JP2011144918A - 閉じ込め油膜ローラークラッチ - Google Patents

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Abstract

【課題】ローラーの転走面の閉じ込め油膜の、圧力粘性流体で、トルクを断続する閉じ込め油膜ローラークラッチの信頼性の向上と新機能を得る。
【解決手段】転動するローラーの軸方向の位置を最適化する。トルクをカムで推力に変換して噛み合いをアシストする。遊星ローラーの差動でスキュウの向きを反転させて正逆両方向に対応する。球面ころで、自在接手を兼ねる。
【選択図】図7

Description

本発明はトルクの伝達装置に関する。
機械装置の駆動力を断続又は調節する装置の特許2903325号の流体摩擦伝達力制限装置の、内輪、外輪の円すい軌道面間に軸心に対して3次元に傾斜したローラーを配置し、接触面に潤滑油が高圧で閉じ込められて固化転移し、そのせん断抵抗で、トルクの伝達量の増減を図る装置に関する。
根拠は、 Dowson Higginson V.Whitaker:J.Mech.Eng,4,2(1962)121.等の論文に拠る、転がり接触のような高圧接触面には潤滑油が高圧で閉じ込められて、強固な弾性固化膜に転移する論証と、近時の車両の無段変速機CVTの転がり接触下では停止後も1週間に亘り油膜が残存する、とした観測結果による。
当該閉じ込め油膜によるトルク伝達によれば、微小トルクから巨大トルクまでを、トルクの大小に関らず略等速度の、ビスカスカップリング及び遠心ガバナの調速機能と接続の際に、ローラーの曲面同士の弾性変形による高強度、高品質のばね特性と、転がり面の油膜が、高粘性流体から塑性、弾性体に遷移する過程で、衝撃を吸収しながら強固な締結に至り、近時の転がり接触の疲労強度が、2.5GPa以下の面圧で使用すれば、寿命は永久であるとした経験則から、磨耗の無い、簡素で高強度の電磁力などの付勢圧の要らない自己保持形の極めて強力な断続クラッチが得られる。当技術については特許番号2903325を元に、当出願人による下記の発明がある。
当出願人による、特許願平2第177047号の、転動体を微小角度の円すい形にして、その転動時の差動でポケット内でスキュウ角度を自発させるもの。
同、特開平6−109038 図1のローラーの両端を遊星歯車と係合しその公転位相でローラーの傾斜角度(スキュウ)を変えて粘性スベリ速度を可変にするもの。 同、特開平6−137344図2のローラーの両端を摩擦部材に係合してその摩擦抵抗で遅れ進み力を発生させてスキュウ角を可変にするもの。 同、特開平7−71485の図2のローラーを周上に細分割したケースに収容しケースの両端を位相させてローラのスキュウ角を変化させて速度を可変にするもの。
同、特開2003−184910の請求項1図1の軌道からはみ出たニードルの端を掴んで外からスキュウ角を変えて速度を可変。 同、特開2003−184910の請求項3の図5に示す軌道輪の軸方向相対変位にボールのヘルツ弾性ばねで対抗し、油膜を厚くして粘性を増す。 同、特開2004−183883の図2電磁クラッチの代替で電磁コイル並びに電力を不要にするもの、その他がある。 同、特許2903325、の実施上の課題であった、ローラーの咬み合いを妨げる軸方向の摺接キー(スプライン)を排除し、代わりに中間環を設け、トルクを4面で受けることで、その接面の閉じ込め油膜の相対粘性すべり速度を倍増し、中間環の軸方向弾性変位で衝撃吸収能を倍増するものがある。
参考文献1
兼田禎宏・鈴木裕・西川宏志・松田健次、“EHL下における表面粗さと潤滑油の粘弾性および固化特性との動的相互作用”、平成2年度科学研究費補助金(一般研究(B))研究成果報告書、(1991)
参考文献2
