JP2011129956A - ボビンレスコイルの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 最小の部品点数および最小の工数でボビンレスコイルを構成する。
【解決手段】 円筒状に巻回した導線45aを接着剤62で固めて内径ガイド部46aを構成した後に、内径ガイド部46aをガイドにしてその外周に導線45bを巻回してコイル本体部46bを構成するので、ボビンを廃止して部品点数およびコストを削減しながら内径ガイド部46aにボビンの機能を発揮させてコイル本体部46bの巻回形状を安定させることができ、しかもボビンを廃止した分だけボビンレスコイルの内径を減少させ、抵抗およびインダクタンスを減少させて電流応答性を高めることができる。また内径ガイド部46aの導線45aだけを接着してコイル本体部46bの導線45bを接着する必要がないため、接着剤62の使用量や加工工数を最小限に抑えることができる。
【選択図】 図3

Description

本発明は、ボビンを用いずに導線を巻回したボビンレスコイルの製造方法に関する。
電磁アクチュエータやモータに使用されるコイルは一般にボビンと呼ばれる絶縁体の周囲に巻回されるが、このボビンを廃止したボビンレスコイルが、下記特許文献1により公知である。このボビンレスコイルは、接着層付きテープをスパイラル状に巻き付けた導線を円筒状に巻回してコイル本体を構成した後、コイル本体の円周方向の複数個所を接着テープで固定して形状を保持している。
特開平10−172823号公報
ところで上記従来のものは、導線を巻回するときにガイドとなるボビンが存在しないため、コイル本体の形状が不正確になり易い問題があった。また導線を全長に亘って接着しているため、大量の接着層付きテープが必要になるだけでなく、その接着層付きテープの巻き付け作業に多くの工数が掛かるという問題があった。
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、最小の部品点数および最小の工数でボビンレスコイルを構成することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、円筒状に巻回した導線を接着剤で固めて内径ガイド部を構成する第1工程と、内径ガイド部をガイドにしてその外周に導線を巻回してコイル本体部を構成する第2工程とを備えたことを特徴とするボビンレスコイルの製造方法が提案される。
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、内径ガイド部を構成する導線が平角線であることを特徴とするボビンレスコイルの製造方法が提案される。
請求項1の構成によれば、円筒状に巻回した導線を接着剤で固めて内径ガイド部を構成した後に、内径ガイド部をガイドにしてその外周に導線を巻回してコイル本体部を構成するので、ボビンを廃止して部品点数およびコストを削減しながら内径ガイド部にボビンの機能を発揮させてコイル本体部の巻回形状を安定させることができ、しかもボビンを廃止した分だけボビンレスコイルの内径を減少させ、抵抗およびインダクタンスを減少させて電流応答性を高めることができる。また内径ガイド部の導線だけを接着してコイル本体部の導線を接着する必要がないため、接着剤の使用量や加工工数を最小限に抑えることができる。
請求項2の構成によれば、内径ガイド部を構成する導線が平角線なので、巻回された導線間の接触面積を増加させて接着強度を高めるとともに、巻回された導線間に形成される空間を最小限に抑えて内径ガイド部の占積率を高めることができる。
能動型防振支持装置の縦断面図。(第1の実施の形態) 図1の2部拡大図。(第1の実施の形態) ボビンレスコイルの縦断面図。(第1の実施の形態) 作用を説明するフローチャート。(第1の実施の形態) 前記図3に対応する図。(第2の実施の形態)
以下、図1〜図4に基づいて本発明の第1の実施の形態を説明する。
