以下に添付図面を参照して、この発明に係る警報システムの実施の形態を詳細に説明する。ただし、これら各実施の形態によって本発明が限定されるものではない。なお、各実施の形態に係る警報システムの設置対象や適用対象は任意であるが、以下では、住宅に設置され無線信号によって通信を行なう無線式の住宅用火災警報器(以下では「住警器」という)に適用した場合を例として説明を行う。
〔実施の形態1〕
まず、実施の形態1について説明する。この形態は、連動元の警報器が復旧した後において、所定時間経過するまで当該連動元の警報器の警報を継続させる形態である。
(警報システムの構成)
まず、警報システムの概要を説明する。図1は、実施の形態1に係る警報システム1の全体構成を示すシステム構成図である。図1に示すように、実施の形態1においては、住宅2の各部屋(図では、寝室、居間、及び台所)には住警器10A〜10C(これら住警器10A〜10Cは、相互に区別する必要がない場合には「住警器10」と総称する)が設置されている。この住警器10は、監視領域で発生した異常(ここでは火災)を検知し、連動警報信号(以下、警報信号と称する)の送受信や警報を行うものである。いずれかの部屋において発生した火災を、その部屋の住警器10が検知すると、当該住警器10は、発報する。このように、発報とは、異常を検知した結果、警報を出力することを意味し、特に、異常警報の連動元となることを指す。また、火災を検知した住警器10は、警報信号を他の部屋の住警器10に対して無線送信する。この警報信号を受信した他の部屋の住警器10は、連動先として連動警報を行う。これにより、火災発生等していない部屋の住警器10にも警報を行わせ、ユーザに対応を促すことができる。なお、以下では、特許請求の範囲において記載された「発報した警報器」を連動元の住警器10と称し、「発報した警報器以外の警報器」を連動先の住警器10と称する。また、この連動元の住警器10は、連動元の住警器10であることを視覚的に識別できるように、連動元の住警器10が警報を行っている間、又は当該連動元の住警器10の警報及び連動先の全ての住警器10の警報が停止した後所定時間経過するまで連動元表示を行うものとする。
(住警器の構成)
次に、住警器10の構成について説明する。図2は、実施の形態1に係る住警器10の外観を示す概要図であり、図2(a)は正面図を示し、図2(b)は側面図を示す。
これら図2(a)及び図2(b)に示すように、住警器10は、基本構造体となる住警器本体11を有している。この住警器本体11の材質は任意であり、例えば樹脂で形成される。また、この住警器本体11には、カバー12、警報停止スイッチ51、及び取付フック13が設けられている。
カバー12は、住警器10の内部を保護するものであり、住警器本体11の正面に設けられている。カバー12の中央内部には火災を検知する検知部が設けられており、このためカバー12には、検知部へ外気(例えば煙を含む気流や熱気流)を導入するための開口部12aが複数設けられている。また、カバー12には、住警器10に内蔵された後述するスピーカ41から出力された警報音や音声メッセージを外部に放出するための音響穴12bが設けられている。
警報停止スイッチ51は、住警器10の警報を停止するためのものであり、カバー12の下側に外部に露出した状態で設けられている。この警報停止スイッチ51の内部には、LED42が設けられている。このLED42は、点灯や点滅等により、監視領域で発生した異常を表示するものである。このLED42の作動時には、警報停止スイッチ51がLED42の光を透過することで、LED42の作動状態が外部から視認可能となる。
取付フック13は、住警器10を住宅2の壁面等に取り付けるためのものであり、住警器本体11の裏側上部に設けられている。すなわち、取付フック13の中央部に設けられた挿通孔に図示しないビス等を挿通させて壁面にねじ込むことで、住警器10を壁面に固定することができる。
(住警器の電気的構成)
次に、住警器10の電気的構成について説明する。図3は、実施の形態1に係る住警器10の電気的構成を概念的に示すブロック図である。住警器10は、センサ部20、無線回路部30、報知部40、操作部50、電池電源60、制御部70、及び記憶部80を備えて構成されている。
(住警器の構成−センサ部)
センサ部20は、当該住警器10が設置されている監視領域において、火災等の検知対象を検知するための検知手段である。検知対象及び当該検知対象の検知原理は任意であり、例えば、火災に伴って発生する煙や熱を検知対象とし、これらを検知するために、赤外線LEDやフォトダイオード、サーミスタ等の電子素子を用いることができる。
ここでは、センサ部20は、煙を検知して火災に伴う煙の発生を検知するものとして構成されており、このために検煙部21を備えて構成されている。この検煙部21は、煙を検知するための検煙手段であり、煙濃度が所定レベルを超えた場合には、火災が発生したことを示す火災検知信号の出力を行い、火災検知信号を出力した後に煙濃度が所定レベルを下回った場合には、この火災検知信号の出力を停止する。すなわち、ここでは、センサ部20が、煙濃度が所定レベルを超えたか否かを判定する異常判定部(火災判定部)としての機能を含んでいる。もちろん、センサ部20から制御部に対しては検煙信号(煙濃度信号)のみを出力させ、これに基づく異常判定機能は例えば制御部70側に設けても良い。
無線回路部30は、当該住警器10と他の住警器10との相互間で無線通信を行うものであり、送信部31、受信部32、及びアンテナ33を備えて構成されている。送信部31は、他の住警器10に対して警報信号等を、アンテナ33を介して送信する送信手段である。受信部32は、他の住警器10の送信部31から送信された信号を、アンテナ33を介して受信する受信手段である。なお、本発明に係る警報器は、無線通信を行うものに限定されるものではなく、有線通信を行う警報器についても同様に適用できる。
報知部40は、警報等を出力する出力手段であり、当該住警器10を他の住警器10から識別可能にするための識別出力を行う出力手段である。報知部40は、例えば、後述する連動元警報や連動先警報を音声出力するためのスピーカ41や、監視領域で発生した異常等を表示するLED42等を備える。また、報知部40による警報、注意喚起方法は任意であり、例えば、後述する連動元警報や連動先警報に応じて音声の種類や音量等を変えてもよい。また、LED42による表示についても、条件に応じて駆動方法や表示色を適宜異ならせることができる。
操作部50は、当該住警器10に対する各種の操作を受け付ける操作手段であり、上述した警報停止スイッチ51を備えて構成されている。この警報停止スイッチ51は、当該住警器10の警報停止操作を受け付けるための警報停止操作受付手段である。
電池電源60は、当該住警器10に電力を供給する電力供給手段である。この電池電源60の具体的種類は任意であるが、例えば、アルカリ乾電池やリチウム電池等が用いられる。
制御部70は、当該住警器10における各種の制御を行う制御手段である。この制御部70の具体的構成は任意であるが、例えば、記憶部80に記憶されたプログラムを呼出して解析実行するCPU(Central Processing Unit)として構成することができる。
制御部70は、機能概念的に、連動警報処理部71、復旧判定部72、及び警報停止処理部73を備えている。連動警報処理部71は、当該住警器10と他の住警器10との連動警報を制御する連動警報処理手段であり、連動元警報処理部71a及び連動先警報処理部71bを備えて構成されている。連動元警報処理部71aは、センサ部20によって異常が検知された場合に、スピーカ41によって連動元を示す警報(以下、連動元警報という)を出力させると共に、送信部31によって火災発報等を示す警報信号を他の住警器10に送信させる連動元警報処理手段である。連動先警報処理部71bは、他の住警器10から警報信号を受信したときに、スピーカ41によって連動先を示す警報(以下、連動先警報という)を出力させる連動先警報処理手段である。
復旧判定部72は、当該住警器10において異常を検知することにより連動元警報を行った後、当該住警器10を通常監視状態へ復旧させることの可否を判定する復旧判定手段である。ここでは、当該住警器10が異常を検知しなくなった場合、すなわち、センサ部20で煙濃度が所定レベルを超えていないと判定される状態が所定時間継続した場合等には、復旧させるものと判定する。
警報停止処理部73は、警報停止スイッチ51の操作に基づいて、当該住警器10の警報停止を行うか否かを判定する警報停止処理手段である。
記憶部80は、制御部70による制御に必要なプログラム及び各種のデータを記憶する記憶手段である。この記憶部80の具体的な構成は任意であり、例えば、フラッシュメモリやEPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)の如き不揮発性の記憶媒体を用いて構成することができる。
