JP2011129753A - ラミネート装置及びラミネート方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ラミネート処理する基板の上下面の間に生じる温度差を解消または抑制してダイヤフラムの損傷発生を緩和でき、しかも、タクトタイムが短く生産性の高いラミネート装置を提供する。
【解決手段】熱板22を備えた下部チャンバ20とダイヤフラムシート11を備えた上部チャンバ30とを密着させて形成された真空室内で熱板22上に基板Pを載置し、熱板22により加熱された状態でダイヤフラムシート11に作用する大気圧の押圧を受ける基板Pの表面に接着充填シート材を介してフィルム状のバックシート材を貼り付けて封止処理をするラミネート処理が行われるラミネート装置10において、上部チャンバ30が、ラミネート処理の中断時に全開途中位置まで上昇して、ダイヤフラムシート11から熱板22までの距離を所定の保温距離に維持するダイヤフラム保温位置を備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、太陽電池モジュール基板のラミネート装置及びラミネート方法に関する。
従来、太陽電池の製造過程においては、太陽電池モジュール基板(以下、「基板」と呼ぶ)をラミネート装置に搬入し、基板表面に接着充填シート材を介してフィルム状のバックシート材を貼り付けて封止処理をするラミネート処理が行われている。このようなラミネート処理を行うラミネート装置は、基板をラミネートする際、搬送されてきた基板を所定の温度に保持された熱板の上に載置して加熱し、接着充填シート材の架橋を進めるとともに、基板とバックシート材とをプレス押圧してバックシート材を密着させる。このため、基板の下面側は熱板によって直接加熱されるが、基板の上面側は基板を介した伝熱によって加熱されることとなるので、基板の面内温度分布だけでなく、基板厚み方向の温度分布を生じ、ラミネート処理における課題が発生する要因の一つとなっている。
なお、ラミネート処理に使用する接着充填シート材としては、エチレン酢酸ビニル―共重合体(EVA)や、エチレン―酢酸ビニル―トリアリルイソシアヌレート3元重合架橋物(EVAT)を主成分とするものが知られている。
太陽電池モジュールの基板をラミネート処理する封止方法に関する従来技術としては、基板の板厚方向の温度分布対策として、基板をラミネート装置に搬入する前に、ラミネート装置の上部チャンバにあるダイヤフラムを膨張させて、ラミネート用の熱板(ヒータが設けられた載置板)にダイヤフラムを直接接触させて予熱することが知られている。このような予熱を行うことにより、ダイヤフラムの温度が上昇して、基板の熱板に接する面側とダイヤフラムによってプレスされる面側との間に、大きな温度差が生じるのを防止できるようになり、従って、温度差による基板に反りが発生し、ラミネートの加圧工程でダイヤフラム内を加圧し基板をプレスする時に基板の端部を損傷させることや、基板の加熱温度が不均一になることを抑制できる。(たとえば、特許文献1参照)
特開2000−349309号公報
上述したように、ラミネート装置の加熱過程においては、基板を熱板の上に載置して、基板の下面側より加熱するので、基板の上面と下面との間に温度差が生じ、この温度差により基板に反りが生じやすくなる。特に1mを越える大面積基板においては、板厚も約3mm以上を採用することが一般的であるため、基板板の上面と下面との間の温度差による基板端部での反り量は数mm〜数10mmとなる場合がある。
また、このような反りは、基板への伝熱を不均一にするので、結果として基板面内に温度分布が形成される。このような基板面内の温度分布は、EVAが部分的に架橋不良になる原因となるため、基板裏面の密閉性に対する信頼を低下させ、あるいは、バックシートに皺が生じて製品の外観に不良を生じさせるなど、製品としての価値が損なわれてしまうことがある。
さらに、基板が大きく反ったままラミネートの加圧作業を開始すると、基板端部またはダイヤフラムが損傷する場合もあり、対策が必要とされている。
一方、特許文献1に記載されているように、連続運転時に膨張させたダイヤフラムを熱板に直接接触させる工程を入れると、ダイヤフラムの温度が上昇して基板上下面の間の温度差の問題は解消する方向へ向かうものの、生産タクトタイムが長くなって生産性を低下させるという問題を有している。
また、発明者らによる詳細な観察により、ラミネート装置の連続運転時においてはダイヤフラム表面温度が比較的高い(たとえば約140℃以上)状況を維持していることが判明した。このようなラミネート装置の運用では、特許文献1のようなダイヤフラムの予熱工程を入れずに引き続きラミネート処理を実施しても、ラミネート工程全般において基板反りの発生に起因する問題はなかった。しかし、このようなラミネート装置の運用においても、ロット間隔があいて長時間ラミネート処理を中断した後に連続運転を再開すると、ダイヤフラムに損傷が発生するという問題を生じていることも判明した。
この問題の要因として、ダイヤフラムの損傷の問題は、基板上面にあるダイヤフラムの温度や上部チャンバの温度など、熱板からの伝熱状態に関係があるとの予想に基づき、ラミネート工程を詳細に分析したところ、ダイヤフラムや上部チャンバの温度低下を所定の温度以下にならないように抑制することにより、ダイヤフラムの損傷発生が緩和されるという知見を得た。
すなわち、ラミネート処理を中断した場合には、この間にダイヤフラムの表面温度が下がり、基板はプレス圧のない状態で熱板と接触して加熱され始め、熱板からの熱流束により基板の上下面(表裏面)の間に温度差を生じ、この温度差による基板の反りが発生するものと推測される。従って、その後の工程で反りを生じた基板(反り基板)をプレスする際には、反り基板の端部がダイヤフラム表面に損傷を与えることがあり、基板上下面の間の温度差低減がダイヤフラムの損傷発生を緩和するために重要である。