図1および図2に示すように、自動車のエンジンを車体フレームに弾性的に支持するために用いられる能動型防振支持装置M(アクティブ・コントロール・マウント)は、軸線Lに関して実質的に軸対称な構造を有するもので、概略円筒状の上部ハウジング11の下端のフランジ部11aと、概略円筒状の下部ハウジング12の上端のフランジ部12aとの間に、上面が開放した概略カップ状のアクチュエータケース13の外周のフランジ部13aと、環状の第1弾性体支持リング14の外周部と、環状の第2弾性体支持リング15の外周部とが重ね合わされてカシメにより結合される。このとき、下部ハウジング12のフランジ部12aとアクチュエータケース13のフランジ部13aとの間に環状の第1フローティングラバー16を介在させ、かつアクチュエータケース13の上部と第2弾性体支持部材15の内面との間に環状の第2フローティングラバー17を介在させることで、アクチュエータケース13は上部ハウジング11および下部ハウジング12に対して相対移動可能にフローティング支持される。
第1弾性体支持リング14と、軸線L上に配置された第1弾性体支持ボス18とに、厚肉のラバーで形成した第1弾性体19の下端および上端がそれぞれが加硫接着により接合される。第1弾性体支持ボス18の上面にダイヤフラム支持ボス20がボルト21で固定されており、ダイヤフラム支持ボス20に内周部を加硫接着により接合されたダイヤフラム22の外周部が上部ハウジング11に加硫接着により接合される。ダイヤフラム支持ボス20の上面に一体に形成されたエンジン取付部20aが図示せぬエンジンに固定される。また下部ハウジング12の下端の車体取付部12bが図示せぬ車体フレームに固定される。
上部ハウジング11の上端のフランジ部11bにストッパ部材23の下端のフランジ部23aがボルト24…およびナット25…で結合されており、ストッパ部材23の上部内面に取り付けたストッパラバー26にダイヤフラム支持ボス20の上面に突設したエンジン取付部20aが当接可能に対向する。能動型防振支持装置Mに大荷重が入力したとき、エンジン取付部20aがストッパラバー26に当接することで、エンジンの過大な変位が抑制される。
第2弾性体支持リング15に膜状のラバーで形成した第2弾性体27の外周部が加硫接着により接合されており、第2弾性体27の中央部に埋め込むように可動部材28が加硫接着により接合される。第2弾性体支持リング15の上面と第1弾性体19の外周部との間に円板状の隔壁部材29が固定されており、隔壁部材29および第1弾性体19により区画された第1液室30と、隔壁部材29および第2弾性体27により区画された第2液室31とが、隔壁部材29の中央に形成した連通孔29aを介して相互に連通する。
第1弾性体支持リング14と上部ハウジング11との間に環状の連通路32が形成されており、連通路32の一端は連通孔33を介して第1液室30に連通し、連通路32の他端は連通孔34を介して、第1弾性体19およびダイヤフラム22により区画された第3液室35に連通する。
次に、前記可動部材28を駆動するアクチュエータ41の構造を説明する。
アクチュエータケース13の内部に固定コア42、コイル組立体43およびヨーク44が下から上に順次取り付けられる。コイル組立体43は、固定コア42およびヨーク44間に配置されたボビンレスコイル46と、ボビンレスコイル46の外周を覆うコイルカバー47とで構成される。コイルカバー47には、アクチュエータケース13および下部ハウジング12に形成した開口13b,12cを貫通して外部に延出するコネクタ48が一体に形成される。
図3に示すように、円筒状に形成されたボビンレスコイル46は、丸線よりなる導線45aを2層に巻回して接着剤62で固めた内径ガイド部46aと、内径ガイド部46aの外周に丸線よりなる導線45bを10層に亘って巻回したコイル本体部46bとで構成される。内径ガイド部46aを構成する導線45aには予め接着剤62が塗布されており、それを巻回した後に加熱することで接着剤62が溶融して内径ガイド部46aの導線45aが一体に接着される。
接着剤62で円筒状に固められた内径ガイド部46aはボビンの機能を有しており、その外周面をガイドにしてコイル本体部46bの導線45bが内径ガイド部46aの導線45aと同方向に巻回される。ガイド部46の導線45aの径方向外端と、コイル本体部46bの導線45bの径方向内端とは接続されており、従って導線45aおよび導線45bは直列に接続される。このボビンレスコイル46は、導線45aを巻回して構成した内径ガイド部46aを接着剤62で固める工程と、内径ガイド部46aの外周面をガイドにしながら導線45bを巻回してコイル本体部46bを構成する工程とにより製造することができる。
