JP2011132491A - ゲル、ゲル乾燥体およびそれらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
第一のモノマー(a)を重合し架橋することにより形成された第一の網目構造(A)と、該第一の網目構造(A)中に第二のモノマー(b)を導入し、該第二のモノマー(b)を重合し架橋することにより前記第一の網目構造(A)中に形成された第二の網目構造(B)とからなる相互侵入網目構造中に溶媒を含有するゲルにおいて、
前記第一のモノマー(a)が、アニオン性不飽和モノマー(a1)を含み、
前記第二のモノマー(b)が、該第二のモノマー(b)の100質量%のうち、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)を0.1質量%以上含むことを特徴とするゲル。
【選択図】なし
Description
しかしながら、ゲル材料は一般的に強度がなく、微小な応力で構造が破壊されてしまうため、強度が必要とされる用途には不向きであった。近年、上述のような従来のゲル材料から強度を大幅に向上させた、様々な新規ゲル材料が提唱されている。
架橋点が主鎖に沿って動くトポロジカルゲル(例えば特許文献1)や、架橋点として親水性クレイを用いたナノコンポジットゲル(例えば特許文献2)、2種類の網目構造が相互に侵入したダブルネットワークゲル(例えば特許文献3)、均一網目構造のテトラペグゲル(例えば非特許文献1)は四大高強度ゲルと称され、注目を浴びている。
前記第一のモノマー(a)が、アニオン性不飽和モノマー(a1)を含み、
前記第二のモノマー(b)が、該第二のモノマー(b)の100質量%のうち、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を0.1質量%以上含むことを特徴とするゲルである。
前記第一のモノマー(a)が、アニオン性不飽和モノマー(a1)を含み、
前記第二のモノマー(b)が、該第二のモノマー(b)の100質量%のうち、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を0.1質量%以上含むことを特徴とするゲルである。
(y)該第一の網目構造(A)中に第二のモノマー(b)を導入し、該第二のモノマー(b)を重合し架橋することにより前記第一の網目構造(A)中に第二の網目構造(B)を形成する工程と
を有する、相互侵入網目構造を有するゲルの製造方法において、
前記第一のモノマー(a)が、アニオン性不飽和モノマー(a1)を含み、
前記第二のモノマー(b)が、該第二のモノマー(b)の100質量%のうち、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を0.1質量%以上含むことを特徴とするゲルの製造方法である。
(y’)該第一の網目構造(A)中に第二のモノマー(b)を導入し、該第二のモノマー(b)を重合することにより前記第一の網目構造(A)中にポリマー(B’)を形成する工程と
を有する、セミ相互侵入網目構造を有するゲルの製造方法において、
前記第一のモノマー(a)が、アニオン性不飽和モノマー(a1)を含み、
前記第二のモノマー(b)が、該第二のモノマー(b)の100質量%のうち、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を0.1質量%以上含むことを特徴とするゲルの製造方法である。
本発明のゲル乾燥体は、膨潤速度が速いため容易に高強度ゲルの状態に戻すことができる。
また、本発明の製造方法によれば、従来のダブルネットワークゲルに比べ格段に膨潤速度が速いゲルおよびゲル乾燥体が得られる。
ゲルとは、ポリマーで構成された網目構造中に水もしくは有機溶媒を溶媒として取り込んでいるゲルを意味する。
本発明のゲルに含まれる溶媒の量や種類、混合の有無、混合比率等は、特に限定されず、用いるモノマーや使用環境に合わせて適宜選択することができる。溶媒は、1種の単独溶媒であってもよく、2種以上の混合溶媒であってもよく、水と有機溶媒を同時に用いてもよい。
水は、一般的に用いられる生活用水でもよく、蒸留水でもよく、脱イオン水でもよく、食塩水、生理食塩水(食塩濃度0.9重量%の食塩水)等、イオンを含む水や、その他粒子等を含む水でもよい。
有機溶媒は、常温で液体状態の有機物であればよく、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール等のジオール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミン類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、その他、ジメチルスルホキシドやテトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、キシレン、酢酸、酢酸エチル、酢酸ブチル、無水酢酸等が挙げられる。これらの中でも、大気圧において沸点と融点の温度差が大きい溶媒が好ましく、ジメチルホルムアミドやジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、エチレングリコールが好ましい。
