JP2011136474A - 圧力容器の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】FRP層の形成時における熱硬化樹脂の染み出しが抑制された圧力容器の製造方法を提供する。
【解決手段】圧力容器の製造方法は、中空部を有する筒状の基材表面に熱硬化性樹脂を含浸させた繊維を巻回させる工程と、該熱硬化性樹脂を硬化させて、該基材表面にFRP層を形成する樹脂硬化工程S20と、を順に有する。また、樹脂硬化工程S20に併行して、FRP層の外側に外圧を付与し、かつ、基材の内側に、外圧に対抗する内圧を付与する圧力付与工程(S200)を有する。
【選択図】図2
【解決手段】圧力容器の製造方法は、中空部を有する筒状の基材表面に熱硬化性樹脂を含浸させた繊維を巻回させる工程と、該熱硬化性樹脂を硬化させて、該基材表面にFRP層を形成する樹脂硬化工程S20と、を順に有する。また、樹脂硬化工程S20に併行して、FRP層の外側に外圧を付与し、かつ、基材の内側に、外圧に対抗する内圧を付与する圧力付与工程(S200)を有する。
【選択図】図2
Description
本発明は、圧力容器の製造方法に関する。
酸素や窒素など、常温常圧状態における容積の大きな気体を高密度、小容量にて貯蔵するための容器として、所定の圧力により圧縮させて液体または気体として貯蔵する、圧力容器が使用されている。従来、耐圧性を有する鋼鉄製その他の金属製圧力容器が使用されてきたが、近年、天然ガスや水素ガスなどを貯蔵した圧力容器を車両などの移動体に搭載し、燃料として使用する技術に適用するため、圧力容器に対して要求される性能として、高密度化可能な耐圧性、耐久性はもちろんのこと、容器の軽量化も重要な課題となっていた。
一方、例えば炭素繊維強化樹脂(CFRP)などの繊維強化樹脂(FRP)を用いた圧力容器が知られている。FRP製の圧力容器は一般に、金属製圧力容器よりも軽量であるため、車両などの移動体への搭載には有利であり、また、水素用圧力容器として使用する場合における、従来の鋼鉄製容器の課題であった水素脆化その他の懸念も少ないため、特に注目されている。
図7は、一般的なFRP製圧力容器の構成の概略を説明するための図である。図7に示す圧力容器100は例えば、6−ナイロン(ナイロン6とも称する)、6,6−ナイロン(ナイロン66とも称する)などのナイロン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂などの熱可塑性樹脂で形成された中空部を有するライナ10と、ライナ10の外周部分を被覆する繊維強化樹脂層(FRP層)12とを備え、構成されている。圧力容器100にはまた、少なくとも一つの口金18を有する。口金18には、図示しないバルブが接続可能に構成されており、このバルブ操作により圧力容器100の内外への高圧流体の流通を調節することができる。
FRP層12を形成する方法として、例えば、フィラメントワインディング法(以下「FW法」ともいう)が知られている。このフィラメントワインディング法は、樹脂を含浸した繊維を、ライナに適切な張力を付与しながら巻き付ける方法である。図5(a)に模式的に示すように、ここでは図示しないライナまたは基材の外周表面に形成された樹脂含浸繊維層11は、熱硬化性樹脂14と繊維16とがほぼ均等に存在するように巻き付けられている。
FW工程に供された圧力容器形成材料140はその後、図4に例示するような熱硬化炉150において所定の温度(例えば、130℃程度)に加熱され、樹脂の硬化処理が施されることにより、FRP層が形成された圧力容器が形成される。より安定した熱硬化のために、圧力容器形成材料40は通常、口金18を通るシャフト30を回転軸として例えば矢印のように回転させながら熱硬化処理に供される。このような熱硬化処理には一般に、数時間程度、例えばエポキシ樹脂を適用する場合には、3〜5時間程度の熱硬化時間を要する。