記憶部80にはメモリ81が設けられている。このメモリ81には、送信元符号81aが格納されると共に、状態記憶領域81bが設けられている。送信元符号81aは、当該住警器10を特定するID(識別子)であり、例えば、国内に提供される住警器10の数を考慮して、同一符号として重複しないように26ビットの符号コードが使用される。状態記憶領域81bは、火災発報、連動元警報、他の住警器10からの火災発報受信、連動先警報、警報停止といった各種の発生イベントを記憶する。これにより、当該住警器10は、新たに発生したイベントに対する状態の遷移制御を可能にすることができる。状態記憶領域81bの発生イベントを記憶する方法は任意であるが、例えば、発生イベントを順次記憶する方法と、前回の発生イベントに今回の発生イベントを上書きする方法等が該当する。
(住警器の処理動作について)
次に、住警器10の処理動作について説明する。図1に示すように、住警器10Aは寝室に設置され、住警器10Bは居間に設置され、住警器10Cは台所に設置されており、最初に住警器10Aによって異常が検知された場合を例に挙げて説明する。図4は、実施の形態1に係る複数の住警器10A、10B、10Cが実行する連動警報処理の流れを示したフローチャートである。なお、以下の説明では、「ステップ」を「S」と略記する。また、住警器10Aのステップを「SA」、住警器10Bのステップを「SB」、及び住警器10Cのステップを「SC」と略記する。また、住警器10A、10B、10Cの動作中に発生したイベントは、各制御部70によって各記憶部80の状態記憶領域81bに記録されるものとする。
図4に示すように、住警器10Aのセンサ部20が寝室の異常(火災)を検知すると(SA1)、住警器10Aの送信部31から、住警器10B、10Cに対して警報信号が送信される(SA2)。この警報信号は、住警器10Aのセンサ部20が異常を検知している間、断続的に送信される(以下、後述する実施の形態2のSA2、SC4の警報信号、及び後述する実施の形態3のSA3、SC5の警報信号も同様とする)。また、この警報信号には、記憶部80のメモリ81に格納されている送信元符号81aが含まれている。これにより、住警器10B、10Cが警報信号を受信した際に、当該警報信号の送信元が住警器10Aであることを特定することができる(以下、後述する実施の形態1のSA6の復旧信号、実施の形態2のSA2、SC4の警報信号、SA10、SC7の復旧信号、及び実施の形態3のSA3、SC5の警報信号、SA11、SC8の復旧信号にも、送信元符号81aが含まれているものとする)。
また、SA2の前後又はSA2と同時に、住警器10Aにおいては、寝室に居るユーザに対して当該寝室の異常を知らせるために、スピーカ41及びLED42によって連動元警報が出力される(SA3)。この連動元警報の具体的な出力方法は任意であるが、例えば、住警器10Aにおいては、「ウーウー 寝室の住警器が作動しました 確認してください」のように、連動元の住警器10Aの設置位置を含んだ音声メッセージが繰返し出力される。そしてさらに、この音声メッセージの出力と共に、住警器10Aにおいては、住警器10Aが連動元の住警器10であること視覚的に識別できるように、例えば、5秒間に1回のLED42の点滅が繰返し出力される。なお、実施の形態1では、ユーザが連動元の住警器10と連動先の住警器10とを識別できるように、例えば、連動元警報を出力する場合にはLED42の点滅が出力されるが、連動先警報を出力する場合にはLED42の点滅が出力されないものとしてもよい。
一方、住警器10B、10Cの受信部32が住警器10Aからの警報信号を受信すると(SB1、SC1)、住警器10B、10Cにおいては、居間又は台所に居るユーザに対して寝室の異常を知らせるために、スピーカ41によって連動先警報が出力される(SB2、SC2)。この住警器10B、10Cの受信部32の動作方法は任意であるが、電池電源60の電力消費量を抑えるために、例えば、所定の間隔で間欠的に動作させることが好ましい(以下、住警器10Aの受信部32も、住警器10B、10Cの受信部32と同様に動作するものとする)。また、この連動先警報の具体的な出力方法は任意であるが、例えば、住警器10B、10Cにおいては、「ウーウー 寝室の住警器が作動しました 確認してください」のように、連動元の住警器10Aの設置位置を含んだ音声メッセージが繰返し出力される。なお、この際の連動元の住警器10Aの設置位置の特定は、各住警器10の設置位置と送信元符号81とを相互に関連付けて記憶部80に予め格納しておき、必要に応じてこの情報を参照することで行うことができる。
次いで、住警器10Aのセンサ部20が寝室の異常を検知しなくなると(SA4)、住警器10Aにおいては、連動元警報が停止されると共に(SA5)、住警器10B、10Cに対して連動先警報を停止させるために、送信部31によって連動復旧信号(以下、復旧信号と称する)が送信される(SA6)。ここで、SA4の処理後、住警器10Aは異常を検知していないことから、単に連動元警報を停止してもよい。しかしながら、全ての住警器10の警報が停止された状態では、ユーザが連動元の住警器10であった住警器10Aを事後的に識別することが困難となる。そこで、住警器10A、10B、10Cの連動元警報又は連動先警報が全て停止した後に、ユーザが住警器10A、10B、10Cの中から住警器10Aが連動元の住警器10であったことを事後的に識別できるように、住警器10Aにおいては、LED42によって連動元表示が出力される(SA7)。そして、SA7の処理から所定時間経過後、住警器10Aが連動元の住警器10であったとユーザから認知されたものとして、住警器10Aにおいては、連動元表示が停止される(SA8)。この連動元表示の具体的な出力方法は任意であるが、例えば、住警器10Aにおいては、SA3の処理と同様に、5秒間に1回のLED42の点滅が所定時間継続して出力される。
一方、住警器10B、10Cの受信部32が復旧信号を受信すると(SB3、SC3)、住警器10A、10B、10Cのうち、警報信号を出力する連動元の住警器10が存在しなくなるので、住警器10B、10Cにおいては、連動先警報が停止される(SB4、SC4)。すなわち、住警器10B、10Cは、復旧信号を受信した場合に、警報信号を送信している連動元の住警器10が一つでも残っているか否かを判定し、これら連動元の住警器10が残っていない場合には、連動先警報を停止する。これにて連動警報処理が終了する。
(処理)
次に、この警報システム1に属する住警器10の制御部70が実行する各種の処理について説明する。火災監視処理では、住警器10が火災等の異常を検知した場合に警報処理が実行される。また、警報処理後に復旧された住警器10においては、続いて連動元表示を行う事後表示処理が行われる。これらの処理では、各住警器10の電源は常時ONされており、記憶部80によって記憶されたプログラムに従って、各処理を常に実行することが可能となっているものとする。なお、特記する場合を除いて制御部70によって処理が行われる。
(処理−火災監視処理)
最初に、火災監視処理について説明する。図5は、実施の形態1に係る各住警器10の火災監視処理を示したフローチャートである。まず、当該住警器10が設置されている部屋で異常を検知したか否かを判別するために、制御部70はセンサ部20によって当該部屋の監視動作を実行させる(SD1)。以降の処理では、当該住警器10が異常を検知した場合に行う警報処理である連動元警報処理(主に連動元警報処理部71aによって行われるSD2〜SD7の処理)と、他の住警器10が異常を検知した場合に行う警報処理である連動先警報処理(主に連動先警報処理部71bによって行われるSD8〜SD12、SD14の処理)と、連動元警報処理を経た場合に連動元となった住警器10を識別可能とするための事後表示処理(SD13)に大別される。
ここで、当該部屋の煙濃度が所定レベルを超えたことで、センサ部20の検煙部21から火災検知信号が出力された場合には、当該住警器10が異常を検知したと考えられるので(SD1、Yes)、連動元警報処理部71aは、他の住警器10に対して連動先警報を出力させるために、送信部31によって他の住警器10に対して警報信号を送信させる(SD2)。それと共に、連動元警報処理部71aは、当該部屋に居るユーザに当該部屋の異常を知らせるために、スピーカ41によって連動元警報を出力させる(SD3)。なお、検煙部21が火災検知信号を出力している間、連動元警報処理部71aは、送信部31によって他の住警器10に対して、所定時間毎に警報信号を繰返し送信させる。また、センサ部20の検煙部21が火災検知信号を出力している間、制御部70は、当該住警器10が連動元の住警器10であることをユーザが視覚的に識別できるように、警報停止スイッチ51の背後に設けられたLED42を点灯又は点滅させてもよい。
SD3の処理後、例えばユーザによる消火活動等により当該部屋で発生していた異常がなくなることが考えられることから、次いで、復旧判定部72は、連動元警報を停止するか否かを判定する処理を行う。例えば、復旧判定部72は、当該部屋の異常発生の有無に基づいて、当該住警器10を通常監視状態に復旧させること(自動復旧)の要否を判定する(SD4)。なお、ユーザが警報停止スイッチ51を操作することによって連動元警報が停止されることが考えられるので、警報停止処理部73は、警報停止の指示の有無に基づいて、連動元警報を停止するか否かを判定してもよいが、ここでは当該事項を除いて処理が行われるものとする。
