JP2011142254A - Led光源装置の色度調整方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】色度ばらつきが少ないLED光源装置を製造するためのLED光源装置の色度調整方法を提供すること。
【解決手段】LED素子を被覆する樹脂部材を有するLED光源装置の色度調整方法において、樹脂部材が仮硬化の状態で色度測定を行い、目標色度とのずれ量に従って樹脂部材の厚みを変化させることにより、LED光源装置の色度を変化させ、目標色度からはずれたLED光源装置の色度を目標範囲内に収めることが可能となるため、色度ばらつきの小さいLED光源装置を提供することが可能となる。
【選択図】図1

Description

本発明は、LED素子から発せられる光を受けて励起させることにより、波長変換光を発する蛍光体を含有した樹脂層を備えたLED光源装置の色度調整方法に関する。
従来、化合物半導体である発光ダイオード(以下、LEDと略す)は、長寿命や小型化の特徴を生かして光源装置として幅広く利用されている。また、窒化ガリウム系化合物半導体等による青色を発光するLEDが開発され製品化されたことにより、LED素子を封止する樹脂に黄色光を発する蛍光体を含有させ、青色光と黄色光との混合により疑似白色光を得る白色発光型のLED光源装置が広く実用化されている。
このようなLED光源装置においては、蛍光体を含む樹脂によって構成される波長変換層の層厚が光源装置の色度に大きく影響することが判っている。そのため、色度ばらつきのないLED光源装置の製造を実現するためには、波長変換層の厚みを精度良く制御することが求められる。しかし、例えば金型などを用いた場合においても、樹脂部材の硬化収縮特性などの影響により、波長変換層厚を設計値どおりに形成するのは非常に困難である。
そこで、上記白色発光型のLED発光装置において、基板にワイヤーボンディングで接続された青色発光のLED素子を覆い、青色光を黄色光に変換する蛍光体を含む樹脂により構成された封止樹脂を形成し、その樹脂が硬化した後に封止樹脂の表面を研磨することで、封止樹脂の層厚を一定の膜厚に揃え、これによりLED光源装置の色度ばらつきを極力小さくする色度調整方法が開示されている(例えば特許文献1を参照のこと)。
この特許文献1の色度調整方法によれば、製造したLED光源装置の色度を、常に目的の色度範囲に入るように調整することができ、LED光源装置の品質を向上させることができる。
また、上記白色発光型のLED発光装置において、LED素子を覆われた蛍光体を含む樹脂が半硬化(仮硬化)状態で色度を測定し、そこで得られた色度測定データに基づき、色度を青色方向に調整したい場合は、半硬化状態の樹脂の表面から冶具を押し付けて樹脂の厚みを薄くし、その状態を保ったまま完全に硬化することで、目的の厚みの樹脂形状を得る。また、色度を黄色方向に調整したい場合は、樹脂を塗布した樹脂厚みよりも厚くなる様に、外周部にある半硬化状態の樹脂を中央部(LED素子の直上部分)に盛り上げることで樹脂の厚みを厚くし、その状態を保ったまま半硬化状態の樹脂を完全に硬化させることで、目的の形状のLED光源装置を得る方法も知られている(例えば、特許文献2を参照のこと)。
この特許文献2の色度調整方法によれば、特許文献1の手法で行っていた封止樹脂の研磨の手間を省いて製造工程を簡素化し、色度のバラツキが小さいLED光源装置を得ることができる。
特開2001―177158号公報(段落[0028]−[0029]、図2) 特開2009−259868号公報(段落[0038]−[0042]、図1)
しかしながら、特許文献1、2のLED光源装置の色度調整方法には、以下の課題を有している。
特許文献1のLED光源装置の色度は、封止樹脂の層厚に大きく影響されるものではあるが、それだけで決定されるものではない。つまり、この封止樹脂の層厚の他に、封止樹脂内の蛍光体の分散状態や粒度分布、またLED素子の発光波長など、様々な要素によって色度が変化するので、封止樹脂の層厚を常に一定の厚みに揃えただけでは、LED光源装置の色度ばらつきを抑えることは出来ない。
また、この特許文献1の色度調整方法では、封止樹脂の表面を研磨するにあたって、LED素子を封止する樹脂に、ある程度以上の硬さが求められるため、光源装置で使用できる樹脂材料が限定される。更に、この研磨の際に封止樹脂やワイヤーへ押圧力が加わるため、封止樹脂のクラックやワイヤーの断線が懸念される。
また、LED光源装置の外形サイズは、例えば、1mm角程度の小さなパッケージ構造のものが存在する。この様な小型のLED光源装置の色度調整方法に、特許文献2に記載の方法を適用し、製造したLED光源装置の色度を青色方向に調整したい場合は、特許文献1に記載の手法に比べて色度の微調が可能となり、バラツキの少ないLED光源装置を得ることができる。
ところが、LED光源装置の色度を黄色方向に調整したい場合は、仮硬化状態の樹脂の外周方向から冶具で押圧して行うことになるので、LED素子に接続される2本のワイヤーに偏った応力が掛かることが想定される。封止樹脂の内部にその偏った応力が掛かったままのLED光源装置は、製造が完了した後に、突然ワイヤーが断線してしまう虞があり、装置の信頼性が低い。
本発明の目的は上記課題を解決し、LED光源装置の色度調整を行ったとしても、色度ばらつきの少なく、信頼性の高いLED光源装置を製造する方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のLED光源装置の色度調整方法は、下記記載の手段を採用する。
本発明のLED光源装置の色度調整方法は、熱硬化性樹脂に蛍光体を含有する封止樹脂で、LEDチップを封止する工程と、仮硬化条件で、封止樹脂を硬化する仮硬化工程と、封止樹脂が仮硬化の状態で、LEDチップを発光させて色度を測定する工程と、この色度に基づき決定された再加熱条件で加熱することにより、封止樹脂を軟化させて、封止樹脂の厚みを厚くする工程と、を有することを特徴とするものである。