平成15年度(第16期)助成事業分 EMTAF研究助成成果報告書No.16「t−CVT停止時の損傷防止法の確立」:内容、転がり接触下の閉じ込め油が1週間残留の観測。
前記特許2903325の構成では、トルクを負荷するとローラーを中心にして内外輪が軸方向に相対変位する。そのため、伝達経路上に摺接のスプライン嵌合を要する。しかし、摺接面の摩滅、ばらつき、異物、発錆、及び静摩擦から動摩擦に移行の際の、引っ掛かりなどで、相対変位が阻害されて、クラッチが働かないと言った致命的課題を生じた。その対策に、スプライン摺接を排除した特開2007−162926が発明された。また断続クラッチとして用いる場合、正逆回転に対応するため、上記特開2007−162926の出願に記載の図5の如く、正転用と逆転用でスキュウ方向を逆にしたローラー列を別個に要した。更にフリー側に高速回転する一方クラッチの場合は、ローラーは遠心力で、図3の外輪の内周円すい面に沿って大径側に抜け出すと同時にスキュウローラーが軌道面に遠心力で押し付けられて右方に転がり出るため符号1の如く押し出される。
又 遠心力で、保持器のポケット穴のエッジ、符号3、にローラーが食い込み滑ってしまい偏磨耗する。更にトルクを負荷し始める初期は、前記理由でローラーは大径側の端に偏っているので、そこから噛み合いが始まると、内外輪の相対変位の二分だけ小径側に変位する。この状態では、ローラーの小径側には変位できる空間が残されている。しかし、
トルクを負荷して連続粘性回転した場合、ローラーは、内外転走面の粗さ、油膜の厚で摩擦係数に差が生じ、左右何れかに不規則に偏るし、下に向ければ重力で小径側に偏り、図5の38の如く鍔があると、図6の如くローラーはその角部に衝突し転がらずにスリップする。
当該構成の特許2903325の実施上の課題を列記すると、正逆両方向にトルク伝達するには、第一に、軌道輪の回転方向に応じて、素早く全ローラーを一斉に同じ角度だけロックする側にスキュウさせること。
第二に、正転と逆転時に、スキュウ方向反転させる際は、両軌道面に鋏接拘束のローラーを一旦軌道から離して開放し、スキュウ角度を反転させ、その後に再度接触させる、軌道輪の軸方向変位操作手段を要する。
第三に、ローラーが、閉じ込め油膜のトラクションの軸方向成分で、軌道間に吸い込みを開始する初期段階の、相対変位を阻害する要因の軌道輪のスライド摺接箇所の静摩擦から動摩擦への移行時の変動、並びに摺接面の異物の混入、錆び、摩滅抵抗など抵抗要因を排除し、ローラーの噛み合いをアシストする手段を設ける、更に噛み合い開始に備えて、常に最適位置にローラーを規制する。
第四に、過剰入力、衝撃入力などの異常入力に備え、トルクを遮断又は緩和する安全策を要する。
第五に、実施上不可避の取り付け部の動的弾性変形、芯ずれ、角度誤差、ひずみ、による入出力軸間の取り付け誤差、を緩和する。
本発明は背景技術に対して以下の進歩性と効果がある。
当発明は、転がり接触下に3千〜5万気圧の超高圧で閉じ込められて僅か0.0003ミリの薄い油膜が存在し、高粘度油では静止中も1週間の長期に渡り凍結し残存するといった近時の観測結果を踏まえ、その凍結固化膜のせん断抵抗と塑性変形抵抗とで、正逆両方向のトルクをゼロから直結まで、衝撃を弾性と粘性で吸収しながら同期して強固に締結する応答性の優れた電磁力などの補助力を要しない自己保持形で、軽量且つ高トルクで、磨耗の無い、正、逆両方向の省エネのクラッチ、並びに粘性自在接手を提供する。
当発明の基本構成の断面略視図 ローラーの遠心力の保持器穴への作用説明図 ローラーの遠心力作用説明図 遊星ローラーの公転差動説明図 ローラーの端面と鍔の干渉説明図 ローラーの端面と鍔の干渉説明図 請求項1,2,3の実施例断面略視図 遊星ローラー実施例略視図 遊星ローラー実施例略視図 請求項2のトルクを推力変換カムの実施例略視図 積層式での軌道面への同時圧着実施例図 積層式の内外ローラーの軸方向弾性変位曲線 積層式の中間環分割の同時接触実施例 遊星ローラー配置実施例 遊星ローラーによるスキュウ付与実施例、外観略図 積層式の正逆両方向クラッチ実施例 球面ころによる粘性自在接手、作用説明図 球面ころの粘性自在接手、実施例略視図 自在接手における遊星ローラーのスキュウ付与実施例
