JP2011136886A - 急硬性セメント系組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 含有質量比で水/セメントが0.27〜0.43の低水比のセメント組成物に対し、凝結や硬化性状に支障がでるほど大量の減水剤を含有使用することなく、急結成分が均一に分散され、高い急硬性が付与された急硬性セメント系組成物を提供する。
【解決手段】 含有質量比で水/セメントが0.27〜0.43のセメント系組成物であって、セメント100質量部、減水剤類1〜5質量部及び液体急結剤を固形分換算で2〜10質量部含有してなる急硬性セメント系組成物。また、液体急結剤が硫酸アルミニウムを有効成分とするものである前記の急硬性セメント系組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、セメントに対する水の配合割合が低い領域でも十分均一な急硬性を発現できる急硬性セメント系組成物に関する。
セメントペースト、モルタル、コンクリートなどのセメント系の組成物では、一般にセメントに対する水の配合量が少なくなるほど組成物の強度は高くなる。一方で水の配合量を少なくするほど、組成物の流動性も低下するため、セメント等との混合性が低下し、均質な組成物を得ようとすると長時間の混合が必要になる。特に、当該組成物に急結性や速硬性を付与するには、例えばカルシウムアルミネート、カルシウムサルファアルミネート、硫酸アルミニウム等の粉末を有効成分とする急結剤や速硬剤の配合が必要となるが、このような急結剤を配合するとセメント混練物の流動性が急速に失われるため、時間をかけて混合性を高めることができず、凝結や硬化が均一に進行しなかったり、成分偏在したまま硬化すると、所望の性状が得られない。このためセメントに対する水の配合量が少ない、所謂低水比のセメント系組成物に対して、急硬性付与するために急結成分等を配する場合は、大量の減水剤を併用し、低水比のセメント系組成物の流動性を高め、急結剤等を加え、高分散化による短時間での均質混合性を確保している。(例えば、特許文献1参照。)
特開2008−156229号公報
減水剤を大量に併用すれば、低水含有比のセメント系組成物に急結剤を配合しても混合不足に陥る可能性は低減されるが、一方で大量の減水剤の使用は、材料分離の発生、凝結の遅延化、強度の伸びが低下して十分な高強度化が達成できない等の問題が起こり易かった。そこで、本発明は、含有質量比で水/セメントが0.27〜0.43の低水含有量のセメント組成物であって、凝結や硬化性状に支障をきたすほど大量の減水剤を含有使用することなく、急結成分が均一に分散され、高い急硬性が付与された急硬性セメント系組成物を提供することを課題とする。
本発明者は、検討を重ねた結果、低水含有比のセメント組成物において、急硬性を付与するための急結剤に所定量の液体急結剤を使用すれば、減水剤量をかなり少なくしても短時間の混合でも十分分散化できて成分偏在の無い均質な急硬性セメント系組成物が得られるという知見を得、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、次の[1]〜[3]で表される急硬性セメント系組成物である。
[1]含有質量比で水/セメントが0.27〜0.43のセメント系組成物であって、セメント100質量部、減水剤類1〜5質量部及び液体急結剤を固形分換算で2〜10質量部含有してなる急硬性セメント系組成物。
[2]含有質量比で水/セメントが0.3以上0.4以下である前記[1]の急硬性セメント系組成物。
[3]液体急結剤が硫酸アルミニウムを有効成分とする前記[1]又は[2]の急硬性セメント系組成物。
本発明の急硬性セメント系組成物は、低水含有比のセメント系組成物であるため、強度発現性が高強度領域に達するものが得られ、しかもこのような高強度発現性に加え、優れた急硬性や速硬性を、従来見られたように凝結性や硬化性状等を阻害することもなく、容易に発現することができる。
本発明の急硬性セメント系組成物は、水の含有量がセメント含有量100質量部に対し、27〜43重量部(含有質量比で水/セメントが0.27〜0.43)のセメント系組成物である。より好ましくは含有質量比で水/セメントが0.3以上0.4以下のものとする。このような水の含有量には、セメント混練時に注水される添加水に加え、液体急結剤を始め、使用する液状の混和剤に含有される水分量も含まれ、それらの合算量とする。本発明の急硬性セメント系組成物は、一般のモルタルやコンクリートなどのセメント系組成物よりもセメント含有量に対する水含有量の割合が低い(以下、低水比と称す。)セメント系組成物であり、この低水比であるが故に高い強度を発現することが可能となる。含有質量比で水/セメントが0.27未満では混合性が低下し過ぎて、含有成分が十分分散されず、所望の性状が得られないことがあるので好ましくない。また、0.43を超えると高い強度発現性が得られないので好ましくない。
