JP2006278228A - 有機発光表示装置及び有機発光表示装置の保護膜形成方法 - Google Patents

有機発光表示装置及び有機発光表示装置の保護膜形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 炭素系ポリマーからなる良好な耐湿性を有した保護膜を備えることにより、長期信頼性に優れた有機発光表示装置を得る。
【解決手段】 第1電極22と、透明電極材料からなる第2電極26と、第1電極22及び第2電極26の間に設けられる発光層25とを備える有機発光素子20が、基板21上に1個以上設けられており、各有機発光素子20が保護膜27によって被覆されている有機発光表示装置であって、保護膜27が、主として炭素と、フッ素及び窒素のうちの少なくとも1種とが結合した膜から形成されていることを特徴としている。
【選択図】 図5

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子などの有機発光素子が設けられた有機発光表示装置及び有機発光表示装置の保護膜の形成方法に関するものである。
近年、情報機器の多様化に伴い、CRT(陰極線管)に比べて消費電力が少なく、薄型である平面表示素子が注目されている。このような平面表示素子において、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)は、高効率、薄型、軽量、低視野角依存性等の特徴を有するため、特に注目されており、この有機EL素子を用いたディスプレイの研究開発が盛んに行われている。
有機EL素子においては、電子注入電極(陰極)とホール注入電極(陽極)とからそれぞれ電子とホールが発光部内へ注入され、注入された電子及びホールが発光中心で再結合することにより有機分子が励起状態となり、この有機分子が励起状態から基底状態へと戻るときに蛍光を発する。このような発光現象がディスプレイに応用される。
この有機EL素子は、発光材料である蛍光物質を選択することにより発光色を変化させることができ、マルチカラー、フルカラー等への表示素子への応用に対する期待が高まっている。
有機エレクトロルミネッセント装置(有機EL装置)は、複数の有機EL素子を含み、各有機EL素子が、画素を構成している。特に、各画素毎にTFT(薄膜トランジスタ)をスイッチング素子として備えるアクティブ・マトリックス型有機EL装置は、各画素毎に表示データを保持できるため、大画面及び高精細化が可能であり、次世代表面表示素子の主役として考えられている。
通常の有機EL素子では、ガラス基板上に透明導電膜からなるホール注入電極、有機材料からなる発光層、及び金属からなる電子注入電極を備え、発光層において発光した光が透明電極膜からなるホール注入電極を透過してガラス基板の裏面側から外部に取り出される。
これに対して、各有機EL素子の上部の電子注入電極を透明導電膜もしくは半透明金属膜を用いて形成することにより、発光層において発光した光を上面側から取り出す構造(いわゆるトップエミッション構造)が提案されている。
トップエミッション構造の有機EL装置では、カラーフィルタまたは色変換層を上部の電子注入電極上に配置することができるため、製造が容易になる。また、アクティブ・マトリックス型トップエミッション構造の有機EL装置では、発光層で発光した光がガラス基板上の複数のTFTにより妨げられることなく外部に取り出すことができる。従って、画素の開口率(発光部の面積が画素中に占める割合)が向上する。
有機EL表示装置においては、素子内部への酸素及び水分の浸入を阻止するため、ガラスや金属カンなどの無機材料を用いて封止している。しかしながら、トップエミッション構造の有機EL装置において、発光を取り出す画面側に中空のカンを被せると、画像が多重に見える現象が生じる。このため、平板で密封封止する必要がある。
一方、プラズマCVD法(化学気相堆積法)やスパッタ法により形成される窒化シリコン膜を、有機EL素子の耐湿保護膜として用いることが提案されている。特に、プラズマCVD法は、スパッタ法に比べ、高速製膜が可能で、被覆性に優れているなどの利点を有するため、実用化が期待されている。しかしながら、実際の素子に適用した場合、本来有する耐湿性を発揮できるまでに至っていない。
