿配して絶縁性能を確保していたが、このような構造では巻線部の容積が大きくなり、小型化の阻害要因となっていた。
そこで、絶縁性能の確保と厳しい小型化要求に対応するため、絶縁被膜を複数層形成して絶縁性を向上させた強化絶縁電線、例えば3層絶縁電線を少なくとも一系統の巻線に用いて巻線間の絶縁性能を確保することで、上記のバリアテープ等の絶縁部材を削除できるようにして、巻線部の容積を縮小して小型化を図っている。更に、各巻線の端末を、巻線部を介して対向する各鍔部の底面に立設した端子に各々分離して結線することで、各巻線間の絶縁距離を確保する構造の巻線部品となっている。
しかし、汎用の3層絶縁電線の絶縁被膜は機械的な外部ストレスに対して比較的弱いため、巻線時のテンションにより、ボビンの角部やエッジ部などに当たる部分で損傷し易い。また、強化絶縁を要求される1次側巻線もしくは2次側巻線の引出し部と、その巻線に積層された3層絶縁電線を用いる1次側、もしくは2次側の巻線の巻き幅方向の端部、すなわち線縁部の電線が互いにほぼ直交するので、その箇所にストレスが集中してかかり、絶縁被膜の損傷を受け易くなるおそれがあり、実質的な絶縁強度が低下する場合がある。そこで、国際安全規格において、上記の2つの巻線が直に接することを防ぐために互いの距離を確保するか、もしくはそれらの間に絶縁物を設けることが要求されている。
このような問題への従来の対応策としては、一般の巻線で各巻線間の沿面空間距離を確保する時に用いられるマージン用テープを帯状に重ね合わせて巻回し、絶縁用のスペーサとして構成することが多い。しかしこの方法ではテープ幅を狭くすることが難しいため小型の巻線部品に適用することはできない。
一方、特許文献1や特許文献2には、成型された絶縁物スペーサを用いて巻線の線縁部と引出し線との間の絶縁性を確保する方法が示されている。図6は特許文献1に記載された一体形成された中空枠状のスペーサを用いたスイッチング電源トランス用のボビンの分解斜視図である。巻線の巻幅方向の両端の線縁部の絶縁距離を確保するためのスペーサ48、49を連結部46で一体化したスペーサ部品42にその内径を広げてボビン41に横方向から挿入するための切欠き47を設け、作業性を改善している。図7は特許文献2に記載されたスペーサとなる差し込み式絶縁部品を設けたトランスの分解斜視図である。ボビン50に巻回される巻線の線縁部に差し込み式絶縁部品52を挿入し設置することで絶縁性を確保するものである。
また、特許文献3には線縁部を絶縁テープで挟み込み機械的ストレスから保護する方法が示されている。図8は特許文献3に記載された電源用トランスの斜視図である。ボビン63の下側の鍔に設けられた端子64に1次側巻線の引出し線(リード)67が結線され、巻芯62の1次側巻線上に積層して巻回される2次側巻線66と交差する線縁部が絶縁保護用テープ(以下、単に「保護用テープ」と呼ぶ)68により挟み込まれている。これらの従来の方法は、いずれも上述の作業性や巻きスペースを改善するものとして提案されたものである。
実用新案登録2538999号公報 特開2000−228317号公報 実用新案登録2553774号公報
上記の従来の一体形成された中空枠状のスペーサ部品や差し込み式絶縁部品を設ける方法では、沿面距離を確保して3層絶縁電線を保護し、被膜の絶縁性低下を防ぐことが出来るが、巻き枠の寸法に対し中空枠状のスペーサ部品や差し込み式絶縁部品の形状が合わないと、大きな隙間や、スペーサの先端やギャップ部分などで巻面の平坦性の乱れた突起状の部分が生じ、その結果、巻線間の絶縁テープのめくれや上層に巻くワイヤーの巻き乱れが生じ、小型化や磁気結合性に悪影響を及ぼす。そのため、製品形状や挿入する層などの条件が異なると、その都度、その仕様の形状に適合するような型を新たに作る必要が生じ、コストや時間がかかるという問題があった。