また、本発明のLED光源装置の色度調整方法は、熱硬化性樹脂に蛍光体を含有する封止樹脂で、LEDチップを封止する工程と、仮硬化条件で、封止樹脂を硬化する仮硬化工程と、封止樹脂が仮硬化の状態で、LEDチップを発光させて色度測定データを取得する工程と、封止樹脂を再加熱して、封止樹脂を軟化させる工程と、色度を青方向に調整したい場合には、色度測定データに基づき決定された再加熱条件で加熱することにより封止樹脂を軟化させて、封止樹脂の厚みを厚くし、色度を黄色方向に調整したい場合には、再加熱条件で加熱することで封止樹脂を軟化させた後に、色度測定データに基づき決定された押圧量で押圧して、封止樹脂の厚みを薄くする工程と、を有することを特徴とするもので
ある。
また、本発明のLED光源装置の製造方法は、前述した封止樹脂の厚みを厚くする工程が、記色度測定データに基づき決定された、仮硬化の状態の封止樹脂から所定の間隙を空けた位置に、樹脂厚み規制部材を配置した後に、再加熱条件で加熱することにより、封止樹脂を軟化させる工程であることを特徴とするものである。
また、本発明における蛍光体は封止樹脂中に均一に分散していることを特徴とするものである。
本発明のLED光源装置の色度調整方法によれば、目標色度から外れたLED光源装置の色度を、目標範囲内に収めることが可能となる。従って、色度ばらつきの小さいLED光源装置を提供することが可能である。
また、本発明においては、樹脂部材に対して加圧するなど外部から過剰な力を加えるのではなく、樹脂部材の自体の自然な変形により色度調整を行っているため、樹脂部材中のLED素子やワイヤーに偏った内部応力が加わることがなく、LED素子やワイヤーへのダメージがない。また、従来の様に樹脂部材の研磨等も行わないため、樹脂部材のクラック等も発生しないため、信頼性の高いLED光源装置を製造することが出来る。
また、本発明においては、樹脂部材の形状を殆ど変化させず色度調整を行うことができ、色度調整有無において、LED光源装置の外観やLED光源装置の指向特性などの光学特性が変化することがなく、色度調整工程を行ったものと行わなかったものを同様に扱うことができる。
LED光源装置の製造工程を示すフローチャートである。(実施例1) LED素子における実装工程を示す断面図である。(実施例1) ポッティング工程を示す断面図である。(実施例1) 樹脂仮硬化工程を示す図である。(実施例1) 色度測定工程を示す断面図である。(実施例1) 色度調整する方向を示す色度図である。(実施例1) 色度調整工程を示す断面図である。(実施例1) 色度調整工程の変形例を示す断面図である。(実施例1) 色度調整工程の変形例における樹脂部材の形状変化を示す断面図である(実施例1)。 LED光源装置の色度変化データおよびそのときの樹脂形状を示す図である。(実施例1) 本発明において色度調整可能な範囲を示す色度図である。(実施例1) 色度調整工程の他の変形例を示す断面図である。(実施例1) 個片化工程を示す断面図である。(実施例1) LED光源装置の製造工程を示すフローチャートである。(実施例2) 色度調整する方向を示す色度図である。(実施例2) 色度調整工程を示す断面図である。(実施例2) 色度調整工程における樹脂部材の形状変化を示す断面図である。(実施例2) LED光源装置の色度変化データおよびそのときの樹脂形状を示す図である。(実施例2) 色度調整可能な範囲を示す色度図である。(実施例2) 他の色度調整工程を示す断面図である。(実施例2) 個片化工程を示す断面図である。(実施例2)
以下図面に基づいて、本発明のLED光源装置の色度調整方法の具体的な実施の形態、及びその変形例を詳述する。
[LED光源装置の色度調整方法の概略説明:図1]
まず、実施形態1におけるLED光源装置の色度調整方法の概略を、図1によって説明する。図1は、LED光源装置の製造工程を示すフローチャートである。
図1に示すように、まず、平板状の基板表面にLED素子を固着し、LED素子をワイヤーボンディングなどによって基板の電極部と電気的に接続するLED素子実装工程を行う(M1)。次に、蛍光体を含有する樹脂部材を基板上に実装したLED素子に被覆するポッティング工程を実施する(M2)。尚、本実施形態で使用する樹脂部材は、熱硬化型樹脂である。
次に、基板を含む樹脂全体を加熱し、樹脂部材を仮硬化状態となるまで加熱する、樹脂仮硬化工程を実施する(M3)。ここで、本実施形態における仮硬化状態とは、樹脂部材の表面が硬化しており、その内部が未硬化もしくはゲル状となっている状態のことを指す。
次に、樹脂が仮硬化状態のままLED素子を発光させて、LED光源装置の色度測定データを取得する、色度測定工程を行う(M4)。
ここで、色度測定工程において取得したLED光源装置の色度測定データが、予め決められた目標の色度範囲内にない場合は、封止樹脂の厚みを変化させてLED光源装置の色度を変化させる、色度調整工程を実施する(M5)。
その後、樹脂本硬化工程(M6)を行い、最後に、LED光源装置をダイシング等により個片化する個片化工程(M7)を実施し、色度バラツキが小く、かつ信頼性の高いLED光源装置が完成する。
なお、色度測定工程(M4)において取得した、LED光源装置の色度測定データが目標色度範囲内である場合は、上記色度調整工程を行わず、そのまま加熱して樹脂部材を完全に硬化させる(樹脂本硬化工程(M6))。その後、個片化工程(M7)を経て、目的のLED光源装置が完成する。
[LED素子実装工程(M1)の説明:図2]
次に、LED素子実装工程(M1)の詳細を、図2を用いて説明する。図2は、LED素子実装工程後の状態を示す断面図である。