また、特許文献1においては、低ストレスでピンホールの少ない炭素系ポリマー膜を保護膜に用いることが提案されている。しかしながら、特許文献1においては、実質的に炭素と水素とが結合したプラズマ重合膜が用いられており、このようなプラズマ重合膜では、耐湿特性を評価するカップ法(JIS Z0208)で評価しても、エポキシ樹脂の半分程度の耐湿性しか得られなかった。また、測定精度として100倍以上の感度を有するモコン法(JIS K7129B)では評価できないほどの耐湿特性が現在は要求されており、特許文献1に開示された保護膜は実用に供し得るものではなかった。
従って、現状においては、非特許文献1に記載されているように、窒化シリコンからなる保護膜のクラッキングや剥離防止のための応力緩和層としての応用に留まっている。
特開平5−101886号公報 SID 03 DIGEST 559頁 Jpn.J.Appl.Phys.35(1996)P6521−6527
本発明の目的は、炭素系ポリマーからなる良好な耐湿性を有した保護膜を備えることにより、長期信頼性に優れた有機発光表示装置を提供することにある。
本発明の有機発光表示装置は、第1電極と、透明電極材料からなる第2電極と、第1電極及び第2電極の間に設けられる発光層とを備える有機発光素子が、基板上に1個以上設けられており、各有機発光素子が保護膜によって被覆されている有機発光表示装置であり、保護膜が、主として炭素と、フッ素及び窒素のうちの少なくとも1種とが結合した膜から形成されることを特徴としている。
本発明における保護膜は、炭素系ポリマーを主材とするため、膜応力が少なく、厚く積んでも剥離の心配がなく、かつピンホール欠陥もない。
さらに、フッ素及び窒素は電気陰性度が大きいため、膜のネットワーク内に侵入してきた水分子に対し、水素結合的な力(H2O結合に見られる近隣の水素原子を引き寄せる相互作用と同様)が働くため、水分子をトラップすることができ、結果として素子内への水分の侵入を妨げることができる。
本発明における保護膜としては、CFx膜及びCNx膜が挙げられる。
CFx膜としては、C(1s)光電子ピークのX線光電子分光分析(XPSスペクトル)において、CF3ピーク(結合エネルギー:約296eV)強度が、CFピーク(結合エネルギー:約292eV)及びCF2ピーク(結合エネルギー:約294eV)より大きいCFx膜であることが好ましい。このようなCFx膜を用いることにより、表面の撥水性だけでなく、膜内部における撥水力も向上し、素子への水分の侵入をより有効に防止することができる。
また、CNx膜は、炭素と窒素とが結合した膜から構成されるものであり、炭素の結合半径(0.77Å)は、Siの結合半径(1.17Å)に比べ、窒素の結合半径(0.74Å)に近く、また小さいため、従来のSiN構造よりも、水分を通しにくい緻密な構造にしやすいという利点がある。
本発明における保護膜は、プラズマ重合法を用い、基板を支持する側の放電電極をカソードにして形成されたものであることが好ましい。基板を支持する側の放電電極をカソードにして形成することにより、膜堆積時に、基板表面にイオンが適度に照射されるため、基板表面での反応が促進され、C−H結合やN−H結合などの耐湿性を阻害する結合を減少させることができる。
また、基板を支持する側の放電電極をカソードにして形成することにより、CFx(フルオロカーボン)膜を形成する際には、上記のように、CF3ピーク強度が、CFピーク強度及びCF2ピーク強度より大きいCFx膜を形成することができる。
本発明においては、例えば、CFx膜及びCNx膜を単独で用いてもよいし、これらを積層して保護膜として用いてもよい。
本発明における有機発光素子は、特に限定されるものではなく、有機エレクトロルミネッセント素子(有機EL素子)などの有機発光素子を採用することができる。第1電極、第2電極、及び発光層も、有機EL素子などにおいて一般に用いられている材料を用い、一般に用いられている形成方法により形成することができる。一般には、有機発光素子の各層は蒸着法などにより形成することができる。