一方、図6に例示するように、熱硬化に必要とされる温度(例えば、100℃)以下の環境条件下においては、熱硬化樹脂は一般に、温度の上昇に従って粘度が徐々に低下するという特徴を有している。このため、樹脂が完全に硬化するまでに、粘度低下した熱硬化性樹脂14が、例えば図4に例示するようにシャフト30の回転に伴う遠心力により外側方向に染み出し、表面に凹凸が形成される場合や、図5(b)に例示するように内側(基材側)部分の熱硬化性樹脂層14a,14bの一部が外側部分の熱硬化性樹脂層14c側に移動し、熱硬化性樹脂と繊維とが不均一に存在する状態が起こり得た。このように熱硬化性繊維と樹脂とが不均一に存在するようになると、外観形状に偏りが生じるばかりでなく、例えば耐疲労性など、作製された圧力容器における安定した品質の確保が懸念される場合があり得た。
本発明は、FRP層の形成時における熱硬化樹脂の染み出しが抑制された圧力容器の製造方法を提供する。
本発明の圧力容器の製造方法は以下の特徴を有する。
(1)中空部を有する筒状の基材表面に熱硬化性樹脂を含浸させた繊維を巻回させる工程と、前記熱硬化性樹脂を硬化させて、前記基材表面にFRP層を形成する樹脂硬化工程と、を順に有する圧力容器の製造方法であって、前記樹脂硬化工程に併行して、前記FRP層の外側に第1の圧力を付与し、かつ、前記基材の内側に前記第1の圧力に対抗する第2の圧力を付与する圧力付与工程を有する、圧力容器の製造方法である。
(2)上記(1)に記載の圧力容器の製造方法において、前記第1の圧力が、前記樹脂の粘度上昇に応じて低減される、圧力容器の製造方法。
(3)上記(1)または(2)に記載の圧力容器の製造方法において、少なくとも前記樹脂硬化工程の開始時における前記第1の圧力が、前記第2の圧力よりも高い、圧力容器の製造方法。
本発明によれば、FRP層の形成時における熱硬化樹脂の染み出しを抑制することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1に例示するように、本発明の実施の形態における高圧タンクの製造方法は、中空部を有する筒状の基材表面に熱硬化性樹脂を含浸させた繊維を巻回させる工程(S10)と、熱硬化性樹脂を硬化させて、基材表面にFRP層を形成する樹脂硬化工程(S20)と、を順に有する。S10は、上述したフィラメントワインディング法を適用するものであってもよく、また複数の繊維からなる繊維束に予め含浸させた樹脂を乾燥または半硬化させ、帯状またはシート状などの適切な形状に加工したいわゆるプリプレグ繊維を巻回させるものであっても良い。
次に、図1に示す樹脂硬化工程(S20)について、図2〜7を用いてさらに詳細に説明する。
図3に示すように熱硬化炉50を加圧し、圧力容器形成材料40の外側、つまり図7に示すFRP層12の外側に外圧20を付与する(S200)。熱硬化炉50内の温度を130℃、熱硬化性樹脂として図6に示すような挙動を示すエポキシ樹脂を適用した場合、外圧20の付与に伴う熱硬化炉50内の圧力は例えば、絶対圧基準で0.8〜1.0MPa程度とすることができる。
外圧20の付与の程度によっては、圧力容器形成材料40の変形が懸念されるため、必要に応じて圧力容器形成材料40の内側、つまり図7に示すライナ10の内側に、外圧20に対抗する内圧を付与することも好適である。圧力容器形成材料40の内側への内圧の付与は、例えば、口金18に挿入された、内部を中空にしたシャフト30を介して行なうことができるが、これに限定されるものではない。実施の形態において、圧力容器形成材料40の外側に付与する外圧20の程度は、少なくとも樹脂硬化工程の開始時においては、内圧よりも0.1〜0.2MPa程度高くなるように設定することが好ましい。
次工程に先立って、熱硬化性樹脂の粘度を取得する(S202)。樹脂硬化工程での熱硬化性樹脂の粘度を実際に測定することは非常に困難である。このため、具体的には、予め取得しておいた熱硬化炉50内の温度および時間経過に応じた熱硬化性樹脂の粘度の変化の様子をデータ化しておき、このデータに基づいて熱硬化性樹脂の粘度を推定する。