また、エナメル線の巻線に対して積層された3層絶縁電線による巻線の機械的ストレスの保護が目的の場合、沿面距離を多く取る必要がないため巻線を多く巻くためにスペーサの幅を細くしたいが、上述の成形品のスペーサで幅を細くすると成型が難しいこと、壊れやすいこと、作業し難いことなど、生産上の問題が発生し、小型のトランスに用いるには限界があった。
また、3層絶縁電線の絶縁性低下を補強する手段として、特許文献3のように、絶縁被膜が接触したり、又はストレスを受ける可能性がある部位に、粘着層のある保護用テープを貼り付け、その後保護用テープを折り返して電線を巻き込むことで、被膜を保護し絶縁性の低下を抑制する事が出来る。この手段は小型化、低背化を進める上で大きな効果があるが、ボビンの巻芯の幅に比較して端子配列の幅が広い場合、巻芯から端の端子へ引き出されたワイヤーに対し、3層絶縁電線を保護出来ない場合が生じる。
そこで、本発明の課題は、巻芯の幅に対して端子配列の幅が広い場合でも巻線間の絶縁保護が可能で、かつ、巻き枠の形状の変更にも柔軟に対処でき、小型化、低背化が可能で、コストの抑制、および巻線の作業効率の改善が可能な巻線部品、ならびに、その巻線部品を用いたスイッチング電源用トランスおよびチョークコイルを提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明による巻線部品は、ボビンと、前記ボビンに絶縁被膜で覆われた導体を巻回して形成された複数の巻線と、前記ボビンに組み込まれた磁性体コアとを有し、前記複数の巻線が前記ボビンに積層されて形成されている巻線部品において、前記巻線の少なくとも1つの線縁部に隣接して糸状の絶縁物が巻回されていることを特徴とする。
ここで、前記糸状の絶縁物は、隣接する線縁部を有する巻線の内側または外側の層の巻線の引出し線の引出し部に近接した前記ボビン上の領域に巻回されていることが望ましい。
また、前記糸状の絶縁物は樹脂であることが望ましく、前記ボビンに前記糸状の絶縁物の両端を固定する手段を設けてもよい。また、前記糸状の絶縁物の表面の少なくとも一部に粘着層が形成されていてもよい。
また、巻回された前記糸状の絶縁物の高さは、該絶縁物に隣接する線縁部を有する巻線の高さとほぼ等しくてもよい。
また、前記複数の巻線の少なくとも1つは強化絶縁電線からなっていてもよく、また、前記複数の巻線の少なくとも1つは基礎絶縁電線、または付加絶縁電線からなっていてもよい。
本発明によるスイッチング電源用トランスまたはチョークコイルは上記のいずれかの巻線部品を用いるものである。
上記のように、本発明においては、巻線の引出し線と他の積層された巻線との間の絶縁性確保のためのスペーサ及び保護材料として糸状の絶縁物を用いる。
保護対象の電線を巻く前に、保護したい個所、もしくはスペースを設けたい箇所に上述の糸状の絶縁物を巻き、例えばボビンに設けた固定用溝に挟んで固定し、ボビンからはみ出した余線は切断する。また、糸状の絶縁物の表面に形成された粘着層で固定してもよい。その後、保護対象とする電線を、糸状の絶縁物に乗り上げないように巻く。
本発明は、作業性に優れ、かつ容易に、巻線に用いる3層絶縁電線の外部ストレスに対する絶縁被膜の保護が可能となり、高い絶縁性の維持や絶縁性の向上が可能となる。
糸状の絶縁物であるので、スペースは径で選定すればよく、巻き枠の形状の変更にも長さの変更で対応出来る。よって、従来の成型品のスペーサのように、部品の仕様や巻き枠の形状ごとに型を起こす必要がなくなる。
従来の成型品のスペーサでは、下の層の巻き線状態からくる起伏などのスペーサ設置部分の様々な形状変化に対し、スペーサの僅かな形状の不一致部分が生じても、隙間や巻面の突起状の部分が発生すること多いが、本発明においては糸状の絶縁物で巻くので、柔軟に形状変化に追随することができ、隙間や突起状の部分の発生が少なくなる。この結果、それ以降の巻線の巻き乱れや巻き太りを抑え、磁気結合性の低下を抑えることが出来る。