図2に示す様に、LED素子1を、接着剤等(図示せず)によって基板2に固着して実装する。なおここで、LED素子1は、基板2上の電極(図示せず)に、2本のワイヤー3を介して電気的に接続される。また、基板2上にはLED素子1やワイヤー3を囲う、樹脂ポッティング用の枠材4を配置する。枠材4は基板2と密着しており、枠材4の無い部分に、樹脂をポッティングした際に枠材4がダムとなり、外側に樹脂が流れ出さない様にするためのものである。ここで、LED素子1は、本実施形態においては、一例として発光中心波長が450nm程度の青色ダイオードを用いた。
[ポッティング工程(M2)の説明:図3]
次に、ポッティング工程(M2)の詳細を、図3を用いて説明する。図3は、ポッティング工程を説明するための断面図である。
図3に示すように、基板2上の枠材4で囲われた部分に、樹脂部材5をディスペンサ20によって定量塗布する。この工程により、LED素子1やワイヤー3が樹脂部材5によって被覆される。ここで本実施形態においては、樹脂部材5は蛍光体(図示せず)を含有した透光性のある材質であり、この蛍光体が樹脂部材5中に均一になる様に混ぜられているものとする。また、本実施形態における蛍光体は、LED素子1からの青色光を黄色光に波長変換する蛍光体であり、樹脂部材5は、熱エネルギーによって硬化する熱硬化型のシリコーン樹脂によって成るものを用いた。この樹脂部材5は、上記蛍光体の他に散乱材を含有していても良い。
[樹脂仮硬化工程(M3)の説明:図4]
次に、樹脂仮硬化工程(M3)について説明する。図4(a)は、樹脂仮硬化工程(M3)を説明するための図であり、図4(b)は、本実施形態で用いる熱硬化性樹脂の特性を示す図である。
図4(a)に示す様に、ポッティング工程によって定量ポッティングされた樹脂部材5は、枠材4に沿った形状となり、この枠材4を配した状態で加熱することで、樹脂部材5を仮硬化の状態にする。樹脂部材5を仮硬化状態にする加熱条件は、使用する熱硬化性樹脂の種類によって異なるが、一例として150℃、5時間で完全硬化するシリコーン樹脂を用いた場合、60℃で1時間、もしくは80℃で15分程度加熱した後に加熱を止めることにより行う。
ここで、樹脂部材5を仮硬化状態とするための熱硬化性樹脂の特性について説明する。図4(b)において横軸は加熱時間であり、縦軸は樹脂の粘度を示している。図4(b)における点線の特性曲線43は、加熱により樹脂粘度が低下した状態で、一旦加熱を止めて常温に戻したときのプロファイルを示しており、上述した仮硬化状態とは、特性曲線43における点Yの状態のことを示している。
この仮硬化状態(点Y)においては、初期状態の樹脂に、ある程度の熱エネルギーが加えられているため、初期状態よりも粘度が高い状態となり、つまりこの状態では、未だ樹脂が完全に硬化しておらず樹脂の表面のみが硬化して、内部が未硬化の状態となっている。この様な作用を受けて、樹脂が仮硬化状態であれば、樹脂の外形形状を保つことが可能となる。
[色度測定工程(M4)の説明:図5]
次に、色度測定工程(M4)について説明する。図5は、色度測定工程を示す図である。
図5に示すように、色度測定工程(M4)では、樹脂部材5が仮硬化の状態でLED素子1を発光させて、LED光源装置の色度測定データを取得する。ここで、LED光源装置の色度は、LED素子1から発光された青色光と、青色光の一部が樹脂部材5中の蛍光体に入射して波長変換された黄色光の割合により決定される。従って、樹脂部材5中の蛍光体濃度や蛍光体分散状態、あるいは樹脂部材5の厚みなどが色度に影響を及ぼすため、同じ工程で作製したLED光源装置においても、色度がばらつくことが充分起こりえる。
そこで、この色度測定工程(M4)において、LED光源装置の色度が所望の色度範囲内に入っているかどうかの判断を行う。図5においては、LED光源装置からの発光30
のうち、素子直上の光線を色度測定器に接続された光ファイバ31に入射させることにより、LED光源装置の色度測定を行っている。ここで、LED光源装置の色度が所望の色度範囲に入っている場合は、枠材4を取り外さずにそのまま再度加熱して、樹脂本硬化工程(M6)を行う。この樹脂本硬化工程は、樹脂部材5が完全硬化するまで樹脂を加熱するもので、シリコーン樹脂の一例においては150℃、5時間の加熱で、樹脂部材5が完全に硬化する。
[色度調整工程(M5)、樹脂本硬化工程(M6)の説明:図6−図7]
ここで、上述の色度測定工程(M4)において、LED光源装置の色度が所望の範囲内に入っていない場合、色度調整工程(M5)を実施する。図6は、LED光源装置を色度調整する方向を示す色度図である。図7は、色度測定工程(M6)の一例を示す断面図である。
本実施形態においては、図6に示すように、色度測定工程(M4)で測定したLED光源装置の色度(点A)が、所望の色度範囲(範囲B:狙いの色度範囲)に対してLED素子1の発光色側、すなわち青色方向にずれている場合(黄色方向にシフトさせたい場合)について色度調整工程を行うものである。
図7(a)は、色度測定工程(M4)において、樹脂部材5が仮硬化状態で、LED光源装置の色度を測定した後、枠材4を取り外した状態を示しており、図7(b)(c)に、その後に更に加熱をして樹脂部材を軟化させたときの状態を示している。
まず、色度測定工程(M4)が終了したら、枠材3を基板2から取り外す。この図7(a)に示す状態においては、上述の通り樹脂部材5は仮硬化状態であるため、先に示したように、樹脂部材はある程度の粘度を持っており、基板2から枠材4を取り外しても、樹脂部材5はその形状を保ったままとなる。