請求項1の形態について説明する。 ローラー位置の偏りに対してその力は、油膜に浮上で軽微であるので、ソフトな弾性ストッパーで押し返すことで防げる。図7の4の如くばねで、符号2のようにローラーの転がりを妨げないように中心凸部に当てて、押し返す。高速フリー回転する一方向クラッチではローラーには遠心力以上の面圧を生じないので、弾性ストッパーは要せず、平滑面又は図7のスラスト玉軸受39で受ける。従って、保持器の小端側を弾性部材で、大端側を軸受で鋏み、保持器の軸方向の位置を規制する。
請求項2の形態について詳述する。
スプラインを図9の73の如く、三角形のカム状とし、正、逆、何れのトルク75にも、カムで吸い込み側の附勢力74を発生させる。
例えば内輪内径と入力軸を図9の傾斜カム73で嵌合した場合、内輪側面には既に皿ばねの、図7の56の摺接抵抗があり、トルクを負荷すると先ずその摩擦抵抗で、螺旋カムによって僅かに推力を生じ、それにスキュウローラーの吸い込み力が加わり、生じたトルクが図9の螺旋カム73で強い軸力74に変換されるので、例え嵌合面に錆びを生じていても、カムのアシストでクラッチのロックを容易にする。外輪に内輪が吸い込まれてロックに至る軸方向の弾性変位量として5ミリ以上を要するので、円周方向にアソビ図9の76を設ける。またカムの摺接面73には、テフロンコートなどで摩擦係数μを0.03以下にする。
請求項3、の形態について詳述する。ローラーのスキュウ方向を反転させる手段は、既に軌道輪との摺接摩擦で駆動する特開平6−137344(当発明者)が開示されている。しかし、特開平6−137344は、軌道輪と摺接する摩擦部材が、長期の使用で摩滅、変動する恐れがあり、空転時には摩擦損失を伴なう。又スキュウを素早く反転させるため、ローラーを軌道から解放して反転を容易にするための軌道間隔を広げる作用が無い。これに対し、図4の引き出し線に示すところの、円すいローラーを転がすと、小径側77の内側に旋回する原理を用いて、軌道面の両端に弾性体で成る転動部材、例えば径の異なるコイルばねを図4に示す遊星ローラー57,58、を配置すると、59,60、のように軌道輪の回転に伴なって小径側が遅れて、大径側が先行して転動する。これに連れて、図14に示す円環部材5,6のリンクモーションでトルク伝達のローラー37は、クサビとして咬み合う側にスキュウする。遊星ローラーは、油膜に浮上してスキュウしており軌道間を噛み合う側に引き寄せる力を生じトルクローラーの噛み合いをアシストするので都合良く、且つ転がり接触で磨耗しない利点がある。
上述の構成を特許591272435で実施した場合を図7に示す。正逆何れの方向に回転しても、先ずコイルばねの半径方向のバネ反力で軌道を引き離す力が発生し、その後スキュウ方向が反転して、吸い込み力に転じて軌道間隔を狭めて、遊星ローラーの遅れ進みでトルク負荷ローラーを噛みあう側にスキュウさせてトルクの負荷で閉じ込め油膜が固化しロックする。 図7のロッド20を右に押すと内輪35が右に後退してクラッチは遮断される。20の附勢を省くと、内輪はばね56で左に復元し、流体潤滑から始まりローラーの吸い込みに従ってローラーのヘルツ弾性のばねで、内外輪の回転速度の差で生ずる噛み合いショックを吸収し、その後、面圧が上昇して閉じ込め油膜は固化し、自己保持の締結に至る。トルクが消滅するとローラーの弾性復元と油膜の解凍とで軌道から吐き出されて、次の回転方向に備える。遊星ローラーは、クラッチ切り離し中は軌道から離れて転動せず、ON−OFFの瞬間のみ転動する。衝撃、過剰入力すると中間環は左方向に弾性変位し、ストッパー94に衝突し、滑って過負荷を逃がす。