具体的には、復旧判定部72は、センサ部20の検煙部21から出力される火災検知信号の有無に基づいて、当該住警器10を復旧させることの要否を判定する。ここで、センサ部20の検煙部21から火災検知信号が出力されなくなった場合には、当該住警器10が異常を検知していないと考えられるので(SD4、Yes)、復旧判定部72は、当該住警器10を復旧させるべきと判定する。この判定を受けて、連動元警報処理部71aは、スピーカ41から出力されている連動元警報を停止させると共に(SD5)、他の住警器10に対して連動先警報を停止させるために、復旧信号を送信する(SD6)。その後、連動元警報処理部71aは、当該連動元警報処理がそれ以前に行われていた連動先警報処理からの移行によって実行されたものであった場合(SD10、YesからSD2への移行によって実行されたものであった場合)には連動先警報処理へ移行させる必要がある点を考慮し、連動先警報処理から連動元警報処理に移行したか否か(SD9からSD2へ移行したか否か)を判定する(SD7)。そして、連動先警報処理から連動元警報処理に移行した場合には(SD7、Yes)、連動先警報処理のSD11へ移行する。一方、連動先警報処理から連動元警報処理に移行していない場合には(SD7、No)、事後表示処理(SD13)を行い、SD1に戻る。この事後表示処理については、後述する。
また、センサ部20の検煙部21から引き続き火災検知信号が出力されている場合には、当該住警器10が異常を検知していると考えられるので(SD4、No)、復旧判定部72は、当該住警器10を復旧させるべきでないと判定する。この判定を受けて、連動元警報処理部71aは、SD2に戻ってスピーカ41によって連動元警報を引き続き出力させる。この場合、SD4で復旧すべきと判定されるまで連動元警報が繰り返されることになるが、例えば、SD2〜SD4の処理が繰り返されている途中で、ユーザによって警報停止スイッチ51が操作されると、連動元警報処理部71aは連動元警報を停止させてもよい(図示省略)。
一方、SD1において、当該部屋の煙濃度が所定レベルを下回ったことで、センサ部20の検煙部21から火災検知信号が出力されていない場合には、当該住警器10が異常を検知していないと考えられるので(SD1、No)、制御部70は、他の住警器10が異常を検知しているか否かを判別するために、受信部32によって他の住警器10から送信された警報信号が受信されたか否かを監視する(SD8)。
ここで、受信部32によって他の住警器10から警報信号が受信された(具体的には、制御部70によって信号解析により有効と判定されたことまでを指す)場合には(SD8、Yes)、他の住警器10が異常を検知していると考えられるので、連動先警報処理部71bは、当該部屋に居るユーザに対して他の部屋(ここでは寝室)で異常が発生していることを知らせるために、スピーカ41によって連動先警報を出力させる(SD9)。一方、受信部32によって他の住警器10から警報信号が受信されなかった場合には(SD8、No)、他の住警器10が異常を検知していないと考えられるので、連動先警報処理部71bは、SD1に戻る。
次いで、連動先警報の出力中であっても、当該住警器10が設置されている部屋で異常を検知した場合には、連動先警報を連動元警報に切り替える可能性があるため、制御部70はセンサ部20によって当該部屋の監視動作を実行させる(SD10)。ここで、当該部屋の煙濃度が所定レベルを超えたことで、センサ部20の検煙部21から火災検知信号が出力された場合には、当該住警器10が異常を検知したと考えられるので(SD10、Yes)、連動元警報処理部71aは、SD2に移行して、送信部31によって他の住警器10に対して警報信号を送信させる(SD2)。
一方、センサ部20の検煙部21から火災検知信号が出力されていない場合には、当該住警器10が異常を検知していないと考えられるので(SD10、No)、その時点で出力している連動先警報の継続の要否を判定する。すなわち、SD7の処理後、例えばユーザによる消火活動等により他の部屋で発生していた異常がなくなることが考えられるので、復旧判定部72は、連動先警報を停止するか否かを判別する処理を行う。例えば、復旧判定部72は、他の住警器10から送信された復旧信号の受信の有無(具体的には、制御部70によって行われる信号解析による有効/無効の判定までを指す)に基づいて、他の住警器10が復旧したか否かを判定する(SD11)。
具体的には、復旧判定部72は、警報信号を送信している他の住警器10の全部から復旧信号を受信しているか否かを判定する。ここで、警報信号を送信している他の住警器10の全部から復旧信号を受信している場合には(SD11、Yes)、他の住警器10のいずれにおいても異常が検知されていないと考えられるので、連動先警報処理部71bは、スピーカ41から出力されている連動先警報を停止させる(SD12)。ここで、連動元警報処理部71aは、当該連動先警報処理がそれ以前に行われていた連動元警報処理からの移行によって実行されたものであった場合(SD7、YesからSD11への移行によって実行されたものであった場合)には事後表示処理(SD13)を行う必要がある点を考慮し、連動元警報処理から連動先警報処理に移行したか否か(SD7からSD11へ移行したか否か)を判定する(SD14)。そして、連動元警報処理から連動先警報処理に移行していない場合には(SD14、No)、事後表示処理(SD13)を行う必要がないため、SD1に戻り、連動元警報処理から連動先警報処理に移行した場合には(SD14、Yes)、事後表示処理(SD13)を行う。なお、警報信号を送信している他の住警器10の全部から復旧信号を受信しているか否かを判定する具体的な方法は任意であるが、例えば、復旧判定部72が受信部32によって受信した警報信号に含まれる送信元符号81aと、受信した復旧信号に含まれる送信元符号81aとを記憶部80の状態記憶領域81bに記憶させておいて必要に応じて照合してもよい。
SD11の処理において、警報信号を送信している他の住警器10の全てから復旧信号を受信していないと判定された場合には(SD11、No)、他の住警器10の少なくとも一部が依然として異常を検知していると考えられるので、連動先警報処理部71bは、スピーカ41によって連動先警報を引き続き出力させるべく、SD9に戻る。この場合、SD11で復旧すべきと判定されるまで連動先警報が繰り返されることになるが、例えば、SD1、SD9〜SD11の処理が繰り返されている途中で、ユーザによって警報停止スイッチ51が操作されたり、又は所定の連動元の住警器10から警報停止信号を受信した場合には、連動先警報処理部71bは、連動先警報を停止してもよい(図示省略)。なお、SD11の処理にて任意の連動元の住警器10から復旧信号を受信した際には、連動先警報処理部71bは、一旦連動先警報を停止してSD1へ戻るようにしてもよい。その後、再度SD1(No)、及びSD8(Yes)の処理を経て、受信部32によって残りの連動元の住警器10から警報信号が再受信された場合には、連動先警報処理部71bは、スピーカ41によって再び連動先警報を出力させる(SD9)。もちろん、途中SD1の処理にてセンサ部20の検煙部21から火災検知信号が出力された場合には、連動元警報処理部71aは、SD2〜SD7の処理を行うことになる。
(処理−事後表示処理)
次に、図5における火災監視処理の最終ステップである事後表示処理について説明する。図6は、実施の形態1に係る各住警器10の事後表示処理を示したフローチャートである。この図6の処理において、連動元警報処理部71aは、LED42によって連動元表示を出力させる(SE1)。これにより、当該住警器10又は他の住警器10の連動元警報又は連動先警報が全て停止した後においても、当該住警器10が連動元の住警器10であったことを識別することができる。
次に、SE1の処理から所定時間経過した後(SE2、Yes)、当該住警器10が連動元の住警器10であったとユーザから認知されたとして、連動元警報処理部71aは、連動元表示を停止させる(SE3)。これにて、事後表示処理を終了して、図5の処理に戻る。なお、この連動元表示の停止方法は任意であるが、例えば、警報停止スイッチ51による連動元表示の停止操作により、連動元警報処理部71aは、連動元表示を停止させてもよい。このとき、警報停止操作による連動元表示の停止を受け付ける期間を、SE2の所定時間または別に設定した時間内としても良い。すなわちこのようにすれば、SE2の所定時間経過前であっても、ユーザの意思で連動元表示を停止することが出来る。
(住警器10Aの連動元警報処理について)
次に、住警器10Aの連動元警報処理として、図4に示すSA1〜SA8の処理、図5に示すSD1〜SD7、SD13の処理、及び図6に示すSE1〜SE3の処理を相互に関連づけて説明する。