(i)第一の網目構造(A)と、該第一の網目構造(A)中に形成された第二の網目構造(B)とからなる相互侵入網目構造を有するゲル。
(ii)第一の網目構造(A)と、該第一の網目構造(A)中に形成されたポリマー(B’)とからなるセミ相互侵入網目構造を有するゲル。
不飽和モノマーとは、芳香環上の炭素−炭素不飽和二重結合を除き、1分子中に1個以上の炭素−炭素不飽和二重結合を有するモノマーを意味する。
セミ相互侵入網目構造とは、第一の網目構造(A)と、架橋点を有さない直鎖状のポリマー(B’)とが別々に存在するのではなく、相互に絡み合っている構造を意味する。
第一の網目構造(A)は、第一のモノマー(a)を重合し架橋することにより形成された網目構造である。
第一のモノマー(a)は、単官能不飽和モノマーである。単官能不飽和モノマーとは、1分子中に1個の炭素−炭素不飽和二重結合を有するモノマーを意味する。
アニオン性不飽和モノマーとは、単官能不飽和モノマーのうち、水中において負に帯電するモノマーを意味する。第一の網目構造(A)を第二のモノマー(b)の溶液(以下、「第二のモノマー溶液」という。)に浸漬した際、第一の網目構造(A)においてアニオン性不飽和モノマー(a1)に由来する単位の酸性基が解離することで、アニオン同士が反発して第一の網目構造(A)が膨潤挙動を発現し、第二のモノマー(b)を第一の網目構造(A)内に導入することが容易になる。
ノニオン性不飽和モノマーとは、単官能不飽和モノマーのうち、水中において正負いずれにも帯電しない、また帯電しても極めて微弱であるモノマーを意味する。また、カチオン性不飽和モノマーとは、単官能不飽和モノマーのうち、水中において正に帯電するモノマーを意味する。
ノニオン性不飽和モノマー(a2)としては、公知のモノマーが挙げられ、例えば、アクリルアミド誘導体(アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、アクリロイルモルホリン等)、メタクリルアミド誘導体(メタクリルアミド、ジメチルメタクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、メタクリロイルモルホリン等)、アクリレート(ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート等)、メタクリレート(ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリレート等)、アクリロニトリル、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、酢酸ビニル等の水溶性のものや、アルキル(メタ)アクリレート(メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、反応性官能基を有する(メタ)アクリレート(2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等)等の水溶性に乏しいノニオン性不飽和モノマーが挙げられる。これらノニオン性不飽和モノマー(a2)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カチオン性不飽和モノマー(a3)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
多官能不飽和モノマーとは、重合性官能基を2個以上有する不飽和モノマーを意味する。重合性官能基とは、ポリマーに架橋点を形成する官能基であり、(メタ)アクリロイル基やビニル基等が挙げられる。
2官能不飽和モノマーとして、例えば、N,N−メチレンビスアクリルアミド、モノエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、モノプロピレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
3官能不飽和モノマーとして、例えば、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
4官能不飽和モノマーとして、例えば、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これら多官能不飽和モノマー(c)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の相互侵入網目構造を有するゲル(i)は、第二の網目構造(B)を有する。
