JP2011129338A - 有機電界発光素子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】有機電界発光素子の製造方法において、孔や溝などの欠陥がない封止膜形成に要する時間を短くして、製造コスト上昇を抑えることが可能な封止膜形成方法を提供する。
【解決手段】反応性スパッタリング法により基板上に封止性能を有す窒化膜を形成しつつ、同時に基板に負のRF電圧(バイアス)を印加することで、基材に異物が付着した場合においても、孔や溝などの欠陥を生じることなく、短時間での封止膜形成が可能になる。
【選択図】図3

Description

本発明は、フラットパネルディスプレイ(以下、FPDと称す)の封止膜形成方法に関する。例えばFPDとして、隔壁で区切られた領域に有機発光材料が充填された有機ELディスプレイ(以下、OLEDと称す)や無機蛍光材料が充填されたプラズマディスプレイ(以下、PDPと称す)を挙げることができる。
OLEDは、2つの電極間に有機発光層を挟持した構造を有し、電極間に電流を流すことにより有機発光層を発光させるものである。有機発光層を含む有機層は一層から多層のものがあるが、効率よく発光させるためには、それぞれの層の膜厚が非常に重要であり、有機層全体では1μm以下の薄膜にする必要がある。更にこれをディスプレイ化するためには有機発光層を高精細にパターニングする必要があり、このパターニング方法が重要な課題となる。
トップエミッション型有機電界発光素子は、一般的な有機電界発光素子がガラス基板上に透明電極、有機薄膜、金属電極の順で成膜を行うのに対し、ガラス基板上に金属電極、有機薄膜、透明電極の順で成膜を行う素子である。この構造により、カラーフィルターを封止基板側に作製し、発光素子基板と貼り合せることが可能となる。また、有機電界発光素子をアクティブマトリクス駆動ディスプレイとして応用する場合、基板と反対側の素子上部から光を取り出すトップエミッション型は、基板上の駆動回路に光が遮られず、開口率の増加が見込める。
有機電界発光素子に用いられる発光材料としては、ポリパラフェニレンビニレン(PPV)やポリフルオレン(PF)等のπ共役系高分子や、低分子系材料である9,10−ジアリールアントラセン誘導体、ピレン、コロネン、ペリレン、ルブレン、1,1,4,4−テトラフェニルブタジエン、トリス(8−キノラート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−8−キノラート)アルミニウム錯体、ビス(8−キノラート)亜鉛錯体、トリス(4−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノラート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−5−シアノ−8−キノラート)アルミニウム錯体、ビス(2−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラート)[4−(4−シアノフェニル)フェノラート]アルミニウム錯体、ビス(2−メチル−5−シアノ−8−キノリノラート)[4−(4−シアノフェニル)フェノラート]アルミニウム錯体、トリス(8−キノリノラート)スカンジウム錯体、ビス[8−(パラートシル)アミノキノリン]亜鉛錯体及びカドミウム錯体などがある。
また、有機発光層上には、良好な電子注入特性を得るためにBa、Caなどがしばしば膜形成される。
これらを膜形成するには、高活性物質であるため大気遮断下で行う必要があり、更に素子を大気中で駆動させるため、これら材料を酸化、劣化から防ぐ、即ち外部からの水分、酸素を遮断する封止技術が不可欠となる。現行では、Al缶やガラス板を用い、乾燥剤を挿入した封止缶方式が採用されているが、これら方式は画面サイズの大型化が難しく、新たな封止膜形成技術の開発が求められている。