次に、色度調整工程(M5)により、この状態のLED光源装置を所定の加熱条件で再加熱することにより、図7(b)に示すように樹脂部材5自体の自重により自然と変形し、更に加熱すると図7(c)に示すように変形する。ここで、樹脂部材5の表面と基板2の上面は固着しているため、樹脂部材5の端点を示す点Zの位置は変化することはない。その上で、再加熱により樹脂部材5の内部における未硬化の部分の粘度が低下するため、表面張力に対してより安定な形状である半球形状へと変化する。したがって、色度測定工程(M4)で得られた色度測定データに基づき決めた再加熱の時間や温度(熱容量)により、図7(b)の形状とすることも、図7(c)の形状とすることも任意に選択可能となる。なお、図7(b)(c)における点線は、変形前の樹脂部材5の形状を示すが、この再加熱することにより、LED素子1の直上部の樹脂部材5の厚みが増加していることが分かる。色度調整工程(M5)における再加熱の条件については、一例として、上述のシリコーン樹脂を用いた場合、50℃、1分の再加熱で図7(b)の状態になり、それ以上の時間加熱することで、図7(c)の状態になることを確認している。
ここで、一般にLED素子1は、発光する青色光の強度分布が一様ではなく、放射角度によって発光強度に差がある。従って、樹脂部材5の体積すなわち蛍光体の量が等しい場合でも、蛍光体をLED素子1に対してどの角度の位置に配置しているかで色度は大きく異なる。具体的には、LED素子1の直上方向の光強度は強く、横方向の光強度は弱いため、LED素子1の上部に蛍光体が多い、すなわち樹脂部材5の厚みが厚くなればLED光源装置の色度は蛍光体の発光色である黄色方向に変化し、LED素子1の上部に蛍光体が少ない、すなわち樹脂部材5の厚みが薄くなれば、LED光源装置の色度はLED素子1の発光色である青色方向に変化する。
この様な任意の形状に変形させるために、樹脂部材5の粘度を任意に変化させ、目的の外形形状を作成することができる。その原理について、図4(b)を用いて説明する。図4(b)において、特性曲線40は150度で加熱した場合の樹脂粘度変化を示し、特性曲線41は80度で加熱した場合の樹脂粘度変化を示し、特性曲線42は常温に近い30度で加熱した場合の樹脂の粘度変化を示している。
図4(b)から、樹脂を硬化させるためには一定量の熱エネルギーが必要であるため、高温で加熱すれば短時間で樹脂が硬化し(特性曲線40)、低温で加熱すれば樹脂が硬化するまで長時間の加熱が必要となる(特性曲線42)。また、樹脂を加熱することにより、時間の経過と共に樹脂の粘度が初期粘度に対して一度低下するが、この粘度の低下量は加熱温度によって異なる。つまり、熱硬化性樹脂は、樹脂を高温で加熱した場合、粘度が大きく低下して最下点に至った後に急峻に粘度が高くなり(特性曲線40)、樹脂を30度程度の常温に近い温度で加熱した場合は、樹脂の粘度が初期から殆ど低下しないまま粘度が最下点に至り、その後はゆっくりと上昇する特性(特性曲線42)を有していることが判る。
ここで、上述した仮硬化状態(点Y)から、その後続けて常温に近い低温(30度)で樹脂を再加熱すると、樹脂の粘度はそこから極端には低下しないまま最下点に至り、その後徐々に粘度が高くなる。そして、この条件で樹脂を再加熱すれば(樹脂本硬化工程(M6))、樹脂の粘度が殆ど低下しないので、仮硬化時の樹脂の外形形状を若干変形させた状態で、樹脂を完全に硬化させることができる。
それに対し、仮硬化状態(点Y)から、高温(150度)で樹脂を再加熱すると、樹脂の粘度はそこから大きく低下した後、最下点を経て急峻に粘度が高くなる。そして、この条件で樹脂を再加熱すれば(樹脂本硬化工程(M6))、樹脂の粘度が大きく低下して外形形状が変化し、その変化したままの外形形状で硬化させることができる。
また、仮硬化状態(点Y)から、低温(30度)と高温(150度)の間の温度(80度)で樹脂を再加熱すると、樹脂の粘度は上記の中間の変化となる。そして、この条件で樹脂を再加熱すれば(樹脂本硬化工程(M6))、高温と低温の中間の樹脂の外形形状となる。
この様にして、仮硬化状態(点Y)から行う熱容量を見積もった再加熱条件により、樹脂粘度を任意に変動させることができるのである。そして、図7(a)の状態から図7(b)、図7(c)の状態へ任意に変化させることにより、LED素子1上部の樹脂部材5の厚みが増加するため、LED光源装置の色度は蛍光体の発光色方向、すなわち黄色方向へ変化させる。その後、色度測定工程(M4)で得た色度測定データに基づき、色度調整工程(M5)における樹脂部材の再加熱量を調節することで、LED光源装置の色度の黄色方向へのシフト量を任意に微調整することが可能となる。
ここで、樹脂本硬化工程における加熱条件に関して、図7(c)の状態においては樹脂が安定した形状であるため、その後、高温で加熱してもその形状を保つことができる。ところが、図7(b)の樹脂形状は、樹脂の表面張力に対して不安定な状態であるため、その状態のまま高温で加熱すると、樹脂の外形形状が変形してしまう虞がある。したがって、この場合は、樹脂の粘度が低下しない程度の低温で加熱する必要がある点に留意する必要がある。
[色度調整工程の変形例1の説明:図8−図10]
上述の色度調整工程においてLED光源装置の色度を変化させることは可能であるが、上述した図7(a)と図7(c)との比較において、樹脂部材5の形状が若干変化してい
るため、同一の商品とするには形状の違いが懸念される場合がある。その若干の形状変化が懸念される場合に、上記と同様の原理を用いてその点を改善する方法を図8に示す。図8は、色度測定工程(M6)の変形例を示す断面図である。図9は、色度調整工程の変形例における樹脂部材の形状変化を示す断面図である。図10、図11は、本変形例に係る色度図データである。
図8(a)に示す様に、上述した色度測定工程(M4)において、LED光源装置の色度を測定した後、樹脂部材5が仮硬化状態のまま、基板2から枠材4を取り外す。そして、スペーサ9を介して樹脂部材5の上部に、所定の間隙を空けて板材7を配置する。ここで、基板2からの板材7の高さ8は、色度測定データと目標の色度範囲との関係において、スペーサ9によって予め決められた高さとなっているものとする。この図8(a)に示す状態においては、上述の通り樹脂部材5は仮硬化状態であるため、樹脂部材5の表面は硬化し、内部は未硬化もしくはゲル状となっている。ここで、板材7は下面に平坦面を有するものであれば良く、材質は特に問わない。