第二の網目構造(B)は、第一の網目構造(A)中に第二のモノマー(b)を導入し、該第二のモノマー(b)を重合し架橋することにより前記第一の網目構造(A)中に形成された網目構造である。
第二のモノマー(b)は、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)を0.1質量%以上含むモノマーで構成され、必要に応じて他の不飽和モノマー(b2)との混合物を用いることもできる。
本発明のセミ相互侵入網目構造を有するゲル(ii)は、ポリマー(B’)を有する。
ポリマー(B’)は、第一の網目構造(A)中に第二のモノマー(b)を導入し、該第二のモノマー(b)を重合することにより前記第一の網目構造(A)中に形成された架橋点を有さない直鎖状のポリマーである。
第二のモノマー(b)は、AMPSを0.1質量%以上含むモノマーで構成され、必要に応じて他の不飽和モノマー(b2)との混合物を用いることもできる。
AMPSの割合、他の不飽和モノマー(b2)の種類と割合は、第二の網目構造(B)におけるものと同様である。
本発明のゲルにおいては、第二の網目構造(B)の架橋度(%)を、第一の網目構造(A)の架橋度と同じか、これよりも小さくすることが好ましい。第二の網目構造(B)の架橋度が第一の網目構造(A)の架橋度より大きいものであると、ゲルの機械特性、特に伸びを損なう場合がある。
第一の網目構造(A)における架橋度とは、架橋を後述の方法(α)で行う場合、第一のモノマー(a)100質量%に対する多官能不飽和モノマー(c)の添加量を意味する。架橋をその他の方法で行う場合は、第一のモノマー(a)に由来するモノマー単位のうち、架橋に寄与しているモノマー単位の割合を、架橋点が結び付けているポリマー鎖の数で割った値で表せる。架橋点が結び付けているポリマー鎖の数とは、例えば2種のモノマーを反応させて架橋点とする場合には2である。3価に帯電したホウ酸でイオン結合させる場合には3である。第二の網目構造(B)における架橋度についても同様である。
本発明のゲルの製造方法としては、下記の2種類の製造方法(I)、(II)が挙げられる。
(I)(x)第一のモノマー(a)を重合し架橋することにより第一の網目構造(A)を形成する工程と、(y)該第一の網目構造(A)中に第二のモノマー(b)を導入し、該第二のモノマー(b)を重合し架橋することにより前記第一の網目構造(A)中に第二の網目構造(B)を形成する工程とを有する、相互侵入網目構造を有するゲルの製造方法。
(II)(x)第一のモノマー(a)を重合し架橋することにより第一の網目構造(A)を形成する工程と、(y’)該第一の網目構造(A)中に第二のモノマー(b)を導入し、該第二のモノマー(b)を重合することにより前記第一の網目構造(A)中にポリマー(B’)を形成する工程とを有する、セミ相互侵入網目構造を有するゲルの製造方法。
本発明のゲルの製造方法は、工程(x)を有する。
まず、第一のモノマー(a)、重合開始剤等を、溶媒に溶かして第一のモノマー溶液を調製する。ついで、第一のモノマー溶液を容器や枠へ流し込み、該溶液に熱または光を当てることにより、第一のモノマー(a)が重合、架橋されて三次元架橋ポリマーである第一の網目構造(A)が形成される。
熱重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、ベンゾイルパーオキシド等の過酸化物、アゾ系開始剤等が挙げられる。
光重合開始剤としては、アルキルフェノン系開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系開始剤等の一般的な光重合開始剤が挙げられる。
本発明の相互侵入網目構造を有するゲル(i)の製造方法(I)は、工程(y)において、第二のモノマー(b)がAMPSを0.1質量%以上含むモノマーで構成されることを特徴とする。
まず、第一の網目構造(A)中に、第二のモノマー(b)、重合開始剤等を導入することによって、第一の網目構造(A)中に含まれる溶媒に第二のモノマー(b)、重合開始剤等を均一に拡散させる。
ついで、第二のモノマー(b)が導入された第一の網目構造(A)に熱または光を当てることにより、第二のモノマー(b)を重合させ、ポリマーとする。
該ポリマーの架橋は、第二のモノマー(b)の重合と同時に行ってもよく、ポリマーを得た後に行ってもよい。
以上のようにして、第一の網目構造(A)中に第二の網目構造(B)を形成することにより、相互侵入網目構造を有する、任意の形状のゲルが得られる。
なお、第一の網目構造(A)が不透明で充分に光を透過しない場合には、熱重合開始剤によるラジカル重合法が好ましい。また、温度によって挙動の変わる不飽和モノマーを用いる場合には、光重合開始剤による光重合法が好ましい場合もある。
第一のモノマー(a)の重合方法と、第二のモノマー(b)の重合方法は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