また、本発明では、巻芯の幅に比較し端子配列の幅が広い場合でも、従来の特許文献3の保護テープを使う方式とは異なり、ボビン上の線縁部に糸状の絶縁物を0.5〜1ターン巻くことで、巻芯から端の端子へ引き出すワイヤーに対して3層絶縁電線の巻線を容易に保護することが可能となる。
また、糸状の絶縁物は、自動巻線機にて巻くことが可能であるので、従来の保護用テープを使う方式のように手作業でしか対応出来なかった工程が自動化可能となり、作業性が大幅に改善出来る。
更に、通常、端子に絡げた電線の絶縁被膜を半田槽への浸漬等により熱剥離して端子と接合するが、糸状の絶縁物による保護は、その際の半田熱の伝導により、絡げ部近傍の電線の被膜状態が変化し絶縁性が劣化するのを防止する対策としても有効である。
以上のように、本発明により、巻芯の幅に対して端子配列の幅が広い場合でも巻線間の絶縁保護が可能で、かつ、巻き枠の形状の変更にも柔軟に対処でき、小型化、低背化が可能で、コストの抑制、および巻線の作業効率の改善が可能な巻線部品、ならびに、その巻線部品を用いたスイッチング電源用トランスおよびチョークコイルが得られる。
本発明による巻線部品の第一の実施の形態である横型の巻線部品を説明する図であり、図1(a)はボビンの1次側巻線上に層間絶縁テープを巻回した状態の斜視図、図1(b)は1次側巻線の引出し部分に糸状の樹脂を巻回して2次側巻線を巻回した状態の斜視図、図1(c)は2次側巻線上に層間絶縁テープを巻回した状態の斜視図。 実施例の巻線部品を示す図であり、図2(a)はボビンの1次側巻線上に層間絶縁テープを巻回した状態の斜視図、図2(b)は1次側巻線の引出し部分に糸状の樹脂を巻回して2次側巻線を巻回した状態の斜視図、図2(c)は2次側巻線上に層間絶縁テープを巻回した状態の斜視図、図2(d)は磁性体コアをボビン1に装配し固定して完成した巻線部品の斜視図。 実施例の巻線部品の巻線部分の構造を模式的に示す断面図。 実施例の巻線部品の回路図。 本発明による巻線部品の第二の実施の形態である縦型の巻線部品を示す図であり、図5(a)はボビンの1次側巻線を引出す端子側からみた斜視図、図5(b)はボビンの2次側巻線を引出す側からみた斜視図。 従来の一体形成された中空枠状のスペーサを用いたスイッチング電源トランス用のボビンの分解斜視図。 従来のスペーサとなる差し込み式絶縁部品を設けたトランスの分解斜視図。 従来の電源用トランスの斜視図。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
図1は、本発明による巻線部品の第一の実施の形態である横型の巻線部品を説明する図であり、図1(a)はボビンの1次側巻線上に層間絶縁テープを巻回した状態の斜視図、図1(b)は1次側巻線の引出し部分に糸状の樹脂を巻回して2次側巻線を巻回した状態の斜視図、図1(c)は2次側巻線上に層間絶縁テープを巻回した状態の斜視図である。本実施の形態の巻線部品は、ボビン1と、ボビン1に絶縁被膜で覆われた導体である絶縁電線を巻回して形成された1次側巻線および2次側巻線12と、ボビン1に組み込まれた磁性体コアとを有し、1次側巻線および2次側巻線12がボビン1に積層されて形成されている。さらに、2次側巻線12の線縁部に隣接して糸状の絶縁物である糸状樹脂11が巻回されている。
ここで、糸状樹脂11は、糸状樹脂11に隣接する線縁部を有する2次側巻線12の内側の1次側巻線の引出し線7の引出し部に近接したボビン1上の領域に巻回されている。
また、ボビン1には糸状樹脂11の両端を挟んで固定する2つの溝9と溝10がボビン1のフランジ2の下端の巻芯を挟んで対称な位置に設けられている。
また、2次側巻線12は3層絶縁電線により構成されている。
図1(a)のように、ボビン1は、両端にそれぞれフランジ2、3が形成され、フランジ2には端子4、フランジ3には端子5がそれぞれ植設された端子付きボビンであり、1次側巻線が巻回され、その引出し線7が端子4に絡げられている。1次側巻線が巻回された後、層間絶縁テープ8が巻回されている。