本発明の急硬性セメント系組成物に使用するセメントは、水硬性のものであれば何れのセメントでも使用できる。具体的には、例えば普通、早強、超早強、中庸熱、低熱等の各種ポルトランドセメント、高炉セメントやフライアッシュセメントのような各種混合セメント、白色セメント、エコセメント又はアルミナセメントのような特殊セメント等を挙げることができ、二種以上併用したものも使用できる。
また、本発明の急硬性セメント系組成物に使用する減水剤は、モルタルやコンクリートに使用できる減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤、分散剤、流動化剤と称されるものであれば何れのものでも使用できる。このような減水剤の成分としては、例えば、ナフタレンスルホン酸ホルマリン高縮合物塩を有効成分とするもの、ナフタレンスルホン酸ソーダのホルマリン縮合物を有効成分とするもの、ナフタレンスルホン酸ナトリウム塩ホルマリン重縮合物を有効成分とするもの、高縮合芳香族スルホン酸を有効成分とするもの、変性リグニンと高縮合芳香族スルホン酸複合体を有効成分とするもの、アルキルアリルスルホン酸を有効成分とするもの、アルキルアリルスルホン酸塩を有効成分とするもの、アルキルアリルスルホン酸高縮合物を有効成分とするもの、アルキルアリルスルホン酸塩高縮合物を有効成分とするもの、アルキルナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物を有効成分とするもの、ナフタレンスルホン酸変性リグニン縮合物を有効成分とするもの、ナフタレンスルホン酸変性リグニン縮合物とリグニンを有効成分とするもの、変性リグニンとアルキルアリルスルホン酸と活性持続ポリマーの複合物を有効成分とするもの、ポリアルキルスルホン酸と反応性高分子を有効成分とするもの、アルキルアリルスルホン酸高縮合物とカルボキシル基含有多価ポリマーを有効成分とするもの、アルキルアリルスルホン酸塩変性リグニン共縮合物と変性リグニンを有効成分とするもの、リグニン誘導体とアルキルアリルスルホン酸塩を有効成分とするもの、ポリアルキルアリルスルホン系界面活性剤を有効成分とするもの、アルキルアリルスルホン酸ホルマリン縮合物を有効成分とするもの、ポリアルキルアリルスルホン酸化合物を有効成分とするもの、メラミンスルホン酸系縮合物を有効成分とするもの、メラミンスルホン酸系化合物を有効成分とするもの、メラミンスルホン酸系化合物とポリオール複合体を有効成分とするもの、高縮合トリアジン系化合物を有効成分とするもの、トリアジン環系高縮合物塩の界面活性剤を有効成分とするもの、メチロールメラミン縮合物を有効成分とするもの、変性メチロールメラミン縮合物を有効成分とするもの、変性メチロールメラミン縮合物とカルボン酸系化合物を有効成分とするもの、スルホン化メラミン高縮合物塩を有効成分とするもの、ポリカルボン酸又はその塩を有効成分とするもの等を挙げることができ、この何れでも良く、また2種以上を併用することもできる。減水剤の使用により低水比での含有各成分の分散性を高めることができるが、使用量はセメント100質量部に対し、1〜5質量部とする。1質量部未満では低水比での混合性が低下し、含有各成分が分散された状態が得難くなり、凝結性及び硬化性状が阻害されるので好ましくない。また、5質量部を超えると、材料分離の発生、凝結の遅延化、強度の伸びの低下等が見られるので好ましくない。
また、本発明の急硬性セメント系組成物に使用する液体急結剤は、モルタルやコンクリートに使用できる液体状の急結剤であれば何れのものでも使用できる。本発明における急結剤とは、注水後の凝結始発時間及び終結時間の何れも早いものが該当するが、必ずしもいわゆる瞬結性を付与するものでなくても良い。具体的には、例えばカルシウムアルミネート、カルシウムサルフォアルミネート、水ガラス、硫酸アルミニウム等を有効成分とし、当該有効成分によって付与可能な程度の急結性を有するものであれば良い。好ましくは、初期強度発現性および貯蔵安定性の点から、硫酸アルミニウムを有効成分とする液体急結剤とする。また、液体急結剤の液成分は、特に限定されない。本発明で使用する液体急結剤の有効成分の固形分濃度は特に制限されない。好ましくは20〜60質量%とする。20質量%未満では、急硬性を発現させるには、液体急結剤自体の使用量を多くする必要があり、例えば吹付け材などとして予め調合したベースモルタルやベースコンクリートに後添加するときなどでは、ベースモルタルやコンクリートは水比をかなり低減したものにする必要があって、作製が困難であることから適当ではない。また、60質量%を超えものでは良好な混合性が得られ難くなるので適当ではない。本発明の急硬性セメント系組成物に使用する液体急結剤の含有量は、セメント100質量部に対し、固形分換算で2〜10質量部とする。2質量部未満では急硬性が十分発現できないので好ましくなく、10質量部を超えると混合が困難になる他、長期強度が低下するので好ましくない。