図14の実施例の軌道の両端の遊星ローラー(弾性転動体)40,79の連結軸は保持器6の舌部46の穴と係合しており、舌部46は、反対側の保持器5から伸びた突起8、9の間で移動量が制限されて、遊星ローラーはこの範囲内で公転上を差動する。遊星ローラー40,79、によるローラーへのスキュウ付与力は、弾性接触圧と摩擦係数の積で決まるので安定する。またその必要切線力(トラクション)は、軌道から浮遊した状態のローラーをスキュウさせるだけで小さい。そのため、遊星ローラーはトルク伝達ローラーの自転を妨げず滑って追随する。
当構成を、中間環を用いた積層形の特開2007−162926での実施を図15で説明する。
図15の軸11、と中間環12の間にローラー14が介在し、その軌道の両端には遊星ローラーのコイルばね転動体7、と10が公転すべく配置する。同様に中間環12、と外輪15、との間にもローラー16が介在し、その両端には遊星ローラーのコイルばね転動体、17,18が公転すべく配置する。その機序は、内輪11が回ると皿ばね13で中間環が連れ回りし、外輪が静止しているので外側の遊星ローラー17、18が中間環に連れて転動し、18は17よりも先行して公転する。それによって外側のローラーにスキュウが与えられ、中間環12と外輪15が噛みあって締結して一体になる。すると軸11に対して中間環12と外輪15の一体品が相対回転し始め、内側の遊星ローラー7が先行して公転し、その差動で内側のローラーにもロック方向のスキュウが与えられて今度は軸11と中間環12が一体化する。その結果、軸11は中間環を介して外輪15と一体化しトルクが伝わる。逆転すると、遊星ローラー自体のスキュウによるトラクションの軸方向分力で、中間環が皿ばねに対抗して一度押し返えされて、軌道間隔が広げられ、介在するローラーは解放されてスキュウ反転を素早く、容易にする。
図15のソレノイドコイル19に印加すると、ロッド20が、左方に変位し、中間環12は皿ばね13に逆らって左方に押し出されて、内外軌道面から離れてOFFになる。このとき、図11のグラフの横軸を軸方向の弾性変位量δ、縦軸を負荷トルクとしたとき、内輪側のローラーの変位曲線を21、外輪側ローラーの変位曲線を22とした場合に、変位量に差が生じた点80、で滑りを発生し、それ以上は伝達しなくなる。内輪はローラーの噛み合い面圧で収縮し、外輪は膨張する、中間環は内外周面から高面圧で圧縮されて然程変形しない。従って、内、外、で軸方向の弾性変位量さえ揃えておけば高トルク下でも、自動的に釣り合い滑ることは無い。内側と外側の弾性変位は、ローラーの本数増減で調節する。
又 中間環の内外径の一葉双曲線で出来た曲面は、ローラー16を介して相手側軌道面とトルクの無負荷の段階から接触しいていなければならず、そのためには例えば中間環に図12の62の如くスリットを入れても良いし、更に図10の64のように中間環を64の如く2分割してスプラインで連結しそれぞれを軸方向にバネ81、82、で軌道に圧着しておく、または、テーパーゲージで予め調節しても解決する。
請求項4の、閉じ込め油膜に拠る粘性自在接手を詳述する。
当発明は、前記特許2903325のスキュウしたローラーの接触下の、高圧閉じ込め油膜を、破断しない範囲内で、ねじれ変形させながら、せん断抵抗でトルクを伝達するもので、図16に示すように、ローラー27を球面ころ、外輪の軌道を一葉双曲線と、円曲率との合成の凹曲面として、内輪外径は、外輪よりも直線に近い大きな曲率での合成凹曲面にしてある。円周上の全ローラーの、噛み合い角が1°〜5°の範囲にあれば、一方クラッチとして成立する、又円周上のローラーは円環のため、弾性変形して応力が釣り合うので、全ローラーが比較的均等に噛み合いに参加する。その噛み合いの原理を図16の右の平面モデルに置き換えて示す。上下2枚の曲面の勾配の付いた帯板の間に球面コロを長さ方向に対して点接触に近い接点でスキュウさせて、斜めの方向に転動するように配置した場合、図の上部25、が当発明の外輪の頂点で、下が対角線上の最下部26で示す。内輪の回転軸70に対して外輪の回転軸が69の如く傾いている。
