JP2011138767A5 - - Google Patents
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Description
本願明細書等に記載の単数で記載されている名詞は特に明記されない限り複数も含む。
本発明は、概して、再充電可能なリチウムイオン化学電池に関し、より具体的には、自動車用リチウムイオン電池パックの電池パック寿命を改善することに関する。
リチウムイオン電池は家庭用電化製品において一般的に用いられる。リチウムイオン電池は、電力/重量比が最適であり、いわゆるメモリー効果がなく、不使用時の電力の損失が遅いという特徴を備え、携帯用電子機器のために最もポピュラーなものの一つである。家庭用電化製品での使用に加えて、リチウムイオン電池は、その高電力および高電力密度によって、軍事用、自動車用、航空宇宙用の用途において人気が高まっている。
リチウムイオン化学の利用における利点の一つは、この技術を用いて製造された電池が再充電可能であることである。従来の充電は二段階の充電アルゴリズムを用いてなされ、それは(i)定電流(CC)と(ii)定電圧(CV)である。電気自動車においては第一段階は定電力(CP)であり得る。
ステップ1: セル1個あたりの電圧制限に達するまで、充電電流制限を課す。
ステップ2: 電流が所定のレベル(C/20であることが多いがC/5もしくはC/10または他の値となることもある)を下回るまで、セル1個あたりの最大電圧制限を課す。
充電時間は、用途によって大体1〜5時間である。一般的に携帯電話の電池は1Cで充電することができ、ラップトップパソコンでは0.8Cである。一般的に、電流がC/10を下回ると充電が止まる。急速充電器によってはステップ2が開始される前に停止し、電池が約70%の充電度で準備完了であるとする。(本明細書において用いられる「C」は、一時間に電池を放電する定格電流である。)。
一般に家庭用電化製品のために、リチウムイオンは各セルあたり約4.2±0.05Vで充電される。自動車産業、重工業、および軍事用途においては、電池寿命を延ばすためにより低い電圧を用いてもよい。多くの保護回路は、4.3V以上もしくは90°Cに達すると切断される。
電池式システムにおいて、電池に残存している電荷を正確に推定する能力を有することが非常に望ましく、多くの場合、これは不可欠なものである。例えば、カメラ、携帯電話、ポータブルゲームシステム、コンピュータといった携帯用電子機器において、こうした情報が分かることで、エンドユーザが再充電が必要になるまであとどれぐらいその機器を使用することができるかをユーザ自身が見積もることができるようになる。場合によっては、この情報によって、エンドユーザが不意にデータを損失させることを防ぐことができる(この損失は、電池が完全に放電してしまったためにカメラまたはコンピュータが急に機能を停止した場合に一般的に発生する)。他の用途(例えば電気自動車)においては、残存する蓄電池容量を知ることは、目的地に辿り着けるか着けないかの違いを生み出し得る。すなわち、十分な警告を与えられないまま、電池が完全に放電してしまった場合に、この車両およびドライバーは立ち往生してしまう。加えて、電池の充電率(SOC)が減少するにつれて電池の電圧が下降するため、SOCを知ることで、電池式機器(例えば電気自動車)が利用することができる電力を正確に見積もることができる。
電池の残存容量を正確に見積もるために、電池の全容量を正確に知ることが極めて重要である。残念ながら、電気自動車や他の電池式機器における通常の使用条件の下では、電池容量を正確に確認することは困難である。例えば、電池容量を判定する方法の一つにおいては、電池の初期容量が、バッテリー経年、現在までの充電/放電サイクル数、および温度などの様々な要因(ファクタ)に基づき徐々に減じられる。残念ながら、この方法は電池容量の非常に正確な見積りをなすものではなく、なぜなら、いくつかの要因が適切に考慮に入れられず(例えば、これまでの温度プロファイル、負荷条件、各充電の前の放電
深度、充電/放電比率など)、かつ、誤差の影響が電池が古くなるにつれて蓄積されていくからである。電池容量を判定する別の方法は、電池を完全に放電させて、その後、充電の間にその電池の容量を判定するものである。この手法は時折用いることができるが、これを日常的に用いると、重大な副作用が生じ得る。なぜなら、電池を放電させること(特に電池を完全に放電させること)により、その寿命を著しく縮めてしまい得るからである。加えて、ほとんどの電池式機器(特に電気自動車)において、ユーザに充電の前に電池を完全に放電させることを要求することは極めて不便である。これは、従来の車において、単に燃料タンクの容量を判定するために再給油の前に燃料タンクが空になるまで車をドライブすることを要求するのに似ている。
深度、充電/放電比率など)、かつ、誤差の影響が電池が古くなるにつれて蓄積されていくからである。電池容量を判定する別の方法は、電池を完全に放電させて、その後、充電の間にその電池の容量を判定するものである。この手法は時折用いることができるが、これを日常的に用いると、重大な副作用が生じ得る。なぜなら、電池を放電させること(特に電池を完全に放電させること)により、その寿命を著しく縮めてしまい得るからである。加えて、ほとんどの電池式機器(特に電気自動車)において、ユーザに充電の前に電池を完全に放電させることを要求することは極めて不便である。これは、従来の車において、単に燃料タンクの容量を判定するために再給油の前に燃料タンクが空になるまで車をドライブすることを要求するのに似ている。
先行技術は、様々な充電システムにおける問題(特に電池セルの安全性および劣化に関するもの)を認識している。ヘビーユース(電気自動車および他の産業用用途など)のために用いられる電池パックは、数千もの電池セルを有することが多く、これらのセルのアッセンブリは多くの資源(金銭および時間)が投入されたことを意味し、安全性および劣化に関する問題は更に重要なものである。対照的に、多くの家庭用機器は、再充電可能な電池セルを有しており、これはコスト全体において比較的小さいことを一般に意味し、電池セルを入手して交換する場合に特別な困難がなく、電池サイクル寿命の重要性はその容量よりも比較的低い。
家庭用機器において、リチウム電池セルの経年は要因とはならないことが多い。リチウムイオン電池は、容量を損失するため5〜7年間使用することができる。この容量の損失は、機械的ストレスおよび酸化によって引き起こされる内部抵抗の増加となって現れる。結果として、この電池が電荷を十分に有しているにも関わらず、電池パックが蓄積エネルギーを供給することができないところまでセル抵抗が達してしまう。このため、古くなった電池は、高負荷を必要とする機能においてではなく、弱電流における用途においてより長く維持することができる。サイクル寿命および経年によって内部抵抗が増加することは、携帯電話、カメラおよびノートパソコンに用いられるシステムにおけるコバルト系リチウムイオンにとっては一般的であり、なぜならその高エネルギー密度のためである。低エネルギー密度のマンガン系リチウムイオン(スピネルとも知られる)は、その寿命を通して内部抵抗を維持するが、化学分解によって容量を失う。スピネルは主に電動工具のために用いられる。