図1(b)のように、層間絶縁テープ8を巻回した後、糸状樹脂11を溝9から巻き始め、フランジ2に寄せて0.5ターン巻き、反対側の溝10(図示せず)で固定する。
2次側巻線12の3層絶縁電線をフランジ3側から巻き始め、糸状樹脂11を乗り越えない様に巻き回す。2次側巻線12が巻回された後は、図1(c)のように層間絶縁テープ13を巻回して固定し、糸状樹脂11の余線を切断する。2次側巻線の引出し線6は、図1ではそのまま引き出した状態となっているが、端子5へ絡げてもよい。
上記、糸状樹脂11を切断する長さは、上記の形態では溝9から溝10までの長さであるが、保護対象とする巻線の線縁部をその巻線と近接する他の巻線の引き出し部から絶縁し保護するに足りる長さがあればよく、ボビンの形状、溝の位置、引き出し線の状態などにより適宜調整することが好ましい。
ここでは、2次側巻線12の線縁部において、2次側巻線12の3層絶縁電線と1次側巻線の引出し線7とが互いにほぼ直交し、その箇所に機械的ストレスが集中してかかり、3層絶縁電線の被膜の損傷を受け易くなるため、その引き出し箇所の2次側巻線12の線縁部に糸状樹脂11を施した場合を示しているが、2次側巻線12の引出し線6と近接する、1次側巻線の線縁部にも糸状樹脂11を施してもよい。
このように線縁部に糸状樹脂を設けることで、半田処理時の半田熱による導体の絶縁被膜の変化による絶縁性低下も防ぐことができ、実質的な絶縁強度の維持、確保が可能となる。
図1(c)のように巻線後、図示しないEI型やEE型の磁性体コアをボビン1に装配し、その磁性体コアの接合面を接着剤で固着するか、またはその磁性体コアの外周を絶縁テープで巻回して固定することにより本実施の形態の巻線部品が完成する。
ここで、糸状樹脂11の断面形状は、丸でも角でも良い。2次側巻線を構成する3層絶縁電線の外径と同じ高さになるよう、断面の外径、もしくは断面の辺の長さを選定するのが望ましい。また、固定を容易にするために糸状樹脂11の表面に粘着層を設けても良い。
また、糸状樹脂11は、チューブの様に中心が空洞となっていても良い。絶縁チューブとして既に市販されている材料を用いることで様々な外径が選択可能となり、使用する電線や巻線に柔軟に対応することができ、また糸状樹脂を新たに製造することが不要になる。またチューブは、巻回した後に、その上に巻く絶縁テープや次層の巻線の電線で容易に断面形状が潰れるので、保護する絶縁電線よりも大きな径のチューブを選択しても巻き太りを防ぐことが出来る。
糸状樹脂としては、基材の材質が、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ナイロン系、シリコン樹脂などの可とう性を有する熱可塑性樹脂を用い、耐熱性も考慮し、適宜選定するのが好ましい。また、その太さは細すぎて切れない程度の機械的強度と絶縁強度を有する太さを選定するのが好ましい。断面形状は、丸型、角型、もしくは平板型などの何れの形状でもよく、設置する場所や要求条件に応じ、適宜選定するのが好ましい。また、粘着剤を粘着層として表面に設ける場合、材質がアクリル系、ゴム系、エポキシ系などの何れの樹脂を用いてもよく、層厚は薄型化のために10μm〜30μm厚程度とするのが好ましい。なお、糸状樹脂以外にも糸状の絶縁物としては、絶縁性のあるセラミックス素材の糸などを用いることも可能である。
ボビン1の材質は、エポキシ系、フェノール系の熱硬化性樹脂や、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ナイロン系の熱可塑性樹脂の何れでもよい。また、巻線枠の断面形状は、方形または多角形や略円形の何れでもよいが、横型の場合、低背型に有効な長方形、長円形とするのが好ましく、更に、絶縁性の観点から、巻線を構成する電線の絶縁被膜への機械的損傷を避けるため、角部はC面やR面を有する断面形状とするのがより望ましい。