封止膜に求められる要求性能として、電気的絶縁性の保証、優れた段差被覆性(ステップカバーレッジ)、水分やアルカリイオン、アウトガス侵入に対する抑止力(高いガスバリア性)、良好な密着性、厚膜化が可能(高いクラック耐性)、多層化しても膜にクラックが生じない機械的強度など、が挙げられ、これら膜性能実現のため、Si酸化膜系材料、Si窒化膜系材料、有機膜系材料などが多く用いられる。
前述の封止膜の要求性能の一つであるガスバリア性を決めるメカニズムは、水、酸素分子の媒質(封止膜)中での拡散現象であり、分子拡散(係数)を決めるのは、封止膜媒質に含まれるμmあるいはnmレベルの孔や溝を通した物理的な拡散現象、更にこれら分子と膜媒質との化学反応である。
よって、ガスバリア性向上のためには、物理的な拡散現象を抑制するため稠密な原子、分子レベルの構造制御や封止膜の組成制御、更には結晶化による水、酸素分子の拡散経路の遮断が必要となる。それだけでは限界がある場合、膜表面に更に原子レベルの稠密な金属膜や無機化合物膜を、下地膜保護の積層バリア膜として成膜する手法が提案されている。しかしながら、バリア膜である封止膜を成膜する際に異物が存在すると、異物周辺部の膜に孔や溝などの欠陥が発生する。
特許文献1では、封止膜に水、酸素分子などの拡散経路となる孔や溝を発生させない成膜方法として、エッチングを含む3段階の工程を経る封止膜形成方法が述べられている。具体的には、図6の従来技術の異物の作用を説明した部分断面模式図にあるように、CVD法で陰極上に第1封止膜を形成した後、第1封止膜をエッチング処理し、更にこの上に第2封止膜を形成するというもので、第1封止膜のエッチング処理により、第2封止膜と連続した層となるのが特徴である。
特開2007−66580号公報
近年、基板大型化に伴うOLED面内のゴミや異物の増加によって、全くの無欠陥でOLEDを製造することが困難になってきている。そこで、OLEDの製造工程においてゴミや異物の発生起点を把握し除去対策を取るとともに、ゴミや異物付着により孔や溝などの欠陥が発生した封止膜に関しては、欠陥を修正して(埋めて)良品化し、全体的な製造コストを低減させることが重要になってきている。
ゴミや異物が付着した状態で封止膜が形成されると、膜に孔や溝などの欠陥が発生しやすくなるため、陰極表面から封止膜表面までの距離が、陰極表面から異物の頂点までの距離の数倍となるよう、封止膜を厚膜化する方法も用いられている。これによって欠陥は発生しにくくなるものの、封止膜形成に要する時間が長くなり、生産効率が低下、すなわち製造コスト上昇に繋がるという問題がある。
一方、特許文献1に記載の封止膜形成方法では、前述のように封止膜を1層形成するのに3段階の工程を経るため、膜形成に要する時間が長くなるという問題がある。
ここで述べる陰極表面上に付着したゴミや異物は、主に陰極形成時発生する成膜パーティクルや、外部から流入するパーティクルからなり、前者は透明電極材料であるITOやIZOなどが該当する。
成膜パーティクルの発生メカニズムは次の通りである。
1.チャンバー内壁やマスク、更に防着板に付着した膜が、成膜が繰り返されることで層状に堆積される、
2.上記の堆積膜は基材との密着性が不安定なうえ、プラズマ粒子の飛散や熱輻射による膨張収縮が加わって剥離される、
というものである。
このようにして剥離した膜が異物となり、陰極表面上に付着したまま封止膜が形成されると、成膜粒子の指向性により、異物側面に粒子が回り込まず、平坦部に対して粒子の堆積速度に差が生じる、すなわち、不連続状態が継続していくことで孔や溝が形成される。
本発明は上記問題を解決するためになされたものであって、封止膜形成に要する時間を短くして製造コスト上昇を抑えると共に、孔や溝などの欠陥を低減可能な、有機電界発光素子の製造方法を提供することである。