このような背景から、中断後に再開されるラミネート処理において、基板上下面の間の温度差を低減してダイヤフラムの損傷発生を緩和することが必要である。しかも、たとえば上述した特許文献1に記載された従来技術のように、ダイヤフラムを熱板に接触させて予熱するための追加工程(すなわち、上チャンバ閉/ダイヤフラム内加圧膨張/上チャンバ開の動作)に要する時間を不要とし、タクトタイムが短く生産量の向上及び生産コストの削減に有効なラミネート装置の温度差解消対策が望まれる。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、特にラミネート処理の中断後に再開されるラミネート処理において、ラミネート処理する基板の上下面の間に生じる温度差を低減してダイヤフラムの損傷発生を緩和でき、しかも、タクトタイムが短く生産性の高い太陽電池モジュール基板のラミネート装置及びラミネート方法を提供することにある。
本発明は、上記の課題を解決するため、下記の手段を採用した。
本発明に係るラミネート装置は、所定温度に保持された熱板を備えた下部チャンバとダイヤフラムを備えた上部チャンバとを密着させて形成された真空室内で前記熱板上に基板を載置し、前記熱板により加熱された状態で前記ダイヤフラムに作用する大気圧の押圧を受ける前記基板の表面に接着充填シート材を介してフィルム状のバックシート材を貼り付けて封止処理をするラミネート処理が行われるラミネート装置において、前記上部チャンバが、前記ラミネート処理の中断時に全開途中位置に停止し、前記ダイヤフラムから前記熱板までの距離Hを前記ダイヤフラムが所定の温度より低下しないように選定した保温距離に維持するダイヤフラム保温位置を備えていることを特徴とするものである。
このようなラミネート装置によれば、前記ラミネート処理の中断時に全開途中位置に停止し、前記ダイヤフラムから前記熱板までの距離Hを前記ダイヤフラムが所定の温度より低下しないように選定した保温距離に維持するダイヤフラム保温位置を備えているので、ラミネート処理が長く中断するような場合であっても、全開位置より近い位置にある熱板の熱により、ダイヤフラムの表面温度が低下するのを防止し、熱板とダイヤフラムの表面温度との間に生じる温度差を抑制することができる。
上記の発明において、前記保温距離は、前記熱板の温度と前記ダイヤフラムの表面温度との間に生じる温度差を許容値以下に維持する値に設定されることが好ましく、これにより、熱板とダイヤフラムの表面温度との間に生じる温度差が許容値以上に大きくなることはない。この場合の許容値(許容温度差)は、基板の反り量がダイヤフラムに損傷を与えない範囲内に収まるように、諸条件を考慮し規定すればよい。
また、前記上部チャンバの前記ダイヤフラム保温位置への移動は、前記ラミネート処理の中断時に所定の待機時間、すなわち最後にラミネート処理された基板が搬出された後に所定の中断時間を経過した時点で開始されることが好ましく、これにより、ダイヤフラムの保温を待機時間のみにより管理することができる。
上記のラミネート装置は、前記上部チャンバの周囲で前記下部チャンバに向けって設置した放熱防止用の囲い部材を備えていることが好ましく、これにより、上部チャンバが上昇した状態でチャンバ内から外部への放熱を防止または抑制することができる。
また、上記のラミネート装置は、前記上部チャンバの外表面に取り付けた保温材を備えていることが好ましく、これにより、上部チャンバ及びダイヤフラムから外部へ放熱される熱量を低減することができる。
本発明のラミネート方法は、所定温度に保持された熱板を備えた下部チャンバとダイヤフラムを備えた上部チャンバとを密着させて形成された真空室内で前記熱板上に基板を載置し、前記熱板により加熱された状態で前記ダイヤフラムに作用する大気圧の押圧を受ける前記基板の表面に接着充填シート材を介してフィルム状のバックシート材を貼り付けて封止処理をするラミネート処理を行うラミネート方法において、前記ラミネート処理の中断時に前記上部チャンバを全開途中位置に停止させ、前記ダイヤフラムから前記熱板までの距離Hを前記ダイヤフラムが所定の温度より低下しないように選定した保温距離に設定して維持するダイヤフラム保温工程を備えていることを特徴とするものである。
このようなラミネート方法によれば、ラミネート処理の中断時に上部チャンバを全開途中位置に停止させ、ダイヤフラムから熱板までの距離Hをダイヤフラムが所定の温度より低下しないように選定した保温距離に設定して維持するダイヤフラム保温工程を備えているので、ラミネート処理が長く中断するような場合であっても、熱板の熱によりダイヤフラムの表面温度が低下するのを防止し、熱板とダイヤフラムの表面温度との間に生じる温度差を抑制することができる。
この場合の保温距離は、熱板の温度とダイヤフラムの表面温度との間に生じる温度差を許容値以下に維持する値に設定されることが好ましい。
また、上部チャンバのダイヤフラム保温位置への移動は、所定の待機時間を経過した時点で開始されることが好ましい。
本発明のラミネート方法は、熱板を備えた下部チャンバとダイヤフラムを備えた上部チャンバとを密着させて形成された真空室内で前記熱板上に基板を載置し、前記熱板により加熱された状態で前記ダイヤフラムに作用する大気圧の押圧を受ける前記基板の表面にフィルム状の封止材を貼り付けて封止するラミネート処理が行われるラミネート方法において、装置起動時に、熱伝導率の高い及び/または熱膨張率の小さいダミー基板を用意し、該ダミー基板を最初に処理して前記ダイヤフラムの表面温度を昇温させる空運転が行われることを特徴とするものである。
このようなラミネート方法によれば、装置起動時に、熱伝導率の高い及び/または熱膨張率の小さいダミー基板を用意し、該ダミー基板を最初に処理してダイヤフラムの表面温度を昇温させる空運転が行われるので、空運転中に熱板からダミー基板を介してダイヤフラムが加熱されることにより、ダイヤフラムの表面温度を連続運転時と同等の温度まで速やかに昇温させることができる。
上記の発明において、前記ダミー基板は、端部及び周辺の角部がR加工されていることが好ましく、これにより、ダミー基板に多少の反りを生じてもダイヤフラムに損傷を与えることはない。
また、上記の発明において、前記ダミー基板は、複数に分割した部材の端部間に隙間を設けて緩衝材により接合されていることが好ましく、これにより、素材の熱膨張を吸収して基板全体の反りを軽減することができる。