端子4、5の材料は、材質が適度な剛性と導電性を有し、かつ汎用的でコスト性に優れた銅覆鋼線(CP線)や硬銅線が好適である。また、断面形状は、円形、方形、多角形など何れでもよい。また、巻線の引出し線を端子に絡げずに引き出す状態とする場合、端子は導電性を有しない樹脂でも良い。それはボビンと一体の成型にて形成してもよい。
1次側巻線は、機能絶縁(functional insulation)、基礎絶縁(basic insulation)、付加絶縁(supplementary insulation)の絶縁カテゴリーに属するエナメル被覆電線等の一般的な単層絶縁電線であれば何れの電線でもよく、安価で汎用的なポリウレタン被覆電線(UEW線)を用いるのが好ましい。
2次側巻線12として用いる強化絶縁電線は、強化絶縁(Reinforced insulation)の絶縁カテゴリーに属する電線であれば何れの電線でもよいが、絶縁被膜を溶融半田で熱剥離でき、作業性がよく汎用的な3層絶縁電線を用いるのが好ましい。
なお、上記の1次側巻線と2次側巻線12は、少なくとも一方が3層絶縁電線等の強化絶縁電線が用いられていればよく、1次側巻線のみ、または2次側巻線のみ、あるいは両方に用いられていても良い。1次側巻線または2次側巻線が複数の巻線からなる場合は、その全ての巻線に用いてもよい。但し、コスト面で、強化絶縁電線はエナメル被覆電線等の単層絶縁電線に比べ非常に高価であるため、通常は巻数や使用量の少ない2次側巻線のみに適用するのが好ましい。
安全規格で強化絶縁や基礎絶縁を要求されない仕様であって機能絶縁のみ要求される仕様であっても、機械的ストレスや熱的ストレスからの保護するため、糸状樹脂11による絶縁保護を1次側巻線と2次側巻線の双方、もしくは一方の線縁部に適用しても良い。
本実施の形態の巻線部品に組み込む磁性体コアは、材質が高透磁率、低損失の磁気特性を有し、高周波対応に好適なMn−Zn系またはNi−Zn系のフェライト材を用いるのが好ましい。その他、圧粉ダストコア、アモルファス等の金属磁性材料でもよく、用途に応じた磁気特性に合わせて材質を選択するのが好ましい。また、形状はEE型やEI型コアを用い、磁性体コアの中脚形状は方形または多角形や略円形の何れでもよいが、図1のような横型の巻線部品の場合は低背に有効な長方形、長円形とするのが好ましい。
層間絶縁テープ8は、上記の糸状樹脂と同様に、基材の材質が、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)などの可とう性を有する熱可塑性樹脂を用い、耐熱性も考慮し、適宜選定するのが好ましい。また、薄型化のためにフィルム状のテープが望ましく、その厚さは基材が薄すぎて破れない程度の機械的強度と絶縁強度を有する20μm〜50μm厚程度とするのが好ましい。また、粘着剤は、材質がアクリル系、ゴム系、エポキシ系などの何れの樹脂を用いてもよく、また層厚は薄型化のために10μm〜30μm厚程度とするのが好ましい。更に、巻回数も絶縁性と磁気結合性を考慮し、適宜調整するのが好ましい。
図5は本発明による巻線部品の第二の実施の形態である縦型の巻線部品を示す図であり、図5(a)はボビンの1次側巻線を引出す端子側からみた斜視図、図5(b)はボビンの2次側巻線を引出す側からみた斜視図である。縦型のボビン31と、ボビン31に絶縁電線を巻回して形成された1次側巻線および2次側巻線32と、ボビン31に組み込まれた磁性体コアとを有し、1次側巻線および2次側巻線32がボビン31に積層されて形成されている。さらに、2次側巻線32の線縁部に隣接して糸状の絶縁物である糸状樹脂36が巻回されている。なお、本実施の形態の巻線部品の磁性体コアは図5では省略されている。
ここで、糸状樹脂36は、糸状樹脂36に隣接する線縁部を有する2次側巻線32の内側の1次側巻線の引出し線34の引出し部に近接したボビン31上の領域に巻回されている。