まず、住警器10Aが設置されている寝室で異常が発生したことが検知されると(SA1)(SD1、Yes)、連動元警報処理部71aは送信部31に警報信号を送信させると共に(SA2、SD2)、スピーカ41によって連動元警報を出力させる(SA3、SD3)。
ここで、SA4の処理に至るまでは、制御部70は、SD2〜SD4の処理を繰り返す。例えば、SD3の処理後、復旧判定部72が異常検知の有無を判定するが(SD4)、異常検知があると判定された場合には(SD4、No)、SD2に戻る。
その後、復旧判定部72が異常検知の有無に基づいて復旧の要否を判定し(SD4)、異常検知がないため復旧すべきと判定された場合には(SA4)(SD4、Yes)、連動元警報処理部71aは、連動元警報を停止させると共に(SA5、SD5)、住警器10B、10Cに対して復旧信号を送信する(SA6、SD6)。その後、この処理では、連動先警報処理から連動元警報処理に移行していないので(SD7、No)、事後表示処理を行う(SD13)。
事後表示処理では、連動元警報処理部71aは、LED42によって連動元表示を出力させる(SA7、SE1)。そして、SE1の処理から所定時間経過した後(SE2、Yes)、連動元表示を停止させて(SA8、SE3)、SD1に戻る。
(住警器10Bの連動先警報処理について)
次に、住警器10Bの連動先警報処理として、図4に示すSB1〜SB4の処理と、図5に示すSD1、SD8〜SD12、SD14の処理とを相互に関連づけて説明する。なお、住警器10Cの連動先警報処理は、住警器10Bの連動先警報処理と同様であるため説明を省略する。
まず、住警器10Bが設置されている居間で異常が発生していないことが検知されると(SD1、No)、制御部70は、住警器10A,10Cからの警報信号が受信されたか否かを監視する(SD8)。ここで、住警器10Aから警報信号を受信すると(SB1)(SD8、Yes)、連動先警報処理部71bは、スピーカ41によって連動先警報を出力させる(SB2、SD9)。
次いで、制御部70はセンサ部20によって当該部屋の監視動作を実行させ(SD10)、センサ部20の検煙部21から火災検知信号が出力されていない場合(SD10、No)、連動先警報処理部71bは、住警器10Aからの復旧信号の受信の有無を判定する(SD11)。そして、この復旧信号を受信するまでは、制御部70は、SD9〜SD11の処理を繰り返す。受信部32が住警器10Aから復旧信号を受信すると、復旧判定部72は、警報信号を送信している住警器10の全部から復旧信号を受信したと判定し(SB3)(SD11、Yes)、連動先警報処理部71bは連動先警報を停止させる(SB4、SD12)。そして、連動元警報処理から連動先警報処理に移行したか否かを判定するが(SD14)、ここでは、連動元警報処理から連動先警報処理に移行していないため(SD14、No)、SD1に戻る。
(効果)
このように実施の形態1によれば、連動元の住警器10の全部若しくは一部が復旧した時には、当該複数の住警器10の中から当該連動元の住警器10の全部又は一部をユーザが識別可能となるように、及び又は当該複数の住警器10の中から当該連動元警報を出力した後に復旧した住警器10の全部又は一部をユーザが識別可能となるように、当該複数の住警器10において識別出力を行うので、当該連動元の住警器10が復旧した後においても、ユーザが複数の住警器10の中から当該連動元の住警器10であるか否かを識別することができ、火災の発火源や火災経過等の出火原因、あるいは非火災報や誤報の原因を容易に特定することができる。
また、連動元の住警器10の全部若しくは一部が復旧した時には、当該連動元の住警器10が復旧してから所定時間経過後に、識別出力を停止するので、当該連動元の住警器10の識別出力を自動的に停止することができ、ユーザが当該連動元の住警器10の識別出力を停止操作する手間を省くことができると共に、識別出力に要する電力消費量の低減に寄与することができる。
〔実施の形態2〕
次に、実施の形態2について説明する。この形態は、複数の連動元の警報器が復旧した後において、ユーザがこれら警報器の発報順序を識別できるように連動元表示を出力する形態である。なお、実施の形態1と略同様の構成要素については、必要に応じて、実施の形態1で用いたのと同一の符号又は名称を付してその説明を省略する。
(全体構成)
実施の形態2に係る警報システム1は、図1に示した実施の形態1の警報システム1とほぼ同様に構成でき、制御部70、連動警報処理部71、連動元警報処理部71a、連動先警報処理部71b、及び復旧判定部72の後述する制御内容のみが異なるため、その構成の説明は省略する。
(住警器の処理動作について)
次に、住警器10の処理動作について説明する。図1に示す警報システム1において、最初に住警器10Aによって異常が検知され、次いで住警器10Cによって異常が検知された場合を例に挙げて説明する。図7は、実施の形態2に係る複数の住警器10A、10B、10Cが実行する連動警報処理の流れを示したフローチャートである。ただし、この連動警報処理における図7のSA1〜SA3、SB1、SB2、SC1、SC2は、図4に示した実施の形態1の処理のSA1〜SA3、SB1、SB2、SC1、SC2と同じであるため、その説明を省略する。
SA3、SB2、SC2の処理後、住警器10Cのセンサ部20が台所の異常を検知すると(SC3)、住警器10Cの送信部31から住警器10A、10Bに対して警報信号が送信される(SC4)。それと共に、住警器10Cにおいては、スピーカ41によって連動元警報が出力される(SC5)。ここで、住警器10Cにおいては、SC2の処理にて連動先警報が出力されているが、台所に居るユーザに対して当該台所の異常を知らせることを優先させるために、スピーカ41によって連動元警報のみが出力される。従って、例えば、住警器10Cにおいては、それまでの音声メッセージが、「ウーウー 台所の住警器が作動しました 確認してください」のように、連動元となった住警器10Cの設置位置を含んだ音声メッセージに切り替えられて繰返し出力される。さらに、この音声メッセージの出力と共に、住警器10Cにおいては、住警器10Cが連動元の住警器10であること視覚的に識別できるように、例えば、5秒間に1回のLED42の点滅が繰返し出力される。
一方、住警器10A、10Bにおいては、住警器10Cの警報信号を受信する(SA4、SB3)。ここで、住警器10Aにおいては、連動先警報が出力可能な状態となるが、SA3の処理以降、連動元警報が継続して出力されており、また寝室に居るユーザに対して当該寝室の異常を知らせることを優先させることが好ましいので、スピーカ41によって連動元警報が継続して出力される(SA5)。また、住警器10Bにおいては、SB2の処理にて連動先警報が出力されているので、引き続いて連動先警報が出力される(SB4)。この連動先警報の具体的な出力方法は任意であるが、居間に居るユーザに対して寝室及び台所の異常を知らせるために、例えば、住警器10Bにおいては、「ウーウー 寝室の住警器が作動しました 確認してください」、及び「ウーウー 台所の住警器が作動しました 確認してください」のように、連動元である住警器10Aの設置位置を含んだ音声メッセージと、連動元である住警器10Cの設置位置を含んだ音声メッセージとが、交互に繰返し出力される。
次いで、住警器10Cのセンサ部20が寝室の異常を検知しなくなると(SC6)、当該住警器10Cは、連動元警報を停止した後(SC7)、住警器10A、10Bに対して連動先警報を停止させるために、送信部31によって復旧信号を送信させる(SC8)。ただし、SC4の処理以降、住警器10Cにおいては、住警器10Aから警報信号を継続して受信しているので、スピーカ41によって連動先警報が出力される(SC9)。例えば、住警器10Cにおいては、それまでの音声メッセージが、「ウーウー 寝室の住警器が作動しました 確認してください」のように、連動元である住警器10Aの設置位置を含んだ音声メッセージに切り替えられて繰返し出力される。
一方、住警器10A、10Bの受信部32が復旧信号を受信するが(SA6、SB5)、住警器10Aにおいては、SA5の処理と同様に、スピーカ41によって連動元警報が継続して出力される(SA7)。また、住警器10Bにおいては、SB1の処理以降、住警器10Aから警報信号を継続して受信しているので、スピーカ41によって連動先警報が継続して出力される(SB6)。このとき、音声メッセージは「ウーウー 寝室の住警器が作動しました 確認してください」のように、連動元である住警器10Aの設置位置を含んだ音声メッセージのみに切り替えられて繰返し出力され、住警器10Cの設置位置を含んだ音声メッセージである「ウーウー 台所の住警器が作動しました 確認してください」は出力しない。