コイルカバー47の上面とヨーク44の下面との間にシール部材49が配置され、ボビンレスコイル46の下面と固定コア42の上面との間にシール部材50が配置される。これらのシール部材49,50によって、アクチュエータケース13および下部ハウジング12に形成した開口13b,12cからアクチュエータ41の内部空間61に水や塵が入り込むのを阻止することができる。
ヨーク44の円筒部44aの内周面に薄肉円筒状の軸受け部材51が上下摺動自在に嵌合しており、この軸受け部材51の上端には径方向内向きに折り曲げられた上部フランジ51aが形成されるとともに、下端には径方向外向きに折り曲げられた下部フランジ51bが形成される。下部フランジ51bとヨーク44の円筒部44aの下端との間にセットばね52が圧縮状態で配置されており、このセットばね52の弾発力で下部フランジ51bを弾性体53を介して固定コア42の上面に押し付けることで、軸受け部材51がヨーク44に支持される。
軸受け部材51の内周面に概略円筒状の可動コア54が上下摺動自在に嵌合する。前記可動部材28の中心から下向きに延びるロッド55が可動コア54の中心を緩く貫通し、その下端にナット56が締結される。可動コア54の上面に設けたばね座57と可動部材28の下面との間に圧縮状態のセットばね58が配置されており、このセットばね58の弾発力で可動コア54はナット56に押し付けられて固定される。この状態で、可動コア54の下面と固定コア42の上面とが、円錐状のエアギャップgを介して対向する。ロッド55およびナット56は固定コア42の中心に形成された開口42aに緩く嵌合しており、この開口42aはシール部材59を介してプラグ60で閉塞される。
エンジンのクランクシャフトの回転に伴って出力されるクランクパルスを検出するクランクパルスセンサSaが接続された電子制御ユニットUは、能動型防振支持装置Mのアクチュエータ41に対する通電を制御する。エンジンのクランクパルスは、クランクシャフトの1回転につき24回、つまりクランクアングルの15°毎に1回出力される。
次に、上記構成を備えた本発明の実施の形態の作用について説明する。
自動車の走行中に低周波数のエンジンシェイク振動が発生したとき、エンジンからダイヤフラム支持ボス20および第1弾性体支持ボス18を介して入力される荷重で第1弾性体19が変形して第1液室30の容積が変化すると、連通路32を介して接続された第1液室30および第3液室35間で液体が行き来する。第1液室30の容積が拡大・縮小すると、それに応じて第3液室35の容積が縮小・拡大するが、この第3液室35の容積変化はダイヤフラム22の弾性変形により吸収される。このとき、連通路32の形状および寸法、並びに第1弾性体19のばね定数は前記エンジンシェイク振動の周波数領域で低ばね定数および高減衰力を示すように設定されているため、エンジンから車体フレームに伝達される振動を効果的に低減することができる。
尚、上記エンジンシェイク振動の周波数領域では、アクチュエータ41は非作動状態に保たれる。
前記エンジンシェイク振動よりも周波数の高い振動、即ちエンジンのクランクシャフトの回転に起因するアイドル時の振動や気筒休止時の振動が発生した場合、第1液室30および第3液室35を接続する連通路32内の液体はスティック状態になって防振機能を発揮できなくなるため、アクチュエータ41を駆動して防振機能を発揮させる。
能動型防振支持装置Mのアクチュエータ41を作動させて防振機能を発揮させるべく、電子制御ユニットUはクランクパルスセンサSaからの信号に基づいてボビンレスコイル46に対する通電を制御する。
即ち、図4のフローチャートにおいて、先ずステップS1でクランクパルスセンサSaからクランクアングルの15°毎に出力されるクランクパルスを読み込み、ステップS2で前記読み込んだクランクパルスを基準となるクランクパルス(特定のシリンダのTDC信号)と比較することでクランクパルスの時間間隔を演算する。続くステップS3で前記15°のクランクアングルをクランクパルスの時間間隔で除算することでクランク角速度ωを演算し、ステップS4でクランク角速度ωを時間微分してクランク角加速度dω/dtを演算する。続くステップS5でエンジンのクランクシャフト回りのトルクTqを、エンジンのクランクシャフト回りの慣性モーメントをIとして、
Tq=I×dω/dt