本発明は上記課題を解決させるために、本発明の有機電界発光素子の製造方法は、基板上に第一電極、有機発光層、第二電極を順に形成する工程と、前記第一電極、前記有機発光層、前記第二電極の各層を覆うように封止膜を形成する工程と、からなるトップエミッション型の有機電界発光素子の製造方法において、反応ガスを供給しながら行う反応性スパッタリング成膜と、前記基板へのRFバイアスの印加を同時に行うことで前記封止膜を形成する点に特徴がある。
このとき、反応性スパッタリング成膜は、二段階以上の成膜条件設定により行うと好適である。また、反応性スパッタリング成膜を、初期段階では二次段階よりもガス圧力を低く設定すると共に前記基板に対しRFバイアスの印加は行わず、二次段階では、前記基板に対しRFバイアスを印加すると良い。
また、二次段階への成膜条件の切替を、一次封止膜が第二電極膜厚と同程度形成された時点で行うものとし、切替はガス圧力調整及び基板へのRFバイアスの印加にて行うことでもよい。更に、基板へのRFバイアスの印加を、二段階以上の印加条件設定により行ってもよい。
また、二次段階へのRFバイアスの印加条件の切替を、Vdc(セルフバイアス電圧)が初期値に対し低下した時点で行うものとし、切替は初期段階よりも低い設定値となるように、RFバイアスを調整してもよく、封止膜は、窒化酸化物、若しくは、透明導電物の材料から構成されても良い。
更に、反応性スパッタリング装置内のターゲットと基板間に、磁場形成によるプラズマ遮蔽機構を設けた構成でも好適である。
従って、本発明はこのような問題点を解決することを意図したものであって、反応性スパッタリング法により基板上に封止性能を有す窒化膜を形成しつつ、同時に基板に負のRF電圧を印加することで、基材に異物が付着した場合においても、短時間で孔や溝などの欠陥が低減できる、有機電界発光素子の製造方法が可能になる。
本発明の封止膜形成に用いるバイアスマグネトロンスパッタリング装置の模式断面図 バイアスマグネトロンスパッタリング装置内のターゲットと基板間に設置されたプラズマ遮蔽機構の模式図 (a)異物近傍に発生した封止膜欠陥パスから水、酸素分子が拡散・侵入して下地膜が変質した状態を示す部分断面模式図、(b)異物近傍を含む基材全面に亘りArイオンを照射することで、封止膜の欠陥起点が埋められた状態を示す部分断面模式図 (a)透明陰極に異物が付着したまま、封止膜を形成したため、欠陥パスが発生した有機電界発光素子の部分断面模式図、(b)透明陰極に異物が付着したまま、本発明の封止膜形成方法を用い膜形成して、欠陥パス発生を抑えた有機電界発光素子の部分断面模式図 本発明の有機電界発光素子の製造プロセスを示す図 従来技術の異物の作用を説明する部分断面模式図
以下に本発明の実施形態を、OLEDにおける封止膜形成に基づいて、具体的に説明する。
図1は反応性スパッタリング成膜と、基板バイアス印加を同時に行うことが可能なバイアスマグネトロンスパッタリング装置の断面模式図である。本図に図示していないものについては別図にて後述する。
図1において、装置内部にはアースシールド(19a)、ターゲット(19b)、カソードマグネット(19c)、バッキングプレート(19d)からなるスパッタターゲットユニット(19)と、それと対向する位置に透光性基板(9)を保持するための基板回転保持機構(5)が具備されている。なお、スパッタリング成膜時のイオン衝撃による過度の基板温度上昇を抑制するため、基板の裏面側に基板冷却板(5b)と、基板(9)位置とスパッタターゲット(19b)位置のほぼ中間にプラズマ遮蔽機構(14)がそれぞれ具備されている。また、装置外部には、スパッタガス(Ar、N2)を内部導入するための配管(16)、MFC(17,18)、プラズマ放電用電源としてDCパルス電源(24)、基板バイアス印加用電源としてRF電源(1)、更にはロータリーポンプやクライオポンプなどからなる排気ユニット(25)がそれぞれ具備されている。