本発明において、有機発光素子は好ましくはトップエミッション構造を有するものであり、基板上に、第1電極、発光層、及び第2電極をこの順で積層させて形成することができる。また、発光層と電極との間には、電子輸送層や正孔輸送層などのキャリア輸送層を形成することができる。
本発明の保護膜形成方法は、上記本発明の有機発光表示装置における保護膜を形成することができる方法であり、プラズマ重合法を用い、基板を支持する側の放電電極をカソードにして、主として炭素と、フッ素及び窒素のうちの少なくとも1種とが結合した膜を保護膜として形成することを特徴としている。
本発明の形成方法に従い保護膜を形成することにより、耐湿性に優れた保護膜を形成することができ、有機発光表示装置に長期信頼性を付与することができる。
本発明の有機発光表示装置は、耐湿性に優れた炭素系ポリマーからなる保護膜により有機発光素子が被覆されているので、良好な耐湿性を有している。例えば、ピンホール欠陥に起因するダークスポットの拡大や、有機発光表示装置の周辺部からのいわゆるエッジグロースの進行を防止することができ、従来にはない長期信頼性を有する有機発光表示装置とすることができる。
また、本発明における保護膜は膜応力が非常に小さいため、フレキシブルディスプレイにも応用することができる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
図1は、本発明に従う実施例においてCFx膜及びCNx膜を形成するのに用いるプラズマCVD装置を示す模式図である。図1に示すように、真空チャンバー1内には、下部電極5が設けられており、下部電極5の上に基板4が載せられている。下部電極5には、マッチングボックス9を介して高周波電源10が接続されている。下部電極5の上方には下部電極5に対向するように上部電極6が設けられており、上部電極6は接地されている。上部電極6が接地されることにより、下部電極5はイオンを加速できるカソード電極とされている。
上部電極6には、マスフローコントローラー8を介してガスボンベ7が接続されている。ガスボンベ7から原料ガスが上部電極6に供給され、上部電極6からは、基板4に向かってシャワー状に原料ガスが供給される。
真空チャンバー1には、圧力調整用バルブ2を介して高真空排気ポンプ3が接続されており、高真空排気ポンプ3により真空チャンバー1内が真空排気される。
以下の本発明に従う実施例においては、上述のような図1に示すプラズマCVD装置を用いて保護膜を形成した。
また、後述する比較例においては、図1に示すプラズマCVD装置において、上部電極6を接地する代わりに、上部電極6にマッチングボックス9を介して高周波電源10を接続し、下部電極5にマッチングボックスを介して高周波電源10を接続する代わりに、下部電極5を接地した比較のプラズマCVD装置を用いている。
(実施例1)
<ガラス基板上に形成したCFx膜の評価>
図1に示すプラズマCVD装置を用いて、以下の条件でプラズマCVD法によりCFx膜を形成した。
ガス流量:CHF3約30SCCM
放電周波数:13.56MHz
投入電力密度:最大0.5W/cm2
放電圧力:20Pa
基板温度:室温
成膜速度:0.1〜0.3nm/秒
図2に、投入電力を0〜0.5W/cm2の範囲で変化させてガラス基板上に形成したCFx膜の表面接触角の測定結果を示す。また、比較として、上記の比較のプラズマCVD装置(下部電極をカソード電極としていないプラズマCVD装置)を用いて、上記と同様の薄膜形成条件で、投入電力を0〜0.5W/cm2の範囲で変化させてガラス基板上に比較例のCFx膜を形成した。この比較例のCFx膜の表面接触角の測定結果も図2に示す。図2において、実線は本発明に従う実施例の測定結果であり、点線は比較例の測定結果である。
図2に示す結果から明らかなように、基板を載せる下部電極をカソード電極として、薄膜形成の際にイオンを照射させることにより、低い放電領域においてもフッ素の撥水性が十分に発揮されていることがわかる。
次に、投入電力0.2W/cm2で形成した実施例のCFx膜及び投入電力0.4W/cm2で形成した比較例のCFx膜について、C(1s)光電子ピークのX線光電子分光分析(XPSスペクトル)を測定した。図3に実施例のCFx膜のスペクトル、図4に比較例のCFx膜のスペクトルをそれぞれ示す。