この帯板を丸めたものが、当発明の図16である。内外輪23、24、の回転方向の相対変位の方向は上部では矢印28、31、で、下部では、29、30、になる。球面ころは、矢印35、の向きに転がる。同時に、内外輪23、と25、は軸方向にも相対変位する。交叉角度68、を生じたとき介在するローラー27、32、はローラーの外周の凸球面と、軌道の凹曲面との接触であるが、点接触に近く且つ交叉角度が小さければ、内輪23、24に対して、外輪25,26が傾斜しても、通常の一方クラッチの要件である噛み込み角度5°以下が確保されていれば、ローラー27、32、は共に軌道面の厚肉側に滑ることなくクサビ効果でトルクが面圧に変換されて高圧の閉じ込め油膜を生じ、油膜の、ねじれ変形での強度低下のない範囲で、小さな交角用の粘性伝達自在接手を得る。軸心に対するローラーの勾配を5°以下で軌道を球面に近づけると、ローラーが点接触に近づき許容交叉角度は大きく出来るが、面圧が高くなりトルク容量が低下する。
当発明の基本形の図1、の噛み込み角度は、通常のローラークラッチにおける4.5°に対して2°付近で小さく、内輪と外輪の軸心の交叉角68が2°以下であれば、通常のローラークラッチのクサビ角4.5°を大きく下回り要件を満たす。
従って、図17の中間環34、の内側ローラー51と外側ローラー50で交叉角度がそれぞれ2°であれば、接手ユニット全体では倍の4°の交叉角度まで許容でき、自在接ぎ手として成立する。通常駆動力伝達軸では、取り付け誤差による故障を避けるため、等速自在接手、又はフック式ジョイントが併用される。ところがこれらの転動体使用のジョイントでは、交叉角度が小さいと、転動体の揺動量が極端に小く高面圧で微小振幅の高速揺動で、しかもグリース潤滑で致命的疑似圧痕を招く。そのため交叉角度が2°以下での使用を禁じている。
請求項1,2,3の実施例を図7に示す。
図7略視図の、符号35は入力軸で、36が外輪を示し、35と36の5°程度の円すい面の一葉双曲線でなる曲面の軌道間に、8°程にスキュウした円筒のローラー37が線接触して介在する。ローラー37は保持器5、6のポケット溝に収容されている。図7の引き出し線上に示すローラーの押さえばねは、説明都合上コイルばねを記載したが、実施は皿ばねである。図7の4の如く、鍔との干渉を防ぎ自転を促す。スキュウ角度12°以上は、ローラーの両端で面圧差を招くので避ける。図7の三角カム73は、5°程度のリード角とし、円周上に複数個設ける。角度が大きいとトルク負荷中のクラッチの切り離しの20の操作力が大きくなる。一方クラッチでは、カム面は片側斜面で反対側を平行にする。図7では内輪内径に示したが、外輪の外径でも良い。
請求項3のスキュウ付与の実施例は、図14の如く、ローラーの左右に大小の遊星コイルばね製46、79の遊星ローラーと37は回り止めして固定する。コイルばねの代わりに図8の薄肉弾性円筒41,42でも良い。図14の両側のスキュウ付与部材の円環5、には左方向に腕状の突起8、9が伸びて、円環6から外径方向に突き出た舌部46を8,9、で鋏んで、ローラーのスキュウ変化量を規制する。5、6にはローラー外径と摺接するガイド面45、84、を設ける。遊星ローラーの軌道面との弾性変形量は1ミリ程度で、接触圧を1kgf程度とすれば切線力(スキュウ付与力)は、0.15Kkgfが得られるので、適宜コイルばねの線径で調節し外周は研削加工で転動ローラーに適した精度とする。内輪と外輪の円錐面は、ゲージで位置合わせの後、4点接触の玉軸受67で、強固に位置決めする。全部品は、軸受鋼SUJ−2材で、熱処理でHRC62〜65に硬化し、転がり軸受のJISに準じた精度で研削仕上げを施す。前述の実施説明以外に図8、18の如くトルク負荷ローラーの円筒ころ、又は球面ころ(図省略)の両側に遊星ローラーを配置すればトルク容量は増大するが、相互差管理が煩雑になる。