(α)1分子中に2個以上の炭素−炭素不飽和二重結合を有する多官能不飽和モノマー(c)を第一のモノマー(a)とともに用いて、重合と同時に架橋する方法。
(β)放射線照射によって、第一のモノマー(a)により形成されたポリマー中にラジカルを発生させて架橋する方法。
(γ)ポリマーを構成する第一のモノマー(a)に由来する単位の側鎖の官能基同士を直接反応させる方法。
(δ)ポリマーを構成する第一のモノマー(a)に由来する単位の側鎖の官能基同士を橋架け剤で架橋する方法。
(ε)多価金属イオン(銅イオン、亜鉛イオン、カルシウムイオン等)を用いて、イオン結合または配位結合によって架橋する方法。
本発明のセミ相互浸入網目構造を有するゲル(ii)の製造方法(II)では、工程(y’)において、第二のモノマー(b)がAMPSを0.1質量%以上含むモノマーで構成されることを特徴とする。
まず、第一の網目構造(A)中に、第二のモノマー(b)、重合開始剤等を導入することによって、第一の網目構造(A)中に含まれる溶媒に第二のモノマー(b)、重合開始剤等を均一に拡散させる。
ついで、第二のモノマー(b)が導入された第一の網目構造(A)に熱または光を当てることにより、第二のモノマー(b)を重合させ、ポリマー(B’)とする。
以上のようにして、第一の網目構造(A)中にポリマー(B’)を形成することにより、セミ相互侵入網目構造を有する、任意の形状のゲルが得られる。
第二のモノマー(b)の導入方法および重合方法は、工程(y)における導入方法および重合方法と同様である。
また、本発明のゲルは、第二のモノマー(b)からなるポリマーを架橋する必要がないこともある。本発明ではゲルに求められる物性に応じて、相互侵入網目構造と、セミ相互侵入網目構造とを自由に選択できる。
(実施例1)
工程(x):
AMPS100%からなる第一のモノマー(a)と、第一のモノマー(a)の100%に対して2%のN,N−メチレンビスアクリルアミドからなる多官能不飽和モノマー(c)と、第一のモノマー(a)の100%に対して0.1%の光重合開始剤(チバガイギー社製、DAROCURE1173、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン)とを、第一のモノマー(a)の100%に対して400%の蒸留水に溶かし、第一のモノマー溶液を調製した。
ついで、得られた第一のモノマー溶液を、シリコーンゴムで周囲をシールしたガラス板間に流し込み、該第一のモノマー溶液に、ケミカルランプ(東芝社製、捕虫器用蛍光灯FL20S・BL−A)を用いて、1分間の照射エネルギー120mJ/cm2にて60分間紫外線を照射し、重合を完結させ、第一の網目構造(A)を有するゲル前駆体を得た。
AMPS75%、アクリルアミド25%からなる第二のモノマー(b)と(この時AMPSは第二のモノマー(b)の50.7モル%)、第二のモノマー(b)の100%に対して0.1%のN,N−メチレンビスアクリルアミドと、第二のモノマー(b)の100%に対して0.01%の光重合開始剤(同上)とを、第二のモノマー(b)の100%に対して200%の蒸留水に溶かし、第二のモノマー溶液を調製した。
該第二のモノマー溶液に、第一の網目構造(A)を有するゲル前駆体を浸漬し、この状態で12時間以上放置することで、第二のモノマー溶液を第一の網目構造(A)に充分に吸収させた。
第二のモノマー溶液で充分に膨潤した第一の網目構造(A)を有するゲル前駆体をガラス板にて挟みこみ、該ゲル前駆体に、ケミカルランプ(同上)を用いて、1分間の照射エネルギー120mJ/cm2にて60分間紫外線を照射し、重合を完結させ、第一の網目構造(A)中に第二の網目構造(B)が形成された相互侵入網目構造を有するゲルを得た。
工程(x)における多官能不飽和モノマー(c)を、ポリエチレングリコール#1000ジアクリレート(A−1000、新中村化学工業社製、n=23、m=2)に変更した以外は、実施例1と同様の方法により相互侵入網目構造を有するゲルを得た。
工程(x)における多官能不飽和モノマー(c)を、第一のモノマー(a)の100%に対して6%のN,N−メチレンビスアクリルアミドに変更した以外は、実施例1と同様の方法により相互侵入網目構造を有するゲルを得た。
工程(y)における第二のモノマー(b)を、AMPS100%に変更した以外は、実施例1と同様の方法により相互侵入網目構造を有するゲルを得た。
工程(y)における第二のモノマー(b)を、AMPS90%、アクリルアミド10%に変更した以外は、実施例1と同様の方法により相互侵入網目構造を有するゲルを得た。
工程(y)における第二のモノマー(b)を、AMPS70%、アクリルアミド30%に変更した以外は、実施例1と同様の方法により相互侵入網目構造を有するゲルを得た。
工程(y)における第二のモノマー(b)を、AMPS60%、アクリルアミド40%に変更した以外は、実施例1と同様の方法により相互侵入網目構造を有するゲルを得た。