本発明のラミネート方法は、所定温度に保持された熱板を備えた下部チャンバとダイヤフラムを備えた上部チャンバとを密着させて形成された真空室内で前記熱板上に基板を載置し、前記熱板により加熱された状態で前記ダイヤフラムに作用する大気圧の押圧を受ける前記基板の表面に接着充填シート材を介してフィルム状のバックシート材を貼り付けて封止処理をするラミネート処理が行われるラミネート装置において、前記ラミネート処理時には、前記ダイヤフラムによる押圧前に前記基板を支持するとともに上下方向に可動するリフトピンで押し上げて前記基板と前記熱板との間に隙間を設けることで、前記基板が前記熱板から直接加熱を受ける時間を短縮して、前記基板の加熱速度を緩やかにしたことを特徴とするものである。
このようなラミネート方法によれば、ラミネート処理時には、ダイヤフラムによる押圧前に基板を支持するとともに上下方向に可動するリフトピンで押し上げて基板と熱板との間に隙間を設けることで、基板が熱板から直接加熱を受ける時間を短縮して、基板の加熱速度を緩やかにしので、加熱量が大きい直接加熱の開始と略同時にダイヤフラムによる押圧が開始されるため、基板の反りを最小限に抑えることができる。
本発明のラミネート方法は、所定温度に保持された熱板を備えた下部チャンバとダイヤフラムを備えた上部チャンバとを密着させて形成された真空室内で前記熱板上に基板を載置し、前記熱板により加熱された状態で前記ダイヤフラムに作用する大気圧の押圧を受ける前記基板の表面にフィルム状のバックシート材を貼り付けて封止処理するラミネート処理が行われるラミネート装置において、前記ラミネート処理時に、前記ダイヤフラムを加熱しながら押圧する前に、前記ダイヤフラムを押圧しない状態で前記基板に接触させるダイヤフラム加熱工程を設けたことを特徴とするものである。
このようなラミネート方法によれば、ラミネート処理時に、ダイヤフラムを加熱しながら押圧する前に、ダイヤフラムを押圧しない状態で基板に接触させるダイヤフラム加熱工程を設けたので、ダイヤフラムは基板を介して熱板の加熱を受ける。従って、ダイヤフラム加熱工程では、ダイヤフラムを損傷させることなく加熱して反りの原因となる温度差をなくすことができる。
上述した本発明によれば、ラミネート処理が中断した場合に生じる基板上下面の間の温度差を低減し、この温度差により生じる基板の反りとの干渉に起因してダイヤフラムが損傷することを防止または抑制できる。しかも、通常のラミネート処理を行う連続運転時においては、たとえばダイヤフラムを毎回熱板に接触させて予熱するための工程が不要であり、従って、タクトタイムが短く生産量の向上及び生産コストの削減に有効なラミネート装置及びラミネート方法となる。
すなわち、本発明によれば、ラミネート処理を行う基板の上下面の間に生じる温度差を低減し、基板の反りによるダイヤフラムの損傷発生を緩和できるとともに、タクトタイムが短く生産性の高い太陽電池モジュール基板のラミネート装置及びラミネート方法を提供するという顕著な効果が得られる。
特に1mを越える大面積基板、板厚も約3mm以上の基板を採用する場合には、基板上下面の間の温度差により生じる基板の反りは大きくなるため、より顕著な効果が得られる。
本発明に係るラミネート装置の一実施形態を示す概略構成図である。 本発明に係るラミネート方法の一実施形態として、図1に示すラミネート装置を用いてラミネート処理を行う手順を示す工程図である。 図2に示すラミネート処理の工程に対応するタイムチャート図である。 基板裏表温度差(横軸)と基板の凸変計量(縦軸)との関係について、基板幅Wが異なる4種類の違いを示す図(グラフ)である。 基板搬出後の経過時間(横軸)とダイヤフラム表面温度(縦軸)との相関関係を示す図(グラフ)である。 時間(横軸)と基板温度(縦軸)及び裏表温度差(縦軸)との関係を示す図(グラフ)である。 本発明の第5の実施形態に係るラミネート装置の概要を示す図で、(a)は外観斜視図、(b)は(a)のA−A断面図である。 ダミー基板の一例を示す図で、(a)は外観斜視図、(b)は(a)のB−B断面図である。 ダミー基板の変形例を示す図で、(a)は外観斜視図、(b)は(a)のC部拡大図である。
以下、本発明に係る太陽電池モジュール基板のラミネート装置及びラミネート方法の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すラミネート装置10は、たとえば透光性基板に形成した薄膜太陽電池の製造過程において、光電変換層の形成・レーザエッチングによる集積化などにより製造された太陽電池モジュール基板(以下、「基板」と呼ぶ)Pに、集電用銅箔や絶縁シートなどの配置を行い、この基板の薄膜太陽電池形成側の表面にEVAシート等の接着充填シートを介してフィルム状のバックシート材を貼り付けて封止処理をするラミネート処理を行うものを例示している。バックシートは、防水防湿効果が高いようにPETシート/AL箔/PETシートの3層構造よりなる。
このラミネート装置10は、下部チャンバ20と、上部チャンバ30と、上部チャンバ30とともに上下動するダイヤフラムシート(ダイヤフラム)11とを備えている2層真空チャンバ方式の装置である。この場合の上部チャンバ30は、たとえば油圧または空気圧で動作するシリンダ12等の駆動手段によって、図中に示す白抜矢印Yの方向に上下動するようになっている。
図示のラミネート装置10は、上部チャンバ30を下降させて下部チャンバ20に密着させることにより、両チャンバ間に下室13a及び上室13bよりなる真空室13(図2参照)の空間が形成される。このうち、一方の下室13aは、下部チャンバ20とダイヤフラムシート11とにより規定され、他方の上室13bは、上部チャンバ30とダイヤフラムシート11とにより規定されている。すなわち、下部チャンバ20及び上部チャンバ30を密着させて形成される真空室13は、ダイヤフラムシート11により下室13a及び上室13bに二分割されている。なお、下部チャンバ20の継手フランジ部20aと上部チャンバ30の継手フランジ部30aとは、互いに密着して真空室13を形成する際、図示しないシールリングを介して連結される。