本装置はターゲット材料、スパッタガスの組合せにより種々の無機窒化膜や酸化膜の形成が可能である一方、成膜時、基板にバイアスパワーを印加することで膜が平坦化されるとともに膜にできた孔や溝などの欠陥起点を成膜しながら修復(埋める)することも可能である。
図2はバイアスマグネトロンスパッタリング装置内のターゲットと基板間に設置されたプラズマ遮蔽機構(磁場トラップ板)の模式図である。同図において、(a)は磁場トラップ板の断面図を示し、(b)は磁場トラップ板の上面図を示すものである。
磁場トラップ板はターゲットよりもひと回り大きな形状で、板厚1〜2mm程度の円形状の板の中央部を大きくくり貫いた枠(フレーム:19b)となっている。そのくり貫き部分にはテンションをかけた状態でメタルワイヤからなるメッシュグリッド(14c)が張られ、板枠外周部には、中心方向の極性が同極かつ放射状になるようマグネット(14a)が配置されている。
従来の基板冷却板(5b)による成膜時の基板温度制御では、イオン衝撃が過度になると、有機発光材料のガラス転移点(Tg)以上に基板温度が上昇してしまうが、本プラズマ遮蔽機構は基板への荷電粒子の入射を磁場により捕捉・抑制することで、基板温度上昇を抑制することができる。これにより有機発光層が形成された基板に封止膜形成を行っても、発光材料の蛍光量子収率低下を抑制することができると考えられる。
図3(x)は異物が付着した基材に形成された封止膜の状態を示すものである。また、図3(a)は異物が付着した基材に形成された封止膜において、異物近傍に発生した欠陥パスから水、酸素分子が拡散・侵入して下地膜が変質した状態を、図3(b)は異物が付着した基材に形成された封止膜において、異物近傍を含む基材全面に亘りArイオンを照射することで、欠陥起点が埋められた状態を、示す各部分断面模式図である。
図3(a)は、封止膜形成過程で主にITOやIZO異物などからなるパーティクルの周りに、成膜粒子の指向性を主因とする封止膜欠陥パス(31)が発生し、ここから、大気中の水分、酸素などが拡散・侵入して易酸化性下地層である電子注入材料や有機発光材料を改質(酸化)させた状態を示す。
図3(b)は、封止膜形成に反応性スパッタリング法を用いつつ、膜表面全体にArイオンを照射(バイアス印加)することで、パーティクルの周りに発生した欠陥パスの起点が、Arイオン照射で削れた膜成分で埋まり、易酸化性下地層の酸化が抑えられた状態を示す。
図4(a)は透明陰極に異物が付着した状態で封止膜を形成したため、膜に欠陥パスが発生したトップエミッション型有機電界発光素子を、図4(b)は透明陰極に異物が付着した状態で、反応性スパッタリングによる封止膜形成と基板へのバイアス印加を同時に行い、欠陥パス発生を抑えたトップエミッション型有機電界発光素子を、示す各部分断面模式図である。
図4(a)は、前述の図3(a)と同様、封止膜形成過程で主にITOやIZO異物などからなるパーティクルの周りに、成膜粒子の指向性を主因とする封止膜欠陥パス(31)が発生し、ここから、大気中の水分、酸素などが拡散・侵入して易酸化性下地層である電子注入材料が改質(酸化)されたまま、カラーフィルター(CF:47〜49)とガラス基板(34)が、樹脂封止層(46)を介して貼り合わされた状態を示す。この状態では本図のような異物が介在する場所(画素)と、異物が介在しない場所で、易酸化性下地層に改質差が生じることで、輝度ムラ(点灯不良=駆動劣化)が顕在化する。