次に、この図8(a)に示す状態のLED光源装置を、所定の加熱条件で再加熱することにより、上述したと同様に、樹脂部材5が半球形状へと徐々に変化してゆく。ここで、板材7の高さ8を、予め決められた高さにスペーサ9で調節してあるので、樹脂形状5は図8(b)の状態となる。ここで、樹脂部材5が、半球形状に変化する過程の途中の高さに板材7が存在するため、板材7によって形状変化が規制され、樹脂部材5の上面が板材7の下面に沿った平坦面になる。なお、本工程における加熱条件は、板材7の高さ8などによって異なるが、一例として、上述のシリコーン樹脂を用いた場合、50℃、1分以上加熱することで、図8(b)の状態になることを確認している。次に、図8(b)の状態で更に加熱することで樹脂本硬化工程(M6)を行って、樹脂部材5の形状を硬化させることにより、樹脂部材5の厚みが変化したLED光源装置となる。ここで、図8(b)の状態は樹脂形状が安定しているため、その後高温で加熱しても、樹脂の外形形状が変化することはない。
この様にして、色度調整工程の変形例においては、図9に示すように、スペーサ9の高さ8を変えることによって、図9(a)の樹脂部材5の形状から図9(b)や図9(c)の形状に変化させることが可能となる。ここで、図9における樹脂部材5の厚みは、h1<h2<h3である。従って、上述の通り、LED素子1上部の樹脂部材5の厚みを増加させて、LED光源装置の色度は蛍光体の発光色方向、すなわち黄色方向へ変化させる。そして、色度測定工程(M4)で取得した色度測定データに基づき、色度調整工程(M5)における再加熱時の板材7の高さを調節することで、LED光源装置の色度の黄色方向へのシフト量を、任意に微調整することが可能となる。
ここで、上述の色度調整工程を行った後のLED光源装置の樹脂形状に関しては、上面が板材7により平面となるため、色度調整工程を行わないLED光源装置と比較しても樹脂形状が大きく変化しない。従って、色度調整工程を行ったLED光源装置と、色度調整を行わなかったLED光源装置の指向性などの光学特性を殆ど同じとし、また、特に区別なく他の光学部品との組み合わせることが可能となる。例えば、レンズなどの光学部品を、LED光源装置の樹脂部材上に組み合わせて使用する場合、LED光源装置の樹脂形状が異なってしまうと困難となるが、本変形例においては問題なく使用できる。
ここで、図9に示した色度調整工程(M5)を行った場合の色度変化ついて説明する。図10(a)は、実際にこの変形例を用いて作製したLED光源装置の色度図データである。なお、図10(a)における点Aは、色度調整工程を行わないLED光源装置の色度座標を示し、点C、Dは、本実施形態の色度調整工程(M5)を行った後の色度を示している。図10(b)は、同図(a)の各点に対応した樹脂部材5の形状を示している。ここで、各点の樹脂形状における樹脂部材5の厚みは、図9と同様にh1<h2<h3である。また、図11は、色度調整が可能な色度範囲を示す色度座標である。
図10(a)に示す様に、色度調整工程(M5)を行って樹脂部材5の厚みを増加させることによって、LED光源装置の色度を、点Aから点C、または点Aから点Dに変化(黄色方向に変化)させることが確認できた。
この様に、本変形例における色度調整工程(M5)を適用すれば、図11において、x=0.33、y=0.33を中心として、x、yともに±0.05の範囲Kを目的の色度範囲とした場合、本実施形態における色度測定工程(M4)において、LED光源装置の色度が範囲Lに入っていれば、目的の色度範囲Kに入るようにLED光源装置の色度調整をすることが可能であることが判った。ここで、色度範囲Lは、目的の色度範囲Kに対してLED素子1の発光色側である範囲を示す。
[色度調整工程の変形例2の説明:図12]
次に、上記色度調整工程(M5)の他の変形例について説明する。
上述の実施形態においてはLED光源装置を一つずつ色度調整していたが、それに限るものではなく、多数個のLED光源装置を一度に色度調整することも可能である。図12は、色度調整工程(M5)の変形例2を示す概略図である。
まず、LED素子実装工程(M1)にて、多数個のLED素子を基板2表面に実装し、ポッティング工程(M2)、樹脂仮硬化工程(M3)、色度測定工程(M4)を経て、色度測定データに基づき、色度調整工程における加熱条件を決定する(図12(a))。
次に、図12(b)に示す様に、樹脂部材5から所定の間隙を空けた色度調整用の板材7’を配置する。
次に、図12(c)に示す様に、複数個のLED光源装置を同時に再加熱して、樹脂部材5を軟化させて樹脂部材5の厚みを増加させた後に、再度加熱量をコントロールすることで、樹脂部材5を本硬化させる(樹脂本硬化工程(M6))。この様な手法を採れば、多数個を同時に色度調整することも可能となる。
[個片化工程の説明:図13]
次に、本実施形態における最後の工程である個片化工程について説明する。図13は、個片化工程(M7)を示す断面図である。
上述した樹脂本硬化工程(M6)が完了した後に、図13に示すように、樹脂部材5が完全に硬化したLED光源装置を、ダイシング装置等を用いて個片化する個片化工程(M7)を行うことで、目的のLED光源装置が完成する。なお、この個片化工程では、図13(a)に示す様に、基板2を切断する6aの位置を切断しても良いし、図13(b)に示す様に、樹脂部材5と基板2を併せて切断する6bの位置を切断しても良い。
上述のように、本実施形態に記載のLED光源装置の色度調整方法を用いることで、目標の色度に対してLED素子の発光色側にずれたLED光源装置の色度を微調整して、目標の範囲内に色度を修正することが可能となる。