その後、住警器10Aのセンサ部20が寝室の異常を検知しなくなると(SA8)、住警器10Aにおいては、連動元警報が停止されると共に(SA9)、住警器10B、10Cに対して連動先警報を停止させるために、送信部31によって復旧信号が送信される(SA10)。さらに、住警器10Aにおいては、当該住警器10Aが連動元の住警器10であったこと、及び当該住警器10Aの発報順序が1番目であったことを、ユーザが事後的に識別できるように、LED42によって連動元表示(以下、第1連動元表示という)が出力される(SA11)。そして、SA11の処理から所定時間経過後、住警器10Aが連動元の住警器10であったとユーザから認知されたものとして、住警器10Aにおいては、第1連動元表示が停止される(SA12)。この第1連動元表示の具体的な出力方法は任意であるが、例えば、住警器10Aにおいては、当該住警器10Aの発報順序が1番目であることを識別できるように、5秒間に1回のLED42の点滅が所定時間継続して出力される。
一方、住警器10B、10Cの受信部32が復旧信号を受信すると(SB7、SC10)、住警器10B、10Cにおいては、連動先警報が停止される(SB8、SC11)。そしてさらに、住警器10Cにおいては、SC5の処理にて連動元警報が出力されていたので、当該住警器10Cが連動元の住警器10であったこと、及び当該住警器10Cの発報順序が2番目であったことを、ユーザが事後的に識別できるように、LED42によって連動元表示(以下、第2連動元表示という)が出力される(SC12)。そして、SC12の処理から所定時間経過後、住警器10Cにおいては、第2連動元表示が停止される(SC13)。なお、第2連動元表示の具体的な出力方法は任意であるが、例えば、住警器10Cにおいては、当該住警器10Cの発報順序が2番目であることを識別できるように、5秒間に2回のLED42の点滅が所定時間継続して出力される。これにて連動警報処理が終了する。
(処理)
次に、この警報システム1に属する住警器10の制御部70が実行する処理について説明する。実施の形態2に係る警報システム1の処理では、火災監視処理が行われ、当該火災監視処理においては事後表示処理が行われる。また、この火災監視処理は、実施の形態1の火災監視処理とほぼ同一の処理となるが、この事後表示処理は、実施の形態1の事後表示処理と一部が異なる。したがって以下では、火災監視処理について説明を省略し、この事後表示処理についてのみ説明する。
(処理−事後表示処理)
図8は、実施の形態2に係る事後表示処理のフローチャートである。ただし、この警報システム1におけるSE2〜4は、図6に示した実施の形態1の事後表示処理のSE1〜SE3とそれぞれ同じであるため、その説明を省略する。
まず、連動元警報処理部71aは、当該住警器10の発報順序を特定する(SE1)。この発報順序を特定する具体的な方法は任意であるが、例えば、状態記憶領域81bに記憶された発生イベント、及び当該発生イベントが発生した時間を特定する時間情報から、連動元警報処理部71aが警報信号の送信時間と警報信号の受信時間とを照合し、これら警報信号の時間的先後関係に基づいて、発報順序を特定してもよい。その他にも、例えば発生イベントを状態記憶領域81bに記録する際に、記憶領域と発生順とを関連づけておくことでも発報順序を特定することが出来る。そして、他の住警器10から警報信号を受信していない場合には、連動元警報処理部71aは、当該住警器10の発報順序を1番目として特定する。次いで、連動元警報処理部71aは、特定した発報順序に基づいて、当該発報順序をユーザが識別可能となる上述の方法で、LED42によって連動元表示を出力させる(SE2)。
(住警器10Aの連動元警報処理について)
次に、住警器10Aの連動元警報処理として、図7に示すSA1〜SA12の処理、図5に示すSD1〜SD7、SD13の処理、及び図8に示すSE1〜SE4の処理を関連づけて説明する。ただし、この連動元警報処理における図7のSA1〜SA3と図5のSD1〜SD4との関連は、図5に示す実施の形態1の処理のSA1〜SA3と図4のSD1〜SD4との関連に同じであるため、その説明を省略する。
SA3の処理後、住警器10Cから警報信号を受信した場合であっても(SA4)、住警器10Aの連動元警報処理部71aは、スピーカ41によって連動元警報のみを引き続き出力させる(SA5)。
ここで、SA8の処理に至るまでは、制御部70は、SD2〜SD4の処理を繰り返す。例えば、SA5の処理後、警報信号を送信している住警器10Cから復旧信号を受信した場合であっても(SA6)、住警器10Aの連動元警報処理部71aは、連動元警報を継続して出力させる(SA7、SD3)。
その後、復旧判定部72が異常検知の有無に基づいて復旧の要否を判定し(SD4)、異常検知がないため復旧すべきと判定された場合には(SA8)(SD4、Yes)、連動元警報処理部71aは、連動元警報を停止させると共に(SA9、SD5)、住警器10B、10Cに対して復旧信号を送信する(SA10、SD6)。その後、この処理では、連動先警報処理から連動元警報処理に移行していないので(SD7、No)、事後表示処理を行う(SD13)。
この事後表示処理において、連動元警報処理部71aは、実施の形態1と同様にして状態記憶領域81bに記憶された住警器10Aの発生イベント情報に基づいて、住警器10Aの発報順序を1番目と特定した後に(SE1)、LED42によって第1連動元表示を出力させる(SA11、SE2)。そして、SE2の処理から所定時間経過した後(SE3、Yes)、第1連動元表示を停止させて(SA12、SE4)、SD1に戻る。このとき、警報停止操作による連動元表示の停止を受け付ける期間を、SE2の所定時間または別に設定した時間内としても良い。すなわちこのようにすれば、SE2の所定時間経過前であっても、ユーザの意思で連動元表示を停止することが出来る。なお、状態記憶領域81bに記憶したイベント発生履歴情報は、SD1に戻る際にクリアするようにしても良い。
(住警器10Bの連動先警報処理について)
次に、住警器10Bの連動先警報処理として、図7に示すSB1〜SB8の処理と、図5に示すSD1、SD8〜SD12、SD14の処理とを相互に関連づけて説明する。ただし、この連動先警報処理におけるSB1、SB2と図5に示すSD1、SD8、SD9との関連は、図4及び図5に示す実施の形態1の処理におけるSB1、SB2と図5のSD1、SD8、SD9との関連に同じであるため、その説明を省略する。
SB2、SD9の処理後、住警器10Cから警報信号を受信すると(SB3。なお、図5では、SD9〜SD11の繰り返し中に、警報信号を受信するステップは明記していないが、実際には、この繰り返し中においても、警報信号の受信の有無を判別し、受信した場合には、当該受信した警報信号を送信した住警器を特定する処理が行われる)、連動先警報処理部71bは、スピーカ41によって連動先警報を継続して出力させる(SB4、SD9)。ただし、ここでは、例えば、連動先として住警器10Cが加わった旨がユーザに認識可能となるような連動先警報を出力させる。
その後、制御部70はセンサ部20によって当該部屋の監視動作を実行させるが(SD10)、ここでは、センサ部20の検煙部21から火災検知信号が出力されていないため(SD10、No)、連動先警報を継続したままステップSD11に移行する。ここで、警報信号を送信している住警器10Cから復旧信号を受信した場合(SB5)、復旧判定部72は、警報信号を送信している住警器10の全部から(ここでは、住警器10A、10Cから)の復旧信号を受信したか否かを判定するが(SD11)、ここでは住警器10の全部から復旧信号を受信していないと判定されるので(SD11、No)、連動先警報処理部71bは、スピーカ41によって連動先警報を継続して出力させる(SB6、SD9)。ただし、ここでは、例えば、連動先が住警器10Aのみとなった旨がユーザに認識可能となるような連動先警報を出力させる。
続いて、警報信号を送信している住警器10Aから復旧信号を受信した場合(SB7)、復旧判定部72は、住警器10の全部から(ここでは、住警器10Aから)復旧信号を受信したか否かを再び判定する(SD11)。ここでは住警器10の全部から復旧信号を受信したと判定されるので(SD11、Yes)、連動先警報処理部71bは、連動先警報を停止させる(SB8、SD12)。そして、連動元警報処理から連動先警報処理に移行したか否かを判定するが(SD14)、ここでは、連動元警報処理から連動先警報処理に移行していないため(SD14、No)、SD1に戻る。
(住警器10Cの連動先警報処理について)
次に、住警器10Cの連動先警報処理として、図7に示すSC1〜SC13の処理と、図5に示すSD1〜SD14の処理とを相互に関連づけて説明する。ただし、この連動先警報処理における図7のSC1、SC2と図5のSD1、SD8、SD9との関連は、実施の形態1の処理における図4のSB1、SB2と図5のSD1、SD8、SD9との関連に同じであるため、その説明を省略する。
SC2、SD9の処理後、センサ部20の検煙部21から火災検知信号が出力された場合(SC3)(SD10、Yes)、住警器10Cの連動元警報処理部71aは送信部31に警報信号を送信させると共に(SC4、SD2)、スピーカ41によって連動先警報に代えて連動元警報を出力させる(SC5、SD3)。