下部チャンバ20には、凹部21が形成されている。凹部21の底面上には、基板搬送ベルト14で搬送した基板Pを載置するため、熱板22が設置されている。なお、基板Pの搬送方向は、図2内に白抜矢印Xで示されている。
この熱板22は、下面側に図示しない電源と接続されたヒータ23を備え、上面側に複数のリフトピン24を備えている。なお、熱板22の基板載置面22aは、下部チャンバ20に形成した継ぎ手フランジ部20aの上面(継ぎ手フランジ部30aとの密着面)と略同一面高さとされ、基板Pの搬入・搬出を容易にしている。熱板22の下面側は図示しない支持部材により凹部21の底面上に固定されている。
また、下室13aを形成する下部チャンバ20には、それぞれ開放弁25a,26aを備えた真空排気用の下部排気通路25及び大気開放用の下部大気ベント26の入口が開口している。なお、下部排気通路24は図示しない真空排気ポンプに連通し、下部大気ベント25は大気に連通している。
上部チャンバ30には、下部チャンバ20と逆向きの凹部31が形成されている。上室13bを形成する上部チャンバ30には、それぞれ開放弁32a,33aを備えた真空排気用の上部排気通路32及び大気開放用の上部大気ベント33の入口が開口している。なお、上部排気通路32は、下部排気通路25とは異なる真空排気ポンプ(不図示)に連通し、上部大気ベント33は大気に連通している。
この結果、上部チャンバ30を降下させて真空室13を形成した状態では、排気通路側の開放弁25a,32aを開とし、大気ベント側の開放弁26a,33aを閉とすることにより、下室13a及び上室13bは、それぞれ下部排気通路25及び上部排気通路32を介して、別々の真空排気ポンプにより個別の真空排気が可能となっている。また、排気通路側の開放弁25a,32a及び大気ベント側の開放弁26a,33aを開閉操作することにより、真空排気及び大気開放の切り替えが可能となっている。
ダイヤフラムシート11は、周縁部が上部チャンバ30の継手フランジ部30a付近に図示しない構造を伴って上部チャンバ30の内壁面に密着固定していて、上部チャンバ30とダイヤフラムシート11により密閉空間を構成できる。
また、図中の符号15は離型シートであり、基板Pとダイヤフラムシート11との間に介在させてラミネート処理を行うことにより、基板Pから溶出したEVAがダイヤフラムシート11に付着することを防止するとともに、ラミネート処理完了後の基板Pをダイヤフラムシート11から容易に分離させることができる。
次に、図2に示す工程図及び図3のタイムチャート図を参照しながら、ラミネート処理の対象ワークである基板Pのラミネート処理工程(処理手順)を説明する。ここでラミネート装置10の熱板22へ搬送されてラミネート処理を行う基板Pは、ガラス、ガラスの片面に形成した光電変換電池膜、EVA及びバックシートなどにより構成されている。すなわち、ラミネート装置10に搬送される基板10は、ガラス面を下面側として、光電変換電池膜側にEVAシートを載せ、バックシートを載せたものである。
なお、図3のタイムチャート図において、PUは上部チャンバ圧力(気圧)、PLは下部チャンバ圧力(気圧)、Thは熱板温度(℃)、Tpは基板温度(℃)、Tdはダイヤフラム表面温度(℃)、Hdはダイヤフラム高さ(mm)であり、横軸のA〜Gは以下に説明する工程(A)〜工程(G)に対応している。
最初の工程(A)は、基板Pを熱板22まで基板搬送ベルト14で矢印方向:Xへ搬送し、基板載置面22a上の所定位置に載置する基板搬入の工程である。この工程(A)では、上部チャンバ30がシリンダ12に押し上げられて下部チャンバ20から分離した全開状態(全開位置の状態)にあり、下部排気通路25、下部大気ベント26、上部排気通路32及び上部大気ベント33は、いずれも開放弁25a,26a,32a,33aが黒塗りで示す閉じられた状態にある。従って、上部チャンバ圧力PU及び下部チャンバ圧力PLはいずれも1気圧(大気圧)となり、ダイヤフラム高さHdは、熱板22から最も離間した最大値(この場合は300mm)となっている。
また、熱板22及び基板載置面22aは、熱板22の加熱領域内で適宜複数に分割したヒータ23へ通電することにより、所定温度(たとえばTh=160℃程度)まで加熱されていて、熱板22に設置した複数の熱電対の温度計測結果にもとづいて熱板面内の温度が所定値で均一になるよう、たとえばPID制御によりコントロールされる。
以下の説明では、開放弁25a,26a,32a,33aの開閉状態について、閉状態を図中に黒塗りで示し、開状態を図中に白抜きで示す。
なお、この場合の基板搬入は、通常の連続運転時において、ラミネート処理が完了した基板搬出と同時に実施される。
次の工程(B)は、シリンダ12の動作により上部チャンバ30が全開位置から降下して下部チャンバ20に密着した状態(真空室13を形成した状態)となる。一方、基板Pは、リフトピン24が突出して「出」の状態となるため、基板載置面22a上から持ち上げられている。この工程(B)でリフトピン24が基板Pを持ち上げるのは、基板Pが熱板22からの加熱を直接受けず、基板Pへの加熱速度を緩やかにするためである。こうして基板Pの下面から上面に向かう熱流束を抑えるとともに基板P内部の熱伝導による温度均一化により、基板Pは大きな反りを生じることなく、熱板22により予熱される。
さらに、下部排気通路25及び上部排気通路32の開放弁25a,32aを開とし、下室13a及び上室13bの真空引きが行われる。この結果、上部チャンバ圧力PU及び下部チャンバ圧力PLは、いずれも0気圧まで低下して真空室13が形成されて、基板PとEVAとバックシートとの間に存在する空気を脱気する。
次の工程(C)では、リフトピン24を下げることにより、基板Pを熱板22の基板載置面22aに載置している。この接触状態を所定時間(たとえば60秒程度)継続して加熱することにより、基板P及びEVAシートを予熱し、相互の熱伸縮差を小さくことができる。なお、この工程(C)では、下部排気通路25及び上部排気通路32の開放弁25a,32aを開とし、上述した工程(B)から継続して下室13a及び上室13bの真空引きが行われているので、真空室13が形成されている。