また、本実施形態に記載の色度調整方法を用いることで、LED光源装置の色度が例えば樹脂部材中の蛍光体の分散状態や樹脂部材の厚みなどのばらつきの影響で、所望の色度範囲からずれてしまった場合でも、樹脂部材の完全硬化前にその色度を測定し、目標の色度とのずれ量に基づいて、樹脂部材の厚みの増加量を、樹脂部材自体の自然な変形により
コントロールすることが出来る。そのため、目標色度に対してLED素子の発光色側にずれたLED光源装置の色度を、目標範囲内に収めることが可能となる。従って、色度ばらつきの小さいLED光源装置を提供することが可能となる。
また、本実施形態においては、樹脂部材に対して加圧するなど外部から力を加えるのではなく、樹脂部材自体の自然な変形を用いて色度調整を行っているため、樹脂部材中のLED素子やワイヤーに偏った余分な力が加わることがなく、LED素子やワイヤーへのダメージがない。また、樹脂部材の研磨等も行わないため、樹脂部材のクラック等も発生しないため、信頼性の高いLED光源装置を製造することが出来る。
また、本実施形態に記載の色度調整方法においては、樹脂部材の形状を殆ど変化させず色度調整を行うことができ、色度調整の有無によって、LED光源装置の外観やLED光源装置の指向特性などの光学特性が変化することがなく、色度調整工程を行ったものと行わなかったものを同様に扱うことが可能である。
[LED光源装置の色度調整方法の概略説明:図14]
次に、実施形態2におけるLED光源装置の色度調整方法の概略を、図14を用いて説明する。図14は、LED光源装置の製造工程を示すフローチャートである。
まず、実施形態1と同様に、LED素子実装工程(M1)、ポッティング工程(M2)、樹脂仮硬化工程(M3)、および色度測定工程(M4)を行う。
ここで、色度測定工程において測定した色度測定データが、予め決められた目標の色度範囲内にないと判断した場合(色度補正が必要な場合)、色度が所望の範囲に対して青色方向もしく黄色方向のどちらの方向にずれているかを判断する。ここで、青色方向にずれている場合は、実施例1と同様の色度調整工程(M5)を行い、黄色方向にずれている場合は、色度調整工程(M5’)を行う。この色度調整工程(M5、M5’)の詳細については、後述する。
この色度調整工程により、目的の色度に調整された後、樹脂部材を完全に硬化させる樹脂本硬化工程(M6)を行い、最後にLED光源装置の個片化工程(M7)を実施することで、目的のLED光源装置が完成する。
ここで、色度測定工程において測定したLED光源装置の色度測定データが、目標の色度範囲内であると判断した場合は、そのまま樹脂部材を加熱して樹脂を完全に硬化させる樹脂本硬化工程(M6)、および個片化工程(M7)を実施することで、目的のLED光源装置が完成する。
[色度調整工程(M5、M5’)の説明:図15]
次に、本実施形態における色度調整工程(M5、M5’)について説明する。図15は、本実施形態におけるLED光源装置を色度調整する方向を示す色度図である。
まず、実施形態1と同様に、LED素子実装工程(M1)、ポッティング工程(M2)、樹脂仮硬化工程(M3)を行う。
本実施形態においても、実施形態1と同様に、LED素子は青色LED素子とし、蛍光体はYAGなどの青色光を吸収して黄色光を発光する蛍光体を使用した。その後、樹脂仮硬化状態のLED光源装置の色度を測定する色度測定工程(M4)を行い、LED光源装置の色度が所望の範囲に入っているかどうかの判断を行う。ここで、LED光源装置の色度が所望の色度範囲に入っている場合は、そのまま加熱することで、実施形態1と同様に
、樹脂本硬化工程(M6)、個片化工程(M7)を行うことで、目的のLED光源装置が完成する。
また、上述の色度測定工程において、LED光源装置の色度が所望の範囲内に入っていない場合、色度が所望の範囲に対して青色方向もしく黄色方向のどちらの方向にずれているかを判断する。ここで、青色方向にずれている場合は実施例1と同様の色度調整工程(M5)を行い、黄色方向にずれている場合は色度調整工程(M5’)を行う。すなわち、図15に示すように、測定したLED光源装置の色度(点Eもしくは点F)が、所望の色度範囲(範囲G)に対して、青色方向もしく黄色方向にずれている場合について色度調整工程を行う。
[色度調整工程(M5’)青方向への調整:図16−図17]
ここで、測定したLED光源装置の色度測定データが、所望の色度範囲に対して黄色方向にずれている場合は、特許文献2の方法を適用して(樹脂部材の厚みを薄くして)、色度を青色方向に調整する。この色度を青色方向に調整する具体的方向について下記に示す。
図16は、そのときの色度調整工程を示す断面図である。図17は、色度調整工程における樹脂部材の形状変化を示す図である。
図16(a)に示す様に、色度測定工程(M4)において、LED光源装置の色度測定データを取得した後に枠材4を取り外し、更に、加圧用の板材10を樹脂部材5の上に配置する。このとき使用する板材10は、下面に平坦面を有するものであれば良く、材質は特に問わないが、その板材10の重量は、樹脂部材5の特性を考慮して決める。
ここで、板材10で樹脂部材5を押圧した状態で、LED光源装置を所定の加熱条件で再加熱することにより、樹脂部材5は、図16(b)に示す状態に変化する。このとき、樹脂部材5の表面と基板2の上面が樹脂で固着しているため、樹脂部材5の端点を示す点Zの位置が変化することはない。そして、この再加熱をすることにより、樹脂部材5の内部の未硬化部分の粘度が低下するとともに、板材10による重力11が樹脂部材5に加わり、樹脂部材5の厚みが減少する。そして、その厚み減少分の樹脂部材5が横方向へ押し広がり、樹脂部材5の側面が凸形状となる。なお、図16(b)における点線は、変形前の樹脂部材5の形状を示すものであるが、樹脂部材5を再加熱することにより、LED素子1上部の樹脂部材5の厚みが減少することが分かる。次に、図16(b)の状態で加熱することで、樹脂本硬化工程(M6)を行い、樹脂部材5の形状を硬化させる。