図4の比較例のスペクトルに示すように、CFx膜のスペクトルは、低結合エネルギー側から、C−C及びCH結合に基づくピーク(結合エネルギー:約288eV)、C−CFx結合に基づくピーク(結合エネルギー:約290eV)、CF結合に基づくピーク(結合エネルギー:約292eV)、CF2結合に基づくピーク(結合エネルギー:約294eV)、及びCF3結合に基づくピーク(結合エネルギー:約296eV)の5つの波形に分離することができる。一般的なCFx膜においては、非特許文献2に記載されているように、成膜に寄与するラジカルはCF2であると考えられることから、図4に示すようにCF2結合に基づくピークがCF3結合に基づくピークよりも大きくなるのが一般的である。
図3に示す実施例のCFxのスペクトルにおいては、図4に示すスペクトルと同様に5つのピークがあらわれている。各ピークの位置は、約3eV程度高エネルギー側にシフトしている。図4に示す比較例のスペクトルと比較すると、CF3結合に基づくピークが、CF結合に基づくピーク及びCF2結合に基づくピークよりも大きくなっていることがわかる。これは、イオン照射により基板表面の反応が促進され、余分な水素が膜中より引き抜かれ、結果として炭素鎖の結合末端部の結合手としてCF3結合が増加したものと考えられる。
さらに、上記実施例のCFx膜の膜応力を測定したところ、引張応力で7.8×108dyn/cm2であった。実施例のCFx膜の作製においては、イオンの打ち込みを行っているため、そのたたき込み効果により膜応力が増加することが予想されたが、実際には、上記のように、現在保護膜として用いられているSiNx膜より1桁程度小さい応力であった。従って、膜剥離などが生じるおそれも少ないものと思われる。
<デバイスの作製>
図5に示す有機EL素子20を作製した。有機EL素子20は、図5に示すように、ガラス基板21(厚み700μm)の上に、Agからなる正孔を注入するための陽極22(厚み100nm)が形成されており、陽極22の上に、有機材料からなる能動層23が形成されている。能動層23の上には、MgAgからなる電子を注入するための陰極(厚み20nm)が形成されており、これによってトップエミッション型有機EL素子が構成されている。陰極26の上には、保護膜としてのCFx膜27(厚み300nm)が形成されている。
能動層23は、以下の2層を積層することにより構成されている。
ホール輸送層24:トリフェニルジアミン誘導体NPB、厚み70nm
発光層25:アルミニウムキノリノール錯体Alq、厚み70nm
NPBは、N,N′−ジ(ナフタセン−1−イル)−N,N′−ジフェニルベンジジンであり、以下の構造を有している。
Alqは、トリス−(8−キノリラト)アルミニウム(III)であり、以下の構造を有している。
CFx膜以外の上記各層は、真空度を10-4Pa以下にして、抵抗加熱ボートを用いて真空蒸着法により形成した。CFx膜については、図1に示す上記プラズマCVD装置または上記の比較のプラズマCVD装置を用いて形成した。
保護膜であるCFx膜形成の際の投入電力を0、0.1、0.2、0.3、0.4、及び0.5W/cm2となるように変化させてCFx膜を形成し、各有機EL素子の駆動電圧を測定した。投入電力と素子駆動電圧との関係を図6に示した。
図6において、実線は実施例のCFx膜を形成したものであり、点線は比較例のCFx膜を形成したものである。なお、駆動電圧は、有機EL素子に流れる電流密度が20mA/cm2(輝度100〜300cd/m2)となる電圧である。
図6に示す結果から明らかなように、基板を支持する側の放電電極をカソードにしない比較例の薄膜形成方法では、0.4W/cm2程度まで放電電力を高めても、素子へのダメージが少ないことがわかる。これに対し、基板を支持する側の放電電極をカソードにして形成する実施例の薄膜形成方法では、0.2W/cm2程度までしか放電電力を印加できないことがわかる。これは、イオン照射が過度になれば、素子の有機材料や、金属電極界面にダメージを与えるためであると考えられる。