本発明の急硬性セメント系組成物は、好ましくはセメント100質量部に対し骨材を、例えば吹付けコンクリートの場合、330〜540質量部含有させたものとする。使用する骨材は、モルタルやコンクリートに使用できる骨材であれば特に限定されず、普通骨材、軽量骨材、重量骨材の何れでも使用できる。具体的な例示として、普通骨材としては、山砂、川砂、海砂、砕砂の天然細骨材、鉱物粉等を主体とする原料を焼成してなる人工細骨材等を挙げることができる。また軽量骨材としては、火山礫の破砕物や火山灰等の天然細骨材や、鉱物質原料を溶融発泡させてなる人工軽量骨材を挙げることができる。また、細骨材と粗骨材の一方のみ又は両者の何れの含有形態であっても良い。両者を含む場合は、その使用目的に応じて両者の割合を適宜定めれば良く、例えば吹付け材として用いる場合は細骨材率を55〜75質量%とするのが望ましい。骨材の含有により、過度の収縮が抑制され、ひび割れ発生が生じにくい堅牢な硬化体を得ることができる。骨材の含有量が、55質量部未満では収縮が十分抑制できないので適当ではなく、また、380質量部を超えると強度低下を起こすので適当ではない。
本発明の急硬性セメント系組成物は、前記以外の成分も本発明の効果を実質喪失させない限り、含有することができる。このような成分として、例えばモルタルやコンクリートに使用できる収縮低減材、繊維、消泡剤、凝結調整剤、撥水剤、ポゾラン反応性物質、粘調剤、石膏、顔料、再乳化粉末樹脂、ポリマーディスパーション等を挙げることができる。
また、本発明の急硬性セメント系組成物の製造方法は、特に限定されない。好適には、液体急結剤以外の成分(水を含む)を混練機に一括投入し、セメント系ペースト、モルタル又はコンクリート混練物を予め作製し、これに液体急結剤を加える。前記混練物と液体急結剤との混合は混練器で行っても、また両者を別個に圧送させて、これらを途中で合流させることによる方法であっても良い。
以下、実施例により本発明を具体的に詳しく説明するが、本発明はここに表す実施例に限定されるものではない。
次のA〜Cから選定された原料を用い、表1に記載の配合量となるよう急結剤以外の成分(添加水を含む)を混合容器に入れハンドミキサーで90秒間常温下で混練した。
A;普通ポルトランドセメント(太平洋セメント株式会社製)
B;ポリカルボン酸系高性能減水剤(エヌエムビー株式会社製)
C;細骨材(山口県豊浦産珪砂、最大粒径1.6mm)
この混練物に次のD又はEから選定される急結剤を表1に表す配合となるよう加え(Eについては、液分込みの質量)、ハンドミキサーで数秒間混合し、混合終了後材齢360秒までのプロクター貫入抵抗値を測定した。また、同様の混合物を用い、直径5cmで高さ10cmの円柱供試体を作製した。この供試体を水中養生させ7日材齢のものについて圧縮強度を測定した。以上の結果を表2に表す。
D;カルシウムアルミネートを有効成分とする粉末急結剤(商品名「デンカナトミック」、電気化学工業株式会社製)
E;硫酸アルミニウムを有効成分とする液体急結剤(商品名「シグニット」、日本シーカ株式会社製、固形分濃度50質量%)
Figure 2011136886
Figure 2011136886
表2の結果より、本発明の急硬性セメント系組成物は高い圧縮強度を有する上に、短時間で高いプロクター貫入抵抗値を示し、優れた急結性を呈することがわかる。これに対し本発明外のものは、混合性が悪く均一性が確保できないため強度低下を呈したり(参考品1及び3)、混合は容易に可能であったがブリージング水が発生して材料分離が見られたもの(参考品2)等であった。

Claims (3)

  1. 含有質量比で水/セメントが0.27〜0.43のセメント系組成物であって、セメント100質量部、減水剤類1〜5質量部及び液体急結剤を固形分換算で2〜10質量部含有してなる急硬性セメント系組成物。
  2. 含有質量比で水/セメントが0.3以上0.4以下である請求項1記載の急硬性セメント系組成物。
  3. 液体急結剤が硫酸アルミニウムを有効成分とする請求項1又は2記載の急硬性セメント系組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH10212149A (ja) * 1997-01-24 1998-08-11 Denki Kagaku Kogyo Kk 吹付材料及びそれを用いた吹付工法
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