ここで、上述の通り、LED素子1は、発光する青色光の強度分布が一様ではなく、放射角度によって発光強度に差があり、LED素子1の直上方向の光強度は強く、横方向の光強度は弱い。そのため、LED素子1の上部に蛍光体が多い、すなわち樹脂部材5の厚みが厚くなれば、LED光源装置の色度は蛍光体の発光色である黄色方向に変化し、LED素子1の上部に蛍光体が少ない、すなわち樹脂部材5の厚みが薄くなれば、LED光源装置の色度はLED素子1の発光色である青色方向に変化する。上記作用を受けて、板材10を樹脂部材5上に乗せた状態で再加熱し、樹脂部材5の厚みを薄くすることにより、LED光源装置の色度を青色方向へ変化させることが可能となる。
そして、図17に示すように、板材10の重量を変化させることで、樹脂部材5への重力11が変化するため、この板材10を変えるだけで、樹脂形状が図17(a)の状態から、図17(b)の状態に、図17(a)の状態から図17(c)の状態にも、任意に変化させることが可能となる。ここで、図17において、樹脂部材5の厚みはh1>h4>h5である。従って、板材10の重量を変えることで、樹脂部材5の厚みを任意に微調節し、LED光源装置の色度の黄色方向へのシフト量を微調整することができる。一例とし
て150℃、5時間で完全硬化するシリコーン樹脂を用いた場合、樹脂部材5の上面の面積が約4mmのときに、1gの板材10を樹脂部材5上に載せ、50℃で再加熱することで、約20umの樹脂厚の減少がみられた。また、同条件で2gの板材10を用いた際には、約40umの樹脂厚の減少がみられた。
この様に、LED光源装置の色度測定工程(M4)において、色度測定データが所望の色度範囲内に入っているか否か、また、入っていない場合は所望の色度範囲に対して青色側と黄色側のどちら側にずれているかを測定する。その上で、色度調整工程を行う場合は、上記M5、M5‘の何れの色度調整工程を行うか、すなわち樹脂部材の厚みを薄くする工程を行うか、もしくは厚くする工程を行うかを判断し、併せて色度調整量に関しても判断する。その上で、最適な色度調整を行うことによって、LED光源装置の色度を所望の範囲内に収めることが可能となる。
また、測定したLED光源装置の色度測定データが、所望の色度範囲に対して青色方向にずれている場合は、実施形態1に示した色度調整方法(M5)を用いて、色度調整(色度を黄色方向にシフト補正)するが、ここでの具体的調整方法の詳細な説明は、割愛する。
[色度調整工程(M5、M5’)の作用の説明:図18−図19]
次に、実際に本実施形態を用いて作製したLED光源装置の色度変化とそのときの作用について改めて説明する。図18は、本実施形態を用いて樹脂を変形させたときの樹脂形状を示す図である。図18(a)中の点Aは、色度調整工程を行わないLED光源装置の色度座標を示し、点C、Dは実施形態1と同様の色度調整工程を行った場合の色度変化を示し、点H、Iは上述した方法で、樹脂部材の厚みを薄くすることで、青色方向に色度を補正した場合の色度変化を示している。なお、図18(b)に示した樹脂形状は、同図(a)の各点に対応する樹脂形状を示した図である。ここで、各点の樹脂形状における樹脂部材5の厚みは、h5<h4<h1<h2<h3である。また、図18(b)に示した点線は、点Aにおける樹脂部材5の形状を示している。
図18に示すように、色度測定工程(M4)で取得した色度測定データに基づき、上述した色度調整工程を行うことで、樹脂部材5の厚みをAからCの形状、AからDの形状、AからHの形状、AからIの形状まで任意に増減させることによって、LED光源装置の色度が青色方向もしくは黄色方向に、任意に変化させることができることを確認できた。またこのとき、各点の色度差はx方向で約11/1000であるが、この際、樹脂部材の厚みを測定し、h5からh3まで約20umずつ増加していることを確認している。
上記作用を受けて、本実施形態の色度調整方法は、下記に示す範囲での色度補正が可能となる。図19は、本実施形態を用いて色度調整が可能な色度範囲を説明する色度座標を示している。
図19において、x=0.33、y=0.33を中心としてx、yともに±0.05の範囲Kを目的の色度範囲とした場合、本実施形態における色度測定工程(M4)において、LED光源装置の色度が範囲Lもしくは範囲Mに入っていれば、本実施形態を用いることで、目的の色度範囲Kに入るように、LED光源装置の色度調整をすることが可能である。すなわち、本実施形態を用いることで、LED光源装置の色度が青色方向と黄色方向のどちらにずれていた場合でも、所望の色度範囲に色度調整することが可能であることが判る。
[色度調整方法の変形例の説明:図20]
次に、本実施形態で示した色度調整方法(M5’)の変形例について説明する。上述の
実施形態においてはLED光源装置を一つずつ色度調整していたが、本変形例に示すように、多数個のLED光源装置を一度に色度調整することも可能である。図20は、色度調整工程の変形例を示す図面である。
まず、LED素子実装工程(M1)にて、多数個のLED素子を基板2上に実装し、先に示したと同様に、ポッティング工程(M2)、樹脂仮硬化工程(M3)、色度測定工程(M4)を経て、色度測定データに基づき、色度調整工程における加熱条件を決定する(図20(a))。
次に、図20(b)に示す様に、樹脂部材5の表面に、所定の重さの板材10’を載せる。そして、図20(c)に示す様に、複数個のLED光源装置を同時に再加熱して、樹脂部材5を軟化させて、樹脂の厚みを薄くした後に、再度加熱量をコントロールした後に、樹脂部材5を本硬化させる(樹脂本硬化工程(M6))。