リチウムイオン電池の限定された耐用年数についての一般的な言明は正しいが、寿命は、電池パックおよびそのセルが体験する「ライフスタイル」および「置かれた状況」が非常に大きな要因となる。リチウムイオンが経年劣化するスピードは、温度および充電速度を含む多くの要因によって支配される。高充電レベルおよび高温は、永久的な容量損失を早める。化学的な改良によってリチウムイオン電池の蓄電性能は増加した。充電されたセルが達する電圧レベルも、その寿命において重要な役割を担う(十分なセル容量とサイクル寿命劣化との間の適当な妥協点として選択される最大セル電圧の値は4.1である)。
一般的に言って、電池は、穏やかに扱われるとそのサイクル寿命が延びる。高充電電圧、過剰な充電速度および極度の負荷状態は、悪影響を生じ、電池寿命を縮める。これは、高電流率(high current rate)のリチウムイオン電池にも当てはまる。リチウムイオン電池を遅い充電速度で充電したほうがよく、また、高放電速度もその磨耗を速める。電池が1C以下で充電され、放電される場合、高エネルギー密度セルのためのサイクル寿命は、それよりも高い充電/放電レベル(電池の放電容量(Ah)によって測定される)よりも一般的に非常によい。(0.5Cの充電および放電速度を用いることで、更に向上させることができる。動力電池は、より高速の充電および放電に対応することができる。)適度な充電および放電は電池に与えるストレスが小さく、その結果、サイクル寿命が長くなる。加えて、電池が保存される温度および充電率(SOC)は、その寿命に非常に大きな影響を与える。電池を高充電率および高温に維持することは防ぐべきである。例えば、長期間使用しない場合には、自動車を低充電率で保管すべきである。保管モードにおいて車両走行距離が減少されるが、この犠牲は、パック寿命を延ばすのに有益である。
リチウムイオンの寿命は、充電速度および放電速度よりも他の要因に依存する。電池を注意して使用することで改善することができるが、電池セル環境および必要な保守等によって、常に最適な電池寿命を達成できるというわけではない。電池の寿命は環境ストレスが直接影響することが多い。
電池サイクル寿命を延ばすための上記の検討事項は、車両走行距離(vehicle range)を延ばすための要件、ならびに、自動車用用途および他の産業用において用いられる高性能電池パックの使用のための要件と相容れないことが多い。上記に記載したように、自動車用および産業用用途のための高度な電池パックによる資源コストは著しく、長走行距離とパックサイクル寿命との間の最適バランスに近づけることが非常に重要である。ユーザごとに異なる要求があり、これらの要求は経時的に変化するため課題が増える。要するに、各ユーザに対して先験的に設定することができる単一の解決策がないので
ある。
ある。
本明細書に組み込まれた特許出願は、SOC範囲の最適化のためのいくつかの異なる状況を記載しており、これらの状況に対する解決策を提供している。この開示内容は、これらの状況の一つに焦点を当てており、それは、電池パックの経年におけるSOC範囲の最適化である。電気自動車のメーカーは、電気自動車の走行距離を向上し続けており、この方法の一つは、全蓄積エネルギーを増加することである。(更なる電池モジュールを加えることにより)重量を増加させることなくこれを達成するためには、通常、エネルギー密度を増加する必要がある。
新しい技術の使用およびより高密度にすることによって、エンドユーザ(電気自動車のオーナー)に予想外の結果をもたらし得る。充電システムが従来からそうであるように、高エネルギー密度の電池システムから得られる電荷は、低エネルギー密度の電池システムよりも早く経年劣化する。経時的な性能(すなわち走行距離)の変化に着目するエンドユーザは、より新しい技術のほうが劣っており、不調であると感じ得る。SOCレベルと、充電と、使用との相互関係は複雑であり、エンドユーザが微妙な違いを認識することが困難なものとなる。特定のエンドユーザのために様々なパラメータを調整することも困難となり得え、これは、特に充電および電池管理がエンドユーザの操作を補完するものではない場合に、異なるエンドユーザの動作パターンが性能劣化に顕著に影響し得るためである。
特に、経年に応じた電池パックセル容量の減少に適応するために、自動車用リチウムイオン電池パックのサイクル寿命を向上させる必要がある。個々のユーザに与えられる走行距離と、電池パックの寿命を向上させることとの間のバランスが向上される。以下に記載の発明は、当該課題に対処するものであり、新規かつ進歩性のある解決策を提供するものである。
本発明は、リチウム電池パックのためのサイクル寿命を向上させるためのシステムおよび方法であって、特に、経年に応じて、電池パックセル容量の減少に適応させるシステムおよび方法である。電池セルパックのための管理システムであって、この管理システムは、前記電池セルパックのための調整可能な充電プロファイルを決定する制御器を含んでおり、この調整可能な充電プロファイルは、前記電池セルパックのための一セットの走行距離モード(drive range mode)から次ぎの走行距離モードを特定する動作パラメータを含んでおり、各走行距離モードは、充電SOCと放電SOCとの間の充電率(SOC)ウィンドウを有しており、前記一セットの走行距離モードは、第1SOCウィンドウを有する第1走行距離モードと、前記第1SOCウィンドウよりも小さい第2SOCウィンドウを有する第2走行距離モードとを含んでおり、前記管理システムは、前記電池セルパックにおける前記次ぎの走行距離モードの前記充電SOCを生成するために一または複数のエネルギー伝達ステージを更に有している。
電池セルパックのための管理システムであって、この管理システムは、前記電池セルパックのための調整可能な充電プロファイルを決定する制御器を含んでおり、前記調整可能な充電プロファイルは、次を含む。前記充電セルパックのための次ぎの走行距離モードを特定する動作パラメータであって、前記走行距離モードが充電SOCと放電SOCとの間のSOCウィンドウを含む、動作パラメータと、前記電池セルパックにおいて前記充電SOCを生成するために一または複数のエネルギー伝達ステージ。
電池セルパックを充電するための電池セルパック充電方法であって、この方法は、プロセッサを用いて、(a)前記電池セルパックのための一組の走行距離モードから次の走行距離モードを特定する工程を含んでおり、ここで、各走行距離モードは、充電SOCと放電SOCとの間のSOCウィンドウを含んでおり、前記一組の走行距離モードは、第1SOCウィンドウを有する第1走行距離モードと、前記第1SOCウィンドウよりも小さい第2SOCウィンドウを有する第2走行距離モードを含んでおり、(b)前記次ぎの走行距離モードの前記充電SOCを生成するために前記電池セルパックを充電する工程と、(c)次ぎの充電後動作時の性能特性によって特定される次ぎの充電後動作の予測に基づいて前記電池セルパックに接続された充電器によってプランを実行する工程と、を含んでいる。
電池セルパックを充電するための電池セルパック充電方法であって、この方法は、プロセッサを用いて、(a)前記電池セルパックのための次の走行距離モードを特定する工程を含んでおり、ここで、前記走行距離モードは、充電SOCと放電SOCとの間のSOCウィンドウを含んでおり、(b)前記次ぎの走行距離モードの前記充電SOCを生成するために前記電池セルパックを充電する工程と、(c)次ぎの充電後動作を予想して前記電池セルパックに接続された充電器によってプランを実行する工程と、を含んでいる。