また、ボビン31には糸状樹脂36の両端を挟んで固定する2つの溝37、38がボビン31の下側のフランジの側端部に設けられている。1次側巻線の引出し線34を端子35に絡げたあと、糸状樹脂36を巻き枠の下部に這うように0.5ターン巻き、溝37、38にて固定し、2次側巻線32を糸状樹脂36に乗り上げないように巻き回した後、溝39から引き出される。
本実施の形態の巻線部品についても、第一の実施の形態の横型の巻線部品と同様の作業性の改善が得られる。
以上のように、上記の第一および第二の実施の形態の巻線部品は、巻芯の幅に対して端子配列の幅が広い場合でも巻線間の絶縁保護が可能で、かつ、巻き枠の形状の変更にも柔軟に対処でき、小型化、低背化が可能で、コストの抑制、及び巻線の作業効率の改善が可能である。これらの巻線部品を用いることにより、磁性体コア、1次側巻線、2次側巻線の各々の間の絶縁性を確保し、維持すると共に、低背型でかつ実装面積の小さいスイッチング電源用トランスやチョークコイルが得られる。本発明は各種電子機器に搭載される絶縁トランス等に適用でき、特に、本発明により、電話、デジタルカメラ、ゲーム機等の携帯端末機器の小型充電器や薄型テレビ、車載等に搭載される絶縁トランスに好適な巻線部品の提供が可能となる。
上記の実施の形態である横型の巻線部品の具体的な一実施例を作製した。図2は実施例の巻線部品を示す図であり、図2(a)はボビンの1次側巻線上に層間絶縁テープを巻回した状態の斜視図、図2(b)は1次側巻線の引出し部分に糸状の樹脂を巻回して2次側巻線を巻回した状態の斜視図、図2(c)は2次側巻線上に層間絶縁テープを巻回した状態の斜視図、図2(d)は磁性体コアをボビン1に装配し固定して完成した巻線部品の斜視図である。また、図3は実施例の巻線部品の巻線部分の構造を模式的に示す断面図、図4は実施例の巻線部品の回路図である。
図2(a)に示すように、ボビン14は、フェノール系の熱硬化性樹脂を用い、巻幅8mm、巻深さ1.5mmの巻き枠と、両側のフランジ15および16と、縦8mm、高さ3mmの長方形で角部が曲率半径0.5mmの断面形状を有する巻芯部とを有している。端子17として、表面を半田メッキ処理した外径0.6φ、長さ7mm0.6φの銅覆鋼線(CP線)をフランジ15の基板実装面側に圧入して立設し、フランジ15の下端に糸状樹脂の固定用の溝18、19(図示せず)を設け、フランジ16の基板実装面側に2つの溝20、21を設けたものを用意した。
ボビン14の巻線枠に、1次側巻線(P)29(図3)として、線径0.1φの単層絶縁電線(UEW線)を260ターン、往復4層巻きし、端子17a、17bに絡げて結線した。1次側巻線(P)の上面に層間絶縁テープ23を巻いた後に、1次側巻線(B)30(図3)として線径0.12φの単層絶縁電線(UEW線)を20ターン、1層で均等巻きし、端子17c、17dに絡げて結線した。その後上面に層間絶縁テープ23としてポリエステルテープを2層巻回した。
続いて、図2(b)に示すように、保護用の糸状樹脂24として、シリコーン基材で、径0.5mmのものを、フランジ15に設けてある溝18に一端を固定し、端子実装面側を這わせながら0.5ターン巻き、溝19(図示せず)で他端を固定した。
次に、2次側巻線25として、線径0.3φの3層絶縁電線(品名:TEX−E線、古河電気工業社製)を14ターン、1層巻きし、糸状樹脂24に乗り上げないように巻終え、フランジ16に設けてある溝20、21に引き出した。その後、2次側巻線25の上面に、層間絶縁テープ23と同様のポリエステルテープを図2(c)に示すように、最外層テープ26として2層巻回した。
その後、図2(d)に示すように、端子17a、17b、17c、17dの絡げ部を半田処理し、最後に、磁性体コア27として、外形が17.5×7×5mmで、中脚形状が低背型に有効な長方形としたE型のMn−Zn系フェライトコアを1組(2個)用い、ボビン14の巻芯部に中脚部を挿配してコア外周を絶縁テープ28で巻回して固定し、本実施例の巻線部品を作製した。本実施例の巻線部品の回路は図4のようになる。