次の工程(D)では、上室13bを大気開放してプレスを開始する。すなわち、上部排気通路32の開放弁32aを閉じるとともに、上部大気ベント33の開放弁33aを開くことにより、ダイヤフラムシート11に大気圧が作用するので、基板Pの大気圧による加圧と本格昇温とが同時に実施される。換言すれば、大気圧の上室13bが真空の下室13aより高圧になるので、その差圧によりダイヤフラムシート11が基板Pを基板載置面22aの方向に押圧してプレスする。
このようにして加圧・昇温することにより、EVAシートは均一に加熱され、架橋状態のばらつきを抑制して、実質的に均一な熱変化をして基板PとEVAとバックシートと一体化する。
次の工程(E)では、上述した工程(D)のプレスを所定時間実施した後、プレス完了として下室13aを大気開放する。すなわち、上部排気通路32及び下部排気通路25の開放弁32a,25aをともに閉とし、かつ、上部大気ベント33及び下部大気ベント26の開放弁33a,26aをともに開くことにより、上室13b及び下室13aがいずれも大気圧となる。この結果、上室13b及び下室13aの差圧がなくなってダイヤフラムシート11によるプレス状態は終了し、基板Pのラミネート処理が完了する。
次の工程(F)では、上部チャンバ30がシリンダ12に押し上げられて下部チャンバ20から分離した全開状態となり、ラミネート処理が完了した基板Pを基板搬送ベルト14で搬出する。このとき、通常の連続運転時においては、ラミネート処理が完了した基板Pの搬出と同時に、上述した工程(A)の基板搬入が実施されて処理速度を向上する。
以下、上述した工程(A)〜工程(F)を繰り返すことにより、基板Pのラミネート処理を連続して順次実施することができる。
このように、ラミネート装置10を用い、基板Pを連続してラミネート処理する場合には、基板Pの上下面の間に大きな温度差が生じて反りを生じる心配はないことを確認した。通常の連続運転時における温度差の一例を示すと、上部チャンバ30の内部温度を代表するダイヤフラムシート11の表面温度は140〜150℃程度であり、160℃程度に設定される熱板22の温度との温度差は10〜20℃程度となる。この程度の温度差は、基板Pの上下面の間に大きな温度差が生じるに至らない。ダイヤフラムシート11の温度は予熱等をせずに連続してラミネート処理を実施していれば維持することが可能であり、従って、ダイヤフラムシート11への損傷もなく、安定したEVAシートの架橋が行われている。
しかし、トラブル発生や生産計画によるロット待ち等により、ラミネート装置10によるラミネート処理を停止して1時間以上の待機時間が生じると、このような停止時間中には熱板22から離間したダイヤフラムシート11がほとんど加熱を受けずに放熱する状態となり、この結果、ダイヤフラムシート11の表面温度は、時間が経過するにつれて、たとえば50℃程度まで低下する。
このため、ダイヤフラムシート11の表面温度が低下した状態でラミネート処理を再開すると、上述した工程(C)においては、基板Pがダイヤフラムシート11によるプレス圧のない状態で160℃程度の熱板22からの加熱を受けて、熱板22からの熱流束により基板Pの上下面の間に10〜20℃程度の温度差が生じ、この温度差によって基板Pに凹形の反りが発生する。すなわち、基板Pは熱板22からの伝熱を得て基板Pの下面側の温度が上面側よりも高くなるので、下面側の熱膨張が大きくなり、従って、たとえば1400mm×1100mm×t4mmの基板Pの場合、周辺部は概ね5〜10mm程度反り上がる。
従って、その後の工程(D)では、基板Pの端部が上方へ反った状態にあり、このような反りのある基板Pをプレスする際には、反りを生じた基板Pの端部がダイヤフラムシート11の表面に損傷を与える原因となる。
そこで、ラミネート処理の中断時間において、ダイヤフラムシート11が温度低下して熱板22との間に生じる温度差については、以下に説明する各実施形態により低減し、ラミネート処理する基板Pの上下面の間に生じる温度差を最小限に抑えてダイヤフラムシート11に発生する損傷を緩和する。
<第1の実施形態>
上述したように、上述したラミネート装置10においては、長時間ラミネート処理を行わないと、ダイヤフラムシート11の温度が低下していく。なお、本実施形態では、ラミネート装置10が取り扱う基板Pのサイズについて、比較的大型の1400mm×1100mm×t4mmとする。
そこで、本発明者等は、このような温度低下時において、ダイヤフラムシート11の表面温度と、ラミネート処理時にダイヤフラムシート11に発生する損傷の有無とのデータ取得を重ねたところ、熱板22とダイヤフラムシート11の表面温度との温度差が関与していることが判明し、この温度差は90℃以下ならば損傷が生じにくく、110℃以上であれば損傷が生じ易いとの知見を得た。
基板Pは、図4に示すように、そのサイズ(基板幅W)が大きくなると、上述した反り量(凸変形量)は益々大きくなる。
たとえば基板Pのサイズを1400mm×1100mm×t4mmとした場合、基板Pの反り量をダイヤフラムシート11に損傷が生じない、あるいは生じにくいと考えられる値(たとえば10mm以内)とするには、基板表裏の温度差を20℃以下とすることが望ましい。すなわち、熱板22とダイヤフラムシート11の表面温度との温度差は、図4に示す特性より、明らかに小さくすることが望ましい。
このため、上記の結果から、ダイヤフラムシート22の表面温度(規定温度)を70℃以上に、すなわち、160℃の熱板22との温度差(許容温度差)が90℃以下となるように管理することが望ましいと考えられる。
そこで、連続運転の再開前には、ダイヤフラムシート11の表面温度が低下して70℃以下とならないようにするため、ダイヤフラムシート11から熱板22までの距離を、通常300mmあるところを150〜200mm程度まで接近させる。これは、少し下方向へ撓んだ離型シート15と熱板22とが接触しない距離でもある。