ここで、SC6の処理に至るまでは、制御部70は、SD2〜SD4の処理を繰り返す。例えば、SD3の処理後、復旧判定部72が異常検知の有無を判定するが(SD4)、異常検知があると判定された場合には(SD4、No)、SD2に戻る。
その後、復旧判定部72が異常検知の有無に基づいて復旧の要否を判定し(SD4)、異常検知がないため復旧すべきと判定された場合には(SC6)(SD4、Yes)、連動元警報処理部71aは、連動元警報を停止させると共に(SC7、SD5)、住警器10A、10Bに対して復旧信号を送信する(SC8、SD6)。その後、この処理では、連動先警報処理から連動元警報処理に移行したので(SD7、Yes)、SD11に移行する。ここでは、連動先警報処理部71bは、住警器10Aからの復旧信号の受信の有無を判定する(SD11)。そして、この復旧信号を受信するまでは、制御部70は、SD9〜SD11の処理を繰り返すことで、連動先警報を出力する(SC9、SD9)。その後、受信部32が住警器10Aから復旧信号を受信すると、復旧判定部72は、警報信号を送信している住警器10の全部から復旧信号を受信したと判定し(SC10)(SD11、Yes)、連動先警報処理部71bは連動先警報を停止させる(SC11、SD12)。そして、連動元警報処理から連動先警報処理に移行したか否かを判定するが(SD14)、ここでは、連動元警報処理から連動先警報処理に移行しているので(SD14、Yes)、事後表示処理を行う(SD13)。
事後表示処理では、連動元警報処理部71aは、LED42によって連動元表示を出力させる(SC12、SE1)。そして、SE1の処理から所定時間経過した後(SE2、Yes)、連動元表示を停止させて(SC13、SE3)、SD1に戻る。
(効果)
このように実施の形態2によれば、連動元の住警器10の全部若しくは一部が復旧した時には、当該連動元の住警器10の発報順序をユーザが識別可能となるように、当該連動元の住警器10において識別出力を行うので、当該連動元の住警器10が復旧した後においても、ユーザが複数の住警器10の中から当該連動元の住警器10の発報順序を識別することができ、火災の発火源や火災経過等の出火原因、あるいは非火災報や誤報の原因を一層容易に特定することができる。
〔実施の形態3〕
次に、実施の形態3について説明する。この形態は、複数の連動元の警報器が復旧した後において、ユーザが連動元の警報器と連動先の警報器を識別できるように警報を停止する形態である。なお、実施の形態2と略同様の構成要素については、必要に応じて、実施の形態2で用いたのと同一の符号又は名称を付してその説明を省略する。
(全体構成)
実施の形態3に係る警報システム1は、図1に示した実施の形態1の警報システム1とほぼ同様に構成でき、制御部70、連動警報処理部71、連動元警報処理部71a、連動先警報処理部71b、及び復旧判定部72の後述する制御内容のみが異なるため、その構成の説明は省略する。
(住警器の処理動作について)
次に、住警器10の処理動作について説明する。実施の形態2と同様に、図1に示す警報システム1において、最初に住警器10Aによって異常が検知され、次いで住警器10Cによって異常が検知された場合を例に挙げて説明する。図9及び図10は、実施の形態3に係る複数の住警器10A、10B、10Cが実行する連動警報処理の流れを示したフローチャートである。ただし、この連動警報処理における図9及び図10のSA1、SA4〜SA6、SA9、SB1〜SB8、SC1〜SC3、SC6、SC7、SC10、SC11は、図7に示した実施の形態2の処理のSA1、SA4〜SA6、SA8、SB1〜SB8、SC1〜SC3、SC6、SC7、SC10、SC11とそれぞれ同じであるため、その説明を省略する。
SA1の処理後、住警器10Aにおいては、スピーカ41によって連動元警報が出力される(SA2)。また、住警器10Aにおいては、送信部31から住警器10B、10Cに対して警報信号が送信されるが、実施の形態3では、住警器10Aが連動元の住警器10であることをユーザが識別できるように、SA2の処理から所定の遅延時間経過後に警報信号が送信される(SA3)。これにより、住警器10Aの連動元警報が、SB2、SC2の処理にて出力される住警器10B、10Cの連動先警報よりも少なくとも所定時間だけ先に出力される。すなわち、少なくとも所定時間、住警器10Aのみから警報が出力されるので、住警器10Aが連動元の住警器10であることを、ユーザが容易に識別することができる。
ここで、SA2の処理後警報信号を送信するまでの遅延時間は、この目的に合わせた適宜の時間とする(SA7の一旦停止時間や、SA11の復旧信号送信における遅延時間も同様であるが、それぞれ異なる時間とすることも出来る)。また、この連動元警報の出力方法は任意であるが、例えば、スピーカ41によって音響出力を行う。また、逆にSA1の処理後、住警器10Aの送信部31から住警器10B、10Cに対して警報信号が送信され、当該警報信号が送信されてから所定の遅延時間経過後に、スピーカ41によって連動元警報が出力されてもよい。これにより、住警器10Aの連動元警報が、住警器10B、10Cの連動先警報よりも後に出力される。すなわち、少なくとも所定時間、連動先の住警器10B、10Cのみが警報を発するので、所定時間警報が行われない住警器10Aが連動元の住警器10であることを、ユーザが容易に識別することができる。このときの遅延時間は、少なくとも、通信により連動先の住警器10B、10Cに対して警報信号が届くまでの想定時間よりも充分に長く設定しておく必要がある。またさらに、警報信号が送信されてから所定の遅延時間経過までの間、住警器10Aにおいては、LED42の点滅が繰り返し出力されるようにしても良い。なお、住警器10Cにおいては、住警器10AにおけるSA2、SA3の処理と同様に、SC4、SC5の処理が行われる。
ここで、SA1の処理後、住警器10Aの送信部31から住警器10B、10Cに対して警報信号を送信するのとほぼ同時に(前後不問)、住警器10Aは連動元警報出力を行うようにしても良い。この場合、住警器10B、10Cは、SB1、SC1で住警器10Aからの警報信号を受信してから所定時間経過後にSB2、SC2の処理、例えばスピーカ41によって連動先警報出力を行うようにする。このようにすれば、少なくとも所定時間、連動元の住警器10Aからのみ警報が出力されるので、図9に示したSA2〜SA3、SB1〜SB2、SC1〜SC2によるフロー処理と同様の効果を得ることが出来る。これらは、SC4〜SC5、SA4〜SA5、SB3〜SB4の連動処理においても同様に適用できる。すなわち、連動元と連動先で警報出力開始に所定の時間差が設けられていれば、どちらが先に警報出力を開始しても良く、少なくとも、連動元の警報の開始タイミングと、連動先の警報の開始タイミングとが、相互に非同一となっていればよい。また、この所定の時間差は、連動元と連動先の何れにおいて、どのように管理、制御されても良い。そして、このような連動元と連動先の時間差は、1つの連動元住警器に対する複数の連動元住警器毎に異ならせることも出来る。
SC5の処理後、住警器10Cにおいては、異常が検知されなくなると(SC6)、スピーカ41からの連動元警報が停止され(SC7)、所定時間経過後に住警器10A、10Bに対して復旧信号が送信された後(SC8)、連動先警報のみが出力される(SC9)。
一方、SA6の処理後、寝室に居るユーザに対して住警器10Cが復旧したことを知らせるために、住警器10Aにおいては、連動元警報が一旦停止された後に(SA7)、スピーカ41によって連動元警報が再び出力される(SA8)。
また、SA9の判定後、住警器10Aにおいては、連動元警報が停止される(SA10)。それと共に、住警器10Aにおいては、当該住警器10Aが連動元の住警器10であることをユーザが識別できるように、SA10の処理から所定時間経過後に、復旧信号が送信される(SA11)。これにより、住警器10Aの連動元警報が、SB8、SC10の処理にて出力される住警器10B、10Cの連動先警報よりも先に停止されるので、住警器10Aが連動元の住警器10であることをユーザが容易に識別することができる。この連動元警報の停止方法は任意であるが、例えば、逆にSA9の判定後、住警器10Aにおいては、住警器10Aの送信部31から住警器10B、10Cに対して復旧信号が送信されてから所定時間経過後に、連動元警報が停止されてもよい。これにより、住警器10Aの連動元警報が、住警器10B、10Cの連動先警報よりも後に停止される。すなわち、少なくとも所定時間、連動元である住警器10Aの警報のみが出力されるので、住警器10Aが連動元の住警器10であることを、ユーザが容易に識別することができる。このときの遅延時間は、少なくとも、通信により連動先の住警器10B、10Cに対して警報信号が届くまでの想定時間よりも充分に長く設定しておく必要がある。もちろん、住警器10AはSA10で復旧信号を送信するのとほぼ同時に(前後不問)連動元警報を停止し、住警器10B、10C側が住警器10Aから送信された復旧信号を受信してから所定時間を待って連動先警報出力を停止するようにしても良く、これによっても少なくとも所定時間、住警器10Aからの警報のみが出力されるので、同様の効果が得られる。つまり、連動元と連動先に所定の復旧時間差が設けられるようにすれば、どちらが先に警報停止しても良い。また、この所定の時間差は、連動元と連動先の何れにおいて、どのように管理、制御されても良く、少なくとも、連動元の警報の停止タイミングと、連動先の警報の停止タイミングとが、相互に非同一となっていればよい。そして、このような連動元と連動先の時間差は、1つの連動元住警器に対する複数の連動元住警器毎に異ならせることも出来る。