図4(b)は、前述の図3(b)と同様、封止膜形成に反応性スパッタリング法を用いつつ、膜表面全体にArイオンを照射(バイアス印加)することで、パーティクルの周りに発生した欠陥パスの起点を、Arイオン照射で削れた膜成分で埋め、これにより易酸化性下地層の酸化を抑制しつつ、カラーフィルター(CF:47〜49)とガラス基板(34)が、樹脂封止層(46)を介して貼り合わされた状態を示す。
この状態では、異物が介在する場所と、介在しない場所で、易酸化性下地層に改質差が生じず、これにより輝度、色度ムラも抑えられる。更にパネル駆動回路に輝度補償回路を新たに追加する必要もない。
図5は、本発明のトップエミッション型有機電界発光素子の製造プロセスを示すフローチャートである。
本作製プロセスの特徴は、S9aの一次封止膜を形成する際に反応性スパッタリングを行い、S9bの二次封止膜を形成する際には反応性スパッタリングと基板バイアス印加(欠陥起点修復)を同時に行う点である。S9a、S9bのように二段階以上の成膜条件を設定するのは、下地膜との密着性向上や成膜温度上昇を抑制しつつ、エッチングレート(Arイオン照射による単位時間当たりの封止膜減り量)を上昇させるためである。
また、有機電界発光素子は有機材料を用いた積層構造のデバイスであるため、液晶素子などと比べると熱や異物に対して極めて感受性が高い。プロセス温度に関していえば、有機材料のガラス転移点もしくは軟化点以下に温度制御を行う必要があり、プロセス温度がこれら温度を上回ると、発光効率や寿命低下などの駆動劣化を引き起こすことが知られている。
前述の成膜パーティクル発生メカニズムの項で示した異物は、有機電界発光素子においては1〜10μm程度の大きさである。仮に1μmの異物が付着した状態で封止膜形成を行う場合は一次封止膜を0.1μm、二次封止膜を0.9μm程度とし、10μmの異物が付着した状態で封止膜形成を行う場合は一次封止膜を1μm、二次封止膜を9μm程度とするのが望ましい。
各封止膜の具体的な成膜条件は、S9aは基板にバイアスを印加せずに下地密着性向上と基板温度上昇を抑制させることを目的として、ガス圧力を2Pa程度に設定した低応力成膜とし、S9bは基板にバイアスパワーとしてRF300Wを印加しつつ、ガス圧力を0.5Pa程度に設定した高応力成膜とした。S9aで形成された一次封止膜は、S9bにおけるArイオン照射から下地層(有機膜)を保護する機能層として作用し、更にこの一次封止膜によって、下地層への成膜ダメージを考慮せずに、S9bをより高速で行うことが可能になる。
基板にバイアスが印加されると、基板表面付近に大きな空間電荷領域が形成され、これによってイオンが大きな加速度を受け、プラズマ中の正イオンが積極的に膜表面へ誘導される。このイオン衝撃により、スパッタリング膜に発生した孔や溝を埋める(スムージング)効果が発現する。
このことは、スパッタリング成膜時に基板へのバイアス印加を行うという簡便な方法で、異物付着などにより発生した封止膜の孔や溝(欠陥パス)を修正する(埋める)ことができ、更には大気中の素子駆動においても欠陥パスからの水、酸素分子の拡散遮断で、下地活性膜の酸化(改質)を抑制し、引いては駆動劣化(キャリア注入性能低下)をも抑制できると考えられる。
Arイオンなど希ガスイオンによる基板へのイオン衝撃には、形成膜の密着性を向上させたり(ストレスマイグレーション制御)、膜密度を高めたりする効果があり、イオンエネルギーを適当に制御すれば、形成膜の残留応力や多結晶膜などの優先配向面を制御することも可能である。こうしたイオン衝撃の特長を利用すると、膜の化学結合状態変化や表面上での化学反応活性化が可能になる。
一方で過度のイオン衝撃は、下地膜が無機化合物の場合は構成元素脱離による組成ズレ(光学定数変化)を、有機化合物の場合は分子結合断裂(共役長変化→蛍光量子収率変化)を、それぞれ引き起こす懸念があり、同時に基板近傍のプラズマ密度が上昇するのに伴い、基板温度も上昇する。