この処置により、ダイヤフラムシート11及び上部チャンバ30の温度低下を抑え、図2に示す(B)工程の加熱時に熱板22から基板Pを介してダイヤフラムシート11側へ大きな熱流束が生じないようにすることで、連続運転再開時も予熱作業をすることなく効率的に運転を再開できる。
すなわち、図2に示す(G)工程のように、ラミネート処理が行われない待機時、あるいはラミネート処理の連続運転再開時における(A)工程前には、シリンダ12の動作により上部チャンバ30を所定量だけ降下させ、ダイヤフラムシート11から熱板22までの距離Hを、上述した150〜200mm程度まで接近させるダイヤフラム保温工程を実施する。換言すれば、上述した構成のラミネート装置10は、上部チャンバ30が、ラミネート処理の中断時に全開途中位置に停止し、ダイヤフラムシート11から熱板22までの距離Hを所定の保温距離に維持するダイヤフラム保温位置を備えている。
このようなダイヤフラム保温工程及びダイヤフラム保温位置は、たとえばラミネート処理が所定時間以上継続して行われない場合など、図示しない制御部が判断して自動的に実施してもよいし、あるいは、オペレータが判断して手動操作により実施するようにしてもよい。
このようなダイヤフラム保温工程は、通常のラミネート処理を行う連続運転には実施不要の工程であり、従って、ダイヤフラムシート11を熱板22に接触させて予熱する場合に必要となる従来技術の動作(工程)、すなわち上部チャンバ30を閉/ダイヤフラムシート11の膨張/上部チャンバ30を開の動作時間を省略できる。この結果、本発明のラミネート装置10が通常のラミネート処理に要するタクトタイムは、予熱工程を設けた従来技術と比較して、少なくとも1バッチ当たり1分以上短くなるので、生産量の向上と生産コストの削減が可能となる。
ところで、上述したラミネート装置10は、上部チャンバ30及びダイヤフラムシート11がダイヤフラム保温位置に停止するダイヤフラム保温工程において、ダイヤフラムシート11から熱板22までの距離Hが、熱板22の温度、基板Pのサイズ(縦横の寸法や厚さ)、基板Pやダイヤフラムシート11等の部材により異なる比熱、基板Pの熱膨張率等の諸条件により定まる許容温度差を得て、この許容温度差を保つように設定されればよい。
<第2の実施形態>
上述したラミネート装置10の運用時には、ダイヤフラムシート11が膨張及び収縮を繰り返すため、ダイヤフラムシート11の表面温度について、実際の温度変化(実測値)を正確に把握することは容易ではない。
そこで、図5に示すように、予め予測しておいた待機時間(横軸)と、ダイヤフラムシート11のダイヤフラム表面温度(縦軸)との関係を把握しておくことが望ましい。図5に示すグラフは、図2の(F)工程においてラミネート処理を完了した基板Pの搬出完了時点(搬出後45秒経過)を待機時間のスタート基準(0分)とし、搬出後の時間経過に伴うダイヤフラム表面温度の変化を計測したものであり、「連続運転後」及び「チャンバ接近後」の場合について示されている。
この場合、一方の「連続運転後」は、図2に示す(A)工程の状態(上部チャンバ20を通常の位置まで押し上げた状態)でヒータに通電しながら放置して温度変化を計測したものであり、他方の「チャンバ接近後」は、基板搬出直後に上部チャンバ20を上述した距離Hとなる高さまで降下させることにより、図2に示す(G)工程のダイヤフラム保温工程を実施して温度変化を計測したものである。
図5により、待機時間が約25経過すると、ダイヤフラム表面温度は規定の70℃以下になる。また、上部チャンバ20を上述した距離Hとなる高さまで降下させるとダイヤフラム表面温度は規定の70℃以上に維持が可能である。従って、少なくとも待機時間30分後にダイヤフラム保温工程を開始することで、「連続運転後」の温度変化を、一時的に規定温度である70℃以下になるものの、その後は熱板22からの伝熱を受けて、規定温度である70℃以上になるよう設定される。
このようにすれば、上部チャンバ30及びダイヤフラムシート11がダイヤフラム保温位置に停止するダイヤフラム保温工程の実施を待機時間のみで管理できるので、ラミネート装置10のオペレータが容易に判断して対応することができる。また、待機時間に応じて自動的にダイヤフラム保温工程の開始を判断し、上部チャンバ30を自動的に降下させる制御も容易に実施できる。
なお、図5の例では、基板搬出直後にダイヤフラム保温工程を実施し、ダイヤフラム表面温度を70℃の規定温度以上に維持しているが、ラミネート装置10の有するサイズや熱容量や構造などの緒元に応じて異なる規定温度値の設定が必要となるのはいうまでもない。
<第3の実施形態>
上述したラミネート装置10は、たとえばメンテナンス後等のように、一旦、熱板22を冷却した後に、装置を立ち上げて運転を開始する場合、熱板22の設定温度(たとえば160℃)まで時間をかけて加熱することになる。このとき、熱板22より上部に位置するダイヤフラムシート11の表面も熱板22により加熱されてはいるが、ダイヤフラムシート11の表面温度(規定温度)を70℃以上にして、160℃の熱板22との温度差(許容温度差)を90℃以下とするには時間を要することとなる。
そこで、本実施形態では、製品となる基板Pと同等のダミー基板Pd(図8参照)を用意し、このダミー基板Pdをラミネート処理する空運転(1バッチ)を実施する。すなわち、起動時のラミネート装置10では、熱板22の温度等が運転条件を満たした後、最初にダミー基板Pdを搬送してラミネート処理を実施するので、ダイヤフラムシート11の表面温度は、連続運転時と同様に、ダミー基板Pdを介した加熱により速やかに温度上昇する。
この結果、メンテナンス後にラミネート装置10を立ち上げて連続運転を開始するまでの時間を短縮し、さらに、運転開始初期の不良品発生を防止することができる。
ここで使用するダミー基板Pdには、基板Pと同形状及び同寸法を有し、たとえば製品の基板Pと同等のガラス材のみ、ガラス材にEVAシート及びバックシートを配置したものがある。特に、ガラス材等の材質としては、起動時のヒータ昇温過程でダミー基板Pdに反りの発生が少なくなるように、たとえば熱膨張率が低い低ナトリウムガラスが好ましい。