好適な実施形態は、少なくとも2つのモードをエンドユーザに提供する(実際には、2つ以上のモードがある可能性が高い(例えば、SOC(および再充電頻度、充電速度など)が保管のためにより最適化されており、利用可能な放電エネルギーの量をあまり案じない保管モードなど)。これらのモードのそれぞれは、充電SOC(この値まで電池が充電される)および/または放電SOC(この値まで電池が放電される)を変化させることによってユーザのために異なる走行距離を提供する。すなわち、走行距離は、許可されたSOCウィンドウに基づく放電エネルギーに基づく。小さなSOCウィンドウと大きなSO
Cウィンドウとを提供することによって、多くのユーザが、より長い化学寿命を提供するより小さいSOCを選択することが多いと予想される。エンドユーザに対してより一貫した放電エネルギー(範囲)(好適な実施形態において経時的に一定である利用可能な範囲)を提供するために、時間の経過と共に小さいウィンドウサイズが大きくなる。
Cウィンドウとを提供することによって、多くのユーザが、より長い化学寿命を提供するより小さいSOCを選択することが多いと予想される。エンドユーザに対してより一貫した放電エネルギー(範囲)(好適な実施形態において経時的に一定である利用可能な範囲)を提供するために、時間の経過と共に小さいウィンドウサイズが大きくなる。
本発明の好適な実施形態は、その結果のほとんどを充電を通して獲得し、更にはドライブ中に得た結果も加わる。ドライブ中の充電SOCはこれらの実施において特に関係するものではなく、なぜなら、運転中のSOCの顕著な増大は稀だからである。
本発明は、リチウム電池パックのためのサイクル寿命を向上させるためのシステムおよび方法であって、特に、ユーザのために動的な使用プロファイルに適応させるシステムおよび方法でもある。電池セルパックのための管理システムは、電池セルパックのための調整可能な充電プロファイルを決定する制御器を有しており、この調整可能な充電プロファイルは、前記電池セルパックのための次の充電後動作時の性能特性を特定する動作パラメータを含んでおり、前記制御器が、前記性能特性を提供するために電池セルパックのための次のサイクルプランを決定すると共に前記電池セルパックの属性を向上させ、前記属性
が複数の適用されたサイクルにおいて測定される。
が複数の適用されたサイクルにおいて測定される。
本発明の一の実施形態は、電池セルパック充電システムを含んでおり、このシステムはリチウムイオン電池セルパックを充電するために充電器および制御器を含んでおり、このシステムは充電電圧と充電電流を電池セルパックに与えるための調整可能な電圧充電プロファイルを用いて電池セルパックを充電するための回路を更に含んでおり、この調整可能な電圧充電プロファイルは、電池セルパックのための次ぎの充電後動作時の性能特性を特定する動作パラメータを備えており、制御器は、充電後の性能特性を提供するために電池セルパックのための次の充電サイクルの充電プランを決定すると共に電池セルパックの属
性を向上させ、この属性は複数の適用されたサイクルにおいて測定され、調整可能な充電プロファイルは、このプランのためのエネルギー終点を生成するための一または複数の放電ステージと更に含んでおり、この充電プランは動作パラメータに関連する充電後の動作の予測に基づき充電器によって実行される。
性を向上させ、この属性は複数の適用されたサイクルにおいて測定され、調整可能な充電プロファイルは、このプランのためのエネルギー終点を生成するための一または複数の放電ステージと更に含んでおり、この充電プランは動作パラメータに関連する充電後の動作の予測に基づき充電器によって実行される。
リチウムイオン電池セルパックを充電するための電池セルパック充電方法であって、この方法は、 (a) 前記電池セルパックのための次の充電後動作時の性能特性を特定するステップを含んでおり、ここで、制御器が前記性能特性を提供するために前記電池セルパックのための次のサイクル充電プランを決定すると共に前記電池セルパックの属性を向上させ、前記属性が複数の適用されたサイクルにおいて測定され、 (b) 前記プランのためのエネルギー始点を作るために電池セルパックを放電するステップを任意に含んでおり、 (c) 前記プランのためのエネルギー終点を作るために前記電池セルパックを充電するステップを含んでおり、 (d) 次の充電後動作時の性能特性によって特定される次の充電後動作時の性能の予想に基づいて前記電池セルパックに接続された充電器によって前記プランを実行するステップを含む。放電は、それがなされることが好ましい場合に任意になされ、これは自動車用電池セルパックにおいては、電池セルパックを手動でドレイン排出するのではなく車両を運転することによってなされる。場合によっては、サイクルプランは、その時利用可能なSOCよりも低いSOCを要求し得(例えば、車両がほとんど運転されないか全く運転されない期間の間)、この場合、運転することなく電池
セルパックを放電することが好ましい。
セルパックを放電することが好ましい。
本発明の他の利点は本願の開示内容から理解されよう。
本発明の実施形態は、電池セルパックのサイクル寿命を向上させるための管理システムおよび電池充電器(バッテリチャージャー)のための、システムおよび方法を提供するものである(特に、電気自動車のユーザのための動的な使用プロファイルに適応させるため、および時経劣化に応じた電池パックセル容量の減少に適応させるため)。以下の詳細な説明は、当業者が本発明を実施することができるように記載されており、出願の要件を満たすものである。以下において、「電池」、「セル」、「電池セル」および「電池セルパック」という用語は、相互に置き換えて用いることができ、リチウムイオン(例えば、リン酸鉄リチウム、コバルト酸リチウム、他のリチウム金属酸化物など)、リチウムイオンポリマー、ニッケル水素、ニッケルカドミウム、ニッケル水素、ニッケル亜鉛、銀亜鉛、または他の電池形態/構成を含む(しかしこれらに限定されない)、様々な異なる再充電可能な電池化学および電池構成を指すことができる。本明細書に記載された好適な実施形態、原理、特徴の様々な変更は当業者にとって直ちに自明となる。よって、本発明は、本明細書において示された実施形態に限定されず、本明細書に記載された原理および特徴について最も広い範囲が与えられる。
図1は、本発明の好適な実施形態を実施する電気自動車において用いることができる、充電率(SOC)制御システム100のための好適な実施形態を示している。システム100は、電池105と、この電池105に接続された充電器/放電器110と、電池管理システム(BMS)115と、電池データ収集及び監視サブシステム120(以下、電池データ収集監視サブシステム120)と、を含んでいる。コミュニケーションバス125はサブシステム120を電池管理システム115に接続し、コミュニケーションバス130は電池管理システム115を充電器/放電器110に接続している。コミュニケーションバス135は電池105からの電池データをサブシステム120に結合し、任意のスイッチ140が電池105と充電器/放電器110との間に直列で配置されている。ユーザ・インターフェース・サブシステム145は、バス150によって電池管理システム115に接続され、バス160によってログ155に接続されている。