この様に、多数個のLED素子1を同時に色度調整した場合でも、先に示した一つの場合と同様に、樹脂部材5の厚みを変化させ、色度調整することが可能となる。
[個片化工程(M7)の説明:図21]
次に、最終工程である個片化工程(M7)について説明する。図21は、個片化工程を説明するための図面である。
図21に示す様に、樹脂部材5が完全に硬化したLED光源装置を、ダイシング装置等を用いて個片化する個片化工程(M7)を行い、目的のLED光源装置が完成する。この個片化工程では、図21(a)に示す様に、基板2を切断する6aの位置を切断しても良いし、図21(b)に示す様に、樹脂部材5と基板2を併せて切断する6bの位置を切断しても良い。特に、図21(b)の様に個片化する場合においては、樹脂部材5の形状は色度調整工程を行わない場合と比べて、樹脂部材5の厚みのみが変化しているものとなり、LED光源装置の形状をほぼ同一とすることが可能である。
上述のように、本実施形態に記載のLED光源装置の色度調整方法を用いることで、色度が目標色度に対してLED素子の発光色側にずれた場合においても、色度が目標色度に対して蛍光体の発光色側にずれた場合においても、LED光源装置の色度を調整し、目標範囲内に収めることが可能となる。
また、本実施形態に記載の色度調整方法を用いることで、LED光源装置の色度が例えば樹脂部材中の蛍光体の分散状態や樹脂部材の厚みなどのばらつきの影響で、所望の色度範囲からずれてしまった場合であっても、その色度を測定し、目標の色度とのずれ量を取得することで、その値に従って樹脂部材の厚みの増加量をコントロールすることが出来る。そのため、バラツキが生じ得るLED光源装置を、予め決められた目標範囲内に収めることが可能となる。従って、色度ばらつきの小さいLED光源装置を提供することが可能となる。
また、本実施形態における樹脂部材の厚みを減少させる方法においては、樹脂部材に対して重量による圧力を掛けることで過度な圧力を掛けずに済み、樹脂部材自体の自然な変形を用いて色度調整を行っている。そのため、樹脂部材中のLED素子やワイヤーに余分な力が加わることがなく、LED素子やワイヤーへのダメージがない。
上述のLED光源装置の色度調整方法においては、実施形態において青色LED素子+青色光を黄色光に波長変換する蛍光体で白色光を発光することを前提に説明したが、これに限定されるものではなく、他のLED素子と蛍光体の組み合わせや、白色以外の光を発
光するLED光源装置であっても良い。また、本発明によって製造されるLED光源装置は、ワイヤーボンディングによる実装に限定されず、例えば、フリップチップ実装等によるLED光源装置にも適用される。また、上述の仮硬化工程や色度調整工程における加熱条件は一例であり、これに限るものではない。
また、上述の実施形態においては枠材を使用し樹脂部材の形状を形成していたが、これに限るものではない。例えば、初期状態で高粘度の熱硬化性樹脂を用い、印刷やポッティングなどにより樹脂をLED素子を覆って配した後、加熱しないそのままの状態で樹脂形状が経時変化しない場合は、枠材を用いずに、目的のLED光源装置を製造可能である。
本発明のLED光源装置の色度調整方法は、色度ばらつきが小さいLED光源装置を提供出来るため、液晶カラーテレビや携帯型電子機器等のバックライト用光源装置や、照明用の光源装置など広く適用することができる。
1 LED素子
2 基板
3 ワイヤー
4 枠材
5 樹脂部材
6a、6b 位置
7、7’、10、10’ 板材
8 高さ
9 スペーサ
11 重力
20 ディスペンサ
30 発光
31 光ファイバ
40〜43 特性曲線

Claims (4)

  1. LED光源装置の色度補正方法であって、
    熱硬化性樹脂に蛍光体を含有する封止樹脂で、LEDチップを封止する工程と、
    仮硬化条件で、前記封止樹脂を硬化する仮硬化工程と、
    前記封止樹脂が仮硬化の状態で、前記LEDチップを発光させて色度測定データを取得する工程と、
    前記色度測定データに基づき決定された再加熱条件で加熱することにより、前記封止樹脂を軟化させて、前記封止樹脂の厚みを厚くする工程と、を有する
    ことを特徴とするLED光源装置の色度調整方法。
  2. LED光源装置の色度補正方法であって、
    熱硬化性樹脂に蛍光体を含有する封止樹脂で、LEDチップを封止する工程と、
    仮硬化条件で、前記封止樹脂を硬化する仮硬化工程と、
    前記封止樹脂が仮硬化の状態で、前記LEDチップを発光させて色度測定データを取得する工程と、
    前記封止樹脂を再加熱して、当該封止樹脂を軟化させる工程と、
    色度を青方向に調整する場合は、前記色度測定データに基づき決定された再加熱条件で加熱することで前記封止樹脂を軟化させて、前記封止樹脂の厚みを厚くし、
    色度を黄色方向に調整する場合は、再加熱条件で加熱することで前記封止樹脂を軟化させた後に、前記色度測定データに基づき決定された押圧量で押圧して、前記封止樹脂の厚みを薄くする工程と、を有する
    ことを特徴とするLED光源装置の色度調整方法。
  3. 前記封止樹脂の厚みを厚くする工程は、
    前記色度測定データに基づき決定された、仮硬化の状態の前記封止樹脂から所定の間隙を空けた位置に、樹脂厚み規制部材を配置した後に、前記再加熱条件で加熱することにより、前記封止樹脂を軟化させる工程である
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のLED光源装置の色度調整方法。
  4. 前記蛍光体は前記封止樹脂中に均一に分散している
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のLED光源装置の色度調整方法。
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