(処理)
次に、この警報システム1に属する住警器10の制御部70が実行する処理について説明する。実施の形態3に係る警報システム1の各種処理では火災監視処理が行われるが、この火災監視処理においては、事後表示処理が行われない。また、この火災監視処理は、実施の形態2の火災監視処理と一部が異なる処理となる。したがって、以下では、この火災監視処理について説明する。
(処理−火災監視処理)
図11は、実施の形態3に係る火災監視処理のフローチャートである。ただし、この警報システム1におけるSD1、SD5、SD12〜SD16は、図5に示した実施の形態2のSD1、SD4、SD8〜SD12とそれぞれ同じであるため、その説明を省略する。また、SD1の処理以降では、当該住警器10が異常を検知した場合に行う連動元警報処理(主に連動元警報処理部71aによって行われるSD2〜SD11の処理)と、他の住警器10が異常を検知した場合に行う連動先警報処理(主に連動先警報処理部71bによって行われるSD12〜SD16の処理)とに大別される。
まず、センサ部20の検煙部21から火災検知信号が出力された場合には、当該住警器10が異常を検知したと考えられるので(SD1、Yes)、当該住警器10が連動元の住警器10であることをユーザが識別できるように、連動元警報処理部71aは、スピーカ41によって連動元警報を出力させると共に(SD2)、SD2の処理から所定期間経過後(SD3、Yes)、送信部31によって警報信号を送信させる(SD4)。これにより、当該住警器10の連動元警報が、他の住警器10の連動先警報よりも先に出力されるので、当該住警器10が連動元の住警器10であることを、ユーザが容易に識別することができる。なお、他の住警器10から連動元警報が出力されている場合には、連動元警報処理部71aは、SD3の処理を省略してもよい(後述するSD7も省略できる)。
また、SD5の処理にて、センサ部20の検煙部21から火災検知信号が出力されなくなった場合には、当該住警器10が異常を検知していないと考えられるので(SD5、Yes)、復旧判定部72は、当該住警器10を復旧させるべきと判定する。この判定を受けて、当該住警器10が連動元の住警器10であることをユーザが識別できるように、連動元警報処理部71aは、連動元警報を停止させると共に(SD6)、SD6の処理から所定期間経過後(SD7、Yes)、送信部31によって復旧信号を送信させる(SD8)。これにより、当該住警器10の連動元警報が、他の住警器10の連動先警報よりも先に停止されるので、当該住警器10が連動元の住警器10であることを、ユーザが容易に識別することができる。
また、SD5の処理にて、センサ部20の検煙部21から火災検知信号が出力されている場合には、当該住警器10が引き続き異常を検知していると考えられるので(SD5、No)、復旧判定部72は、当該住警器10を復旧させるべきでないと判定する。この判定を受けて、他の住警器10が異常を検知しているか否かを判別するために、復旧判定部72は、受信部32によって他の住警器10から送信された復旧信号が受信されたか否かを判定する(SD9)。
ここで、警報信号を送信した他の住警器10から復旧信号を受信している場合には(SD9、Yes)、他の住警器10のうちの少なくとも一部が連動元警報を停止したと考えられるので、このことを当該住警器10付近に居るユーザに知らせるために、連動元警報処理部71aは、連動元警報を一旦停止させた後に(SD10)、再び連動元警報を出力させる(SD11)。これにより、当該住警器10が連動元警報を出力している間であっても、当該住警器10の連動元警報が一旦停止されるので、当該住警器10以外の住警器10が復旧したことを、当該住警器10付近に居るユーザに知らせることができる。なお、他の住警器10から復旧信号を受信している場合には、連動元警報を一旦停止させることに限られない。例えば、連動元警報処理部71aは、連動元警報に代えて他の警報、例えば連動先警報と同様の警報を一時的に出力させた後に、再び連動元警報を出力させてもよい。すなわち、他の連動元住警器の少なくとも一部が復旧したことを識別出来るようにすれば良く、その手段や方法は如何なるものであっても良い。
一方、警報信号を送信している他の住警器10から復旧信号を受信していない場合には(SD9、No)、他の住警器10のうちの一部が連動元警報を継続して出力していると考えられるので、SD2へ戻り、スピーカ41によって連動元警報を引き続き出力させる。なお、以後の処理において、SD2〜SD5、SD9の処理を繰り返す場合には、SD3の処理を省略してもよい。
(住警器10Aの連動元警報処理について)
次に、住警器10Aの連動元警報処理として、図9及び図10に示すSA1〜SA11の処理、及び図11に示すSD1〜SD11の処理を相互に関連づけて説明する。ただし、この連動元警報処理におけるSA1、SA4〜SA6、SA9は、図7に示す実施の形態2の処理のSA1、SA4〜SA6、SA8と同じであるため、その説明を省略する。
まず、住警器10Aが設置されている寝室で異常が発生したことが検知されると(SA1)(SD1、Yes)、連動元警報処理部71aはスピーカ41によって連動元警報を出力させる(SA2、SD2)。そして、SD2の処理から所定時間経過後(SD3、Yes)、連動元警報処理部71aは送信部31に警報信号を送信させる(SA3、SD4)。
ここで、SA6の処理に至るまでは、制御部70は、SD2〜SD5、SD9の処理を繰り返す。例えば、SA3の処理後、復旧判定部72が異常検知の有無に基づいて復旧の要否を判定し(SD5)、異常検知があるため復旧すべきでない場合には(SD5、No)さらに、復旧判定部72は、警報信号を送信している住警器10Cから復旧信号を受信しているか否かを判定するが(SD9)、住警器10B、10Cから復旧信号を受信していない場合には(SD9、No)、連動元警報を継続して出力させるために、SD2に戻る。
復旧判定部72は復旧信号を受信したか否かを判定し(SD9)、復旧信号を受信した場合には(SA6)(SD9、Yes)、連動元警報処理部71aは、連動元警報を一旦停止させた後に(SA7、SD10)、再び連動元警報を出力させて(SA8、SD11)、SD5に戻る。
次いで、SA8の処理後、復旧判定部72が異常検知の有無に基づいて復旧の要否を判定し(SD5)、異常検知がないため復旧すべきと判定した場合には(SA9)(SD5、Yes)、連動元警報処理部71aは連動元警報を停止させる(SA10、SD6)。そして、SD6の処理から所定時間経過後(SD7、Yes)、連動元警報処理部71aは送信部31に復旧信号を送信させて(SA11、SD8)、SD1に戻る。
(住警器10Bの連動先警報処理について)
次に、住警器10Bの連動先警報処理として、図9及び図10に示すSB1〜SB8の処理と、図11に示すSD1、SD12〜SD16の処理も、相互に関連付けることができる。ただし、この連動先警報処理における図9及び図10のSB1〜SB8と図11のSD1、SD12〜SD16との関連は、実施の形態2の処理における図7のSB1〜SB8と図5のSD1、SD8〜SD12との関連に同じであるため、その説明を省略する。
(住警器10Cの連動先警報処理について)
次に、住警器10Cの連動先警報処理として、図9及び図10に示すSC1〜SC11の処理と、図11に示すSD1〜SD9、SD12〜SD16の処理とを相互に関連づけて説明する。ただし、この連動先警報処理における図9のSC1〜SC3と図11のSD12〜SD14との関連は、実施の形態2の処理における図7のSC1〜SC3と図5のSD8〜SD10との関連に同じであるため、その説明を省略する。
SC3の処理後、住警器10Cの連動元警報処理部71aは、スピーカ41によって連動先警報に代えて連動元警報を出力させると共に(SC4、SD2)、所定時間経過後に(SD3)、送信部31に警報信号を送信させる(SC5、SD4)。
ここで、SC6の処理に至るまでは、制御部70は、SD2〜SD9の処理を繰り返す。例えば、SD4の処理後、復旧判定部72が異常検知の有無を判定するが(SD5)、異常検知があると判定された場合には(SD5、No)、SD9を経てSD2に戻る。