次に、0.2W/cm2の投入電力で保護膜を形成した実施例の有機EL素子、及び投入電力0.4W/cm2で保護膜を形成した比較例の有機EL素子について、恒温恒湿(80℃、95%RH)での耐湿テストを行った。耐湿テストの初期状態から、100時間経過後(室内使用では半年連続4000時間耐用に相当)までの点灯状態を観測した。図7は実施例の有機EL素子の点灯状態を示す平面図であり、図7(a)は初期状態の点灯状態を示しており、図7(b)は100時間経過後の点灯状態を示している。図8は比較例の有機EL素子の点灯状態を示しており、図8(a)は初期状態の点灯状態を示し、図8(b)は100時間経過後の点灯状態を示している。
図9は、有機EL素子における各層の重なり状態を示す平面図である。図9に示すように、金属陰極26は左右方向に配置されており、金属陰極26も耐湿層として働くため、画素内の水分により発生する非点灯部分(いわゆるエッジグロース)は、画素の上下方向(特に外側の測定端子に近い上側)から主に進展することとなる。
また、膜にピンホールや欠陥を多く有する場合には、膜の縦方向からの水分透過が起こり、薄い金属電極の欠陥部から水分侵入が起こり、いわぬる縦抜けに起因するダークスポットを誘発する。
図7に示すように、本発明に従う実施例のCFx膜を形成した有機EL素子においては、100時間経過後においてもエッジグロースやダークスポットが認められない。これに対し、図8に示すように、比較例の有機EL素子においては、上下方向において非点灯部分が増加しエッジグロースが認められるとともに、ダークスポットも認められる。
保護膜であるCFx膜の厚みを1μmとする以外は上記と同様にして作製した実施例の有機EL素子及び比較例の有機EL素子について、上記と同様に恒温恒湿での耐湿テストを行った。初期状態の発光面積に対する耐湿テスト100時間経過後のエッジグロースの面積比は以下の通りであった。
実施例の有機EL素子:ほぼ0%
比較例の有機EL素子:30%
上記のように、耐湿テストでは、実施例と比較例において著しく大きな差が存在していた。図2に示すように撥水性においては両者はそれほど大きな差異はないにもかかわらず、このように耐湿性において大きな差が生じた理由として、比較例のCFx膜におけるネットワークでは、図10に示すように、ネットワーク結合が疎な部分が存在しており、この部分を通り水分が透過するため耐湿性が悪くなっていると考えられる。
これに対し、実施例のCFx膜では、XPSスペクトルの測定結果が示すように、ネットワーク結合が緩くなっている結合終端部においても、良好な撥水性を有するCF3結合が多く存在するため、膜内部に侵入した水分子の経路を遮断することができ、この結果として良好な耐湿性が得られたものと考えられる。
(実施例2)
図1に示すプラズマCVD装置を用いて、以下の薄膜形成条件で、CNx膜を形成した。
ガス流量:CH4約10SCCM、N2約100SCCM
放電周波数:13.56MHz
投入電力密度:最大0.2W/cm2
放電圧力:20Pa
基板温度:室温
成膜速度:0.2nm/秒
また、比較例として、上記比較のプラズマCVD装置を用いる以外は、上記と同様にして比較例のCNx膜を形成した。
ガラス基板の上にMgAg膜(厚み80nm)を形成し、このMgAg膜の上にCNx膜を形成した。
図11は実施例のCNx膜を示す断面SEM(走査型電子顕微鏡)写真であり、図12は比較例のCNx膜の断面SEM写真である。
図12から明らかなように、比較例のCNx膜においては、非特許文献1に記載されているように、下地の金属表面の影響を受け、その表面に大きな凹凸が形成されており、グレイン境界線が多く見られる。これに対し、図11に示すように、実施例のCNx膜においては、その表面が平坦化しており、均一に近い膜が形成されていることがわかる。これは、イオンアシストにより基板表面の反応が促進されているためであると考えられる。
実施例のCNx膜について、その耐湿度をカップ法(JIS Z0208)により調べたところ、測定限界(約0.1g/m2/day)以下であった。
保護膜として、0.5μmの厚みのCNx膜を形成する以外は、上記実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。また、比較として、比較例のCNx膜を同様に0.5μm保護膜として形成する以外は、上記実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。