スパッタリング成膜ではターゲット表面からスパッタされた粒子は周囲のガス粒子と衝突しながら基板へ到達し、その衝突頻度はガス圧力によって決まる平均自由行程に依存する。低ガス圧力下では粒子の平均自由行程が長くなるので、スパッタ粒子はガス粒子との衝突による散乱の影響をほとんど受けることがなく、運動エネルギーを失活させずに基板に到達する。この運動エネルギーはスパッタ粒子が基板上を泳動する(マイグレーション)駆動力となり、一部は熱エネルギーに変換される。この熱エネルギーが基板温度上昇に直接的に寄与する。
一方で、基板−ターゲット間距離がターゲットや基板の寸法に比べて十分大きい場合、スパッタ粒子の入射方向はほぼ基板面の法線方向と一致する。高ガス圧力下では平均自由行程が短くなるので、スパッタ粒子は基板到達までガス粒子と衝突を繰り返し、運動エネルギーを大きく失活させる。また、この衝突による散乱のためスパッタ粒子の運動方向は大きく変化して、基板面の法線方向に対して角度をもって斜め入射する粒子が増加する。この斜め入射する粒子は薄膜中の空孔形成に大きく関与する。
本発明の有機電界発光素子の製造方法は、基板にバイアスを印加しながら、反応性スパッタリング法にて封止膜を形成するもので、下地膜表面に異物が介在することで上層に形成した封止膜に孔や溝が発生しても、膜突起部に電界を集中(イオン衝突頻度上昇)させることで、膜の一部を削り、この残渣で孔や溝を埋めるというものである。
また、反応性スパッタリング成膜を二段階以上の成膜条件設定により行うことで、膜形成初期に最も大きくなるイオン衝撃や基板温度上昇が、初期段階(S9a)の低応力成膜で形成された一次封止膜が下地膜保護層として機能することで緩和されるとともに、二次封止膜形成を高パワーで行うことが可能になるため、封止工程の短縮化(短時間処理)にも繋がる。更に、膜応力の制御幅が広がり、それに伴って下地層との密着性が向上して、膜剥離の懸念が低下する。基板へのRFパワー印加に関しては、二段階以上の印加条件設定により行うことを特徴としている。
具体的には、パワーメーター(2)にて、Vdc(セルフバイアス電圧)が初期値に対し低下したことを確認したら、初期段階よりも低い設定値となるように、RFパワーを調整する。VdcはRFパワーを印加し始めた段階では膜突起部への電界集中、すなわちArイオン衝突頻度上昇に対し、電子入射頻度が均衡化されるよう高めの値となるが、膜突起部が削れ、平坦化していく過程でArイオン衝突頻度が低下し、それと連動して電子入射頻度も低下し、Vdcが変化する。このことは、膜突起部の削れ開始時に基板近傍のプラズマインピーダンスが変化することを意味する。
封止膜材料に窒化酸化物、もしくは透明導電物(ワイドバンドギャップ半導体)などを用いることも特徴であり、具体的な窒化酸化物としてはSiNやSiON、透明導電物としてはITOやIZO、AZO、GZO、ZnO、IGZOなどが挙げられる。
以上の実施形態から、本発明における封止膜の形成方法は、下地膜表面に異物が介在した場合においても、膜形成にバイアススパッタリング法を用いるという簡便な方法で、孔や溝などの欠陥を生じることなく、短時間での封止膜形成が可能になる。
(実施の形態)
基板として板厚0.7mmのガラス基板を用い、基板上に蒸着法にて易酸化性下地層(Ba)を5nm形成した後、スパッタリング法にて透明陰極層(ITO)を100nm形成した。なお、易酸化性下地層の上層に電子注入障壁低減を目的として、オキサジアゾールや主構造に分岐や捻れ構造を導入したより耐熱性(Tg)の高いオキサジアゾール誘導体を5〜10nm程度挿入しても良い。
次にバイアスマグネトロンスパッタリング装置にて、ターゲットにSi、プロセスガスにAr、N2を用い、基板にバイアスパワーを印加しながら窒化ケイ素膜を1μm形成した。