特許文献3に示されるような絶縁テープで線縁部を覆う場合には、1次側巻線の端の端子17a、17dへの引き出し部分をカバーするために、絶縁テープのめくれの発生などを防ぐために作業に熟練を必要としていた。しかし、本実施例の巻線部品の作製では、経験の浅い作業者でも糸状樹脂により容易にカバーすることが可能となった。また、自動巻線機を用いて糸状樹脂を巻くことが可能となり、手作業でしか対応出来なかった絶縁保護の作業を自動化することが出来た。
以上、本発明の実施の形態および実施例を説明したが、本発明は上記の実施の形態や実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても本発明に含まれる。すなわち、目的や用途に応じて、ボビン、巻線、磁性体コア、糸状の絶縁物などの形状や材質、構造を変更可能である。
1、14、31、41、50、63 ボビン
2、3、15、16 フランジ
4、5、17、17a、17b、17c、17d、35、64 端子
6、7、22、34、67 引出し線
8、13、23 層間絶縁テープ
9、10、18、19、20、21、37、38、39 溝
11、24、36 糸状樹脂
12、25、32、66 2次側巻線
26 最外層テープ
27 磁性体コア
28 絶縁テープ
29 1次側巻線(P)
30 1次側巻線(B)
42 スペーサ部品
46 連結部
47 切欠き
48、49 スペーサ
52 差し込み式絶縁部品
62 巻芯
68 絶縁保護用テープ

Claims (10)

  1. ボビンと、前記ボビンに絶縁被膜で覆われた導体を巻回して形成された複数の巻線と、前記ボビンに組み込まれた磁性体コアとを有し、前記複数の巻線が前記ボビンに積層されて形成されている巻線部品において、前記巻線の少なくとも1つの線縁部に隣接して糸状の絶縁物が巻回されていることを特徴とする巻線部品。
  2. 前記糸状の絶縁物は、隣接する線縁部を有する巻線の内側または外側の層の巻線の引出し線の引出し部に近接した前記ボビン上の領域に巻回されていることを特徴とする請求項1に記載の巻線部品。
  3. 前記糸状の絶縁物は樹脂であることを特徴とする請求項項1または2に記載の巻線部品。
  4. 前記ボビンに前記糸状の絶縁物の両端を固定する手段を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の巻線部品。
  5. 前記糸状の絶縁物の表面の少なくとも一部に粘着層が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の巻線部品。
  6. 巻回された前記糸状の絶縁物の高さは、隣接する線縁部を有する巻線の高さとほぼ等しいことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の巻線部品。
  7. 前記複数の巻線の少なくとも1つは強化絶縁電線からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の巻線部品。
  8. 前記複数の巻線の少なくとも1つは基礎絶縁電線、または付加絶縁電線からなることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の巻線部品。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の巻線部品を用いたスイッチング電源用トランス。
  10. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の巻線部品を用いたスイッチング電源用チョークコイル。
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