電池105は直列接続された一群の電池セルとして示されているが、セルの配列は、多くの異なる配列の並列/直列接続されたセルの組合せであってもよい。好適な実施形態の充電器/放電器110は、電池105のために充電電流、必要なソース電流、またはシンク電流を提供するものである。電池管理システム115は、本発明の実施形態によって設定されたプロファイルに従って充電電流を制御するものである。サブシステム120は電池105に関して本明細書に記載されるような所望のデータを得る。例えば、電圧、充電率(SOC)、温度、および、電池管理システム115によって用いられる他の適用可能なデータである。いくつかの実施形態では、サブシステム120は電池管理システム115の一部であってもよく、電池管理システム115は充電器110の一部であってもよい。充電器110、電池管理システム115、およびサブシステム120の一または複数が、スイッチ140を制御する。
ログ155は、インターフェース145を介してユーザに動作/性能データ(例えば、走行距離(range)および車両効率(vehicle efficiency)といった、自動車管理システムからの情報)を提供し、このデータには、一日に走行するマイル数、その他のデータや、ユーザに関する統計的な作動情報を含むことが好ましい。ユーザは、インターフェース145を操作し、システム100が用いる動作プロファイルを設定し、特定し、および/またはプログラムする。システム100の一または複数の部品(コンポーネント)は、本発明の実施形態を実施するためにプロセッサ上で動作可能なコンピュータプログラム命令を、記憶し処理するためのプロセッサおよびメモリを含む。コードは、物理的に電池管理システム115の一部であることができ、あるいは、システム100の部品と一体化された自動車管理システムの一部、もしくはシステム100の部品に加えて設けられた自動車管理システムの一部であってもよい。
本発明の他の態様は、充電/放電システムの一部として提供されなくてもよいが、ユーザによってもしくは他の自動車、システム、または処理によって用いられる/参照される、本明細書に記載された調整可能な充電プロファイルを提供する。
図2は、図1に示されたシステム100において用いられる放電/充電制御200のための例示的な工程管理図である。記載を簡略化するために、制御200は、充電可能な電池セルを有する電気自動車の一部としてシステム100が提供され、調整可能な充電プロファイルが電池パックのための充電率(SOC)に関連して動作する場合の実施形態として記載されている。制御200は、例えばユーザインターフェース145を介してユーザが入力した距離目標205にアクセスすることを含む。制御200は、205からの距離目標に加えて、車両効率210に関する情報を判定または獲得する。電気自動車において、車両効率は1マイルあたりのワット時(Wh/mi)の単位で測定される(ガソリンエンジンの効率を示す一つの方法である1ガロンあたりのマイル数(MPG)と対照的なものである)。制御200は、処理(工程)215において、与えられた車両効率に基づき、車両走行距離目標(vehicle range target)を達成するために最適SOC範囲を決定し、同時に電池パックサイクル寿命を最適化する。
処理215から得られた充電プロファイルがほぼ最良のシナリオで作動する一方、目標距離および車両効率のためのいくつかの値のみに基づき決定されたこのプロファイルの上にいくらかの動作マージンを与えることが望ましい。多くの異なる方法において決定することができる範囲(距離)および効率の偏差(ずれ)があり、かつ、自動車が早く充電が切れる可能性を減らすために余分な容量を持たせるために、いくらかの予め決められた(例えば、ファクトリーまたはユーザ設定値)距離安全マージン(range safety margin)がある。制御200は、処理220において、距離および車両効率の
偏差を設定する。そして、処理225において制御200は、処理220から得られた距離および車両効率を検討してSOCサイクル保存プロファイルを再最適化することによって、処理215から得られた最適化されたSOCサイクル保存プロファイルを変更する。
偏差を設定する。そして、処理225において制御200は、処理220から得られた距離および車両効率を検討してSOCサイクル保存プロファイルを再最適化することによって、処理215から得られた最適化されたSOCサイクル保存プロファイルを変更する。
動作に関し、以下の例示的なシナリオを検討する。ユーザが200マイルの走行距離を有する電気自動車を運転するとする。このユーザはその最大走行距離より少なく(例えば100マイルの範囲)その電気自動車を運転する計画をしている。このユーザは、特定の車両効率において100マイルの走行距離をなすためのSOCサイクル保存プロファイルを決定することを、制御200に要求することができる。しかしながら、これは、実際に要求される距離が目標距離よりも大きい場合にユーザが立ち往生してしまうというリスクがある。そこで、マージンを提供するために多くの異なる態様がある。好適な態様の一つは、制御200が、平均移動距離(例えば、1ヶ月、1週間、特定の期間のみ(平日/週末/休日))と、この平均移動距離のための標準偏差とを決定するものである。標準偏差は距離において5%の変動まで表示することができる。そして、制御200は、100マイルに代えて、105マイルに変更された目標走行距離を用いることができる。これによって、距離偏差のためのマージンが含まれる。105マイルのためのSOCは、特定の量のエネルギーである(ワット時(Wh))。その決定は、Wh/マイルにおける特定の車両効率を想定してなされる。換言すると、ユーザは予め決められたワット時で105マイルを実際に移動することができる。車両効率は、一定ではなく、異なる要因(ファクタ)と電池からのエネルギー消費量とに基づいて変わる。ユーザが激しく運転する場合、車両効率は保守的に運転する場合よりも小さく、他の要因が同じなら、ユーザは1マイルあたりの移動により多くのエネルギーが必要となる。制御200は関連する期間の平均車両効率を決定し、(処理215から得られた最初のエネルギー推定値を決定するために)これを処理210の一部として使用し、車両効率の標準偏差を決定し、(処理225から105マイルに変更された距離のための変更されたエネルギー推定値を調節するために)この偏差を処理220の一部として使用する。
図3は、図1に示されるシステム100に用いられる放電/充電処理300のためのフローチャートである。自動車用に構成された処理300は、以下の4つのステップを含む。予測された自動車性能の特定(305)、電池セルパック性能の特定(310)、放電/充電プランの特定(315)、およびこの放電/充電プラン(320)の適用である。
ステップ305は、この適用(例えば電気自動車走行距離)のための予測される次ぎの動作要件を表す動作パラメータを得るものである。このパラメータは、適用および使用に依って多くの異なるものを特定することができる。以下の記載を簡略化するために、代表的な適用は電気自動車における使用のための電池パックを充電することであるが、本発明はこの態様に限定されないことに留意されたい。電気自動車のために用いることができる異なる動作パラメータがあってもよいが、本発明の好適な実施形態は車両走行距離に焦点を当てている。具体的には、ステップ305は、予測される所望の走行距離(例えばマイル)を表すパラメータを得るものである。これは、ある将来の時点での距離を特定する予想パラメータであり、好ましくは、次ぎの充電サイクル後の次ぎの動作サイクルである。電池セルパックは周期的に充電され、本発明の実施形態は、次ぎの使用に関連するパラメータを用いる次ぎの使用の直前の充電サイクルを制御する。