又 遊星ローラーの数は図13のように円周上3箇所あれば良い。
積層式での正逆両方向クラッチの実施例を図15に、請求項4の自在接手の実施例を図16、図17に示す。
図16のボールブッシュ47は、内外輪に交叉角を生ずる際のガイドになる。
これを特開2007−162926の図15の形態で実施すると図17になる。中間環34、85は一体固定で、皿ばね48,49で右方向に押されるので、球面ローラー50,51は軌道に圧着する。球面ローラー50,51、の両端には、遊星ローラー52,53、が配置され、前述の図15同様に正逆両方向に対抗のスキュウが付与される。図14同様に図19にローラーにスキュウを付与する分割保持器の展開図を示す。外輪34と86はセンタリング間座71でホールドされて、71は、バネ87で圧接の球面の調心間座72で同じくセンタリングされる。ローラー50、51、は中心のボールブッシュ88、89、でセンタリングガイドされる。慣性ウエイト33は、正転から急制動の時、ねじ90で軸力になり、中間環34を左に押し、瞬時にトルクが遮断されて差動制限が解除される。部品の精度。材料は球面コロ軸受に準じ遊星ローラーの外径は転がり軸受の転動体に準ずる。保持器は、表面をカタサHV500以上にする。
車両の駆動系の自動変速機、差動制限装置、衝撃緩和のトルク伝達装置(トルクアブゾーバ)衝撃吸収の自己保持形フルシンクロのクラッチ装置、粘性流体接手、重量物の緩降装置など広汎な機械要素の省エネ化に供する。
4・・ばね
5、6・・分割保持器
7、10,17、18、40、41、42、79、52,53、57、58・・遊星ローラー
8、9位置決め突起
11、35、63・・内輪(軸) 12、34、85・・中間環
4、13、48、49、56、81、82、87、91・・ばね
14・・ローラー 15、25、26、36、86・・外輪 16・・連結軸
19・・ソレノイド 20・・プッシュロッド
21・・内側ローラーのみの軸方向弾性変位曲線
22・・外側ローラーのみの軸方向弾性変位曲線
23、24・・内輪 27、32、50,51・・球面ころ
28、29、30、31・・回転方向 38・・鍔
39、67・・軸受 46・・ストッパー
47、88、89、・・球面ブッシュ
59、60・・公転差 61・・軌道面 62・・スリット
64・・スプライン嵌合面 68・・交叉角度
71・・センタリング環 72・・センタリング補助環
73・・カム 74・・推力 75・・トルク作用方向
76・・バックラッシュ空間 33・・慣性ウエイト 90・・ねじ
94・・ストッパー

Claims (4)

  1. 一葉双曲線の略円すい状の内輪と外輪の軌道間に、軸心に対して3次元に傾斜して線接触する複数個のローラーを配置し、トルクを負荷したときに、ローラーが軌道間に食い込むことで接触下の閉じ込め油膜の粘性で、内輪と外輪間のトルク伝達を増減する流体摩擦伝達力制限装置において、保持器の小径側を弾性部材で、大径側を面で挟んで位置規制する前記ローラークラッチ。
  2. 前記流体摩擦伝達力制限装置において、トルクを推力に変換の、軸心に傾斜のカムでローラーの噛み合いをアシストするローラークラッチ。
  3. 前記構成において、遊星ローラーの公転上の遅れ進みで、トルク伝達するローラーに、スキュウを付与する前記ローラークラッチ。
  4. 前記構成において、球面ころの閉じ込め油膜による粘性自在接手。
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