一方、ガラス材に拘らず金属材でもよく、特にアルミニウム合金材は、熱伝導率が高いため表面温度差は少なく、従って、反り量は小さくなるので好適である。
また、ダミー基板Pdは、起動後の最初にラミネート処理を行う空運転に使用されるものであるから、多少の反りが生じてもダイヤフラムシート11に損傷を与えないような配慮をしておくことが望ましい。このため、たとえば図8(b)に示すように、ダミー基板Pdの角部や周囲を丸みのあるR形状50に加工することが望ましい。
また、上下面の間の温度差による反り量を小さくするため、たとえば図9に示すように、基板長さの小さい複数枚(図示の例では4枚)の分割基板Paに分割し、各分割基板Pa間を緩衝材40で繋いだ構成のダミー基板Pd′としてもよい。すなわち、隣接する分割基板Pa間に小さな隙間Sを設けて緩衝材40により接合すれば、分割基板Paの素材に生じた熱膨張を隙間及び緩衝材40が吸収して、ダミー基板Pd′全体の反りを軽減することができる。
<第4の実施形態>
この実施形態では、ラミネート装置10のリフトピン24を利用することにより、熱板22の基板載置面22aから基板Pを所定量だけ持ち上げて熱板22との間に隙間を形成するものである。すなわち、図2に示す(B)工程の状態を維持し、基板Pが熱板22から直接加熱を受けないようにすることで、基板Pの加熱速度を緩やかにするものである。なお、図6に示すように、基板Pを熱板22に接触させて直接加熱する接触伝熱時と、隙間を介して加熱する気体伝熱時との比較において、接触伝熱時は短時間で温度上昇するが、加熱初期の基板温度差(上下面間の温度差)も大きくなるので、基板の反りが大きくならないことに注意が必要である。
しかしながら、基板Pを熱板22に接触させた直後から若干の時間遅れを伴って基板の反りが発生することが判明し、この状況を利用して基板Pへの加圧プレスのタイミングをさらに適正化することが可能である。
具体的に説明すると、図2に示す(B)工程の時間を延長する分だけ、続く(C)工程の時間を短縮(たとえば、60秒程度を0〜10秒程度に短縮)することにより、基板Pを熱板22の基板載置面22a上に下ろした直後に(D)工程へ進み、ダイヤフラムシート11による加圧プレスを開始する。このため、基板Pの本格的な加熱は加圧プレスとともに開始されるので、反りの発生を強制的に最小限に抑えることができる。
この場合、基板PとEVAシートとの温度差が課題となる。ラミネート処理後に基板Pの周辺へEVAシートが回り込まなくなることや、皺が生じることがないように、EVAシートの寸法を通常工程による寸法よりも若干大きくなる方向へ調整しておくことが望ましい。
このようなラミネート処理を行うことにより、EVAシートによる基板Pのバックシートとの密着封止を均一に行うことができる。
<第5の実施形態>
この実施形態では、たとえば図7に示すラミネート装置10Aのように、上部チャンバ30の周囲に囲い部材として放熱防止カバー16を設置し、チャンバ外部への放熱を防止している。すなわち、全開位置の上部チャンバ30と下部チャンバ20との間に形成される間隙を低減して、ここから放散される熱を抑制するため、上部チャンバ30の上下動を妨げない位置に放熱防止カバー16を取り付けている。
このような放熱防止カバー16は、上述した第1の実施形態においてダイヤフラムシート11の表面温度を保持させる場合、ダイヤフラムシート11からの放熱をさらに抑制するので、表面温度の低下をより一層低減することができる。従って、熱板22からの外部放熱が低減し、熱板22のヒータ23に投入される電力量を削減することができる。
また、上述したラミネート装置10Aは、ダイヤフラムシート11及び上部チャンバ30の放熱を防止するため、上部チャンバ30の表面に保温材17を取り付けることが望ましい。この保温材17は、単独でも放熱防止効果を得られるが、放熱防止カバー16との併用により、外部放熱の防止効果はより一層向上する。
<第6の実施形態>
この実施形態では、熱板22を備えた下部チャンバ20と、ダイヤフラムシート11を備えた上部チャンバ30とを密着させて形成された真空室13内で熱板22上に基板Pを載置し、熱板22により加熱された状態でダイヤフラムシート11に作用する大気圧の押圧を受ける基板Pの表面にEVAを介してフィルム状のバックシートを貼り付けて封止処理するラミネート処理を行うラミネート方法において、ラミネート処理時に、ダイヤフラムシート11を押圧する際に基板Pを経由して熱板22より加熱を受ける前に、ダイヤフラムシート11を押圧しない状態(加圧プレスしない状態)で基板Pに接触させるダイヤフラム加熱工程を設けたものである。 すなわち、図2の工程(C)と工程(D)との間において、上室13b側を大気開放して加圧プレスする前に、上室13b側を微量だけ開放してダイヤフラムシート11を基板Pに接触させて直接加熱を行うものである。
このようなラミネート方法を採用すれば、ラミネート処理時のダイヤフラム加熱工程において、ダイヤフラムシート11は基板Pを強く押圧(加圧プレス)することなく、基板Pを介して熱板22の加熱を受ける。従って、ダイヤフラム加熱工程では、直接加熱によりダイヤフラムシート11が短時間で昇温するので、ダイヤフラムシート11を損傷させることなく加熱して、反りの原因となる上下面の間の温度差をなくすことができる。
このように、上述した各実施形態によれば、ラミネート処理が中断した場合に基板Pの上下面の間に生じる温度差を低減し、この温度差により生じる基板Pの反りとの干渉に起因してダイヤフラムシート11が損傷することを防止または抑制できる。しかも、通常のラミネート処理を行う連続運転時においては、たとえばダイヤフラムシート11を毎回熱板22に接触させて予熱するための工程が不要であり、従って、タクトタイムが短く生産量の向上及び生産コストの削減に有効なラミネート装置及びラミネート方法となる。
すなわち、本発明によれば、ラミネート処理を行う基板Pの上下面の間に生じる温度差を低減し、基板Pの反りによるダイヤフラムシート11の損傷発生を緩和できるとともに、タクトタイムが短く生産性の高い太陽電池モジュール基板のラミネート装置及びラミネート方法を提供することができる。