この動作パラメータはいくつかの異なる方法で得ることができる。例えば、ユーザは範囲(距離)を明確に特定することができる(例えば週間スケジュールや日ごとにカスタマイズされたカレンダーによって)。週間スケジュールは、月曜日〜金曜日は60マイル範囲を特定し、土曜日と日曜日は110マイル範囲を特定するといった簡単なものでよい。日ごとにカスタマイズされたカレンダーにおいて、ユーザは所望の各日のためのマイル範囲を設定することができる。(インターフェース145は、ユーザがこの動作パラメータを検討および設定することができる一の機構を提供する。)場合によっては、動作パラメータは完全にまたは部分的に自動的に設定することができる。例えば、好適な一実施形態において、ステップ305は、実際の過去の実績に基づいて将来の日のためにあり得る動作パラメータを決定するために車両ログを有する。これは、いくつかの方法で適切に精度を高めることができる(例えば、適切なマージンを有する暫定的な予想値を設定するために履歴データを用いることによって(ユーザは所望の値を受け入れることができるかまたは変更することができる))。
ステップ310(ステップ305の次ぎ)は、予測された次ぎの動作要件を提供するために電池セル動作性能を決定し、これに並行して電池セルパックのメタ属性を高める。ここでは、好適な実施形態は電池セル性能パラメータとしてSOCを用い、かつメタ属性として電池サイクル寿命を用いる。換言すれば、ステップ310は、サイクル寿命を向上させながら所望の範囲パラメータを満足する特定のSOCを決定する。所望の範囲パラメータを満足させる多くの異なるSOCプロファイルがあり得るが、所望の範囲パラメータを満足させ、高SOC/電圧充電のライフサイクルへの影響を減少させるSOCプロファイルとなる可能性が高い。重要な点は、このシステムは、範囲および電池特性に動的に反応し、ライフサイクルに基づきSOCを最適化する(この結果、異なるSOCのために異なるSOC始点およびSOC終点となり得る)ことである。
ステップ315(ステップ310の次ぎ)は、最適化されたSOC範囲が一旦分かると、電池セルパックのための放電/充電プランを設定する。放電/充電プランは、ステップ310において決定されるライフサイクル最適化SOCのためのSOC始点および終点を決定する。充電によるライフサイクルへの影響の減少は、現在のSOCよりも低いSOC始点を実際に有することができるため、適切な実施形態において、放電/充電プランには一または複数の充電ステージに加えて一または複数の放電ステージが含まれる。いくつかの態様においては、放電ステージがなくてもよい。
ステップ320では、ステップ315において設定された放電/充電プランが電池セルパックに適用される。用いられる放電/充電プロファイルの数および種類はステップ315において変更され、ステップ320では、従来の充電プロファイル、高速充電プロファイル、または放電/充電プランによって特定される他の充電プロファイルを実施することができる。
単純な実施形態において、ユーザは、インターフェース145を介してログ155からの実際の運転動作に関する情報を受け取る。ユーザは、インターフェース145を操作し、所望の動作プロファイルを作成する。この動作プロファイルは、目的の日に当該自動車を使用することが予想されるマイル数を実際の充電に前もって特定するものである。動作プロファイルは、上記のように、また、ユーザによって決定されるように(あるいは、運転履歴に基づき自動的に決定されるように(場合によっては、ユーザは、予想される変動を使用履歴から明らかにするためかつ所望の動作パラメータを調整するためにこの自動的に得られた結果を検討および選別する))、日ごとのスケジュール、週ごとのスケジュール、月ごとのスケジュールまたは他の定期的なスケジュールであってよい。
動作プロファイルがひとたび利用可能となると、電池管理システム115(これは充電および放電装置を制御するものである)は、動作パラメータに適合するSOC基準レベルを決定し、同時にこのSOC基準レベルに電池セルパックを充電することによるライフサイクルへの影響を最小限にする。放電/充電計画はライフサイクルのために最適化された基準レベルSOCを提供するように設定される。(例えば、100マイル範囲は75%〜25%SOC範囲にマッチすることができる。)所望の範囲パラメータが、増大した所望の範囲を表すとき、SOC範囲も増大する。(例えば、110マイル範囲が要求される場合には80%〜25%SOC範囲となり得る。)
多くの場合、適用されるSOCは、決定されたSOC基準レベルとは異なり得る。図2が表すように、いくつかの実施形態において、SOC基準レベルにマージンを加えることが望ましい。図2が例示するように、マージンを加える一の理由は、履歴データから決定された運転範囲において現実の変動値を考慮に入れるものである。動作パラメータと同様にこのマージンは、決定された動作パラメータとマッチする期間に決定することができる。週ごとの動作パラメータのために、このマージンはこれらの期間を反映する。換言すると、マージンは電池セルパック寿命を補償するために用いることができる。電池セルが古くなるにつれて、容量が減少する。実際には、これは、ある車両走行目標に対して、電池セルが新しい場合には幅の狭いSOC範囲で満たされるのに対し、電池セルが古い場合には同じ車両走行距離目標でもより幅広いSOC範囲で満たされることが望ましいことを意味する。電気自動車には、走行の他にも、他の可変の電力が要求される。温度および湿度に対するユーザのニーズ/望みが、基準レベルSOC範囲の考慮に入れ、適切なマージンとして加えることが好ましい。温度および湿度制御は、電池セルパック内に蓄積された電荷の補助的な使用の具体例である。他の補助的使用は、電池セルパックの冷却および加熱、ならびにユーザによって制御される他の環境要因を含み得る。(例えば、室内/室外灯、オーディオシステム、その他、車両内で用いる負荷のための充電。)ユーザの実際の使用または使用履歴は、マージンおよび実際のSOC範囲の設定に情報を与えるものである。
実際のSOCがひとたび設定されると、放電/充電プランが十分な充電を提供するように作られ、同時に充電サイクルによるライフサイクルへの影響を減少させる。このプランは、所望のSOC始点および終点を含む。様々な放電/充電ステージは実際のSOC範囲を満たすために用いられる。
他の実施形態において、ユーザは、特定の一の目標(ターゲット)ではなく範囲に幅のあるウィンドウを設定してもよい。例えば、ユーザは100〜120マイル範囲の低高範囲を備えるシステムを提供することができる。エネルギー/SOCウィンドウの決定は、一または複数の付加的な要因に基づき変化することができ、この要因には、古さ(電池が古くなり容量が衰えると、同じ範囲のターゲットを達成するためにより幅の広いSOCウィンドウが必要となる)、温度および湿度、すなわち付随的負荷(例えば、電池パック冷却および加熱)が含まれる。マージンは極度に寒い環境および暑い環境においてより大きくなり得る(1、2ヶ月にわたる以前の温度履歴がこれを決めるのを助ける)。加えて、一定期間にわたる平均付随的負荷も追跡することができる。