工程(y)における第二のモノマー(b)を、AMPS50%、アクリルアミド50%に変更した以外は、実施例1と同様の方法により相互侵入網目構造を有するゲルを得た。
工程(y)における第二のモノマー(b)を、AMPS30%、アクリルアミド70%に変更した以外は、実施例1と同様の方法により相互侵入網目構造を有するゲルを得た。
工程(y)における第二のモノマー(b)を、AMPS10%、アクリルアミド90%に変更した以外は、実施例1と同様の方法により相互侵入網目構造を有するゲルを得た。
工程(y)における第二のモノマー(b)を、AMPS5%、アクリルアミド95%に変更した以外は、実施例1と同様の方法により相互侵入網目構造を有するゲルを得た。
工程(y)における第二のモノマー(b)を、AMPS3%、アクリルアミド97%に変更した以外は、実施例1と同様の方法により相互侵入網目構造を有するゲルを得た。
工程(y)における第二のモノマー(b)を、AMPS1%、アクリルアミド99%に変更した以外は、実施例1と同様の方法により相互侵入網目構造を有するゲルを得た。
工程(x)における第一のモノマー(a)を、AMPS90%、ジメチルアクリルアミド(DMA)10%に変更した以外は、実施例1と同様の方法により相互侵入網目構造を有するゲルを得た。
工程(x)における第一のモノマー(a)を、AMPS50%、ジメチルアクリルアミド(DMA)50%に変更した以外は、実施例1と同様の方法により相互侵入網目構造を有するゲルを得た。
工程(y)におけるN,N−メチレンビスアクリルアミドの添加量を0%に変更した以外は、実施例1と同様の方法によりセミ相互侵入網目構造を有するゲルを得た。
工程(x):
AMPSの100%からなる第一のモノマー(a1)と、第一のモノマー(a1)の100%に対して2%のN,N−メチレンビスアクリルアミドからなる多官能不飽和モノマー(c)と、第一のモノマー(a1)の100%に対して1%のKPS(過硫酸カリウム)とを、第一のモノマー(a1)の100%に対して400%の蒸留水に溶かし、第一のモノマー溶液を調製した。
得られた第一のモノマー溶液を、シリコーンゴムで周囲をシールしたガラス板間に流し込み、60℃の湯浴に60分間浸し、重合を完結させ、第一の網目構造(A)を有するゲル前駆体を得た。
AMPS75%、アクリルアミド25%からなる第二のモノマー(b1)と、第二のモノマー(b1)の100%に対して0.1%のN,N−メチレンビスアクリルアミドと、第二のモノマー(b1)の100%に対して0.1%のKPSとを、第二のモノマー(b)の100%に対して200%の蒸留水に溶かし、第二のモノマー溶液を調製した。
該第二のモノマー溶液に、第一の網目構造(A)を有するゲル前駆体を浸漬し、この状態で12時間以上放置することで、第二のモノマー水溶液を第一の網目構造(A)に充分に吸収させた。
第二のモノマー溶液で充分に膨潤した第一の網目構造(A)を有するゲル前駆体をガラス板にて挟みこみ、周囲をシールした上で、60℃の湯浴に60分間浸し、重合を完結させ、相互侵入網目構造を有するゲルを得た。
工程(x):
第一のモノマー溶液の調製において蒸留水の代わりに、第一のモノマー(a1)の100%に対して300%のジメチルスルホキシドに溶かした以外は、実施例1と同様の方法により、第一の網目構造(A)を有するゲル前駆体を得た。
工程(y):
第二のモノマー溶液の調製において蒸留水の代わりに、第二のモノマー(b1)の100%に対して300%のジメチルスルホキシドを用いた以外は、実施例1と同様の方法により相互侵入網目構造を有するゲルを得た。
工程(y)における第二のモノマー(b)を、アクリルアミド100%に変更した以外は、実施例1と同様の方法により相互侵入網目構造を有するゲルを得た。
工程(y)における第二のモノマー(b)を、アクリルアミド100%に変更した以外は、実施例3と同様の方法により相互侵入網目構造を有するゲルを得た。
工程(x)における第一のモノマー(a)を、AMPS90%、ジメチルアクリルアミド(DMA)10%に変更した以外は、実施例1と同様の方法により相互侵入網目構造を有するゲルを得た。
工程(x)における第一のモノマー(a)を、AMPS50%、ジメチルアクリルアミド(DMA)50%に変更した以外は、比較例1と同様の方法により相互侵入網目構造を有するゲルを得た。
工程(y)における第二のモノマー(b)を、アクリル酸30%、アクリルアミド70%に変更した以外は、比較例1と同様の方法により相互侵入網目構造を有するゲルを得た。
工程(y)における第二のモノマー(b)を、アクリル酸40%、アクリルアミド60%に変更した以外は、比較例1と同様の方法により相互侵入網目構造を有するゲルを得た。
工程(y)における第二のモノマー(b)を、アクリル酸75%、アクリルアミド25%に変更した以外は、比較例1と同様の方法により相互侵入網目構造を有するゲルを得た。
工程(y)における第二のモノマー(b)を、アクリル酸100%に変更した以外は、比較例1と同様の方法により相互侵入網目構造を有するゲルを得た。