なお、スパッタプロセス条件は、(1)初期段階:DCパワー1500W(パルス250kHz、デューティ1600ns)、バイアスパワー(RF)未印加、ガス圧力2.0Pa、Ar流量40sccm、N2流量30sccm、成膜時間2min、(2)二次段階:DCパワー4000W(パルス250kHz、デューティ1600ns)、バイアスパワー300W、ガス圧力0.8Pa、Ar流量40sccm、N2流量30sccm、成膜時間4minである。このときの成膜時基板温度90℃以下であった。
基板上の形成膜(窒化ケイ素膜)は、イオン衝撃などによって膜破壊を起こすことなく、分光エリプソメトリ法にて計測した膜屈折率、可視光透過率に関しても、それぞれ2.00±0.01、90%以上と、ほぼストイキオメトリに近い膜物性を示した。
更に膜形成後に光学顕微鏡で表面に確認された白斑点欠陥(下地酸化部)に関しては、常温常圧下で240時間保持しても、発生数増加、欠陥面積拡大(成長)はともに見られなかった。以上の点を鑑みて、この手法は基材の表面状態に依存することなく、封止性の高い膜形成に有効であり、更には下地層酸化が抑制されることで、輝度ムラをはじめとする画素欠陥のないパネル作製に効果的であるといえる。
本発明の有機電界発光素子の製造方法は、有機ELディスプレイ製造に限定されるものではなく、PDPなどの表示デバイスに用いることができる他、薄膜トランジスタ(駆動素子)を始め半導体プロセスや太陽電池などにも適用可能である。
11 窒化ケイ素膜
27 透明陰極(ITO、IZO)
28 電子注入層(易酸化性下地層)
29 電子注入層酸化部
30 パーティクル(ITO、IZO異物)
31 封止膜欠陥パス
32 Arイオン照射
33 封止膜欠陥パス修復部(スムージング)

Claims (8)

  1. 基板上に第一電極、有機発光層、第二電極を順に形成する工程と、前記第一電極、前記有機発光層、前記第二電極の各層を覆うように封止膜を形成する工程と、からなるトップエミッション型の有機電界発光素子の製造方法において、
    反応ガスを供給しながら行う反応性スパッタリング成膜と、前記基板へのRFバイアスの印加を同時に行うことで前記封止膜を形成すること、
    を特徴とする有機電界発光素子の製造方法。
  2. 前記反応性スパッタリング成膜は、二段階以上の成膜条件設定により行う、請求項1記載の有機電界発光素子の製造方法。
  3. 前記反応性スパッタリング成膜を、初期段階では二次段階よりもガス圧力を低く設定すると共に前記基板に対しRFバイアスの印加は行わず、
    二次段階では、前記基板に対しRFバイアスを印加する、請求項2に記載の有機電界発光素子の製造方法。
  4. 前記二次段階への成膜条件の切替を、一次封止膜が第二電極膜厚と同程度形成された時点で行うものとし、切替はガス圧力調整及び基板へのRFバイアスの印加にて行う、
    請求項2又は3記載の有機電界発光素子の製造方法。
  5. 基板へのRFバイアスの印加を、二段階以上の印加条件設定により行う、請求項1〜4の何れか一項に記載の有機電界発光素子の製造方法。
  6. 前記二次段階へのRFバイアスの印加条件の切替を、Vdc(セルフバイアス電圧)が初期値に対し低下した時点で行うものとし、切替は初期段階よりも低い設定値となるように、RFバイアスを調整する、
    請求項2又は3に記載の有機電界発光素子の製造方法。
  7. 前記封止膜は、窒化酸化物、若しくは、透明導電物の材料からなる、請求項1〜6の何れか一項に記載の有機電界発光素子の製造方法。
  8. 反応性スパッタリング装置内のターゲットと基板間に、磁場形成によるプラズマ遮蔽機構を設けた、請求項1〜7の何れか一項に記載の有機電界発光素子の製造方法。
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