実施形態によっては、このシステムおよび方法はユーザに通常何マイル運転するかを尋ねる(要求される最適なSOC範囲を計算するために)。ドライバーが実際に運転するものに基づいて、特定の重み係数が実際のものと所望のものとの間で設定される。このシステムは、要求されるものと、このシステムによって自動で計算されたものとの間の付加的な重み付けを決定する。例えば、システムが60マイルの走行距離を必要とすると算出する場合であって、どのくらい余分なSOCもしくはエネルギーが必要となるかを判断するためにユーザが予想される目標距離として200マイルを入力する場合、このシステムは過去の車両効率(Wh/マイル)を考慮に入れ、どのくらいのエネルギーが200マイルの目標に合うために必要となるかを決定し、適切なSOCレベルに充電する。
図4は、固定放電SOCを用いる可変SOCウィンドウのチャート400である。この可変SOCウィンドウは、充電SOC405と放電SOC410との間の相違である。セル容量415は、時間が経つにつれて変化し、可変SOCウィンドウと関係している。図5は、可変放電SOCを用いる可変SOCウィンドウのチャート500である。別の可変SOCウィンドウは、充電SOC505と放電SOC510との間の相違である。セル容量515は、時間が経つにつれて変化し、別の可変SOCウィンドウと関係している。このチャートの左側の軸(SOC(%))は、充電SOCおよび放電SOCのための目盛りを表しており、右側の軸(容量(%))はセル容量のための独立した目盛りを表している。
チャート400およびチャート500は、二、三の異なる点があり、放電SOC410は常にほぼゼロであり、放電SOC510は最初の約10%の値から時間が経つにつれて2年間でほぼゼロの値に減少する。充電SOCの変化は、それぞれのチャートによって異なる。しかしながら、両方の場合において、可変充電SOCウィンドウは、80%から始まり、時間が経つにつれて大きくなる。更に、経時的なセル容量は、両方のチャートではほぼ同じである。セル容量は、初年は約100%で始まり、約5年後には約80%である。
これらは、本方法論の概要を提供する代表値である。最初のSOCウィンドウが、拡張ウィンドウの正確な形状を画成する放電SOCおよび充電SOCの可変レートを経時的に変化させるように作ることができる、多くの異なる方法がある。図4および図5に示されるチャートに示される好適な実施形態とは対照的に、従来の充電プロファイルは、放電SOC(例えば一定の充電SOC420)と充電SOCの両方に一定値を使用し、これらは一定のSOCウィンドウを生成する。セル容量は経時的に変化し、これは多くの要因に依るものである。しかしながら、一般的に、一定の充電SOCおよび一定の放電SOCのための標準値において、セル容量425のプロットに対する時間は、図4において容量415および図5において容量515を下回る。多くの場合、比較的新しいエネルギー蓄積システム(ESS)においても、これは顕著に下回る。
図6は、時間に応じた電池/放電エネルギー百分率をプロットしたチャート600である。ここでは、2セットのプロットがある。第1セットは、異なるサイズのウィンドウを用いる固定SOCウィンドウを表している。この第1セットは固定SOC充電システムを表しており、高エネルギー固定SOCプロット605、中エネルギー固定SOCプロット610、低エネルギー固定SOCプロット615を含む。第2セットは可変SOC充電システムを表しており、拡張モード可変SOCプロット620および標準モード可変SOCプロット625を含む。
第1セットは、全て固定SOCウィンドウシステムであり、図4の充電SOC420およびセル容量425によって示されるようなシステムを表している。プロット605、プロット610、プロット615の違いは、それぞれに関する固定SOCウィンドウの大きさである。全ての場合において、利用可能な放電エネルギーは最初から低下を始め、略直線的に続く。場合によっては、第1セットのプロットは、一点に集まり、交差する。
第2セットは、可変SOCシステムのための一群のプロットを表している。可変SOCシステムは、プロット620とプロット625の両方を生成する構成を含む。好適な実施形態において、プロット620のための実際の充電SOCは、プロット605のための固定充電SOCにほぼ等しいレベルに固定される。本明細書において更に説明されているように、プロット620によって表される利用可能な電池エネルギーは、プロット605に関連するエネルギー減少よりも遅い。図示されるように、プロット620は初年から着実に減少し始める。
プロット625は、初期の期間にかなり一定のエネルギー有効率を示し、その後プロット620にほぼ並行する比率で減少を始める点において異なる。プロット625は、電池が所望の期間に一定のエネルギーを提供するように、可変のSOCウィンドウの大きさを制御することによって達成される。有効なエネルギーが減少を始めるプロット625の屈曲点は、SOCウィンドウがもはや拡張しなくなる時点である。なぜなら、それがもはや増大しないため(例えば、充電SOCは最大であり、放電SOCは最小である)、あるいはSOCウィンドウを広げる可能性を制限する他の事項があるためである。
これらの好適な実施形態における充電システムは、複数の走行距離モード(最大距離を提供する拡張モードと、経時的に電池エネルギー有効率を保存するのを助ける限定された範囲を提供する標準モード)の選択をユーザに提供するように構成される。チャート600のためのモデルでは、ユーザが、多くの時間(全体の約三分の二以上であり得る)、標準モードを選択すると仮定する。ユーザがほとんどの時間(一週間の間)このモードを選択し、かつせいぜいまれに(いくつかの週末)プロット620に関する拡張モードを選択することが、プロット620がプロット605と同じ速さで減少しない理由である。なお、固定SOCにおいて、電池は全時間の100%においてその範囲モードで有効に消費される。
「範囲(range)」は、二、三の異なる意味において用いられている。一の意味において、それは、高エネルギーと低エネルギーとの差や、大容量と小容量との差などを表している。別の意味において、「範囲」は、移動した合計距離を指す。電気自動車において、エネルギーは距離に等しい。よって、好適な実施形態は、運転範囲モードの選択として、プロット620およびプロット625の一つの選択を特定する。
プロット630(プロット625に類似する)は、本発明の別の実施形態を表している。このプロット630も標準モードの可変SOCウィンドウのプロットである。これは、可変充電ウィンドウがプロット625よりもプロット630のために遅く開いたという点でプロット625とは異なる。この結果は、固定SOCウィンドウ(例えばプロット610)と比較して経時的なエネルギー利用率を改善するが、プロット625によって反映されるレートでSOCウィンドウを拡張する性能ほど良くはない。ユーザがプロット625よりもプロット630を選択する理由は、プロット630が示すようにより一貫した減少を含むこと、または、いくつかの態様において、放電エネルギー能力のための交差位置があり得る。いくつかの実施形態において、プロット620は、記載したような固定SOCウィンドウではなく、関連する可変SOCウィンドウを含むことができる。