表1中の略号は、下記の通りである。
AMPS:2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸
AAc:アクリル酸
AAm:アクリルアミド
MBA:N,N−メチレンビスアクリルアミド
DMA:N,N−ジメチルアクリルアミド
A−1000:ポリエチレングリコール#1000ジアクリレート
DAR1173:DAROCURE1173
KPS:過硫酸カリウム
DMSO:ジメチルスルホキシド
実施例1〜18、比較例1〜8で製造したゲルについて、下記の(1)〜(3)の評価を行った。
(1)膨潤度:
得られたゲルの乾燥前後での質量比から膨潤度を算出した。計算式は、下記の通りである。
(膨潤度)=(乾燥前質量)/(乾燥後質量)×100(%)。
得られたゲルを3号ダンベル試験片に打抜き、引張試験に供した。引張試験はJIS−K6251に準拠して、試験片の引張破断強度を測定した。チャック間距離は50mm、引張速度は50mm/minとした。
得られたゲルを1cm角にカットし、ガラス板、またはアルミトレイ、またはナイロンメッシュに乗せ、60℃の乾燥機にて3日以上乾燥させた。これを絶乾状態とし、重量・厚み・大きさを測定した。
絶乾状態のゲルを生理食塩水につけ、各時間に取り出して重量を測定し(1)と同様に膨潤度を算出した。膨潤速度の目安とするため、浸漬開始から30秒後、10分後の膨潤度を表に示した。
実施例1〜18および比較例1〜8における(1)〜(3)の評価結果を表2に示す。
また、比較例5〜8で得られたゲルは、第二のモノマー(b)にAMPSを用いず、アクリル酸を用いたため、すべての実施例1〜18のゲルに比べて浸漬開始から30秒後、10分後の膨潤度が低く、高速な膨潤挙動を示さなかった。
Claims (6)
- 第一のモノマー(a)を重合し架橋することにより形成された第一の網目構造(A)と、該第一の網目構造(A)中に第二のモノマー(b)を導入し、該第二のモノマー(b)を重合し架橋することにより前記第一の網目構造(A)中に形成された第二の網目構造(B)とからなる相互侵入網目構造中に溶媒を含有するゲルにおいて、
前記第一のモノマー(a)が、アニオン性不飽和モノマー(a1)を含み、
前記第二のモノマー(b)が、該第二のモノマー(b)の100質量%のうち、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を0.1質量%以上含むことを特徴とするゲル。 - 第一のモノマー(a)を重合し架橋することにより形成された第一の網目構造(A)と、該第一の網目構造(A)中に第二のモノマー(b)を導入し、該第二のモノマー(b)を重合することにより前記第一の網目構造(A)中に形成されたポリマー(B’)とからなるセミ相互侵入網目構造中に溶媒を含有するゲルにおいて、
前記第一のモノマー(a)が、アニオン性不飽和モノマー(a1)を含み、
前記第二のモノマー(b)が、該第二のモノマー(b)の100質量%のうち、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を0.1質量%以上含むことを特徴とするゲル。 - 請求項1または2に記載のゲルから溶媒を除いたゲル乾燥体。
- (x)第一のモノマー(a)を重合し架橋することにより第一の網目構造(A)を形成する工程と、
(y)該第一の網目構造(A)中に第二のモノマー(b)を導入し、該第二のモノマー(b)を重合し架橋することにより前記第一の網目構造(A)中に第二の網目構造(B)を形成する工程と
を有する、相互侵入網目構造を有するゲルの製造方法において、
前記第一のモノマー(a)が、アニオン性不飽和モノマー(a1)を含み、
前記第二のモノマー(b)が、該第二のモノマー(b)の100質量%のうち、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を0.1質量%以上含むことを特徴とするゲルの製造方法。 - (x)第一のモノマー(a)を重合し架橋することにより第一の網目構造(A)を形成する工程と、
(y’)該第一の網目構造(A)中に第二のモノマー(b)を導入し、該第二のモノマー(b)を重合することにより前記第一の網目構造(A)中にポリマー(B’)を形成する工程と
を有する、セミ相互侵入網目構造を有するゲルの製造方法において、
前記第一のモノマー(a)が、アニオン性不飽和モノマー(a1)を含み、
前記第二のモノマー(b)が、該第二のモノマー(b)の100質量%のうち、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を0.1質量%以上含むことを特徴とするゲルの製造方法。 - 請求項4または5に記載の製造方法により得られたゲルを乾燥させる工程を含む、ゲル乾燥体の製造方法。
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