実施例及び比較例の有機EL素子について、上記と同様にして耐湿テストを行った。初期状態の発光面積に対する耐湿テスト100時間経過後のエッジグロース面積の比を以下に示す。
実施例の有機EL素子:ほぼ0%
比較例の有機EL素子:10%
上記の結果から明らかなように、本発明のCNx膜は、良好な耐湿性を有する保護膜であることがわかる。実施例のCNx膜は、赤外吸収スペクトルにおいて、N−H及びC−Hなどの耐湿性を阻害する結合成分が減少しており、このような膜構造も耐湿性向上の要因の1つであると考えられる。
上記の各実施例においては、CFx膜及びCNx膜をそれぞれ単独で保護膜として用いているが、これらの膜を積層させて保護膜として用いると、より良好な効果が得られる。
また、上記実施例においては、基板としてガラスを用いているが、本発明における保護膜は上述のように、膜応力が非常に小さいものであるので、プラスチック基板などのフレキシブルな基板の上にも形成することができる。
また、上記のように、本発明は、トップエミッション構造の有機EL装置に用いた場合に、より大きな効果を発揮するものであるが、本発明はトップエミッション構造の有機EL装置に限定されるものではなく、基板の裏面側から光を取り出す構造の有機EL装置にも適用することができるものである。
本発明に従う実施形態において保護膜を形成するのに用いたプラズマCVD装置を示す模式図。 CFx膜を形成する際の投入電力とCFx膜の接触角との関係を示す図。 実施例のCFx膜のXPSスペクトルを示す図。 比較例のCFx膜のXPSスペクトルを示す図。 本発明に従う有機発光素子の構造の一例を示す模式的断面図。 有機発光素子の保護膜形成の際の投入電力と素子駆動電圧との関係を示す図。 耐湿テストの結果を示す図。 耐湿テストの結果を示す図。 有機発光素子における各層の重なり状態を示す平面図。 比較例のCFx膜中の水分の侵入経路を示した模式図。 実施例のCNx膜の断面SEM写真。 比較例のCNx膜の断面SEM写真。
符号の説明
1…真空チャンバー
2…圧力調整用バルブ
3…高真空排気ポンプ
4…基板
5…下部電極
6…上部電極
7…ガスボンベ
8…マスフローコントラー
9…マッチングボックス
10…高周波電源
20…有機発光素子
21…ガラス基板
22…陽極
23…能動層(有機材料層)
24…ホール輸送層
25…発光層
26…陰極
27…保護膜

Claims (5)

  1. 第1電極と、透明電極材料からなる第2電極と、前記第1電極及び前記第2電極の間に設けられる発光層とを備える有機発光素子が、基板上に1個以上設けられており、各有機発光素子が保護膜によって被覆されている有機発光表示装置であって、
    前記保護膜が、主として炭素と、フッ素及び窒素のうちの少なくとも1種とが結合した膜から形成されていることを特徴とする有機発光表示装置。
  2. 前記保護膜が、CFx膜またはCNx膜から形成されることを特徴とする請求項1に記載の有機発光表示装置。
  3. 前記保護膜がCFx膜であり、C(1s)光電子ピークのX線光電子分光分析(XPS)スペクトルにおいて、CF3ピーク強度が、CFピーク強度及びCF2ピーク強度より大きいCFx膜であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機発光表示装置。
  4. 前記保護膜が、プラズマ重合法を用い、前記基板を支持する側の放電電極をカソードにして形成されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機発光表示装置。
  5. 第1電極と、透明電極材料からなる第2電極と、前記第1電極及び前記第2電極の間に設けられる発光層とを備える有機発光素子が、基板上に1個以上設けられており、各有機発光素子が保護膜によって被覆されている有機発光表示装置の前記保護膜を形成する方法であって、
    プラズマ重合法を用い、前記基板を支持する側の放電電極をカソードにして、主として炭素と、フッ素及び窒素のうちの少なくとも1種とが結合した膜を前記保護膜として形成することを特徴とする有機発光表示装置の保護膜形成方法。
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