その後、復旧判定部72が異常検知の有無に基づいて復旧の要否を判定し(SD5)、異常検知がないため復旧すべきと判定された場合には(SC6)(SD5、Yes)、連動元警報処理部71aは、連動元警報を停止させると共に(SC7、SD6)、所定時間経過後に(SD7)、住警器10A、10Bに対して復旧信号を送信する(SC8、SD8)。その後、SD1に移行し、住警器10Cのセンサ部20は異常(火災)を検知していないが(SD1、No)、住警器10Aからの警報信号を引き続き受信しているため(SD12、Yes)、連動先警報を出力する(SC9、SD13)。次いで、連動先警報処理部71bは、住警器10Aからの復旧信号の受信の有無を判定する(SD15)。そして、この復旧信号を受信するまでは、制御部70は、SD13〜SD15の処理を繰り返すことで、連動先警報の出力を継続する(SC9)。その後、受信部32が住警器10Aから復旧信号を受信すると、復旧判定部72は、警報信号を送信している住警器10の全部から復旧信号を受信したと判定し(SC10)(SD15、Yes)、連動先警報処理部71bは連動先警報を停止させて(SC11、SD16)、SD1に戻る。
(効果)
このように実施の形態3によれば、連動元の住警器10の全部若しくは一部が復旧した時には、当該連動元の住警器10が復旧してから所定時間経過後に、連動元の住警器10以外の住警器10の警報を停止するので、警報の停止のタイミングがずれることにより、ユーザが複数の住警器10の中から当該連動元の住警器10を容易に特定することができ、火災の発火源や火災経過等の出火原因、あるいは非火災報や誤報の原因をより一層容易に特定することができる。
また、連動元の住警器10の全部若しくは一部が復旧した時には、当該連動元の住警器10以外の住警器10の警報を停止すると共に、当該連動元の住警器10以外の住警器10の警報を停止させてから所定時間経過後に、連動先の住警器10の警報を停止するので、復旧した住警器10の警報を当該復旧した住警器10以外の住警器10の警報よりも早いタイミングで停止することができ、ユーザが複数の住警器10の中から当該連動元の住警器10を容易に特定することができる。
また、連動元の住警器10の一部における異常の検知状態が継続している場合には、当該連動元の住警器10の他の一部が復旧した場合であっても、当該復旧した住警器10以外の連動元の住警器10の警報を一旦停止した後に、当該連動元の住警器10の警報を再開するので、ユーザが複数の住警器10の中から当該連動元の住警器10を容易に特定することができる。
また、発報した住警器10の全部若しくは一部が復旧した時には、当該発報した住警器10の警報の停止タイミングと、当該発報した住警器10以外の住警器10の警報の停止タイミングとを、相互に非同一とするので、この停止タイミングの相違に基づいて、発報した住警器10と発報した警報器以外の住警器10とを相互に識別することができる。
また、復旧した住警器10以外の発報した住警器10の警報を一旦停止した後に、当該住警器10以外の住警器10が発報したことに起因する警報又はその他の警報を行った後、当該発報した住警器10の警報を再開するので、警報が一旦停止された後、他の警報をはさんで、発報した住警器10の警報が再開されることで、該発報した住警器10の他の一部が復旧したか否かを識別することができる。
また、発報した住警器10の警報の開始タイミングと、当該発報した住警器10以外の住警器10の警報の開始タイミングとを、相互に非同一とするので、警報の開始タイミングの相違に基づいて、発報した住警器10と、発報した住警器10以外の住警器10とを識別することができ、火災の発火源や火災経過等の出火原因、誤報や非火災報の原因を容易に特定することができる。
〔各実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る各実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
(分散や統合について)
また、上述した各電気的構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成できる。例えば、図1に示す警報システム1において、住警器10A,10Cは、連動元警報処理及び連動先警報処理を行うが、住警器10Bは、連動先警報処理のみを行うようにしてもよい。この場合には、住警器10Bは、各実施の形態で説明した制御部70や記憶部80等の全部又は一部を備えて構成せず、あるいはこれら全部又は一部の動作を停止させてもよい。
(事後表示処理ついて)
各実施の形態では、連動元の住警器10においては、警報信号を出力している住警器10の全てが復旧してから、連動元表示が出力されると説明したが、これに限られない。例えば、連動元の住警器10である当該住警器10が連動元警報を停止した場合であって、他の住警器10の少なくとも一部が異常を検知している場合であっても、当該住警器10が以前に連動元の住警器10であったことをユーザが識別できるように、当該住警器10においては、LED42によって連動元表示が出力されてもよい。具体的には、図7に示すSC6の処理にて、住警器10Cのセンサ部20が寝室の異常を検知しなくなった後に、住警器10Cにおいては、スピーカ41による連動元警報が停止されると共に、LED42によって連動元表示が出力される。その後、SC8の処理にて、住警器10Cにおいては、住警器10Aから警報信号を受信することで、スピーカ41によって連動先警報が出力されるが、この連動先警報の出力と合わせて、LED42によって連動元表示が出力されてもよい。なお、このとき図8に示す事後表示処理において、SE2及びSE3の処理を省略してもよい。
(連動元表示の出力方法について)
各実施の形態では、連動元表示はLED42によって出力されると説明したが、これに限られない。例えば、連動元表示はLED42の代わりにスピーカ41等によって出力されてもよく、あるいはLED42及びスピーカ41等の併用によって出力されてもよい。具体的には、図7に示すSA11の処理にて、住警器10Aにおいては、「ウーウー 1番目に警報を出力した寝室の住警器が停止しました」のように、スピーカ41によって住警器10Aの設置位置及び発報順序を含んだ音声メッセージが所定時間繰返し出力されてもよい。
(時間設定タイミングについて)
各種の遅延時間を設定する場合には、住警器10A〜10Cの無線連動に要する通信時間や連動処理に要する時間を考慮して設定することができる。例えば、実施の形態3のように、いずれかの住警器が異常を検出してから、所定の遅延時間経過後に他の住警器に警報信号を送信する場合において、これら連動元の住警器における実際の警報出力タイミングと連動先の住警器における実際の警報出力タイミングとの相互の時間差をT1としたい場合において、連動元の住警器から警報信号を出力した時点から連動先の住警器において連動先警報が開始される迄に要する時間をT2とすると、遅延時間としてはT1−T2を設定してもよい。従って、実際には無線通信に相当の時間が必要な場合、連動先で設定する遅延時間を、その分だけ短縮してもよい。
また、複数の住警器の警報開始タイミングを相互に非同一とする場合において、実施の形態3では、異常を検出した住警器(連動元の住警器)で警報を行った後、他の住警器(連動先の住警器)で連動警報を行っているが、この警報開始のタイミングを逆にしてもよい。すなわち、異常を検出した住警器(連動元の住警器)の連動元警報処理部は、警報を行うことなく先ず他の住警器(連動先の住警器)に連動警報信号を送信し、他の住警器(連動先の住警器)で連動警報が行われたと考えられる所定時間の経過後に、警報を行うようにしてもよい。この場合には、例えば、異常が検出された監視領域には通常は人が居る可能性が少なく、異常が検出された監視領域以外の監視領域に人が居る可能性の方が高いような場合であって、これら監視領域が相互に離れているために他の監視領域の警報音が直接聞こえないような場合に、当該人が居る可能性の高い監視領域に設置された住警器で連動先警報を早期に行うことで、異常発生位置等の識別を可能としつつ、利用者に異常を早期に報知することが可能になる。
さらに、複数の住警器の警報開始タイミングを相互に非同一とする場合において、異常を検出した場合に先ず自己で警報を出力してから、所定時間経過後に他の住警器に連動警報信号を出力する住警器(以下、警報優先住警器)と、異常を検出した場合に先ず他の住警器に連動警報信号を出力してから、所定時間経過後に自己で警報を行う住警器(以下、連動優先住警器)とを、同一の警報システムに混在させてもよい。このことにより、同一の警報システムを構成する複数の住警器の中で、一部の住警器のみを、最も早く警報を出力させる住警器として設定することが可能になる。例えば、3台の住警器10A、10B、10Cによって警報システムが構成されている場合において、住警器10Aはリビングに配置されているために通常人が居る可能性が高く、住警器10B、10Cはリビングから離れたクローゼット等に配置されているために通常人が居る可能性が低いような場合において、住警器10Aは警報優先住警器として構成し、住警器10B、10Cは連動優先住警器として構成することで、住警器10A、10B、10Cのいずれにおいて異常が検知された場合であっても、異常発生位置等の識別を可能としつつ、住警器10Aで一層早く警報を出力させることが可能となる。