により演算する。このトルクTqはクランクシャフトが一定の角速度ωで回転していると仮定すると0になるが、膨張行程ではピストンの加速により角速度ωが増加し、圧縮行程ではピストンの減速により角速度ωが減少してクランク角加速度dω/dtが発生するため、そのクランク角加速度dω/dtに比例したトルクTqが発生することになる。
続くステップS6で時間的に隣接するトルクの最大値および最小値を判定し、ステップS7でトルクの最大値および最小値の偏差、つまりトルクの変動量としてエンジンを支持する能動型防振支持装置Mの位置における振幅を演算する。そしてステップS8で、アクチュエータ41のボビンレスコイル46に印加する電流のデューティ波形およびタイミング(位相)を決定する。
しかして、エンジンが車体フレームに対して下向きに移動し、第1弾性体19が下向きに変形して第1液室30の容積が減少したとき、それにタイミングを合わせてアクチュエータ41のボビンレスコイル46を励磁すると、エアギャップgに発生する吸着力で可動コア54が固定コア42に向けて下向きに移動し、可動コア54にロッド55を介して接続された可動部材28に引かれて第2弾性体27が下向きに変形する。その結果、第2液室31の容積が増加するため、エンジンからの荷重で圧縮された第1液室30の液体が隔壁部材29の連通孔29aを通過して第2液室31に流入し、エンジンから車体フレームに伝達される荷重を低減することができる。
続いてエンジンが車体フレームに対して上向きに移動し、第1弾性体19が上向きに変形して第1液室30の容積が増加したとき、それにタイミングを合わせてアクチュエータ41のボビンレスコイル46を消磁すると、エアギャップgに発生する吸着力が消滅して可動コア54が自由に移動できるようになるため、下向きに変形した第2弾性体27が自己の弾性復元力で上向きに復元する。その結果、第2液室31の容積が減少するため、第2液室31の液体が隔壁部材29の連通孔29aを通過して第1液室30に流入し、エンジンが車体フレームに対して上向きに移動するのを許容することができる。
このように、エンジンの振動の周期に応じてアクチュエータ41のボビンレスコイル46を励磁および消磁することで、エンジンの振動が車体フレームに伝達するのを防止する能動的な制振力を発生させることができる。
またボビンを持たないボビンレスコイル46を採用したことにより部品点数およびコストの削減が可能になるだけでなく、ボビンに相当する内径ガイド部46aによりコイル本体部46bの導線45bの巻回形状を安定させることができ、しかもボビンを廃止した分だけボビンレスコイル46の内径を小さくすることができる。ボビンレスコイル46の内径が小さくなると、必要な巻数を確保するための導線45a,45bの長さが短くて済み、ボビンレスコイル46の抵抗およびインダクタンスが減少して電流応答性が向上する。更に、内径ガイド部46aの導線45aだけを接着し、コイル本体部46bの導線45bを接着する必要がないため、接着剤62の使用量や加工工数を削減することができる。
次に、図5に基づいて本発明の第2の実施の形態を説明する。
第1の実施の形態のボビンレスコイル46の内径ガイド部46aの導線45aには丸線が使用されているが、第2の実施の形態の導線45aには矩形断面の平角線が使用されている。導線45aに平角線を採用したことにより、導線45a間の接着面積を充分に確保して内径ガイド部46aの強度を高め、かつ導線45a間の隙間を減少させて占積率を高めることができる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、実施の形態では能動型防振支持装置Mのボビンレスコイル46を例示したが、本発明のボビンレスコイルは他の任意の用途に適用することができる。
45a 導線
45b 導線
46a 内径ガイド部
46b コイル本体部
62 接着剤

Claims (2)

  1. 円筒状に巻回した導線(45a)を接着剤(62)で固めて内径ガイド部(46a)を構成する第1工程と、
    内径ガイド部(46a)をガイドにしてその外周に導線(45b)を巻回してコイル本体部(46b)を構成する第2工程と、
    を備えたことを特徴とするボビンレスコイルの製造方法。
  2. 内径ガイド部(46a)を構成する導線(45a)が平角線であることを特徴とする、請求項1に記載のボビンレスコイルの製造方法。
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