図7は、別の実施形態の充電処理700のフローチャートである。処理700は、ユーザが次ぎの充電サイクルのために運転範囲モードを選択するステップ705で始まる。本明細書に記載したように、ユーザが、拡張範囲に関連するSOCウィンドウよりも非常に頻繁に可変SOCウィンドウの標準運転範囲モードを選択する、好適な実施形態の一部である。好適な態様は、ユーザがシステムと具体的に関与しない場合かつ別のモードを積極的に選択しない場合、システムが好適な標準(または記憶モード)モード選択に転じることを確実にするために、監督的な状況評価を含む。ユーザのこれらの関与の助けとして、好適な実施形態は、ユーザが他の関与に加えて運転範囲モードを遠隔設定および構成することを可能にする。
ステップ705に続き、処理700は、どのモードがステップ710で選択されるかをテストする。処理700は、このテストの結果に基づきステップ710で分岐する。「イエス」の枝(すなわち、ユーザが可変SOCウィンドウの標準モードを選択した)が次に記載されており、なぜなら、最も頻繁に選択されると予想されるからである。
ステップ710のテストが「イエス」である場合、処理700は可変SOCウィンドウの特定のサイズを決定するためにステップ715に進む。本明細書において記載されるように、好適な実施形態の一般的な手法は、可能な限り一定の放電エネルギーを提供する目的に合わせて、SOCウィンドウを大きくすることである。この選択は、ユーザによってなされることができ、システムに基づくドライバー/自動車の使用パターンによって自動的に決定される。SOCウィンドウのサイズを決定するために用いることができる多くの異なる機構がある。例えば、SOCウィンドウにおける変更は、SOC変化を、放電Ah(実際の容量/経年を反映する計算されたAh容量)、時間、移動したマイル数、電池サイクルの数、および電池インピーダンスの変化、合計充電もしくは放電のAhまたはWh、および運転範囲などと比較することによって容量減少の推定に基づくことができる。
ステップ715に続いて、ステップ720は、所望の可変SOCウィンドウに基づいてエネルギー蓄積システム(ESS)のための充電SOCを設定する。一般的に、エネルギー蓄積システムは、このエネルギー蓄積システムを設定するために所望のレベルに充電されるが、本明細書において記載したように、適切な充電SOCとなるようにエネルギー蓄積システムを放電することが望ましいことがある。エネルギー蓄積システムが蓄積電荷を自然に放電することができることが好ましい状況があり、一方、他の用途では放電を所定のレベルに制御することが好ましい状況がある。
ステップ720に続いて、ステップ725において処理700は、エネルギー蓄積システムのエネルギーが放電SOCよりも下がらないように、エネルギー蓄積システムの動作を監視する。放電SOCがゼロであるそれらの態様において(例えば、図4のタイプの実施形態)、これは必要ではない・BR>Bしかしながら、安全性を含む実用的な理由により、放電SOCがゼロに接近するにつれてエネルギー蓄積システムを積極的に管理することが好ましい。ステップ725に続いて、かつ標準モードで構成された充電後運転の最後で、処理700は次ぎの運転範囲モードの選択のためのステップ705に戻る(標準モードのため
のデフォルト設定)。
のデフォルト設定)。
ステップ710におけるテストに戻ると、オペレータが可変SOC標準モードの他のモードを選択した場合、処理700はステップ730に分岐する。ステップ730は、選択された別の運転範囲モード充電SOCのための適切なSOC(固定SOCウィンドウを含み得る)を設定する。処理700は、別の運転範囲モードにおける動作が完了した後、ステップ705に戻る。
本明細書に記載したように、可変SOCウィンドウ標準モードは他のウィンドウよりも小さいウィンドウであり、かつ、自動車が通常の大きさの場合に、より大きなウィンドウよりもより頻繁に選択される傾向にある。より小さなウィンドウは、より長い化学的寿命を有するように設定される。時間が経つにつれて、より小さいウィンドウサイズは、より一貫した放電エネルギー(運転範囲)をオペレータに提供するために大きくなる。好適な実施形態において、より小さいウィンドウは、より大きいSOCウィンドウと同程度まで大きくなることはない。その理由の一つは、可変SOCウィンドウ標準モードはエネルギー再生を利用することができるからである。完全に充電されたエネルギー蓄積システムは、再生システムによって更に充電することができない。よって、可変SOCウィンドウ標準モードは、再生能力と範囲との妥協点まで充電する。より小さいウィンドウの制限は、より大きいウィンドウである。
2009年12月8日に登録された米国特許第7,629,773号は、全電気式またはハイブリッド自動車の動作性能と、所望の動作モードのための充電システムとをエンドユーザが最適化することができる方法および装置を記載しており、その全体を本明細書に援用する。本発明のシステムは、ユーザが選択することができる、複数の充電/放電モードを含む。各充電/放電モードは、充電の間に用いられるカットオフ電圧と、電池パックの保守温度を制御し、これらのモードは、標準モード、蓄積モード、拡張運転範囲モード、およびパフォーマンスモードを含む。本発明における新規かつ非自明な改良は、一または複数の開示されたモードに加えて予め設定された範囲モードの使用を含む。この予め決められた範囲モードは、ユーザが選択されたモードのためのエネルギープロファイルを決定するシステムで所望の範囲のための数字を設定/選択するモデルを含み(かつ本明細書記載の予備マージンを含んでいてもよい)、または、システムはユーザのために特定の具体的な範囲を決定する。本発明の実施形態は、一または複数のモードで用いることもできる。
上記のシステムは埋め込み型自動車(EV)充電システムの好適な実施形態に記載されている。本願に記載されたシステム、方法、およびコンピュータプログラム製品は、当然ハードウェアにて実施することができる(例えば、中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタルシグナルプロセッサ、システムオンチップ(「SOC」)または他のプログラマブルデバイス内あるいはこれと結合して)。加えて、システム、方法およびコンピュータプログラム製品は、例えば、ソフトウェアを保存するように構成された、コンピュータで使用することができる(例えばコンピュータ可読の)媒体において配置されるソフトウェア(例えば、任意の形態(ソース言語、対象言語、機械語など)になされたコンピュータ可読コード、プログラムコード、命令および/またはデータ)において実施することができる。係るソフトウェアは、本明細書に記載された装置および工程のファンクション、ファブリケーション、モデリング、シミュレーション、デスクリプションおよび/またはテストを可能にする。例えば、これは、汎用プログラミング言語(例えばC、C++)、GDSIIデータベース、Verilog HDL、VHDL、AHDL(Altera HDL)等を含むハードウェア記述言語(HDL)、または他の利用可能なプログラム、データベース、ナノプロセス、および/または回路(すなわち系統図)キャプチャツールの使用を通して達成することができる。係るソフトウェアは、半導体(フラッシュまたはEEPROM、ROM)、磁気ディスク、光学ディスク(例えばCD−ROM、DVD−ROMなど)、ならびに、コンピュータで使用することができる(例えばコンピュータ可読の)媒体(例えば、搬送波、または他のディジタル、光学、もしくはアナログ媒体を含む媒体)において実施されるコンピュータデータ信号を含む公知の任意のコンピュータで使用することができる媒体になされる。このように、ソフトウェアはインターネットおよびイントラネットを含む通信網を通じて送信することができる。ソフトウェアに具体化されたシステム、方法、コンピュータプログラム製品、および伝達信号が半導体知的財産コア(例えばHDLに具体化されている)に含まれることができ、集積回路の製造においてハードウェアに変形させることができる。更に、本明細書において記載されたシステム、方法、コンピュータプログラム製品、および伝達信号はハードウェアおよびソフトウェアの組合せとして具体化することができる。