また、上述した各実施形態によれば、基板Pに温度分布が形成されることを防止または抑制できるので、EVA架橋不良な領域発生の防止、基板裏面のバックシートとの密閉性に対する信頼性向上、及び、バックシートの皺発生などの製品の外観不良低減など、製品としての価値向上にも有効である。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、その要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
また、本実施形態では薄膜系太陽電池について記載しているが、薄膜系太陽電池に限ることなく、ガラス基板を用いる太陽電池のラミネート装置及びラミネート方法に適用することが可能である。
10,10A ラミネート装置
11 ダイヤフラムシート(ダイヤフラム)
12 シリンダ
13 真空室
13a 下室
13b 上室
14 基板搬送ベルト
15 離型シート
16 放熱防止カバー(囲い部材)
17 保温材
20 下部チャンバ
21,31 凹部
22 熱板
22a 基板載置面
23 ヒータ
24 リフトピン
25 下部排気通路
25a,26a,32a,33a 開放弁
26 下部大気ベント
30 上部チャンバ
32 上部排気通路
33 上部大気ベント
40 緩衝材
P 太陽電池モジュール基板(基板)
Pd,Pd′ ダミー基板
Pa 分割基板

Claims (11)

  1. 所定温度に保持された熱板を備えた下部チャンバとダイヤフラムを備えた上部チャンバとを密着させて形成された真空室内で前記熱板上に基板を載置し、前記熱板により加熱された状態で前記ダイヤフラムに作用する大気圧の押圧を受ける前記基板の表面に接着充填シート材を介してフィルム状のバックシート材を貼り付けて封止処理をするラミネート処理が行われるラミネート装置において、
    前記上部チャンバが、前記ラミネート処理の中断時に全開途中位置に停止し、前記ダイヤフラムから前記熱板までの距離Hを前記ダイヤフラムが所定の温度より低下しないように選定した保温距離に維持するダイヤフラム保温位置を備えていることを特徴とするラミネート装置。
  2. 前記保温距離は、前記熱板の温度と前記ダイヤフラムの表面温度との間に生じる温度差を許容値以下に維持する値に設定されることを特徴とする請求項1に記載のラミネート装置。
  3. 前記上部チャンバの前記ダイヤフラム保温位置への移動は、前記ラミネート処理の中断時に所定の待機時間を経過した時点で開始されることを特徴とする請求項1または2に記載のラミネート装置。
  4. 前記上部チャンバの周囲で前記下部チャンバに向かって設置した放熱防止用の囲い部材を備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のラミネート装置。
  5. 前記上部チャンバの外表面に取り付けた保温材を備えていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のラミネート装置。
  6. 所定温度に保持された熱板を備えた下部チャンバとダイヤフラムを備えた上部チャンバとを密着させて形成された真空室内で前記熱板上に基板を載置し、前記熱板により加熱された状態で前記ダイヤフラムに作用する大気圧の押圧を受ける前記基板の表面に接着充填シート材を介してフィルム状のバックシート材を貼り付けて封止処理をするラミネート処理を行うラミネート方法において、
    前記ラミネート処理の中断時に前記上部チャンバを全開途中位置に停止させ、前記ダイヤフラムから前記熱板までの距離Hを前記ダイヤフラムが所定の温度より低下しないように選定した保温距離に設定して維持するダイヤフラム保温工程を備えていることを特徴とするラミネート方法。
  7. 熱板を備えた下部チャンバとダイヤフラムを備えた上部チャンバとを密着させて形成された真空室内で前記熱板上に基板を載置し、前記熱板により加熱された状態で前記ダイヤフラムに作用する大気圧の押圧を受ける前記基板の表面にフィルム状の封止材を貼り付けて封止するラミネート処理が行われるラミネート方法において、
    装置起動時に、熱伝導率の高い及び/または熱膨張率の小さいダミー基板を用意し、該ダミー基板を最初に処理して前記ダイヤフラムの表面温度を昇温させる空運転が行われることを特徴とするラミネート方法。
  8. 前記ダミー基板は、端部及び周辺の角部がR加工されていることを特徴とする請求項7に記載のラミネート方法。
  9. 前記ダミー基板は、複数に分割した部材の端部間に隙間を設けて緩衝材により接合されていることを特徴とする請求項7または8に記載のラミネート方法。
  10. 所定温度に保持された熱板を備えた下部チャンバとダイヤフラムを備えた上部チャンバとを密着させて形成された真空室内で前記熱板上に基板を載置し、前記熱板により加熱された状態で前記ダイヤフラムに作用する大気圧の押圧を受ける前記基板の表面に接着充填シート材を介してフィルム状のバックシート材を貼り付けて封止処理をするラミネート処理が行われるラミネート装置において、
    前記ラミネート処理時には、前記ダイヤフラムによる押圧前に前記基板を支持するとともに上下方向に可動するリフトピンで押し上げて前記基板と前記熱板との間に隙間を設けることで前記基板が前記熱板から直接加熱を受ける時間を短縮して、前記基板の加熱速度を緩やかにしたことを特徴とするラミネート装置。
  11. 所定温度に保持された熱板を備えた下部チャンバとダイヤフラムを備えた上部チャンバとを密着させて形成された真空室内で前記熱板上に基板を載置し、前記熱板により加熱された状態で前記ダイヤフラムに作用する大気圧の押圧を受ける前記基板の表面に接着充填シート材を介してフィルム状のバックシート材を貼り付けて封止処理をするラミネート処理が行われるラミネート装置において、
    前記ラミネート処理時に、前記ダイヤフラムを加熱しながら押圧する前に、前記ダイヤフラムを押圧しない状態で前記基板に接触させるダイヤフラム加熱工程を設けたことを特徴とするラミネート装置。
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