次いで、熱硬化性樹脂の粘度上昇(増粘)に従い外圧20を段階的に低減させていく(S204)。熱硬化性樹脂の増粘は、S202で取得した熱硬化性樹脂の粘度の変化に基づいて確認することができる。外圧20を徐々に低減させていくことにより、残留応力の蓄積に伴う圧力容器の強度低下を防止または抑制することができる。外圧20を低減させる割合は一定であることが好ましいが、これに限定されるものではない。また、外圧20の低減に応じて内圧も徐々に低減させることにより、少なくとも内圧が外圧を上回らないように制御することが好ましい。
次いで、熱硬化性樹脂の粘度が予め定められた値以上となったか否かを判定する(S206)。熱硬化性樹脂の硬化により、ある粘度以上、例えば100Pa・s以上となると流動性が消失し、図4,5に例示するような熱硬化性樹脂の染み出しは発生しない。このため、熱硬化性樹脂の粘度が所定値以上となった場合には圧力付与を解除し(S208)、さらに樹脂の硬化を継続(S210)した後、樹脂硬化工程を終了する。
本発明の実施の形態において、図5に示す繊維16としては、例えばガラス繊維、炭素繊維、ケブラ繊維などを用いることが可能であり、特に比強度、比剛性の観点から炭素繊維が好適に用いられる。より具体的には、T800繊維(東レ社製)、テナックスIM600(商品名)(東邦テナックス社製)などを挙げることができるが、これらに限定されない。また、引張り強度が100〜300GPa程度となるように複数の繊維16を束ねた繊維束の適用が好ましいが、これに限定されない。
一方、図5に示す熱硬化性樹脂14として、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられるが、これに限定されない。
本発明は、樹脂を含浸させた繊維を巻き付けた後、該樹脂を硬化させて作製されるFRP製の圧力容器に好適に利用することが可能である。
10 ライナ、11 樹脂含浸繊維層、12 FRP層、14 熱硬化性樹脂、14a,14b,14c 熱硬化性樹脂層、16 繊維、18 口金、20 外圧、30 シャフト、40,140 圧力容器形成材料、50,150 熱硬化炉、100 圧力容器。
Claims (3)
- 中空部を有する筒状の基材表面に熱硬化性樹脂を含浸させた繊維を巻回させる工程と、
前記熱硬化性樹脂を硬化させて、前記基材表面にFRP層を形成する樹脂硬化工程と、
を順に有する圧力容器の製造方法であって、
前記樹脂硬化工程に併行して、前記FRP層の外側に第1の圧力を付与し、かつ、前記基材の内側に前記第1の圧力に対抗する第2の圧力を付与する圧力付与工程を有することを特徴とする圧力容器の製造方法。 - 請求項1に記載の圧力容器の製造方法において、
前記第1の圧力および前記第2の圧力が、前記樹脂の粘度上昇の程度に応じて低減されることを特徴とする圧力容器の製造方法。 - 請求項1または2に記載の圧力容器の製造方法において、
少なくとも前記樹脂硬化工程の開始時における前記第1の圧力が、前記第2の圧力よりも高いことを特徴とする圧力容器の製造方法。
Priority Applications (1)
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JP2009297527A JP2011136474A (ja) | 2009-12-28 | 2009-12-28 | 圧力容器の製造方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN103994319A (zh) * | 2013-11-19 | 2014-08-20 | 上海复合材料科技有限公司 | 薄壁金属内衬纤维全缠绕轻质高压气瓶的缠绕和固化方法 |
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2009
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