本発明の好適な実施形態の一つは、コンピュータ操作中、公知のコンピュータシステムのメモリにあるプログラミングステップもしくは命令で構成されているオペレーティングシステムのルーチンとしてである。コンピュータシステムによって要求されるまで、プログラム命令は、別の可読媒体(例えばディスクドライブ)に記憶させ、あるいは、着脱式メモリ(例えば、CD‐ROMコンピュータ入力で用いられる光学ディスク、または充電器において用いられる埋め込まれたメモリ内にプログラミングステップを移すのに用いられる携帯用メモリシステム)に記憶させることができる。更に、プロブラム命令は本発明のシステムにおいて用いられる前に別のコンピュータのメモリに記憶することができ、本発明のユーザによって要求されるとき、インターネット等のLANまたはWAN上に送信される。本発明を制御する工程が様々な形態のコンピュータ可読媒体の形態で配信することができることは当業者に理解されよう。
任意の適切なプログラミング言語が本発明のルーチンを実行するのに用いることができ、これにはC++、Java(登録商標)、アセンブリ言語などが含まれる。異なるプログラミング技法(手続きプログラミングやオブジェクト指向プログラミングなど)を用いることができる。ルーチンは一の演算装置またはマルチプロセッサにおいて実行することができる。これらのステップ、動作または計算は特定の順序で行なわれるが、この順序は異なる実施形態では変更することができる。実施形態によっては、本明細書で順次示された複数のステップが同時に実行することもできる。本明細書に記載の一連の動作は、オペレーティングシステム、カーネルなどの別の処理によって中断され、保留され、あるいは制御されることができる。ルーチンはオペレーティングシステム環境において動作することができ、あるいは、システム処理を全てもしくは相当な部分を占める独立型ルーチンとして動作することができる。
本明細書の記載において、本発明の実施形態を完全に理解するために、構成要素および/または方法の例などの多くの具体的な詳細が記載されている。しかしながら、当業者は本発明の実施形態を具体的な詳細がなくても実施することができ、他の装置、システム、アセンブリ、方法、構成要素、材料、部品等を用いて実施することができることは当業者にとって理解されよう。他の例において、本発明の実施形態を不明瞭になるのを防ぐため、公知の構造体、材料、動作は詳細に記載されていない。
本発明の実施形態において「コンピュータ可読媒体」は、命令実行システム、装置、システムまたは機器によってまたはそれと接続して使用されるプログラムを、含み、記憶し、通信し、伝達しまたは転送することができる任意の手段であってもよい。コンピュータ可読媒体は、電子、磁気、光、電磁、赤外線、もしくは半導体システム、装置、機器、伝達媒体、またはコンピュータメモリであってよい(しかしこれらに限定されない)。
「プロセッサ」または「処理」は、データ、信号もしくは他の情報を処理する、人間、ハードウェアおよび/もしくはソフトウェアシステム、機構、または部品を含む。プロセッサは、汎用中央演算処理装置(CPU)、マルチプル処理装置、機能を達成するための専用回路を備えるシステム、または他のシステムを含む。「処理」は、一の地理的ロケーションに限定されず、また、時間的な限定もない。例えば、プロセッサは「リアルタイム」、「オフライン」、「バッチモード」等においてその機能を実行することができる。処理の一部は、異なる(もしくは同じ)処理システムによって異なる時間、異なる場所で実行することができる。
本明細書において「一実施形態」または「特定の実施形態」という記載はその実施形態に関して記載された特定の特徴、構成、または特性が本発明の実施形態の少なくとも一つに含まれ、全ての実施形態に含まれる必要は無いことを意味する。従って、本明細書において「一実施形態において」または「特定の実施形態において」という記載は、必ずしも同じ実施形態を示すものではない。更に、本発明の特定の実施形態の特定の特徴、構造、または特性は一または複数の他の実施形態と適切な態様で組み合わせることができる。本願に記載された本発明の実施形態の他のバリエーションおよび変更も本願の教示に鑑み可
能であり、本発明の精神および範囲の一部であると理解されよう。
能であり、本発明の精神および範囲の一部であると理解されよう。
本発明の実施形態は、プログラムされた多目的デジタルコンピュータを用いて、また、特定用途向け集積回路、プログラマブルロジックデバイス、フィールドプログラマブルゲートアレイ、光学、化学、生物学的、量子学的もしくはナノ加工システム、部品および機構を用いることによって、実施することができる。一般的に、本発明の機能は公知の任意の手段を用いて達成することができる。分散型システムまたはネットワーク型システム、部品および回路を用いることができる。データの通信または転送は有線であっても無線であってもよく、あるいは他の手段であってもよい。
図面に記載された一または複数の要素は、用途によって有益なように、更に分離され、あるいは更に一体化された態様で実施することもでき、除外することもでき、場合によっては動作不能なようになされてもよい。コンピュータが上記記載の方法を実施することができるように機械で読み取ることができる媒体に記憶することができるプログラムまたはコードを実行することも本発明の精神および範囲内である。
加えて、図面の矢印は例示目的であって、特に明記されない限り、これらに限定されない。更に、「もしくは」「または」という記載は特に明記されない限り、「および/または」の意味である。部品(コンポーネント)またはステップの組合せも記載されているものとして考慮される。
本発明の実施形態の記載は、本発明を当該記載に厳密に限定するものではない。本発明の特定の実施形態は例示目的で本明細書に記載されており、均等となる様々な変更も本発明の精神および範囲内で可能であることは当業者に理解されよう。本発明の上記実施形態の記載に鑑み、これらの変更は本発明に施すことができ、本発明の精神および範囲内に含まれる。
従って、本明細書において本発明が特定の実施形態に関する記載されたが、様々な変更および代用も本発明の目的とするところであり、本発明の実施形態は本発明の精神および範囲から逸脱せずに他の特徴を用いることなく一部の特徴を用いることもできる。従って、多くの変更が特定の状況および材料を本発明の本質的な範囲および精神に適応させるためになすことができる。本発明は、添付の特許請求の範囲、ならびに、本発明を実施するために予想させる最良の形態として開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲に該当する全ての実施形態および均等物を含むものである。従って、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ定められる。
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